エル様漫遊記  ~バトル・オブ・セイルーン編~


夜があけ、王宮は面白いまでに一気にあわただしさを増してゆく。
アルフレッドにはこっそりとクリスタルを突き刺しておいたりして♡
まあ、一応は彼、純粋なる思いからやってたしねぇ。
…行動はともかくとして。
かぁぁぁぁぁぁぁなり少ないけど、アレを創るのに利用できるしね♡
フィルたちはというと、アルフレッドを離れの一軒に放り込んで見張りを立てている。
はっきりいって、見張りをつけてても無意味と思うけど。
確実に記憶も何もかも忘れてるしね♡

しばらくしてから、フィルはあたしとガウリイをつれて、クリストファの姿を探し始める。
ルナはカンヅェルに付きっきり。
なぜかカンヅェルに対して何やらいっていたりするようだけど。
王宮の人達の誰もが手がだせないのでルナにその役目が回ってきただけのことなんだけど。

クリストファはただ一人、王宮のロビーにあるソファーにぼんやりと座り込んでいたりする。
面白いまでに完全に気力を失っている。
「クリス。」
フィルの呼びかけにようやく彼はこちらにと視線を向ける。
そして。
「兄上…ですか……」
つぶやくようにいい。
「事情は知っておるな?」
そう問いかけつつ、向かいのソファーにと腰をおろすフィル。
そんな彼の言葉に力なくうなづくと。
「あいつの……アルの様子は?」
「まだ気を失ったままだ。そのうちに目を覚ますであろう。」
そういうフィルの説明に。
「…そう…ですか…」
何やらつぶやき、そして深く息をつく。
「……そもそもは…すべて私の責任…ですよ…」
いいつつ、その顔を手で覆ったまま、ぽつりとやがて話し始めるクリストファ。
「私ですよ。あいつにこんな野望を吹き込んだのは。
  考えてみれば私はあいつが物心ついたころから…
  自分の境遇についての不平ばかり聞かせていたようなきがします。
  …生まれる順番が少し違えば王になれていたはずなのに…とね。
  あれが今度の計画を打ち明け…
  王宮の外で私を助けてくれたことがあるカンヅェルを引き会わせたときも。
  私はそれを止めるどころか嬉々として話にのった。
  …しかし、いつかはこういう破局が訪れる……
  その予感を胸に抱きながらも、自分の野望を息子に押し付け巻き込んでしまった……」
そういい、再び息を深く吐き。
「それだけが悔やまれてなりませんよ…親として…ね……」
いいつついまだに手で顔を覆っているこのクリストファ。
そして。
「私はどのように罰してもらってもかまいません。
  …自分の野望に生きて滅びるのだから。しかし、あいつは違う。
  私の野望を刷り込まれ、それを自分のものと信じているだけなにんですよ。
  親ばか、といってもらって結構。
  しかし…できれば都合のいい願いだということは承知の上で頼みます。
  どうか兄上…あいつには厳しい処分をせんでやってください……」
そういう彼の言葉に。
「それは…アレフルッド次第じゃな。」
淡々と答えているフィル。
そんな会話をしている最中。
バタバタバタ!!
「殿下!!!!!!!!」
息を切らしつつ廊下を駆けてくる兵士達の姿。
そして。
何やら面白いまでに混乱しつつ。
「アルフレッド様が目覚めました!…ですが…それが……とにかくきてください!!」
そんな兵士達の様子に。
「アルに何か!?」
悪い予感が頭に浮び、顔色が悪いクリストファ。
そして。
互いにフィルとクリストファは顔を見合わせ。
そして……
そのまま、兵士達にと連れられて、というか走りつつも、
アルフレッドが閉じ込められている一室にと向かってゆく。
無論、あたしとガウリイも一緒だけど。


