まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。今回は副題にもだしてるとおり、ワイザーのおっちゃん(笑)の登場ですv
やはりベルギスを追いかけているのはこのおっちゃんでなければv(こらこらこらっ!
というわけで(何が?)ともあれ、ゆくのですv

#####################################

○パラレル・トラベラーズ○~ワイザー=フレイオン~

「うう。いくら何でもひどいんじゃないですか?」
何やらその場にいじけて座り込み、のの字を書きながら抗議の声をあげてくる。
「あんただからいいのよ」
「ゼロスさん。何なら常に人生ってすばらしい、っていってあげましょうか?」
「え、遠慮しておきます……」
いじけるゼロスにきっぱりといいきるリナに、にこやかにいっているアメリア。
そんなアメリアの申し出をすばやく却下しているゼロス。
「で?ゼロス。また何でお前がこんなところに?」
先ほど、ベルギス、という人物を追いかけてきた。
とか何とかいっていたが。
そんなことをおもいつつ、問いかけるラウリィ。
「ああ。それですか。実は僕の連れとご一緒にこの街にきたんですよ。
  ちょうど出入り可能な壁が一部ありまして♡」
『・・・・・・・・・・・・・』
ゼロスがいう、出入り可能な壁、というのは間違いなくガウリイが壁を斬った場所をいうのであろう。
それゆえに思わずだまりこむリナとラウリィ。
「つれ?」
「ええ。僕がベルギスさんを知りませんか?とかたっぱしから聞き込みをしていましたら。
  同じく探されている方がいましてね。それでご一緒にやってきたわけなんですけど」
もっとも、ゼロスの聞き込み、というのはそれらしき盗賊などを回り聞き出す、といったもの。
彼にとっては相手が死のうがどうなろうが別にどうってことはない。
ゼルガディスの素朴な疑問ににこやかにこたえるゼロス。
「そもそも、何であんたはベルギスをおってるわけ?」
リナの疑問は至極もっとも。
そもそも、こいつの仕事は写本の処分でしょうに。
まさかもう、冥王フィブリゾにこいつが貸し出されてる…なんてことはないでしょうし。
そもそも、あのときは重破斬をつかわなかったんだから問題はないとおもうし。
そんなことをおもいながらもきちんとした返事を期待できるわけではない、とわかっていても問いかける。
「ああ。それはですね。マゼンダさんが彼に渡した、といってましたので♡」
正確にいうならば、マゼンダをつれて向かったクロツ達一味のアジト。
そこで写本の一部がベルギス、という人物に出回っている、というのをゼロスは聞き出しているのだが。
用事がすんだマゼンダは身動き一つとることなく、そのままゼロスによって滅ぼされているこの現状。
先日のこともある。
それが何を意味するのか理解して、顔色を変えているゼルガディス。
「それはそうと。そのゼロスさんの連れってどこにいるんですか?」
「ああ、彼でしたら。城を調べにいく、といってましたけど。あとは情報収集、ですかね?」
アメリアの問いかけににこやかに答えているゼロスではあるが。
「しっかし。この兄さん、ほんとどこからはいってきたのかしら?
  まあ、神官さんなんだから鍵のはずし方とかしっているんだろうけど……」
だけど、神官がそんなことをするかねぇ?
そんな会話をしているゼロス達をみながらも、ひたすらに首をかしげている宿の女将。
まあ、このゼロスには鍵など、といったものははっきりいって意味がない。
そもそも、本体は精神世界に属しているのだから、その気になればどこにでも一瞬で姿を現すことは可能。
「城って、一人でか!?」
おもわずガタン、と席を立ち上がるゼルガディス。
城にいって戻ってきたものは一人もいない、というのに。
「ゼロスさん!どうしてとめなかったんですか!?」
常識的に考えれば一人でいかすなどありえない。
だがしかし。
「いや、でも、いく、といわれるひとをとどめる役目は僕にはありませんし♡」
「あ~…はいはい。あんたはどこでもそうなんでしょうね。とにかく。ほうってはおけないでしょうし。
  あ、すいません。女将さん、子ども達の面倒みてもらっててもいいですか?」
「それは私はかまわないよ?小さな子供だしねぇ」
「ええ!?おか~さん、あたしもあばれたいっ!」
「マナも~~!!」
リナのそんな言葉に思わず抗議の声をあげているエルとマナ。
「だめっ!」
「「…ぶ~」」
ふてくされ、むくれる様子はこの姉妹はそっくりの顔をする。
「まあ、この子たちは私にまかせて。あんたたちはきをつけるんだよ?」
マナとエルの肩にぽんっと手をおき、にっと笑みを浮かべながらもリナ達にと語りかける宿の女将。
「とにかく!ゼロス!案内してもらうわよっ!」
「って、リナさん?その手にしているハリセンは何ですか?」
いいつつも、リナの手にはしっかりとなぜかハリセンが握られていたりする。
魔皇霊斬アストラルヴァインかけたハリセン」
ついでにそれにちょぴっと神力を上乗せしてるけど。
最後の追加説明はあえて説明しないリナ。
「って、そんなものにそんな術をかけないでくださいっ!」
リナの台詞に思わず突っ込みをいれているゼロス。
「とにかく。その城にむかった。とかいうやつが心配だしな。…いってみるか」
ここでぐだぐだいっていても先に進めない、というのも明らか。
しいてはことを仕損じる、ともいうが、虎穴にいらずんば虎子を得ず、ということわざもある。
ともあれ、しぶるエルとマナを宿の女将に託し、リナ達は全ての原因であろうと思われるラルド城にと向かってゆく。


