まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
プロローグの栗色の髪の女性…まさかリナとおもったひとは…いないよな?(まて
ちとひっかけ~&その髪の色が物語りに重要な意味をもつのですv
何はともあれ、一話目ですv
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白銀の瞳 ~第1話~
ガラガラガラ……
ピッシャァァァァァン!!!!
ドザァァァ!!
だ……だぁぁ!
ついてないぃぃ!
「だ……だぁぁ!もう!」
「リナ!濡れたら風邪引くぞ!」
バサリ……
・・・・・・・・・
……お゛い゛!
「……だ…だぁぁ!ガウリイ!あんたの方が風邪ひくでしょうがぁ!」
ぜいぜいぜい……
こ…こいつは…………
あたしこと、リナ=インバース。
こうも見えても、かなりの天才美少女魔道士である。
先日、あたしの相棒こと、脳ミソはクラゲ並みだけども。
剣の腕は超一流で、はっきりいって人間離れをしすぎている野生の勘の持ち主。
黙っていれば、かなりの美男子。
金髪碧眼長身の、ガウリイ=ガブリエフの使う剣。
以前、こいつが持っていた超伝説級の伝説の中の魔力剣。
『光の剣』にと代わりに見つけた代わりの剣。
これがまた、やっぱり日ごろの行いがいいせいか。
これまた、やはり、超伝説級とされている。
伝説の中にと位置している『
そのあまりの切れ味に、その刃の上に別の刃をかぶせてあったとゆ~……
何ともマヌケな話ではあるが。
まあ、その危なすぎる切れ味も。
とある一件にて、共同戦線を張った黄金竜の手によって。
その剣の柄にと『切れ味を鈍らせる紋章』を刻んでもらい。
普段使うのには問題なくなっている。
ま……まあ、光の剣に関しては。
あれははっきりいって。
あたしのせいでガウリイの手から離れたような物だからして……
それで代わりの剣を見つけるまで、一緒に旅をしていたのだが……
その理由がなくなっても、こいつはあたしと一緒にいてくれる。
まるでそれが当然のように。
今は、あたしとしてはこのままでいい。
一緒にいられるだけで満足…なのであるが。
こいつは一体何を考えているのやら……
ディルスの一件が終わり。
何処ともなくたびを続けるあたし達。
今だにあの馬鹿たれ覇王のせいで。
発生している野良デーモンなどを片付けつつ。
一体、何が目的だったのか。
まさか、本気で食事をする為だけにやっていたとは到底思えないのであるが……
まあ、それはそれとして。
とりあえず、これまた、伝説級の魔王の腹心の一人。
今、こうしてあたしとガウリイは、のんびりと旅の空の下。
その旅の空の下。
いきなりの土砂降りである……
一応、ガウリイにも、あの一件以来。
何があるのか世の中わかんないもので……
一応、お守り代わりに防御を兼ねて。
ちょっとした魔力の糸で紡いでいるマントを装備させていたのだが……
この辺り、それでなくても土地柄寒いのに。
この土砂降りの雨の中。
あたしが濡れるからといって、そのマントと。
しかも!
こいつは、上着を脱いであたしの頭にとかぶせてきたのである。
……このクラゲは……
「ほら!リナ!わめいてないで!」
きょろきょろ。
あたしを雨から庇うかのようにと体勢を変えて。
辺りをきょろきょろと見渡すガウリイ。
どうやら、雨宿りをする場所を探しているようなのであるが。
その金の髪が雨にと濡れて、はっきりいって女のあたしよりも綺麗で……
………くやし~ぞ……何か……
あと数キロも先に行けば。
カタート山脈を嫌でもその視界にと入れる山間の麓。
はっきりいって、人気のない森の中。
さすがにカタートにと続く山脈の山間のせいか。
道を歩くたびに出てくる雑魚は、やはりお約束の野良デーモン達。
いかんせん。
今というか、以前からだが。
もはや、はっきりいってデーモン程度では全然動じなくなっているあたし達。
……何しろ、この約一年と少しで。
まあ、始めにガウリイとであった事件で。
それまでは伝説に過ぎないと思ってた魔王と対峙するわ。
その後は純魔族と契約している人間と戦うは……
挙句は、これまた伝説級とされている、単なる伝説とされていた。
