まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。ようやく滅びの砂漠だ!!
クライマックス?というか帰還まであと少し!(なのか?)
いまだにラスト付近のイベント?をどちらにするか悩み中……
フィプの人質?になるやつ…どれにしよ?う~ん???
ともあれ、いっきます!

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○パラレル・トラベラーズ○~いざ、滅びの砂漠へ~

「ここは……」
ひゅ~……
乾いた風が駆け抜ける。
もののみごとにくっきりとある線を境に豊かな緑と乾いた土地が切り分けられている。
「ゼフィーリアと滅びの砂漠の境界線、ですわ」
「…誰だ!?」
「…って、永遠の女王エターナルクイーン!?」
振り向いた先に自分達がくぐってきたものは見当たらない。
かわりに見えたのは数名の女性達。
その中心に歳のころならば二十歳前後の穏やかな雰囲気をもつ女性がたっている。
野外だ、というのに地面につくかのごとくの長いすそ。
その服には一切のつなぎ目が見て取れないのは気のせいか。
「女王様!?」
アメリアとレナの言葉はほぼ同時。
「な!?」
その言葉をうけてほぼ絶句しているゼルガディス。
「ここは、ゼフィーリアとの国境付近、か?」
周囲の空気が澄んでいる。
ここまで澄んだ空気をもっている国はゼフィーリア以外にありえない。
扉の先に誰かがいることは判っていたのであまり驚いていないラウリィ。
ぱっと見ただけでそこにいる女性がただの人間でないのは雰囲気でわかる。
人の気配をもってはいるが気配があきらかに人とはことなる。
「リナ!何も怪我はなかったか!?」
そんな彼女達の後ろから駆け出してリナのもとにかけよってくる人影ひとつ。
「ガウリイ?あんた手伝いしてたんじゃないの?」
たしかいろいろと手伝いがあるから、というのでゼフィーリアにおいてきていたはずである。
その彼がどうしてここにいるのだろう。
それゆえに多少の疑問を含めてといかけているリナであるが。
「よくわからんが。用意はすんだけど邪魔になっている障害物を取り除かなければいけないからっていわれてな」
「…あれだけ説明したのにわかっていませんか……」
さらっとリナに説明しているガウリイの台詞に思わずため息まじりにつぶやく。
水色の髪は今日は二つに編み込まれておりそれらが頭の上でしっかりとまとめられている。
ここにくるまで散々ガウリイには説明をしたつもり。
しかしどうやら当の本人はまったく理解していなかったようである。
それゆえにため息をつかざるをえない。
「とりあえず、はじめましてのかたもいるようですし。わたくしはゼフィール。
  ゼフィーリアを統治しているものです。永遠の女王とよばれることもありますが。
  そちらのラウリィさんがいわれたとおり。ここはゼフーリアと滅びの砂漠の境界地点。
  今、この滅びの砂漠の奥では異界への入口が開きかけています。
  そちらのリナさん達一家がこの場所、この世界にまぎれこんできたのも時空に影響があってのことかもしれません。
  わたくしや赤の竜神様が出向くとその入口は逆に大きくなる可能性があります。
  しかしレナ達ならばそれを食い止めることができます。やってくれますね?レナ?それとリナ?」
名前を簡単に省略し概略だけのべつつにこやかにレナ達のほうをみながらいってくる。
いいつつも、
「あなた方だけでは心配ですし。案内役をつけますね。…さ、どうぞ」
すっと背後をふりむいたゼフィーリア女王、となのったその女性の背後から歩み出てくる人影ひとつ。
「って、シルフィール!?」
「みなさん。おひさしぶりです。それとそちらのかたが噂のレナさんですね。
  はじめまして。わたくしシルフィール=ネルス=ラーダと申します。ラウリィ様。おひさしぶりです」
リナにそっくりな少女をみてそれが噂のレナ=インバースだ、そう認識してにこやかにいってくる。
「シルフィールじゃないか。なんだってこんなところに?」
ラウリィの疑問も至極もっとも。
彼女は本来ならばサイラーグにいるはずである。
それゆえの問いかけ。
