まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。今回はお久しぶり?(こら)のエル様&マナちゃん達の視点です!
前回はリナ達のほうをやったのでこんどは子供たちのほうをばv
しかし…フィブリゾの処遇…どうしよう?
いや、いくつかいろいろとパターン考えてはいるんですがどのパターンでのうちこみするかな?
ま、そのときになって決めてみよう(ただの滅びでは面白くないしな~)
ちらり、とエル様達の視点をだした後に再びリナ達の視点に戻りますv
何か気力がのらないせいか、かなり割愛打ち込みです(かなりまて
とりあえず、何はともあれいっきますv
#####################################○パラレル・トラベラーズ○~古の都・ルルイエ~
「ね~さま。ここひろいね~」
周囲を見渡しつつもそんなことをいってくる。
さあっ。
吹き抜けてくる風はこの街がかつて張り巡らせていた空気口から。
その空気口の先にはかつてこの国ではよく使われていた特殊な素材がつかわれている。
雨風はとおすものの、それ以外は通さない、という代物。
この場所は砂漠の真下。
街全体がすっぽりとレンガで囲われている。
それが古代文明ルルイエの特徴。
レンガのところどころには特殊素材が使われており外の大気も取り入れることが可能となっていた。
本来、今ここでは風など普通に考えれば吹くはずもないのであるがこの場は別。
この真上は常に砂嵐が発生しており地上は愚か上空を通る生き物すべてを吹き飛ばす。
さらにいうならばそれらの砂嵐にも瘴気が含まれておりまず巻き込まれればただではすまない。
――ここの存在達は面白かったんだけどなぁ~……
きょろきょろと周囲を見渡しているマナをみつつもふとこの国がまだ国として機能していたときを思い出す。
命を軽んじていたところはあるにしろ、その発想はたしかに退屈な【時】を楽しませてくれた。
魔と神、そして他の生き物。
様々な生きとしいけるもの。
それは物質世界においても精神世界においてもおなじこと。
それらを入り混ぜて様々な合成獣を創りだしたのはこの世界ではほからならないこの国が始めであった。
しかしそれが行き過ぎであった、というのも事実。
そもそも、様々な生き物を混ぜ合わせてそれにともなう副作用。
それらを考えずに何もかも実験を繰り返していた。
副作用に伴う不都合が言われ始めたときにはすでに人々の手にはおえなくなっていた。
繰り返される紛争、という名の戦い。
ゆえに残されたもの達は持てる技術のすべてをつかい、都を作り上げた。
それがルルイエ、と呼ばれる都。
魔力と当時における科学力、それ以外の精霊力に自然力。
すべての力を取り入れてルルイエは建設された。
否、建設、というよりは創られた、というほうがしっくりくる。
文字通り、何もない場所に都を創りだした当時の生きとしいける存在たち。
「とにかく。先にいこ」
「は~い」
この奥にすべての要となる【水晶】がまつられている。
しかしそれを自分がどうこうするつもりはさらさらない。
ここに今いきている者たちは解放を望んではいる。
いるがそれは自分が手を出すことではない。
本来ならば今、この世界に生きるもの達が手を下す事柄なのだからして……
「ずいぶん奥まできたけど……」
「ちょっと!ゼロス。本当にこっちで間違いないんでしょうね!?」
道々目についた石像。
家の中を覗いてみれば家の中にも今にも動きだしそうな石像がいくつも垣間見えた。
ここを抜けていけば目的の問題の【扉】まではあと少しのはず。
そもそも、その扉というものが冥王の拠点となっている城の中央付近にあるらしい。
というのが一番厄介、といえば厄介。
しかし冥王としても他の世界とまじりあうことを好ましく思っているはずもない。
話しのもってゆきようで何とかなるだろう。
というのがリナの意見。
もっとも、他人の力を借りてでも世界を無に、と思っている彼である。
そのあたりは金色の母の考えというかかつて自分が乗っ取られたときの経験を生かさない手はない。