超高位魔族の、
魔王が作り出したとされている、
五人の腹心の中で一番の実力の持ち主、
さらには、その一件が終わった後には。
これまた、魔王腹心の一人に位置している。
その直属の配下の部下、
さらに先日に至っては、その当の
ディルス王宮でやりあったあたし達……
……よくよく考えてみれば、ものすごい人生を送ってるかもしんない……
あたし……
まあ、何はともあれ。
こうして今、何ごともなく旅しているというのは。
やはり、あたしの日ごろの行いがいいせいである。
絶対に。
いつものように、盗賊のアジトに奇襲…もとい、世間に仇をなす盗賊達を懲らしめて。
その代わりにちょっぴり、その盗賊達の集めていたお宝を没収し。
そろそろどこかの村か町にでもいこうとしていたその矢先。
いきなりの雷と共に、この土砂降り。
まるでバケツをひっくり返したような大雨である。
大雨に加えて雷まで……
ヒョイ。
……まてぃっ!//
「リナ!あそこにいくぞ!」
「わ……分かったから降ろせぃぃ!///」
あたしが雨にと濡れないようにと。
……その配慮は分かる。
……わかるが……
頭の上からマントと服をかぶせただけてなく。
いきなり…その……
あたしを横だきにと抱きかかえ、全力疾走を始めるガウリイ……
そう……
これって、いわゆる『お姫様だっこ』……とゆ~やつで//
うどきゃぁぁ///
「だ……だぁぁぁぁぁ~~!!おろせぃぃぃ~~!!!///」
ダダダッ!!
ザァァァァ……
バシャバシャバシャ……
あたしの抗議の声も何のその。
そのまま、あたしを横抱きにと抱きかかえ。
その先にある。
……ど~やら、崖の下の方にと一目散にと走ってゆくガウリイ。
って……ちょっとまてぃ!
ガウリイが一目散にと走って向かっているその先には。
山の斜面の岩肌が、はっきりいって地面がむき出しにとなっているだけ。
……そう。
そこには何も、洞窟らしきものや雨宿りが出来そうな場所など。
はっきりいって見当たらない。
しかも……
こともあろうに、ガウリイのやつは。
その斜面。
その岩肌の側面。
どうみても、岩肌のそれでしかないところに。
立ち止まる気配も見せずにもうダッシュで走って向かっているのである。
「ぶ……ぶつかるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
この体勢で呪文……無理よぉぉ!!!
そうこうしているうちにも。
だんだんと岩肌の斜面は近づいてきて……
「わ・・・・・わきやぁぁぁぁぁ!!!!!!????」
もう駄目!ぶつかるぅぅう!
あたしが覚悟したその刹那。
―― スル。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?
……なぜか、あたしを横にと抱きかかえているままのガウリイは。
岩肌の斜面の中にとまるで吸い込まれるようにと入り込んでいるし……
「……へ?」
思わず目が点になる。
そこは、どう見ても……洞窟以外の何ものでも……なかった。
にこにこにこ。
「ここなら雨宿りにいいよな。リナ。」
今だに抱きかかえているあたしに視線を落として、にこにこといってくるガウリイ。
……一体?
……はた!
ちょいまて!今はそれどころじゃない!
「が…ガウリイ!いい加減におろしなさぁぁぁぃぃぃぃ!!!//」
あたしの叫びが、洞窟の中にとこだましてゆく。
ぜいぜい……
うう……
顔が赤くなるよぉぉ~////
静まれ!あたしの心臓!
ばくばく脈打つ心臓を何とかなだめ、ぜいぜいと息をつく。
こ…こいつは……
乙女をいきなりお姫様だったご状態で横にと抱きかかえるな!
このくらげはぁぁ~!
恥ずかしいじゃないのよぉぉ~///
……このクラゲ…そ~いうこと…何も考えてないんだろうけど……
……はぁ……
なぜか。
顔を真っ赤にして息を荒くしているあたしを、にこにことなぜか笑顔で見つめつつ。
そして。
ふと、周りを見渡して。
「……なあ?リナ?ここ、何か変じゃないか?」
ごそごそ……
言いながらも鞄からタオルを取り出して、あたしの髪を拭いているガウリイ。
って!//
「じ…自分でするわよ!あんたこそ!早く濡れた体を拭きなさい!//」
ボスっ!
