まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて、ようやくエル様サイドvv
リナ達がお城にいっている間のエル&マナのほうのサイドですv
あと2こくらいでこのイベントも完了ですv
何はともあれ、いっきますv
しかし…日に日にノートパソさんのヒビワレがひどくなってるのはきのせいだろうか(汗
いまだにデスクさんは修理にだしてません。
というか、今のうちに修理にだしとくかなぁ…まったくつかわないし。
使うとすれば、印刷するときだけ、だしなぁ。うむむ……

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○パラレル・トラベラーズ○~無と有~

「な…なに?」
外からきこえてくる不気味な声。
それゆえに、きょとん、とした声をだす。
リナ達がお城にむかってはや数時間は経過している。
すでに日も傾きかけ、外は暗くなりかけている。
夕暮れの灯りが街全体を照らし出すものの、やはり住民の姿はない。
「今日も。かい。いいかい?窓から顔をだしてもダメだよ?」
もぐもぐとアップルパイをたべているエルとマナにと注意を促す女将。
「きょうも?なにかあるの?」
何が起こっているのかは理解している。
してはいるが、一応はといかける。
「最近ね。日没近くになると魔物が街中を徘徊するんだよ。まったく。この街はどうなってしまったんだか」
魔物が出ようが何があろうが、兵士たちがそれらを駆除しにくる気配すらない。
だからこそ日々人々の心は疲弊していっている。
自分たちは見捨てられたのだ、と。
中には自分の意思で魔物と戦う兵士もいたりするが、そういう兵士は翌日、または三日以内に行方不明となる。
上より命じられているのは何があろうが出動は不可能、ということ。
さらにいえば、城の中に新たに入ることすら城の周辺を警備している彼らには許されない。
「とにかく。おじょうちゃんたちは、お部屋にもどっても絶対に窓から外をみちゃいけないよ?」
この女将の家族もまた外に様子をみにいき行方不明となっている。
好奇心小さな子供がダメ、といわれてはいそうですか、とひきさがるはずもなく。
それでも、行方不明にはなっていても、必ず生きている、そう信じている。
信じていなければやっていかれない。
そもそも、このような現状になり町を捨ててこっそりと抜け出す人が続出している最中、宿を営んでいる。
というのもいずれもどってくるであろう子ども達のため。
夫であり、この宿の本来の主人は子ども達を探しに行ってもどってきていない。
確かに、いまだにまだ子ども達は使われてはいない。
おそらくリナ達が城に隠された研究施設から助け出すであろうことはエルはわかっている。
「大丈夫。大丈夫さ。外にさえ出なければ……」
そう、外にさえでなければ家の中にまではやってこない。
そう。
今までは。
「?なにかそとがあかるいよ?」
夕刻の明るさではない、何か異なる明るさ。
それに気づき、ひょい、とテーブルの上にとのり、小さな窓から外をみるマナ。
窓には別にガラスといったものがはめ込まれているわけでもなく。
普通に木枠により外と中が隔たれている。
夜になれば外の雨どいを落とすことにより雨風より家の中を守る手法。
ちょこん、と除くにしても背丈はおもいっきり足りない。
だからこそ少しばかり風の呪文をつかい浮かび上がる。
ひょっこりと窓枠に手をかけて外をみる。
夕焼けの灯りとは別にほのかに街全体があかるく染まっているように感じられる。
空に飛び交う無数の黒い何か。
「ね~ね~。ね~さま?おそとがほのおでまっかだよ~」
マナの視界に入ったのは、街のところどころで炎をあげている家々の姿。
もう少し詳しくみれば、街のいたるところに出現している異形の生き物が炎を巻いている。
とわかるであろうが、マナはそこまで気がまわらない。
まあ、二歳児にそこまで詳しく説明しろ、というのが無理、といえばそれまでなのだが。
「…何だって?まさか……」
炎で真っ赤。
ということはどこかで火事がおこっているのかもしれない。
それゆえに、マナが除いている窓とは別の小窓から外を確認する女将。
彼女の視界に移りこんだのは空に飛び交う黒いはねをもった異形の魔物と炎をあげて燃えている家の姿。
裏路地に位置しているので、詳しく完全な街の様子まではわからない。
わからないが、ただごとならぬことがおこっているのは明らか。
「とにかく。にかいから外にでて屋根にあがってみてみよ?」
「あ、ちょっとおまちっ!」
唖然とする女将をそのままに、術にて一気に二階にと駆け上がるマナとエル。
そのまま部屋の窓から外にとでる。
マナは屋根の上にとのぼり、周囲を見渡して何やら花火のようで綺麗だ。
と違う意味で喜んでいたりするが。
そんなマナをあわてておいかけてきた女将がしっかりと抱きしめている姿が目にはいる。
ふよふよふよ。
「ふむ……」
エルは風の呪文をつかい、屋根からは離れているがゆえに女将の手は届かない。
周囲をぐるり、と確認して『視て』みる。
どうやら、侵入者、という報告をうけて第二段の計画に街に潜伏していた存在達が動いたらしい。
何しろ一度完全に街を破壊してしまえば、その後に入居したものはまず怪しまれない。
