まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

とりあえず!バージョン違い!
ゼルサイド:☆ゼロスサイド☆:宇宙の姫サイド金色の王サイド
上記のお好きなところに飛んでください(まて!)

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こんにちわ。
ついに、最後のバージョンですv
というわけで。今回は、ゼロス!
やはり、エル様一人称!(爆!)
まあ、ゼロスには、諦めてもらいましょうvv

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スレイヤーズフォーエバー 第15話 ~偽装結婚、in獣神官ゼロス~

「極悪人リナ=インバース!今日こそ貴様の最後だ。このコンドル三勇者がその首もらった!」
いつものように、街道を進んでいるあたし達に対してまたまたやってくる賞金稼ぎ。
「まってください!私達は正義の味方です!悪人なんかじゃありません!!」
おもいっきり突っ込む場所が違ってはいるけど。
【アメリア】がその言葉に対し、うるうると瞳をさせつつやってきた男三人にと言い募る。
『・・・・・・・・・・・・・・』
しばしそんな彼女をみて硬直している男たち。
何と反応していいものか戸惑っているようだけど。
と。
「お待ちなさい!正義の何たるかを間違えてしまった愚か者よ!今こそ正義の理を知りなさい!」
いつものようにと、木の枝にと登ったアメリアがそう浪々と男たちに対して言い放ち。
「とぅ!」
そのまま木の上から掛け声とともに飛び降りる。
ひゅうううう……
ごげっ!
だがしかし、いつものお約束どおりにそのまま地面にのめりこんでいたりする。
しばし、そんな二人のアメリアたちの様子に目を丸くするものの。
気を取り直し、そんなアメリア達を完全に無視して。
「いくぞ!ジェットヴェーブ!」
その手に風をまとわりつかせ、あたし達に仕掛けようと手をぐるぐると回している男たち。
ちなみに人数はたったの四人。
おもいっきり形にもなってない攻撃だし……
ひょい。
どめぎゃ!
あっさりとリナがその攻撃から身をかわすと、そのまま木にとぶつかってるし。
「お…おのれ!」
完全に逆恨みともいえる声を出し、他のメンバーがあたし達に向かって仕掛けてくる。
思いっきり顔に木の跡を残したまま、さらに立ち向かってくる彼等に対して。
「あ゛~……はいはい」
いいつつ、面倒くさそうに片手を突き出し
火炎球ファイアーボール!」
ゴゴゴゴォッ…
プスプスプス……
コテン。
見事なまでによけることすらせずに、そのままリナの放った術により焦げている人間が三人。
そんな彼らを眺めつつ、
「感謝しなさいよね。手加減してなかったら今ごろあの世逝きよ」
きっぱりと言い切っているリナ。
「とても手加減しているようには見えませんけど……」
そんなリナの言葉にぽつりとシルフィールが突っ込みをいれてるし。
「何かいった?」
そんなシルフィールをぎろりとにらんでいるリナ。
さすがに続いているがゆえに、多少いらだっているみたいなのよねぇ。
リナってば♡
一方で、
「大丈夫か?」
ズボッ!
完全に顔が地面にのめりこんでいるアメリアを引っ張り出しているゼルに。
「う~ん、結構いけますね♡」
にこにこと、こげている人間達の負の感情を喰べているゼロス。
そんな彼らをちらりとみつつも。
「まったく…早いとこサイラーグにいって手配を解かないと。洒落になんないわね」
ため息とともにそんなことをいっているリナ。
くすっ♡
「まあまあ♡いいじゃない。のんびりといきましょ♡」
にこやかに微笑みつついうあたしの言葉に。
「でも何だってあたしばっかりが狙われるのよ…エルだって、あたしと同じ容姿なのに…」
じと目であたしをみつつ、何やらぼやいているリナ。
そんなリナの言葉に驚愕しつつ。
「ええ!?リナさんまったく違いますよ!?女の子の部分が」
きっぱりと言い切っているこちらの世界の【アメリア】。
「アメリアァァ!あんた死にたいわけぇぇぇ!!?」
そんな彼女におもいっきり詰め寄っているリナ。
「ああ!すいません!」
そんなリナにと謝り倒している【アメリア】の姿があったりするけど。
何ともほほえましい♡
そんなほのぼのとした会話をしていると。
がさ。
茂みが揺れる音がして。
「あ…あの。先ほどから茂みの木の陰に隠れて見ていたのですが。その力を見込んで、お願いがあります!」
声とともに、木の枝で体を支えている男性が現れる。
髪の色は茶色。
俗にいう世間知らず。
と一目みただけで丸判りの少し頼り気なそうな男性。
いうなり、リナのマントの裾をつかんで懇願モードに入っていたりする。
「い…いゃぁぁぁ!!」
ズザザザザ!
男がマントの裾をつかんだとたん叫んで後ろに退くリナに。
「私。その人、嫌いですっ!」
どげっ!
こちらの世界の【アメリア】が、珍しくも彼を足蹴りにする。
一方で。
「うう…ゼルガディスさぁぁぁん…」
そしてまた、嫌悪感を感じて、ゼルにすがって男性から隠れているアメリアの姿。
「どうした?アメリア?」
そんなアメリアの様子をみて首をかしげながら聞いているゼル。
「あら?ゼルガディスさん。顔が紅いわよ♡」
そんなゼルをにこやかにからかっているユニット。
「ほっとけ!」
そんなユニットの言葉に突っ込みをいれつつも、顔を少し赤く染めつつ、
自分にすがり震えているアメリアをなだめているゼル。
そしてまた。
「な…何ですの?この悪寒は……」
いいつつも、男性をみつつ全身に鳥肌を立てているシルフィール。
「おやおや。何もそこまでこの人間を嫌わなくても。
  別にトロルとかでも。オーガでも、ゾンビでもないでしょうに♡」
どうしてそのような態度をリナ達がとっているのか判っているけども、それは口には出さずに。
あえてリナ達から発生されている負の感情を、ついでとばかりに食べているゼロス。
にこやかに、負の感情を食べつつもそんなことをいってるし。
「うう…そんなに嫌わなくても……」
そんなリナ達の態度にいじけつつも、その男性が言いかけると。
『いやぁぁ!こないで(ください)っ!』
見事なまでに、二人のアメリアと、リナとシルフィールの四人の声が一致する。
「おおい。リナが怖がっているから。その何かあんたにかかってる魔法を解いてくれないか?」
そんなリナ達の様子をみつつも、さらっと目の前の男性にのほほんと言っているガウリイ。
まあ、ガウリイなら気づいて当たり前だけどねぇ。
さらっといってるし♡
「……へ?」
その言葉に、思わず目を点にしているその男性。
自分自身に術がかけられていたことにすらまったく気づいてなかったようなのよね。
この人間って……
普通判るでしょうにねぇ♡
「ガウリイ?」
そんなガウリイを怪訝そうに見るものの、ガウリイの言葉に改めて男性を見直すリナ。
そこでようやく、目の前の男性にとある術がかかっているのに気づいてるし。
こ…この術は…
だけど…近寄りたくないっ!
そんなことを思いつつ。
「ちょっと!ゼル一号!あんたが術を解くのをやんなさいっ!」
男性から遠巻きになりつつも、リナがゼルにと言い放つ。
「俺がか!?」
「ゼルガディスさぁぁぁん……」
リナの言葉に抗議しようとするが、自分の後ろで震えているアメリアのため。
というのもあり。
ため息を一つつき。
「まったく……。『光と地と風の力よ、魔の力を今こそ打ち破らん。崩魔陣フロウ・ブレイク』」
しゅうう……
ゼルの言葉と同時に、男性の体から黒い霧が抜け出てゆく。
「へ?……あれ?」
何か黒い霧が自分の体から抜け出るのを見てきょとんとしている男性に。
「ふぅ。あんたには異性を近づけなくさせる性質の悪い魔法がかかってたのよ」
いいつつ、ほっとしながらこちらへと戻ってくるリナ達の姿。
どうでもいいけど、この程度の術で悪寒を感じてどうするのよ♡
ふふ♡
そんなリナの言葉をうけ。
「そ…そんな。そんな魔法が僕に……」
驚愕しつつも脱力し、がくりと膝をついているその男性。
そんな彼を気の毒に思いつつも、生来のお節介の虫が騒ぎ。
「どうやら。あなたは何かやっかいなことに巻き込まれているようですね。
  話してはくれませんか?この私達正義の使者が!あなたの悩みを解決してあげましょぅ!」
隠れていたゼルの後ろから前に出て、浪々と公言しているアメリア。
「こら!アメリア!勝手に決めるなっ!」
そんなアメリアに、思わず止めを入れているゼル。
「厄介というか。ハラスの家であるライズ家が。ちょっとした女魔道士に乗っ取られそうになってるだけよ♡」
にこやかに説明するあたしの言葉に。
「…ちょっとまて。何でそんなことが分かる?(汗)というかまた心を読んだのか?」
などといいつつも汗をかき突っ込みをいれてくるゼル。
「あれ?僕名乗りましたっけ?」
そんなあたしの言葉に、キョトンとしているハラス。
「まあ。この辺りでは有名なことでしょうし♡」
そんなハラスやゼルににこやかに言っているユニット。
まあ嘘ではないし♡
「女魔道士って…一体?」
そんなあたしたちの言葉に首をかしげつつ、問いかけているシルフィール。
あたしが心を読んだりすることはすでに慣れているのでもうあまり驚いてないようだけど。
くすっ♡
「とりあえず、彼に説明してもらいましょ♡」
にこやかに言うあたしの言葉をうけ、ひとまず彼から説明を聞くことに。

