まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

いい副題が見つからず~
さてさて、そろそろでばってきましたゼロス(笑
まだ彼は村人に雇われてはいませんが。
だけども内密にクロツたちの行動を追っています。
当然目的は写本ですv
ちなみに、ゼロスがもう一つ命じられている命令もあるのですが。
それはまあ、あまり優先されてはいない、というかきがむけば、という程度の命令なのでv
……まあ、北の魔王もレゾ=シャブラニグドゥの一件のときにとある感覚をうけちゃってますしね(笑
何はともあれ、ゆくのですv

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○パラレル・トラベラーズ○~邂逅?~

「いやぁ。ゼルの名前、便利よねぇ」
「どういう意味だ」
思わず突っ込みをいれたくなるのは仕方ないであろう。
森の中だというのにひっそりと存在している小さな集落のような村。
基本は自給自足であまり外とつながりを持たずに生活している彼ら達。
プラム達が住んでいる場所から少し、といっても距離的にはだいぶある。
もっとも、空を飛んで移動すればさほど時間はかからない距離くらいの間隔であるが。
それでも、ゼルガディスがフルネームを名乗ったところ彼らの警戒は確かに解かれた。
それは、この村そのものが、昔、レゾの意志をうけて作られたものであるがゆえ。
そんなことは彼らは言葉にすることはないが、またリナ達とてそんなことは知らない。
ただ、赤法師レゾこと、レゾ=グレイワーズが村にとっては恩人だから。
そういう理由らしい。
まあ、人に戻ったゼルって確かにそういえば、あのレゾに似てるわよね。
そっくり、とはいわないまでも、やはりそれは血筋、といえのだろう。
そんなことをおもいながら、にこやかにゼルガディスをからかっているリナ。
ここ、最近、森の中に見かけない男たちがいて、彼らもまた迷惑しているらしい。
そして、彼らがくる方向も大体のところ聞き込みができた。
「そもそも。何であんたは率先してあいつらにかかわろうとするんだ?」
ぴた。
とりあえず情報でえた、男たちがいつもやってくる方向。
そちらに進みながらもといかけてくるゼルガディス。
そんなゼルガディスの言葉に思わず足をとめる。
「……たすけたいから。…かな?」
そう。
理不尽に実験材料にされるであろう、あのクリフも。
そしてまた、実験をかねて作り出された白銀の魔獣に喰べられる存在も。
そして…あの、ズーマをも。
心の中に巣食う悪意を取り除く術。
それをつかえば、彼を修羅の道から救えるはず。
魔族と好き好んで融合する道など与えたくはない。
そういや、レナ達ってあのカンヅェル…しとめたのかな?それとも逃がしたのかな?
それはリナには判らない。
だがしかし、わかっていることがある。
それは、今現在、あのクロツたちの一味が暗躍している、ということ。
「…そうか」
何の見返りもなく率先して何か物事をやるようなタイプには短い付き合いではあるが理解しているつもり。
だからこそ、その言葉に含まれる意図を汲み取り、深くはきかないゼルガディス。
おそらくは、彼女たちがいた世界でもこれと同じことが起こったのだろう。
そして、かなりの被害がでた。
どこか寂しそうにいうリナの言葉にそれ以上は聞かないゼルガディス。
人間、聞かれても答えたくないことは山とある。
ゼルガディスとてレゾに命じられてかなりの非道なことをしてきている自覚はある。
それを好き好んで聞かれたからといって人に教えるつもりはない。
それは、自分が背負うべき業なのだから。
「それより、リナ。このさきに洞窟みたいなのがみえるぞ?そこじゃないのか?」
そんな会話をしている二人とは対照的に、のほほんととある方向を指差していってくるガウリイ。
ガウリイが指し示す先には、延々と続く森が見えるのみ。
「…?そんなものはみえないが?」
「あ。こいつの視界は常人じゃないから。ガウリイ、人の姿とかはみえる?」
そこに人の気配があるかどうか、それで大概は決まってくる。
「え~と。何か人が入り口らしきところにたってるぞ?」
「よしっ!ビンゴ!」
普通、洞窟の出入り口に人…しかも見張りなどは立てない。
つまり、そこには何かがある、ということを物語っている。
「いや、だから…そんなものはまったくみえないんだが……」
ひとり、つぶやくゼルガディスではあるが。
「でも。おじちゃん?たしかにあっちから人のけはいしてるよ?」
ガウリイに抱っこされた状態でにこやかにいっているエル。
基本、リナとガウリイは娘たちを交互に抱っこして移動している。
それは小さな子供に長時間歩かせるのはしのびない、というのと。
あとは、さすがに幼児と大人の足並みが異なる、という事情もある。
急いでいないときならば、足並みをそろえて移動するが、何かがあるときは話しは別。
「……こ、この家族って……」
人並みはずれた勘と視力をもっている父親に、さらっといいきる三歳児。
さらには、これまた並外れた力をもつ魔道士の母親。
一瞬、この二人の子供達の未来が本気で心配になってしまうゼルガディス。
そもそも、すでに母親の影響で子供達は問答無用で魔術を使うことを覚えているのだからなおさらに。
「とにかく、いってみましょ」
ガウリイが指摘した方向。
そこにあいつ自身がいるかどうかはわからないけど。
そもそも、頭をたたければ一番はやいんだけどね。
そんなことをリナはおもいつつ、もくもくとその方向に周囲を警戒しながらも進んでゆく。