ガチャ。
扉をあける。
「あれ?父さん?どうしたの?そんな顔をして?」
アルフレッドが隔離されている離れの一軒屋。
そこにやってきたクリストファに対してキョトン、とした声を上げているのは、
他ならぬアルフレッド、その当人。
「…アル…お前……」
そんなアルフレッドに何やら声をかけかけているクリストファ。
だがしかし。
兵士に呼ばれて同じくやってきていたルナが。
「……記憶が抜けてますね……」
アルフレッドを一目みて、そんなことをいってたり。
そんなルナの言葉に。
「な゛!?どういうとこですか!?」
面白いまでに驚いて、ルナにと聞いているクリストファの姿が。
そんなクリストファの様子をみて、ため息を一つつき。
「たぶん、今度の一件、彼…何も覚えてませんわよ……」
いって、あたしのほうにと振り向き。
そして。
『……記憶と一緒に彼の悪意までなくされたんですか?エル様?』
テレパスにおいて、あたしのにみ聞こえるようにと聞いてくるルナ。
くすっ。
『そうよv一応、このアルフレッド、ある意味では純粋だったからねぇ。
  新しい世界創りの材料として、協力してもらったのよ♡』
ルナに聞こえるようにと返事を返すあたしの言葉に。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
なぜか黙り込んでいるルナだし。
……そういえば…エル様…
人間等とかいった生命の感情だけで世界を創るとか何とかいってらしたっけ…(汗
そんなことを思ってるし。
「??父さん?あれ?何かふけた?一体?」
「…アル!?」
まあ、数年前からの記憶が綺麗さっぱり消えてるしね。
さってと。
これでちょっとした騒動が王宮内部にてまたたま勃発しそうね♡
一応主犯格であった、アルフレッドの記憶が綺麗さっぱりときえて、
しかも、記憶喪失に数年間分なってたりするし♡
なぜか。
そんなアルフレッドの様子に……面白いまでにと王宮内部がざわついてゆく。
楽しいったら♡


「もう出発ですか?」
明けて翌日。
あたしとルナとガウリイが出発しようか、というちょうどそのとき、
アメリアがあたしの部屋を覗いてくる。
そんなアメリアの言葉に。
「え…ええ。とりあえず、コレ…どうにかしないといけませんので……」
そんなアメリアにと答えているルナ。
ちなみに、横にはふんじばられているカンヅェルの姿があったりするけど。
結局、このカンヅェルはルナが引き取る、ということで話がついてたり。
なぜかこの程度の実力の魔族に対してひるんでるのよねぇ。
ここの人間達ってば。
「ま、そんなところね。」
そんなあたしの言葉に。
「何か隠してますね?ルナさん、リナさん!」
何やらいってじっとあたし達を覗き込む。
そして。
ぴっと指を突き立てて。
「私たちに言っていない『何か』をあなたたちは知っているんじゃないか。ということです!」
などといっているアメリアだし。
「何かって?」
くすっ。
そんなあたしの問いかけに。
「そう。たとえばどうしてこの国に魔族が入り込んでいたのか!などということよ!」
などといいつつ。
そして。
「……最近、あちこちでいろんなことが起きてるわ。
  私の見えるところと見えないところでいろんなことが。
  どうも何かが大きく動き出してイるような気がするのよ。
  私の直感ではそれが悪しきものだと告げている!すなわち、正義の血が騒ぐのよ!」
などとそんなことをいっているアメリア。
そして、何やらポーズをきめて、天井にと指を差していたりする。
くすっ。
「あら、ルナ?何か教えたのかしら♡」
あたしの言葉に。
「いえ、滅相もないです!」
などとぷるぶると顔を横に振っているルナ。
そんなあたし達の言葉にまったく気にも留めることもなく。
というか自分の世界に浸っているから気づいてない、というのが正解なんだけど。
「そしてね。リナさん。
  私の勘なんだけど、その動きにはなぜかあなたが何かの形でかかわっている。
  そんな気がしてしかたがないんです!
  現にそこの魔族を問い詰めても、【リナさん以外の人間はできうる限り傷つけるな。】
  そう命令を受けているっていってましたし!」
そういいつつ。
ビシッ。
カンヅェルを指差し言い放つアメリア。
「…あんた、たかだか人間に問い詰められたくらいでそんなこと言ったわけ?情けない……」
まったく、本当に情けないわ…
あたしの冷ややかな言葉に。
「し…仕方ないであろう!?
  一晩中、耳元で【人生ってすばらしい!】などと正への賛歌を聴かされては!
  こっちもダメージうけるわ!」
何やらわめいているカンヅェルだし……
でも、その程度のことであっさりと白状するなんて…やっぱりなってないわねぇ♡
まあ、そのように確かにアメリアは問い詰めてたけど…それはそれだし。
「ともかく。あたし達の用も済んだようだし?だからもう行くわ。ルナもいつもでもいられないし。」
そんなあたしの言葉に。
「そうですね。そろそろバイトに戻りませんといけませんので…
  失礼いたしますわ。アメリア様。」
いって軽くぺこり、と頭を下げているルナ。
そういうあたし達の言葉に。
「…でも……」
いまだに何やら言いかけるそんなアメリアをそのままに。
とりあえずあたし達はそのまま、その日のうちにと王宮を後にしてゆく。


