まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
ようやく冥王フィブリゾの登場ですvでもあまり活躍はなし?
周囲にいるはずのみなさんが影になっているのはお約束?
一番影が薄いのはミルガズィアなのか、はたまたラウリィ達なのか(笑<自覚あり
何はともあれゆくのですv
#####################################○パラレル・トラベラーズ○~冥王フィブリゾ~
「しかし。ここであんた達とやりあう、といってもどうせそこのスィーフィードがでしゃばってきそうだしな。
おまえらも生きるために俺が戦いをしかければやり返してくるだろうしな。
まあその点、おまえらと俺とは似ているのかもしれないがな。
おまえらだって大人しく殺されよう、とはおもわねぇだろ?
スィーフィードとて無力なものが殺されるのを黙ってみているやつじゃねぇしな」
赤眼の魔王・シャブラニグドゥほどではないにしろ、赤の竜神スィーフィードとの付き合いは長い。
それゆえに竜神の性格も一応はわかっているつもりである。
それゆえのガーヴの台詞。
「まあ、あたしたちにかまってる暇はないんじゃないの?魔竜王ガーヴ」
「何を……」
きっちしと自分のななめ後ろにエルとマナをかばいつつも、
中腰になって二人をしっかり抱きしめながらそんなことをいってくるガーヴにと淡々といいはなつリナ。
しかしガーヴにはその意味がわからない。
リナはこの後、何がおこるのか自分の世界でおこった出来事とほぼ同じであるがゆえに【判って】いる。
「が…ぐわぁっっっっっっ!」
次の瞬間。
何ともいえない叫びが周囲にとこだまする。
「ガ…ガーヴ様!?」
それに気付きラーシャートが驚愕の声をあげるものの、彼にも何がおこっているのか理解不能。
「え?」
「な?!」
状況が理解できずに驚愕の声をあげているアメリアとゼルガディス。
そしてまた。
「…なんだって仲間が攻撃してるんだ?」
『あれもおんなじ魔族だよなぁ~』
意味がわからずにそんなことをぼやくラウリィに剣の中よりこたえている声がひとつ。
視界の先には剣を片手にしていた魔竜王ガーヴ。
そのガーヴのお腹から真っ白い手が突き抜けていたりする。
「き…きさまぁっ!い…いつっ!」
そう後ろを振り向きながらも憎悪の表情を浮かべて叫ぶガーヴにさきほどまでの余裕はない。
「さっきからずっといたよ。ゼロスやスィーフィード。それとそこの人間は気付いていたようだけどね」
この場にはいなかったはずの声がガーヴにこたえるようにして発せられる。
「しかし面白いことを人間は考えてるものだねぇ。ゴルンノヴァに人間の魂を組み入れてそれで制御してるなんて」
さきほど聞こえてきた声とそして同じ存在だからこそもてる確信。
「え?え?…なんで君がここに?」
その姿を認識して戸惑いの声をあげているアメリア。
ゆるくウェイブのかかった黒い髪。
十一、二歳くらいの女の子、と一見おもえるほどの美少年。
ディルス・シティでゼルガディス達とであった少年がそこにいる。
「ひさしぶりだね。お姉ちゃんたち」
にこやかな変わり映えのない笑みを浮かべて手をガーヴの腹に突き刺したままでレナやアメリアのほうをむきつつも話しかけてくる。
「でも!あのときあの子は…っ!」
アメリアが理解できずにおもわずさけぶ。
あのとき、アメリアは子供の体を認識した。
アメリアがでていこうとしたが、ゼロスが現れて心臓はうごいていない。
そういったのだ。
すぐさまに火の手がせまり子供がいた場所の建物ごとくずれおちた。
子供を助け出す暇すらなく。
「死んだ。なんていってないよ。君達がかってにそうおもいこんだだけ。
心臓はうごいていない。ゼロスはそういったはずだよ。まあもともと僕に心臓なんてあるはずないからね。
嘘はいってないよ?」
魔族は基本嘘をつけない。
嘘をつく、ということはすなわち下手をすれば己の存在意義をも否定することになりかねない。
そのようにできている。
「…きさま、何ものだ!?」
あのときはただの掏り。
そうおもっていた。
しかしまがりなりにも魔竜王ガーヴを素手で攻撃できる存在など限られている。
それゆえに警戒を強めて叫んでいるゼルガディス。
「そういえばまだ名乗ってなかったね。僕の名前はフィブリゾ。冥王ってよんでくれてもいいよ」
「「なっ!?」」
そんな少年の言葉に思わず絶句しているアメリアとゼルガディス。
ミルガズィアに至ってはその場で硬直していたりする。
「あいかわらずね。あんたも。子供の姿ってだいたい生きとしいける存在って油断するし。
確かに便利といえば便利だけど。それでうちのレナ達を巻き込まないでほしいものよね」
そんな少年…フィブリゾにむかってため息まじりに話しかけているルナではあるが。
「まさかスィーフィード自らが出向いているとは僕としてはものすごく誤算だったよ。
それに同じような人間が二人いる、というのも誤算だったしね。
みたところそっちの子は子持ちみたいだけど。うちのってことは君の身内なわけ?