…あのときの【彼女】の思いというか考えはリナの心の奥底にこびりついて離れてはいないのだから……
そんなリナの思いを知るよしもなく、レナが横にいるゼロスにと詰め寄り問い詰める。
ここにきてからかなり歩いたような気がしなくもない。
道がかってに動くのにはたまげたが、おそらく何かしらの魔術が使われているのであろう、
というのは予測がつく。
「浄化の術でも何ともなりませんでしたね……この石化の術は……」
アメリアのもてる力のすべてを使っても、石化した人々を元に戻すことはできなかった。
「…巫女頭として自信をなくしますぅ~……」
「それをいうならわたくしもですわ。アメリアさん」
姫、と初めてあったときに呼んだとき、普通に呼んでください。
そういわれて口調をさんづけに直していっているシルフィール。
それぞれ、セイルーンの巫女頭、サイラーグの巫女頭という立場。
が、しかしそれぞれがもてる力をもってしても石化している人々を元に戻すことはできなかった。
聞こえてくる声は助けてくれ、解放してくれ、といったようなものばかり。
下手に『声』が聴こえる身としてはたまったものではない。
歪みをあるべき姿に戻す、といわれている崩魔陣ですらどうにもならなかった。
散々ゼロスを問い詰めて判ったことは、この【術】はいわゆる神魔融合術のようなものらしい。
かつてこの地に住まう人々がつかっていたその力を反転させて術が掛けられているらしい。
このままほうっておく、というのは目覚めが悪い。
ルルイエ、という巨大な街のどこかにある神殿。
その一角に核となっている御神体の【水晶】。
それらがこの術の核となっている、と聞かされたアメリア達。
おそらくは街の中心のどこか。
どちらにしても中心地に向かわなければレナ達も先にと進めない。
うまくすればその御神体の近くにある【道】から問題の場所にもいけるかもしれない。
術をかけたことにより、冥王の居城とその中心がどうやら繋がったとか何とか。
「ゼロスがそこまで説明するとなると。何かがありそうだけどね……」
そう説明したゼロスをじとり、とじと目でいうリナに対し、
「ひどいっ!リナさん。人を信じられなくなったら終わりですよ!?」
何やら抗議の声をあげているゼロス。
「おまえは人間じゃないだろうが」
そんなゼロスに対し、すかさず突っ込むラウリィ。
「いえあの。ですから……」
いまだに正体を聞かされていないシルフィールはその言葉に戸惑うものの、
「何にしても、このまま、というわけにはいかないだろう。先をすすむためにも」
そんなやり取りをみつつ冷静に分析し淡々といっているゼルガディス。
三者三様。
そんなやりとりをしながら一行がたどり着いたのはちょっとした広場のような場所。
「少し前まではここまで荒れてはなかったんですけどねぇ。ここも」
道、という道が何ともいいようがない木のような何かに蝕まれていた。
おそらくは、木であることは間違いがないのであろう。
あろうが、それらから瘴気が常に発せられ、さらにはその木々から漏れ出す樹液は周囲を腐敗させていた。
それぞれに『風の結界』を纏っていなければ先には進めないであろう、と思われるほどに。
もっとも、それは人たるアメリアやレナ、そしてリナ達にのみ言えることであり、
魔族であるゼロスには関係ないこと。
「その、少し前っていつのことよ?」
何となくだが予測はつくが聞かずにはおれない。
そんなリナの質問に、
「確か降魔戦争が始まったころでしたから…千年と少し前ですねぇ~……」
ちょうどこの地が『贄』にいいから、と冥王フィブリゾが手をだしたのはついこの間。
「魔族の感覚はあてにならんな」
至極もっともなゼルガディスのつぶやきに、
「でも、ゼルガディスさん。あちらのほうから何かとてつもない何かを感じますよ?」
「ほんとうですわ。…あちらの方角に何か、がありますわ。いえその……今、なんと……」
ふと感じる巨大な何かの力。
その力はまがまがしくも感じ、それでいて何かこう近寄りがたいような感じもうけなくもない。
それよりも、今、さらっといわれた台詞のほうがシルフィールとしては気にかかる。
今、魔族、とかいいませんでした?このゼルガディスさん?