永遠の女王エターナルクイーン様に用事がありまして。サイラーグを代表してわたくしがよこされていたのですわ」
一瞬リナの脳裏に自分達の世界の悲劇がよぎる。
「あ、はじめまして。…って、ラウリィ。この人、誰?」
レナからすれば初対面。
それゆえにラウリィにと小声で問いかける。
「サイラーグの巫女頭。でもなんだって彼女がこんなところに?」
ラウリィもまた不思議でたまらない。
レナの疑問に答えつつも首をかしげているラウリィ。
「まさか。サイラーグに何かあったのか!?」
レゾの研究所は結局そのままにしているのが現状。
他にも隠し研究所があるのはしってはいるがそれがどこまでかはゼルガディスはまだ把握していない。
あのレゾのこと、実験体がたったの一体のみ。
というのもゼルガディスとすれば考えられない。
それらを考え合わせればレゾの研究成果の何かがサイラーグで何かをしでかした。
と一瞬考えをめぐらせてしまっても不思議ではない。
「おひさしぶりです。ゼルガディスさん。ええ。実は…神聖樹が消滅してしまったんです」
・・・・・・・・・・・・・・・・
しばしの沈黙。
そして。
『・・・・・・・・・・・・・は?』
レナ、ラウリィ、ゼルガディス、そしてアメリアの声が一致する。
ただひとり、リナだけがその台詞をきいて顔色を変えていたりするのだが。
「シルフィール。消滅って……」
かつての悲劇が頭をよぎる。
この世界での悲劇はふせいだはずである。
なのにやはり同じようなことがおこってしまったのであろうか。
どうしても悪い方向に考えがいってしまう。
震える声で問いかけるそんなリナに対し、
「それが、よくわからないんです。ほんとうにある日いきなり。
  完全にきれいさっぱりと。目撃した人の話しではいきなりハゼ割れてそのままかききえた、と……」
神聖樹フラグーンはサイラーグにとっては神聖なるもの。
ゆえにこそ、種がある、と聞いてはいたここ、ゼフィーリアへとやってきているこのシルフィール。
フラグーンのあった場所は今ではぽっかりと大きな穴があいている。
それだけでなくその穴のあった場所から日に日に瘴気がわきだしてきている。
それゆえにシルフィールが代表としてゼフィーリアにと赴いた。
「ち。ゼロスのやつがいたら詳しくきけたかもしれないのに」
今、この場にゼロスはいない。
ゼロスは竜達の峰で
――僕のお仕事は終わりましたからそれでは、みなさまごきげんよう♡
にこやかにいうや否やその姿をかき消した。
いかにもゼロスらしい、といえばゼロスらしいが。
サイラーグの神聖樹の消滅の理由をききだせない、というのがリナの苛立ちを募ってゆく。
彼の扱いはすでにもう慣れている。
なれたくて慣れたわけではないにしろ。
彼の口を割らす方法はリナはいくつか知っている。
「それがどうやら、冥王フィブリゾがサイラーグに赴いたようでして。その反動で神聖樹は消え去ってしまったようですね。
  何かを探していたようですけど、みつからなくて道を開いていってしまったようなんです」
サイラーグから使者がきてサイラーグにと意識をむけて『視』てみた。
その結果わかったのはサイラーグの神聖樹のあった場所が滅びの砂漠とつながっている。
というその事実。
時空間を視てわかったのだがどうやら何か冥王がしむけたらしい。
波動があればすぐに動けるように。
ご丁寧に自分の拠点となるべき場所とフラグーンのあった場所を繋げた冥王フィブリゾ。
それゆえにフラグーンの元あった場所から流れ出る瘴気は日に日に増している。
リナ達の疑問に答えるかのように困ったようにそれでいて簡単に説明してくるゼフィールゼフィーリア女王。
ディア=フロー=ヴィーナス=ド=ゼフィールそれが彼女の今の名前。
「どうやらその場所と例の歪みの場所が同じみたいなのよね」
ふいっと唐突に姿を現しそんな彼らにいってくる一人の女性。
「げっ。ね~ちゃん……」
その姿をみてレナは固まっていたりするのだが。
「?子供達は?」
その横に二人の子供達の姿はない。
「ああ。実家に預けてきたわよ。心配しないで。リナさんたち」
いや、それってかなり危険なような……
子供達の性格は母親であるリナがよく知っている。
そういえば、このルナ姉ちゃんには子供達が移動とかできるの話してなかったっけ?
