まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。このたびでプラム編は完了ですv
台詞ばかりで周囲があまり表現されてない?
まあ、そのあたりは台詞で読み手に想像してもらうとして(こらこらこら
何はともあれ、ゆくのですv

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○パラレル・トラベラーズ○~捕縛、そして……~

「やっほ~。あめりあおね~ちゃんたち♡」
「「って、エルちゃん!?」」
そこにいるはずのないエルの姿をみて思わず驚きの声をあげるアメリアとゼルガディス。
「って、どうしたの?ひとり?」
そもそも、小さな三歳児が一人でこられるような距離でもない。
それゆえに心配しつつも問いかけるアメリア。
「んとね。たぶんじかんかかるだろうから、みちつなげてきたの~」
リナ達がレナ達と合流し、アメリアたちが役人を呼びにいった。
そう聞いたのはつい先刻。
だがしかし、役人をつれて戻ってくるにしても時間はかなりかかる。
それよりは、空間と空間をつなげて役人たちを導いたほうがはるかに早い。
魔方陣を利用した転移魔法。
かつてはよく利用されていた術ではあるが、今ではその利用法を知っているものはごくわずか。
そもそも、使えるものもごく限られた人数のみ。
一般の人々はそんな術があることすらも知らない。
魔力により魔方陣を描き、別の場所に書いた場所との空間と空間をつなげる。
神魔戦争より前においては、この方法で離れた場所との行き来も頻繁であったのだが。
すでに神の力や魔の力を人々が忘れて久しいこの現状では使用方法を忘れているのが現状。
「道をつなげた、って……」
相手がどこにいるのかさえわかっていれば、エルにとっては移動は可能。
だがしかし、この方法をとるにしても、エルが一人でアメリアたちのところに迎えにいく。
といってリナが当然許可するはずもなく。
エルは一人が勝手に道をつなげてアメリアたちがいるこの場にきているのだが。
役所など、という場所は大概使われていない意味もない部屋が一つや二つは存在する。
そこに道をつなげているエル。
持続時間を限定しているので、さほど問題にはならないはず。
戸惑い気味な声をだすアメリアとは対照的に、
「それはそうと、両親にはいってきてるのか?」
「いってきてないよ?」
『・・・・・・・・・・・・・』
ゼルガディスの質問にさらっと答えるエルの台詞に思わず言葉を失うアメリアとゼルガディス。
「って、それってかなり大変じゃないのっ!」
思わず叫ぶアメリアの気持ちはわからなくもないであろう。
だがしかし、
「え~?だけど、すうじついじょうもあそこでまつのもたいくつだし。はやいほうがよくない?
  これつかえばひがえりでことはすむんだし」
まあ、悪事を働いていた人間達が数日のまず食わずで放置されようが何しようがエルにとってはどうでもいいが。
「しかし、セイルーンの高位神官ですら難しい転移方陣をそう簡単に……」
セイルーン王家には一応、その方法は伝わっている。
伝わっているがゆえに何か釈然としないものを感じてぶつぶつつぶやくアメリア。
「ま、まあ。この子達には常識はあてはまらないとおもうぞ。両親が両親だし」
以前、魔王と戦ったときのことを知っているがゆえに、あきれつつもそれですますゼルガディス。
「とにかく、はやいところおやくにんさんつれて、あっちにいこ?」
にっこり。
邪気のない微笑みでにっこりとされては断るにも断れない。
というか、断る理由すら思い当たらない。
「とりあえず、お役人たちに話してみますね」
いいつつも再びこの役場のお偉いさんと話をつけるために奥の部屋にと向かってゆくアメリア。
たしかに、エルのいうとおり、早く行動できるにこしたことはないのだから。

