まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて、ようやく話しはクライマックスに突入vv(そのさわりv)
主人公の運命(まて)はいかに!?
一番気の毒なのは…誰でしょう?vv
リナサイドはこちらからv

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  幻の宴ドリーム・リーマー~第19話~

ずっと待っている、というのも結構退屈。
だけど、退屈…といって気を紛らわす。
といっても、何をするでもなく。
何しろ周囲の空気がコレである。
もっとこう、雰囲気とかが良好ならばいろいろとしてみたいこととか、探索とかあるけど。
本を読もうにも、この空気の中で読む…というのも気が引ける。
もしかしたらエル様魔法陣の上にでもたてば、空気は少しはましになるかもしれないけど。
下手に動いたりでもしたら鼻につく異臭の濃さがましてくる。
ゆえに、ただひたすらに、しゃがみこんで、マスクを取り出しひとまず装着。
まさか人ごみに出かけるから、と買っていた花粉対応マスクがこんなときに役立つとは。
といってもミントの香りが多少気を紛らわせてくれるのみで、完全な問題解決にはならないが。
ランツが何やらひたすらに話しかけてきてはいたけど、何をいってるかさっぱり不明。
しばらくすると、本当に言葉が通じない、とわかったらしく諦めて彼もまた黙り込んでいる。
そんな感じでまつことしばし……
さあっ……
ふと、風が奥の部屋より吹きぬける。
それと同時にそれまで重かった雰囲気ががらり、と一変する。
「あ。どっちがが浄化したんだ。…というか、早くやってほしかった……」
ルナ姉ちゃんか、はたまた永遠の女王エターナルクイーンのどちらかが、空気を浄化したらしい。
結界がどうの、とかいってたから外には気付かれないように何かしたのかもしれない。
「?」「?空気がかわった?一体?」
何か横でランツがいってるけど、まあ鈍い人でも空気がかわったのは判るだろうし。
たぶん、そのことをいってるとみた。
何やら奥のほうからルナさん達の話し声らしきものが聞こえてくるが、何を話しているのかは判らない。
と。
「……。…?」「おやおや。まさかとおもいましたが、あれを解除できる人がいたんですかぁ」
びくっ。
いきなり何やら声らしきものがして思わず振り向く。
やはり、何をいっているのか皆目検討不明だけど。
だがしかし、振り向いたその先に目にはいったその姿をみて思わず硬直してしまう。
…全身真っ白なローブに身を包んだ、何ともいえない男性が一人……
こ、これってまさか……
年のころならば、三十代の前半か二十代後半…といったところであろう。
最も、私の他人の年齢を見分ける目はあまり当てにならないけど。
「?……?」「?あんた…誰だ?」
そんな彼に怪訝そうな表情で、警戒を崩さずに何やら問いかけているランツ。
聞かないでほしい。
と思うのは私の気のせい?
ねえ?
「…………」「あ。申し送れました」
気配すら感じさせずにそこにいる男性はにこやかに笑みを浮べ軽くお辞儀をし何やらいいつつ、
「……ハルシフォム…」「私、アトラス・シティ魔道士協会評議長のハルシフォムと申します」
にこやかに、名前というか自己紹介らしきものをいってくる。
って、やっぱりぃいっ!
というか、誰がこいつを解き放ったわけ!?
可能性として…ゼロスのわけないし…リナさんでは絶対ない。
ならば…やっぱしレゾ?
と。
「やっぱしアレが開放してたみたいですわね」
「まあ、彼も会話になりませんでしたしね」
「うわっ!!」
いきなり真横から声がして思わずびっくり。
みればいつのまにか戻ってきたらしく、そこにいるのはルナさんとアクアさん。
この二人…心臓に悪すぎる……
そして、ちらり、とハルシフォムであろう人物に目をむけて、
「始めまして。ハルシフォム評議長。しかしよりによってアレと協力ですか?
  まあ、大切な人を蘇らせたいという気持ちはわかりますけど。人としてやってはいけないこと。
  という定義があるのはおわかりですわよね?」
まあ、たしかに人の道からは外れてる…というのはわかるけど。
でも、人だからこそ、ともいえるのかもしれない。
大切な人を蘇らせるため…もとい、守るためには人はどんなことでもすることがある。
というのはわかっているつもりだし。
「……?」「おやおや。どうやら何か聞いたようですねぇ。しかしあなた方何ものです?」
そんな彼女たちににこやかに笑みを浮かべたままで何やら問いかけているハルシフォム。
と。
「主、あの御方よりの伝言です」
ふいっ。
唐突にそんな彼の真後ろより黒い影が出現し、ハルシフォムにと話しかける。
異様なまでの長い腕に、特徴的な顔半分にとかかっている白い仮面。
気のせいか外はすでに暗くなっているというのに、屋敷の中はほのかに明るい。
おそらく、空気を浄化したときにお二人が何かしたのであろうが。
