ミッションズ・オブ・リング   ~エビローグ~



ざわざわざわ。
世界がどよめく。
何しろ空にあるはずの太陽が、いきなり、ゆっくりと掻き消えてゆくのであるからして。
その仕組みを知らない存在たちが、世界の終わりだの何だのといい。
騒いでしまうのは当然、といえば当然のこと。
先ほどまで、燦々と輝いていた太陽が。
忽然と、暗闇に飲まれてゆく様は。
確かに、世界の週末、とその仕組みを知らないものが見れば思ってしまうのもまた然り。
まあ、これも、地域限定、といえば限定なのであるが。
このあたりは今回はちょうど、ダイヤモンド・リングが見れる位置。
つまりは。
太陽にちょうど月の影がかぶさり、真っ黒い太陽の周りから、光の輪が漏れ出している。
そのような現象が見受けられていたりするのだが。
そして。
太陽がすっぽりと影に覆われ、まるで光の指輪のように、その周りがほのかに光り。
空に黒い太陽がぼっかりと、誰の目にも明らかなほどにうつりゆく。
そして。
「…あれは?」
誰ともなく、それをみて思わずつぶやくが。
ディルス王国の方向、しかも、その方角からして、どうやらカタート山脈がある辺り。
そこから、金色の光が、太陽にむかって伸びている。
空に突き抜ける光の筋。
それを目にした人々が。
「まさか!?北の魔王が復活なのでは!?」
などといったバニックに陥ってゆくのもまた。
それは、人の心が弱いがゆえに。
いきなり消えた太陽と。
空に伸びる光の柱。
そして、少し前、というか数年前のデーモン大量発生事件。
それらの記憶もいまだに根強く新しい。
人々の中にくすぶっていた恐怖が、太陽が消えた、ということを皮切りに。
まるで堤をきったかのように。
やがて、その混乱は。
確実に、だが迅速に、世界中にと広がってゆく。


太陽が消えていたのは、ほんの数時間ほど。
だが、それだけで、人々が不安を抱えるのには十分な時間。

リナの預かり知らないところで。
再び、世界に動乱の気配が生まれ出でてゆく。





「…あれ?えっと…」
目を開けば、そこは、なぜか自分の家。
「お、目が覚めたか?リナ?」
そんなリナにと声をかけている、ガウリイの姿。
「…ガウリイ?つうか?…?????」
どうして、あたし、ここにいるの?
というか、確か、カタート山脈の死の山で…
などと思うが、どうもあまり思い出せない。
覚えているのは、視界全体にと広がった、金色の光と。
「って!?あのラグールとかいうやつはどうなったわけ!?」
がばっ!
なぜか自分の部屋のベットにと横になっていたらしく。
思わずベットから飛び起きているリナ。
そんなリナに。
「さあ?でも、何かとことんの人がひっぱってったぞ?」
そんなリナにのほほんと何やら説明しているガウリイ。
「・・・・と・・・とことんのひとって・・・・」
まさか・・・
そんなガウリイの説明に思わず冷や汗が流れ出るが。
「とりあえず、気絶したリナをつれて、ルナさんは、何かあっちで呼び止められてたから。
  オレたちだけで先にもどってきたんだよ。で、なんでか、あそこからでたら、すぐさまに家の前に出てて。
  そのまま、リナを抱きかかえて家の中に運んだんだが。レナも横でねてるぞ?」
そういい、リナの横を指差すガウリイ。
みれば、確かにリナの横ですやすやと寝息を立てているレナの姿が。
とりあえず、アレに体をのっとられていたわりには何ごともないような娘の姿にほっとしつつ。
「…で?いったい何がどうなったの?」
ベットの中で、ただひたすらに首をかしげているリナ。
「まあ、簡単に説明してやるよ。」
そんなリナににっこりと微笑み。
ベットの横に腰掛け。
リナが気絶してからの説明を簡単にとリナに施してゆくガウリイの姿が。
リナとガウリイの二人の家の中の寝室において、しばし見受けられてゆく。