でないとほとんど表にでてこない君がでてきているのは理解不能だしね」
いいつつも、突き刺した手をぐりっとまわす。
「ぐわっ!」
そのたびにガーヴのその突き刺された場所から黒い何ともいえない靄のようなものが漏れ出しそれらはまたたくまにと霧散する。
「レナは私の妹よ。人としての大切な家族だからね」
「なるほど。だからか。人の姿をとっているとはいえ基本は君とて神族。
僕らと対極にあるべき存在。君がいくら人の器をえていてもお母様の力を扱えるはずもないからね。
ということは、お母様のことをおしえたのは君ってわけだ」
「…なんか次々と伝説級のやつらがでてくるなぁ~……」
ラウリィの意見も至極もっとも。
そもそもレナとかかわりあってから様々な存在にとであっているのも事実。
「お母様?」
その場にいる少年、冥王フィブリゾの台詞をうけて多少首をかしげているアメリア。
「あんた、レナを利用しようとしてるみたいだけど。それって魔族の理からかけはなれてない?」
「ほんらい、魔族は己の力と意思でそれらをなしとげるもの。それをたにんの…
しかもじぶんは手をかけずに、というのははなれまくってるわよねぇ」
ピクッ。
その台詞にレナの中の『リナ』が一瞬反応する。
「なるほど、な。つまり俺達は完全に手の平の上で踊っていたわけだ。
おそらく俺達…というかレナを異界黙示録に案内するのと同時、離反した魔竜王ガーヴをおびきだす。
おおかたそんな計画だったんだろう」
ゼルガディスとてディルスでこの子供にはあっているので何となくだが想像はつく。
それゆえにはき捨てるようにと言い放つ。
「ご名答。でもまあ、つもる話しはあとにしようか。僕はまだやらなきゃならないことがあるからね」
いいつつも、手でいまだに貫いたままのガーヴにちらりと目をやったその刹那。
「がぐわっ!」
さきほどよりもさらにガーヴが叫び声をあげ、それとほぼ同時怒りの咆哮とともに背後にいる彼にむかって左手を振りおろす。
が。
ボ!
短い音とともにガーヴの左手が鈍い破裂音とともにとはじけちる。
「ぐぉっ!」
「無駄だよ。ガーヴ。もともと僕のほうがつよいんだ。
魔族として完全覚醒してない君が僕にかなうはずもないじゃないか。
君だってわかってるんだろ?抵抗するだけ無駄だって」
静かにいまだにもがいているガーヴにと視線をむけたまま、
「う~ん。いったん殺して交じった人間の部分を追い出してやろうとおもったんだけど……
どうも変なふうにまじりあっちゃってるみたいだねぇ。
さすがは、というべきなのかな?水竜王のかけた束縛は。
これじゃあたとえ殺しても元の魔竜王として復活させるのは無理みたいだね」
すこしばかり小首をかしげて笑みを浮かべたままガーヴにとも誰ともなくつぶやくフィブリゾ。
「…きさまっ!」
「そう叫ぶガーヴの表情には色濃く死の影が現れている。
「といって。このままの状態で赤眼の魔王様に絶対服従するともおもえないし。となればここはやっぱり……」
「きさまぁっ!」
「結論はひとつしかないね」
ボッ!