いやでもまさか。
まさか魔族がわたくしたちと同行を共にするはずありませんし。
そう思い直しすぐさま自分の聞き間違いである、と自分自身に言い聞かす。
ふとみれば、
今いる広場からはまっすぐな道が伸びており、その先にちょっとした丸い建物が立っているのが見て取れる。
広場には街の案内図であろう。
看板らしきものがあり、そこに現在位置のようなものが示されている。
看板らしき、というのは見たこともない材質で創られているがゆえ。
透明で、しかも丈夫らしく、さらにはその中に文字や建物らしきものが刻み込まれている。
いうならばガラスの中に何かの情報が書き込まれているよう、といったところか。
しかし触った感じは当然、ガラスのそれではなく、かといって見知った材質でもない。
この材質は特殊な方法で精製されており、ちょっとやそっとでは傷をつけたりできない。
ということを彼らは知らない。
知っているゼロスとしてもわざわざそのようなことを説明する気はさらさらない。
また、する義務もない。
「とにかく、いってみましょ」
この町にはいってから、預かっている地図はほぼ意味をなさなくなっている。
おそらくこの町を包んでいる『術』の影響。
それぞれが言葉に出さないまでもそう思っているがゆえに、とにかく看板らしきものをたよりに、
そのまま広場の先にとある建物へとリナ、ガウリイ、ゼルガディス、
レナ、ラウリィ、シルフィール、アメリアの七名とプラス一名は足を向けてゆくことに。
球体。
そういっても過言でない建物。
とはいえ内部にはいると外見からは想像がつかないくらいに広い空間が広がっている。
ところかしこと並ぶ様々な彫刻は伝説上の生物を模したものか。
中には見覚えのある魔方陣らしきものもいくつか垣間見える。
紋章の上にいくつかの彫刻がある、ということはそれぞれの姿を模したものであろうことは容易に想像がつく。
カツン。
足を踏み出すと同時に響く乾いた音。
床は果てしなく透き通っており、とはいえその上にたつリナ達の姿は映し出していない。
映し出しているのはその場に納められている数々の彫刻らしきもののみ。
そしてまた、床のいたるところに見える石像の数々。
彫刻らしきものと石像。
その違いは一目瞭然。
彫刻らしきものは色とりどりの色が施されているが、石像にいたっては灰色一色。
リナ達の姿に気づいたものはといえば声なき声で救いを、と訴えてくる。
すでに自我を失い、虚ろと化した石像の姿も多々とある。
虚ろと化してしまった石像は、闇の器となり、その中にと入り込まれ、
そのまま動く石像として周囲を破壊しようとしたのか粉々に壊れた様がところどころ見て取れる。
町中でもこのような光景はよく目についた。
しかしいく度みても慣れるような光景ではない。
それは『人』であるからこそ。
逆をいえば魔族などといった存在にとってはこの場はとても居心地がいいのも事実。
周囲に負の気がほどよくたまっているのだからして。
たまった負の力は新たな魔物を生み出す核となる。
現にこのルルイエの街にはそのように生み出された魔物が多々といる。
そうして生まれた魔物の一部は街の外に連れ出され、滅びの砂漠の守り手として使われている。
しかしそのような現実は当然、この場にいるレナ達七人が知るよしもない。
「どうやら、ここが神殿…みたいね」
「祭壇がどこかにあるはず…ですね」
だいたいこのような創りの建物は一番奥に祭壇がつくられているか、
はたまた建物の中心に祭壇が創られているか、そのどちらか。
「…きをつけろ。…下、に何かいるぞ?」
「…なんだ?これ…?」
その気配にいち早く気づいたのはガウリイとラウリィ。
足元。
自分達の姿が映らない床の中に何かの気配を感じ取る。
しいていうならば純粋なる悪意。
中に取り込もうとする何かの意思。
「みろっ!」
ゼルガディスの言葉とほぼ同時。
ゆらり……