まだ日は高い、というのに城の周りはしずまりかえっている。
城を警戒している兵士たちの様子もどこかがおかしい。
全て全員生気のないような表情をしている。
「たしか。ここって地下から入れたはずですけど」
城の周囲に張り巡らされているお堀。
そこから城の中にとつづく非常用の脱出口があるのをアメリアは知っている。
なぜか、といえばそこの中はスライムの宝庫でもあり、
ここに以前きたときにはその地下通路でアメリアはかなり遊んだ経験をもっている。
いかだが見当たらないが、それは関係ない。
そもそも、簡単な浮遊の術を使い移動すればいいこと。
極力魔力を押さえ、水の上をあるくようにして進む。
アメリアのいうとおり、城の表門のしたにその出入り口らしき場所があり、そこから中にとはいるリナ達。
「誰かが確かに進入した形跡があるな」
いくら地下道とはいえ、侵入者よけの仕掛けはある。
その仕掛けが解除されて、奥に続く扉が開いている。
それゆえにつぶやくようにいっているゼルガディス。
「ここって、スライムの宝庫なんですよ?」
「そ…そう」
その台詞につぶやくようにいっているレナ。
「まあ、たぶんそうじゃないか、とおもって。これもってきてるし」
以前お宝目当てにリナ達の世界にてこの城の地下室にもぐりこんだことがあるリナ。
収穫はたかがオリハルコンの短剣が一本であったが。
ちょうどその日はしろのほうで何やら騒ぎがあったらしく、それゆえにリナの犯行は誰も気づいていない。
という事実があったりするのだが。
「?何ですか?それ?」
きょとん、としつつ問いかけてくるアメリアに対し。
「塩」
いとも完結にあっさりとこたえるリナ。
以前、ちょっとした依頼をうけたときに依頼主が塩でスライムを撃退していた。
というのを覚えているがゆえのリナの行動。
「とにかく。下手に呪文とかつかって騒ぎにしたら面倒だしね」
地下室で使える呪文、というものも限られているが。
あまり騒ぎをおおきくすることなく、どうにか城の中に潜入したい。
それがある。
「とにかく、いこう」
そんな会話をききながらも、そのまますたすたと奥にと歩き出してゆくゼルガディス。
「スライムかぁ。あいつら、きってもきっても分離するからなぁ」
剣士にとっては面倒な相手のひとつ。
何しろ普通に剣できれば、そのまま斬った数だけ分裂して増える。
それゆえに、おもわずつぶやいているラウリィ。
光の剣モードで相手を倒せば、問題はないのだが。
「それより。奥のほうから何か剣があわさる音のようなものがしてないか?」
奥のほうをみながらも、そんなことをいきなりのほほんといっているガウリイ。
「え?あたしにはきこえないけど?」
ガウリイの台詞にきょとん、とした声をあげるリナではあるが。
ガウリイの耳のよさと目のよさは十分に理解している。
「ガウリイ。どっちから?」
「えっと。こっちだ!」
そんなもの、きこえないが?
そんなもの、きこえませんけど?
首をかしげ、心の中で突っ込みをいれているゼルガディスとアメリアはただただ顔を見合わせ首をかしげるのみ。
そのまま、ガウリイが指摘したほうこうに駆け出してゆくリナとガウリイ。
「たぶん、ワイザーさんとザインさんたちがたたかってるんじゃないんですか?」
ぴくっ。
さらっというゼロスの台詞におもいっきりレナが反応する。
「って、ちょっとまていっ!あんたのつれって、あのワイザーなわけ!?」
いぜん、かなりいいように利用されまくったのでよくレナは覚えている。
「あれ?いってませんでしたっけ?」
「きいてないわよっ!とにかく、あたしたちもいきましょ!」
のほほんとした声をあげるゼロスをそのままに。
そのままリナ達を追いかけて走り出してゆくレナとラウリィ。
「やれやれ。せっかちな人たちですねぇ」
「って、ゼロスさんはいかないんですか?」
「別に急ぐ必要もないですし。僕には関係ないですしねぇ」
さも人事、といったようにさらっといいきるゼロス。
事実、人事なのだが。
「まあ、そいつにかまってる暇はないぞ。アメリア。俺たちもいこう」
「そうですね」
ゼロスにまだ言いたいことはたくさんある。
だがしかし、誰かが襲われているかもしれない、という今の状況でゼロスを延々と説得するのも気がひける。
それは後からでもしっかりとできることなのだから。

