エル様漫遊記


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「悪趣味だな。」
地下に続く階段をおり。
そこにとある扉をくぐり。
そこにある風景を目にして。
ぽつり。
と、そんなことをつぶやいているミルガズィア。
それをみて。
その場で完全に握りこぶしを握り締め、わなわなと震えつつ。
「こんなの!正義じゃありません!」
などとエキサイトしているアメリア。
まあ、こっちの方は。
あちらの実験場みたいなものだしねぇ。
目の前にあるのは数多のクリスタルのケースにと入っている様々な物体。
といっても。
まず手近に。
彼ら、というかここの領主が手がけている人身販売。
それらの売れ残りの存在をつかい、様々な実験を施しているそんな様子が見受けられ。
一応、ここの領主は人々に慕われてはいるものの。
だが、実状はこれだとは、いまだに誰もわかっていない事実。
まず、簡単なところからいけば。
人間、エルフ、ドワーフ、竜族、エトセトラ…
ある程度の主だった種族の数体の各パーツごと。
それらが、小さなケースにと保存されており。
ちなみに、彼らはといえば生きたまま解剖された、という事実があるにしろ。
そして、その中にと入っているのは、このあたりでは、『生命の水』と呼ばれているもの。
まあ、パーツ別のケースはまだしもとして。
アメリアがエキサイトしているのは。
様々な種族を掛け合わせ、というか合成し、そして、それにより生じた実験体。
それらをみてエキサイトしているのだけども。
ちなみに、きちんと細胞と霊的部分の合成がなっていないがために、
すべてがここにおいてある存在たちについては失敗していたり。
簡単にいえば、この場においては、
様々な種族同士を掛け合わせた合成獣の作成を担当というか実験し。
そして、あちらにおいては魔と人の合成を担当し、というところなのだけど。
まあ別に聞かれてないし、別の場所のことを今教える必要はないし。
「悪趣味ですわ…」
それらをみてぽそり、とつぶやいているメフィに対し。
その横でわなわなと、その部屋にと並んでいるケースを見渡しつつ。
「リナさん!!!!!!この人たち、元に戻すことできますよね!?お願いします!」
「何!?」
「何ですって!?」
アメリアの言葉に面白いまでに目を見開いているミルガズィアに驚愕の声を上げているメフィ。
「まあ、リナなら確かに確実に可能だろうなぁ。
  一応ここにいる人たち、まだ生きてるみたいだし?」
のんびりと。
そこいらのケースに入っている存在たちにいまだに魂が宿っていることを勘で感じ取り。
そんなことをいっているガウリイ。
「…まあ、リナなら可能だろうが…だが、ガウリイ?こいつら生きてるのか?」
何というか、ガウリイの旦那の勘は本当にあきれるものがあるな。
そんなことをおもいつつ。
ガウリイに問いかけているゼル。
その言葉に。
「うん?気配でわかるだろ?」
あっさりと、そんなゼルの質問に答えているガウリイだし。
そんなガウリイの言葉に。
「あんたでないとわからないってば…」
ため息とともに、つぶやくゼル。
くすっ。
そんな彼らの会話を傍目でききつつ。
くすりと微笑み。
「で?どうするの?リナ?」
くすくすと笑い、にっこりとあたしに聞いてきているユニット。
「そうね。確かにこれはあまり眺めがいい、とはいえないしね。それじゃあやりますかv」
にっこり微笑み。
かるく右手の人差し指を軽くかざし。
その先にと小さな光の球をうみだして、その球を天井にむけて解き放つ。
と。
ぱぁぁぁぁぁ!
