ミッションズ・オブ・リング   ~最後に出現するは…~


カラン。
こちらの存在がばれている。
ならば、隠れていても無駄なこと。
そんなことを思いつつ、岩陰よりゆっくりと出てくるそれらたち。
そんな彼らのうちの誰かはわからないが、一歩足を踏み出したときに蹴飛ばした小石が。
カラン、と音を奏でて、そのままころころと転がってゆく。
意味不明ともいえる、まやかしの攻撃。
こんな子供だましの手でわれらがどうとでもできるものか。
そんなことを思いつつ。
「よくもわれらの存在に気づいたな。しかし、まやかしの術でわれらがトラップを退けたのは。
  まあ、原始惑星の人間にしてはほめてやろう。だがしかし、すでにまやかしなどはわれには通用せん。
  まったく、あのまま、装置を破壊などせずにおれば。おとなしく力を抜かれ、痛い目にあわずにすんだものを…」
そういいつつも、ゆっくりと岩陰より歩み出て。
リナ達の方にと近づいてゆく数名以上の男たち。
そして、その中の半数以上がその懐から一斉に何やら取り出し。
そして、その手の平サイズの【何か】をそのまま、リナたちにむかってつきつける。
「…あんたたち、それ持ったままだと、死ぬわよ?」
それをみて、思わずため息とともにつぶやくルナ。
いまだに上空からは光の雨が降り注いでいる。
つまりは――
『ぐわっ!?』
【ソレ】を取り出したその直後。
雨に打たれ、手にしていた物体が光に触れると同時に、融解し。
そして、それらは一瞬のうちに、熱を放ち、瞬く間にと炎に包まれ燃え上がってゆく。
それはほんの一秒にも満たない一瞬のうちの出来事。
そして、それと同時にそれをもっていた手ごと炎に包まれ、瞬時に肘下からの両手が、炎とともに消滅してゆく。
「…人の意見は聞くものよ。というか、この『光の属性』の特質を見極めたら、一目瞭然なのに。そんなもの取り出すから…」
思わずこめかみを抑えつぶやくルナのそんな言葉に。
「?姉ちゃん?」
首をかしげ、問いかけているリナ。
「ああ、これ、今レナちゃんがつかったやつね。無機物を無と化す術なのよ。で、どうも今回のこの術の性質上は。
  有機物に触れてたら、炎を発して消滅…まあ、いわゆる核融合反応が起こるんだけど。
  それに、あいつらがもっている、【アレ】セラミチル、とかいう物質みたいだし。
   ちなみに発火温度は六千度。融解温度は五千度。…まあ、手だけですんだのが奇跡よねぇ~……」
などとリナにと説明しているルナ。
あまりの突然の出来事に、何が起こったのかはすぐには理解できずに。
そして、自分たちの肘下から下が消滅しているのに一時ほどして気づき。
次の瞬間、それらを手にしていた男たちがそのままショックで死亡してゆく。
その倒れた衝撃で、人体にと残っていた余熱が、そのまま彼らの肉体を燃焼し。
後かたもなく肉体そのものを灰と化してゆく。
「な゛!?貴様ら!?いったい全体何をした!?まやかしの術でわれらを攻撃するとは!?」
リーダー格であるらしい一人の男性…ラグールがそんな仲間の姿をみて何やらわめいていたりするが。
そんな彼らの様子をみつつも。
「…んっと。」
などといいつつ、そのまま、地面に軽くしゃがみこむレナ。
そして、しゃがみこみ、地面に軽く手をつける。
と。
その瞬間。
大地…つまり、リナたちが今たっている地面そのものが、レナの行動に反応してか。
光の雨に降り注がれ、銀色にと染まっていた地面が、まばゆいばかりにと輝き。
それと同時に。
ふぃっ。
あたりの空気、というか空間そのものの雰囲気ががわり、と変わる。
「…レナ?」
ゆっくりと地面から手を離して立ち上がる娘にと問いかけているリナ。
そんなリナの声ににっこりと微笑み。
「あのね。けっかいはったの。おかーちゃま。なにかこのひとたち、わけのわからないこといってるし。
