まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

とりあえず!バージョン違い!
ゼルサイド:☆ゼロスサイド☆:宇宙の姫サイド金色の王サイド
上記のお好きなところに飛んでください(まて!)

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こんにちわ♪
アンケートの結果v
只今、菫ちゃん、二票(一人から♪)ゼル、エル様、一票づつ!
となってます♪とりあえず。菫ちゃんにて打ち込むのですvv
・・おそらく、ゼルバージョンも打ち込むかも・・(お゛い゛!)
とりあえず。反応によりますね・・(まてぃ!)
というわけで。ハラスの結婚相手v
始めに、いきます!菫ちゃんが相手です!
それでは!

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スレイヤーズフォーエバー 第15話 ~偽装結婚、inユニット~

「ふふふ。大悪党リナ=インバース。貴様の悪行もここまでだ。
  このコンドル三騎士が貴様に引導を渡してくれるっ!」
などといいつつも、またまたあたし達にと向かってくる賞金稼ぎたち。
「あ゛~……はいはい。火炎球ファイアーボール。」
うんざりしつつリナが軽く呪文を解き放つ。
チュドォォン!
リナの呪文によって、よけることすらせずに、いともあっさりと吹き飛んでゆく若干数名。
飛んでゆく仲間をみつつ、
「くっ!兄じゃっ!くそ!いくぞ!ジェットヴェーブ!」
何やらいいつつも、手をぐるぐると回しつつあたしたちのほうにと突っ込んでくる賞金稼ぎその一。
ひょい。
……ごげ!
ひょいとリナが少し身をかわしただけで、そのまま自爆するようにと木にとぶつかってるし……
「だぁぁぁぁ!もう、キリがないぃ!まとめて吹っ飛べっ!爆裂陣メガ・ブランド!」
ドッッゴォォォン!!
リナの呪文によって生じた巻き上がる土砂に巻き込まれ、なぜかこげている賞金稼ぎたち。
「本当にキリがないですね。」
ぱんぱんと手を叩いているアメリアに。
「まったく、何が正義なのか分かってませんね。道理が通ってないです。それ即ち悪っ!!」
一人こげている人たちの上に足をのせ、ポーズをとって何やらいっている【アメリア】の姿。
どちらのアメリアも似たようなことやってるし。
ま、別にいいけどね♡
アメリア達がそんな会話をしている最中。
カサリと茂みがなる音がし。
「おや?まだいたんですか?」
物音と、そして気配がしたのでそちらのほうを振り向きつついっているゼロス。
ゼロスはといえば、他にもやってきていた賞金稼ぎたちでちょこっと遊んでいたりするんだけど。
何でも、ちょっとしたおやつを食べたいとかいって、
にこやかに笑いつつ精神攻撃をちょこっと仕掛けていたりするようだけど。
ま、それはどうでもいいことだし。
それでなぜか錯乱状態になっていたりする軟弱な賞金稼ぎたちもいたりするけど。
別に関係ないし♡
「あ…あの……できたら話しを……」
よろよろと木の枝で体を支えつつ、
白い旗を木にくくりつけて茂みを掻き分けて出てくる一人の男性。
茶色い髪に少しほうけたような顔をして、多少衰弱していたりするけど。
それはそれ。
その姿をみて。
『き…きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』
どごっ!!
思いっきり同時に叫び、足蹴りしている【アメリア】に。
「うう。私この人嫌いですぅぅ!」
叫んだ後、がしっとリナにしがみついて震えているアメリア。
そしてまた。
「な…よ…よらないでくださいっ!」
悲鳴に近い声をあげているシルフィールに。
「い…いやぁぁぁぁぁぁ!」
叫んで呪文詠唱を始めていたりするリナ。
そんなリナ達の様子を眺めつつ。
「……あのなぁ。何もそこまで嫌わなくても。オーガよりましだと思うがなぁ」
何か変な術がかかってるようだけど。
そんなことを思いつつ、顔にくっきりと今蹴られた足跡を残している男性をみて言っているガウリイ。
「そ…そんな…オーガだなんてひどいですぅ……」
そんなガウリイの言葉にいじけた声をだしているその男性。
そして目に涙を浮かべてさらに近寄ろうとすると。
「いやぁぁ!こないでくださいぃっ!」
シルフィールが面白いことに絶叫を上げていたりする。
「おやおや♡」
どうやら面白い術をこの人かけられてますねぇ。
そんなことを思いつつ、にこやかに楽しんでいっているゼロス。
ついでにシルフィールたちから負の感情をちょこっといただいているようだけど。
くすっ。
「あら♡」
そんなゼロスやリナ達の様子をみつつ、くすっと笑って一言いい。
すとんと、その男性の横ににっこりと笑って座っているユニット。
そして。
崩魔陣フロウ・ブレイク♡」
言葉とともに、パチンとユニットが指を鳴らすと同時。
シュゥゥ……
男の体から黒いもやが立ち上がる。
「……へ?」
何が起こったのか理解できずに、きょとんとした声を出しているけど。
そしてまた。
「あれ?何かこいつには、たちのわるい魔法がかかってたみたいね」
ユニットが術を解いたことをうけて、ほっと一息つきつつも言っているリナ。
「というか。別に呪文となえなくてもできるとおもうけどなぁ……」
などと、ユニットをみつつもぽつりと言っているガウリイに。
「あら?どうやら異性を近づけなくするタチの悪い魔法がどうやらかかっていたようですわね」
悪寒の正体にようやく気づいて、リナに続いていっているシルフィール。
「どうやらあんた……何か面倒なことに巻き込まれているようだな。」
ため息とともに、そんなことを言っているゼル。
そんな会話をききつつも。
「そ…そんな……そんな魔法が僕の体に……」
その言葉をうけて、そのままその場にと座り込んでいるその男性。
「まあ、あんな魔法がかかってたら普通まず気づくと思いますけどねぇ。
  貴方にかかっていた魔法は、人間の女性だけでなく、
  全ての異性に対して近づけなくなるような魔法がかかってましたし♡」
そんな彼に対して、にこやかに言っているゼロス。
ゼロスの言葉をうけつつも、しばし落ち込みながらも。
だがしかし、がばっと起き上がり。
「お…お願いです!僕の頼みを聞いてください!」
その場に膝まづいて懇願してくる男性の姿がそこにあったりするけども。
ふふ♡
楽しくなりそう♪

