まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
前回、迷いにまよって、結局あそこできりました…
なぜかというと、一番きりがいい場所だから(こらこら
というわけで、今回はしょっぱなから鬱状態になりかねないあのシーンから。
それでもみたい、という人のみどうぞv
追記:リナサイドはこちらからv
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自転車さんをあのままアノ場所においておく。
というのもかなり不安。
便利なことに何やら女王様ことアクアさんが何か唱えたとおもったら、
自転車がまるでポケットに入るまでに小さくなったことには驚いたが。
荷物を入れたままで何やら水晶らしきものごと小さくなっていたりする。
ともあれ、自転車をポケットにしまいこんでのいやいやながらの二人への同行。
…さすがにお二人の実力がわかるのか、街にいるはずの襲撃者。
…つまりは、ただいま街を襲撃している様々な戦闘用に開発されている合成獣達。
彼らの姿は見当たらない。
というか姿が見えたとおもったら即座に距離を置いていたりする。
たぶん本能…があるのかどうかはわからないが、ともかく生きているものの勘。
そんな感じで近づいたら危険、というのを本能的に感じ取っているからかもしれない。
「――どこへゆくつもりかな?」
何やら聞き覚えるあのような、それでいて何かものすっごく嫌ぁぁな声がかけられてくる。
こ…このパターンは!?
って、たしか、アレはリナとガウリイにいく予定では!?
即座に原作がふと思い浮かんだ私も私だけど…でも、何で!?
うっすらと薄暗い路地の中に佇む一人の魔道士姿の人物。
だがしかし、それが普通の人間でないのは一目瞭然。
銀色の蓬髪が風になぶらせ背にかかる。
「あら?」
「へえ。根性ある下っ端もいたのねぇ」
……さすがにお二人ともまったくもって動じてないし……
「…ほう。そこの人間二人は我をみても動じない。かそこそこできるようだな」
いや、できるも何も、あんたじゃ、相手になんないって……
おもいっきり内心突っ込むけど、だけど別に教える必要もないような気がするし……
「あ、あのぉ?私どうすれば……」
とりあえずルナさんの背後にこそっと隠れながらもひとまず問いかける。
下手に純魔族と関わりたくないのが本音。
しかし、わからないのかなぁ?
…魔族とかって普通、神族とかの気配に敏感なんじゃぁ?
…まあ、このお二人なら完全に気配、隠してるだろうけど……
「どっちがいきます?」
「アクア、あなた、少しあそびたいんじゃぁ?」
「あら?さすがルナですわね。いつも城の中にこもってて運動不足気味ですしね」
「…よく抜け出してるようだけどね」
完全にどうでもいい扱いだし。
というか、やっぱり抜け出してるんだ…
「貴様等…我をなめているな?このギオ=ガイアの恐ろしさがわかってないとみた。
我の目的はそこの娘の始末だが…邪魔をするならきさまらとて容赦はせぬ」
って、何でそこで私を視線で示すわけ!?
というか、私の始末!?
…私、魔族に付けねらわれるようなこと、した覚えないんですけど……あうっ……
「じゃ、わたくしがいきますわね。さて、と少しは運動になるかしら?」
いや、無理だとおもいます。
そんなギオ・ガイアの台詞をあっさり無視して、にこやかに話しているルナさんとアクアさん。
「ほざけ!運動も何も、魔族の恐ろしさ、身をもって……」
「えいっv」
「……な…ば…馬鹿…なっ……か…神の力…だと!?」
あ、ようやく気付いたみたいである。
というか、アクアさん、いつの間に!?
一瞬の間に、ギオ・ガイアの懐にはいりこみ、そのままガスっ!と拳を一撃叩き込む。
「…が…ぐ…あ゛あ゛ぁ……」
さらっ……
うわ~…敵ながら哀れかも……
一撃であっさりと無に還ってるし。
当たり前、といえばそれまでだけど。
「あら、手ごたえがありませんわねぇ」
いや、いくら何でもあんな下級魔族が水竜王相手にかなうとはおもえませんってば。
私が彼女が水竜王だ、と知っている、と知られては厄介なのであえていわないけど。
「まあ、今のヤツは下っ端のようですし」
…この二人にかかったら、腹心とかでも赤子の手をひねるようなものだとおもう……
「とにかく。どうやら魔族のほうも動きを見せてきたみたいですわね」
「早めに保護しておいて正解ですわね」
そんなことをいいながらも、こちらをみてくる二人の姿。
…え~と。
別に私は目立つ行動は何もしてないはずなんだけど……
特に、ハルシフォム評議長とかとはまったくもってかかわりないし。
「…あ、あれ?」
ふと、そんな会話をしている二人をしばらく見ている最中。
道の先の坂の上のほうに佇んでいる人影を一人発見し思わず声をだす。
…ものすご~く、またまた嫌ぁぁな予感……
アレがランツだったら…嫌ぁぁ!
