まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。そろそろ爆弾発言近し!(まてこら
初期のころにはうやむやにして、レナもまた語らなかったもう一つの真実近し!(こらこら
まあ、たぶん、みなさん予想はついてるでしょうねぇ。
どうせ私、薫が考えるものさv
何はともあれ、いっきますv
#####################################○パラレル・トラベラーズ○~レナとリナと……~
「やれやれ。あなたはどうしますか?」
にこにこにこ。
すでに他にいた襲撃者たちはその場に倒れぴくりとも動かない。
魔道士と神官。
二人一緒だと厄介だ、という概念のもとにそれぞれ二組にわかれてそれぞれに襲い掛かった。
それはいいのだが。
その結果が両方の部隊の壊滅につながるとは、一体だれが想像できようか。
にこやかに笑みを浮かべたままで、どのようにしたのかはわからない。
わからないが、神官にむかっていったものたちは全て体を切り刻まれてその場に倒れた。
魔道士の格好をしている女性に関しては問答無用で高等魔術を使われていともあっさりと撃沈された。
今、この場に残っているのは全身黒い服に身を包んでいる男性が一人のみ。
『彼』が依頼された内容は計画の邪魔をする輩の排除。
だがしかし……
「殺せ。といわれれば殺す。それが暗殺者だ。だが…私では勝てん。貴様には……」
相手の実力の底が知れない。
否、人であるのかすらもわからない。
今までに感じたことがないほどの畏怖という名の恐怖を目の前の神官より感じる。
見た目はか弱いただのどこにでもいるような神官服をきている青年だ、というのに。
そしてまた、もう一人のターゲットでもある魔道士の女性。
そちらはかなり厄介な術を多様しているのが見て取れる。
すくなくとも、あれらの黒魔術に対抗すべき術はもちあわせてはいない。
何しろどれだけ逃げても特定の対象物にのみ攻撃を仕掛ける技などは逃げようがない。
すでに壁とすべきほかのモノは倒されており、下手な行動は敗北を意味する。
否、敗北=死。というべきであろう。
そのまま、くるっと向きをかえてその場を立ち去る黒尽くめの男。
「ふむ。いるものですねぇ。すこしは身の程をわきまえている人間も」
その後姿を見送りつつもそんなことをつぶやいているゼロスであるが。
「まあ、力によってはそれも可能だけどね」
あの冥王フィブリゾですらとかげの尻尾きりでしのいだ不完全版の術。
おそらく、ゼロスあたりならば防ぎきれるものではないのだろう。
もっとも、あれはほいほいと軽々しく使えるような術でもないのも事実だが。
「どういう意味ですか?それって?」
「別に。さってと。とりあえず、ズーマも退けたことだし。クロツたちのほうにいきましょ」
「…ま、まあ、いいですけどね。僕も彼らには用事がありますし」
確か、彼らは調べたところ他にもアレを所有しているはずである。
それらの行方と保存場所。
それらを聞き出し処分すること。
それがゼロスの仕事内容。
一人で相手をひっかきまわすよりも、人数が多いほうがあいてをひっかきまわせ油断も生じさせられる。
何よりもこの人間達にはすくなからずの興味をもっている。
ソレは、他ならない『王』が滅んだ原因を知っているであろう、その予測もあるからこそ。
「というわけらしいけど」
「うう……」
淡い金色の紐のようなものでつながれている女性が何やら泣いている。
そんな彼女をにこやかに無視して、そこにいるプラムとそして父親にと説明しているエル。
逃げようとすれば虚無の力が本体を蝕んでゆく。
ある意味、これが人間がいうところの地獄、というのかもしれない。
そんなことをおもわず思う。
何しろ虚無に蝕まれつつも、そのつど光が触れるたびに再生し、また無と化してゆく。
その繰り返し。
なぜ人間の、しかも小さな子どもそんな術が使用できるのかは彼女、マゼンダにはわからない。
いえるのは、唯一つ。
この術は自分たち魔族にとってとても脅威である、ということ。
その気になれば自分たちのような輩は後腐れなく綺麗さっぱり無と化す、というのも感覚でわかる。
情報を得るためだけに生かされている存在。
それゆえに自分自身がむなしく、そして情けなくなってしまう。
たかが人間風情のしかも小さな女の子にいいように扱われるなど。
魔族たる彼女にとっては屈辱以外の何ものでもない。
「しかし。おまえさんも気の毒だよなぁ。そもそも、何でわざわざ写本にかかわろうとしてたんだ?」
ぴくっ。
そんなマゼンダにと問いかけるガウリイの台詞に、びくり、と反応し。
「…え?し…しゃほん?」
思わず声をかすれさせつつも逆にと問いかける。
「うん。このおね~ちゃんたちがまもってるの、しゃほんだよ?」
「……嘘よぉぉっ!というか、クロツのやつそんなことはひとこともっ!!