パチパチパチ……
焚き火の音が静かに周囲にと響き渡る。
とりあえず近くの開けた場所にて焚き火を起こし、話を聞くことにしたあたし達。
「僕は、この辺りでは一番のお金持ちのライズ家の一人息子のハラスといいます。
  実は僕の家が、とある魔道士に乗っ取られそうになっているんです」
焚き火を囲みつつもぽつりぽつりと話してくるハラス。
「つまりは、お金もちのおぼっちゃんってわけか」
そんなハラスの言葉に淡々と言うゼルに。
「ふぅん。で?」
そっけなく質問しているリナ。
「誰がそんなことを?」
そしてまた、ハラスにと問いかけているアメリアに対し。
「女魔道士キャリー」
うなだれつつも答えるハラス。
「ええっ!?キャリー!?」
ハラスの答えに面白いまでに声を張り上げているリナ。
「何だリナ?知っているのか?」
そんなリナの横にさりげなく座り、問いかけているガウリイの台詞に。
「ガウリイさん……本気で知らないんですか?女魔道士キャリー。
  自分の娘を次々にお金持ちの男性に嫁がせてその財産を根こそぎ奪うという有名な魔道士です」
こちらの世界のアメリアが説明してるけど。
「あれ?でも確か、キャリーの十人の娘たちって全員結婚したって聞いていたけど?」
ふと、その噂を思い出し、首をかしげているリナ。
「十一人目の娘がいたんです……」
そんなリナにと涙目になりながら、うなだれて何やらいっているハラスだし。
「そりゃまた…やっかいなやつに目をつけられたもんだな」
そんな会話をききつつも、あきれつつ言うゼルの言葉に。
「そうなんです。魔法で僕をおどしつつ。家にと居座り僕と娘との結婚を迫ってくるんです。
  当然、僕は断わり続けました」
パキ……
火にくべていた木が音を立ててはぜ割れる。
「それで、どうなさったんですか?」
そんなハラスの言葉をきき、さらに話しを促しているシルフィール。
「断わり続けている僕に対して、キャリーは条件を出してきたんです。
  十日以内に結婚相手を見つけてきたら、黙って自分達は家から出てゆく。
  もし見つからなければ娘と結婚しろって」
ハラハラと涙を流しつつ、あたしたちに対して説明してくるハラスの言葉をうけ。
「なるほど。だから、あんな魔法をかけられていたのね」
ハラスにとかけられていた術のことを思い出し、一人納得しているリナ。
「うう……僕にそんな魔法がかけられていたなんて……僕はずっと結婚相手を探して…うう……」
一通り説明し終え、本気で涙を流しているハラスの姿があったりするけど。
まあ、その間、犬とかにもハラスは追いかけられたりしてたからねぇ。
別にどうでもいいけど。
それは。
「でも、十日以内で結婚相手を見つける……って。所詮無理な話なのでは?」
そんなハラスの説明をうけて、正直、正道な所を突っ込みしているシルフィール。
「まあ。人間の結婚云々なんて、どうでもいいような気がしますけどね。僕としては」
一方で、にこやかに至極最もなことをいっているゼロスに、
「あのねぇ。あんたにとってはそ~でも。乙女の憧れ♡なのよ♡結婚っていうのは」
純白のドレスに身をつつみ、そして……
自分がドレスを身に纏った姿を思い浮かべ、うっとりしているリナ。
「そうですよね。好きな人との結婚式。ああ、あこがれです……」
こちらもまた、リナと同じようなことを思い浮かべ自分の世界に浸り、
目をキラキラとさせているアメリア。
「そうですわね。結婚式。あこがれますわ」
うっとりとこれまたしているシルフィール。
「リナが結婚できる年齢になったら、いつでもオレとしてはオッケーだが……」
などと、一人ぶつぶつと何やら言っているガウリイ。
「……お゛い゛……」
そんなガウリイの言葉を耳に捕らえ、思わず突っ込んでいるゼル。
「でも、異性を近づけない魔法をかけられていたんじゃあ、声もかけれませんね」
対照的に、今の話をきき素直な感想をいっているこちらの世界の【アメリア】。
そんなリナ達の会話をききつつも、
「でも、いいんです!ついに理想の結婚相手を見つけましたからっ!」
きっぱりと、水を飲み干して何やら言い切るハラスの台詞に。
『へ?』
リナ、アメリア、シルフィール。
そして、こちらのアメリアとゼロスとゼルの声が一致する。
そんな中、がしっと手を握り締め。
「あ…あの!僕と結婚してください!!」
面白いことを言うハラスの言葉を聞き。
ごげっ!!!!!
ぶ・・・ブゥゥ!
ゴホゴホゴホ!