カンッ。
キンッ。
ガグワッ!
「ふ。なかなかやるな」
「さすがだな」
対峙しながらも、警戒と間合いは確実にとりつつおもわずつぶやく。
どうでもいいが、対峙している人物の姿はどっちもどっち、といった姿。
片方は全身黒尽くめに、どうみても暗殺者スタイル。
かくして片方もまた黒づくめではあるが、なぜかその顔にマスクをすっぽりとかぶっている。
傍目からみれば、どちらも怪しい人物には違いはない。
地下道に、剣と剣が重なり響きあうおとと、何かが炸裂する音が響き渡る。
相手はかなりの使い手だということは明らか。
元、国王近衛団であったがゆえに、腕のほどは確か。
そんな自分についてこられるこのマスクの男は…ともおもうが。
何よりも今は侵入者の排除が先決。
この計画は今度こそ邪魔されてはならないもの。
主の、そして自分たちの野望をかなえるためにも。

「そこまでよっ!」
すばやく呪文を唱え
烈閃槍エルメキアランスっ!!」
「…っ!!」
突如として第三者の声が響き、二人の中心にと光の槍が投げ入れられる。
普通の人間がくらえば数日はおきられない、精神にのみダメージをあたえる術。
みれば、マスクの男と暗殺者スタイルの男らしき人物が応戦している姿が目にはいる。
…やっぱしか。
ベルギス、という名前をきいたときに予測はしていたが、やはりというか何というか。
暗殺者スタイルのほうはともかくとして、マスクの男に関してはリナは心当たりがありすぎる。
というか、何で今、ここなわけ?
リナ達の世界では彼らとかかわったのはかなり後のはずである。
あのときに、ガウリイの斬妖剣を手にいれたのだから。
まあ、世界が違うし、こういうこともあるかもしれないけど。
だがしかし、気になるのはあのときと同じような実験の成果がでているか否か、ということ。
暗殺者スタイルの男たちに関してもまた然り。
「おまえたちは……いや、ちがうな。にてるが……」
いきなり現れたリナとガウリイをみて、驚愕の声をあげている暗殺者スタイルの人物。
そして、リナのほうをみて一瞬おどろくものの、だがしかし、視線を一箇所にととめてそんなことをつぶやいていたりする。
「…レナ殿?いや、違うか。胸があるし」
「って、どういう基準じゃいっ!」
そしてまた、リナをみてつぶやく覆面の男性の台詞に思わず突っ込みをいれるリナ。
自身とて散々昔いわれていたのでそういう見分け方はかなり問題外。
「たしかに。レナ=インバースは平原胸だしな」
ぷちぷちぷち。
それが以前の自分にいわれていたこととおもわずかさなる。
「まとめてふっとべぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!火炎球ファイアーボールっ!!!」
ごがぁぁぁっん!!!!!
狭い地下道の中、リナの放ったファイアーボールが男たちにむけて炸裂する。
胸がない。
それは、今では昔よりは胸が大きくなっているリナにとってもまだ禁句の一つ。
それゆえに問答無用でリナの術が炸裂する。
「け…けほっ」
狭い地下道のこと。
術により生じた煙は狭い道をとおり、周囲に広がる。
空に霧散するわけもなく、地下、という性質上、ただひたすらにその場にたたず土煙。
ふとみれば、覆面の男性が何やらむせこんでおり、もう一人いたはずの人物は消えている。
「なあ、リナ。こんな場所でそれはないとおもうぞ?」
慣れているがゆえに、冷静にそんなことをいっているガウリイ。
「うっさいっ!相手がわるいのっ!」
すかさずそんなガウリイに突っ込みをいれる。
「…さすが、そっくりのだけはあるな。あんた、あのレナ=インバースの親戚か何かか?」
むせこみながらもそんなリナ達にと話しかけてくる覆面の男性。
いいつつも、顔を隠していた覆面をとる。
「って、ああ!?ワイザーのおっちゃん!?」
と、背後のほうから聞こえてくる声。
みればどうやら、今の爆発の音で場所が特定できたのか、やってきたレナとラウリィの姿が。
ワイザー=フレイオン。
ルヴィナガルド共和国の特別捜査官。
レナとはかつてのルヴィナガルドの事件にて面識があり、そしてまた。
リナも自分たちの世界にて彼とは面識があるがゆえにさほどおどろかない。
