まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
なぜか一年ほったらかしにして(自覚あり)打ち込みしてなかった私です。
いや、他のやってたり、休みにはいまだにポンタさがしまくってたりしたもので…
が、あやしかった家がお引越ししてて、何だかな…状態中……くすん……
・・・もうもどってこないのかなぁ?ポンちゃん…
車にひかれてるクロネコとか、歩いてるクロちゃんみたら、びくっとなる毎日が続いてます…
唯一の救いは迷い子?のクロネコミヤちゃん。
あいかわらずやんちゃです…つ~か、ここは自分の家~
とばかりにあのこは入りこんでのそままくつろいでたからなぁ…
飼い主さんも見つからないのも不思議ですが……
そもそも、自分のいえ、と迷い込んできた時点でおもってるのか、
外にでても家の周りであそんですぐにもどってくるという…
結局、ミヤちゃんの飼い主らしきひともみつからず、うちのポンタは迷子札をつけていたのに見つからず…
これって何なんでしょうかね(涙
(で、結局ミヤはうちのこになり、ポンタはみつからないまま…くすん・・<2010年追記>)
4話ほどエイル視点一人称にしましたけど、ここからまた視点をすこしばかり変えての挑戦です
どうもエイル視点だと緊迫感が・・(笑
#####################################○パラレル・トラベラーズ○~歴史はめぐる?~
ざわざわ。
人が何やら騒がしい。
見えるのはところどころにくすぶっている煙の数々。
「あらら。ちょっとばかり派手にやってくれてるわねぇ」
町を見下ろせる位置から眼下を見下ろしそんなことをいってくる。
「これって……」
すこしばかり町の様子も確認してみたい、というのもあり直接むかわずに先にここ、ガイリアシティへときているリナとルナ。
その風景には覚えがあるがゆえに戸惑いを隠せないリナとは対照的にため息まじりにいっているルナ。
「まあ身の程をわきまえずに力を過信してた人間にはいい薬かもしれないけど。
巻き込まれる一般人はたまったものじゃないわよね」
人の体はとてももろい。
すこしばかり力が加われば簡単に壊れる。
そしてまた燃えてしまう。
「とりあえず今この町で情報を集めるにしても混乱してるから無理みたいね」
先日、この町ではかなりの死傷者をだす大火がでたばかり。
ゆえにいまだに町は混乱の真っただ中。
いまだにくすぶる炎は完全に消えてはおらずところどころに火の手がときどきあがっていたりする。
しばし上空より街並みをみつつもため息とともに言い放つ。
「…これってやっぱり……」
リナの脳裏に浮かぶのはかつての出来事。
あのときはてっきりガーヴの手のものがやった、とおもっていたのに真実は異なった。
あの一件を境にこの町は魔族の手の中で踊らされた、といっても過言ではない。
と。
「…どうやらゆっくりしている暇はないみたいね。リナさん、平気?」
「…お願いですから。そのさんづけはどうか……」
リナにとっては別世界といえルナはルナ。
ゆえにこそかしこまっていわれれば余計に恐縮してしまう。
「でも呼び捨てにするのもねぇ。とりあえず強い力がたまってるようだから。いそぎましょ」
その言葉と同時、二人の姿は暁の光に包まれその場からかき消えてゆく……
「え~と。どうしろっていうのよ?」
周囲をみわたせども認識不能な空間が広がるのみ。
『レナ。ここでならかわれるからかわりましょうか?』
そんなレナにとレナの中からリナが話しかける。
つい先刻、黄金竜のミルガズィアにつられて異界黙示録の元にでむきそこで魔竜王配下の襲撃をうけた。
そのときにミルガズィアがレナの背を押して別の空間へと押し出した。
そうすることによりミルガズィアも無意味な魔族との戦いを避けられ、またレナを魔の手から救うこともできる。
そう判断したがゆえの行動。
『リナ』がそう話しかけているそんな最中。
『…その必要性、なくなったみたい……』
どこか声におびえを含ませつつもすっと再び意識をひっこめる。
「え?リナお姉ちゃん?」
レナが状況を理解するよりも先。
「み~つけた。レナおね~ちゃん」
ひょっこりとどこか聞き覚えのある声を耳にする。
「…って、その声!?エイルちゃん!?」
なんで、あのこが!?
