ミッションズ・オブ・リング   ~決戦の前に?~



「あ、レナ?いっとくが、あまりレナの体に無理をしないようにあれにいっといてくれな?」
「はーい。」
ガウリイにと抱きかかえられつつも話しかけられ。
素直にと返事をしているレナ。
そんなガウリイの言葉に。
『あら。気づいてるわけね。一応は。』
先に進んでいるリナたちには彼らの会話は聞こえてはいない。
レナの言葉に続き、確かにそれは、レナの声ではあるのだが。
まったく異なる声がガウリイの耳にと聞こえてくる。
レナの口から。
「当たり前だろ?というかレナに負担はかけないでくれよ?」
そんな『彼女』の声にとそんなことをいっているガウリイに。
くすっ。
思わずその口から笑い声が漏れ。
『まあ、この子もこのあたしが唯一、何も制限とか気にせずに器にできる子だしね。そのあたりは大丈夫よ。』
人、という限られた器では、使える力は限られてくる。
ゆえにこそ。
以前、リナ=インバースの体にと降りたとき、力が思う存分発揮できずに。
そのまま、リナ=インバースの体をこの地にと残したまま、そのまま体から離れることとなったのだからして。
-最も、リナ=インバースを無傷で残したのは。
気絶していたはずのこの男性が気づいて嘆願してきた、ということもあったにしろ。
そんなことを思いつつ。
そのようなことをいっているその『彼女』。
彼らがそんな会話をしているそんな中。
「…あ、あのぉ?ガウリイさん?今の…」
何やら横手から聞こえてくるひとつの声。
「何だ、まだいたのか?ゼロス?」
先ほどから、ガウリイたちの後ろから、何やらついてきいるこのゼロス。
ちなみに完全にリナたちには無視されていたりするのだが。
何しろ、一応はリナ達と行動を共にしろ、というのが上司の命令。
どんなにダメージなどを受けていようとも、命令は命令で絶対である。
ゆえに、完全に無視され、いじけつつも、後ろから、てくてくとついてきているこのゼロス。
そんなガウリイの言葉に。
「しくしく、ひどいです…ガウリイさん、いや、それよりも。今の会話は…」
なぜか聞きたくないが、聞かずにはいられない。
声を硬くして、何やらその声が震えているのはおそらくは気のせいではないであろう。
そんなゼロスの言葉に。
ガウリイにと変わり。
『気にしないように。というか、話したら、即お仕置きだからね?』
びくくくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!
ぴしり。
レナの口から発せられた言葉は、間違いなくレナの声なのであるが。
その『声』に含まれている力は…間違えようもなく。
『あのとき』のリナ=インバースの声がもっていた威圧感、そのもの。
「あ…あのぉ?まさか…」
信じたくない、はっきりいって。
いや、絶対何かの間違いであってほしい。
そう、ゼロスは今ほど本気で、誰にともなく、祈っていたりするのだが。
だが、そんなゼロスの言葉に。
「何だ?ゼロス?気づいてなかったのか?レナの中、何かとことんの人の一部がある、というのに?
  フィブ何とかってやつの一件のときに、どうもリナの中にのこってたらしくて。
  で、それがレナに受け継がれてるんだよなぁ。まあ、別に害はないし。というか逆にレナの力になってくれてるし。」
さらり。
何やらさらりと暴露しているガウリイであるが。
ぴししししぃぃぃ!
その言葉に今度こそ完全無欠にその場にて石化してゆくゼロス。
「?ねえねえ。ガウリイおとーちゃま?なにかごきぶりさん、かたまったよ?」
「ああ、気にしなくていいんだよ。とにかく、いくか。な、レナ。」
「はーい!」
その場にて完全に固まったゼロスをそのままに。
すたすたとリナ達の後ろからついていっているガウリイとレイナのこの二人。
後には、完全にと固まっているゼロスの姿が残されていたりするのだが。
だが、そんな彼にはまったく気にもとめずに。
ずんずんと先を進んでゆくリナ達一行の姿がそこに見受けられてゆく。


