ミッションズ・オブ・リング   ~来訪者?~



ごうごうごう。
まるで、大地が生きているように。
いや、この表現は的確ではないであろう。
何しろ、事実、大地は生きているのだからして。
だがしかし、目の前で繰り広げられている光景は。
そう、簡単なものではない。
裂けた、地面の割れ目から、いたるところから、マグマが噴出し。
それは、まるで炎の噴水。
それも、ひとつ、二つのものではなく。
無数に吹き出る紅い噴水。
吹き上げたマグマは、大地に火の粉をまきちらし。
それと同時に炎の雨も降り注いでゆく。
「…どうしましょっか?マッケランさん?」
とりあえず、ちょっとした風と水の術をアレンジした結界をその身にまとっているがために。
あたりの温度や、炎の熱などにはどうにもなってはいないが。
「とりあえず、何ごともなかった。ということにして逃げるのはどうかの?」
などとそんなことをいってくるマッケランのその言葉に。
ポン。
「おお!それいい!」
どうにも解決方法になってないそれを。
手をぽんとうちつつ、その意見に同意しているリナ。
そんなリナの耳に。
「…リナ、それじゃ、何の解決にもならないでしょうが?」
―ぴくっ。
ガタガタガタ。
リナの耳に聞きたくない、というか信じられない声が聞こえてくるのは、リナがそんなことをいったほぼ同時。
その声が聞こえると同時に、瞬間的に体を震わし、ガタガタと震え始めているリナではあるが。
ま、まさか、まさか、ましゃか…(汗)
などと、思いつつ、恐る恐る、声のしたほうを振り向くリナの視線にとはいったのは。
ちょうど、その視線の先の空間がゆらりと揺らぎ。
その空間の歪みから生じた、暁色の光は。
やがて、その光を二つの影にと変化させてゆく。
「ねねねねねねねねねねねーちゃん!?それに…レナ!?何で!?」
思わずその姿をみつめ、叫ぶリナ。
光の中から出現したのは、見間違いのないほどの、リナの姉たるルナの姿と。
そして、リナにとっては、愛娘のレイナ。
この二人の姿。
驚愕、恐怖、混乱。
そんな感情が入り混じりつつ、甲高い声を思わず上げているリナに。
ゆっくり、ゆっくりと。
それが、幻とかではなく、現実だ。
と指し示すかのように、その二つの影は、リナからすればまるでスローモーションのように。
ゆっくりとリナ自身に向かって近づいてゆく。
だが、実際は別にゆっくりでもなく。
しかも、栗色の髪のまだ一歳にも満たないであろうレナと呼ばれた少女などは。
ゆっくりではなく、走りよっているのだが。
だが、リナからすれば、驚愕の方がはるかにまさり、そのように見えているように感じているだけのこと。