そういうと同時に魔竜王の体が一瞬にして灰と化す。
雪にもにたその灰は風にのってどこへなりともなく舞ってゆく。
そんな光景をみつつ淡々と、
「肉体を滅ぼしてもガーヴの魂そのものはほろぼさないのね」
ちらり、とフィブリゾのほうにと視線をむけてといかけているルナの姿。
アメリア達に至っては何がどうなったのか理解できずにしばしその場にて固まっていたりする。
「まあね。これは赤眼の魔王様のところにもっていって。枷がはずせるかどうかやってみてもらうよ。
こんなんでもこいつは戦力にはなるしね。今の魔王様だと新たな僕達を生み出すのはちょっと大変だし」
フィブリゾが消滅させたのは、ガーヴの人としての体とその力の大部分。
核たる魂部分は多少なりとも残していたりする。
しかしそれはハタメにはわかるはずもないこと。
「え?完全に滅ぼしてないんだ。あたしのときは完全に滅ぼされてたけど」
そんなルナの台詞をきいて多少驚いたようにいっているリナ。
やっぱりここは自分達の世界とは多少なりとも違う時間軸で歴史はうごいている。
そう改めて感じざるをえない。
「?よくわからないことをそっちの人間はいってるようだけど。
こんなんでもこれも結構便利だからね。まあ枷がはずせなければそれはそのときに考えるけど」
スィーフィードが表にでてきた以上、少しでも魔族としては戦力不足はさけたいのが本音。
いくらスィーフィードとて今は人の体、という束縛をおっている。
だからこそ魔族にも正気は多少なりとも残ってはいる。
それゆえのフィブリゾの台詞。
「崩霊裂!!」
ごうっ!
そういったフィブリゾの声をさえぎり青白い炎が柱となりそのままその姿をつつみこむ。
「仲間すら手にかけるとは!やはり見過ごすわけにはいきませんっ!
悪の根源であるあなたをこのアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが正義の名のもとに成敗しますっ!」
ガーヴを手にかけたのをみてとり、しばし硬直していたものの、すばやく口の中で呪文を詠唱していたアメリア。
その詠唱を唱え終えいきなりフィブリゾにむかって術をぶっぱなす。
「無駄だよ~。アメリアおね~ちゃん」
そんなアメリアにむかってちょこっと首をかしげながらもいっているエル。
炎はやがてかき消えるようにきえてゆくが、その炎の柱が消えたあとには変わらず佇む人影ひとつ。
「びっくりするじゃないか。いきなり崩霊裂だなんて。
僕だったからいいようなものの下級魔族ならあっさりとほろんでるよ」
「…な!?」
それをみて驚愕の表情をうかべているアメリア。
崩霊裂は人間がつかえる精霊魔術の中では最強、ともいわれている精神世界面における呪文。
「…にんげんのきゃぱしてぃでとなえてもいみないってば」
至極もっともなエルの意見。
しかも魔力増幅も何もおこなわなく放っても彼らにきくはずもない。
人のもつ魔力ははてしなく低いのだから。
「アメリア姫もあいかわらず、なんですね。それはそうと。まあ魔族内部の混乱はおいとくとしても。
私のほうにも都合があるのでこのままにしておくわけにもいきませんし」
いいつつ、一歩ついっと前にとでるルナに対し、
「神族の都合って何さ?でもまあここで僕が攻撃をしかけても、君にはまったくもって勝てないのは明白。だしね。
また出直してくるよ。さっきからゴルンノヴァに干渉してもなんでかこたえてくれる気配はないしね」
さきほどから精神世界面からゴルンノヴァに対して干渉をおこなっていた。
しかし世界が異なるとはいえ同じ魔族である彼の反応はまったくない。
「人の精神が勝っている。とはおもえないんだけどね。…とりあえず計画のひとつは満たされたことだし。
また改めてお邪魔するよ。それじゃあね」
ふいっ。
そのままいうだけいってその場からまるで幻のごとくにかききえる。
「あ、まちなさい!逃げあしのはやいっ!」
「やめなさい。アメリア。あんたのかなうあいてじゃないわ!」
そんなフィブリゾに対していいつのるアメリアをすばやく止めているレナ。
「そういえば。フィブリゾの干渉をうけてよくもまあうごかなかったものだわね。あなたが。
まさか内部にいる人間に遠慮して、というわけでもないでしょうに」
さきほどからフィブリゾがソレに干渉をしていたのはしっていた。
しかしそれにこたえることなくその意識は閉じられたままであった。
ラウリィの手ににぎられている光の刃のほうをみつつもそんなことをいっているルナ。
「……やつはいどうした…のか?」
目の前の出来事についてゆけずにしばし硬直していたミルガズィアが固い声で問いかけてくる。
「今のところはね。とりあえず。先にしなければならないことをしておかないと」
一人まったくフィブリゾがいなくなったことをうけてもあわてることもなく、
すっと斜め後ろをふりむきつつも手を伸ばす。
「ああ。やっぱりここにあるわね」
そういいつつルナが目をつむり意識を集中したその刹那。
ボコボコっ!