そんなことをふと思うが今ここで話しができる雰囲気でもない。
『…それってかなり危険のような気が……』
あの子供がいったいぜんたい『何』なのか判っているがゆえのもっともな『リナ』の言葉。
レナの心に『リナ』の言葉が伝わってくる。
「?」
そんな『リナ』の心配はレナにはわからない。
それゆえに首をかしげる。
「とりあえず、私達のほうでも他の世界と道ができたら困るから対処するけど。これをひとまずわたしておくわ」
そういいつつも巻物のような何かをレナにと手渡してくるルナ。
「何これ?」
レナの疑問も至極もっとも。
「地図よ。それに目的地が浮かび上がるはずだから。それを参考にしてどうにかして問題の場所を閉じてきなさいな」
巻物のような地図をひらいてみるとそこにはくっきりと地形らしきものが刻まれており、
とある一点がほのかに点滅するかのように光っている。
地図に表れている地形が立体的のようにみえるのは気のせいか。
「それと。砂漠の気候はきびしいものがあります。みなさんに水の恵みをほどこしてはおきますが。
  …きをつけてくださいね」
ルナが地図を渡したのち、女王がレナ達にむかってそんなことをいってくる。
そしてすっと手をのばし、何か口の中で言葉を紡いだかとおもうと次の瞬間。
レナ達の首にと今までなかった水色の首飾りが出現する。
まるで涙のような形の水色の石。
その石はヒモのようなものでそれぞれ全員の首にとかけられている。
そっと手をふれればそれには水の魔力がかなり秘められているのが感じ取られる。
「何かよくわかりませんが!いざ!正義を貫くために!いきましょう!レナ!」
「さ。まいりましょう。ラウリィ様。あまり時間はありませんわ」
とろとろしていればサイラーグは完全に瘴気に飲み込まれてしまう。
一人盛り上がるアメリアとはうらはらに、にこやかにいっているシルフィール。
「で。けっきょくどこいくんだ?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
よくわかっていないガウリイの言葉に思わずその場にいた全員がこけそうになるものの
「あ…あんたはぁっ!とにかく!ついてくればいいのっ!」
すかさずそんなガウリイにとハリセンをお見舞いして息をきらしつついいきっているリナ。
ともあれ、その場にルナ達を残し、リナ達一行はそのまま砂漠へと足をふみいれてゆく。
滅びの砂漠、とも死の砂漠、ともいわれているその場所へ――


バシャァッ!
ザラザラ……
何かがはじけ飛ぶ音とともに砂が舞い落ちる音。
もくもくと乾いた風にのって砂塵が舞い周囲の視界を一時さえぎる。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
いきなり、といえばいきなりのこと。
それゆえに、その場にいるほとんどのものがいきなりのことに無言になりはてる。
「いやぁ。みなさん。危ないところでしたねぇ。はっはっはっ」
場違いな笑い声が乾いた風にのって周囲に響く。
「って、あれ~?ゼロスじゃないか。どうしたんだ?」
役一名、その姿をみてもあまり驚くこともなくのんびりと話しかけているのだが……
「って、なんだってあんたがまたここにきてるのよっ!」
のほほんといきなり現れて、しかも自分達のゆく手をさえぎっていた砂の魔物らしきもの。
おそらくはその姿形からサンドワーム、と呼ばれている魔物であろう。
それらと対峙していたときにいきなりその魔物は砂となり崩れ落ちた。
そしてその砂煙の中から現れたのは……
「あら?あなたはいつぞやの……」
その黒い姿に見覚えがあるがゆえに一瞬驚いたもののそんなことをいっているシルフィール。
「って、あんたはとっとと逃げ出したくせに今さら何のようよっ!」
ダダッ。
ガシッ。
いうが早いがそのままその人影のほうに走りより、有無をいわさずに首に腕をまわし一気に力をこめて締め上げる。
「レ…レナさん、いきなりこれはないんじゃぁ……」
そんなレナにと何やら抗議の声をあげていたりするがさくっと無視し。
「今度は何!?またあたしを利用しようってわけっ!?」
そもそもこいつには踊らされた。
そういう自覚があるがゆえに締め上げたままの格好のレナの問いかけも厳しくなる。
「ああっ!ゼロスさん!はっ!ようやく改心して間人間になってくれるきになりましたか!?」
そんな人影…ゼロスの姿をみとめてアメリアが目をきらきらさせて問いかける。