パチパチパチ……
焚き火を取り囲みとりあえず簡単な自己紹介をして、ハラスから話しを聞くことにしたあたし達。
「僕はこの辺りでは一番のお金持ちである、ライズ家の一人息子のハラス=ライズといいます。
  実は先日、僕の家にキャリーという女魔道士がやってきて……
  僕や父たちを魔法で脅し、自分の娘と結婚しろっていうんです。そして家に居座り……」
ほとんど涙目になりつつ説明するハラスの言葉に。
「ええええ!?あのキャリーですか!?」
こちらの世界のアメリアが驚愕の声を上げてるけど。
「知っているのか?」
そんな【アメリア】に驚愕しつつ問いかけるゼルの言葉に対し。
「知ってるも何も。有名です。女魔道士キャリー。
  次々と自分の娘をお金持ちと結婚させ。そして、その財産を根こそぎ奪う。
  怖いことに、キャリーの娘と結婚した男性たちは。数年のうちに謎の死を遂げているんです。
  それほど悪名名高い魔道士です!」
力いっぱい力説している【アメリア】。
「そんな悪人は放ってはおけません!今こそ、正義の鉄槌を正義の使者の私達の手でっ!」
そんなもう一人の自分の自分の言葉に拳を握り締めて同じく力説しているアメリア。
そんなアメリア達の声に戸惑いつつも、
「え…えぇと……ともかく、結婚を迫るキャリー親子に対して、僕は断り続けたのですが。
  先日、彼女たちはあまりに僕が断リ続けるのをうけて条件を出してきたんです。
  一週間以内に娘以外の女性と結婚したら諦めてでてゆく。もし出来ない場合は、娘と結婚してもらう……と」
はらはらと汗を流しつつ説明してくるハラス。
「なるほど。だからあんな魔法をかけられていたのですね♡」
そんなハラスににこやかに、にこにこしながらさらりといっているゼロス。
「それは……一週間でいきなり結婚…って、普通かなり無理なのでは……」
ハラスの説明に突っ込みを入れているシルフィール。
「ええ。たしかに無謀です。ですけど…それしか方法がなくて……
  そんな魔法がかかっているとは僕は知らずに…僕は……
  これまで町を散々歩き回って。結婚してくれる人を探しに捜して……」
シルフィールの言葉にほとんど涙交じりになりながら説明しつつも、そこまでいって言葉を切り。
「でも、いいんです。ついに見つけたんです。僕と結婚してくれる人を!」
いいつつ。
いきなり、リナの目の前にいき。
「リナさん!僕と結婚してください!!」
「何ぃぃぃ!!!!!!?」
どごめしっ!