  こういったわけのわからないひとには、てかげんしなくていいって。いつもおかーちゃまたちいってるし。
  だからね、レナ、ならったけっかいはってみたの!」
満面の笑みを浮かべて母にと説明しているレナ。
子供、というものは、自分が何かしたときには。
たいていは母親にとほめてもらいたいもの。
そして、それとは異なり。
『何だ!?これは!?』
先ほど、懐より、彼らいわく、『光線銃』を取り出していなかった、つまりは。
無事であった男たちが何やら回りの景色と雰囲気と光景ががらり、と変わったことに対して何やら叫んでいたりする。
「結界…って。」
何か、これって、姉ちゃんが教えたとかいうやつと何かちょっと違うんだけど?
そんなことをリナはふと思うが。
足にちょんとしがみつき、ほめてvといわんばかりににこにこと笑っているレナの姿をみれば。
そんな疑問はどこへやら。
「よくやったわ。レナ。いい子ねぇ。でも、何度もいうけど、レナは無理したらだめよ?
   怪我でもしたら大変だからね。いい子だから、そのあたりで遊んでてね。これらはあたしと姉ちゃんで始末つけるから。」
いいつつも、レナの頭をくしゃりとなでる。
そんなリナの行動にさらに笑みを浮かべて、きゃっきゃ、とはしゃいでいるレナ。
これでほめておかないと、この子、間違いなく泣き出すし。
絶対に。
そんなことを心の奥で確信し思いつつ。
しばしレナをほめているリナの姿が見うけられ。
そして。
「…こ…これって…」
あたりの雰囲気と気配に思わず顔色を変えているルナ。
ここは、精神世界の一部、というか、さらに少し異なる空間。
つまりは。
【とある場所】の入り口近く。
それがわかったからこそ、ルナは顔色を変えているのだが。
ルナの血の気が引いているのはまあ仕方がない、といえば仕方のないこと。
何しろ、ここは…
そして、そんな会話をしているリナたちとは別に。
「ラグール殿…何か…」
そのまま、ばたり、と倒れていっているリナ達を待ち構えていた男たち。
リナ達が無事な理由はいたって簡単。
リナとガウリイはすでにレナと共に暮らしているがゆえに、多少の免疫は、本人たちが気づかぬまままにとできている。
ルナは今は確かに人の肉体とはいえ、ここには幾度か来ているがゆえに。
レナにいたっては、何しろ【かの御方】が今彼女自身に半分ほど降臨している形であるがゆえに。
そして、当然のことごとくに、【免疫】すら持っているはずすらもない、リナ達を…つまりは指輪を狙っていた男たち。
普通、生身の人間が、この濃密な濃縮世界の精神世界、ともいえるこの場所に。
入り込めば、長くはいられない。
精神的な負担はともかく、肉体にとかかる負担はいかばかりか。
しかも、ここは普通の精神世界ではなく、【入り口】近く。
ゆえにこそ。
その威圧感ともいうべき気配はそこいらの空間よりも比較的に濃い。
多少免疫があるとはいえ、リナとガウリイが無事なのは。
先ほどのレナの術にて、かの御方の力を借りて、レナが無意識に二人に結界を張っているがゆえに他ならない。
「…リナ、ここでは魔法の威力、格段にと上がるから…とりあえず、とっととケリをつけるわよ。」
多少冷や汗を流しつつも、その手に剣を出現させて。
何やらリナにむかって話しかけているルナ。
なぜか声が震えているような気がする姉であるルナの声に思わず首をかしげるものの。
だがしかし、リナとていい加減にとっとと終わらせたい。
というのもまた事実。
「わかった。んじゃ、ガウリイ、レナ、見ててね。」
そういって、ガウリイにレナを任せ。
いまだに状況がまったく理解できていない、ラグール、と呼ばれていた男性たちにと向き直ってゆくリナとルナ。
彼らの敗因は、それすなわち。
この世界の仕組みと力それすらをも理解せずやってきた、ということと。、
そして…まず、リナ達に喧嘩を振りかけた、というのが、一番の原因であろう。