あの、肉の塊だけはいくら夢だとて実際に目にしたくないぃぃっ!!
そんな私の思いは何のその、その人影はこちらに気付いたらしく、何やらゆっくりと近づいてくる。
特徴のある赤毛の髪。
背に背負っているバスターソードに、粗編みのおそらく貫頭衣。
ズボンにブーツにレザーアーマーらしき鎧。
あうっ…やっぱり……
私がそんなことをおもっているとは知る由もなく、
「・・・?……?!」「あんた。昼間の……あれからどこに消えてたんだ?」
何やら私たちに…というか、私をみて何やらいってくる…おそらく、確実にランツであろう人物。
相変わらず、何いってるかまったくもって意味不明だけど。
だけども…判る。
判りたくないけど……
もし、これが原作のあの箇所だとすれば……
「?このかたの知り合いですか?何かあったのですか?様子が何かおかしいですけど?」
「この子に話しをふっても、普通では言葉はつうじませんよ?
何かがあったんですね?話していただけます?」
そんな彼にむかって顔を見合わせて話しかけているルナさんとアクアさん。
聞かないで…お願い……
本気で切実に願いたいんですが……
「・・・・?」「そのまえに…そいつと他にいた連れのやつ、デイミアのところに出向いた…ですか?」
あ、何かランツがデスマス口調になってるような気がする。
雰囲気で何やらそんな気がひしひしとする。
どうやら二人の気というか雰囲気に飲まれたらしい。
まあ、ため口きいて、下手に何かされるよりはいいとおもうけど。
私の知っている原作のランツの性格からすれば珍しい。
原作では、ガウリイに対して剣の腕をみてから兄貴、と慕っていたようだが。
「デイミア?デイミア氏、といえばこの街の魔道士協会の福評議長ですわね」
「たぶん。リナもいってないはずだけど?そっちのほうには気配いってないし」
……さすが、郷里の姉ちゃん、ルナ=インバース。
わかるんだ……
で…デイミア…って、やっぱりぃぃ?!
い、いきたくないっ!
というか、断って!
そんな私の願いは何のその。
「どうやら、何かおこっているようですわね」
「気配、向けてみましょうか?」
「いけばわかるのでは?まだアレに気付かれたら厄介ですしね」
「たしかに。こんな街中で欠片に気付かれても厄介ですわね」
…いやあの、欠片?!
欠片って…やっぱし、レゾもきてるってことぉぉ!?
頭の中はパニック状態。
「とりあえず、案内していただけますか?えっと…あなたは……」
「…?…ランツ…?」「オレ?オレはランツといいますけど…あなたたちは?」
やはりランツはどうやら敬語らしきものをつかってるような気配がひしひしとしてくる。
まあ、この二人の雰囲気に呑まれれば当たり前なんだけど……
ルナさんの台詞に、何やらかしこまりながら、ランツが問いかけてくる。
「私?私はルナ。こっちがアクア。この子の連れの一人の姉よ」
そんな彼にとルナさんが丁寧に説明する。
「…?……」「…?ああ、あの栗色のぺちゃ…いや、なるほど」
まあ、ルナさんもリナさんも同じ栗色の髪だから、その説明で判るだろうけど。
でもさすがといえばさすが。
フルネームでは説明してないし。
そういや、この世界でのルナ=インバースのバリューネームってどれくらいなんだろう?
「とにかく。案内をおねがいできますか?」
そんなルナさんに続いてにこやかに話しかけているアクアさん。
…って、やっぱりいくハメになるのね…いきたくないよぉぉぉ!!
