まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。とりあえず、このたびはリナサイドたちのほうを主にv
レナとアメリアのほうはまあ罠をしかけまくっている、そうおもってください(笑
基本主人公はリナ家族ですしね~。これ。
サプライズはあるにしろ。
何はともあれ、ゆくのです。
副題がいいのがみつからなかったので鍵となる言葉をば……
#####################################○パラレル・トラベラーズ○~黒の…~
「ほう。……なるほど」
にや。
どうしてこんな場所に子供が一人、迷い込んできていたのかは知らない。
だが、この子供からは多少なりとも魔力を感じる。
ならば様々なことに利用は可能。
報告をうけたときには不思議にもおもったが、だがこの辺りまで旅人が迷い込んでくる。
ということも多々とある。
または、中間のあたりに救っていた盗賊にさらわれてきた子供、とも受け止められる。
彼がそんなことを思っているのは当然エルにはまるわかり。
少なくとも、彼らに関しては制限を設ける必要性はまったくない。
リナおか~さんたちは外で待機してるし。
少しばかりこの体の制限というか限界を試すにはちょうどいい。
「おじょうちゃん。お名前は?」
とりあえずあいてを怖がらせないようにとその言葉の裏に悪意をこめてといかけてくる目の前にいる男性。
「あ、おほんだ~」
「って、こらまてっ!」
その背後におかれている一冊の本。
それに指さしいいつつ、とてててて、捕まえようとする男たちの足元や手の合間をすり抜ける。
ここにいる彼らは小さな子供をあいてにしたことがない。
それはすなわち、子供の突拍子もない行動になれていない、ということでもある。
もっとも、子供を抱えていたり、子供の世話をしたことがあるものにしても、
小さな子供の突拍子もない行動はまず見抜けない。
それゆえに、いともあっさりとその背後にあった本はエルの手にと奪われる。
体の半分以上もあるかというそれをかかえ、
「わ~い、おほんだ、おほんだ~」
「って、こらまてぃ!」
「とにかくつかまえろっ!」
アレはとても重要なもの。
子供のおもちゃにするような品物ではない。
だからこそ躍起になって命令を下す。
「む~。あたしがみつけたんだから、あたしのっ!ふぁいあーぼーるっ!!」
どごがぁっん!!!!
『な…なにぃぃ!?』
どうみても三歳児。
さらには大きな本をかかえ、しかもカオスワーズすら唱えずに力ある言葉だけの術の発動。
…彼らが驚愕するのも無理はない。
どごがぁっん!
洞窟内部より響いてくる爆音。
「あ、はじめたみたい。それじゃ、あたしたちもいきましょ」
「か~さま、マナも、マナも~。あそびたい~」
いや、遊びじゃないから。
リナの言葉にむずるようにいっているマナの台詞に内心突っ込み。
「しかし…洞窟の内部で術って…あぶなくないか?」
しごくもっともなゼルガディスの意見。
「エルはそのあたりの加減わかってはずよ?まあ時々失敗はするみたいだけど」
「いや、その時々…って……」
そういう前例があるなら余計に危険ではないのか?
そう突っ込みたくなるゼルガディスの思いは仕方ないであろう。
「とにかく!いくわよっ!」
「おうっ!」
そんなゼルガディスの思いは何のその、そのまま洞窟のほうにかけてゆくリナとガウリイ。
「…ほんと、あいつらってどんな生活おくってたんだ?」
思わずつぶやきたくなってしまうのも道理。
こういうことに彼らはなれすぎている。
絶対に。
そんなことをおもいつつも、ここでのんびりしているわけにはいかない。
ため息ともに、リナ達のあとをおいかけてゆくゼルガディスの姿。
「くっ……」
「わ~い、おほん、おほん~」
きゃっ、きゃっきゃっ。
相手の手の中にアレがある限り攻撃すらできない。
精神のみにダメージを与える術を唱えるものの、相手は小さな子供。
それゆえか、なかなか術があたらないこの現状。
ちょこまか、ちょこまか走り回る子供相手にただただ翻弄するしかない男たち。
下手に子供ごと吹き飛ばしてアレに傷をつけたりすることは何としても防がなければならない。