また、破壊された、と外にもれなければその人々に成りすますことも可能。
しかし、雨を降らせ炎を鎮めることは簡単だけど……
そこまでおもい、ふと思いつく。
この体ではまだ実験していない本来の力。
どのあたりまでが限度なのかちょうどいい機会だから確認してみる価値はある。
かつてのときは、『リナ』という人間の器がよくわからずに力をおもいっきりつかった結果、
ちょこっと面白くない結果におわったのは、『エル』にとっては記憶にあたらしい。
そもそも、あのとき、フィブリゾにわからせるために、リナの体をそのままに戻した。
というのも失敗だったし。
そんなことをふと思う。
人、という限度がある器を使用する以上、何かと制限はある。
人の器、というものは弱い。
だがしかし、光にも闇にも属することがないので使い勝手はよい。
どちらにも属さないからこそ、自身の力をしようしてもまず不都合はない種族。
それが人、というもの。
「とりあえず、いってみますか♡」
ふわりと近くの別の家の屋根の上にと舞い降りる。
「エルちゃん!危ないからもどっておいで!」
窓から乗り出して、宿の女将がそんなことを叫んでいるが。
どうやらマナを抱きかかえてひとまず部屋の中に入れたらしい。
このあたりの上空には羽の生えたレッサーデーモンなどの姿は見えないが。
それらがみえるのは、街の中心地のあたり。
ここは街の中心地から離れた路地裏、ということもありあまり見向きもされていないらしい。
ゆっくりと目を閉じる。
すっと片手を前にと突き出す。
「わが身、わが意思、わが力、わが意思をもちて、我が望みに応じよ」
青い瞳がふわり、と金色にと変化する。
「我が意思は我が力、我が力は我が意思なり」
ざわっ。
その言葉と同時に、エルの体を金色の淡い光が包み込む。
肉体を使わずに精神のみだけで使用する場合は言葉はいらない。
だがしかし、人の肉体、という器がある以上、言葉を発したほうが負担は減る。
「無は有に、有は無に、全てはあるがままの望みの姿に」
その言葉と同時に、片手を突き出した手の平の上に小さな黒い球体が出現する。
「我は命ず、かのものたちに無と有を」
そういうと同時に、手の平の上に出現していた黒い球体をきゅっと握り締める。
その刹那。
ポシュ。
空に浮かんでいた数多の羽の生えたレッサーデーモン、そしてまた、街の至るところから発生していた炎。
さらには、街の中を闊歩していた魔物たち。
この街の周辺に存在していたいくつかの魔物や魔族。
それらの元に刹那、黒い炎が出現し、瞬く間にそれらを全て飲み込んでゆく。
黒き炎は金色の炎となりて周囲を覆いつくす。
今、エルが放ったものは、エルが指定した全てのものに対してその効力を無と化すもの。
つまりはレッサーデーモンなどにおいては、その存在が無と化し。
炎にいたっては無となり金色の光において有の力にと変化し焼き尽くしたはずの物質を再生させる。
それはほんの一瞬の出来事。
おそらく、ハタからみれば何がおこったか理解できるものはまずいないであろう。
重破斬は周囲に虚無を誘い込む術。
だが、今エルが使った術はそれとはまた異なる力。
虚無はまた創生の力をも生み出す。
「さ…さすがに…体に負担すごいわ……」
肉体的に感じるはてしない疲労。
たかが、ちょっとした力でもないモノをしようしただけだ、というのに。
この喪失感。
ふらり、と一瞬体がよろめくと同時、エルの体をまとっていた金色の光もまた掻き消える。
だけども、今ここで気絶すれば、そのまま屋根の上かに地面にまっさかさま。
肉体における疲労はすでにピークを達している。
そのまま、がくっと膝と両手を屋根の上につきながら、
よつんばいになっているままの格好で虚空にとある紋様を描き出す。
転移魔方陣の応用。
そのまま、その魔方陣を自身の体に絡めるように移動させる。
それと同時、魔方陣がエルを中心にしてほのかに光を発し、
次の瞬間、エルの体は魔方陣の光とともに掻き消える。
「って、あぶないっ!」
指定した場所は宿屋の部屋の中のはずだったのに、どうやら肉体的な体力が足りなかったらしい。
窓のすぐそばに移動し、そんなエルをあわててがしっと受け止めている宿の女将。
突如として移動する術などは彼女はみたことがないが、だがしかし。
そういう術があっても魔術に関しては何でもありのような気がするのでさほどおどろいてはいない。
実際は、今エルが使った術はかなり高度なものであり、まず使用できるものは皆無、といってもいいのだが。
「って、エルちゃん!?」
いきなり身を乗り出している窓の前に出現したエルを抱きとめたはいいものの。
その体は異様に冷たい。
精神的な意識は覚醒しているものの、肉体的にはそうはいかない。
まぶたはしっかりと閉じられており、はたからみれば顔面蒼白に成り果てているように垣間見える。
「と、とにかく。早くベットに」
何がどうなっているのかは理解不能。
だが、確実にいえるのは、今この子供が何らかの術を用いた、ということ。
そしてまた、その術の過負荷にて小さな体に負担がかかってこのようになっている。
ということ。
ぬくもりが一つも感じられないその小さな体の心臓もまたゆっくりと動いているのみ。
とにかく、体を温めないと。
そう思い、エルをそのままベットに寝かし、お湯を沸かしにとぱたぱたと降りてゆく女将の姿。