リナ達が、そんな亜空間、ともいえる空間にと移動したその直後。
「やれやれ、年寄りはおいていくかのぉ?普通?」
などといいつつ、通常空間、すなわちは、先ほどまでリナ達がいたいわばにと、一人、取り残されているマッケラン。
「やれやれ、よっこらせ。」
周りに誰もいないのを確認しつつも、何やら声をかけつつも歩き始めているこのマッケラン。
「やれやれ、この年寄りにもっていけ、ということかいのぉ。」
そういうマッケランの手に握られているのは、ガウリイが持っていたはずの小箱。
すなわち、指輪が収められているはずの小箱の姿が。
彼からすれば、リナ達の姿が消えたと同時に、自分の手の中にと出現したのであるが。
それを移動させたのは、ほかならぬ……
「リナ殿やルナ殿たちはどうやら異空間にいったようじゃし。
   とりあえず、わしはわしでのんびりと、当初の目的どおりに、これを火口にもってゆくとするかの。ほっほっほっ。」
そんなことをいいつつ、白いひげをゆっくりとなで。
頂上にとむかって歩き始めてゆくマッケランの姿が。
やがて、彼はそのまま、障害物、といえる障害物も何もなく。
死の山の頂上付近にとたどり着いてゆく。


こちらの空間と、リナ達のいる空間とでは、時間率がまったくことなる。
リナ達がちょっとした会話をしていたほんの数分、ともいえる時間は、
マッケランにとっては数時間、ともいえる時間が経過しており。
ゆえに。
リナとルナが、ラグールたちにと攻撃を仕掛けようと。
「覚悟はいいわね?二度と馬鹿な考えは起こらないようにしてあげる。しっかりと…ね。」
ルナからは、赤の竜神の力が。
そして、リナからは、赤瞳の魔王の力を借りた力が。
それぞれに、男たちにとむかって放たれようとしたその刹那。

「…くる。」
かるくつぶやき、目を閉じているレナ。
レナが目を閉じたのとほぼ同時。
「やれやれ、これで…」
いいつつも、その手の中にとある小箱をゆっくりと、底の見えない火口にと投じてゆくマッケランの姿が。
ゆっくりと、だが、確実に、死の山の火口の中にむかって、指輪の入った小箱は…落ちてゆく。
「さて、任務はこれで完了かのぉ?」
マッケランがそうつぶやいたその刹那。

どぉぉぉぉぉぉん!!!!!

天を貫く大音響とともに…世界が、大地が揺れる。


火口より、天を貫く金色の光。
そして、あたりの大地が激しく揺れる。
「うおおおっととと。」
あわてて、術をかけ、空中にと浮かび上がり。
ゆれの影響を免れているマッケラン。
光の帯は、世界すべての場所より、誰の目にも確認されてゆく……




「「何!?」」
思わず術を中断させる。
ありえるはずもない揺れが、リナ達にと襲い掛かる。
そして。
レナの体が淡く、金色の光に包まれ…


『我の元に我の一部でもある品物は還りゆかん 我のものを奪おうとせしものたちよ 今こそここに、汝らの過ちをただすとせん…』
レナの口から、異なる声が発せられる。
それは、レナの口から発せられたのか、あたりの空間よりはっせられたのかはわからないが。
「…って、何であれがレナに降臨してるのよぉぉぉお!?」
それをみて思わず叫んでいるリナに。
「ってエル様ぁぁぁぁぁぁぁあ!?はっ!ということは、マッケランが指輪を投じた、ということ!?
  いやぁぁぁぁ!お仕置きされるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
何か叫んでいるルナ。
「…いやあの、姉ちゃん?『お仕置き』…って…」
はじめてみるあまりの姉の狼狽ぶりに思わず目を点にしているリナと。
そしてまた。
「お、そっか。この空間の気配、前にリナの体つかってた、とことんの人と同じなんだ。」
ぽん。
と何なら手をたたいてうなづいているガウリイ。
「ガウリイ、それをいうなら、混沌…って、何ですってぇぇぇえ!?
  なら、レナはどうなるのよ!?あれを受け入れて無事にすむわけが!?」
「ああ、それなら大丈夫だぞ。ただ、体借りてるだけみたいだから。」
さらり、と受け流しているガウリイ。
そんな少しずれたような会話をしているこのガブリエフ夫婦とは別に。
「何だ!?貴様は!?」
いまだに理解していない、ラグール、と呼ばれていたその人物。