死の山。
それは、カタート山脈の一角にと位置する。
まず、どのような存在すらも近寄らない、完全なる死の空間。
何しろ、魔続ですら、このあたりには生息していない。
そこに満ちる気配に触れれば、間違いなく下級、というか力のないものならば、消滅するのが明らか、であるがゆえに。
あたりに満ちているのは、瘴気でも何でもなく、ただあるのは、虚無の気配。
つまりは、そこにいるだけで、何やら自分自身が消滅してしまいそうなほどの衝動に駆られてしまう。
事実、あまり長くいると、意思があまり強くないものなどは。
あっさりとその場に満ちる気配に飲み込まれ。
無と化して、二度とその姿のままの再生はかなわなくなるのだが。
それゆえか、死の山のふもと付近には。
いきなり肉体を失った様々な存在の魂が今だに自分に起こったことが理解できずにさまよっていたりするのだが。
だがしかし、それも一合目付近まで。
それ以上、頂上に近づくにつれ。
それらの存在そのものすらも危うくなり。
二合目付近に万が一、魂だけなどになっている存在などがたどり着こうものならば。
間違いなく、その場に満ちる気配にて。
魂ごと完全消滅してしまうのは、明白なる事実。
もっとも、意志力が強い存在は、多少のことならば大丈夫なのであるが。
とはいえ、危険なことには変わりがない。
「どうだ?」
麓付近から、一合目にかけて。
ちょっとした装置を設置している彼ら。
「この調子ですと、順調です。このあたりに入ってきたものは。計算上では、ここでいう魔法、というものが使えなくなるはずです。」
一般にこの世界で普及されている魔法など、というものは。
自然界の力を少しばかり人が使っているような代物。
ゆえに、多少磁場などをいじれば完全にそれは使えないはず。
それが彼らの理念、というか、完全に誤解している真実。
磁場とかが乱れたとしても、彼らが使っているのは精神世界面、
つまりは、物質世界とは表面一枚、裏表、の位置にある、といってもいい。
物質世界とは異なる精神世界面(アストラル・サイド)より、その力を引き出しているのだからして。
「よし、では、作戦に取り掛かれ。そろそろだ。すべてはわれらのものに…」
まあ、見つけた、指輪が、どのようなものかはわからないが。
だがしかし、ほかの国や星のものたちに、脅威を与える材料には、はっきりいって十分すぎるほど。
それを手にいれて、研究し量産でもすれば。
間違いなくちょっとした戦力になるのは明らか。
何しろ、味方、というか力を与える、という条件で味方に取り入れた、この世界の竜王。
火竜王、とかほざいていた存在がいうことには。
あの指輪はすべての、どのような力でも増幅する、という。
それこそ、彼らの願っているもの。
見上げる空の太陽は、いまだに燦々と輝きをたたえているが。
あと少しすれば、太陽の光はさえぎられ始める。
このたびの計算上では、皆既日食は。
ほぼ数時間。
毎回のことながら、この星では、皆既日食のときには、悪いことの前触れ。
とかいって、騒ぎになる国も少なくはない。
どうして太陽が消えるのか、その仕組みがいまだに理解されていないがゆえに。
まあ、何しろ、この世界が平らでしかも混沌の海の中につきたった杖の上にと成り立っている。
などといった説がどうどうとまかり通っているようなこの世界。
宇宙空間に浮かんでいるひとつの球体。
などといったまるで想像もできないような事実をいったい誰が信じる、というのであろうか。
まあ、だからこそ、彼らのような、先進文明、と本人たちはのたまわっている文明を気づいた存在は。
こういった未開の惑星などは、逆に侵略などをする場合は。
彼ににとってはおいしい惑星、に他ならない。
「もうすぐだ。もうすぐ、われらの輝かしい第一歩が刻まれる…」
こちらに向かっているのは、たかが女が二人に子供が一人。
あとは男性に老人が一人。
そう、伝え聞いている。
そういいつつも、懐に手をいれ。
そこにある、レーザー銃を握り締めている、ラグール、と呼ばれていたその男性。
もし、素直に従わないのであれば、この文明の利器のひとつである、これで相手を殺してからでも奪えばいいしな。
などとかなり物騒なことを思っていたりするのだが。
だがしかし、人間、無知、というのは一番恐ろしい。
彼は自分が誰に喧嘩をふりかけようとしているのか…まったくもって気づいていないのであるからして。