思いっきり、むせこんでいるゼロスに。
そのまま、倒れるようにこけているゼル。
リナ達にいたっては、飲んでいた紅茶を噴出していたりする。
ハラスが手をにぎり、言っている相手はというと……
「……私?」
手を握られたまま、にこやかに問いかけているのは言うまでもなくユニット。
「はい!!もう、一目見たときから!」
「……ロリコンか?このに~ちゃんは……」
盛大に溜息ついているゼルに。
「いや、ゼル。こう見えても、ユニットちゃんは……ぐっ!」
言いかけるガウリイの言葉をさえぎるように、見えない刃がガウリイの首筋を触れてるし。
そんな様子をみて思わずお腹を抱えて笑い出すあたし。
ほんっと楽しいわ♡
「ちょっとまってください!あなたっ!何て無謀なことぉぉぉ!」
何やらゼロスの悲鳴が周囲にこだましてるけど。
くすくすくす。
「年齢的に、その人たちが納得しないでしょうが♡」
くすくす笑っているユニットの言葉に。
「まあ、姿形なんて、確かにどうにでもなるけど…ねぇ。くくくっ……」
未だに笑いつつもユニットに続けて答えるあたしの言葉に。
「いえ、大丈夫です。年齢差なんて、見たところたかが七歳程度くらいですし。
  婚約者ということにしていただければ。振りです、振り」
いいつつも、真剣な目をしてずいっとユニットの手を握り迫っているハラス。
ほとんどこの人間、本気でいってるのよねぇ。
振りとかという演技とかでなくて、本気で♡
ユニットの手を握り締めたまま、
「皆さんも協力してくれませんか?あ、もちろん、ただとはいいません。金貨千枚でどうですか?」
ぴく。
その言葉に、リナの耳が動く。
「それでもねぇ……」
そんなハラスをみつつも、じと目で何やら言っているリナだし。
ユニットはといえば未だににこやかに笑っているまま。
「では、金貨二千枚」
ピククっ。
「でもねぇ。振りとは言っても……」
「では、五千枚では」
「ミリーちゃん!ここは、人助けと思って、協力しましょうっ!」
ハラスの言葉をうけ、ユニットの手を未だに握っていたハラスを押しのけ、
がしっとユニットの手を握り、目をキラキラさせていってくるリナ。
「そうです!ハラスさんを悪の手先から救い出すためです!協力しましょうっ!」
それに賛同しているこちらの【アメリア】に。
「でも、年齢的には……かなり問題あるかと……」
シルフィールが言いかけると。
「いやぁ。姿くらい、簡単に変えられるだろ?ユニットちゃんだし」
あっさり言っているガウリイ。
「まあね。エル、面白そうだし♡この依頼、うけてみてもいい?」
あたしの方を向いて、言ってくるユニット。
「あら♡別にあたしは構わないけど。まさか、ユニットを選ぶとはねぇ。くすくすくす」
くすくすと笑って言うあたしとは対照的に。
「あ゛…あ゛あ゛あ゛あ゛……」
なぜか頭を抱えているゼロス。
「ちょっとまて。簡単にって……お゛い゛…」
ゼルがなぜか、汗をかきつついってくるけど。
「だから♡誰でも出来るって。生体の細胞組織変換を退行させたり、進行させたりすることによって。
  誰でも、幼児化したり、成長したりはできるのよ。
  簡単にいったら細胞の老化を止めて若さを保ったまま。というのと同じ理屈だし」
そんなあたしの説明に。
「そりゃ、確かに理論的には可能かもしれないが……」
でもそれは、あくまで理論であって…などとぶつぶつうなっているゼル。
「でも、ハラスさん?私でいいの?」
そんな会話をききつつも、にこやかに自分の横にいるハラスに微笑みかけて問いかけているユニット。
そんなユニットに対して、ぼ~と見とれているハラス。
そして、きっぱりと。
「ええ!そりゃもう!」
本気できっぱりと宣言しているハラスだし。
くすっ♡
「それじゃ、決まりね。じゃぁ、ユニット♡」
「そうね♡」
あたしの言葉をうけ、ユニットが軽く返事をし目をつむる。
刹那。
ユニットの姿が、陽炎のようにと揺らめき。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
しばしその場に沈黙が訪れ。
そして。
『な……何ぃぃぃ!!!!!!?』
『ええぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!?』
『きゃぁぁ!綺麗っ!!』
なぜか驚きの声を上げているゼルとハラス。
シルフィール、リナ、二人のアメリアの声が一致してゆく。


「ほほ。お母様、ハラスのやつ戻ってくるかしら?」
チン!
グラスを片手に屋敷にて会話をしている母子の姿。
「ほほ。当たり前でしょう。財産を捨ててまで逃げ出すわけがないじゃないのよ」
いいつつ。
手にもっている扇でぱたぱたと自分を扇いでゆく。
髪は首の中心辺りで切りそろえ、額にはサークレットをし、三つに連なったイヤリングをしている女性。
彼女が魔道士キャリー。
そして、その傍らの目つきがきつい女性が、彼女の十一番目の娘のポーラ。
「ふふ、これで、このライズ家の財産も私達のもの。」
「前途を祝って…乾杯!」
そんな会話をしつつも、チン、と二人してグラスを重ねあう。
二つのグラスが触れて音を立てると同時。
と。