「ええ!?もったいないっ!」
思わず叫んでしまうのは仕方がない。
絶対に。
とりあえず、クロツ達も束縛している、というのもあり一度プラムの家にと戻っているリナ達一行。
そして、リナがプラム達が守っていた写本のことを話したところ、予想通りのレナの反応。
「でも、あれでよかったんです。きっと。世の中にでるよりは」
アレがあるかぎり、自分たちに自由、というものがなかったのもまた事実。
否、自分たちといわず一族の全てが。
どこかアレがなくなったことにより肩の荷がおりて、心なしか表情が和らいでいるプラム。
「だけど、写本よ!?写本っ!!って、そもそも何であのゼロスってやつが燃やしたわけ!?」
リナから聞いたのは、あのゼロスという神官が写本を燃やした、ということ。
そのゼロスにマゼンダを押し付けた云々までは話してはいない。
言う必要もないことは、混乱を招くがゆえにはなさない。
「しかし。あのザナッファーの元になった写本がまだ残っていた。というのは驚愕だな」
そもそも、あのザナッファーはラウリィの先祖が倒した、といわれている存在。
しかも、プラムから説明をうけた限りでは、写本を元につくられた、とのこと。
ならば、その写本が残っている限り、同じような存在が造りだされることは言うまでもなく明らか。
プラムからひとまず、写本もなくなったこともあり、さらに詳しく説明をうけているレナ達。
レナの反応はその写本が燃やされた、というので悔しがることしきりなのだが、
ラウリィの反応はといえば、何ともいえない表情をしていたりする。
うとうととしているマナを抱きかかえながらも話をしているリナ。
「そういえば。エルは?ガウリイ?」
「外であそんでるとおもうぞ?」
「…まあ、遠くにいってなければ問題ないけど」
とりあえず脅威は去っているはずである。
ゆえに、外で遊びたいさかりの子供をとどめる必要性はない。
実際には、エルは外で遊んでいるのではなく、アメリア達のところにいっていたりするのだが。
そんなことはリナは知る由もない。
「しかし。あいつらの目的って……」
すでにリナ達がレナ達と合流したときには、クロツ達一味は全員が気絶し、束縛されていた。
アメリアの霊縛符ラファスシードなどをよくみたことがあるリナからすれば魔術で相手を捕らえる。
というのはさほど驚くことでもない。
いまだに悔しさをにじませたままつぶやくレナに対し、
「まあ、おおかた。伝説となっている魔獣を復活させれば自分が世界を支配できる。
  とか馬鹿らしい理由だったんじゃないの?」
リナ達がいた世界においては、あのクロツはあれを増産してセイルーンに攻め込む云々といっていた。
もっとも、いともあっさりとゼロスの介入と、そしてまた。
マゼンダですら生み出されたザナッファーに喰われたのだから。
「絶対に、それって無理だとおもうけど。まあ、姉ちゃんの耳に入るまえにカタがついたからよし?」
レナからすれば、クロツ達のことが姉の耳にはいっていなかったであろうと思われること。
そのことのほうが重要。
否、もしかしたらあのルナのこと、知っている可能性はかなり高いのだが。
それでも自身の手で何とかコトを収めた、というのもあり一息ついている。
「レナ~!!リナさぁんっ!」
そんな会話をしている最中、外のほうから元気のいい声が聞こえてくる。
ふと窓の外をみてみれば、ふよふよと浮かんでいるアメリアの姿が。
「って、アメリア?やけにはやかったわね」
役人、もしくは兵士たちをつれて戻ってくるにしてもいやに早い。
この近隣に駐屯部隊がいたならばこれだけ早いかもしれないが。
そんな噂話などはきいたことすらない。
「え。あ、ああ。それなんですけど。とりあえず、村人さんたちのほうにはお役人の方々がいってますし。
  レナやリナさんたちもクロツ達のところにきてもらえませんか?」
ふよふよふよ。
どうやら浮遊レビテーションの術を用いているらしく、家の外より浮かびながらも話しかけてきているアメリア。
「もう役人たちをつれてきたのか?はやかったな」
そんなアメリアの言葉にレナ同様、少し驚いたようにいっているラウリィ。
近くの村、もしくは町からつれてくるにしても数日はかかるであろう、そうおもっていたのに。
もっとも、つれてくる役人全てが魔術を使えるものならば確かにここまで早いかもしれないが。
「とりあえず、私はまだお役人さんたちとお話があるので、先にいってますね!」
「あ、ちょっと!」
レナが呼び止めるよりも早く、そのまま再び飛んでゆくアメリア。
しばし、そんなアメリアの飛んでゆく後姿を窓より眺めつつ、
「ま、とりあえずいってみるか」
「って、ちょっとまって。エル~~~!!」
「は~い。なに?おか~さん?」
外にいるであろうエルにと呼びかける。
そんなリナの言葉に呼応して、ひょこっと玄関より顔を覗かせるエルの姿が見て取れる。
何のことはない。
アメリアと一緒に戻ってきていただけなのだが。
当然そんなことはリナは知らない。
「クロツ達をほっぽってる場所に移動するわよ?」
「は~い」
母親の言葉に元気よく片手をあげて返事をする。
その光景に死んだ自分たちの両親のことを思い出し、多少寂しくなるプラム達。
だが、うらやましがってばかりでは先に進めない。
少なくとも、今は新しい道がひらけているのだから。