すでに騒ぎも日が沈み、さらなる喧騒に街は包まれている。
未だに聞こえてくる悲鳴や爆発らしき音。
それとはまるで別世界のような雰囲気をもっている建物が一つ。
さすがの鈍い私でもわかるのどの…すごすぎるまでの雰囲気。
「……やっぱし……」
思わずつぶやきがもれてしまうのは仕方がない。
絶対に。
この雰囲気と、そして話しの筋的に…この中にいるのは……
「あらあら。この感じは、やってくれてるわねぇ」
「ルナ。どちらがなおします?」
「とりあえず、中にはいって簡易的な結界張ってから、でしょうね」
「まあ、そのほうがたしかに無難ですわね」
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
治すって…まあ、ルナさんにアクアさんならそれも可能だろう。
セイグラム倒さなくても、アレの解除ってできるんだろうし。
何しろ二人とも、神族。
アクアさんにしては竜神の腹心の一人だし。
ルナさんにいたってはその竜神の力の一部を受け継いでる人物だし。
「?・・・・」「?あんた達…この雰囲気をみても何ともないのか?」
そんな彼女たちを驚いたようにみながらも、額にびっしょりと汗をかきながら何かいってるランツ。
まあ、たぶん、二人がまったく動じてないのに驚いているんだろうけど。
…この二人の正体しったら、さらに驚くとおもうけど……
まあ、言葉も通じないし説明する義理もない。
「とにかく、はいりましょうか?みなさん?」
にこやかにアクアさんに促され、私たち四人。
ルナさん、アクアさん、私、それにランツの四人はデイミア邸なのであろう。
その屋敷の門をくぐってゆく。
門をくぐると同時にあからさまに変化する周囲の空気。
重く湿った、何ともいえない空気が体にまとわりつく。
「あ…あのぉ?私もいかないとダメですか?まってちゃだめですか?」
ものすっごく期待をこめて懇願する。
わかってて、アレをその目でみてみたい。
とおもう人はいないとおもう。
絶対に。
「あら?でも一人でいて、他の刺客がきたらどうします?対処できるんですの?」
「まあ、何が起こってるのか当人に聞くのが一番はやいですしね。
それに、私たちと一緒のほうが、ルナさん、あなたも安全ですわよ?」
いや、安全なのはわかりますけど…わかるけどっ!
だけども、
結局のところ、断る要員というかいい嘘というか言い訳も見当たらず、
そのまま二人に連れられて私もまた屋敷の中に入ってゆくことに――
何でこんな時期に、こんなことがおこってるわけぇぇ!?
予想はしていたけど、扉をあけると同時に感じる、生臭さ。
独特の何ともいえないその異臭。
しいていえば、生ゴミを真夏に置き忘れたときのような何ともいえない……
それよりもかなりタチがわるい。
「――・・・」「――…こっちです」
ランツがそんな私たちを誘うかのように奥のほうにと案内しようとしてくる。
奥には…奥には、あれがぁぁっ!
しばし、何かルナさん達にランツが何か説明を開始しているようだけど。
その口調はかなり重い。
まあ、あんなものを目の当たりにして正気をたもっているだけさすがといえよう。
目にするのも嫌なので、ぎゅっと下をむいてとにかく目の前のルナさんの足だけをみて進む。
周りに絶対に視線をむけないようにして。
そこに何があるのか知っているがゆえに。
やがて、すすんでゆくことしばらく。
ほのかに聞こえてくる、かすかな甲高い、何ともいえない笑い声のようなもの……
って、やっぱりぃぃっ!
ふと視線を上げればそこにちょっとした大き目の扉が一つ。
声はこの中から聞こえてきているらしい。
私の想像…というか、予感が正しければ、この中には、呪法をかけられたデイミアがいるはずで…
内臓をひっくりかえされたような、肉の塊の中から蛇が絶えず産みだされるあの……
「それじゃ、いきますか」
「まったく。魔族というものは面倒なことを毎回してくれますわね」
「でも、まだこれはかわいいものだとおもいますわよ?」
かわいい!?
あれがっ!?
そんな二人の会話にどうやらランツも同じような感想を抱いたらしい。
怪訝そうな表情でルナさんとアクアさんをみているランツ。
「・・・・・・・」「オレは…ここにいます。あんなもん、二度とみたくない」
何をいってるかわからないけど、だけども、理解はできる。
二巻と同じ台詞をおそらく今、ランツはいっているはず。
「あ、ルナさん、アクアさん。私もこのランツさんと一緒に待ってますね」
というか、部屋の中には絶対っ!に入りたくないぃっ!