『汝 ふさわしい末路を…』

次の瞬間。

あたりに、えもいわれぬ、何ともいえない悲鳴が響き渡り…

そして、リナ達の視界は、完全にと金色の光にと包まれてゆく…

光につつまれ、そのまま、意識を遠のけてゆくリナ達の姿と。
何やら叫んでいるルナの姿が。
しばし、その場にて見受けられてゆくのであった。




                             -エビローグへー

  HOME      TOP      BACK      NEXT




#####################################

まえがき:

打ち込みしようとしてみたら。
このページをビルダーさんで開いてなかったり(笑)
いつのまに閉じたんだろ?(こらまてや)
しっかし・・・・最後まで、きちんとノートに書きなぐってみるかなぁ?
そうしたら、ある程度のことはわかるかも(おひおひ・・)
またまたこの回では終われなかったりして・・・
いえね、前回のあれが、レポート用紙でいうと、たったの十行なんですよ(汗)
あはははは・・・・・(実話だからしゃれになんない・・・・

#####################################

あとがきもどき:

薫:さてさて。リナちゃんたち、光につつまれた後、何があったのでしょうねぇ?
  ・・・・・・それは、まあ、知らぬが仏。ということで。
  さて、何も知らないマッケランがある意味一番幸せかも(笑
  ようやく次回はエビローグ!
  んではではでは、また次回にてvv



  HOME      TOP      BACK      NEXT






    おまけ♪



「って、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?何でエルさまがレナちゃんにぃぃ!?」
何やらバニックになっているルナ。
本気で気づいてなかったようだし。
そして、ルナが叫ぶと同時に。
ふいっ。
あたりに出現するいくつかの気配。
「って、エル様ぁぁぁぁ!?スィーフィード、これはいったい!?」
何やらわめいている、黒い髪の青年。
「遅い!というか!リナ達はとりあえず気絶してるみたいだからいいけど!
   とりあえず、例のやつは、無事にエル様の下に戻ったみたいなんだけど!
   だけど!何でかエル様がレナちゃんの体かりてここにいるのよぉぉぉぉ!」
何やら叫んでるし。
『どういう意味かしら?ん?というか、まさか今の今まで気づいてなかったわけ?この子、レイナ=ガブリエフ。
  あたしの力の一部、リナから受け継いで、誕生しているがゆえに、
  この子の体ならば制限なくあたし、いつでも降臨できるんだけど?』
ぴっし。
なぜかあたしの至極当然な当たり前の意見に。
固まっているルナと。
そして、遅すぎるほどに今頃やってきている、部下Sことシャブラニグドゥ。
一応、物質世界面においては、スィーフィードの封印などの制約で。
自由に動けないこいつだけど。
こっちでは、自由に動けるからねぇ。
とはいえ、それが情けなすぎる、というかお役目を果たしていない、という事実には変わりないし。
ま、いいわ。
『とりあえず、ちょっと時間かかりすぎたわね?で、わかってるわよね?あたしのい・い・た・い・こ・と♡』
あたしの言葉になぜか瞬時に顔色を変えているこの二人の部下たち。
まったく。
一応あの惑星もこいつらの管轄地なんだから。
きちんとお仕事はこなしなさいよね♡
『あああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?』
なぜかその直後。
二人の悲鳴が響き渡っていたりするけど。
ま、気のせいよねv
さって、後はこのこのあたしすらをも倒そう、と無謀にもたくらんでたこのラグールと、その一派。
きっちりとお灸をすえておくとしますかねvv

その後。
なぜか突発的な隕石の落下により。
例の惑星の文明が、衰退したのは…別に些細なことよね。
ふふ♡


さって。
まだ、リナには気づかれたら楽しくないから。
のんびりと、楽しませてもらうとしますかね。
今度は人になってみる、というのも悪くないかも♡
何か人間って面白そうだしね♡


                      -おまけ完了・・・・





  HOME      TOP      BACK      NEXT





おまけvあとがきもどき:
     薫:・・・・え・・・エル様・・・・・ましゃか・・・・
       ・・・・・か、考えまい、いや、考えたらだめだよ。うん。
       まあ、今のエル様の声は聞かなかったことにして・・・・
       何はともあれ、次回でエビローグです。
       まさかこんなに長くなるとはなぁ(しみじみ・・・
       まあ、たまに20より短かったりしたからそのあたりもあるのかも(反省・・・
       何はともあれ、それでは、また次回にてv
    
   2004年5月25日某日



  HOME      TOP      BACK      NEXT