レナが驚くのも道理。
この空間は異次元空間に近い空間のようなもの。
そこにどうしてあのエイル=ガブリエフがいるのかがレナにはわからない。
しかもこんなところに三歳にしかみたない幼女がいるはずもなく思考が混乱してしまう。
魔族は姿を自在にかえられる。
だがわざわざあんな子供に姿を変えて近づいてくる、とは到底思えない。
「リナおか~さんたちおいかけてきたの~。レナおね~ちゃんはここで何してるの?」
邪気のない笑みを浮かべてにっこりと、とてとてと小走りにレナのほうにと走り寄り、
みあげながら問いかけてくるのはまぎれもなく……
リナとルナを追いかけてきたものの、一緒に行動したのでは多少なりとも面白みがない。
ゆえにこそ先にここにきている、というのをレナは知るよしもない。
「え?リナさんもきてるの?…って、今ここあぶないからっ!」
その言葉に一瞬目を点にするものの、すぐさま現状を思い出しはっとなる。
いつなんどき魔族の刺客が襲ってくるかもしれない、そんな一発触発の状態。
「それより、ここからでたほうがよくない?レナおね~ちゃん」
この空間で騒ぎがおこればまちがいなくこの空間は閉じられる。
それゆえのエルの台詞。
もっともすでにかの魔族は水竜王の『力』によって弾き飛ばされているのではあるが、それはレナは知らぬこと。
「でるっていっても…出口が……」
あのミルガズィアさんですら行って戻る道しかしらないっていってたし。
そんなことをおもいつつ一瞬口ごもる。
「だいじょ~ぶ。こっちだから」
くいっと手をひっぱられ、おもわず目を点にするもののやみくもに歩きまわるよりかはまし。
そもそもあのリナさんも異界黙示録のこととかしってたみたいだし。
その関係で道を知っているのかもしれない。
そう考え直し、
「ならお願いしてもいいかな?…なんかはてしなくいやな予感がするのよね」
ラウリィ達は外に残してきているまま。
他に刺客がいない、とはいいきれない。
リナの勘はあながち外れてはいない。
だがそれを口にだすことなくにこにこと笑みを浮かべたまま、
「じゃ、いこ。きっとマナもまってるし」
「って、マナちゃんまできてるの!?」
というかこんな戦乱になるであろう場所に小さい子供がきてるなど。
危ないことこの上ない。
まああのリナさん達だから自分達の子供は自分達で守りきるだろうけど。
それでも相手が相手。
それゆえにレナとしては心配してしまう。
そんな会話をしつつも、二人して歩くことしばし。
「あ~。ね~さま!」
元気な幼声がふと唐突に聞こえてくる。
それと同時。
「はい。御苦労さまでした。…って、やっぱりそちらのお子さんもこられてましたか……」
ふいっと姿をみせる二つの大小の影。
レナと共にいるエルの姿をみとめ大きくため息などついていたりする姿がみてとれる。
そんな彼の横からはとてとてとはしりよってくるエルより一回りほど小さな影がひとつ。
「?なんかあんたつかれてない?」
いつものみなれたにこにこ笑い、ではなくどこか疲労がみえかくれするようなそんな笑みをうかべている。
そんなそれ…ゼロスに対してレナが問いかけるものの、
「…ま、まあそれはそれとして。とりあえずお疲れさまでした。
びっくりしましたよ。マイナちゃんから話しをきいてあわててすぐにきましたからね。
そういえば、ミルガズィアさんとラルタークさんは?」
レナと共にいるのはミルガズィアでも刺客として襲ったらしいラルタークでもない。
それゆえにゼロスがレナにとといかける。
どうやらミルガズィアさんに話しをきいてきたわけでなく、マナちゃんの話しをきいてやってきたみたいね。
そんなゼロスの言葉からそう判断し、
「さあ。わかんないわよ。そんなの。もうどこかにいっちゃったかもしれないし。
ミルガズィアさんはそのうちに元の場所にもどるんじゃないの?」
竜族がこの中で迷ったにしてもいつかは出られる。
そもそもあまり迷った存在がいるとかならず救いの手を彼女は差し伸べる。
そこまで詳しくはレナは知るよしもないがなぜだか確信をもっていいきれる。
「ではみなさんのところにひとまずもどりましょうか」
ここにこのこ達と一緒にいたらなぜだか気分が落ち着きませんし。
そんなことをおもいつつも、そのことを微塵も表情に作り出すこともなくにこやかにレナにといっているゼロスの姿。
「かまわないけど。だけど異界黙示録のほうはもういいわけ?