そんな私の台詞に、何やら顔を見合わせ、何か互いに視線をかわし、
「よく、今彼が待ってる。といったのがわかりましたわね」
ぎくっ。
ルナさんが何やら確認をこめてきたかのようにいってくる。
「いや、何となく。それにほら、彼、そのまま立ち止まってますし」
まさか、何に何があるか知っているから入りたくないです。
とはいえないし。
「まあ、いいんじゃないの?ルナ?見られても面倒でしょうし」
「まあ、たしかに。説明するのも難しいでしょうしね」
いや、私には説明しなくても意味わかってます……
ランツは別だろうけど…
そんな会話をかわしつつ、扉の前に私とランツを残し、二人はそのまま扉の中にとはいってゆく。
しかし…この重苦しい空気はどうにかしてえっ!
というか、ルナさんとかなら一瞬で浄化とか可能なんじゃぁ!?
ねえ?
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おまけ♪~リナサイド~
何やら人々の表情が何ともいえない。
無言で案内されるのは、魔道士協会の地下深く。
どうやらこの魔道士協会の地下には実験施設が存在しているらしく、
一応、地下だというのに明かりなどもランプに灯されている。
だが、冷え冷えとした空気は何とも言いがたい。
「……こちらです……では、私はこれにて」
何かまるでそこから早く離れたいのか、足早に立ち去ってゆく案内してくれた協会の関係者。
ガチャ。
とりあえず、そこにある扉のドアノブに手をかけて扉を左右に開く。
そこはちょっとした実験をする部屋なのかそこそこの広さをもっている場所。
…部屋の広さ的に魔道士協会の一階部分の三文の一くらいは占めているかもしんない。
うすぐらく、ところかしこと実験素材なのであろう、何か様々な機材が散乱している。
「……?こんなところに…タリムさんが?」
とりあえずいぶかしりながらもその部屋に足を踏み入れる。
何やら水っぽい、それでいて独特なにおいが鼻につく。
「――おや?嬢ちゃんじゃないか?」
そんなことをつぶやいていると奥のほうからこちらのほうに聞き覚えのある声が投げかけられてくる。
「あ、ミスター・タリム。あの、お聞きしたいことが……」
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・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
「……お、おい、あんた……あれ……」
あたしは声の主、タリムの声に気付いて声をかけると同時におもわず言葉を失ってしまう。
そしてまた、ソレに気付いたらしく戸惑ったような驚愕の声をあげているゼルの姿も。
「おやおや。随分とおかわりになりましたねぇ♡」
そしてまた、一人にこやかにそんなことをいっているゼロスの姿。
「?どうしたんだ?……って……」
ガウリイがそんなことをいいつつ、あたし達の視線のほうに目をむけてやはり絶句する。
「……まあ、驚くのも無理ないことじゃわな……」
そんなあたし達にむけてソレがいってくる。
視線の先にあるのはちょっとした金魚鉢ほどの水槽。
その水槽の中には一杯に【生命の水】が満たされており、
どこからかのびてきている幾本のチューブがその中にあるものとつながっていたりする。
……中にあるもの……タリムの頭部…即ち、生首と……
「……た…た…」
ミスター・タリム、と声をかけたいが、声にならない。
これはさすがに想定外。
というか何でそもそもこんなことになっているのか。
「まあ、驚くのも無理はないじゃろうの。じゃが大分見栄えはかわったが、
儂は紛れもなく『紫のタリム』本人じゃよ」
生首…もとい、タリムさんの首は以前より器用にウィンクをしつついってくる。
「……いったい、何があったんだ?あんた?」
そんなソレにむかって固い声で問いかけているゼルの姿。
これをみてあまり動じない、というのは結構慣れているのか、はたまたレゾの元で鍛えられたのか……
「…こんなことになるなら、お嬢ちゃんたちが、儂の家にきたとき、
きちんと本当のことをいっておくべきじゃったのぉ……今さらそんなことをいっても仕方ないが。
儂とデイミアが協力して閉じ込めていたアヤツを開放されてしまった今となっては……」
「「…協力?…閉じ込める?」」
そんなカレの台詞に思わず顔を見合わせるあたし、ガウリイ、ゼルの三人。
みればゼロスはニコニコと笑みを浮かべたまま何を考えているのかわからない。
「――それは、私が説明しましょう」
……びくっ!
聞きたくない、というか何でこんなところに?!