「で?なんでまたお前がでてくるんだ?…お前は仕事はおわったとかいってきえただろうが?」
警戒を解かずにそんな彼にと顔をしかめていっているゼルガディス。
「?あ、あの?みなさん?この人はわたくしたちを助けてくださいましたのに。
  そのいいようはどうかとおもいますが?以前も助けていただきましたわね。ありがとうございます」
一人、意味がわかっていないシルフィールのみが丁寧に頭を下げてお礼をいっていたりする。
「で?何のよう?」
おもいっきり警戒しつつも問いかけるそんなリナの言葉に対し、口元に手をあてにっこりと、
「…それは……」
『秘密です。はなし(ですよ)(だからな)(だからね)』
言いかけたその先の言葉をいうよりもはやく、アメリア、ゼルガディス、ラウリィ、レナ、リナの台詞が一致する。
「み…みなさん、ひどい……」
そんな五人の台詞をうけて何やらいじけたようにいっているゼロスではあるが。
「で?何だってあんたがまたでてきたわけ?」
こいつがでてきたらロクなことがない。
それがわかっているがゆえのリナの問いかけ。
「こたえないようならこれから神聖歌でもうたってすすみますかね~」
「あ。それ賛成!スィーフィード様の歌でいいですかね?」
笑っていない笑みを浮かべていうリナにたいし、すばやく賛同しているアメリア。
「うっ!…い、いいます!いえばいいんでしょう!お仕事です!お・し・ご・と!
  僕らとて異界の存在が入り込んだりしたら困るんですよ~!
  とりあえず冥王ヘルマスター様への僕の貸出期間は終了しましたし。
  獣王様から命令されていたのは、レナさんを異界黙示録クレアバイブルに連れて行きそこまでは守ること。でしたし。
  お仕事おわって獣王グレータービースト様のところに戻ったら異界の穴というか扉のことをきかされたんですよ~。
  万が一、他の世界のものが世界を混沌に沈めでもしたらそれこそ僕らの立場がありませんし……
  何よりここは僕らの世界ですからね。好き勝手されるわけにはいきませんし」
そしてその間に裏切り者のガーヴをおびき出すこと。
それらが以前のゼロスの与えられていた仕事。
もっとも、レナが赤の竜神騎士であるルナ=インバースの妹、と知った冥王はゼロスをゼラス=メタリオムに返したのだが。
別にそういったことは説明することでもないし、また言う必要もない。
ゆえにそれらは説明せずに大まかな要点だけで説明しているゼロス。
「…あんた、ほんきでリナさんがいってたようにパシリなわけね」
ゼロスが消えてからゼロスのことはリナに多少聞いたがゆえにあきれたようにいっているレナ。
そしてまた、
「というか。なんだって上のやつらがでてこないんだ?」
出てこられてもこまるが、困るようならば普通は上の存在が出向くものなのではなかろうか。
そんなことをおもいつつも不審げにといかけているゼルガディス。
「さあ。僕としては上からの命令は絶対。ゆえに逆らえませんし。
  というわけで。しばらくみなさんと一緒に行動させていただきますね♡」
「なにが、と、いうわけで。よっ!!…黄昏よりも暗きもの、血の流れより紅きもの……」
レナに首を締めあげられたままの格好でにこやかにそんなことをいうゼロスに対し、
低く重い声で言い放ち、問答無用で呪文を紡ぎだす。
「また何かたくらんでるんじゃないのか?まだレナを利用するつもりか?お前達は」
何となくではあるが魔族のたくらみは判ったような気がしなくもない。
確信はもてないが、わざわざレナを異界黙示録クレアバイブルに導くようにいわれた。
というのがそもそもひっかかる。
「あ…あのぉ?さきほどからみなさん、何を?ヘル…マスター?それに…グレーター…?」
一人、正体がわかってないがゆえにその会話をききながら戸惑いの声をあげているシルフィール。
『あ』
そんなシルフィールの説明に思わず顔を見合わせているアメリアとゼルガディス。
「そういえば、サイラーグの巫女頭のシルフィールさんは知らないんでしたっけ?」
幾度かセイルーンにも巫女頭、として代表してやってきていただけにアメリアは彼女とは面識がある。
「知らないだろうな。しかし知ったらパニックになるぞ?」
彼女がゼロスと出会ったのはコピーレゾの一件のとき。
あのときゼロスは正体は話してはいなかった。
「ダメっていってもどうせついてくるんだろうし。好きにすれば?