あたしとしてはまだいろいろときいてみたいことがあるんだけど」
真っ先に疑問におもっていた点。
自分の国の女王についてのことは聞いている。
そして念のために金色の王のことも。
さらにいろいろと聞こうとしたところ刺客が現れた。
「さあ?とりあえず僕は命令どおりあなたを異界黙示録のところに案内したわけですし。
次の命令がきたわけじゃありませんからいいんじゃありませんか?」
ゼロスが命じられていたのはレナ=インバースを異界黙示録のもとにつれてゆくこと。
それとガーヴ一味をおびき出すこと。
ゆえにこそ命令のひとつはすでに完了している。
「…あんた、しごとなげまくってるわね……」
そんなゼロスにあきれつつもおもわず突っ込みをいれるレナ。
「ま、ゼロスだし」
それですましているエル。
「あたしとしてはまだ聞きたいことがあるから。もうすこし話しをきいてみたいんだけど……」
そもそもどうして意識の一部があのようになっているのか、というのすらまだレナは聞いていない。
当人が自国の女王だ、というのならばなおさら知りたい、とおもうのも人の心理。
「別にいいですけど。ですけどもしもこの空間でラルタークさんとラーシャートさんが二人同時にでてきたら。
はっきりいって僕、あなたを守れる自信はありませんよ?
まだ普通の空間でならあなたを逃がして戦う、なんてもできますけど。
ここではぐれたら僕より二人のうちのどちらかがあなたを先にみつける可能性のほうが高いですしね」
にこやかな笑みを崩さぬままさらっといいきり、そして、
「それに!もしそんなことになってこのお二人の子供が巻き込まれでもしたらどうします?
僕としては別にかまわないような気もしなくもないですけど。
それってなんとな~~~くものすご~~く厄介というか危険のような気がするんですよねぇ。なぜか」
そもそもこの空間でもしもあのお方の力をつかわれでもしたらどうなるか。
そうおもうとゼロスとしてはたまったものではない。
この空間はゼロス達とは異なる神気によってほぼ形勢されている。
そこに魔と、そして母なる力が加わればゼロスとしてもどうなるか見当がつかない。
そもそもそんな厄介なことまで命令されていないのにやろう、ともおもわない。
「…ものすごく納得。たしかに。エルちゃんとマナちゃんを巻き込むわけにはいかないわね」
幾度かエルとマナが簡単に金色の王の力を使ったのをみたことがあるがゆえに漠然と納得するレナ。
こんな不安定であの力をつかえばたしかに自分達ですらどうなるか、なんて保障はできない。
「ね~さま。いわれたと~りゼロスおじ~ちゃんつれてきたよ~」
「ごくろ~さま。マナ。さ、おか~さんたちがまってるからもどろ?」
「は~い」
そんな危機感を抱いているゼロスやリナとは対照的になごやかに会話をしているマナとエル。
この場に三歳時と二歳児の幼女がいる、というだけでもかなり違和感があるのも事実だが。
ともあれ今はこの場を離れるのが先。
それゆえに、
「…では、いきましょうか」
「そうね。あ、エルちゃん。マナちゃん。迷わないようにね」
「「は~い」」
ゼロスに手をひかれたレナが手をさしのべ、その手をエルがつかみ、そんなエルの手をマナがつなぐ。
四つの影が連なり、しばし岩とも何ともいえないように見えるその空間を彼らはしばし進んでゆく――
ぽっん。
こぎみよい音がしたかのように、まるで今まであった目の前の靄のが晴れたようにそれはいきなり。
いきなりさ~と物質的な視界が開かれる。
精神的な面で視ていたゼロスやエルにとっては視界の変化などさほどかわりはないのではあるが。
「ね~さま、おそとでたよ~。あとなんかいる~」
くいっとエルの手をひっぱりつつも、きょとんとしつつそんなことをいっているマナ。
「レナ!無事だったの!?」
「無事だったか。そっちの子も」
「…やっぱしそっちのエイルちゃんもいたのか」
岩肌からでてきたレナ達に気付いて声をかけてきている人物が三人。
「ただいま。アメリア。ゼル。ラウリィ。そっちのほうは?」
この場にはアメリア、ゼルガディス、ラウリィ達とともにきていたレナ。
リナ達と別れたあとに再び合流した彼らはこれまで共に行動していたがゆえの結果なのだが。
「そのやっぱしって。どういういみかなのかな~?ラウリィ?」
どこかため息交じりにいっているラウリィに対してにこやかにほほ笑みながらもいっているエル。
しかしその目は笑っていなかったりするがそのことにレナ達は気付かない。
「って…うおっ!?」
どごっ!!