そもそも、元なるモノがみつからない今の状況では。
不完全とはいえ、モノがものである。
全て暗記すにるしてもその量は膨大で、なかなかそれも難しい。
戸惑っている間にもガラガラと崩れてくる洞窟の天井。
子供にあたる気配がないのは、おそらくは子供が手にしている品物の影響であろう。
そんなことを彼らは思う。
事実は、異なるのだが、そこまで彼らがわかるはずもない。
そのまま、天井部分から落ちてきた岩岩をくぐりぬけ、本をもったままかけてゆくエル。
「くっ、に、にがすなっ!アレをもっていかせるなっ!」
予定外、といえるだろう。
まさか小さな子供にあんな重要なものをもっていかれるとは。
すでにアレを奪われたことで周りに目がいっていない。
いつもの彼ならばそちらに近づいてくる気配に敏感であろうに。
「あ。か~さん。それにと~さんたちも」
てとてとと走ってゆく先にみえるのは、リナとガウリイ、そしてその後ろのほうにゼルガディスの姿。
その手の中にはしっかりと、体の半分はあろうか、というちょっとした分厚い本を抱えたまま。
「エル!…へんなことされなかった?」
「うん。あのね~。何かおほんみつけたの~」
エルの姿に気づいて足をとめ、かがみながらといかけるリナの言葉ににこやかに答えるエル。
背後のほうから聞こえるのは男たちの怒号の数々。
「本?」
「うん」
それが何か気にかかるが、いや、まさかね。
もう、彼らがアレを手にしている、とは思えないし。
そんなことをおもいつつ、
「あたし達は奥のやつらをやっつけてくるから。エルはマナとあまり無理しない程度に遊ぶのよ?」
おそらく、ここにいる少人数だけではないであろう。
何らかの形で周囲にいるであろう仲間たちに報告がいっているのは明らか。
「あ。ゼルおじちゃんもいっしょにいこ?おそとのがいちゅうくじょ~」
ぐいっ。
「あ。それいいわね。ゼル、子供達をおねがい」
「ってまていっ!俺の意見は!?」
「却下」
「……あ、あのなぁ……」
「わ~い、おじちゃん、いこいこ~」
笑みをうかべてぐいぐいとゼルガディスのマントをひっぱるマナ。
「あ、ゼルのおじちゃん、これもって」
ぽいっ。
何気なく今まで抱えていたそれをゼルガディスにと手渡すエル。
すでにリナ達は奥のほうにと駆け出していっている。
そもそも、この家族に出会ってから振り回されているような気がするのは気のせいではない。
「って、…何だ?これは?」
手渡されたそれから感じる魔力。
確かに、普通の本のようにみえるのに、手にとっただけで感じる魔力を秘めているのはいかばかりか。
「写本の写本のまた写本」
さらり。
「……な、写本!?って、まさか!?」
さらっといったエルの台詞に思わずその場に固まるゼルガディス。
今すぐに確認したいが、だがしかし。
ガラッ……
どうやらもろくなっていたらしく、洞窟の天井部分からぱらぱらと土が落ちてくる。
それに混じり、どうやら天井部分に亀裂がはいっているのが見て取れる。
つまりは、少しの衝撃で今にも天井が崩れ落ちてくる、というのをそれはものがたっている。
「と、とにかく外にでるぞ」
リナとガウリイならば少々のことでは大丈夫であろう。
まず今保護すべきはこの子供二人。
下手に天井が壊れかけている、といのがわかればマナに関してはいきなり泣き出す恐れもある。
泣く子には勝てない、とはよくいうが。
マナに関しては泣きながら問答無用で自分でもわからないままに呪文を連発する、
というちょぴっとかわった癖がある。
その癖を目の当たりにしたことがあるがゆえに気づかれないようにと二人を促すゼルガディス。
ガララッ。
とにかく外にでるのが先決。
ゼルガディスと、そしてマナとエルが外にでるのとほぼ同時。
ガラガラと洞窟の出入り口が岩でふさがれる。
「…って、か~さまたちは?ねえ?……か~さまぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「って、マナ、おちついて、か~さんたちは大丈夫だからっ!」
魔力を暴走させかねないそんなマナのようすにあわててなだめる。
だがしかし。
「か~さま、と~さまぁぁぁぁぁ!」
ドッンっ!