そうとわかってたらかかわりあいなんかもちたくないのにいっっ!!」
にこっとガウリイに変わり答えるエルの言葉に何やら泣き喚きだすマゼンダ。
写本に関わりをもつこと。
それすなわち、魔族の中では一番の実力をもつ獣神官ゼロスと敵対する、ということに他ならない。
あの彼にかなう魔族など、腹心、もしくは魔王以外にはいないのだから。
「ふつう。すこしかんがえたらわかるとおもうけどなあ。
とりあえず、まぜんだ、くろつたちのところにあんない、おねがいできるわよね?」
「あ…あのぉ?まあ、腕がなくなっても血がでてないので人でない。というのはわかりますけど。
そもそも、何であなたたちのような存在があれに興味をしめすのですか?関係ないでしょうに」
戸惑いつつも、至極もっともなプラムの疑問。
確かに、魔族からすれば写本のような存在は脅威でも何でもない。
ただ、邪魔だから、という理由でゼロスにその処分が任されているのを除けば。
率先してわざわざ神族の知識でもあるソレにすがるような魔族はまずいない。
「まあ、こいつらからすれば、ゼロスと係わり合いをもつことになるから嫌なんじゃないのか?」
「そういえば、ぜろすおじ~ちゃん、しゃほんのしょぶんをおもなおしごとにしてたしねぇ」
ガウリイの台詞にきょとん、と首をかしげながらもにこやかにいっているマナ。
「ま、とりあえず。ぷらむおね~ちゃんたちもなにでまきこまれたのかしるひつようはあるだろうし。
いっしょにくろつのところにいく?」
暗に彼らのみをこの場に残していくのは危険、そう物語っているエルの言葉。
もっとも、常に今プラム達がいる魔法陣の中にいる限り、邪な考えをもつ存在は触れることもままならないのだが。
エルに問いかけられてしばし考え込む。
このまま、二人で隠れていても、彼らはおそらくほうっておいてはくれないであろう。
そう。
あれがある限りは。
すくなくとも、守られていてばかりでは先にと進めない。
たったひとりの大切な弟を守るためにも。
ここでまっていて、万が一襲われたときに弟が無事である、という保障はない。
ならば、それよりも。
「そう。ですね。ご一緒させてください。…彼らの意向もきになりますので」
何のためにアレを手にいれようとしているのか。
アレを処分する気ならばわたしてもいいとおもう。
だが、どうやらそんな気配ではまったくもってないらしい。
「おね~ちゃん、僕もいくからねっ!」
「ええ。クリフ。私たちはいつも一緒よ?」
両親から託された大切な弟。
だからこそどんなことがあっても守ってみせる――
「ついにみつけたわよっ!」
目の前にいる男たちにむかってびしっと言い放つ。
そもそも、オリハルコンが含まれている場所は限られている。
今現在の場所が探索できない、ということはそういった場所にいるからだろう。
そう確かに話し合いの中ではされていた。
だがしかし、よもや子供をさらう場面に遭遇しようとは。
どうやら近くの村の子供が森に遊びにでていてたまたまつかまってしまったらしい。
もぞもぞと麻袋の中よりか細い子供の声が聞こえている。
「何だ?貴様は……」
「いや。まて。…お前は…まさか……」
先日の魔道士によく似てはいるが、だがしかし。
魔道士風の姿に栗色の髪。
そして特徴的なのはそのあるのかないのかわからないまでの平らな胸。
まあ、もうすぐ十五になろうか、という少女に胸の大きさを問うのもどうかともおもうが。
そもそも、そういうものの成長は人それぞれ。
ある年齢を境におおきくなるもの、またはそのままのもの、など人それぞれ。
自分たちの息のかかった組織がセイルーンのほうでつぶされた。
その報告は受けている。
マゼンダよりその報告があったのはつい先ほど。
「きさま…あの、レナ=インバースか!?」
「なっ!?あの悪魔の申し子の!?」
「破壊の申し子の!?」
「…こらまていっ!何よ!それは!