「…っ!?なななななっ!?」
何やらそんな私の横で、『な』を連発しているランツの姿。
ま、こんな姿みたら普通の人間じゃない、というのはあからさまだよなぁ。
まあ、これでかなり後とかにでてきたミアンゾとかだったら泣くしかないが……
「?……」「おや?何でしょう?」
それ…魔族セイグラムより何やら小さな球体のようなものを受け取り、しばし眺めた後。
「……。……」「おやおや。申し訳ありません。あなたたちのことはまた後ほど。急用ができましたので」
にこやかに何やらいってくるハルシフォム。
それと同時にその場からいきなり掻き消える。
「って、でぇっ!?」
人のままでも空間移動とか可能なんだっ!?
ルナさんとかならイザ知らず。
契約とかしてるから、そのあたりもできるのかなぁ?
「っなっ!?」
そんな驚きの声をあげる私の横では同じようにあからさまにおもいっきり驚いているランツの姿。
まあ、そういやこの彼って魔族とかに耐性…なかったはずだしねぇ。
……まだ。
そんな彼とともに、ちらり、と私たち、そしてルナさんのほうに視線をむけながら、
「…どうやら普通のものではなさそうだが…今はあの御方のほうが優先だしな……」
おそらく、自分がかけた呪法が解除された、というのはわかっているのだろう。
そんなことを捨て台詞的に残しながら、ハルシフォムに続いて掻き消えるセイグラム。
「…あの御方…って…やっぱしレゾがきてるってことなんだろうなぁ~……」
思わず溜息。
あの御方=エル様。
とかいうんだったらものすっごい嬉しいのに。
ゼロスとかを指し示すのであれば、あの御方とはいわないはずだし。
「…っ!?…っ!!」「な…なんなんだよっ!?あれはっ!?というか何なんだっ!?一体!?」
そんなあからさまに人と、人あらざるものが姿をいきなり現したかとおもえば、いきなり掻き消える。
そんな光景を目の当たりにしてか、何やら横でわめいているランツ。
「ああ?あれですか?あれはどうでもいいやつだとおもいますけど?」
「そうそう。そのあたりの小石とか投げただけで滅びるような下っ端さんですし」
いや、それは貴女たちだから言えることだとおもいます。
そんなランツにとにこやかに説明しているアクアさんとルナさん。
そんなふたりに思いっきり心の中で突っ込みをいれる。
「普通の人では純魔族とかってかなりの脅威だとおもいますけど……」
思わず、ぽそっとつぶやきたくなるのも仕方ないとおもう。
絶対に。
「あら?よくアレが純魔族だっておわかりになりましたわね」
「一般人の方々はあまり理解できないようですけど。…まあ、あの御方のことを知っている。
  というので多少はそのあたりのことも詳しいのかもしれませんが」
そんな私にとにこやかに話しかけてくるルナさんとアクアさん。
「…。…っ…っ!!!?」「いや。ちょっとまて。…って、ま…魔族ぅぅっ!?あれがっ!?」
ずざざっ。
そんな二人の会話というか台詞をきいて、おもいっきり後ろにずざっと退くランツ。
え~と、たぶん、魔族、という単語に反応したとみた。
「そんなに驚くほどのモノではあれはあまりせんわよ?」
「それより、とりあえずどうします?ルナ?アレもアレの元に向かったようですけど?」
そんなランツににこやかに話しかけているルナさんに、
対照的に完全にランツを無視してにこやかにルナさんに話しかけているアクアさん。
そりゃ、あなたたちにとってはねぇ……
竜神の力の一部を受け継ぐ存在と、実質、正真正銘、赤の竜神スィーフィードの腹心の一人と。
…そんなおふたりとくらべられては、セイグラムたちも立場がない、というもの。
「しかたありませんし。いくしかないのでは?復活させるわけにもいきませんし。
  まあ、そんなことになったら妹にはしっかりとお灸を据えないといけませんけど」
うわ~…リナさん、ファイト……
にこやかに、それでいてどこか楽しそうにいうルナさんの台詞に思わず心の中でリナさんに手を合わせる。
「ですわね。それじゃ、わたくしたちもいきましょうか♡」
「「…え??」」
一瞬、永遠の女王が何をいったのか、というかその台詞の意図がつかめず思わず間の抜けた声をだす。
どうやらランツも同じ思いだったらしく、間の抜けたような声をだしている。
私とランツが一瞬、目を点にするとほぼ同時。
ふわっ。
いきなり私たちの周囲を水色の何ともいえない空気のようなものが包み込む。
それらは私たちの体を包み込むかのように、そのまま収束するような感じがひしひしと伝わってくる。
ま…まさか、この場からいきなりレゾのもとにいくんじゃぁっ?!
そんな私の驚愕はイザ知らず、私たちの体は水色の空気に包まれ、
次の瞬間。
ふわっと何か強いていうならば、エレベーターに乗って、下降するときのあの感覚。
あの感覚に包まれたかとおうと、ふと気付けば頭上に見えるのはほのかな夜空……
おもわずきょろきょろと周囲を見渡せば、どうやら一瞬で建物の外にでたらしい。
……一般人を巻き込んでもいいの?
ねえ??
お~い……