タオルをガウリイにと叩きつける。
こ…こいつは、人をどこまでも子供扱いしてからに……
とりあえず、互いにタオルで濡れた髪や体を拭きつつ。
ガウリイが洞窟を見回して、あたしにと問いかけてくる。
あたしもその言葉に落ち着いて洞窟の内部を見渡す。
「……本当だ。」
見たところ、ただの普通の洞窟。
……のはずなのだが。
いかんせん、違和感もありまくり。
辺りは黒ずんだような白っぽい岩肌がむき出しになっている。
ちょっとしたあまり深くもない洞窟……に一見しただけでは見える…のであるが……
あたしは、この感覚に何となく心当たりがある。
――そう。
この洞窟そのものに、何らかの魔力がかかっているのだ。
……とすれば、
何かこれを解く媒介か何かが、その辺りにでもあるはず…なのであるが……
そこいらの壁を触ってもそれらしきものは見つからない。
いや、というか。
どうやらこのあたしが触っている壁そのものが、どうやらまやかしのようだ。
しっかし……かなりの高度な幻影である。
見た目だけでなく触った感じもごまかせる幻術が、この洞窟全体にとかけてあるのだ。
にやり。
「これは……ふふ♪ラッキィvv何かすっごいお宝の予感♡」
ここまでかなりの防犯を施してあるということは。
と!すれば!
当然この先にあるのは、それなりの何か!
何かとは、当然こういう場合はお宝にと決まってる!
やっぱり、ここはそういうお約束のはずよね♡
んっふふふ♪
…まあ、何はともあれ。
とりあえず、この幻術を打ち破るのが先決であるが……
「……ねえ?ガウリイ?何かここの洞窟の中に、変ったものとか見えない?
たとえば何かの球とか。水晶とか。洞窟にないはずの何かが。」
あたしは隣にいるガウリイにと問いかける。
これぞ必殺!
ガウリイの野生の勘にたよるっきゃないわよねv
術がどんなパターンなのかがわかれば。
このあたしは、はっきりいって天才美少女魔道士であるからして。
解術するのは簡単なのであるが。
いかんせん、そのパターンが分からなければどうにもならない。
それに、ここに便利なやつがいるし♡
一応、ここは駄目もとでもガウリイの感にと聞いてみて……
「ん?ああ?あるぞ?水晶みたいなのが。
リナ、見えないのか?そこと、そこと、そこと……」
……お゛い゛っ!!!
だめもとで聞いたあたしもあたしだけど……
まじでガウリイ…見えてるし……
本気で人間離れしすぎよ……あんたは……
「……まじ?」
思わず目が点になるあたし。
あっさりとガウリイは、洞窟の中の六つの箇所を指し示す。
いや…だから…何で分かるの?
……おそるべしは野生の勘……
ま…まあ、とりあえず、こいつがそ~いうんだから…あるんだろう……
…と、とりあえず。
ガウリイが今指した一番近くの場所を調べてみることにしよう……うん。
そう自分に言い聞かせ。
「……ここ?」
ガウリイが指し示した場所は……
やっぱり、冷たい岩肌があるだけなんだけど……
「もっと奥だって・・って・・本当に分からないのか?ほら、これこれ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
いやあの……
ガウリイの手が・・岩壁の中にすっぽり入り込んでいるんですけど……
ということは、このあたしが今触っている岩の壁も幻術?
おそるおそる触っても、やっぱり触った感覚は、本物の岩そのものである。
だけど、あたしの横では。
ガウリイの手は間違いなく、この岩の壁の向こうにと突きつけているわけで……
「……ええい!ままよ!」
思いっきり手をその壁にと勢いよく突きつける。
――ズボ!
……まじ!?