ルナにつれられ、母であるリナのいる場所にと移動する。
それは、レナにとって、うれしいこと意外の何ものでもない。
ゆっくりと、自分がそこにきちんと移動できたことを確認するが否や。
そのまま、その先に見えている自分と同じ栗色の髪の女性にとむかって、駆け出してゆくレナ。
「おかーちゃまぁぁぁぁ!」
などといいつつ、ぶんぶんと手をふり駆け出していたりするのだが。
だが、その走りよる先、というか、辺りはすでに炎の雨。
『レナ(ちゃん)危ない!!!!!!!!!』
そのまま、駆け出すレナに思わず悲鳴に近い声が投げかけられる。
「…え?」
きょとんと、振り仰いだレナの目に。
入ってきたのは、空から降り注いでくる炎の雨。
「いやぁぁぁあ!ほのおのあめ、れな、きらぁぁぁぃ!」
ぽしゅポシュポシュ!
思わず見上げた空から降り注いでくる炎の多さに。
なきながら、何やら手をぶんぶんとそれらにむかって振っているレナ。
それと同時に。
コキッン…
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うそ!?』
思わず、その場にいた、ルナ、リナ…そして、マッケランの目が点と成り果てる。
それもそのはず。
レナは、なきながら、しかも、呪文すら唱えずに。
どうやら、氷の術を連発し…それだけならまだしも。
ものの見事に吹き上げるマグマと、そして、降り注ぐ炎の雨をことごとく凍りつかせているがゆえに。
「ひっく。ひっく。うわぁぁん、おかーちゃまぁぁ!こわかったよぉぉお!れなぁぁ!」
などと、泣き叫びつつ、リナの方に向かって駆け寄っているレナではあるが。
だが、なきながらも、あたりかまわずに氷の術を呪文も唱えず、
しかも、力ある言葉すらも唱えずに連発しているのは、いったい全体どういうわけか。
「レナ!」
驚くのは山々なれど。
だがしかし、さすがは母親、というべきか。
すぐさまに正気に戻り、あわてて、レナの方にと駆け寄っているリナ。
正確にいうならば、飛んでいっている、というのが正確なのであろうが。
何しろ、リナとマッケランがいた位置の大地はあまりに熱く煮沸しており。
普通にたっているのが困難であったがゆえに。
リナとマッケランは『浮遊(レビテーション)』の術を軽くかけ、宙に少しほど浮かんでいたがゆえに。
駆け寄ってくるわが子に近寄り。
あわてて、抱きしめているリナ。
「ひくっ。ひくっ。なになのぉ?おかーちゃま?これぇ~……」
まさか、火の雨なんて見たことすらもない。
そんなことを思いつつ、その碧い瞳に大粒の涙をためて。
母親であるリナにと聞いているレナ。
「それより、レナ!?怪我はない!?やけどしてない?!」
ぱっぱっぱっ。
顔色もわるく、愛する娘の体を万弁なく手ではたきつつも確認してゆくリナ。
何しろ、いきなり、火の雨が降り注ぐ中を。
このレナは自分の方にと駆け寄ってきたのである。
まあ、きっと、いきなり出現したのは姉ちゃんと一緒だから、それは別にもうおどろかないけど。
そんなことを心の隅にて思いつつ。
今のリナの心を占めているのは。
大切な娘がどこか火傷とか、怪我をしていないか、ということのみ。
姉に対する恐怖は娘を心配するあまり、その恐怖はどこかに飛んでいってしまっていたりする。
母親というものは、何をおいても、子供を守ろうとする母性本能が優先する。
その典型的な例であろう。
「うん、レナね。なにもおかしいところないよ?それより、おかーちゃま?いったいなにがどうなってるの?
  なんで、ひさんが、ふんすいみたいにふきだしてるの?」
きょとんとしつつ問いかけてくるそんなレナの言葉に。
思わずほっと胸をなでおろすリナ。
だが、リナが安心したのもつかの間。
「リィィィナァ?いったい全体どういうことなのかしらぁぁ?私はちゃんと、あの『指輪』は『死の山』に投棄しなさい、といったわよね?」
ぴくり。
ああ!
すっかり、姉ちゃんのとこ忘れてたぁぁぁあ!?
そのどこかかなり冷たいような、それでいて低い声を耳に捕らえ。
すっかり忘れていた姉の存在を思い出し。
思わずそのまま硬直してゆくリナの姿。
硬直するリナとは裏腹に。
ぴしぴしと音を立てて今にも先ほど、レナによって氷づけになった、溶岩の柱が。
音を立てて、はぜわれ始めているとあるひとつのマグマの柱をその瞳に捕らえつつ。
その中心にと具間みえるそれを指差し。
「どうして、『あれ』が、あんな中にあるのか説明してくれるわよねぇ?んっ?んっ?リナちゃぁぁぁぁん?」
にこやかなまでに絶対零度の笑みを妹であるリナにと向かって微笑みかけるそんなルナに。
「あ゛あ゛あ゛!姉ちゃん、ごめんなさぁぁぁぁぃぃぃぃぃぃぃ!
  噴火口にはかわりないからいっか、とおもったのは事実ですぅぅぅぅ!お仕置きはいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叫びつつも、しっかりと。
娘をかばうように、後ろに移動させているリナではあるが。
そんな三人の様子をしばし、目を点にして眺めつつも。
「というか、おぬしたち、そんなことをいっておるばあいか!?また、氷がとけて、再び活動をはじめるぞ!?あれらは!?」
ピシピシピシ。
あたりに響き渡る、氷の割れる音と溶ける音。
だが、さすが、というべきか。
普通の魔道士が放った氷の術程度では、どうやっても、噴火しているマグマ、すなわち、溶岩が固められる、など。
今まで聞いたことすらもない。
「うーん、でも、さっすが、レナちゃんよね。噴火している最中の溶岩、ものの見事に凍らせてるし。」
完全にと氷付けになったそれらをみて、しみじみそんなことをつぶやくルナに。
「そりゃ、姉ちゃん、あたしとガウリイの自慢の娘だもんv」
などといいつつ、ぎゅっとレナを抱きしめているリナ。
母親に抱きしめられて、上機嫌になり。
「わーい、おかーちゃまに、だっこ、だっこぉお!レナうれしい!」
などと状況などまったくお構いなしに喜んでいるレナではあるが。

