エル様漫遊記 ~バトル・オブ・セイルーン編~
大通りの先を進んでゆくことしばらく。
その先に霧に記すんでたたずんでいる人影。
その数、約四十数名。
正確にいうならば、43人v
くすっ。
「あら♡お待ちかね?」
あたしの言葉に、中の一人が面白いまでにと芝居がかった仕草で。
髪をかきあげながら、そして一歩前にと進み出る。
「やあ。お待ちしてましたよ。お嬢さん。」
いってあたしに話しかけてくるのは…いうまでもなく…
「へぇ♡あなたが出迎えてくるとはね♡
今頃フィルに捕まっていると思ったのに♡ね?アルフレッド♡」
くすっ。
あたしの言葉に。
「……どういう手を使ったのかは知りませんが…あっさりとばれてしまいましてね……
まったく。どいつもこいつも僕の計画の邪魔ばかりをする……」
などといいつつぶつぶついっているのは、
いうまでもなく、カンヅェルの手の平で踊らされていた。
というのにいまだに気づいていないクリストファの一人息子であるアルフレッド。
「日ごろの行いが悪いんじゃないの?」
くすっ。
そんなあたしの言葉に。
「なかなか言って下さいますね。」
いいつつ目を細めているし。
「あら、望んでいるんだったらもっといろいろといってあげるけど♪」
あたしの言葉に。
「いやもう十分ですよ。…そろそろ決着をつけますか。」
そういうアルフレッドの言葉と同時に。
「そこの女はこちらで始末する。」
何とも無謀な声が夜霧の中にと響き渡る。
「この声!?」
ガウリイが何やら叫び。
あら♡
「―――貴様か……」
そちらをみて一言いっているアルフレッド。
そして口元には苦笑を浮かべていたりする。
「まあいい。いずれにしろこいつらは始末しなければならんからな。…好きにするがいい。」
そんなことをいってるし。
だからムリだってば♡
「そうさせてもらおう。」
そういう声はあたし達の後ろから。
夜の闇をまとったような黒い格好をしている暗殺者ズーマ。
くすっ。
「おいおい。勝手に話を進めるなよ。」
抜き放った剣の切っ先にて、ズーマの方をさしながら。
「オレはこいつのボデーガードなんでね。
それに剣の稽古の相手はオレが先に予約してるもんでね。
もしこいつと戦いたいなら、まずはオレを倒すことだな。」
そんなことをいっているガウリイ。
どうも、前回。
ちょっとしたことであたしの姿を見てからというもの、ボディーガードとか言ってたりするし。
こいつは。
それに、いまだにしつこくあたしに剣の稽古の相手をせがんできてたりするよねぇ。
ま、それはそれでどうでもいいけど。
「ふむ……ならばそうさせてもらおう。」
そんなガウリイの言葉に素直に従っているズーマ。
ぽつり、と低い声で言い放ち。
そして。
「まあ、何でも好きにやってくれ。」
半ば面白いまでに投げやりにいっているアルフレッド。
「ま、ともあれ♡話もまともったことだし、それじゃ、始めましょうかね♡」
くすり。
そう言い放ち。
そして。
「
ゴグワァン!!