  だけど変なことしたら問答無用で呪文たたき込むからね」
かつての冥王ですら不完全版を防ぐのにトカゲのしっぽきりで耐えた。
ゼロスにそこまでの芸当ができるかどうかは不明ではあるが致命傷に近いものは与えられるはず。
「リナさん!だけどこいつは!」
そんなリナの言葉に思わず抗議の声をあげているレナではあるが。
「まあ、たしかに。ついてくるのは必至だな。それに好きにさせて見えないところで何かされるほうが気になる」
ラウリィの至極もっともな意見。
どうせなら見えるところにおいておいたほうが相手の動きも少なからずわかる、というもの。
「それに。すくなくともそいつがいれば相手側の動きも少なからずわかるしね。
  お宝とかの荷物持ちにもなるし」
「って僕は荷物持ち扱いですかっ!?」
にこやかにさらっといいきるリナの台詞に抗議の声をあげるもののさらりと再び無視される。
「確かに。一理あるな。それにこの砂漠は初めての場所。何があるかわからないのもあるしな」
本来ならば照りつける太陽で立っているのですらやっと、というところなのであろう。
だがしかし、彼らにはゼフィーリア女王である永遠の女王より託されたお守りがある。
そのお守りに水の加護がほどこされているらしく体の周囲に薄い水の防壁が張ってある。
その水の防壁でさほど暑さを感じることもなく普通に昼間に砂漠をあるけているのも事実。
死の砂漠。
とはよくいったもの。
砂漠に足を踏み入れてすぐに無数の骨にと遭遇した。
動物などが足を踏み入れるとその暑さに耐えられずに時間をおかずに死滅する。
そして太陽と風にあおられ、その骨は砂と化す。
砂からは絶えず微量の瘴気がわき出ており、生身の肉体をもつものには長時間たえられそうもない。
「ゼロスさんはここのオアシスの場所とかしってるんですか?」
確かにリナやゼルガディスの言い分ももっとも。
それゆえに仕方ない、と割り切りふと思ったことを口にだしてきいているアメリア。
「ここにそんな場所なんてありませんよ?」
ふいにそんなアメリアの真横から返答が返される。
いつのまに抜け出したのかレナの腕の中よりさらっと抜け出しニコニコ顔で真横にたっているゼロスの姿。
まあ、彼にとっては抜け出した云々、というよりは具現化した場所を変えることによってもそれは可能。
それゆえに人間の定義はまったくもって当てはまらない。
「ないんかいっ!」
おもわずそんなゼロスの言葉に突っ込みをいれるリナではあるが。
「あ、でもそれに近いものなら。かつての街並みの廃墟ならありますよ?」
にっこりと笑みを浮かべたままにいうゼロスの台詞にその場の全員がしばし顔を見合わせるものの、
「あ、あのぉ?みなさん?こちらの人はいったい?」
一人、わけがわからずに戸惑いの表情をうかべているままのシルフィール。
人間、知らないほうが幸せ、ということは世の中には多々とある。
ゆえにこそシルフィールの戸惑いの声に顔を見合わせ、しばらく黙っていることに決めているレナ達の姿が、
しばしその場においてみうけられてゆくのであった……


「どうやらやってきたみたいだね」
ぽうっ。
目の前にとある水晶にと映し出されている光景。
そこには見慣れた人間達の姿が数名。
「しかし、ゼラスのやつは何のつもりだろ?…ま、いっか」
どちらにしてもこの地域にはいってきた、ということは自分の中にはいってきたのも同意義。
「よもやガーヴの一件で僕達の望みが近くなるなんておもいもしなかったけどね」
ふふ。
まったく邪気のない笑みを浮かべる一件少女にもみえるかるくウェーブのかかった十歳程度の男の子。
彼の周囲に人影はまったくなく、周囲には水晶の柱のようなものがいくつも立ち並んでいる。
その中心におかれている大きめの椅子にすわりゆったりと目の前の水晶に映し出されている光景をながめていたりする。
自分達の望み。
すべてを滅ぼし、混沌へと還ること。
あのレナ、という人間がスィーフィードが転生している人間の妹、というのは計算外ではあった。
どうりで彼女のことを覗こうとしても覗けなかったはずである。
しかし他にも鍵をみつけた。
あの人間の男のもっていた剣。
あれがすべての鍵となる。