それとほぼ同時、彼らの頭上の岩肌が一部崩れものの見事に直前までいたラウリィの立っていた場所を直撃する。
「ち。にげたわね」
何やらぼそっとエルがつぶやいていたりするがそのつぶやきはその場にいた全員の驚愕の声にとさえぎられる。
「なんだってこんな巨大な岩が突然に……」
ゼルガディスがつぶやき頭上を見上げる。
「みんな、ふせてください!!」
直後。
アメリアの声が響き。
次の瞬間。
グゴォッン!
異界黙示録へと続く空間の入り口のあった岩壁がその内部から勢いよく爆発する。
それと同時に巻き起こる土煙り。
「風よ」
ぶわっ!
ぱちん♪
かるく指をならしエルがつぶやくのと同時、ここちよい風がレナ達の周囲をかけめぐる。
爆発によって生じた土煙りはもののみごとにその風によって霧散される。
おそらくは砕けた岩塊などもあったであろうがそれらはレナ達のほうにまではとどいていない。
風に土煙りが霧散されるのと同時紛れてそれらも同時に消滅する。
しかしその事実に気付いたのはごく一部のものたちのみ。
「でましたね!悪の手先!」
びっ!
しばらくのち、ぽっかりと空いた穴の先にいる人影に気づいてぴしっと指をつきつけて言い放つアメリアの姿。
そこに佇んでいるのは一人の男性。
「どうやら別にもいるみたいだがな」
いいつつも剣を身構えているラウリィ。
「ほお。よくわかったな。たかが人間風情が」
「…ね~さま。わたし、こいつきらい。きってもいい?ふきとばしてもいい?」
自分達が見下されている。
そのことに何となくだがうすうす感じ、すこしばかり顔をしかめてエルの顔を見つめて問いかける。
「ギガスレやってもいいけど」
さらり。
「って、エルちゃん!むちゃいわないのっ!マナちゃん!と、とにかくおとなしくしてて、ね?ね!?」
さらり、といったエルの言葉に反応しかがみこんでマナの肩をがっちりつかんで半ば涙声になりつつ懇願してくるレナの姿。
「?なぜにその人間が狼狽しているのかはわからんが。
しかし我らとてあまりのんびりとはしておられないようだからの。
そろそろ決着をつけねばならぬ。よろしいかな。ゼロス殿」
レナのうろたえようをみて自分達に対してではなく子供に対してうろたえている。
そのことに対していぶかしりながらもゼロスに対して言い放つ。
「僕のほうはいっこうにかまいませんよ?ラルタークさん。ラーシャートさん」
岩肌にぽっかりあいた穴のほうにいる老人と、自分達の背後にいる男性にむかってにこやかに言い放っているゼロス。
「どうでもいいけど。りゅうしょうぐんだからって。りゅうのよろいって…ひねりがなさすぎ」
ちらり、そそちらのほうをふりむきおもいっきりため息交じりにつぶやくエル。
「…あんたら。あいかわらず緊張感の欠片もないな。まああの両親の元じゃそうなるのか?」
まったくもって驚きも騒ぎもしていないエルとマナをみつつもあきれたようにいっているゼルガディス。
「あくにんならこのままこのあたりごとふきとばしたららくなのに~」
「マナちゃん。それでは正義が貫けません!まずは悪人達に正義のなんたるかを徹底して教えて叩きのめすべきですっ!」
はたからきけばものすごく物騒極まりないことをいっているマナに対し、どこかずれた説得をしているアメリア。
そんな彼らの会話は何のその。
「しかし、キサマにやられた私の能力も回復した。この勝負、どちらにころぶかわからんぞ?」
子供達の真実の力を彼らは知らない。
ゆえにこそ脅威となるのはゼロスのみ。
そう判断しているがゆえの彼の言葉。
そして。
「黄金竜の長老よ。まさか手だしはせんでしょうな?」
ぎりぎり扉が消える直前にでてきていたミルガズィアにと問いかける。
「もとより。そのつもりはない。無力な存在への一方的な殺戮ならば止めもするが。
魔族同士の争いにわざわざ関与するつもりはない」
きっぱりはっきりさらっとそんな彼に対していいきるミルガズィア。
時として神の名を借りて無意味な殺戮をしたりする輩もいたりもする。