軽くつぶやいたあたしの言葉に、なぜか刺客たちの中心にてちょっとした力が炸裂する。
別に何も呪文とかいらないけど。
一応人のふりをしているからには、こういったムダな行動も楽しいしね♡
あたしの放った術は、
面白いまでに一箇所に固まっていたアルフレッドが雇っていた刺客たちの中心にて炸裂し。
なぜかその程度にて気絶していたり、またはこげてうごかなくなっていたりするもの数十名。
ガウリイはというと、ズーマと対峙しているし。
あたしはあたしで少しばかり楽しませてもらうとしますか♡
「
両手を高々と上げて叫んでいるアルフレッド。
ざぁっ。
その力ある言葉をうけ、彼を中心に、羽虫のような音をたて、大地を這う黒い物体。
すう対の黒い形を生み出すそれは、輪郭が判然としない人の形を成している。
「あら♡
それをみて、にこやかに言い放つ、そんなあたしの言葉に。
なぜか勝ち誇ったような表情をしているアルフレッド。
いまだに実力がまったく違う、というのに気づいてないし……
そ・れ・に♡
いくら低級魔族だから…っていっても、このあたしに気づかないとはねぇ。
こ・い・つ・ら・は♡
本来ならば、相手の体にへばりつき、相手の気力を根こそぎ奪う。
…という性質と特性をもっているこの影獣人、と呼ばれし存在。
ちなみに、かなり力が弱いので、
物質世界においては、実体化することすらもあまりままならず、
ほうっておいても、たかが半日もすれば勝手に物質化能力を失い掻き消え、
精神世界にと還ってゆく。
「さって♡
軽く上空にそれを打ち出し。
そして。
「ブレイク♡」
パチン♪
軽く指を鳴らす。
と。
ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
それと同時に、青白い光の槍の雨が上空より降り注ぐ。
ちなみに、ちょっとした青い光のシャワー状態♡
「ぐわっ!?」
「ぐっ!?」
「うぎゃ!?」
「みぎゃ!?」
「へぐゅ!?」
何やらそんなことを叫びつつ、バタバタと倒れている刺客たち。
ちなみに、情けないことに、よけきれずにズーマも直撃うけてたりするけど。
ガウリイはきちんとよけてるのにねぇ♡
なぜかちょこっと烈閃槍程度の威力の力が当たった程度で動きを鈍くしているズーマ。
ガウリイがそんなズーマにと仕掛けようとしたその刹那。
「
夜空に青白い光が走り、その他の刺客たちをなぎ倒してゆく。
それと同時に。
「そこまでよ!」
朗々たる声が周囲にと響き渡る。
「何ぃ!?」
あわててその言葉に視線を張り巡らすアルフレッド。
みれば、通りの脇に立つ、一件の廃屋。
その二階の照らすにたたずむ一つの人影。
「馬鹿な!?」
それをみて目をむき叫んでいるアルフレッド。
「なにぜこに!?アメリア!?」
「ふっ。知れたことです!」
いって、巫女の法衣を風にとなびかせ、彼女は朗々と言い放つ。
「たとえ世間はだませても、この私の目はごまかせないわ!」
そんなことをいいつつ、そのまま、彼女は。
さぁっ。
羽織っている法衣を脱ぎ捨てる。
その下には動きやすいゆったりとした白い服。
「とおぅっ!」
掛け声とともに、アメリアはテラスの床をける。
そして、そのまま、ベランダから飛び降り身を翻し…そして。
空中でくるっと一回転し……
……ぺちっ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
着地に失敗しモロに地面とキスをする。
しばし、辺りに沈黙が訪れ…
そんなしばしの沈黙の後。
ぴょこっ。
何ごともなかったかのように身を起こし。
ぽんぽんと服についたほこりを払い落とす。
ナーガといい、このアメリアといい、あのフィルの娘だけのことはあって頑丈なのよね♡
「そこまでよ!アル!もうおとなしくあきらめなさい!」
ぴしぃっ!
そういいつつ、アルフレッドに指をさしつつ言い放つ。
「くそっ!」
ぎっ。
アルフレッドは歯を鳴らし。
「なぜだ!?いつ気がついた!?」
そんなことをいってるし。
「ふっ!簡単なことよ!ルナさんがつれてもどった刺客があっさりと教えてくれたわ!
それに、あのカンヅェルもね!」
そういい、あたしの横にきて。
「今ごろアルを探して大騒動よ!宮殿の中は!」
そういうアメリアの言葉に。
「なるほど……な。何もかもすべてばれている、ということか。」
そんなアメリアの言葉に瞳に狂気の色を宿していたり。
「いい加減にしといたら?アルフレッド。あんた悪役としては三流以下なんだし♡」
そんなあたしの至極もっともな意見に。
「悪役だと!?」
怒声を上げるアルフレッド。
「馬鹿をいえ!お前ら俗物にはわからんだけなのさ!僕のやっていることそ正義!