聞き覚えのあるもう一つの声。
その声に思わずびくりとなり、身構える。
ゼルにいたってはあからさまに警戒を強くしてるし。
…まあ、当然、といえばそれまでだけど……
振り向いたその先に…先ほどあたし達が入ってきた扉の出入り口。
そこに佇む紅き影が一つ。
全身真っ赤なローブに身をつつみ、瞳を固く閉じている……紅き盲目の賢者…レゾ……
「…あんたがやったのか!?レゾ!?」
ゼルの声がいつになくこわばっている。
まあ、気持ちは判らなくもないけど……
しかし、もしここで攻撃とかされてきたら逃げ場がないんですけど……
そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、
「おやおや。ゼルガディス。いけませんねぇ。もうすこし優しく言葉は話さないと。
そこのカレをそのようにしたのは私ではありませんよ?
まあ、少しばかり力や知識は与えましたけどね。あのモノには協力してもらったのですよ」
……何かものすっごくいやな予感がするのは…気のせいだろうか?
「…あのモノ、とは?」
そんなレゾにむかって剣に片手をかけながらも問いかけているガウリイ。
何かあったらすぐに行動がとれるようにしてるようである。
「そこのタリムさんともう一人の福評議長でもあったデイミアさん、でしたか?
そのお二人が閉じ込めていたこの街の本来の魔道士協会評議長ハルシフォム氏ですよ。
いけませんねぇ。人をあのような結界の中に閉じ込めているなんて。
そうはおもいませんか?リナさん?ゼルガディス?」
にこやかに話しかけてくるその声に殺気も何も含まれていない、というのが逆に怖い。
「…あやつの研究はどうしても阻止せねばならんかった……
…よもや、お嬢ちゃん以外の力ある魔道士がこの街にくるなどとは……
かりそめの不死を得て、実験を重ねるあやつを止めるには…どうしても……」
背後で首だけでそんなことをいってくるタリムの声が耳につく。
…か…かりそめの不死…って……
って、かなりまていっ!
そういえば、ここ最近、ここアトラス・シティで行方不明事件が多発してたけど…
確か、評議長が行方不明になると同時にその騒ぎは今のところ納まっている…って……
「…つまり、前評議長は不死の契約を交わしていた。ということか?」
さすがのゼルもその意味を捉えて背後にある首にと問いかけている。
否定してほしいのが本音なんですけど……
は!?
まさか、このレゾもその契約を交わしてるとか!?
あ、でもそれなら魔族に目を治してもらったほうが早いか……
「彼と私は似たところがありますしね。私は私の目を治すため。
彼は大切な人を蘇らせるため。なので協力を申し出たのですよ。
ハルシフォム氏は喜んでくれましたよ?さて…ところで、ゼルガディス。
それにあなたたち?説明が簡単に終わったところでアレを私に手渡してもらえませんかねぇ?」
にこやかに笑みを浮かべているままのレゾの表情が何とも言いがたい。
ちらり、と横をみれば横のほうにいるゼロスも笑みを浮かべているままで何もいってこない。
…ある意味、レゾもこいつも似た存在同士かも……
「あ、アレって何ですか?」
とりあえずムダだとわかっていても問いかける。
「おやおや。まだシラをきりますか?…でもよろしいんですか?
そんなことをしたら、この街の人々がどうなってもしりませんよ?
この街の人々の命と引き換えに、例の物を渡してくれますか?」
こ、こいつ…本気でやりかねないとみた……
中身を取り出している…とは多分、まだこのレゾは知らないはずっ!
ならば……
今ここで下手に断ったらこの街の人々もだけど、この建物の中にいる人々の命も危険。
「……わ、わかったわ……だけど、ここじゃぁ…街の広場にいきましょう」
「レゾ!もし建物を破壊して広場にでもしたらアレは即刻壊すからなっ!」
「…まったく。そのほうが手っ取り早いですのに…困ったことをいいますねぇ。ゼルガディスは。
いいでしょう。なら街の広場に移動しましょうかね?」
レゾがそういい、何やらつぶやくと同時。
あたし達の体が何やら光りのようなものに包まれる。
って…まさか、これって!?
――つづく?
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あとがきもどき:
薫:さてさて。ようやく呪法、そしてでてきたレゾさんですv
残った彼らには…当然でてくるハルシフォムv
何はともあれ、ではまた次回につづきますv
…二十話ですめばいいなぁ~……
ではでは、また次回にてv
2008年1月9日(水)某日
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