「それでは、リナさん。私はこれで。」
一緒にいたいのはやまやまですけど…そんなことを思いつつも。
あたしにぺこり、とお辞儀をし、ゼフィーリアにと戻ってゆくルナ。
ちなみに、空間を渡って瞬間的に戻っていったのはいうまでもないけど。
カンヅェルはとりあえず今だにあたし達のところにいるし♡
さってと♡
そんな会話をしつつも、あたしとガウリイ、そしていまだに縛られたままのカンヅェル。
彼をつれて、セイルーン・シティの町外れにと移動してゆく。

セイルーン・シティの町外れ。
その先に位置しているとある林の中にてとりあえず足をとめ。
「さってと♡ここいら辺りでいいわよね♡」
そういい、足をとめてにこやかに微笑むあたしに対し。
「?リナ?何をするんだ?」
いいつつあたしに聞いてきているガウリイ。
どうやらこいつに何かする気らしいけど……
そんなことを思いつつ、カンヅェルをみてあたしに聞いてきていたりするけども。
「ふふ♡決まってるじゃない♡実験よ♡」
にっこりと微笑むあたしの言葉に。
「実験?」
首をかしげているガウリイ。
くすっ。
「そ♡もしこれに耐えられたら釈放してあげてもいいわよ♡カンヅェル♡」
くすり、と微笑みいうあたしの言葉に。
「??実験?」
何やら眉をひそめているカンヅェル。
「そ♡あたしが今から五つの呪文を放つから、それに耐えるだけ♡」
にこやかに微笑むあたしの言葉に。
「…ふっ。そんな簡単な……」
そういや、こいつ、ルナからあたしの正体…聞いてないしね♡
まあ、あたしも言わないように、と釘を刺していたのもあるにしろ。
「それじゃ。烈閃槍その1v」
「ぐぎゃ!?」
「烈閃槍その2vv」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
「烈閃槍その3v」
…ぽびゅっ。
「…って、ちょっと。まだあと2つも残ってるわよ?」
なぜかこの程度の術において、もはや完全に形でなくなっているカンヅェル。
ほとんど透明、ともいえる姿が透けかけた、一つの団子のようになっていたりする。
「……何だ!?…この威力……」
何やらそんなことをかろうじてつぶやいているカンヅェルだけど。
「烈閃槍その4vv」
パッシュッ!
「…あら、この程度で滅びちゃった。情けない……」
なぜか四度目の力において、あっさりと、
精神世界面からも、物質世界面からにおいても、完全にと消滅していたりするカンヅェル。
「って?リナ?今の…何なんだ?」
何かあの魔族のやつの気配がまったくなくなったけど……
そんなことを思いつつ、あたしに聞いてきているガウリイ。
「ああ、たかが呪文の威力を倍に倍にとしていって実験しただけよ?」
にこやかに答えるあたしに。
「…いや、倍にって……」
何やらつぶやいているガウリイ。
―――と。
「いたいた!リナさん!」
カンヅェルが消えたと同時、というかその直後。
やおら元気な声があたし達の耳にと聞こえてくる。
ふと振り向けば、いわずとしれた森の外から走ってくる一人の女の子。
「ん?…えっと・・・あれ?ああ、確かフィルさんの!」
ぽんっと手をうっているガウリイ。
「あら。アメリアじゃない。どうしてこんなところに?」
わかっているけどとりあえず、ここはお約束♡
走ってきた女性…アメリアに話しかけるあたしの言葉に。
彼女は息をきらせつつ、パタパタと手をふり。
「父さんを説得して王宮をでて、あちこち聞き込んであなたたちの足取りを捕まえたんです!」
などといっているアメリアだし。
「いや…そうでなくて、オレたちを追ってきたのか?」
そんなアメリアをみて目を点にして聞いているガウリイ。
そんなガウリイの言葉に対し。
「言ったでしょう?」
いって、ガッツポーズをとりつつ。