「それでは、ご協力、ありがとうございました!」
国際指名手配をされていたクロツ一味。
手配をされていても、その戦力からなかなか率先して動こうとしなかったお役所。
だがしかし、相手が完全に自分たちに手足もだせないほどに束縛されているのならば話は別。
どうやら魔力封じをも彼らがかけられている枷は併用しているらしく、相手が魔術をつかってくる気配はない。
びしっと敬礼し、その少し先にと設置されている魔方陣にとむかってゆく。
転移魔方陣の存在を知らされたときには驚いたが。
まあ、所詮、そんじょそこらの魔力をもつ存在が使おうとしても使用できるものでもない。
セイルーンの姫だから使えるのであろう。
そう役人たちは解釈していたりする。
プラムや村人の立会いのもと、男たちを引き渡した。
村人達も、リナ達から例の品物がすでに処分された、というのをきき、そのことを知っているものたちは安堵している。
アレがあったからこそ、このような辺境ともいえる森の中に住居を彼らとて構えていたのだから。
だがしかし、百年、という年月は短いようで長い。
この世界の人々はそれほど長寿ではない。
それもまた、医療関係などが充実していないがゆえの現実なのだが。
とはいえ、別の場所に移り住むにいたってもその行動力の源にはなる。
数千年もこの場に住んでいるわけではないのだから。
「しかし。エル!一人で勝手をしたらだめでしょう!?」
クロツ達がいる場所にとたどり着き、そのときに初めてエルが空間転移魔方陣を使用していた。
というのを知り、エルにと注意しているリナ。
確かに、それは可能であろう。
だがしかし、ここはリナ達からすれば異世界。
この地にやってきたときと同様に、また何かがおこる、とも限らない。
だからこそ心配して注意しているリナ。
「まあまあ。リナさん。でもエルちゃんのおかげで早くカタがついたのも事実ですし」
「まあ、たしかに。いくら悪人でも数日ものまずくわずで放置しておく、というのもまずかっただろうしな」
そんなリナをなだめるかのようにいっているアメリアとしみじみいっているゼルガディス。
「あら?ゼル?悪人なんだし、それはどうでもいいとおもうけど」
「あ、それは私も賛成ですっ!」
「…レナはともかく。アメリア、おまえほんとうに巫女か?」
そんなゼルガディスの台詞に、きょとん、と首をかしげつつもきっぱりいいきるレナに、それに同意するアメリア。
この場には近くの村の代表者もまた役人に連れられてきており、
彼らの供述もあり、やはりここ最近村人を襲撃していた人物に間違いない。
その証言をうけての護送。
アメリアの証言もあり、アメリアがつぶした彼らの本拠より保護された人々の証言もあり、
クロツたちの極刑は免れない事実。
転移魔方陣を使い、クロツ達を引き連れて移動してゆくそんな彼らをしばし見送るアメリア達一行。
やがて、全員が魔方陣に消えたと思うと、魔方陣がほのかにひかり、時間切れ、ということもあり通常の大地に戻る。
大体、三歳児の魔力容量からして、持続時間的には一週間程度が限度。
おおきくなるにつれ器における肉体の魔力も大きくなるので幅は広くなるのは明らか。
おそらく、クロツ達はこれから取り調べを受けることになるであろう。
だが、それはリナやレナ達にとってはあずかり知らぬこと。
そもそも、いくらクロツ達がどのようにしてつかまった、とか。
レナから感じた脅威を話したところでまず信じるとは思えない。
彼らがアジトにしていた場所から人骨などが多数みつかったことからも言い逃れはできないであろう。
「は~い。ごめんなさい」
リナが心から心配しているのがわかがゆえにひとまず謝るエルではあるが本心からはあまり反省はしていない。
そもそも、何かあってもどうにかできる自身は一応ある。
それに体力がついてくるかどうかは別として。
「それより、レナ。これからどうするの?」
「ああ。それなんだけどね。少し気になってることがあるのよね」
先日のセイルーンといい、そして今のクロツの一件といい。
少なからず魔族がかかわってきている。
だからこそ気にかかる。
アメリアの素朴な疑問に考え込むレナ。
そして、ふと。
「そういえば。リナさんたちの世界も同じようなことがあったんですよね?
  あのゼロスの正体をはじめから知ってたみたいだし」
リナお姉ちゃんから聞いた内容によればあのゼロスってかなりの高位魔族みたいだし。
先ほど、リナよりその情報を得たレナ。
だからこそリナ達にと問いかける。
「あ~。まあね。でもあたし達の世界では、クロツがあの写本を手にしてザナッファーが復活しちゃってたけど」
「よく倒せたな。そんなもの」
「あ~。まあ、あいつはガウリイがそのときもってた光の剣だけに注意むけてたからねぇ。
  神滅斬ラグナブレードで綺麗さっぱり、さっくりと」
あきれたような声をだしてくるゼルガディスに、さらっとこたえるリナ。
「なるほど。確かに。悪夢を統べる存在ロードオブナイトメアの力の術ならば斬れないものはないしね」
リナの言葉に至極納得するレナ。
確かにあの術ははっきりいって万能すぎる。
ただ、魔力の消費が果てしなく高いのを除けば。
「しかし。いったい何がおこってるんでしょう?セイルーンに入り込んだ魔族といい」
ラウリィがさくっとその正体に気づき、アメリアの正の讃歌の攻撃。
まあ、ラウリィの提案で、歓迎会、と称して散々正の讃歌を加えた歌をうたえば、
いくら魔族だとて堪えるものがある。
それよえに被害があまり広がる前にどうにかできたのだが。
「とりあえず。あたし達はゼフィーリアに向かうけど。レナ達はどうするの?」
さりげにさらっと話題を変える。
「私は他の国が気になります。セイルーンにまで魔族がはいりこんでいたこともありますし。
  一番気になるのはディルスなんですけど。カタート山脈に近いですし。
  まあ、ゼフィーリアはまず大丈夫のようなきがしますし」
事情を知らないまでも、巫女としての勘でそんなことをいっているアメリア。
「それで?ゼルはどうするの?」
「そうだな……確かに、魔族の同行はきにかかるな。とりあえずしばらくはレナ達と行動を共にしてみようとおもう」
もしかしたらそれにレゾが関わっていた可能性も捨てきれない。
だからこそのゼルガディスの返事。
「そっか。なら方向が違うわね。とりあえず近くの町にでもいって、そこでお別れしましょうか?」
「リナさんたち、無事に元の世界に戻れることを祈ってますね」
「あ、ありがとう。レナ達も気をつけてね!特に!ものすっごくかわいい美少年とかにはきをつけてね。
  そいつ、下手したら陰険ネクラ魔族だから」
「リナ。それよりヘル何とかっていったほうがよくないか?」
「そこ!うるさいっ!あいつが出てくるとも限らないじゃないのよっ!
  そもそも、あのときギガスレつかってないんだしっ!」
「でも、らぐなぶれーどはつかったよ。おか~さん?」
「でも、あれマナでもつかえるよ~?」
そんなほのぼのとしたリナ達家族の会話をききつつ、
「…ヘル?何なんですか?ガウリイさん?それって?」
きょとん、と首をかしげているアメリア。
「気にしないでいいから!」
下手に冥王フィブリゾだのの名前をだして逆に怖がらせ…否、アメリアならば正義がどうの、
といって率先して関わろうとすること間違いなし。
だからこそ詳しくはいえない。
少なくとも、リナが知っている歴史とはこの世界では異なる変化が生まれているのだから。