外にでた私の視線にまずはいったのは…そこに佇む紅き影と。
そして見慣れた栗色の髪と…みたくないおかっぱ頭さん。
…まだこいついたんだ……ゼロス……


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おまけ♪~リナサイド~


「…なっ!?」
ふと気付けば、そこは夜空が見える位置。
しかもちょっとした広場のようになっており、木々の姿が垣間見える。
以前、この街に来たことがあるがゆえにわかる。
ここが、この街…【アトラス・シティの広場】だ…と。
「ここなら文句はないでしょう?」
にこやかに、一瞬であたし達を移動させたそれ…赤法師レゾはそういい、
そして、
「…何か御用ですか?」
「っ!!?」
「ヴィゼアッ!?」
そんなレゾの横に突如として出現する顔半分が完全にのっぺらなけっこうなハンサムさん。
形的には人のそれであるが、だがしかし、顔半分が綺麗につるん、とした研ぎ澄まされた石のよう。
そんな人間がいるはずもない。
どうやら、ゼルはコレのことを知っているようだけど。
「……まさか、あれもレゾの配下とかいうんじゃぁ……」
思わず声がかすれてしまう。
レゾの配下に魔族がいる。
とはゼルから聞いて知ってはいたけど、まさかこうこんなに目の当たりにするとは……
「ああ。他にもいるがな……」
赤法師レゾ……かぁぁなり厄介な相手そうである。
「ああ。すいませんねぇ。ヴィゼアさん。これを彼に渡してもらえますか?」
「了解しました」
それだけいって、何かレゾから受け取ってその場から掻き消える。
あるいみ、すぐに襲い掛かってこない…というのが救い?
救いなのかどうか不明だけど。
こちらの戦力として使えるのは、ガウリイがもっている光の剣。
ゼルがどこまで呪文を使えるかどうかは不明。
あたしのほうも、烈閃槍エルメキアランスはつかえても、崩霊裂ラティルトまでは使えないし。
それが純魔族であろう存在にどこまで通用するかは謎。
かといって、ゼロスから買い取った呪符を使っても、使える呪文は数個。
そのうちの一つはかなり危険だし、もう一つもアレの存在の意味。
というか大体の意味を理解した今となっては……
かぁぁなり魔力を消耗する。…とみた……
あのルナさんからもらった、あの神魔の樹らしき紋様…あれにかかれていた、アレの本質……
つまりは、アレは魔族の王の中の王ではなくて、万物の……
まあ、あたしとしてもこんな街中であれの術を使いたい。
とは絶対におもわない。
というかまだ完全にあの日が終わって精神統一とかも怪しいのに、使えるかどうかすら不明。
ならば、残るは獣王牙操弾ゼラスブリッドぐらいだが……
「…他にも配下の魔族っているわけ?」
「俺が知る限りはな」
ならば、それらがでてくる前にハヤメにたたくのが先決。
なんだろうけど……
そんなこちらの心情を知ってか知らずか、
「さてと。そろそろ例の品物を渡してもらえますか?
  まだこれより広い場所がいい、というのであれば街ごと荒野にして広い場所をつくりますが?」
にこやかに、とんでもないことを提案してくるレゾ。
ふとみれば、後ろのほうでにこにこと笑みを浮かべて何も言わずにそんなレゾをみているゼロス。