がちゃ。
「只今ぁ」
扉が開く音とともに、元気な声が響き渡る。
「あら、お帰り。早かったわね」
「それで?結婚相手は見つかったのかしら?」
二人して顔を見合わせ、にっと笑い、入ってきた人物。
即ちハラスに向かって問いかけているキャリーとポーラ。
完全に勝利を確認している二人の言葉に対してにっこりと笑い、
「さ、どうぞ」
言って扉の後ろを振り向くハラス。

シャナリ。
ハラスの言葉をうけて静かに扉から中にと入ってゆくあたし達。

「な…まさか…そんな!?」
「うそ!?」
驚愕の声を上げる、キャリーとポーラ。
薄いピンクのワンピースに身を包んでいる女性が、彼女達の目にととびこんでくる。
薄いベールで顔を被い。
歳のころは、十八、九。
艶やかなまでの黒い髪が、ベール越しにもよく栄える。
「紹介します。僕の婚約者の、ミリアム=ノクターンさんです」
きっぱりと宣言するハラスの後に。
「は…はじめまして……」
にこやかに、それでいてどこか照れているように見えるようにといっているのは言うまでもなくユニット。
とはいえ、今はいつもの十歳前後の姿ではないけども。
そんなユニットの後ろに続いて中にと入ってゆくあたし達。
ちなみに。
あたしは髪の色を金色に変え、リナも髪型を変えてメイド姿にしてみたり。
ちなみに。
ガウリイは、付け髭をつけて執事の姿にかえ。
ゼルにいたっては少し化粧を施し、ユニット専属の医者という設定。
ゼロスは神父の格好をし、シルフィールは巫女の正装をしていたりする。
二人のアメリアも、青い色調のメイドの服にと身を包み。
それぞれに簡単な変装をしているあたし達。
そんなあたし達をざっと見渡すキャリー母娘に対し、
「式は明朝、この屋敷でとりおこなう。さあ、約束どおり出て行ってもらおうか!」
きっぱりと言い放っているハラス。
だがしかし、そんなハラスの言葉は何のその。
「まあ、始めまして」
つかつかとベールを纏っているユニットにと歩み寄ってくるキャリー。
パチッ!
精神感応でユニットを操ろうとするものの、当然そんなものは通じるはずもなく。
いともあっさりとはじかれる。
そんなキャリーに対してベールの下からにこやかに微笑んでいるユニット。
…な゛!?
まったく術が通じないので内心驚き。
…まさか…この娘…魔道士!?
などと、面白いまでにとんでもない勘違いをしているキャリーだし。
あたしやユニットには術なんてかからないってば♡
「お……お母様……」
母親の術がかからないなどということは、始めてであるがゆえに戸惑いの声を上げているポーラ。
術がかからないことに対して内心驚きつつも、その動揺を表には見せないようにし、
「そ…それで、後ろの人達は?」
後ろにいるあたし達をみて問いかけてくるキャリー。
『ミリーお譲様にお使えしている、姉妹のメイドです』
二人のアメリアが同時に言い。
「同じく、メイドのリリーです」
アメリア達に続き、打ち合わせどおりに答えているリナ。
「ミリー様にお世話になっている神官です。今回は、結婚式の神父を頼まれまして。あ、彼女は助手です♡」
にこにこと笑いつつ、シルフィールを視線で示しているゼロス。
「執事の……はっくしょんっ!!」
執事、といいかけて盛大にくしゃみをし。
その影響で付け髭が取れかけているガウリイ。
あわてて付け髭を直しつつ、
「執事のガガーリンです」
どうにか言い直しているガウリイ。
「護衛のエルです♡」
そんなガウリイとほぼ交互になるようにあたしもまた打ち合わせどおりに自己紹介♡
ん?
あの顔は……確かどこかで……
などと思いつつ、今のガウリイの顔をみてふと考えをめぐらせているキャリー。
そして、どこで見たのかを思い出し、内心ほくそ笑む。
そんなキャリーの様子に気づくことなく。
「さあ、これで文句はないだろう?約束どおり出て行ってくれ!」
キャリー母娘に対して、言い放っているハラス。
気づかれたのに気づいてないし♡
くすっ♡
そんなハラスの言葉に。
「ええ。わかったわ。それではご機嫌よう」
いって。
ちらりとあたし達をみて、そのまま扉をくぐって部屋から出てゆくキャリー親子。

二人が部屋から出ていき、部屋から遠ざかるのを確認し。
「よかったですね!これでこの家に巣食っていた悪が退散しましたっ!」
などと何やらガッツポーズをとっているアメリアに。
「でも…、何かやけに素直じゃないですか?」
一人危惧を抱きつつもぽつりといっているシルフィール。
「確かに。あの最後の視線が気になるな」
溜息をつきつつ、深くかぶっていたクリーム色のマントを剥ぎ取っているゼル。
そんなシルフィールやゼルやアメリアとは対照的に、
「しっかし……本当に、美人よねぇ。エルと並んでみてよ。ユニットちゃん」
感嘆なため息を漏らしつつも、ユニットに話しかけているリナ。
あたしとユニットが並ぶと、まるで一対の絵のごとくにかなり様になってるし。
まあ、今あたしとユニットは外見上は同い年になってるしねぇ。
それゆえに、かなり目立ってるんだけど♡
「成長したら、こんなに素敵な女性になるんですね」
ユニットを改めて眺め、目をきらきらとさせて言っている【アメリア】の言葉に。
「……う~ん……成長という言葉は……」
絶対に違うと思うんだが……
などといいかけようとするガウリイだけど。
どごっ!!
「ぐっ!」
見えない空気の塊に押しつぶされそうになっているガウリイの姿。
何やらその場に突っ伏して呻いているけど、関係ないし♡
そんな風に和気藹々と、あたし達が話しているそんな中。
一方で、
「ねえ、お母様、どうするの?」
ポーラがキャリーに向かって話しかける。
「うふふ。どうもしないわよ。私を信じなさい。ふふ。明日の結婚式が楽しみね。」
いって薄く笑いつつ微笑むキャリーの姿がとある場所で見受けられていたりするけど。
さって、楽しくなりそう♡