ガウリイの叫びと、リナのハラスに対する顔面ヒットの攻撃が一致する。
「何、馬鹿なことをいってるのよっ!」
拳でハラスを殴りつつも、叫んでいるリナに。
「駄目だっ!絶対に駄目だっ!」
横からリナをがしっと抱きしめるようにといっているガウリイ。
「あんたはあんたで何をしてくるのよぉ!」
スッパァァン!
そんなガウリイに対し、すばやく懐かり取り出したリナのスリッパ攻撃が炸裂する。
「第一、あたしはまだ十五よ!結婚なんてできるわけがないじゃないのよっ!」
スリッパを片手にもちつつリナが叫ぶと、
「いえ。結婚といっても、『振り』です。用は、キャリー親子が諦めて家から出て行ってくれればいいんです」
そんなリナに叩かれた頭を抱えつつも説明しているハラス。
そのハラスの言葉に。
「やりましょう!リナさんっ!正義のためです!」
「じゃ。あんたやれば?」
目をキラキラと輝かせてきっぱりいってくるこちらの世界のアメリアにとじと目でいっているリナ。
一方では、
「ぜったぃぃぃぃぃに、駄目だぁ!」
などと叫びつつ、ガウリイの目が完全に据わり思いっきりあたりに殺気が溢れるていたりする。
面白いことにリナはまったく気づいてないけど♡
「第一、いくら『振り』だといっても。花の乙女がそう簡単に結婚式なんて挙げられるわけないじゃないのよ。
  乙女の憧れなのよ?結婚式っていうのは。」
将来の自分を思い、ドレスに身を包んだ自分を連想して言っているリナ。
「もちろん、ただとはいいません。金貨、千枚で」
にこやかに言うハラスの言葉にリナがぴくりと反応する。
「では、二千枚」
「でもね……」
リナの心が手にとるように揺れ動いてるのがわかるけど。
せめて億単位以上はいいなさいよね。
このハラスも……
「では。思い切って、五千枚では?」
にっこりというハラスの言葉をうけ。
「しょうがないわねぇ」
リナの頭の中は完全に金貨で占められてゆく。
「……交渉上手なことで……」
そんな二人のやり取りをみつつ、ぽそりとゼロスがつぶやいてるけど。
「駄目だったら駄目だぁぁぁ!いくら、振りとはいえ、ぜったぃぃぃぃぃに、駄目だ!
  リナのドレス姿なんてみたら、こいつは本気になるに決まってるっ!」
面白いまでに本気で叫んで反対しているガウリイ。
見てて楽しいったら♡
そんなガウリイに対して首をかしげつつ、
「?変なガウリイ?偽装結婚よ。偽装」
きょとんとしていっているリナ。
まったくもって、どうしてガウリイが叫んでいるのか理解してないし。
叫びつつもぎろりとハラスを殺気を思いっきり含んだ視線で睨み、
「何でリナなんだっ!」
周囲の空気が凍るのではないか?
とゼル達が思うほどに殺気を含んでいうガウリイの言葉に。
「い、いえ。どうやら、こちらの人達は巫女さんのようですし。かといって、こちらの女の子は年齢が下すぎですし。
  残るは、エルさんとリナさんですけど。何となく……」
ガウリイの殺気をうけて冷や汗をかきつつも、ぽっと顔を赤らめていっているハラス。
「絶対に駄目だ!」
そんなハラスにきっぱりと言い切るガウリイに。
「で…でも、魔道士でないとキャリーの術に対抗することができませんし」
何か殺されそうな勢いだけど…だけどリナさんなら対抗できるだろうし。
それに……やっぱりかわいい子のほうが♡
などと思いつつも答えているハラス。
リナがこの場にいなかったら本気でガウリイに殺されてる。
ということには気づいてないけどねぇ。
ふふ♡
しっかりとリナを後ろから抱きしめて反対しているガウリイに。
いきなりガウリイに強く抱きしめられて、真っ赤になっているリナの姿が見て取れたりするけど。
見てて楽しいったら♡
本当に♡
「そうですよ。ガウリイさん、ここは、正義のためです!」
きっぱりとハラスの意見に賛同して、言い切る【アメリア】に対し。
「そいつの術に対抗するだけなら、いい適任者がいるだろうがっ!」
いいつつ、ぴしっと指差すガウリイ。
ガウリイが指差したのはとある方向。
ピシッ。
ガウリイに指差されて完全に固まってるし。
あら♡
ソレも楽しそうね♡

しばらくの沈黙の後。
「……うん?」
「それもそうですわね」
「あ、その方がいいですね」
このままだったら。
まず、ガウリイに殺されかねないな……
思いっきり、リナに気付かれないようにと。
全員に殺気を飛ばしているガウリイに対して冷や汗をかきつつ、ゼルがつぶやき。
ガウリイが指差した方向をみて、さらっと納得しているアメリアとシルフィール。
しかし、一方で。
「でも、男性なんじゃないですか?」
指を突きつけられた人物のほうをみて首をかしげていっている【アメリア】。
「もちろん♡やってくれるよな?ゼロス」
しばし。
ガウリイに指を突きつけられて硬直していたゼロスは。
ガウリイの言葉にはっと我にと戻り、
「ええええええええっ!?どうして僕がやらないといけないんですかぁぁぁぁ!!!」
狼狽しつつ絶叫を上げてゆく。
「おまえが一番適任なんだよ。リナを花嫁にするなんてはもってのほか!
  それに。何しろ、お前には生半可な術は通じないだろ?
  それに♡断ったら、エルの正体。全員にいうけどいいか?」
にぃぃぃぃこり。
にこやかに微笑みつつゼロスに語りかけるガウリイの言葉に、
「でぇぇぇっ!ガウリイさん!僕を脅す気ですか!?」
その言葉に、完全に真っ白になっているゼロス。
「あら♡あたしとしては遊べなくなるから、それはあまり面白くないけど♡」
くすくす微笑みつつガウリイに話しかけるそんなあたしの言葉に。
「そんなことより、リナを魔の手から守るほうが。先決だからな」
きっぱりと言い切っているガウリイ。
くくくっ。
ほんと。
この人間は楽しませてくれるわよねぇ♡
「このあたしまで脅す気?……ふふ。気に入ったわ。ゼロス。あんたやんなさい♡」
「そうね。それがいいでしょうね♡」
にっこりというあたしとユニットの言葉に。
「ええええええええええええええええっ!!!!」
しばしゼロスの悲鳴がこだましてゆく。
驚愕しているゼロスはひとまずほうっておくとして。
「あ…あの?リナさんの正体って?一体………」
何か嫌な予感がしますけど。
などと思いつつ、今のガウリイの言葉をうけてユニットに恐る恐る質問しているシルフィール。
そんなシルフィールといわず全員に対してにっこりと、
『それは、秘密です♡』
指を口にあてたあたしとユニットの声が重なる。
今ここで正体ばらしたら楽しめないしね♡
ふふ♡
そんなあたしたちの会話をききつつ。
「あ…あの?でも、どう見てもそちらのかたは……」
男性なのですけど。
といいかけるハラスだけど。
なぜかしくしくと泣きつつ姿を女性にと変えるゼロスの姿を目の当たりにし、
「え…ええええええぇぇぇぇ!?」
なぜか、ハラスの叫びがこだましてゆく。