床のいたるところから生えるように突き出す黒い手のようなもの。
それらはまるで生き物のように周囲をさまよっている。
そして触れたものすべてをそのまま床の中に飲み込んでいる。
よくよく目を凝らしてみれば、おそらく手につかまったのであろう。
いくつもの石像に、そして生身の人の姿も床の奥底のほうに見て取れる。
まだ石像にされる前に生きたまま取り込まれたもの達であろうことは明白。
「なんなんですか!?あれ!?」
床のいたるところから手がはえている光景などみたことがないし聞いたこともない。
アメリアのいいたいことはわからなくもない。
ないが……
「なんか、あれって実体がないなぁ」
「どちらかといえば精神体…というか意識体、かな?」
一目でその性質を見抜いて警戒しつつそんなことをいっているガウリイとラウリィ。
「…あんたら、相変わらず人間離れした感性もってるな……」
そんな二人の言葉をうけてあるいみ呆れていっているゼルガディス。
普通、ぱっとみただけで判る性質のものではない。
しかし、彼らと付き合っている中でこの二人が野生の勘ともいえるものをもっていることは承知している。
いるが目の当たりにするとやはり呆れてしまうのは仕方がない。
どうやればそこまで勘がはぐくまれるのか、それはゼルガディスにはわからない。
「とりあえず。ということは物理攻撃は無駄…というわけか」
どちらにしてもこのままここで立ち往生しているわけにはいかない。
奥に進んでいかないと何にもならない。
「ならば……魔皇霊斬!」
ヴッン。
魔力を帯びさせて実体のない存在をきる術を手にした刀にとかける。
「これならばどうでしょう?……烈閃槍!!」
混沌の言葉を唱え、力ある言葉を解き放つ。
青白い槍が力ある言葉によって解き放たれる。
いくつかの手はその槍に貫かれかき消えるものの、すぐさまその形を復活させる。
「ちっ。きりがないわ。強行突破あるのみよ!」
「あ、リナさん!まって!!」
とにかくここで魔力を消耗してもらちがあかない。
手の動きはさほど速くはないようにみえる。
ならば、とにかくひたすらに奥を目指して進むのみ。
「あ!レナ!それにリナさんも!まってください!」
「みなさん、おいていかないでぇっ!」
襲いくる手らしきものと格闘しつつも、彼らはそのまま神殿らしき奥にと進んでゆく。
「やれやれ。ほんと、せわしい人間達ですねぇ」
そんな彼らの姿をみつつ、のんびりとその場にたたずむゼロス。
周囲にはびこる手はゼロスにむかってくるものの、それらはまるで避けるかのようにゼロスに触れることはなく、
そのまま再びでてきた床の中にと沈んでゆく。
手のようにハタメには見えるだけでこれらもれっきとした魔族の一因。
ゆえに上位の魔族には逆らえない。
この地に住まう存在達の負の念が生み出した闇に引き込む魔族、なのだからして。
奥に、奥に進んでゆくことしばし。
手に触れると体全体が重く感じられ、時には身動きすらも取れなくなった。
回復術をかけながら何とかたどりついた最深部。
そこに祭壇らしきものがあり、その中心に置かれている台座。
そこにひとつの黒い輝きをもつ水晶らしきものがおいてあった。
それらがすべての元凶、そう直感し近寄ってゆくとほぼ同時。
周囲の床、という床から数えようのない手が出現し、それらは人の形を成した。
そしてそれらはリナ達七人に向かってむかってきたものの、
どのような術をかけても一向に効果はみえない。
唯一、無の力のみが効果があるように見えなくもないがすぐさまにその形を再生させるそれ。
「このままじゃ、ラチがあかないわ。あたしたちがこいつをひきつけるから、レナはあれを!」
「補助しますっ!」
リナとガウリイ、そしてシルフィールが黒い人型にたちむかい、
レナ、ラウリイ、シルフィールの三人はそのまま台座におかれた水晶のほうへとむかってゆく。
「神滅斬!!」
苦戦することしばし。
パキィィッン!!!!