すくなくとも、か弱い子供をさらおうとしているあんたたちのほうがよっぽど悪魔でしょうがっ!」
一味の首領らしき人物の声に驚愕の声をあげている周囲にいる男たち。
そんな彼らにすばやく抗議の声を上げているレナ。
「まあよい。今ここでお前を捉え、我らが崇拝する魔王、赤眼の魔王・シャブラニグドゥ様の生贄としてくれようっ!」
ぴくっ。
その言葉にレナの中にて反応するリナ。
――レナ、かわれる?
お姉ちゃん?
確かに、脳裏に聞こえてきた声は姉であるリナのもの。
確かに今日は満月であるがゆえに、変わることは可能。
が、しかし。
姉から率先して変わってもらえるか、などと、しかもまだ日も落ちきっていない最中いってきたのは初めて。
――こいつらは、あたしが!
リナの怒りの理由は何となくだがわかる。
判るが……
「リナお姉ちゃん、…無理はしないでね?」
それでなくても、魔族が周囲にいるとも限らない。
ならば、気づかれる恐れはかなりある。
例え、それが赤の竜神の意志力と水竜王の意志力の加護があろうとも。
ダメ、といえるかもしれない。
だけども、気持ちがわかるがゆえに断れない。
そう、姉は自身の体を持たないばかりか他にもその魂に重荷を背負っているのだから。
ゆっくりとそんな会話を交わしながらも目をとじるレナ。
基本、この体はレナのもの。
ゆえにいつも表にでている意識もまたレナ。
だがしかし、ある条件が重なるときにのみ、姉のリナの意識が表にでることは可能。
それが今の現状で、吉とでるか凶、とでるかレナには判らない。
全ては、時の示すまま、運命の導くまま。
まったく……冗談じゃないわよっ!
相手の言い分をきき、いてもたってもいられなくなった。
だから、表にでてきた。
冗談じゃない。
そんな組織があること事態が冗談ではない。
下手をしたら自分にとばっちりが回ってくることは請け合い。
あの姉は躊躇なくお仕置きをしてくるであろう、ということもわかる。
だからこそ、譲れない。
こいつは、ここでつぶすっ!
そんなことをおもいつつ、ゆっくりと瞳を開く。
いつもならばブラウンの瞳が決意に燃えてか赤く、紅に染まっている。
「まったく。いいたいほうだいいってくれるし」
目をつむると同時に何やら雰囲気が一変した。
そのことに疑問を覚えるものの、
「レナ=インバースを捕らえよっ!」
首領、とおもわしき人物より手下の男たちに指示が飛ぶ。
今、この場にいる存在達は全てが合成獣化されている人間達。
だがしかし、そんなことはどうでもいい。
レナの中で『視ていた』今までの内容からアレの存在も気にはかかる。
かかるが…まあ、こちらに逆らうようなことはしないはず。
そもそも、あの子供がいる限り。
ふぁさり、と髪をかきあげる。
カンヅェルのときには気づかれる恐れから、表には出なかった。
それゆえに逃がしてしまった、という失敗があるものの、今はそんなことを気にする必要はない。
そもそも、アレは特にお役所仕事だ、という知識がある。
「とりあえず、あんた達のアジトの全てと、たくらみを全部はいてもらうわ」
いいつつ、すっと目の前に手を突き出す。
「って、おい!?」
その気配に気づき、驚いたような声をあげているラウリィであるが。
「大丈夫!加減はするしっ!」
「いや、そういう問題じゃなくて、あんたが今使おうとしている『力』…はっ!」
それが何なのか感覚で判ったがゆえに叫ぶしかないラウリィ。
「そっちと似たようなものよ」
似たような……
そういわれて、おもわず腰の剣にと視線を落とす。
レナ達と出会い、付き合いはそれほど長いわけではない。
だから、知らないこともまだある、というのは理解していたつもりではあるが。
現実をつきつけられてただただ驚愕せざるを得ない。
そしてまた、ほとんど自分たちの境遇に近しい状況におかれているのだ、と今さらながらに理解する。
そう。
レナの中に肉体を持たずに誕生した、リナ、という人格は……
ごうっ!!