「ほほ。お母様、ハラスのやつ戻ってくるかしら?」
チン!
澄んだガラスの重なる音が響き渡る。
互いにグラスを片手にし、ライズ屋敷にて会話をしている二人の人間。
「ほほ。当たり前でしょう。財産を捨ててまで、逃げ出すわけがないじゃないのよ」
いいつつ。
手にもっている扇で、ぱたぱたと扇いでいる『母』と呼ばれたその人物は、
髪を首の中心辺りで切りそろえ。
額にはサークレットをし、三つに連なったイヤリングをしている。
彼女が魔道士キャリーと呼ばれている人間。
そして傍らにいる目つきがきつい女性が、その十一番目の娘のポーラ。
面白い性格してるからねぇ。
この母娘♡
「ふふ。これで、このライズ家の財産も私達のもの」
「前途を祝って……乾杯!」
何やら好き勝手なことをいいつつも、またまたグラスを重ねてるし。
二つのグラスの中身のワインが揺れると同時。
と。
ガチャ。
「只今ぁ」
元気よく声がして二人がいる部屋の扉が開く。
「あら、お帰り。早かったわね」
「それで?結婚相手は見つかったのかしら?」
扉から入ってきた人物に向かって勝利を確信しつつ顔を見合わせて交互に問いかける二人の言葉に、
にっこりと入ってきた人物…いうまでもなくハラスは笑い。
「さ、どうぞ」
言って、扉の後ろ…即ち自分の後ろを振り向くハラス。

コツン。
黒いハイヒールに、黒いドレス。
そして黒いヴェールで顔を覆い、おかっぱの紫色の髪をしている女性。
「紹介します。僕の婚約者のゼリスさんです」
ハラスが扉の後ろから入ってくる人影を指差して、キャリー親子に言い放つ。
ハラスの声をうけて。
「始めまして」
女性の声色で二人に話しかけているゼロス。
そんなゼロスの様子をみつつ、
「結構、ゼロスさんって乗りますよね」
「まあ、ゼロスだからな……」
ぼそぼそと話しているアメリアとゼル。
アメリアとゼルの会話にはまったく気づかずに、そんなハラスとゼロスを交互にみつつ。
ハラスにかけていた呪文が解けてる?
まさか……この小娘……
などと内心思いつつも、
「始めまして」
キャリーは表面上、にこやかにとゼロスに近づいてゆく。
そしてゼロスの精神を操ろうとするが。
バチ!
当然のことながら、キャリーの魔法ははじかれる。
まあこの人間程度の力じゃあゼロスどころか誰にも術なんてかけられないけど。
よっぽど鈍い人とかならともかくとして♡
な…魔法が通じない!?
ゼロスに自分の魔法が通じないのでかなり驚いているキャリー。
そんなキャリーの驚きを知る由もなく、
「それで?その後ろの人達は?」
キャリーの娘でもあるポーラが後ろにいるあたし達にと聞いてくる。
「私はハラスさんにたのまれました。結婚式の進行係の一人です♡」
そんなポーラに、にっこりといっているユニットに。
「私たちは、彼女にお仕えしているメイドの仲良し姉妹です!」
いいつつ。
女装させているゼルを含めて、ポーズをとっている二人のアメリアとゼル。
「あたしは、今回の結婚式の進行役をすることになってるエルスィよ。
  でもって、こっちが、リリィ。そして巫女のシルフィー」
とりあえず打ち合わせどおりにキャリーたちとにと説明しておく。
巫女の服装にと身を包んでいるあたしとリナ。
ちなみにリナの髪型も、いつものもの髪型とは変えている。
あたしに続き、
「執事のガガーリンですじゃ……」
よぼよぼと年寄りらしく、わざとらしくいっているガウリイ。
付け髭をつけて執事の格好をしていたりするけども。
ちなみに、ゼロスの設定はとあるどこかのお嬢様♡
「式は明朝、この屋敷で執り行う!君たちは約束どおり出て行ってくれ!」
二人に対して多少尻ごみしつつも、言い放っているハラス。
気弱に対応したら、それこそ相手の思う壺だというのに。
ほんと、この人間ってば面白いわよね♡
そんなハラスの様子をみつつ、絶対に何か裏があるはず…
そう確信しつつも、
「分かったわ。それでは私達はでてゆきます。ご機嫌よう」
「ちょっ!?お母様!?」
驚く娘をそのままに、扉からでてゆくキャリー。
そんなキャリーをあわてて追いかけてゆくポーラの姿。
二人が扉から出てゆくのを見届け、近くにいなくなったのを確認し。
「やりましたね!全然怪しまれてませんよ!ね!リナさんっ!」
目をきらきらとさせて言っている【アメリア】に。
「何で、ガウリイが執事で俺が女装なんだ!?」
執事の格好をしているガウリイに言い募っているゼル。
「まあまあ。ゼルガディスさんじゃなかった、ルル姉さん。折角の美人が怒ったら台無しですよ?」
「誰がルルだぁ!」
そんなゼルをからかって遊んでいるアメリア。
「ま。わざわざあたしがやる必要もなかったようね♡ってことで、ゼロス。
  無事に金貨五千枚をゲットするために頑張ってね♡」
一方でにこやかにゼロスにと話しかけているリナ。
「そもそも、何で僕ばかりがこんな目にあわないといけないんですか!?
  それに、そもそもこの旅の資金も全部僕持ちじゃないですかぁっ!」
そんなリナの言葉をうけ、なぜか叫んでいるゼロス。
「あら?ゼロスさん。まさか私達にだせ♡なんてことを言われるつもりじゃないでしょうね♡」
そんなゼロスに、にこやかに微笑むユニットの言葉に。
「う……」
そういう意味でいったのでは……
などと思いつつも、言葉を詰まらせているゼロス。
「ともかく。明日は結婚式。偽装とはいえ、されど結婚式。明日がたのしみですわ♡」
そんなゼロスの言葉は何のその。
多少楽しみつつも、にこやかにいっているシルフィール。
最近、シルフィールもゼロスをからかうのが楽しみになってきてるみたいなのよねぇ。
以前はあれだけ怯えてたのに。
いい傾向よね♡
ふふ♡
「シルフィールさんまでぇ…(涙)」
そんなあたしたちの会話に、なぜかいじけているゼロス。
いい加減に慣れなさいよね♡
ゼロス♡