「え…ええと……」
い…今のは?
一瞬のことではあったが、たしかに感じた畏れ。
街の中が面白いことになっており、いまだにのこっている人々からほどよい負の気配が漂っていた。
というのに。
それら全てをもかき消すような、何ともいえない畏れと畏怖。
このような感覚に陥るような技や術などはゼロスは知らない。
否、唯一、それに近いもの…といえば……
「……死の…入り江?」
たしか噂では魔道士が術をぶっばなして死の入り江と化した。
そうゼロスは旅の最中、情報を得てはいる。
それが誰が放った技か、ということまではつかめてはいないが。
あの場にたったときと同じような、畏怖、という名前の感情。
誰かが、『あのおかた』の力を…つかった?
にしては、人間が一瞬にして炎や挙句はレッサーデーモン、それらを消し去ることができるであろうか。
あの存在の正確な知識をもっていたとしても、使われる魔力や体力は並大抵のものではない。
ぐるり、と周辺を見渡してみれば、精神世界面においてもやはり、同じようなことがおこっている。
それも痕跡すらまったく残さずに。
普通ならば、何らかの力を使えばそれにともなう残り香は残る。
それすらもまったくもって綺麗にと感じさせないみごとなもの。
つまりは、直接にそれを経験していなければ何があったのかは絶対にわからない。
魔王様や赤の竜神だとて力をつかえば残り香は残る。
それすらもまったく感じさせない、というのは……高度すぎる力、といっても過言ではない。
「誰が……」
あのリナさんでしょうか?
いえ、今リナさんはあのカンヅェルさんと対峙してますし。
えっと、レナさんのほうは…実験施設に乗り込んでいらしゃいますし。
アメリアさんとゼルガディスさんにおいては地下の研究施設を壊していますし。
なら、他の人?
まさか、あの子ども達がこんな力を使えるはずもない…とおもいますし。
というか、おもいたいです。
あのエル、と呼ばれていた子供からときおり感じる何らかの本能的に逆らえない何か。
どうしてもそれと今の現象を結びつけたくなってしまう。
だがしかし、結びつける、ということはありえないであろう可能性をも視野にいれなければならない。
ということ。
そして、万が一そうならば、確実に上司に報告しないとまずいであろう。
というもの。
「……ま、まあ、気づかなかったことにしましょう。ええ」
面倒なことは嫌ですし。
そもそも、そうとなればゼフィーリアに出向け、といわれる可能性はほぼ確実。
あんな場所好き好んでいきたくないですしね。
ならば、おそらく、今のほんの一瞬の力の波動はどこにも感じ取られていないはず。
ゆえに、自身がだまっていれば問題はない。
聞かれれば答えるまで。
そう自身の中で判断し、再び城の中に舞い戻ってゆくゼロス。
もやもやした気分は、やっぱり、アメリアさんたちの負の感情をもらうことではらさせてもらいましょう♡
そんなことを思いつつ。