周囲にちらばっていた数々の岩の破片がルナの手の前にと浮かび上がりあつまってゆく。
そして次の瞬間。
カッ!
まばゆい光が一瞬、あたりを覆い尽くす。
その眩しさにその場にいたほぼ全員が目をとじる。
「さってと。これでとりあえずは問題ないわね」
ゆっくりと目を開いたミルガズィアの目にはいったのはそこになかったはずの一枚の大岩。
背よりも高いその大岩の表面には細かな何かの模様らしきものが刻まれている。
さきほどまでこんな大岩などは絶対になかったはずである。
にもかかわらずにたしかにそれは今はそこにある。
「…何をしたんだ?」
ゼルガディスもまた何がおこったのかわからずに戸惑いながらもルナにと問いかける。
「ああ。空間をすこしばかりちょっとね。湾曲しかねない異空間へ続く道の扉を新たにつくりなおしただけよ?
あのままほっとくと物質世界面、つまりはこのあたりにあの歪みがひろがりかねないしね」
さらっと何でもないようにといいはなつ。
事実、あのまま異界黙示録へと続く道をほうっておけば、
空間をたゆたうようにと移動し、異空間とこちらの空間が変につながってしまっていた。
こちらの空間にひとつ目印をおくことでそこにそれを固定することができる。
今ルナが行ったのは周囲の岩を再構成する技のひとつ。
彼女にとっては何てことのない力のひとつ。
しかしその力すら人の目からすれば脅威以外の何ものでもない。
「ああ!正義の鉄槌をくだせなかったわ!逃げるなんて悪人らしくないわっ!」
一人違う意味で何やら叫んでいるアメリアの姿があったりもするのだが。
「でも。こまったわねぇ。下手にあの空間で爆発を起こしてくれたせいで多少の歪みが世界にできてるみたいね。
しょうがない。レナ。あんた達その歪みの元をただしてきなさいな」
「・・・・・・・・・・」
ルナのその言葉の意味を理解するのに一瞬時間がかかり、
そして。
「えええ!?どういうことよ!?姉ちゃん!?」
『ね~ちゃん!?』
声はレナと『リナ』、同時に一人の口から発せられる。
「…な!?…多重人格…?いや。違うな。…ひとつの体に複数の魂がはいっているのか?」
今の今までそんな気配などさらさらなかった。
それゆえにそのことに驚きつつもそんなことをいっているミルガズィア。
このあたりに残る魔力の残留思念というか残り滓ともいえる波動で詳しくはわからないが、
複数の魂の存在だけは確信できる。
「本当ならあんた達の力を借りたかったんだけどね。そのリナさん達を元の世界にもどするのにどうしてみ必要だから。
だけど今のこの状態でこの世界であの術を使うのは危険すぎるわ。
下手をしたら亜空間と物質世界がまじりあってしまう可能性がアレがあるかぎりあるのよ」
ルナがここにきたのはリナ達家族を元の世界にもどす協力を要請するため。
しかしガーヴの行動によって多少の変更が必要となった。
今簡単に固定した異空間ではあるがいまだに不安定。
あの空間は別の世界とも通じているいわば道のようなもの。
もしもつながったりすればやっかいなことこの上ない。
「そのアレって?」
怖いけどきかずにはおられない。
何やらパニックになっているレナにとかわりリナが恐る恐るといかける。
「ただの扉。よ。ガーヴの最後のあがきとでもいうのかしら?