「お母様?どう?」
様子を確認がてら、あたし達のいる部屋の扉の入り口にレグレス盤をおき、
部屋の内部を確認し様子を伺っていたキャリー。
レグレス盤から聞こえてくる会話をききつつ、
「これは……面白いことになりそうよ」
にやっと笑いつつも娘に言っているキャリーの姿。
リナ、ガウリイ、そしてゼルガディス。
間違いないわ……ふふ彼らは賞金首。
あの賞金ははこの私が貰ったわ!
そんなことを思いつつも、だがそれは言葉にはせず。
ポーラにと向かい。
「ふふ。何も心配することはなくてよポーラ。明日の結婚式が楽しみねぇ」
くすりと笑みを浮かべて娘にといっているキャリーの姿が、
ライズ邸の一階にある一室において見受けられてゆく。

ライズ邸にと一晩とまり。
次の日は待ちにとまった結婚式♡

「こうなったら、もうやけです!」
いいつつ。
ふわりと、錫杖を振りかざし服装を変えているゼロス。
どうでもいいけど錫杖を振りかざさなくてもできるでしょうに。
服そのものも具現化してるものなんだし。
ゼロスの胸が自分よりも大きい。
という理由で。
昨夜リナにゼロスは呪文の実験台にされていたりもしたけれど。
まあゼロスの服なんかも、いってみればゼロスの一部だし。
もともと、ゼロス達魔族って精神生命体だしねぇ。
まあ、あたしがそういう風に創ったんだけど♡
ちなみに。
人間などといった、生きとし生けるもの達全てにおいて精神体というべき魂はある。
簡単にいえば、一種の幽霊みたいなものなのよね♡
魔族とかっていうのは♡
ちょぉぉと少し違うけど♡
ゼロスの姿がほのかに揺らめき、そして次の瞬間。
そこにいるのは、黒いブーケを手に持ち、真っ黒いドレスに身を包んでいるゼロスの姿。
わざわざブーケまで創らなくてもいいでしょうに♡
魔血玉デモンブラッドのタリスマンが、黒いドレスにはっきりいって似合ってないけれど。
肩や胸幅を大きく開けた形の服にして、花の形のレースでその境目を包み込んでいたりする。
「こうなったらもう割り切って結婚式を楽しみますよ……」
なぜかあきらめモードになりつつも、ぼやくようにいっているゼロスだし。
「さすがゼロスさん!似合ってますよ!」
「ほんと。ゼロスさん。この際。真人間になってこのままハラスさんと結婚しませんか?」
そんなゼロスに交互に言っているアメリアとシルフィール。
完全に楽しんでるし♪
ま、いいけどね♡

あたし達がそんな会話をしている同時刻。
「ずいぶんと豪勢だなぁ。何かあるのか?」
ハラス屋敷の裏道にて集まっているごろつきたちにと話しかけているザングルス。
昨日、リナが黒こげにした人物から、あたし達がこの町の方に来たと情報を得て、
町の中を探していたりしていたんだけども。
「賞金首さ」
そんなザングルスの問いに、さらりと答える一人の言葉に、
「何!?賞金首だと!?それで名前は!?」
そのごろつきの胸元を掴んで叫んでいるザングルス。
そんなザングルスの剣幕におされ。
「例のリナ=インバースとガウリイ=ガブリエフ。それに、ゼルガディス=グレイワーズさ。
  へへ。賞金首は俺達が貰った」
あっさりと多少尻ごみしつつも、白状しているキャリーが集めたごろつきたち。
普通、こういう場合は秘密にしておく。
というのが通常なのにね♡
ふふ♡
第三者に手柄を横取りされる可能性が高くなるから。
それすらもこの人間達はわかってないし。
なってないわよねぇ。
ほんと♡
ごろつきの一人の襟首を捕まえつつも、ふと気配を感じて空を見上げるザングルス。
上空には、相変わらず無表情で浮いている額に紅いルビーをつけているヴルムグンの姿が。
まったく…もうすこしましにコピーくらい造りなさいよねぇ……
「来たな、不死身やろう。」
そんなヴルムグンの姿を認め、つぶやくようにいっているザングルス。
こいつもこいつで、未だにあれがコピー、ということに気づいてないのよね……
情けない……
ともあれ、メンバーもそろったことだし。
楽しくなりそうね♡