サラ……
少し動くたびにヴェールが揺れる。
「しっかし……本当に何を着ても似合うわよねぇ」
つくづく感心しつつ言うあたしの言葉に、
「あら。それはエルもでしょ?」
にっこりと微笑みかけてくるユニット。
「ひ…姫様……」
そんなユニットの横には、ふわふわと浮かびながら何か言っている羽の生えた女の子が一人。
真っ白なウェディングドレスに身を包み。
軽く髪を掻き揚げて。
いつもの紅いリボンは少し小さめにし、横をミツアミでまとめているユニット。
その少し開いた胸元には輝く不思議な色彩の石。
ユニットがいつも身に着けている、彼女の世界曰く『宇宙の石』。
ついでにいえば、ユニットの側にと浮かんでいる少女の本体でもあるけど。
「あら。何?ファー?」
そんな自分の横にふわふわと浮いている女の子に話しかけているユニット。
「あ…あの?いいんですか?……本気になっちゃいますよ……彼……」
何やら当然のことを心配しているようだけど。
「まあまあ。いいじゃない♡人助けよ♡」
にっこりいうユニットの言葉に。
「……はぁ……」
言って。
とりあえず再び、いつものようにと石の中にと戻ってゆく。
いつもユニットの側にいて、ついでにいえば。
ユニットの力をユニットに認められて、唯一仕えたりする存在でもあるけど。
ユニットが初めて創り出したという物質、つまりは、ユニットが身に着けている石の精霊。
ちなみに正確にはフェアリーというのが名前だけど、いつもユニットはファーと呼んでいたりする。
ユニット、ある意味では彼女には甘いのよね♡
当人、自覚なくても♡
ふふ♡

そわそわそわ………
「落ち着きがないな……」
そわそわと落ち着きのないハラスに対してあきれているゼル。
ちなみに、すでにゼロスとシルフィールは会場の方で待機していたりする。
カチャリ。
「おおおおお!!!」
扉が開き、目を丸くしているリナ達一行。
そして。
「ほ……本気で僕と結婚してください!!ミリーさん!」
どごっ!
ユニットにと向かっていくハラスの顔に思いっきりそのまま蹴りを躊躇なく叩き込んでいるファー。
「畏れ多いにも、ほどがあります!」
蹴りを入れた後でそんなことを叫んでるけど。
「ふぅん。精霊?彼女?」
いきなり出現したファーに驚きつつも、ファーをみて的確なことをいっているリナ。
「まあね」
そんなリナに、にっこりと答えているユニットに、
にっこりというユニットに。
「いいなぁ…花嫁さん……」
ふと、自分自身の挙式を思い描いている二人のアメリア達。
「ほらほら、冗談いってないで。いきましょ♡」
とりあえず、そんな彼女たちをみつつもにこやかに先を促すあたしの言葉にはっとなり、
ひとまず、花嫁姿となっているユニットを伴って屋敷の中にとある会場にと向かってゆくあたし達。

「いい?相手はガウリイ=ガブリエフ。多分連れの誰かが、リナ=インバースのはずよ。
  賞金は山分け。私が合図をしたら飛び込んでくる。依存はないわね?」
屋敷の裏庭で、ごろつきたちを集めていっているキャリー。
『へい!分かりました!キャリー様!』
その言葉を聞いて。
にやりと笑っているキャリーの姿が見受けられていたりする。
イベント開始ね♡

「ずいぶんとにぎやかだな。何かあるのか?」
キャリーに集められ、建物の裏庭にて待機して騒いでいる男たちにと、
ふと足をとめて声をかけている男性が一人。
マントをその身にくるみ、帽子を目深にかぶっているその男性の言葉に、
「なぁに、賞金首のやつが……」
言いかける、集められているうちの一人のごつい男性の言葉に。
「何!?賞金首だと!?名前は!?」
その彼の胸倉を掴んでいる男性。
言うまでもなく、その人物は、当然ザングルスだったりするけども。
「ガウリイ=ガブリエフっていう……、あ。後からきて横取りはなしだぜ!?旦那」
「何!?」
言いかけて、はたと気づいて言ってるけど。
だがしかし、ふと気配を感じてその場にいる全員が上空を仰ぐ。
みれば、ゆらりと空気がゆれ、そこには……
「ふふ。来たか。不死身やろう……」
何やら驚きの声をあげている男たちとは対照的に、不適な笑みを浮かべているザングルスの姿が。
上空にと浮かんでいるのはウルムグン。
ちなみに、またまたコピーだったりするんだけど♡
当人が動きなさいよね。
まったく♡
ふふ♡