自らが壊される直前の波動とラルタークが破壊した異空間の爆発力。
それらの空間をゆがめてある一か所に送り出したみたいなのよね。視たところ」
扉を仮に再び固定したからわかること。
扉、と表現したのはそう表現したほうがわかりやすいがゆえ。
「ああ。どうやらそのようですねぇ。しかしガーヴさんもおもしろいことをしましたねぇ。はっはっはっ♡
まあ僕としましては混合したら面白そうなので別にかまいませんけど。
しかし異世界の力が流れ込む可能性があるのは困りものですねぇ」
すこしばかりそちらに意識をむけて状況を確認してにこやかにいっているゼロス。
「べつにしかいのちからがまじるのはもんだいないとおもうな~」
「…エル。オオアリだとおもうわよ?それって……」
つながっているのはエルのいったとおり、四界の世界。
「ほかのせかいであそべるの?わ~い!」
別の意味で勘違いして何やらはしゃいでいるマナ。
「しかい?…ちょっとまて!まさかレゾがかつて研究していたあの四界のことか!?」
レゾの研究を手伝っていたこともありそのあたりのことは多少は知っているゼルガディス。
ゆえにその台詞に反応して思わず叫ぶ。
「?どういうことですか?」
一人理解していないアメリアは首をかしげていたりする。
ミルガズィアに至っては四界の世界がまじるかもしれない、というようなことをきき顔色をかえていたりするのだが。
彼とて異界黙示録に触れてそのあたりの知識は得ている。
だからこそ驚かずにはいられない。
「でぃすふぉっくとダークスター、カオテックブルーのせかい~。アメリアおね~ちゃん、しらないの?」
「よくわかりませんけど。とにかく!この世界に危機らしきものがせまっているのはわかりました!
レナ!赤の竜神騎士様のいうとおり!世界の危機を正しにいくのよ!」
「あ…あのねぇ!アメリア!簡単にいわないでよ!そもそも簡単になおせるもんでもないでしょう!ね~ちゃん!」
レナの叫びはしごくもっとも。
だがしかし。
「あら。レナ達だから。できるのよ。私の妹達なら、ね」
その身に魔をやどし、そして人でもあることから神の力をも引き寄せられ、それらを束ねることもできる。
歪みを訂正するには莫大なる力を要する。
それには神魔の力を融合することがてってりばやく、またその力は世界を修正することも可能。
それゆえのルナの台詞。
そんなルナの言葉にその意味を悟り、そのままかたまっているレナの姿。
「…あの~。ものすごくききたくないけど、きかないとはじまらないし。
…それっていったいどこにできたんですか?」
何となくものすごくいやな予感を心に抱きつつも恐る恐るといかけているリナ。
「そりゃ。ガーヴのやつの嫌がらせだもの。滅びの砂漠の中心、よ」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『えええええええええええええええええええええええええええええ!?』
『なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!?』
さらっといったルナの説明にしばし全員が無言となり。
次の瞬間、周囲にエルとマナ以外の全員の叫びがこだましてゆく。
彼らの叫びはやまびことなり竜達の峰へとひろがってゆく……
「すまんな。できればついていってやりたいのだが……」
ゆらゆらと目の前にはゆらめいている水面のような壁。
正確にいうならば何もない場所にちょこっとした枠どりをもつそのような『何か』が出現している。
「あなたにはここを守ってもらう責任がありますからね」
にこやかにそれでいて有無を言わさぬ口調でいっているルナ。
ルナが本当に当代の赤の竜神騎士であることは疑いようのない事実。
何よりもあの腹心達がルナのことを赤の竜神、とよんでいた。
さらには獣神官ゼロスの重大なる暴露ともいえる台詞。
それらを踏まえてきちんと彼らは彼らのうちで話しあう必要性がある。
ガーヴがとりこもうとしていたのは竜族達だけではない、エルフ達にしてもまた然り。
そのあたりのことを説明する義務もミルガズィアは背負っている。
見送りにきているのはこの場にはミルガズィアだけ。
他の竜族達などは先ほどまでの魔の瘴気をうけて混乱の真っただ中。
何しろこの竜たちの峰に魔竜王ガーヴだの冥王フィブリゾだのがあらわれたのである。
彼らの登場は竜達をとまどわせるのには十分。
いくら彼らがその気配を隠していたとはいえ、
精神世界面にも通じるものがある竜族にとっては精神面の負担が著しく大きい。
いつかは魔族の襲撃があるかもしれない。
そう頭ではわかっていてもこの峰にいる竜はほとんどわかい竜ばかり。
降魔戦争を経験したことのある竜などほとんどいない。
ゆえにこそ魔族の本当の脅威、というのもはわからない。
わからないが話しは伝わっている。
たった一人の魔族に自分達の先祖が壊滅寸前にまでおいやられた、ということは。
「しかし。話しにはきいてはいたが。まさか本当に平行世界から異界人がやってくるとは、な。