カチャリ。
「おおおお!!!」
扉を開けると同時に、その姿をみてハラスが目を見開く。
ハラスが目を見開く。
「ゼロスさん、いっそのこと、魔族なんかやめて。人間の女性になりませんか?」
「やっぱり。ゼロスさんも女装似合いますよね」
出てきたゼロスに向かって説得にかかっているこちらの世界の【アメリア】に。
ゼロスの端麗さをほめているアメリア。
ハラスはちなみに、【アメリア】の言葉はゼロスに見とれて耳に入っておらず、
「ゼロスさん!本気で僕と結婚してください!」
などとゼロスに向かっていっていたりする。
どごっ!
そんなハラスに躊躇なく錫杖でその頭を殴っているゼロスだし。
頭を押さえ、かがみこむハラスにはきにも止めず。
「エル様の命令だからやるだけですからね?」
こめかみをひくひくさせつつ、黒いヴェディングドレスに全身を纏ったゼロスが
いつものように目を細めたまま引きつった笑顔で言ってるけど。
そんな彼らのやり取りとは関係なく、じと目でゼロスを睨みつつ、
「あたしよりも……大きいんでやんの…くそぉっ!ゼロスのくせに生意気よっ!」
などと、ゼロスの胸をみて未だに叫んでいるリナの姿が。
そんなリナに、にっこりと。
「リナ♡大きくする方法ならあるぞ?」
にこやかにいいつつ、ちゃっかりてリナの肩に手をおいていっているガウリイ。
「え!?本当!?」
そんなガウリイの言葉にリナの目が輝く。
「おう!リナがいいんだったら、毎晩のようにもんで刺激をあたえて……」
どごめっ!
「デリカシーのないことをいうなぁ!」
さらっと言いかけたガウリイの言葉をさえぎり、リナが叫び。
叫びと同時に放った、リナの拳による顔面ストライクがガウリイの顔面をクリティカルヒットする。
乙女の胸に触れるなんて言語道断!
こ…恋人でもないくせにぃっ!
からかうにもほどがある。うん。
そんなことを内心おもいつつ、リナは一人納得しながら息をぜいぜいとさせてるけど。
本気でいっているということにまったく気付いてないリナだし。
見ていて飽きないわよねぇ。
くすっ♡
「ともかく!金貨五千枚のために!頑張るのよ、ゼロス!」
リナの顔面攻撃をうけてうずくまっているガウリイを完全に無視し、
ゼロスにと話しかけるリナの言葉に。
「リナさぁぁん……僕の立場というものは……」
情けない声を出しているゼロス。
「んなものはない!あんたには人権なんかないからいいのよ!」
そんなゼロスに対してきっぱりと言い切っているリナ。
そんなリナの言葉をうけ、
しくしくしく……
エル様と同じ姿だと思うと……逆らえませんし……しくしくしく……
なぜかそんなことを思っていじけているゼロスだし。
まったく。
どういう意味かしらねぇ♡
ふふ♡
リナとゼロスのやり取りをききつつも、復活したガウリイが起き上がり、
「じゃ、ゼロス。しっかりな♡」
にこやかにゼロスに対していっているガウリイ。
そして、ぽんとゼロスの肩に手を置くと同時に、ゼロスにのみ聞こえるように。
『もし、リナが楽しみにしている依頼料が貰えなくなったりしたら全員にエル達の正体バラスからな♡』
などといっているガウリイだし。
そんなガウリイの台詞に、さらにいじけているゼロスの姿。
まったく。
そんな些細なことで怯えなくてもいいじゃない♡
バレてもしばらくはまた記憶消したりして遊ぶつもりだし♡
ふふ♡
「とりあえず。結婚式の会場にいきましょ♡」
あたしの言葉をうけ。
それぞれ、会場となっているハラス邸の横の教会にと出向いてゆくあたし達。
さってと。
少しばかり楽しみますか♡

「それでは、式を始めます」
進行役を勤めているあたしに注がれてくる驚嘆の視線。
「綺麗な人ねぇ」
「妹さんも負けてはいないわよ」
「あら。ハラスおぼっちゃんの、お相手もなかなか」
などと、招待客たちが小声で話していたりする。
「それでは、ハラス=ライズ。汝は、ゼリス=メタリオムを生涯の伴侶とすることを誓いますか?」
そんな声をききつつも、静かに目の前にいる二人にと問いかける。
そんなあたしの言葉に。
「誓います」
「では、ゼリス=メタリオムよ。汝は、傍らの異性に対して誓いますか?」
「う……」
そこで、なぜか言葉を途切れさせるゼロスだけど。
「ち…誓います……」
あたしの目が先を促しているのに気付いて、震えながらも言ってくるゼロス。
まあ、嘘とはいうなかれ。
あたしは、『ハラスを伴侶とすることを誓う』と制約させたわけじゃないし♡
ただ、『誓いますか?』といっただけだしね♡
「それでは、指輪の交換を」
あたしの言葉をうけ、ゼロスが自分で作り出した銀の指輪をハラスの手と自分の手にとはめてゆく。
ちなみに、これは多少、その持ち主の魂が発するの負の感情を吸い取る効果もあったりするけど。
どうも少しでも食事をしよう。
と思ってるらしいのよねぇ。
ゼロスは。
ま、別にいいけどね♡
「それでは誓いのキスを」
続いて言うあたしの言葉に、
「ええええええ!!!!!?」
驚きに目を見開いて叫んでいるゼロス。
「ゼロスさん。あとはこれだげてすから!」
いいつつも、ずいっとゼロスに迫っているハラス。
「お…おほほ……」
必死に、そんな迫ってくるハラスを押し止めているゼロス。
ちなみに、体力的には女性のそれと変わりなくしてみていたりするので、
ゼロスとハラスの力的にはハラスの方が今は勝っていたりする。
ちょっとぱかりゼロスの力をいじってるのよね♡
ふふ♡
そんな二人の様子をみつつも、ガタン、と席を立ち上がり。
「さあさあ、皆さん。照れている花嫁に新郎とのキスを見せてもらいましょぅ!」
この結婚式が『芝居』と確信しているキャリーが、客席からそんな二人を煽って言ってくる。
そんなキャリーの言葉をうけ。
『そうだ!そうだ!キィス!キィス!』
客席というか、招待客から巻き起こるキスコール。
『・・・・・・・・・・・・・・』
そんなキスコールの声と、ゼロスの様子をみつつも、思わず沈黙しているリナ達の姿。
沈黙、といっても声を殺して笑いをこらえているがゆえに沈黙しているだけなんだけど。
『プククククク!!!』
だが、それも一瞬のことで、次の瞬間には。
声を殺して笑い出しているリナ・ダブルアメリア・ゼル・シルフィールの姿が。
そして笑いをこらえつつ、
「あ…あたしやらないでよかった。キスをしろ。なんて洒落でも嫌だしね……」
やっぱりああいうことは好きな人とでないと。
などと思いつつも、今更ながらに反対してくれたガウリイにちょっとぱかり感謝しているリナ。
「これが済んだら、金貨五千枚ですよ。だから、ね?ね?」
そんなリナ達には目もくれず、ゼロスに言い寄っているハラス。
結構、女性形態のゼロスが人の目からすると美人なもので。
その目がかなり本気になっているようだし。
きちんとゼロスが魔族って理解してないのよねぇ。
未だに♡
そんなハラスの言葉をききつつ、
う……お金をもらえなかったらガウリイさんが……
かといって、何で僕が人間なんかとキスをしないといけないんですかぁ!?
などとそんこなとを思いつつも内心悲鳴を上げているゼロスだし。
そして、とりあえずの打開策として。
ちゅ。
ハラスの頬に軽くキスをする。
「それでは、キスになりませんことよ!」
そんなゼロスの行動に対して叫ぶキャリーに、さらに会場から巻き起こるキスコール。
「さあさあ」
「ささ♡」
わくわく♡
あたし達の目が、完全に楽しんでいるのに気付いてなぜか本気でいじけつつ、
「えええええええええい!もう、こうなったら、やけです!」
何やら叫んで、ぐいっとハラスを自分のほうにひっぱりよせ、
ちゅ。
『おおおおおおおおおお!!!!!』
ゼロスが率先してハラスの顔を掴んで唇に触れたのを確認し。
会場の中からざわめきが巻き起こる。