僕こそがこの国の王になるのにふさわしい人間なのさ!
僕が王になったらきっとこの国を今より豊かにしてみせる!
そしてずっと大きくしてみせる!この国を頂点に世界を統一することだって夢じゃない!」
何やらそんなことをいってるし。
「で?どうやってこの地区から出る気かしら?
あんたたち人間は情けないことにたかが魔族四人が張った結界から、
外に出ることもまた入ることも、この約千年できなくなってるのに?
そんなできないことをいわないのよ♡」
にっこりと微笑みいうあたしの言葉に。
「…え?…そ…と?」
…何も考えてなかったのよねぇ。
この人間は。
この地区の外のことまで。
そこのことまでは、こいつ、頭まわしてなかったりするし……
そんなあたし達の会話とは裏腹に。
「ふっ。面白い。」
いいつつずいっと一歩前にと踏み出すアメリア。
そして。
「ならその正義とやらを身をもって証明してみせなさい。アル。この私を倒すことによってね。」
そんなことをいっているアルフレッド。
ま、彼女はいわゆる正義オタク&ヒーローかぶれだし♡
そして。
「リナさんたちは手を出さないで。」
そういってくる。
「ま、好きにしなさい。残った刺客数名で遊びましょ♡」
あたしの言葉に。
なぜかじと目で。
「……おい…リナ…遊ぶって……」
何やらいっているガウリイはひとまず無視。
すでに残りはあと数名と化している。
刺客のほとんどはさっきのちょっとした雨とかで倒れていたりするのよねぇ。
まったくもって情けないことに根性がなってないったら。
ガウリイはそんなことをいいつつも、ズーマと軽く剣をあわせていたりするけど、それはそれ。
なぜかこのズーマでちょっとしたストレス解消とばかりにしてるみたいだけど。
ガウリイは。
あと腕が鈍るからっていう理由で稽古がてらに。
…あまり本気出してないし。
ちなみに、ズーマの動きは情けないことに格段にと落ちている。
先ほどの【雨】に触れたせいで、なぜか動きが鈍っていたりする。
面白い、というか、根性ある、というか。
根性だけで戦っているのが現状なのよね。
ガウリイもそんな彼に合わせて戦ってるし。
技量とか動きとかを同じにしないと稽古にはならないしね♡
「ガウリイ。いつまで遊んでるのかしら?」
あたしの言葉に。
すでに、先ほどのアメリアの登場時に。
一瞬隙を見せたズーマをみて、剣の留め金をはずし刃と柄をばらばらにはしてるけど。
なぜか、こくり。
とうなづき。
そして……
「
こちらはこちらで、先にアルフレッドが仕掛けていたり。
ちなみに、アメリアはこれをよけようとすらしていない。
十二本ほどの炎の矢は彼女に触れることはなく、あらぬ方向にとはじき飛ぶ。
「何ぃい!?」
叫んで目をむいているアルフレッド。
アメリアが風の結界をまとっているのに気づいてないし…こいつは……
それにまったく気づくことはなく。
さらには次なる呪文を唱え始めていたりする、このアルフレッド。
ちなみに、一般に普及している風の結界。
それをまとっていれば、外からの小技類の衝撃はまったく受けない。
結界をまとっていても、多少の術なら使用可能。
本当ならば大技とかもできるんだけどね。
なぜか人間の
情けないことに。
小技では通用しなかったことをうけ、
彼にとっては大技で勝負を決めようとしていたりするけど。
…それも小技なんだけど♡
「
アルフレッドの放った呪文で彼の影の中より竜の形をかたどったモノが出現する。
術者の影の中にと
…まったく、影を元にした実体化しかできないなんて…お母さん、悲しいわ♡
どうでもいいけど、この人間。
さっきからどうでもいいような低級魔族ばっかり呼んでるし。