勢いに任せて壁を叩くと。
あたしの手もすっぽりと、その側面の壁の向こうにと突き抜ける。
つまりは吸い込まれてゆく。
……本当にこの壁も幻術なんでやんの……
「おい、リナ、そっちでないって。」
ぱし。
……な゛!?//
ちょっとまてぃ!//
「な゛な゛な゛な゛な゛!?」
口をぱくぱくさせるあたし。
こともあろうに、こいつは。
岩を突き抜けているあたしの手を握ってきたのである。
「リナ、そこはまったく違う場所だぞ?だから、これだってば。」
そんなあたしの横でにっこりと笑いつつ。
し…しかも、何でかこいつ……
さらにあたしの手をしっかりと…その…握ってくるし……
だぁ!静まれ!あたしの心臓!//
「うぅ゛……///」
まあ、確かに。
どう抗議をしようが、あたしにはそれは見えないわけで……
そのまま仕方なく、ガウリイに手をひかれるままに導いてもらう。
そう!仕方がないのよ!///
ガウリイに手をひかれ。
そのまま、なすがままにされていると。
やがて。
ひやり。
何か冷たい感触が岩壁の中にと消えているあたしの手から伝わってくる。
さわさわ。
つるん。
「……本当にあるし……」
手先の感覚から、それがちょっとした大きさの水晶だと分かる。
「だろ?というか、リナ?何でわかんないんだ?」
にこにこと笑いつついっているガウリイ。
「……あたしとしては、何であんたがこの幻術をものともせずに……
その本来の姿を見出しているのかが不思議よ……」
本気で一度、コイツの視界とか感覚とか……
……徹底的に調べてみる価値があるかもしんない……
にこにこと笑いつつ、あたしを見ているガウリイを横目に。
「……ま…とりあえず…っと……」
これがそうだとすれば。
ガウリイの意見を元にするとするならば。
これと同様に、基本となっている水晶が六つ。
ということは、ガウリイが指し示した方向と位置からして。
この幻術を作り出している要素はまず間違いなく六紡星。
つまりは、六績星を利用してこの洞窟全体に幻影をかけているようである。
手の先にある水晶に精神を集中する。
こ~いった類ものは、下手に一つでも壊したりしたら。
大概何らかのトラップがあることもあるわけで……
ここは一つ慎重に……
水晶に使われている魔力パターンをまず掴む。
ふむ。
かなり、高度ないろいろな魔力が組み合わされて使われているようである。
とはいえ、このリナ=インバースにかかれば、こんなのはちょろいもの♡
こういった類の解除は、乙女のたしなみとして。
故郷の姉ちゃんに物心つくころから仕込まれているし……
……おもいだすまい……
次に、洞窟にかかっている、まず幻術を取り除く。
― バチィィィ!
はじかれるような音と共に、周りの視界が一辺する。
次に。
どうやら、この六績星のヘキサグラムを利用して。
この場所事態に結界を張っているようなので、それも解除する。
しかも、無理やりにこじ開けたりすると。
全ての魔力がその術者にと向かうという厄介な術がかかっていたりする。
一つ、一つ。
その罠というかトラップを解除しつつ。
複雑にと絡み合った結界を解除してゆく。
「……ふぅ……」
流れる汗をぬぐい、安堵の息をつく。
本気でややこしい結界をしてくれていたものである。
ここまで厳重に封印する必要があるこの先にあるのって……一体……
わくわく、どきどき♡
何かすっごく期待できるんですけど♡
「で?リナ?どうするんだ?」
ガウリイが幻術が解かれ、
奥にと続いた洞窟の入り口をみつつ、あたしにと問いかけてくる。
「んっふふ♡そんなの決まってるじゃないのよ!当然奥に行くわよ!」
「……やっぱりか。あまり無理するなよ?」
そういいつつ。
ぽんぽんとあたしの頭にと手をのせて、にっこりと微笑むガウリイ。
何かこうやって頭をなでられるの、くすぐったいんだけど……
でもやっぱりそこまで子供扱いするか?こいつは……
まあ、何はともあれ奥にと進んでゆくことに。
どうにか、洞窟全体を覆っていた結界と幻影のそれは解除して。
道が開けたその場所には、さらなる奥にと続く洞窟の道のり。
この辺り。
昔はエルフの集落があったとかいう伝説も残っているからして。
もしかしたら、かなり期待できるかも♡
長く続く、入り組んだ道を進んでゆくあたし達。
かなり昔に作られているらしいのであるが。
丁寧に洞窟の足元は整備され。
しかも、ふんだんにその周りなどに使われている材質は。
どうみてもオリハルコンのそれである。
鈍く金色に輝く道のりを歩いてゆくことしばし。
かなり歩いたであろうか。
道のりの先に、ちよっとした大きな扉が立ち塞がる。
竜の絵が模してあるその壁には。
どこかで見たことのあるような絵が描かれているが……
「……ふむ。」
何か小さな鍵のような穴が見える。
……が。
簡単にアンロックの術で開くような代物ではないらしく。
下手にそんな術をかけたら、周りの壁から槍が飛んでくる仕掛けが見て取れる。
こ~いった罠の見分け方も幼いころからの訓練の賜物である。
……どんな訓練だったのかは……きかないで……
まあ、とりあえず。
その専用の鍵がなければ開かないようである。
だから……あきらめ……るわけがない!