しかし魔族同士の争いに必要性もないのにかかわる気はさらさらない。
それゆえにミルガズィアはきっぱりといいきっていたりする。
「できればおまえさんがたにも手だしはしないでもらいたいんじゃがのぉ」
姿形は老人であるがゆえにその口調もまた老人らしく語りかけてくるラルターク。
しかし、相手に隙ができたときこそ攻撃するのが戦いの常。
特にあいてが自分達を狙っている、とわかっていればなおさらに。
「じゃが。そういったところでゼロス殿が負ければ次は我が身。
どうしたところでゼロス殿に加勢し儂やラーシャートの邪魔をするであろうな。
しかしそれはちと御免こうむりたいのでな」
それでなくても二人でかかっても彼らからしてみればゼロスに勝てるかどうか、すらあやしい。
そうラルタークは自覚している。
何よりもゼロスはゆっくりとその上司に時間をかけて創られたが自分達はそうではない。
それがわかっているからこその言葉。
「…儂らがゼロス殿と決着をつける間。おまえさん達はこいつの相手をしていてもらおうか」
いいつつも右手を前についっと突き出し地面にとむける。
その手の真下。
地面にぽっかりと穴があき、そこからふよふよと現れてくる二つの球体。
ひとつは薄い球でひとつは紅い球。
見た目は普通のちょっとしたボールにすぎない。
が、しかし。
「魔族ね。それも」
ラルタークの目の前をふよふよと浮かんでいるそれをみていいきるレナ。
穴は二つの球体を吐き出すと同時に閉ざされ元の地面にと戻っている。
「そのとおりじゃ。みてくれはただの球じゃが。
しかし以前のグドゥザやデュグルドたちなんぞよりよほどつよいぞ。
名前を紹介してやりたいところじゃが、あいにくと人間にはききとることも口にだすこともできぬ」
そんなことをラルタークはいってくるが。
「けっこうよ。それに長い付き合いするわけじゃなし」
レナの言葉をうけ、
「では、はじめるかの」
ラルタークの言葉をかわきりに、周囲に殺気が張り詰める。
「ゆくぞ!」
いいつつも剣をかたてに真っ先に動いているのはほかならぬ竜将軍ラーシャート。
彼は少し前、ゼロスとレナにガイリアシティで計画を台無しにされている。
それゆえにとにかくすこしでも鼻をあかしたい。
というのがラーシャートの本音。
「ガーヴのやつはあまりかんがえずにあいつらつくったから。
せいかく、ガーヴににてあれもとっしんがたなのよね~」
そんなラーシャートをみてぽそり、とつぶやくエル。
「ね~さま。マナ。じっとしてるのいや~。ボールであそんでもいい?」
「そうね~。なら、あそぼっか♡」
「うん♡」
少し離れた場所では能力を極力抑えたゼロスとラルターク、そしてラーシャートの戦いが始まっている。
しかしそれらをのんびりみているのも退屈。
それゆえにそんな会話をしているマナとエル。
「「って、二人とも、あぶないっ!」」
にっこり微笑みだっと駆け出す。
その姿をみてとり同時に叫ぶアメリアとレナ。
「「神滅打」」
ちなみにこの術はちょっとしたアレンジを加えたもの。
といってもこれを教えた当人は他ならないエイル当人。
それを妹であるマイナが真似して覚えた、という経緯があるそんな術。
二人の小さな手に呪文の力ある言葉とともにあらわれたのはちょっとした何かをうつ道具のようなもの。
「マナ、いっきま~す!あたーっく!」
『ききききぃぃぃぃぃぃぃぃ』
「あたしもいっきま~す!と~す!」
『ぐぎぎぎぎぃぃぃぃ』
そのまま有無をいわさずふよふよと浮かんでいるそれらに手にしたそれでおもいっきり打ち付ける。
ちなみに彼女達が的にしているのはいうまでもなくラルタークとラーシャートだったりするのだが。
それにより打たれると同時、灰色と赤の球体から何ともいえない悲鳴というか甲高い音が響き渡る。
「な!?」
「にっ!?」
エルとマナが叩いたそれらは同時にもののみごとに一か所に固まったラルタークとラーシャートを直撃する。
「「チェックメイト」」
エルとマナがそういうのとほぼ同時。
どぐわっ!!!!