「あ、あの。本当にありがとうございました」
とりあえず、今日のところはブラムを含めて村にてお世話になり、
朝になり出発することにしたリナ達一行。
村をでる彼らにふかぶかとお辞儀をしているプラム。
彼女はこれからもきっと、弟とともにつつましくいきてゆくのであろう。
この森からでるかどうかは彼女達の心次第。
「それじゃ、ひとまず、近くの町にいきますかっ!」
「正義が私をよんでますっ!」
「…なんか、今後のたびがかなり気がかりなような気がするのは俺のきのせいか?」
「いや、気のせいじゃないとおもうぞ。ゼル」
力いっぱいのびをしていいきるレナに続きざまにいっているアメリア。
そんな二人の姿をみてため息まじりにつぶやいているゼルガディスにそれにこたえているラウリィ。
一方で。
「しかし。こっちの世界のルナ義姉さんたち、かえりかた、わかるかなぁ?」
「わかんなかったら、それこそ帰り道がわかんないわよ。ガウリイ……」
「あのね。か~さま?マナがね。またやろうか?」
「いや、それはやめといて。マナ」
そもそも、ここにいるのはマナの術が失敗したがゆえ。
今度失敗したらどこに飛ばされるかわかったものではない。
三者三様。
それぞれに思いを抱きつつ、彼らはこの森を後にしてゆく。
後には、リナ達に感謝する村人達とプラム達姉弟の姿が、彼らの姿がみえなくなるまで、
しばらくのあいだ見受けられてゆく。


              ――Go To Next

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あとがきもどき:
薫:さてさて。次回から新たな展開~v
  まあ、リナ達家族がかかわったがゆえに、クリフも合成獣になることなく、プラムも無事。
  んでもって村人たちの被害も最低限にすんでおりますv
  次回からは、またまた騒動に巻き込まれるレナたち一行&リナ家族v
  それでは、また次回にて~♪

2008年4月27日(日)某日

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