「…というか、あなた方…聞いてます?もしもし?」
一人。
なぜかぽつんと取り残され。
いまだにピシピシと、氷がわれ始めている音が鳴り響く中。
つぶやくマッケランの声は…そのまま、風にとかき消されてゆく…


そんな、親子と姉妹、そんな様子はお構いなしに。
やがて、一時後には。
レナが氷付けにしたすべてのマグマの柱が。
ものの見事に氷解し、再び噴火を開始し始めるのは。
そう、数十分もしないうちのことであった……

                             -続くー



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まえがき:

うーん。火山噴火の表現。
なかなかに難しいですねぇ。
まあ、ぷっちゃけていえば。大地の割れ目のいたるところから、マグマ、すなわち溶岩が噴出している。
そう、この噴火の様子は想像してくださいなv(こらこらこら!
何はともあれ、いくのです!

2004年3月12日某日

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あとがきもどき:
     薫:とりあえず、ようやくレナ&ルナ。
       リナとマッケランに合流ですvといっても。
       完全に忘れ去られているマッケラン・・・・
    エル:で?このあたしはいつ登場なのかしらv
     薫:あ゛あ゛!エル様ぁぁぁあ!?
       ・・・・・・・エルさま、そーいえば…レイナちゃんに…(汗
    エル:あら、当然、レイナはあたしの混沌の一部というか欠片受け継いでるから。
       並大抵なことはできるわよv
     薫:・・・いやあの、『並大抵』って・・・・(汗
       ま、まあ怖いですからあまり深くは聞きませんけど・・・・(汗
       とりあえず、ガウリイ登場と。
       あと、馬鹿どもの参加と。
       そのとき・・・・ですかね。エルさまは…
       って!?あの!?何を手にされてるんですかぁぁぁ!?(絶叫!
    エル:え?んっふっふっふっv
        そんなにあたしの登場、後にしたいのねぇ。あんたはv
     薫:いや、だからって、その大すりこぎもどき、しかも電動式!?は何ですかぁぁぁ!?
    エル:そういえば、今日の食事のだしをとらないとねぇ。
        えいv


     薫:うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・


   ゴーリゴーリゴリゴリゴリ……


  エル:はい。何やら何かがすりつぶされている音が響いてますが。
       あまり気にしないでやってくださいね。
       さて、どこかにいってしまった薫はおいといて。
       それではまた、皆様また次回にておあいしましょぅv
        それではねv


        さって、そろそろきれいにだしにする粉、できたかしらね♪
        あら、まだ、少しばかり原型が…えいvv

   ゴーリゴーリゴリゴリゴリ……

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