そういう場合は強行突破あるのみ♡
とはいえ。
やはり、この扉にも使われている材質はオリハルコン。
つまりは、魔法ははっきりいって聞かない。
が。
それは、あくまで普通の呪文の場合のみ♡
まあ、ガウリイにこれをたたっきってもらう。
という手段も使えるのであるが。
・・・・・・・・・・・・。
さて……どうするか。
「ガウリイ♡お願いしてもいい?♡」
やっぱり、ここは、か弱い女性がやるところではないわよね♡
あたしの言葉に。
「おう。この辺りでいいか?」
ガウリイが扉の一点を指差す。
「一箇所だけね。周りに振動が入ると罠が作動するから。」
まあ、ここまでご丁寧な罠を張っていることで……
無理やりにこじ開けられた場合。
壁と扉をつないでいる場所に振動が入ると。
問答無用に、侵入者を洞窟の入り口にまで飛ばす呪が掛けられていたりするのである。
これには。
「わかった。」
キィィィイン……
……ガコン……
その言葉と同時に。
腰に挿している剣を抜き、一閃させる。
ちょうど人一人くらい入れる大きさの穴が、
その巨大な扉の真ん中にとぽっかりと開いてゆく。
「よっしゃ!いくわよ!ガウリイ!」
ガウリイにとっては、こんなこと些細なことだしね。
一応こいつ、これでも剣の腕だけはかなりのものだからして。
いって。
ガウリイがあけた穴からその中にと入ってゆくあたし。
「あ…待ってくれよ!リナ!」
そんなあたしを追いかけてくるガウリイ。
「……何ここ?」
こぽこぽこぽ……
周りには、無数の水晶のケース。
その中に。
すでに原型を留めていない何かが、無数にとその液体の中にと浮いている。
どうやら自然のエネルギーを利用して、
無人となった今でも使えるようにとなっているみたいであるが……
「……なあ…リナ……」
「……分かってる……」
その水晶の中に見えるのは。
どうみても、人の肉体の一部。
いってみればホルマリン漬けのような一部が。
所狭しと大、中、小と棚にと並べられている。
そして。
その中央には、ちょっとした机にガラスの容器の数々。
おそらく何かをここで実験していたのであろうが……
年月がたっているせいかそれらには全て、少し埃がたまっている。
そして。
壁にと直接に掘り込まれた巨大な棚には。
無数ともいえる本がぴっちりと埋まっている。
しかし。
かなしいかな。
侵食された水にてその本の数々は、はっきりいって水浸し。
うう……もったいない……
ためしに一冊手に取ってみたものの。
ものの見事に手にもっただけで崩れ去る。
何か、机の上に。
小さなノートのようなものが見て取れるが。
それも手に取ろうとすると。
……ボロ……
まるで朽ちた灰のようにと霧散してゆく。
「……どうやら、ここ、かなり昔の研究所みたいだなぁ。」
ガウリイがつぶやく。
確かに。
ここに見えるその設置とかも、はっきりいって今風ではない。
「お、リナ、まだ奥に続いているぞ?」
ガコン。
ガウリイが壁の一角を何の前触れもなく押す。
「ち……ちょっ!?何やってんのよ!?あんたはっ!?」
いきなり、んなことすな!
何かあったらどうする!
そんなあたしの不安をよそに。
ゴゴゴゴゴ……
あたし達の後ろにある壁の一部が開いてゆく。
どうやら、隠しスイッチをガウリイは押したらしい……
「……よくそれがスイッチだって…わかったわね……」
あんた、結構泥棒の素質あるんじゃない♡
と一瞬思うが。
まあ今は、ガウリイをからかっている場合ではない。
「よっし!それじゃ!もっと先にいってみよぉ!」
元気よく、さらに奥にと進んでゆく。
その先に。
「……リナ!何かいるぞ!?」
ガウリイが低く言ってくる。
「……何かって…何が?」
別に何にもないけど……
やがて、ちょっとしたかなり広い部屋にとたどり着く。
そして。
その中心に配置されているのは、大きな水晶の筒。
そして。
その中に……
「……こ……子供?」
コポコポコポ……
生きているのか死んでいるのか……
見たところ、どうもても、三歳か四歳程度の。
女の子がその水晶の中にと浮いているのである。
……何で??
― 続く ―
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あとがきもどき:
のりは、ほとんど本編ののりですv
設定からすると。十三巻が終わった直後。
つまりは、ディルスを出発してからの話ですv
なので、まだルークは覚醒してませんし。ミリーナも死んでません!
え?どうしてこの辺りの名前が出てくるか?
だから、いったでしょ?本編ののりだって・・うふふふふ♡
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