カツン。
カラカラカラ…
「ねえ?姉ちゃん?何かこのあたり、空気がおかしくない?」
何と表現すればいいものか。
何ともいえない、違和感。
今までに感じたことのないような。
「ああ、それはきっとそこいらにある、それらが原因よ。」
いいつつも。
そこに周りの風景にと映像にて溶け込むようにして隠されていたとある代物。
それにむかって、かるくその手にちょっとした力の球を出現させ、軽く放り投げているルナ。
と。
ポシュ!
鈍い音とともに、何もなかったはずの岩肌より、何やら煙が立ち昇り。
「これよ。どうやらこれで、このあたりの磁場調整、してるみたいね。」
「磁場?」
何やら煙をあげつつも、そこに転がっているものは。
何やら見たこともない装置らしきもの。
機械、という装置はこのあたりにはあまり普及していない。
しいていうならば、普及しているのは、魔道装置、というところか。
「これで、人間の感覚とかを少しばかり狂わせてるのよ。そこいらにかなり設置されてるみたいね。」
いいつつも。
その鉄の塊にとむけて。
軽く力を向けるルナ。
と、同時に。
バシュ!
一瞬のうちにと無と化すその物体。
「んーと。なら、これ、こわしちゃえばいいんでしょ?」
すとん。
ガウリイにおろされつつもにこにことそんなことをいっているレナ。
「まあね。しっかし、これ、何?幻影魔術とかではないみたいだし???」
首をかしげるそんなリナに。
「科学の力を借りた、いわゆる投影装置よ。ま、魔術のほうが、いろいろとアレンジできて、使いやすいんだけどね。」
さらっと説明しているルナ。
まあ、彼女にとってはそれは真実。
科学などというものは、確かに、ある一定の可能性より向上しないのだからして。
もっとも、それもまた、組み合わせ次第なのではあるが。
「まあ、よくわかんないけど、つうか、これ、いったいどれくらいこのあたりにあるわけ?」
何か自分の知らないところで、自分の感覚が狂わされる何かがなされている、というのは癪にさわる。
そんなことをおもいつつ、問いかけるリナの言葉に。
「ねえねえ。りなおかーちゃま。なら、このあたりにある、きかい、とかゆーやつ。いっきにこわせばいいじゃない。レナやるー!」
にっこりと微笑み、片手を挙げて。
そして。
「キャラシック・ロスト!」
何やら聞きなれない、というか聞いたことのない力ある言葉を解き放つレナ。
それと同時に。
片手を挙げているレナの手から。
銀色の光の筋が幾重にも出現し。
それらは、少しばかり上空にと向かい、ある程度の高さまで行くと同時に。
そのまま、その銀色の光の筋は幾重にも渡り、地面にむかって降り注ぐ。
それはまるで光のシャワー。
しいていうなれば、光の噴水、といったところであろうか。
まるで、セリナを中心として、あたり一帯に光の噴水が降り注ぐがごとくに。

【キャラシック・ロスト】
それは本来ならば、その【力】にある種の制限を食らえ、力とする術。
だがしかし、カオスワーズ(混沌の言葉)すらもなく、力ある言葉のみだけで術を発動させるなど。