天井につくかつかないかの所でその光が、部屋全体を多いつくし。
部屋そのものが光の中にと一瞬包まれる。
ドサッ。
ドササササッ。
その光の中。
何かが床に倒れ付す音が全員の耳にと届きゆく。
あまりのその光のまばゆさに、目をつぶっているあたしとユニット以外の全員。
光が部屋を覆ったのはほんの一瞬。
光が収まり、ゆっくりと瞳を開いた彼らが目にしたものはといえば。
「「うどわ!?」」
「何ですの!?」
「さすがです!リナさん!」
面白いまでに驚いて、一歩、後退さるミルガズィアに。
驚愕の表情をしつつ。
それでいて、リナっていったい…などと思いつつ。
瞳を見開いてあたしをみているゼル。
そして、目の前にと見える光景に思わず驚き口を押さえているメフィ。
そして。
それらをみて、状況を判断して、瞳をきらきらと輝かせ。
ガッツポーズをとっているアメリア。
彼らがみているのは、何のことはない。
先ほどまでケースにとはいっていた様々な存在。
それらが床にとケースからでて倒れている様子。
ちなみに。
掛け合わされていた存在達は、すべて元通りの体にと戻っていたりするけど。
面白くないので、れは当然v
彼らには自分がどのような状況に置かれていたのか。
そのきちんと記憶を持たしたままだったりv
床にと倒れているのは、大人から子供までといった、様々な種族の女性たち。
何でも、女性のほうが、細胞的に掛け合わすのに便利だし。
何かと都合がいいから、という理由によるものなんだけど。
そんなことは、まああたしには関係ないことだし。
「さすがです!リナさん!」
そんなことをいっているアメリアに対し。
「…おじ様…普通、人間がこのようなことをできるのでしょうか?」
なぜか声を震わせて、そんなことをつぶやくメフィに対し。
「……不可能だろう。いったいリナ殿とは……」
なぜかそんな些細なことを話しているミルガズィア。
「あら、この程度は誰でもできるんだけど。」
「そうそう。この人たちって。精神、つまり魂から融合してたわけでなし。
  ただ、無理やりにくっつけただけですし。
  誰でもできますよ?物体そのものがもつ正常な流れ。
  流れと仕組みに戻せばははだけのことですから。
  それに、各自の意思が残ったままなので、難しいことではありませんよ?」
にこにこと。
そんな二人に説明しているユニット。
「「……難しい、というかできないと思う(が)(んですが)」」
「リナさんだからいいんです!人々が助かったんですから!」
「お~。さすがリナだなぁ。」
そんなユニットの説明をききつつも。
何やらつぶやいている、ゼルガディス・ミルガズィア・メフィの三人に対し。
がっつポーズをとりつつも断言しているアメリア。
そしてまた。
のんびりとそんなことをいっているガウリイ。
「まあ、そんなどうでもいいことはおいといて。それより、彼らどうする?」
アメリアが先ほどエキサイトしているそんな中。
あたしたちを追いかけてきていた兵士たちが。
追いついてきて、あたしたちと同じ光景。
すなわち。
ケースの中にと入った実験されてた様々な物体を目撃して絶句しているのは。
アメリアたちも気づいてはいたものの。
彼らがそれをみて、完全に固まり、
何も仕掛けてこなかったがゆえに無視していたに他ならない。
そしてまた。
今、あたしがそれらのモノを元の体に戻したのをうけ。
さらにその場で固まっている兵士たち。
そんな兵士たちの後ろで。
何やら頭を抱えているSに。
コメカミを抑えているルナの姿が具間みられていたりするけども。
今だに何やらぶつぶつといっているミルガズィアとメフィと。