「いやぁ。ワイザーさん。災難でしたねぇ♡」
にこにこにこ。
ふと気づけばいつのまにかやってきていたらしく、
そんな彼の後ろにちょこん、と壁にできている突起に腰掛けているゼロスの姿。
「おお。ゼロス殿ではないか。この方たちとはお知り合いですかな?」
「ええ、まあ♡」
まあ確かに知り合い、といえば知り合いのうちにははいるであろうが。
「えっと。ワイザーのおっちゃん。お久しぶり~」
そんな彼にとにこやかに話しかけているレナの姿。
「おお。レナ殿。これは奇遇ですな。そこのおひとはレナ殿の親戚か何かですかな?」
確かレナ殿の姉妹は故郷にいるはずの姉と、そしてまた精神を共有してきて産まれたというリナ殿だけのはずですが。
そんなことをおもいつつも、そこにいるレナにむかって話しかけているワイザー。
見た目はどこにでもいるような普通の男性。
もっとも、その全身を黒尽くめの格好で覆い隠していれば怪しい、以外の何者でもないが。
「まあ、そんなところだけど。というか、何で一人で潜入捜索を?」
レナの疑問は至極もっとも。
「おや。ゼロス殿からおききになりましたか?いやぁ、こちらにも事情がありましてな」
まさか、元自分たちの国王がよその土地でまた非道なことをしているので手伝ってください。
とは到底公にいえるものではない。
「しかし。さっきのやつ……」
あの黒ずくめの格好には嫌というほどに見覚えがあるリナ。
そもそも、アレが全ての発端だったのだから。
「おお。そういえば。自己紹介が遅れましたな。儂はワイザー=フレイオン。
  とある事情である人物を追っている最中、そこのゼロス殿とご一緒になりましてな」
「いやぁ、彼もベルギスさんを探してる、というのでご一緒してたんですよ。あっはっはっ♡」
ゼロスからすれば、利用できるものは利用する。
といったところなのだろう。
「は。はぁ。えっと。あたしはリナ。こっちがガウリイです」
「ほう。リナ殿…ですか。これはまた。それはそうとして、あなた方はどうしてこんなところに?」
ワイザーがそうリナ達に問いかけるのとほぼ同時。
「あ、ようやくいたっ!レナ!それにリナさんたちもっ!」
「…狭い地下だというのに誰か火炎系の技つかっただろう?」
もくもくと煙が漂ってきたので位置が把握できた、といっても過言ではないのだが。
「ゼル。細かいことはきにしたらハゲルわよ?」
「って、俺のどこがハゲてるんだ!?」
さらっというリナの言葉に思わず抗議の声をあげているゼルガディス。
「まあまあ。ところで、そちらの人がゼロスさんのお連れさんですか?」
そこにいる見慣れない人物を目にして話題転換をかねてといかけてきているアメリア。
「これはまた。ずいぶんと大所帯ですなぁ」
「まあ、人数が多いと逆に目くらましにはなりますけど♡」
「…あんた、目的はそれかいっ!」
ゼロスのにこやかに台詞に思わず叫ぶリナ。
まあ、こいつのことだからあたし達を利用しまくる気がありまくり、というのはわかっていたけど。
だけども何かむかつくことにはかわりがない。
「まあまあ。それより、どうやら先ほどの方が親切にも城に続く道を示してくださったようですよ?」
確かにみてみれば、城に続いているであろう隠し通路の仕掛けがはずされているのが見て取れる。
あの煙の中、そこまで仕掛けを元通りにするまでの知恵はどうやらなかったらしい。
「あ~。ほんとだ」
「とにかく!城の中にいきましょう!」
ガコン。
仕掛けを押すと現れる上にとのびる階段。
ともあれ、リナ達六名を伴い、ゼロスとワイザーも加わって、彼らはラルド城にと潜入してゆく。


             ――Go To Next

HOME    TOP    BACK    NEXT

#########################################

あとがきもどき:
薫:さてさて。今回のこれは原作とはまた異なる展開となっておりますv
   まあ、懲りない人は、何をいわれても懲りない、という典型的な例ですね(しみじみ
   次回で、城の中で行われている実験&たくらみにいくのですv
   ではまたvv

2008年4月29日(火)某日

HOME    TOP    BACK    NEXT