ゴウッ!!
レナが無の刃をふるうと同時、乾いた音と、轟音にも近い音が水晶からもれいでる。
次の瞬間。
ごっ!
目も開けられないほどの衝撃がその場にいた全員を包み込む。
例え様のない衝撃派のような【何か】。
それらは壊れた水晶を中心にまるで円を描くようにと周囲にと広まってゆく。
まるで衝撃音が周囲に広まってゆくかのごとくに。
それと同時。
ゆっくりと、ゆっくりと溶け出す何か。
「みてください!」
ふとみれば周囲にひしめくようにいた石像達がゆっくりとその体に色を取り戻していっている。
「う…うごける…のか?」
ずっと石像で身動きすらままならなかった。
口を開こうにも声がでなかった。
そのもどかしさ。
季節がいくつめぐったのか、時がどれだけ経過したのかわからない。
石となっていた彼らが呪いがとけ、どうなるのかはわからない。
しかしひとつだけいえることがある。
水晶を壊したことにより、彼らは石像、という呪縛から逃れられた。
「…・・・・あ…あ…あ゛あ゛ぁぁっっっっ!」
かたずをのんで石化がとけてゆく人々を神殿の祭壇より見ていたレナ達ではあったが、
ある異変に気付いて思わず声をだす。
たしかに、人々を蝕んでいた石化、という呪いは解けたらしい。
らしいが……彼らが少しでも身動きするとそこからその肉体はもろくも崩れ去る。
周囲に何ともいえない悲鳴のような、叫びのような声が響き渡ってゆく……
「さすがに千年以上、石化していたので肉体がついていかれなかったようですねぇ。はっはっはっ」
そんな様子をにこやかにみつつもさらっといっているゼロス。
「あんた…知ってたわね!?」
石化、という呪いを解くことにより彼らを待ち受ける運命。
そのことについてはゼロスはひとことも触れなかった。
ただ、石化を解く方法を述べたのみ。
このルルイエに存在していた石像はすべて、生きながら石像にされた生き物達。
石化が解けると同時に彼らの肉体に千年以上における時間がのしかかった。
その結果。
彼らは生きながらそのまま肉体を朽ちらせその骨すらも砂となり霧散してゆく。
後に残るは何が起こったか理解できないままに、その魂のままその場にたたずむかつて石像であった存在達。
石像のままであれば、生きている、とは言い難いがともかく命だけは存在していた、といえよう。
しかし、器をなくしたものたちはやがては闇にととらわれる運命が待っている。
そして闇にとらわれたものたちは闇の生き物、として再びその生を授かる。
それがこの場にかけられている仕組み。
自分達に降りかかった悪夢をそのままに、他のものへとその悪夢をつなげてゆく。
それが冥王フィブリゾがこの地にかけた枷。
リナの怒りのこもった言葉に対し、
「聞かれませんでしたし。それに、リナさんやアメリアさん達が望まれたことでしょう?