光に飲み込まれ、というか、金色の光に包まれて。
そしてまた、それの放つ威圧感にと圧倒され。
生身であるリナ達としては、さすがにそのまま気を失うのも道理。
といっても、なぜか一人、のほほんと平気でその場にといまだにいるガウリイもまたすごいものがあるのであるが。
そのあたりに満ちるその『力』を自らのもっているブラスト・ソード。
それに取り込み、自分の周りの『力』を中和しているガウリイ。
それを無意識でこなしているのだから、さすが、といえばさすがであるが。
レナを軸として、やがて、それは、ゆっくりと。
レナより光があふれ出て、やがてそれは一人の女性の姿を形作る。
それは、金色の光につつまれた、その身長よりも長い、凄烈なる金色の髪に金の瞳。
はっとするほどの絶世の美女、ということばがいかにもしっくりくる…漆黒のローブなどをまとっている一人の女性。
「で、何かそこに見たこともない人、たぶん気配がとことんだったから。
  あの人がとことんの人なんだとおもうんだけど、で、何かルナ義姉さんとかが、何やら謝ってたりしたりしたし。
  で、何だか、その手にもってる、スコップで、ぐさぐさとしばらく、ラグールとかいうやつ。
  突き刺してて、で、しばらくしてから、オレ達はいきなりこちにと送られたんだが…」
まあ、嘘はいっていない。
彼女と少し会話を交わしたとかいうそのあたりのことをただちょっとはしょって説明してないだけのこと。
「で?指輪はどうなったわけ?」
そんなリナの言葉に。
「何かあの人がもってたから、何でも、あそこ、とことんの人がいる空間と直結してるとか何とかで。
  あれ、とことんの人がもってたぞ?」
にこやかに、リナにと説明しているガウリイであるのだが。
「…え、えっと、何か怖いから、詳しくはあまり聞かないけど。で?マッケランさんと姉ちゃんは?」
「さあ?」
一番肝心、といえば肝心なことを問いかけると。
首を横に振っているガウリイにたいし。
「このどあほー!あたしたちだけが家にもどっててどうするのよー!!!!!」
家の中、リナの叫びがこだましてゆく。





ガウリイが首をかしげているそんな中。
「まあ、ルナ、一体全体どうしたの?」
珍しく、顔色もわるく疲れてもどってきた娘にと話しかけているルナの母。
「…聞かないで。も、寝る…」
そういいつつも、よろよろと、そのまま自分の部屋にともどり、バタン。
と横になっているルナ。
「さ・・・・さずかに、エル様のお説教は堪えるは…」
などといいつつ、完全にそのまま、意識を手放してゆくルナの姿があったりするのであるが。




そしてまた。
「ほっほっほっ。さて、どうやらこれから、何か世の中が騒がしくなりそうじゃのぉ。」
とりあえず、近くの町の魔道士教会のヴィジョンルームより。
依頼はきちんと果たした、と連絡をいれ。
そのまま、いまだにざわめくあたりの様子をみつつも。
何か騒がしくなりそうな気配を感じ取り。
何やら笑っているマッケラン。
灰色のマッケラン。
そのあだ名は、別にその服が灰色、という簡単なところからだけではなく。
それは、その依頼をうけた行動にも起因する。
とりあえず、依頼をうけたことのみはするが。
後のことは、後のこと。
依頼以外のことはいっさいせずに。
そのほかはほとんど傍観。
ゆえに、ついたあだ名が灰色。
つまりは、どっちつかず、ともいえる意味あいをもつ言葉。


それぞれに、つい数時間前まで、指輪に翻弄されていた彼らではあるが。
すでに、たどり着いている先は、人それぞれ。
そしてまた。




「さって、これを今度はどこに渡しましょうかねぇ?」
そんなことをいっているとある女性の姿が。
とある場所で見受けられていることは…リナも、そして当然、ルナですら知らない事実。



かつて、シャザード=グランディが作った、とされている指輪。
だが、その指輪が新たな伝説を作り出す日は…そう、遠くはない…


すべては。
金色の母の気のむくままに…


数日後。
疑心暗鬼に陥った、とある国が国を挙げ、カタートにむけて兵を挙げる準備を始めてゆくのは。
ま、別の話である…



「ま、とりあえず、よくわかんないけど、とりあえず、それじゃ。指輪はきちんと破棄されたのね?」
「何かそういってたぞ?」
のんびりとそんな会話をしているリナとガウリイの姿が。
彼らの家の中でしばし見受けられてゆくのであった。



周りがどうなろうとも、この二人はおそらくはこのまま永遠に彼らのペースで進むのであろう…



                             -終わり♪ー



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あとがきもどき:

薫:・・・・・・何か意味炸裂ですね(汗)
  はじめに思いついたのは、夢オチ。とリナが勘違いする、というものだったんですけど。
  それだと、ルナがエル様よりお仕置き(汗)うけてぐったりしている様子とか。
  混乱が始まる世の中をみて、少しばかり面白がっているマッケランとか。
  そのあたりを出したらおかしくなるので、ガウリイを説明役にともってきたり。
  ちなみに、この後。
  世界でちょっとした戦乱が巻き起こり、リナとガウリイ。当然巻き込まれますが。
  そのときに、何とレナちやん、エル様、人々の前で降臨させたりして(汗
  というか、エル様が勝手に降りてきた?というほうが正解かも・・・
  で、金色の王の存在しった人々バニック!というように続いてゆくのです。
  この世界、どうやらしばらくは平穏には程遠くなりそーですね。はい(まて
  何はともあれ、意味不明ながらのエビローグ。
  ここまで意味不明な文章にお付き合いくださいまして、まことにありがとうございました。
  レナちゃんについては、完全にエル様=レイナちゃん。
  という設定のものもあるんですけどねぇ(短編参照)
  何はともあれ、それでは、また、どれかのお話でお会いしましょう。
  (とかいいつつ、気がむいたら番外編・・・・打ち込んでたりして・・・・笑)
   それでは。

  2004年5月25日某日


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