ざわざわざわ……
ざわざわとざわめく、結婚式の会場の扉が開かれる。
ゆっくりと、入ってゆくユニットのベールをもって歩くのは二人のアメリア。
扉の横にリナとガウリイが位置し扉の開け閉めを担当し。
あたしはといえば。
その道の奥にある祭壇にて、ゼロスやシルフィールたちと一緒にいたりする。
『おおおおおお!!!!』
会場内がどよめきで満たされる。
当然のことながら、全員ユニットに見とれていたりするんだけど。
ちなみに、あたしが会場に入ったときなども、彼らはあたしにも見とれてたけど。
それはそれ。
「・・・・・・・・・・・・」
目を見開いて口をあんぐりとあけているゼロスに。
同じく、驚いた表情をしているシルフィール。
ゆ…ユニット様……
ゼロスはといえば、なぜかかなりダメージを受けているらしく。
精神体のほうでも器用に汗を流していたりするけど。
そこまで細かく芸をしなくてもいいでしょうにねぇ。
ふふ♡
「ほら、司会」
あたしの言葉に、はっと我に戻ったゼロスが。
「え…ええと。では、これより結婚式を執り行います」
あわてて、形式にのっとって結婚式の進行を勤めていたりするけど。

その言葉とともに、公式どおりに物事は進んでゆく。

「それでは、指輪の交換を」
ゼロスの言葉と同時に指輪を交換しているユニットとハラス。
それと共に少し照れたような表情をしているユニット。
そんなユニットをみて。
「まあ、何てかわいらしい花嫁なんでしょう」
「ういういしいわね」
「ライズ家のお坊ちゃま、かなり綺麗な人を見つけられたわね」
などと、そんなことをささやいている招待客たち。
指輪の交換が終わり。
「さて。それでは、誓いのキスを」
そういうゼロスの声は多少震えているけども。
その言葉に目を輝かせるハラス。
そんなハラスの首筋に、ハラスのみに見えるようにと具現化しているファーが針を突き立てていたりする。
そのことに気づき、多少冷や汗を流しつつ、
「あ…それは……あとで……」
つうっと額から一筋汗を流していうハラスの言葉に、
ガタンと席を立ち。
「さあさあ、みなさん。花嫁と新郎のキスを、たっぷりと拝見しようじゃないですか。
  指輪の交換の後にキスをして、初めて結婚式が成り立つというもの」
などと言い放っているキャリーの姿が。
その言葉に。
ざわざわざわ……
会場の中がざわめき、キャリーの思惑どおりにキスコールが巻き起こる。

「ユニットちゃん……本気でキスする気かしら?」
「う~ん。花婿の根性しだいだな」
リナの素朴な疑問に、のんびりと言っているガウリイ。

「すいません、すいません。キス…キスキスキス…。これが済んだら、金貨はお渡ししますから」
そう言っているハラスの目は真剣そのもの。
というより、する気満々の目だったりする。
ハラスが、ユニットのベールを上にと上げた刹那。
――バタン!
響き渡る扉が開く音。
「勝負だっ!ガウリイ=ガブリエフ!」
そして勢いよく扉を蹴破り、入ってくるザングルスとその一行。
「な……何だ!?何だ!?」
そんな乱入者たちに対して、会場中がざわめき立つが。
「ちっ!まぁた厄介なやつがっ!」
などと舌打ちしているリナ。
そして、それと同時にリナとガウリイが同時に彼らから間合いを取っていたりするけど。
「な…何ですか!?貴方たちは!?」
私が雇ったやつらではないし。
などと思いつつ、キャリーが何やらいってるけど。
「さて。いい加減にサイラーグまで一緒に来てもらおう。リナ=インバース……」
そしてまた、ふよふよと天井付近に浮かびつつ、何やら言ってくる男性の言葉に、
「な゛!?リナ=インバースだって!?」
そう言って。
あたしと、扉の方にいるリナを見ている客たちの姿。
そんな客たちの動揺は気にすることもなく、
ポウっ……
その手に光の光球を出現させているヴルムグン。
ザングルスやグルムグンの乱入に、ほっと胸をなでおろしつつ、
瞬時に神父の服からいつもの神官の服にと変化させているゼロス。
そして、
「まあ。ものすごくいいタイミングで現れたことには感謝しますよ。ねぇ?コピーヴルムグンさん♡」
にこにこと、天上付近に未だに漂っているそれにと話しかけているゼロスの姿が。
一方では、
「うう…いいとこだったのにぃ……」
違う意味でいじけているハラス。
と、
ユラリ。
ヴルムグンの姿がゆらリと揺らめき、そしてそんな彼の周りに出現する別の二人の姿。
「えええ!?三つ子だったんですか!?」
三人になった彼をみて、アメリアが何やら見当違いなことをいってるけど。
「違うわよ。コピー人間よ。なるほど。道理で、やっつけてもやっつけても。次から次にとわいて出るわけね」
ようやくそのことに気づいて苦笑して言っているリナ。
「静粛な結婚式を騒がすとは、それすなわち悪ですっ!」
そんな彼らにむかって、ぴっと指差して言い切る【アメリア】の言葉に、
「では聞くが…偽装結婚はいいのか?」
律儀にも突っ込んでいるヴルムグン。
「正義のためならば、問題ないです!」
そんな彼の問いかけに、きっぱりと言い切っている【アメリア】。
「「「・・・・・」」」
そのアメリアの言葉に無言になっているコピーヴルムグンたち。
正確にいえば、操っている当人も違う場所にて無言になっていたりするんだけど。
まあ、それはそれ。
「何がどうなってるの!?」
「というか、彼らなに!?」
などと、未だにざわめき騒ぐ招待客や、集まってきている野次馬たちを尻目に、
「まあいい。貴様らが素直にいうことを聞かないのであれば。
  ……この場にいる観客たちを全員一人づつ殺してゆくまで……」
いいつつ。
観客たちにと呪文を向けようとしているコピーヴルムグンの姿。
「な…何考えてるんですかぁぁ!!!!!?」
そんな彼の言葉をきき、思わず悲鳴に近い叫びをあげているシルフィールに、
その言葉より早く。
炎の矢フレアアロー。」
氷の矢フリーズアロー♡」
ヴルムグンとあたしの呪文が一致する。
パシュ。
呪文の相互干渉で掻き消える術の効果。
別に呪文となえなくても消すことはできるけど、それはのりというものがあるし♡
術の発動とともに、はたっと我に戻った人々は、
『うわぁぁぁぁぁ!!!!』
何やら叫びつつも、別のコピーヴルムグンが壁にあけた穴からわれ先にと外に逃げ出してるし。
根性ないわねぇ~……