どうせだったらSとか呼べばいいのにね♡
低級魔族程度だったら弱い、としかいいようのない輩ばかりなんだし。
ちなみに、あたしはといえば、のんびりその辺りにと腰掛て。
のんびりとアメリアやガウリイの戦いぶりを見物してたり♡
さっきの影獣人や残った数名の刺客たちは当然あっさりと倒していたりするのはお約束♡
「
高々と響くアメリアの声。
声もなく唖然として立ちすくむアルフレッド。
アルフレッドが生み出した影の竜はいともあっさりと消え去っている。
アメリアは精神世界にとそれを送り返していたりする。
「……ば…馬鹿な!?」
面白いまでに動揺し、信じられない表情を浮べ、
きょときょとあたりを見渡しているアルフレッド。
…どうでもいいけど、術の特性くらい…把握してから利用しなさいよね……
竜がいなくなったのに驚いてるし。
……本気で。
そんなアルフレッドが驚いているそんな一瞬の隙に。
ふと彼が気づくと視界からアメリアの姿が掻き消え……
次に彼が気づいたときには、すでにアメリアはアルフレッドの目前にと迫っていたり。
「…な゛!?」
がごっ!!
アメリアの肘打ちがまともにアルフレッドの顎を突き上げる。
そして、そのまま大きくのけぞり、そのまま仰向けにと倒れてゆくアルフレッドの姿が。
面白いまでに、たったのそれだけのことでアルフレッドはぴくり、とも動いてなかったり♡
「
ガウリイがうなづくとほぼ同時。
ズーマがガウリイに向けて呪文を解き放つ。
が。
「光よ!」
ガウリイの剣にと生まれる光の刃。
それであっさりとはじき返すガウリイ。
ま、ゴルンノヴァだしねぇ。
できて当たり前だし。
がっ!
そのままその光…というか、ゴルンノヴァの刃がズーマの右肩を捉える。
情けないことにいまだに先ほどのエルメキアランスのダメージがこいつ残ってるのよねぇ。
再び退くズーマに対し、ガウリイは返す刃で切りつける。
ガウリイの一撃はズーマの身が手を肩口からすぱっと切り落としていたりする。
…戦っても、負けは確実、そう判断し。
そして、ズーマは大きく後ろにと退き跳び。
そして…
くるっ。
身を翻して路地の奥にと姿を消してゆく。
「あっ!まて!」
ガウリイが何やらいうけど。
なぜか。
ごけっ!
何もないところでこけてたり♡
あらあら、どうしたのかしらね♡
ちょっとした空気の塊に躓いてるし♡ガウリイは♡
そして、逃げ去ったズーマと。
倒れているアルフレッドをみつつ。
「終わったわね……ピクトリー!!!」
などといいつつ、
夜空にむかってブイサインをしているアメリアの姿が見受けられていたりする。
この子、こういうところって結構面白いのよね♡
「とりあえず、こいつ連れて王宮にもどりましょ♡」
あたしの言葉に。
「…リナぁ。おまえ今何かしただろ!?」
何やらわめいているガウリイ。
「あら♡何のことかしら♡」
「……も、いい。」
「はい♡ガウリイはそいつ抱えてついてきてね♡王宮にもどるわよ♡」
何やらぶつぶついっているガウリイをそのままに。
ガウリイにアルフレッドを担がせて、あたし達は王宮にともどってゆく。
さって。
少し後から遊ぶとしますか♡
-続くー
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あとがき:
薫:さって、残りあと4ページv・・・結構打ち込みに時間かかりますねぇ。
といっても、初期のころよりは少しは打ち込み時間が早くなっているのかな?
さてさて。
次回、アルフレッドの処分(?)ですv
ではではv
2005年1月26日某日
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