「……リナもだが、このミリーちゃんもいったい…」
何やら頭を抱えて小さくつぶやいているゼル。
「まあ、そんなことより。とりあえず、これをやるようにと指示していた張本人。
  その彼にここに来てもらいましょ♡」
「「って!?まさか、ユニット様!?」」
そんなにこやかに言い切るユニットの言葉の意味を悟り。
何やら同時にと叫んでいるルナとSことレイス。
にっこりと微笑み。
そのまま、横の壁を軽くたたくユニット。
と。
グニャリ。
横の壁が一瞬揺らぎ。
次の瞬間には。
どさっ!
「「何!!!!!!?」」
壁から出現したとある人物の姿をみとめ、何やら同時に叫んでいるあたしとユニット。
そしてガウリイ以外の人々の姿。
そして。
「……ああ、やっぱり…」
「あきらめましょう。レイス。何しろ相手はリナさんとユニット様ですわ……」
なぜかそんな会話をしているルナたち二人。
「……ちと聞くが、リナ殿?今あの子は何をやったんだ?」
なぜか乾いた声で、あたしにと聞いてくるミルガズィアの言葉に対し。
「別にどうってことないけど。
  領主が座っていた椅子の背もたれと、そこの壁の空間をつなげただけだし。」
さらりと事実をそのまま説明しておく。
つまり、今やったのは、至って簡単なこと。
やろうと思えばだれでもできるし。
この城の持ち主、というか主である、カドヴェル公。
彼が居座っていたのは、ほかならぬこの城の玉座の間。
城の最上階にと位置するそこには。
彼の私室と、玉座の間。
それと、テラスに続く扉と、屋上に続く階段。
それらしか存在していない空間のそこより。
その玉座の間の奥、つまり、そこにある左右対称の椅子。
その左側にと座っていたカドヴェルの椅子の背もたれ。
それを、ここの壁の空間とつなげたのに他ならない。
「「……いや、空間をつなげたって……」」
そんな当たり前の言葉に何やらつぶやいているミルガズィアとメフィ。
「まあまあ。ミルガズィアさん。
  あまり気にしないでください。というか、本当に追求しないでくださいませんか?」
なぜかその瞳に涙をためて、そんなことをミルガズィアにと懇願しているSの姿。
「……いや、だからなぜ貴様は心なしかおびえているのだ?魔王よ?」
そんなSの姿に疑問を投げかけているミルガズィア。
「まあ、リナだし。相手は。」
それですませているガウリイに。
「できましたらリナさんに関してはあまり追求しないでいただけるとありがたいですわ。
  それより、兵士の皆様がさらに驚いて固まってしまいましたけど。どうなさるのですか?」
こちらもまた。
なぜか少しばかり乾いた声で、そんなことをいってきているルナの姿。
ちなみに。
そんなルナとレイスの後ろにおいては、先ほどの光景と、今の光景。
すなわち、肉体を実験体にとされて、異形のものにと変化されていた物体。
それを目の当たりにして絶句していた兵士たち。
そして、さらにはその直後。
あたしが何やら指先に光を出現させたかと思うと。
その光が部屋全体を覆いつくし。
彼らが気づいたときには、それらが、クリスタルのケースより出でて、
床にと転がる様々な種族の身体があるのを直視して、なぜか固まっている兵士たち。
さらには。
その固まりというか硬直が解けないままに。
次に彼らが目にしたのは。
壁から、自分たちの主である、カドヴェルがいきなり出現した。
ということ。
それらの数点をみて、なぜか混乱し、いまだに硬直し固まっている兵士たち。
どうでもいいけど。
入り口付近でそんなに固まってたら、後から入ろうとする人たちに邪魔でしょうにね♡