石化した人々を助ける、ということは。実際に石化からは助かったじゃないですか?」
きょん、とした様子でにこやかにさらっと何でもないように言い放つ。
だからこいつは詳しいことは何もいわなかったのか。
ゼロスの性格は知り尽くしているつもりなのにどうしても踊らされてしまう。
このもどかしさ。
ゆえにそれ以上、何を言い返すわけでもなく、ただただ強く拳を握るしかできないリナ。
「ゼロスさん…あなたというひとは……」
そんなゼロスに対して言葉を失っているアメリア。
ただ、石化した人々を助けたかった。
その思いには違いなかった。
だけども、それが結果として彼らをさらに苦しめることになろうとは、夢にも思っていなかった。
このままでは、彼らはさまよえる魂、として闇の生き物、となってしまうであろうことは明白。
巫女としてそのあたりの知識は嫌でも習っている。
だからこそ。
「……浄化結界!!!」
「……崩魔陣!!」
苦しみにもにたアメリアとシルフィールの声が同時に響く。
この術で全員を助けられるわけではない。
かといって何かせずにはいられない。
すべての人を浄化させること。
それが今の願い。
これ以上、石像と化していた存在達が苦しまないように……
「…なんか、やりきれないわね……」
これでどうにかなる、というものではない。
それが自分の置かれている状況とふと重なって見えて思わずつぶやくレナ。
魔族に翻弄されている、という点ではレナもまた同じなのだから……
だからといって、何もしないわけにはいかない。
だからこそ自分のできることをするしかない。
それゆえに、彼女達が浄化呪文を唱えている最中、
少しでも何かいい方向にむかうことを期待しつつ周囲の探索を開始する。
起こってしまったことはどうにもならない。
ならば先をみて行動するしかない。
それゆえの行動。。
浄化呪文が執り行われている最中、周囲を探索することしばし。
「…?これ、何?」
ふと壊れた水晶の下に何かボタンのようなものをみつけておもわず押しているレナ。
と。
ゴ…ゴゴゴ……
水晶が置かれていた台座がゆっくりと動き出し、その下に地下へと続く階段が出現する。
大抵、そういう場所にあるボタンは何かの罠か、もしくは仕掛けか。
一応、罠を解除するオリジナルの術はかけてみた。
しかしそれに反応することはなかった。
ならば、何かの仕掛けであることは明白。
ゆえにこそ罠とかではない、と確信したからこそ押したのだが。
「皆!下に続く階段があるわよ!」
リナの声が辺りに響く。
「とにかく、いってみるしかないな……」
魂を浄化していってもキリがない。
そもそも、どれだけの数が魂となって浮遊しているのかすら皆目不明。
皆を浄化しようとすれば、まちがいなくその前に自分達の魔力がつきる。
そうなれば、本来の目的である、『扉』の始末ができなくなる。
「…いきましょう。アメリアさん」
「……でも……」
「皆を助ける何かいい方法があるはずですわ。目的を果たしたあとでお伺いを立ててみましょう。ね?」
人の身では限度がある。
だがしかし、水竜王や赤の竜神騎士ならば何かしらの手がうてるはず。
そう言外に含ませつつもアメリアを促すシルフィール。
たしかに、自分達がいくら頑張っても全員を浄化させることなどは無理。
それは頭ではわかっている。
わかってはいるが、理性と感情とはまた別もの。
後ろ髪をひかれつつも、アメリアもまた、リナ達につづいて台座の下にと続く階段を下りてゆく……
―― Go To Next
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あとがきもどき:
薫:なんか、鬱々シーンになってぱたっと一年間、打ち込みとまってたぞ(汗
なんか最近、打ち込みする気力がぱたっとなくなってる今日この頃……
気分がのってるときはさくさくっと一、二時間もあれば一話くらいさらっといくんですけどねぇ~……
ちなみに、意識があるまま、体が朽ちていき、さらには骨となり砂となってゆく。
そんな光景を目の当たりにした人々の気持ちは…どんなでしょう(まて
魂となった存在はそのままフィブリゾの影響で魔となる存在も多々といます。
もしくはそのまま他のものを取り込む悪霊になったりとか。
とりあえず、水晶を破壊した、ということは逆をいえば神の気も相殺したわけで……
この地はおもいっきりフィブリゾの領地内。
ゆえに影響がでないわけがないのです…あしからず……
しかし、脳内小説完結してるわりに、打ち込みするにあたり、頭が回転しません……
どうしても別のほうこうに意識がいってしまう……
まあ、理由はわかってますけどね……
とりあえず、次回からようやくこのシリーズもクライマックス?近し、です。
フィブの処遇…ほんと、どのパターンにしようかな……?
んではまた次回にて……
2010年1月8日(金)&2011年1月2日(日)某日
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