それらは二人にぶつかった瞬間、爆音と同時に爆発する。
「…な…ぐ…ぐわぁっっっっっっっ!!!」
何がおこったのか理解不能。
その爆発は物質世界においても、精神世界においても同時に発生し二人を狼狽させるのには十分。
彼らが何が起こったのか理解するよりも早く、
「油断大敵ですよ。ラルタークさん」
ゼロスのひょうひょうとした声が彼らの耳にととどきゆく。
ラルタークの体は頭といわず周囲から黒い錐にと突き刺され、あるいみ串刺し状態と化している。
「が…い…」
今のはいったい何なんだ!?
そういい終わるよりも早く。
ばしゃっ!
ラルタークの姿を形作っていた力は失われ、その形態をなしていたものはどすぐろい液体となって地面にと四散する。
だがそれらも間髪おかずにみるまにとかききえる。
「まったく。かりにもりゅうしんかん…ぷりーすとなんだからもうすこしこんじょうあってもいいのに……」
「ね~さま。たったのいっぱつでおわり~?つまんない~」
唖然としたのはレナ達も同じ。
いつのまにか戻ってきていた幼女二人、すなわちエルとマナを信じられないようなまなざしでみていたりする。
そんな彼女達の心情とはうらはらにそんな会話をしているこの姉妹。
「え…え~と。今の…何?」
「今の…なんです?」
「何だ!?今のは!?」
状況が理解できずに唖然とつぶやくレナ、アメリア、ゼルガディス。
「ラ…ラルターク殿!?」
目の前で何がおこったのかは理解不能。
確実にいえるのは、同僚であるラルタークが消滅した、というその事実。
「…え。ええと。とりあえず。さて…と」
ほんとあの子供達…絶対に何かありますよねぇ。
そんなことをおもいつつもまずはひとまず今はガーヴの一味の始末のほうがさき。
そうおもい残されたラーシャートのほうにと視線をむけるゼロスであるが。
「ひ…ひぃっ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
しばしの沈黙。
何やら短い悲鳴の後にラーシャートの姿はこの場から瞬時にとかき消える。
「あ、あっさりとにげちゃいましたねぇ~……」
のんびりと、それでいてさもわるびれもなくさらっと言い放つゼロスに対し、
「に、にげちゃった。じゃないでしょうがぁっ!」
レナの声と。
「見つけた!って、なんでマナもエルもいるわけ!?」
「…あらら。…いつのまについてきていたのかしら?…というか、この残された力の残留は……」
精神世界面において多少ほんのちょっぴし残像程度に気持ち程度に残されている力の残像。
それを感じ取り多少顔色を悪くする。
ふと、聞きなれた声とまったく聞きなれない声はほぼ同時。
「って、あれ?リナさん!?」
「って、赤の竜神騎士様!?」
レナの声とアメリアの声はほぼ同時。
彼女達が見上げたその上空に浮かんでいるのは二人の女性。
『な゛っ!?』
そんなアメリアの声にその場にいたレナ達以外。
ゼルガディス、ラウリィ、ゼロス。
そしてミルガズィアの声が一致する。
「あ、か~さまだ~!」
「おか~さん!しんぱいだからきちゃった~!」
「きちゃった!じゃないでしょうが!あんたたちはぁぁっ!!危険なのにっ!!」
驚愕した彼らとは裏腹にのんびりとした子供の声とそんな二人に対して起こるリナの声がその場にと響き渡ってゆくのであった……
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あとがきもどき:
薫:ラグナバットとラグナノック。ものすっごくわかりやすいですがどちらにするかは迷いました(こらこら
本当ならばバトミントンを連想させる呪文の力ある言葉にしたかったんですが(かなりまて
なんかいい言葉がみつからなかったんですよねぇ(実話
ガーヴ登場はどうやら次回に持ち越し、です。
ちなみに、エルとマナがやったのはあるいみテニスに近いものがあります(こらこら
的に球をあててはそれを打ち返す、あの練習のようなものを連想してくださいな。
的になった魔族が弱すぎて、はたまた球にさせられた魔族もよわすぎて消滅しましたが……
いうまでもなく球体魔族が消滅したのはエル様の力に触れたために耐えられなくなったためです。
あしからず……
ではまた、次回にて~♪
ようやくいい加減に冥王登場にいけるかな?ではでは~♪
2009年5月5日(月)某日&2010年1月5日(火)訂正
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