「ゴルンノヴァとて元の世界にもどらないといけないのはわかってるだろうしね」
そもそも、あれと自分はほぼ同じ存在。
力的には自分のほうが上である、とは認識している。
「しかし。人間もおもしろいことをするよねぇ。高位魔族が人間の意思なんかで抑え込めるはずもないのに」
その意思力によりその力を抑えてコントロールしているのは明白。
人間の中にはときとして意思のつよいものがいる。
意思の力は人間の力となり、そしてその力は魔力にも比例する。
「ゼフィーリアの関係者ならばお母様のことを始めからしっていたはずだし。
  でもま、餌としては役にたったから無駄ではなかったよね」
もともとの目的はレゾ、という人間を監視していたときに思いついた。
レゾという人間の魂は彼がかつて行っていた術で今は別の場所にある。
あれはあのまま器をえればうまくすれば自分達の王は復活する。
しかしあの壺はどこにあるかはわからない。
創られた命を視ることはいくら自分とてできない。
だからこそ。
「もうすぐ。もうすぐ僕達の望みがかなう。これでやっと……」
自分達の存在意義そのものが達成される。
ゼラスがどういう目的でゼロスを彼らに付けたのかはわからない。
そもそも、どうしてわざわざ世界を滅ぼす一端になるかもしれないのにそれを防ごうとするのか。
それがよくわからない。
ゼラスいわく、自分達でやらなければ意味がない、とはいってはいたが。
そんなことはわかっている。
しかしきっかけを与えることにより起こることで世界が滅するならば何ももんだいないはず。
何よりも。
「ずっと退屈してたしね」
すぐ近くには常に水竜王の気配を感じていた。
せっかく器をえた主を彼らに壊されることのないように気をくばっていた。
その点、あのレゾ、という人間は本当によくやってくれた。
かりそめの器でも代用できる、ということを理論的ではあるが完成させたのだから。
しかし問題は、あの力を神族、そして人間や他の存在に利用されるわけにはいかない。
そんなことになれば自分達の目的そのものが遠のいてしまう。
「あと監視してたあの人間は最近、ぱたっと視えないしね……」
もうひとり、監視していた人間はいた。
しかしあるときをさかいにその人間からの負の心がなくなった。
負の心はあるいみ自分のもつ能力と呼応する。
もうすこし様子をみて人間達を利用する、という手もなくはない。
しかし、今は……
「さってと。どう楽しませてくれるかな?僕のおもちゃ達」
ふふ。
水晶にみえる人影…レナ達一行をみながらほほ笑む少年…冥王フィブリゾの姿が、
しばしその場において見受けられてゆく……


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あとがきもどき:
薫:地図で、おや?とおもったひとはお仲間ですv(こらこら
   はいvいうまでもなくドラクエシリーズの不思議な地図をコンセプト♪(だからまて
   あ~いうの、神様とかなら簡単につくれそーですしねぇ(スレ世界にあったらおもしろそうだし
   ちなみに、シルフィールとゼロスの出会いはいつ?という人は40話を参考に。
   通りすがりとしてシルフィール達を助ける?結果になってたり。
   44話ではその強さ?の一端と無責任(お役所仕事ぶり)をみせて消えてますv
   シルフィールはそれゆえにゼロスの正体は知りません(笑
   レナ達一行。アメリア、ゼルガディス、ラウリィは言うに及ばずゼロスと行動共にしてましたからね。
   そのあたりは原作のリナ一行とほぼ同じなわけですし。ゆえに正体知ってます。
   ちらほら~と、レゾ編のときにだしてた一件も再びだしてたり♪
   原作にはそってるけど、原作にレボリューションの設定あったらおもしろいし(かなりまて
   というわけでこの世界にはそれをとりいれてみたりするのですv
   さて…次回、何と、登場するのは!?
   ふふふふふv(ってバレバレですね~
   ではでは~、また次回にて♪

2010年1月8日(金)某日

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