「ああ…僕の家がぁ~……」
がらがらと壊れてゆく自分の家の一部をみつつ、なぜか頭を抱えていっているハラス。
くすっ。
「あら♡些細なことは気にしないの♡」
にっこりというあたしの言葉に、
「些細…ではないような気が……」
ぽつりと突っ込んできているシルフィール。
そんなあたし達の視線の先においては、
「ガウリイ!今日こそ俺と勝負しろ!」
ガウリイに向かって剣を抜き放ち、何やらいっているザングルスの姿が。
「あのなぁ……」
そんなザングルスの声をきき、あきれつつもぽりぽりと頭をかいてつぶやいているガウリイ。
そんな光景をしばらく呆然と眺めていたものの、はっと我にともどり、
「ちょっとまちなさい!これは私の賞金首なのよっ!」
いって、ガウリイとザングルスの間にと割り込んでいるキャリー。
と。
ドゴッ!
面白いまでの音とともに、そんなキャリーの頭に花瓶がヒットしていたりするけども。
「お待ちなさい!悪に心を奪われた魔道士よ!
  今こそ、このアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが!天に代わって正義の鉄槌を下します!」
「今までのことを悔い改めるのならば、それでよし。そうでないのなら、手加減はいたしません!」
そんなキャリーに対して、きっちりと交互に台詞をハモらせつつもいっている二人のアメリアの台詞に、
「おやおや、正義かぶれのお嬢ちゃんだこと。貴方のお相手は…こちらよ」
頭を抱えつつも、いって二階をみているキャリー。
そこには、キャリーの合成獣キメラの実験において失敗した犬もどきが。
「ううえええ!?」
「いやぁ!こんなの苦手ですぅぅ!」
どろどろに犬の体は溶けているので、動くたびに、ねちゃり、と音がする。
それを見て。
「「いやぁぁぁ!!『烈閃咆エルメキア・フレイム!!』」」
同時に叫び。
辺り構わずに、人間の胴体くらいの光の柱を打ち出している二人のアメリア。
「ち…ちょっとこら!あんた達ぃ!」
リナが必死で叫びつつ、それをよけているけど。
くすっ。
リナはこんなことなれてるでしょうにね♡

「いくぜ!ハウリングソード!」
ブンっ!
ザングルスが剣を一振りすると、剣から風が巻き起こる。
「まったく…大概あんたもしつこいな……」
はあ。
溜息一つついて。
その辺りに転がっている椅子の足をもち。
ブン!
ひとなぎしているガウリイ。
椅子の足の切れ端で。
その風を我が物にして、ザングルスにと戻してゆく。
「ぐわっ!」
たったのそれだけで、そのまま壁に叩きつけられるザングルス。
…ほんと、情けないったら……

うぞうぞうぞぞ……
『い…いやぁぁぁ!火炎球ファイアー・ボール!!!!』
アメリア達が放った呪文によって、逆に分裂し個数を増やしつつ近づいてくる犬もどきにたいし、
顔を真っ青にしつつ、同時に術を放っている二人のアメリア。
それらが動くたびにずしゃ…といった湿った音がしてるけど。
それはそれ。
どごぉぉん!
アメリア達の放った術がちょっとした音を周囲に響き渡らせてゆく。

「お、キャリー様からの合図だ!」
アメリアの放った術の音とは知るはずもなく、キャリーが放った合図だと勘違いをし、
キャリーが雇っていたごろつきたちが、それを合図として建物の中にと移動してゆく。

「何だ?どっちがどっちだ?」
ドサクサにまぎれて。
あたしも、髪の色を金色から栗色にと再び変えているので。
リナとあたし。
どっちがターゲットか分からなくなっている彼等達。
「ああ!何てことを!?」
それゆえに、あたしに向かってくるごろつきたちも多々といたりする。
それを見て、ゼロスがなぜか真っ青になり叫んでいたりするけども。
「でぇぇぇぇぃ!もう面倒っ!まとめて面倒みてやるぅぅ!」
わらわらと出てくるごろつきに業を煮やし、リナが叫び早口で呪文を唱えだす。
「ち…ちょっとまってくださいっ!」
シルフィールがリナの意図と術の正体に気付いて止めようとするが。
時すでにおそし。
パチン。
指を一つ鳴らし、
炸弾陣ディル・ブランドっ!!」
チュドォォォン!!!
ガラガラガラ……
手加減なしのリナの呪文一発で完全に崩れてゆくライズ屋敷。