あたしたちがそんなほのぼのとした会話をしているそんな中。
一方、この城の最上階にと当たる玉座の間。
ちなみに、こういう実験を行っていたということは、
彼自身と、それと数名の者しか知らなかったりするんだけど。
大臣などはその事実をまったく知らない、という事実があったりするけども。
ゆえにこそ。
自分たちの主である、領主カドヴェルをあがめ。
もっとも。
ちょうど、この町との姉妹都市であるソラリア・シティより客人がやってきていることもあり。
謁見の儀を行っていたその矢先。
いきなり。
彼らと対面していた領主の姿が。
まるで、椅子の背もたれにと吸い込まれるようにと掻き消えてゆき。
面白いことにちょっとした騒動と最上階ではなっていたりするけど。
ま、それは別にアメリア達に聞かれてないから教える必要はないし♡

「ちょっとまて!こいつは!?」
その顔に見覚えがあるゼルが壁から現れた男性の顔をみて何やら叫んでるけど。
「?ゼルガディスさん?知り合いですか?」
そんなゼルにと問いかけているアメリア。
「知り合いも何も……確かこいつは。ここの領主カドヴェル本人だ。」
「……何ですってぇ!?すると、この人が悪の根源!!!
  ここであったのがそれこそ天の神、正義の力のなせるわざです!
  さあ!今こそ、私たち正義の使者の名の下に!今こそ悪に鉄槌を!」
その言葉にあっさり納得し、こぶしを握り締めるアメリアに対し。
「……いや、だからどうしてすんなりと信じられる?」
何やら乾いた声をあげているミルガズィア。
「だってリナさんですし。それにこのミリーちゃん、リナさんのお友達というか親友ですし。  何があっても不思議じゃないです。」
きっぱりいいきるアメリアに。
「ま、確かに、もう何があってもあまり驚かないな。
  何しろアレらですら、リナに対しておびえていたからなぁ……」
何やら少し前の、部下DとVたちのことを思い出して。
そんなことをしみじみといっているゼル。
そんな二人の言葉に。
「……獣神官。そして魔王よ?いったい、このリナ殿とはいったい?」
横にいる、ちょうど降りてきたゼロスとそしてまた、Sにと問いかけているミルガズィア。
そんな彼の質問に。
なぜか。
「いえません。それは秘密なのですよ。申し訳ありませんね。
  でも、それはこの世界のためでもあるのですよ。」
「ミルガズィアさん。下手な好奇心は、身を消滅させますよ?あはははは♡」
そんなミルガズィアの質問を、さらりとかわしているこの二人。
……S、どういう意味かしらぁ?
あとでしっかりと問いただすとしますかね♡
「ところで。あなた方、どうします?もし、リナさんたちに危害を加えるようであれば。
  私も、『赤の竜神騎士スィーフィードナイト』として。
  あなた方の上司の行いを見過ごすわけにもまいりませんのですが?
  今はリナさんのお力で人々は元の姿に戻られましたが。
  生命を冒涜する行為であることは疑いようはありませんことですしね。
  あなた方はどちらの味方をいたします?」
にっこりと。
だけども、まったくひとつも笑っていない笑みを浮かべて。
その手に赤竜の剣を出現させ。
少しばかり胸の前にと構えて。
いまだに一部の者たちが硬直している兵士たちにと話しかけているルナ。
なぜかルナのその言葉に。
びくり。
と反応している兵士たちがこれがまた少しばかり滑稽で面白いけど。

アメリア達とたわいのない会話をしているそんな中。
「何だ!?というか、何なんだ!?貴様たちは!?」
ようやくあたしたちにと気づいて。
何やらわめき始めている目の前にいる先ほど壁から出てきた男性。
見た目は一応、人の基準でいけば少し痩せ型ではあるけども。
ぱっと見た目、たいていの存在が。この人間はいい人。
と判断させるかのような、少しばかり笑みをそのまま張り付かせたような顔立ち。
つまり、あまり人当たりが悪い、という顔立ちではなく、むしろどこかすかれる顔立ち。
もっとも。
外見で判断する、というのは人間や、ほかの種族に対しても言えることだけど。
あまりいいこととはいえないんだけど。
表面上はいいように振舞うことなんて誰でもできるしね。
どんな存在でも。
肩の辺りまで伸ばしているストレートの黒い髪。
見た目の年齢は二十歳そこそこ。
実際は三十を超えているのだけども、外見上はそうはたいていのものたちは捕らえない。
黒いマントをその身にと羽織り。
何やらわめき散らしていたりするし。
瞳の色は藍色。
身長はそれほど高いわけでなく。
まあ、見た限り、どこにでもいる、何か人当たりのいい青年。
そんな感じに捉えられる人間…というか一般的な姿ではあるけども。
この人物こそが。
この辺り一帯を収めている領主、カドヴェルその当人。
さって。
少しばかり楽しむとしますかね♡


                                -続くー


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あとがきもどき:
薫:そういや。番外編では、エル様、ゼル、と呼んでますけど。
  まあ、それは臨機応変(笑)ということでv
  さてさて。次回で少しばかり暴れ・・・もとい。制裁を加え。
  さらにまたまた話がいっ気に飛ぶのですv
  何はともあれ、それではまた、次回にてv

2004年7月12日某日


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