「こんな研究!まちがってるわ!」
延々と地下の牢獄を探索していたアメリア達。
その結果、牢獄の奥のほうに実験施設のような、研究施設のような開かれた部屋があり。
そこに閉じ込められている様々な人々の姿。
全員、どうやら眠らされているらしく、生きてはいるが意識はない。
しかも、そこにいた黒いフードをかぶっている数名の男たちに問いつめたところ。
何でも人と他の生き物、特に魔族との合成を目的とした実験であり研究。
ということ。
人はどうしてもか弱い。
だがしかし、魔族のその強靭な力を意志をもったまま手にいられれれば?
それが彼らの実験の本質。
合成獣化などとはまた異なる。
全ての能力を人あらざるものにする、というその実験。
究極の目標は外見は人のそれのまま、その力を得る、ということ。
すでに実験に使われた人々のうめきが何とも痛々しい。
だがしかし、アメリア達にできることなどありはしない。
人としての意識をもったまま、実験材料にされている人々。
それが何もしらない旅人達だ、というのだからなおさらに。
まずは、力のない普通の一般人と、力が多少なりともあるであろう傭兵や魔道士達。
それらにおいてそれぞれ実験を繰り返していた彼ら達。
助けようにも助けられない。
それが何とももどかしい。
唯一、助ける方法があるとすれば、彼らの命を自分たちが断ち切ってやることのみ。
そもそも、合成されたという魔族と、人間の精神を分離する方法などアメリア達は知らないのだから。
それが、普通の合成獣化のように肉体的における能力だけならば方法はある。
だがしかし、この実験は魂ともよべる精神にそれらを融合させる、というもの。
かつて、この研究におぼれ、滅んでいった国が多々とある、という禁忌ともいえる研究。
とにかく、できることからするしかない。
それゆえに、捕らわれていた人々を目覚めさせ、ワイザーの案内で彼らを城の外にと案内してゆく。
ワイザーは呪文を使えない。
それゆえに、まずは人々の安全を優先させる。
もっとも、彼とて簡単な魔術はしよう可能だが、こういったときに対処できる術は持ち合わせていない。
その分、頭脳で彼は何とかするタイプなのだから。
累々と並んでいるうめき声をあげているカプセルの前で理不尽ともいえる扱いに怒りを抑えきれず、
思わず叫んでいるアメリア。
「しかし…どうする?」
アメリアの怒りは至極当然。
だがしかし、彼らをこのままにしておく、というわけにもいかないであろう。
だがしかし、自分たちの手で命を絶つ、というのもそれは究極の選択。
かといって、このまま彼らを苦痛のままに生かしておく、というのもまた非情。
打つ手がないがゆえに怒りを言葉に表して叫ぶしかないアメリア。
と。
ザシュっ!!!
アメリア達の目の前にて、カプセルの中にはいっている異形と化した人々の体に黒い錐が貫かれる。
それはほぼ一瞬の出来事。
三角推のような錐にそのまま貫かれ、まるで生命の水に漂うソレラはまたたくまに肉片となり掻き消える。
まるで、水の中に溶けこむかのごとくに。
「なっ!?…って、ゼロス!?」
「な!?今のはゼロスさんが!?どうして!?」
そこにいるはずのないゼロスの姿を目にして驚愕の声をだすゼルガディスとアメリア。
そこには、いつものように笑みを浮かべたままにこやかに部屋の中心にたっているゼロスの姿が。
「どうして?僕はただ、彼らを解放しただけですよ?それとも、他に方法があったとでも?」
「そ…それは。それでもっ!」
理不尽ともいえるゼロスの言葉。
ゼロスのいうことはもっともだ、と理解はできるが、納得できるものではない。
カプセルの中にはいっていた人々は確かに意識があった。
アメリア達の姿をみて、殺してくれ、と嘆願していたことからも。
ゼロスにより消滅させられた実験の道具とされた人々。
彼らにとってそれは幸せだったのかどうかは、それはアメリア達には知る由もない。


                 ――Go To Next

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あとがきもどき:
薫:さてさて。エル様の活躍~は、はっきりいってかなり少ない(まてっ!
  しかし、使った力ははっきりいって途方もない普通から考えればレベルです。
  何しろ炎に焼かれた町並みなどもその炎自体を逆の性質にと変換させて、創生の力となして。
  などとしているので町並み再生、ということも実はやってのけてたりするこの事実。
  もっとも、それに気づいたのはゼロスのみであり。
  家の外などに出ることもなかった残された人々などは気づいておりません。
  当然、城の中に入り込んでいるリナ達は知る由もありませんv
  ちなみに、エル様、肉体がまだ三歳児のそれ、ということあり。
  その力において負担がかかり、あるいみ肉体的にはただいま仮死状態中~
  といっても、精神のみはしっかりと覚醒しているので問題はないんですけどね~
  ともあれ、ではまた次回にて~♪


2008年4月30日(水)某日

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