「けほ……」
むせこみつつも、崩れた瓦礫の下から這い出てくる人々。
「ぼ…僕の屋敷がぁぁ!」
なぜか泣き言を言っているハラス。
「じゃあ。直す代わりに、依頼料を倍にしてくれるかしら?」
いつのまにか。
いつもの容姿に戻っているユニットが、絶叫を上げているハラスにと問いかける。
ごろつきたちなどに関しては、その辺りにこげて転がっていたりするけど。
別に関係ないし♡
「え?…出来るんですか?」
ユニットの姿が元の姿に戻っていることに残念さを感じつつも、涙を浮かべて問いかけているハラス。
そんなハラスににこやかに微笑み、
「じゃあ、交渉成立ね♡ゼロスさん♡」
ゼロスの方に向き直り、にこやかに言うユニットの言葉をうけ、
「…はひ……」
ゼロスが、手にしている錫杖を一振り。
その刹那。
崩れ落ちていた瓦礫が瞬時にと再生され、一瞬のうちに、ライズ屋敷は元通りにとなってゆく。
「サービスで、家具などもそのままに新調しておきました。…それでいいでしょうか?」
びくびく。
なぜか、びくびくしながら聞いてくるゼロスに。
「まあ、ゼロスにしては、上出来ね。」
あっさりとひとまず答えておくあたし。
「そうね」
そんなあたしの言葉に同意しているユニット。
「いいな~。便利なアイテム……」
そんなゼロスの作業をみて、ぽつりといっているリナ。
「そういう問題か?」
そんなリナにとすかさず突っ込みをいれているゼル。

とりあえず。
瓦礫の下で埋まっている人達は、その辺りの帰らずの森にと投げ込んでおくとして。
さってと。
「それじや、このままいきますか♡」
未だに言葉をうしなっているハラスたちをそのままにして、あたし達はこの場から立ち去ることに。


「一枚…ニ枚……んふふふふ……」
「リナさん…怖いです……」
出発するにあたり馬車を借り、依頼料の一万枚を手に入れて。
何事もなく進んでゆくあたし達。
なぜか。
一瞬で、家などを元通りにしたことで完全に混乱していたハラスだけども。
馬車の中では、リナが、金貨を丁寧に何ども何ども数えなおしていたりする。
「いやぁ。でも、馬車が手に入ってよかったなぁ。な、ゼル」
「まあ…な……」
ガウリイの言葉に、静かにうなづいているゼル。
「とりあえず。後は、ウルル山脈を越えるか。港町に出るか。そのどちらかに向かっていくだけですわね」
繕い物をしつつ言っているシルフィール。
「やっぱり、正義は必ず勝つのです!」
「そうですよね!」
「……はぁ……」
完全に、同じペースになっているアメリア達をみて。
なぜか、ゼルが溜息ばかりをついているけど。
「そういや、ハリーはどうなったのかしら?」
リナがふとつぶやくので。
「ああ。今度は、迷いの森の支配者のとある男性をターゲットにして住み込んでいるわよ」
「まあ、ライズ屋敷よりも、財産は、あるからねぇ」
そんなリナの疑問に交互に答えるあたしとユニット。
迷いの森に入って。
そこにあった屋敷を今度は乗っ取ろうと計画していたりするあの親子。
そんなあたしとユニットの台詞に。
「……ちょっとまて。確か…迷いの森の支配者っていうのは……」
ゼルが、ふと思い出したようにといってくるが。
「確か、バンパイアでしたねぇ♡」
そんなゼルとは対照的に、のほほんといっているゼロス。
「……あっそ。まあ、どうでもいいけど。でも、何でエルもユニットちゃんも、そんなこと分かってるの?」
そんなリナの問いかけに。
「あら、精神世界を通じて世界を視れば。大概は理解できるわよ♡」
「ルナさんだってそうでしょ?」
あたしとユニットの言葉に。
「う…ま…まぁ……(汗)」
その言葉に真っ青になっているリナ。
「…リナさんのお姉さんって、そんなことまで出来るんですか?」
そんなあたし達の会話をききつつ、目を丸くして瞳をきらきらとさせる【アメリア】。
「聞かないでぇぇぇぇ!!」
涙を流して懇願するリナ。
くすっ。
ま、こっちのアメリアはまだルナに出会ったことないし…ね♡
あまりのリナの反応ぶりに、ひとまずこの話はここで打ち切りとなってたりするけど。
ほんと、楽しいったら♡

「それはそうと。ユニット?いつまで、それ着てるの?」
ユニットの服装を指差しつつ問いかける。
ユニットは未だにドレスを着ていたりするのよねぇ。
ちなみにサイズはきちんと今の姿用にと変えて。
「あら、しばらくはいいじゃない♡」
そんなあたしに対してにっこりといってくるユニット。
「いいなぁ…ウェディングドレス……」
わきあいあいとした会話をしつつ。
とりあえず。
目指すは、一路サイラーグ。
金貨は手に入ったけど。
お金はゼロスに当然支払わせないとね♡

さってと。
そろそろ、シードラゴンが暴れだすころだし。
まだまだ楽しめそうよね♡


                  -続くー

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あとがき:
薫:・・・完全無欠のオリジナルぅ・・(爆!)
  になってしまいました・・菫ちゃん花嫁!(まて!)
  さて・・・。次は、芝居を打ち込むか。
  はたまた、この違うバージョンを打ち込むか・・・(まてまて!)
  それでは、次回。リナが極悪人?ファイトだ、ラスバーグ(爆!)
  をお送りしますvそれではvv
 (エル様達がこないうちに・・退散っ・・と・・汗)

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