長くいきてはいるがこんなことは初めて経験することだな」
リナ達家族が誤まってこの世界にまぎれこんでしまった。
という簡単な説明はすでにミルガズィアには話してある。
始めは信じられなかったミルガズィアではあるが、リナから彼女達の世界のことをききそして信じるにいたった。
もっとも、話しをすべて聞き終えたときの彼の感想は、『おぬし、本当に人間か?』というものだったのだが。
少し前の強い魔の気配の消滅も話しをきいて納得できた。
…よもやただの人間に復活した魔王の欠片が滅ぼされた、とはにわかにはしんじられなかったが……
しかし、小さな人間の子供が金色の力を使っているのをみて納得がいったのも事実。
まあなかなか信じなかったがゆえに神滅斬でエルがそのあたりの岩をさくさくっときって遊んだ。
というちょっとした事情があったにしろ。
ありえない現象はさらなる世界に歪みをもたらす。
ゆえにそれを早く訂正したい、というルナの…赤の竜神の意向も理解ができる。
今、自分達にできること。
それは少しでも魔族のたくらみを阻止すること。
ガーヴの残党はまだ他にものこっている。
上司を失ったことに気付かずにそのまま行動するものもいるであろう。
「しかし、以前にもいったが私が心配していたことは杞憂でもあるのであろうな。
レナ殿の姉上が赤の竜神様ならばなおさらに」
彼が以前、ゼロスにいわれ、レナ達をつれて異界黙示録の元に案内するときにいったこと。
それ、すなわちレナが赤眼の魔王の七つの欠片のひとつではないか、ということ。
その考えは当たらずとも遠からず、なのではあるが。
そんなことはミルガズィアは知るよしもない。
そもそも、レナの中にはたしかに『欠片』は存在していないのだから。
もっとも、万が一そのようなことになったとしても、今の『リナ』は判ってしまっているがゆえに行動を起こす気などはさらさらない。
そのことが判ってのちにはいつもはまどろみ、もしくは意識がしずんでいた『それ』が常に緊迫した気配をもっている。
そのことをも『リナ』は理解している。
だがそれを他人にいうつもりなどさらさらない。
「さあ!レナ!いきましょう!いざゆかん!悪の巣窟へ!正義を知らしめるためにっ!」
「あんたはすこしは緊張感をもってよねっ!」
「ま、しかたないんじゃないのか?それに何かがつかめるかもしれないしな」
ラウリィが知りたいのは取り込まれてしまっている魂の救出。
冥王フィブリゾは死を司る。
ともいわれている。
人の輪廻転生を見分ける能力をもっている。
兄のこともあり死に物狂いで魔術、特に魔族関係については研究、勉強した。
彼の祖母もまた異界黙示録より自分達の運命が切り開けないものか、と研究していた。
いつかはこの剣を異世界にもどさなければ歪みは大きくなってしまう。
この剣が混沌とした世界を呼び寄せる可能性もある。
下手をすれば異界の魔王をもよびよせるきっかけにもなりかねない。
その危険性を重視していながら、制御するために組み入れられた魂をどうにかして救いたい。
それが自分の身代りにもなった兄にできる唯一のこと。
だからこそこのラウリィはレナと行動をともにすることをきめているのだから。
「ま。ここまでつきあったんだ。最後までつきあってやるさ」
何しろ始めに戦ったのは赤眼の魔王。
だからこそもう迷わない。
アメリア、レナ、ラウリィ、ゼルガディスがそれぞれそんな決意をのべているそんな中。
「でも、リナさん。あなたもいっしょにいくの?危険よ?」
「でも元はあたし達のことでもあるし。このこたちのことおねがいします」
いってエルとマナをルナにと預けて自分もともにいくことをきめているリナ。
歪みが訂正されないことには自分達がかえれる可能性は低い。
そうきかされて何もしない、なんてリナには考えられないこと。
「じゃあ、道をひらくわね」
ルナの言葉をかわきりに目の前にある水面のような壁が輝きをましてゆく。
そのままその場にミルガズィアとルナ。
そして預けられたマナとエルの子供達二人をのこし、残り全員、その光の水面の中へと足をすすめてゆく。
その先にあるのは…滅びの砂漠へと続く道……
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あとがきもどき:
薫:さてさて。これを考えた当初。始めはエル&マナがフィブリゾに……
というかリナのミニチュアともいえるマナがつかまってエルがおいかけてリナ達も。
だったんですけど。よくよくかんがえたらそのパターンというか人質パターンはレゾ編と同じ、なんですよねぇ。
なので別のパターンをも考えて、どちにするか最後の最後までまよいました(こらこらこら
でももともとの案ももったいないのでどこかで組み込む予定(あと残り少ない予定ではあるけども
では、次回でようやく滅びの砂漠!です!
ではまた次回にて~♪
2010年1月7日(木)某日
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