「ガウリイ。アレ、すぐに使えるように先に準備はしといてね」
こそっとガウリイに小声で指示を出す。
アレで通じてくれればいいけど。
まあ、いくら何でも判るとおもうし。
この笑みの下、ゼロスにしろ、レゾにしろ何を考えているのかわからない。
だが、何となくだけど…判る。
このレゾが本気でそんなことをしでかしかねない。
ということが。
「……わかったわ……」
とりあえず、中の石は抜いているから、女神像だけ手渡すのであれば問題ないはず。
ごそごそと、マントの後ろにくくりつけておいた袋の中からオリハルコンの女神像を取り出す。
そして、そのままレゾのほうにむかって放り投げる。
と。
その女神像が空中でぴた、ととまったかとおもうと、ゆっくりとレゾの頭上に移動する。
そして。
「こ…これで私の長年の夢が……」
そうレゾがつぶやき、何やら呪文のようなものをいきなり唱えだす。
それと同時にレゾの周囲がほのかに光り、
次の瞬間。
レゾを中心にちょっとした魔法陣が地面に浮かび上がる。
だが、次の瞬間。
サラッ……
まるで、魔法に耐性があるオリハルコンとも思えないほどに、
いともあっさりと女神像が塵と化す。
「「…なっ!?」」
それをみて思わずさけぶゼルとあたし。
「…こ…これは…っ!?」
レゾもまた驚愕したような声をあげてるが。
それとほぼ同時。
ゆらっ……
いきなりあたし達の背後の空気が一瞬蒼くほのかに光る。
まるでそう、いきなり空気中に水溜りができたかのごとくに。
「…な!?新手か!?」
ゼルがそれをみて身構えるが。
……って、ちょっとまていっ!!?
ななななななな…なななんで、…なんでぇ!?
こ、これってまさか……
つつぅぅ……
あたしの額から別の意味で冷や汗が流れ落ちる。
こ…この状態というか光景って…いつも女王様がお忍びでいきなりうちにやってくるときのと同じだしいっ!?
ま…まさか、姉ちゃんまできた…なんてことはないでしょぅねぇぇ!?
そんなあたしの心を知ってか知らずか、やがてその蒼い水のような光りは収まり。
それと同時にその場に佇んでいるのは…四つの人影……
一人は、目のさめるような水色の髪に水色の瞳のかなりの美人さん。
そしてまた、もう一人は嫌でもよぉぉくしっている、あたしと同じ栗色の髪のおかっぱの女性。
そしてなんだか何となく見覚えがあるような赤毛の男性。
そして…宿に残っていたはずの…ルナさんの姿……
「な…ななななな!?」
……あたしがナの字を連発してしまうのも無理はない。
…何しろそこにいる一人、見覚えのあるあたしと同じ栗色の髪の女性は…
あたしが最も恐れる郷里の姉ちゃんなのだからして……


   ――つづく?

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あとがきもどき:
薫:さてさて。次回で魔王復活~♪
  ようやくクライマックスですv
  ではでは、次回かその次でたぶん終わりですが最後まで、気がむいたらお付き合いくださいなv
  何はともあれ、次回につづくのですv
  ではではvv

2008年1月10日(木)某日

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