マナの叫びというか泣き声とともに、周囲の大地が激しくゆれる。
「…あ~……ま、いっか」
「よくないだろうがっ!」
めきめきとめり込んでゆく大地。
それをみながらのんびりといっているエルに、驚愕しながらもいっているゼルガディス。
「ん~と。爆裂陣の術が逆方向に炸裂中、とみた」
今、マナの魔力は地上にむけてではなく、地下のほうにとむけられている。
ゆえに、地面が陥没する、という現象がおこっている今現在。
「って、うわっ!?おまえら!?クロツ様をどうした!?」
「きさまら、何ものだ!?」
ふと気づけばそれに巻き込まれている男たちが数名。
どうやら彼らはうごけないらしく、地面に両手をついであがらっている。
マナを中心としてクレーターが広がっているが、
そのクレーターの外から言葉を投げかけてきている男たちがまた数名。
彼らからすれば、爆発らしき音をきき戻ってきてみれば、アジトとしていた洞窟の出入り口はふさがれ。
さらには、何がおこっているのか判らないが、洞窟の前にはクレーターが広がり始めている。
しかも、そこでいるはずのない小さな子供が泣き喚いていればさらに混乱せざるを得ない。
「ん~と。マナはおじちゃんにまかせた」
「って、おいっ!」
体にのしかかる重い何か。
この実験はレゾがよく行っていたので動けないことはないが。
ゼルガディスが止める間もなく、立っているのすらままならない状況だ。
というのに、まったく問題なくクレーターの外にと飛んでゆくエル。
「さってと。わ~い。少し退屈してたし。みんな、あそんでね♡」
にこやかに笑みを浮かべて、戸惑っている男たちの上空にふよふよとうかぶエル。
母であるリナ達はしばらくはあのクロツとの戦いでこちらに気づくことはないはず。
ならば、することは一つ。
「それじゃ、エイル=ガブリエフ。いっきま~すっ!!」
あちらでは、一応ルナたちの目があるゆえにそれほど遊べなかったが。
ここならば少々は問題にならない。
そもそも、あっちに戻ってしまえばそれまでなのだから。
すっと片手を空にむけて高く掲げる。
その手の先にぽっと光がともり、その光はやがてどんどんと大きな球体となってゆく。
……何だ?
あの術は?
見たことがない。
オリジナルの術なのかもしれないが、相手は三歳児。
いったいどういう環境でそだってるんだ……
おもわずあきれるゼルガディスであるが、この現状をどうにかするのが先。
魔力の暴走を止める手段など用いていない。
賢者の石は逆に魔力を増幅するもの。
だからこそアレは使えない。
「ひくっ。ひくっ。か~さまたちがぁ~」
そんなゼルガディスの横では、いまだに何やらぐずっているマナの姿。
「とりあえず、この子をなきやまさないことにはどうにもならない…か」
自由に動き回れない。
もし、今襲われたとしてもこの場にいる限り、自由に動くことはままならないだろう。
いまだに周囲には動けないらしい男たちが両手をついてうめいているさまが見て取れる。
そしてまた。
「いっきま~す!」
ヒュッ…ズドドドドッ!
上空に浮かんでいるエルが言葉をつむぎだすと同時。
エルの手の平の先に浮かんでいた光の玉より無数に地上にむかって降り注ぐ光のやり。
いや、雨といったほうが正解かもしれない。
だが、それらは全て槍の形をしており、光の柱が常に上空より降り注ぐ。
この光に触れても木々は燃えることなどはない。
しいていうならば、特定の存在にのみ影響を与えることが可能。
それはまるで打ち上げ花火の簡易版のような光景。
「……ひくっ。…わ~、きれい」
しゃくりあげていると、空から降り注ぐ光の洪水。
おもわず、それに見とれて一瞬泣き止むマナ。
それと同時に、ずんっとのしかかっていた重苦しい空気が一瞬開放される。
どうやらそれは、ゼルガディスだけでなく、これにまきこまれていた人物たちにおいても同じこと。
彼らも何がおこったのか瞬時に理解はできないが、ただ一ついえること。
目の前にいる子供と、そして空に浮かんでいる子供。
そして白づくめの格好をしている男性。
彼らを排除しなければならない、ということ。
が、しかし空から降り注ぐ光に貫かれると体の力ががっくりと抜ける。
それだけならまだしも、こころなしか足に力が入らずに立つことすらままならなくなる。
しいていえば、精神に影響を与える魔法である烈閃槍などをうけたときによく似ている。
「……洒落にならない子供達だな。本当に」
マナといい、エルといい、通常では考えられない力をもっている。
まあ、いきなりドラグスレイブを唱えるような子供達である。
判ってはいた。
判ってはいたが…やはりこう、目の当たりにするとなれない、というのが人の心情として当然。
と。
「……え~と、何がどうなっているんでしょうか?」
何とも間のぬけた声がいきなりゼルガディスの背後より聞こえてくる。
正確にいうならば、ほぼゼルガディスの真後ろから。
ばっ。
人の気配などまったくなかったはず。
それなのに振り向いたそのさきに、しかもその目と先に見えたのは。
「こんにちわ♡またおあいしましたね♡」
にこやかに笑みを浮かべた神官服の男性が一人。
ガラガラ……
「どうやら、出入り口がふさがったみたいね」
「…くっ。貴様ら…何ものだ!?」
仲間はいともあっさりと撃退された。
かなりの腕利きのものばかりのはずなのに。
目の前にいる栗色の髪の女性に、そしてまた金髪の男性。
まさか…いや、そんなはずはない。
あの噂の盗賊殺しには胸がないはずっ!