刹那、『リナ』の口からある種の言葉がつむがれる。
それと同時に周囲に立ち上る炎。
この炎は通常の炎ではない。
精神世界面にも干渉し、特定のものたちを外に出さないための結界をもかねている。
「まったく。かってに人の身で、しかも魔王を崇拝?まあ、それは宗教の自由もあるからいいとして!
でも、許せないのは、誘拐とか襲撃とか問答無用の悪事を働いていることよっ!」
体内に眠りし力もまたその叫びに呼応する。
そもそも、『今』そのようなことは望ましくない。
それでなくても、現状が現状。
下手に動いて目をつけられれば、それこそ一瞬のうちに無と化すであろう。
「…と、とにかく。俺たちもいこう!兄さん!」
『おうっ!』
驚愕しているままではどうにもならない。
すぐさまに我にともどり、即座に光の剣を発動させる。
剣を利用するときに必要不可欠なのは、剣の形を成している『魔』の中にいる『ガウリイ』の意思。
それがなければまちがいなく、力は暴走してゆくであろう。
人の心は弱いようでいて強い。
そう、光も闇も関係なく、それらを全て乗り越えることができるほどに。
人は…守りたいもののためならば、どこまでも精神的に強くなれるものなのだから。
「これで一通りは壊滅できましたねっ!!」
そもそも、お約束にも付近にある洞窟全てに彼らの僕ともいえる仲間たちがいる。
というのはいかばかりか。
プラムより付近の洞窟や、誰かが潜めるであろう場所は聞き出していた。
そのことごとくに彼らの仲間とおもわしき男たちがたむろしていた。
その中には、目を覆いたくなるような実験器具のようなものすらも。
助ける方法はすでにない。
そもそも、ゼルガディスの体はレゾが元に戻したのであって、他人のソレを治す技術はない。
それが意思をもたないただの道具とさせられてしまった誰かの末路、だと思えども。
大きさ的にはおそらく元子供なのであろう。
いきながら、実験材料にされ、その魂すらをも冒涜された子ども達。
アメリアはそのことに気づいていない。
否、あまりに悲惨な現状を彼女に見せたくはない。
あのように光で満ち溢れている女の子には闇の世界の出来事は似つかわしくない。
様子をみてくる、といって先に侵入したとある洞窟。
そこでみたものは、人を人ともおもわない実験をしている男たちの姿。
すでにその場に実験材料としてであろう、捉えられてきていたものたちの意識も…そして魂すらなく。
かといって、親元や家族の元にもどそうにも、その姿が生前のものとはかけ離れたものになっていれば。
……これ以上、悲しみを増やさないためにもとる手段は一つ。
中で何が行われていたのか知らされていないがゆえににこやかに、
ゼルガディスが破壊した洞窟をみながらもにこやかにいうアメリア。
「あ。ああ。そうだな。とにかく、いこう。…クロツたちの居場所がわかった」
「はいっ!」
彼らの目的は、魔王の復活。
そしてまた、それにともなう世界の悲劇。
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あとがきもどき:
薫:ふふふvそろそろ爆弾発言近しv次回くらいかなぁ?
ともあれ、ようやくプラム編もクライマックス付近ですv
このたびのこれはある程度客観的に捕らえたからか短く打ち込みをば(こらこらこら
まあ、基本のストーリーは、みなさん、巨大あとがきをみている人ならわかりますしね。
というわけで、次回はまたエルたちサイド、それから合流ですv
ではまた~♪
2008年4月24日(木)某日
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