プ……
「あはははは!」
「ぜロ…ゼリスさん。ついにやりましたね!おめでとうございますっ!」
「ついに身を固める決心をしたんですね!」
口々に、そんなゼロスをからかっているリナとそして二人のアメリア。

「…ま、タダとはいいませんけど…ね」
ゼロスが唇を離し、小さくつぶやくと同時。
――ドサっ。
音とともに、ハラスがゼロスに寄りかかるようにその場に倒れ付す。
そして、小さく舌なめずりをして。
「ご馳走様でした♡」
などと小さくつぶやくようにといっているゼロス。
ハラスが内心抱いていた負の感情を全て喰らいつくしているゼロスだし。
ついでに、ちょっとばかり生気ももらっているようだけど。
バタンッ!
「俺と勝負だっ!ガウリイ!」
ハラスが倒れるのと同時に会場の中の扉が蹴破られ。
会場内にと入ってくるザングルスとその他の刺客達。
「…だれだっけ?」
そんな彼らをみてきょとんとするガウリイに。
「……あんた。もの覚えわるいわね……」
思わずじと目でそんなガウリイをみていっているリナ。
というか、ガウリイは興味がないことは覚えない。
というだけなんだけど。
「ふふふ…ついに見つけたぞっ!」
いいつつも、祭壇の上にだんっと飛び上がり、ガウリイを指差してくるザングルスの姿。
そしてまた、そんな祭壇の上。
つまりは天井付近にふわふわと漂うように浮かんでこちらを見下ろしつついってくるフードの男性。
その姿をみて。
「…また根暗魔道士がでてきたわよ……」
思わずため息をこぼしているリナ。
そんなリナのつぶやきは何のその。
「観念するのだな。私の受けている命令。それは、リナ=インバース。貴様たちをサイラーグにと届けること」
淡々と言い放つヴルムグンコピー。
せめて、表情とかくらい操りなさいってば…
技術がなってないわよね……本当……
そんな天井付近に浮かんでいるソレと、祭壇の上に未だに乗っているザングルスの言葉をうけ。
どよっ!
なぜか会場内が一気にざわめき立つ。
『リナ!?リナ=インバースって…あの!?』
盗賊殺しロバーズキラーのリナ!?』
『大魔王の食べ残しのリナ!?』
などと口々に招待客たちがさけんでるけど。
「こらまてぃ!」
そんな観客たちにすかさず、鋭く突っ込みを入れているリナの姿。
ほんと。
飽きないわよねぇ♡
そんな中。
「リナさぁん!金貨、確かに受け取りましたぁ!」
キスコールが巻き起こっている最中に命令……
……というか頼んで、先に依頼料を取りにといっていたこちらの世界のアメリアが声とともに戻ってくる。
戻ってきた【アメリア】の手には金貨の入っている麻袋が握られている。
そんな【アメリア】の声をうけ、
「よっしゃ!よくやった!アメリア!」
がっつポーズをしているリナ。
これで『依頼料がもらえない。』とでもなったら洒落になんないからねぇ。
などと、リナは自分で自分を納得させつつ、
「さぁてと!正体もばれちゃったことだし!ここはちゃっちゃっとやっつけて!先にいくわよ!」
『おう!』
『まかけせておいてください!』
高々と言い放つリナの言葉に、ガウリイと二人のアメリア。
そしてシルフィールの声がものの見事に一致する。
そしてまた、リナの声をうけ花嫁役をしていたゼロスもまた、
「では、とりあえずちゃっちゃと片付けますか♡」
にっこりと言い放っていたりするけど。
が。
スパパァン!
そんなゼロスに対し、思いっきりリナのはりせん攻撃がヒットする。
「何でリナさんっ!そんなものに魔力がかかっているんですかっ!?」
魔力のかかったハリセンで頭を叩かれたがゆえに、頭を抱えて抗議の声を出すゼロスに。
「そんなものは理屈じゃないのよ!それよりっ!あんた今の言い方だとっ!
  今、この会場にいる人達全員を始末する気だったでしょうがっ!」
片手にハリセンをもったままゼロスにむかって叫んでいるリナ。
あら。
大分ゼロスの性格わかってきてるわねぇ♡
ふふ♡
そんなリナの言葉にきょとんとし。
「そうですが?それが何か?」
あっさりと答えているゼロス。
「こ…このぼけぇ!あたし達を本物の手配人にするつもりかぁっ!」
「ゼロスさん。それでは正義がありません!やはり、ここは正義の説得にてこの彼らを改心させるべきです!」
リナの絶叫と続いて、アメリアが面白いことをいってるけど。
「……誰が説得なぞされるか」
今全員始末とかいってたのは…まあ冗談だろう。
そう自分の中で納得し、アメリアに対して淡々といっているヴルムグン。
当人は異なる場所でその台詞をきいて、額から汗を流して戸惑っていたりするけど。
だけど、あたしたちの目の前にいるコビーは無表情のまま。
そして。
「ともかく。胸のないほうのリナとあるほうのリナ=インバース。
  どちらがどちらとも分からない以上。二人とも、一緒に来てもらおう」
淡々とあたしとリナをみて言い放ってくるヴルムグンコピー。
その言葉に、ぷちりと切れているリナ。
くすっ。
「それ、禁句♡」
にこやかにいいつつ、くすくす笑っているユニットに。
「とりあえず皆♡避難の用意しましょ♡」
あたしの言葉に、こくこくとうなづくゼルやアメリア、そしてシルフィール。
「黄昏よりも暗きもの、血の流れよりも赤きもの、
  時の流れに埋れし、偉大なる汝の名において、我ここに闇に誓わん、我らが……」
今のヴルムグンの台詞でキレたリナは、竜破斬ドラグスレイブの詠唱を始めていたりするし♡
「ちょっとまちなさい!これは私の獲物よっ!…って、な!?それは!?」
いきなり乱入してきたザングルスたちに向かい、文句を言いかけたキャリーではあるが、
リナがぶつぶつと唱えている呪文の正体にと気づき驚愕の声を上げていたりする。
けどすでに時は遅し♡
「許さんっ!!!竜破斬ドラグスレイブっ!!」
ドッガァァァァァン!!!!!!!!!!
キャリーの悲鳴より先にリナの呪文が完成し、会場内部にと爆発音が響き渡る。
――キラン。
リナの放った術により、そのまま飛んでゆく数個の物体。
そしてそのまま。
術の反動で建物もまた崩れ落ちてゆく。