目の前の栗色の女性にはしっかりと見た目でわかるほどに胸はある。
ゆえに、噂の警戒すべき人物とは到底むすびつかない。
女性の魔道の腕もかなりのものだが、男性のほうの剣の腕もかなりたつ。
これは…デュクリスクでないと太刀打ちができそうもない相手。
相手はたったの二人。
それなのにここまで手がでないとは……
「名乗る必要はないし。あんた、クロツってよばれてたわよね!?
とすると、やっぱりあの組織の頭ね!?」
組織のことを知っている。
となると誰かに自分たちのことを壊滅するように頼まれた人物か。
栗色の髪の女性、いうまでもなくリナの台詞に薄く笑みを浮かべるクロツ。
だが、しかし。
「…ふっ。今ここで、やられるわけにはいかないので、な」
念には念を。
いれておいたのがまさかこんなことで使うハメになるとは。
そのまま、だっと奥にと駆け出してゆく。
「あ。まちなさいっ!クロツ!」
そんな彼をリナが追いかけようとするが。
カチッ。
ズドド…
クロツが壁の一部を押すと同時にいきなり天井が崩れだす。
ちっ。
「地精道!!」
たっん。
即座の反応。
そのまま横の壁に手をつき一瞬のうちに穴をほり、
「ガウリイ!」
「おうっ!」
そのまま、すばやくリナが作り出した穴の中にと二人して身をおどらせる。
ガラガラガラ…
二人が穴の中に身を隠すとほぼ同時、洞窟はあとくされなく埋もれてゆく。
「まったく…やってくれるわよね」
「しかし、あいつはどうやって逃げる気だ?」
穴の中でつぶやくリナに、素朴な疑問をぶつけているガウリイ。
「たぶん。あの奥に何か非常脱出用の何かがある、そう考えるのが妥当でしょうね。
ともかく、今はとりあえず外にでましょ」
毎回おもうけど、この術で消えてゆく土ってどこにいくんだろ?
そんなことをおもいながらも、ひたすらに術によって目の前の土と岩の壁を削ってゆく。
魔力の調節にともない、その幅も自由自在。
ゆえに、ちょうどガウリイとリナが立って歩ける程度の高さにしてただひたすらに新たな道を掘ってゆく。
おそらく、ゼルに任せているので子供達に関しては心配はないが。
一番リナにとって心配なのはマナのこと。
洞窟の出入り口が崩れたような音がきこえ、さらには実際に洞窟は崩れ落ちた。
ならば、パニックになってどんな呪文を連発しているとも限らない。
「あのこって、ないたら魔力の制御がとっぴょうしもなくなるからねぇ~」
それでもゼフィーリアの中でならばどうにかなるが。
それ以外の土地でとなると、どのような結果になるかは皆目検討がつかない。
一番心配なのは、その暴走させた魔力でマナ自身が傷つかないか、という疑念。
とはいえ、マナはまだ二歳。
自我もまだ形成されかけているそんな幼女に細かいことを望むのはまず不可能。
ならば、できることは周りが気にかけて注意してあげることのみ。
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あとがきもどき:
薫:さてさて、そろそろ第一回目の核心部分vとはいえ重要部分はもう少しさきv
次回はゼロスとのやりとりと、あとはレナサイドですね。
まあ、エル…ちゃん(恐る恐る)の行動は…つっこまないでおくとしましょう……
何はともあれ、それではまた、次回にてv
しかし…予定では50で追われる予定くらいの長さだとおもってたのになぁ?
やっぱりいつも40kくらいできってるのを20kにしたら長くなるのかな?
ということは、簡単に計算しても100前後?……ま、とにかく、また次回~♪
2008年4月20日(日)某日
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