「…え、えっと…とりあえず、でてきたら?」
とりあえず今のは見なかったことにして、
数メートル先の岩陰にと隠れている人物たちにと話しかけているルナ。
そしてまた。
「え…ええと、レナ?これ、今の術…何?」
いいつつも、空より降り注ぐ光を指差してレナにと聞いているリナ。
光が大地に降り注ぐと同時に、そこいら一帯より聞こえてくる爆発音。
だがしかし、別にだからといってその光に触れても肉体的にどうにもなるわけでもなく。
大地に吸い込まれた光は大地を銀色にと染め上げてゆく。
「ん~とね。ほかのほしのむきしつぶっしつをしょうかというかはかいするの!
   でね。このほしのむきしつにはかんけいないの。あとね。あとね。
   ゆうきぶつにそれがふれてたら、かくゆうごうはんのうおこしてそのままねんしょうするの~。」
そういいつつ、片手を下ろしつつ、にっこりと微笑むレナ。
だがしかし、先ほどレナが放った銀色の光の玉は。
レナが手を下ろしても上空からは銀色の光が降り注がれているのではあるが。
そんなレナの説明に。
?よくわかんないけど…ま、でもいっか。
どうもこれ、人体には影響ないみたいだし。
何かそのあたりにあるらしい装置にのみきいてるみたいだし。
ま、いっか。
それであっさりと納得し、すまし。
「レナ、すごいわねー。いつのまにこんな術、覚えたの?」
などといいつつ、にっこり微笑みレナの頭をなでなでしているリナ。
そんな母であるリナの行動にさらににこにこしつつ。
「あのね。きんいろのきれいなおねいちゃん!」
リナに頭をなでられつつもにこにことしながら、答えているレナ。
ピッシ。
その言葉にルナが一瞬固まったのにはリナは気づいてはいないのであるが。
「と、とにかく、出てこないならこっちからいくわよ!」
気のせいよ、そうよ、気のせい。
そう自分自身にと言い聞かせつつ、少しばかり声を震わせて。
今のレナの言葉は聞かなかったこと、もしくは気のせい。
というように自分自身に言い聞かせつつ。
岩陰にとむかって言い放つルナ。
リナやルナたちがそのような会話をしているさなか。
ルナが話しかけている岩陰においては。
驚愕している数名の男性たちの姿が。

意味不明にも、理解不能にも、上空よりいきなり降り注いできている光の光線。
光線、というかまるで光の雨、といったほうがいいものか。
それらは別に自分たちを傷つけるわけでもなく、数百台以上設置していた装置すべてを。
それら無数、ともいえる装置が、その光の雨にぬれると同時に、ものの見事に瞬時にとクラッシュしてゆく。
そんなことがあるはずがない。
あれは、防水加工などそういった多少の衝撃などにもびくともしないはずである。
にもかかわらずに…すべての装置が、破壊されてゆく。
それをうけ、無言で、それぞれに顔を見渡し。
ゆっくりと岩陰から出てゆく彼らの姿が。
一時後に、その場にて見受けられてゆく。




                             -続くー

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まえがき:

そろそろ最後だし。
というので、ちょっぴしノートに寝ながら書き込みしてみたら・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・びっしり書いてニページでもまだおわりません(汗
・・・・・・・・・つうことは、まさか、20話以内ではおわれそーにないです・・・はい(滝汗
最後、それぞれのシーンがあるんだが。
どちらか一方に視点を絞ってかくかなぁ・・・・
(でもそーしたら、マッケランの方かリナの方がなくなってしまうぞ・・・笑)
何はともあれ、いくのです。

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あとがきもどき:
薫:ちなみに。これ。元は、小説、となっております。なので。
  ガウリイが追いかけていったあのシーンはこの話ではないです(笑)
  まあ、しいていえば、ごちゃまぜ?といった感じかな?
  ただ、エル様降臨シーンが、アニメのあれではない。ということですね。うん(だからまて
  しかし・・・・・・この回でおわらそーとしたら、60kにいきそーです・・・
  なので区切ります・・・・あはははは(汗)
  まあ、このあたりで区切ればどうにかなる・・・・かな?みゅぅぅ・・・・(滝汗・・・
  まあ、何はともあれ。
  がんばって次回で終われるように・・・が・・・がんばりますです。
  はい・・・・(滝汗・・・

      2004年5月24日某日


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