「何かがどこかで動いている!そしてそれにあなたもかかわっていることらしい!
  ならば!私はそれを見届けて悪なら正義の鉄槌を下すのよ!!」
面白いまでにと一人で盛り上がっているアメリア。
そして。
「と。いうことで、あなたたちに引っ付いていきますから。
  よろしく!!リナさん!えっと、ガウリイさん!」
にっこりいって。
ぺこり。
と頭を下げているアメリアだし。
そんな彼女の言葉に。
「よろしくって……」
目を点にしているガウリイ。
そんなガウリイににっこりと微笑み。
「大丈夫よ!父さんを説得して王宮をでたから!
  それに!グレイシア姉さんもいることだし!」
まあ、その方が危ないような気もするけどね。
ナーガだし♡
「…説得されるか?普通?」
そんなアメリアの言葉に目を点にしてつぶやいているガウリイ。
くすっ
ま、フィルだし。
「それに!王宮のお嬢様で一生平穏に過ごすより正義にその身をささげ、
  波乱万丈の人生を送るほうが燃えます!
  やっぱり人間は太く短く、それでいて心のままに生きないと!」
きっぱり言い切っているアメリア。
まあ、フィルも、このアメリアも、ちょくちょく王宮を抜け出してるけどねぇ。
ふふ♡
そんなきっぱり言い切るアメリアの言葉に。
「……なあ?リナ?…どうやら…説得…ムリみたいだぞ?」
面白いまでに目を点にしあっけにとられつつ言っているガウリイ。
「さて、話がまとまったところで!次はどこにいくんですか?リナさん?」
にっこりとそんなことをいいつつあたしにと聞いてきているアメリアだし。
「…いや、まとまってないとおもうが……」
何やらいっているガウリイをそのままに。
まあ、アメリアが一緒だと…
…あまりちょっとした力とかは、始めのころは使わないほうがよさそうね♡
気づかれても面白くないし♡
今気づかれても、このアメリアに光と闇が必要不可欠。
とかいっても理解できないでしょうしね。
理解できても納得しないとおもうし♡
まあ、あたしは光でも闇でもどちらでもないけどね。
元々、それらもあたしが創り出したものだし♡
「そうねぇ。とりあえず、ディルス王国かしらね♡」

ディルス王国。
それは、人間達が伝えている伝説が残る国。
ちなみに、唯一、このあたし…
というか、【金色の王ロードオブナイトメア】のことを正確にと知っている王国でもある。
もっとも、事実を知って以来、
一部のもの達以外には決して伝えられないようにしてたりするようだけど。
以前あたしがちょっぴしルナと一緒にいったときに間違い訂正しておいたからねぇ。
ま、それはそれだし。

「それでは、これからよろしくおねがいします!」
「……ま、まあリナがいいんだったらいっか。」
「そね。それじゃ、いきますか♡」

とりあえず、あたしとガウリイ…そしてアメリアも加わって。
あたし達はそのまま出発してゆく。

さってと。
一人増えて少し楽しくなりそうね♡


                           -続くー


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あとがき:
薫:さてさて、ようやくセイルーン編も完了ですv次は白銀の魔獣編v
  ・・・まあ、このあたりから本編(?)でアップしてるのとあまり代わり映えがないんですがね。
  なぜか最近、ベゼルドの漫遊を読み返してたり(こらこらこら!)
  ・・・突発てきに打ち込みしようかしらん?(だからまて)
  何はともあれ、それでは、また次回にてvv
  ・・・IFのエピローグ・・・うちこみしないとなぁ・・
  2005年1月26日某日


  
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