ガラガラガラ……
クレーターと化した町の外れの一角をそのまま後にして馬車を走らせる。
「ゼロスさん!花嫁姿、ぱっちり記憶球に記憶しました!
  これ、あとであちらの世界にもどったら狼群島に送っておきますね♡」
にこやかに、ゼロスにむかって言うアメリアの言葉に。
「やめてくださぃぃぃぃ!!!!」
本気で懇願しつつも、叫んでいるゼロス。
ちなみに、ゼルが馬車の手綱をにぎり操って移動しているんだけど。
馬車の中にといるのは、あたしとガウリイ。
そして二人のアメリアとシルフィール。
そしてゼロスとリナ。
ユニットはゼルと一緒に前のほうにのってるし。
馬車の中で、奪った…もとい、依頼料としてもらった金貨を取り出して、
「んっふふ。いちまぁぃ、にまぁぃ。んっふふ」
じゃららと音をたてつつも、金貨を数えているリナの姿もあったりする。
建物が崩れたのとほぼ同時。
リナが術を唱え始めたのを見てとり、すばやく逃げるためにと馬車を調達しに建物からでていたゼル。
すぐさまゼルが調達してきた馬車にと乗り込み、その場を後にしたあたし達。
ともあれ、壊れた建物などはそのままに。
あたし達は一路、目的地にとむけて進んでゆく。

一方。
ガララ……
ムク。
「覚えてろぉ!ガウリイ!決着は必ずつけてやるからなぁ!」
クレーターの中心の瓦礫の中から這い出てきつつ叫んでいる一人の男性。
そしてまた。
「ああ…僕の家がぁぁ!」
「まあ♡これで、キャリーに財産狙われることはなくなりましたね。あなた♡」
「そうだね。ハニー♡」
絶叫しているハラスの横で。
同じく、土から這い出てきた二人の男女が、手を取り合いつつ二人の世界にと浸っていたりする。
「父さん!母さん!そういうもんだいじゃないでしょうぅぅ!!!!?」
ちなみに彼らは一度もでてこなかったけど、ハラスの両親。
そんな両親に対するハラスの叫びが、しばらく静かな空にと響き渡ってゆく。

余談だけど。
今回のゼロスの花嫁の映像。
結構似合っていたこともあり売り出したところ、すぐに完売したのはまた別の話♡
こんど、部下達も花嫁姿をとらせてコンテストでも開いてみますか♡

その後。
なぜかしばらく、ハラスは女性恐怖症になったらしいけど。
まったく……あの程度で根性がないわよね♡

透き通る青空の下。
馬車は進むよ。どこまでもv
などと、かるく楽しみつつ。
さてさて。
まだまだしばらくはたのしませてもらうからねv
リナv


                        -続くー

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あとがき:
薫:・・・一番不幸なのは・・誰なんでしょうねぇ・・(爆!)
  ちなみに。ゼロス。この後。ガウリイがすっとぼけるので。的をゼロスに絞って。
  精神攻撃&ミルガズィアさんお勧め(汗)とある何かが入っている記憶球にて。
  しばらく。追求の手が入ったらしいです・・・
  ―ん?エルはエルだろ?―
  ガウリイはそれで、話をはぐらかしました(爆!)
  ちなみに。駄絵ですが。花嫁バージョンの男性陣v書いてみたりして(爆!)
  見てみたいかも?というご奇特な人は。こちらから。
  ではではvvさて・・・。
  次回からようやく話しが続いてゆく・・・・(爆!)


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