「ねえねえ!レナ!罠をしかけませんか!?」
きらきらきらきら。
異様に目をきらきらさせていきなり提案してくる。
「え?あ、あの、アメリア…さん?」
アメリア姫、と呼んだところアメリアでいいです。
そう返され、それでも呼び捨てでもいい、といわれてもそういうわけにはいかない。
だからこそ、さん、づけでよんでいるプラムではあるが。
さすがに、その腰にセイルーンの印籠などをつけていれば、王族。
しかも、名乗ったとおりの身分の姫君だ、とはいくらプラムでも理解できる。
だからこそ戸惑いを隠しきれない。
「罠。かぁ。たしかに。月並みかもしんないけど。いいかもね。
  あ、プラムさんたち、魔術はつかえる?」
ふるふるふる。
その言葉に首を振るしかないプラム。
確かに両親はかなりの魔力をもっていた。
自分はそれに比べてもっている魔力は微々たるもの。
「使えるのは、明かりライティングとか生活に応じたものくらいで……」
何しろこんな辺境の地。
夜になれば灯りというものは、外の月明かりくらいしかない。
かといって、ランプを使用しようにも、それにともなう脂などが必要などは必須。
その点、魔力の灯りならばそのような心配は不可能。
少しばかりのアレンジでその灯りもまた抑えることも、明るくすることも可能なのだから。
「う~ん。浮遊レビテーションは?」
「それは、少し」
そもそも、ご飯を調達するのに必需品といえるその術。
ここが、少し地面より高い位置にとあるがけのクボミを利用して作られている家だ、
というのもそのあたりにある。
この辺りには人に害をなす獣も生息している。
滅多と人里には現れないが、それでも何かがあってからではおそい。
ふむ。
プラムの説明をうけてしばし考え込む。
「レナ?」
そんなレナが何を考えているのかわからずに、きょとん、とした声をだすアメリア。
「水の上とかならけっこう楽なんだけど……周囲は森だし……」
ぶつぶつぶつ。
レナの事情が事情である。
それゆえに、誰も知らないがレナはゼフィーリアの女王から様々なことを習ってもいる。
それが何を意味していたのか、というのは、先日の騒動からして何となく理解したレナ。
理解したくないが、だが、現実は現実。
少なくとも、自分が望んでいることが実現可能となれば、それすらも克服できるのだから。
『もりにかたっぱしから術かけるのは?レナ?』
レナの脳裏に直接響いてくる声。
「う~ん。それだと、あれってまだコントロール難しいし……」
誰ともかまわず、森が人々を襲いかねない。
あるいみ、それははた迷惑、としかとれない術。
「あ、あの?レナさん?」
一人でなにやら独り言をいっているレナを心配そうに見ていうプラム。
ブラムは知らない。
レナの中にもう一人、彼女の双子の姉の精神がいる、などということは。
もっとも、アメリアからすれば、それをセイルーンで目の当たりにしているので知っているので驚かない。
「かたっぱしから落とし穴、というのはどうでしょう!」
「いや、アメリア。それ、おもいっきり無駄だから」
「でも、せっかくお母様が残してくださったトラップの仕掛けかたを実践できる機会なのに……」
いや、母親が残したって、いったいどんな母親!?
ものすごく残念そうにいうアメリアの台詞に内心突っ込みをいれるプラム。
「とにかく。周囲に誰かが近づいた、とわかるような術をかけるのは必要よね」
奇襲をしかけられても困る。
「ですね!それじゃ、魔方陣の応用を利用して簡易結界をはりましょう!」
「あ、それいいわね」
いや、あの。
その方法、かつて両親といわず先祖がやってたんですが……
そういいかけて、口をつぐむ。
すでにあの効力は失われている、といってもいいのだろう。
あのような男たちが人知れず、近くにきていたのだから。
先祖がかけていた結界は、人の目に触れない、というめくらましの結界。
それも全てはかの品物を守るため。

「……ほんとうに、あるし」
おもわず目を点にする。
とりあえず、村の周辺にも彼らが出没する。
というので、村にラウリィを残し、ゼルガディスとリナ達家族のみで移動している今現在。
おもわずそこにある洞窟を目にしてあきれる以外の何ものでもないゼルガディス。
しかも、先ほどの場所からはかなり離れていたというのにもかかわらず、
目の前のこのガウリイ、という人物は洞窟、ましてや見張りまでをも言い当てた。
それは驚愕する以外の何ものでもない。
「ねえねえ。おか~さん、あたしがいってもい~い?」
小さな子供がうろうろしていても、別段に怪しまれることはない。
逆に彼らならばそれを利用することを考えるはず。
それを見越しての提案。
いくら何でもマナにそんな危険なことはさせられない。
というか、最近暴れ…もとい、遊び足りないし。
そんなことをおもいつつ、瞳をきらきらさせてリナにと懇願しているエル。
「お、おい。いくら何でもそれはきけん……いや、危険なのはあいつらのほうか?」
ぶつぶつぶつ。
伊達に、エルたちの実力を身にしみて判っているわけではない。
だからこそおもわず危険、といいかけて止めるゼルガディス。
いきなり奇襲として黒魔法などを叩き込まれでもしたらまず完全に相手のほうがかなり危険。
「う~ん。まあ、いいけど。だけどあぶなくなったらすぐにドラスレでも何でもいいからぶっぱなして逃げるのよ?」
「は~い」
「いや、それはかなりまて」
少し考えて、娘にそんな指示をだしているリナにと思わず突っ込みをいれるしかないゼルガディス。
そもそも、三歳児がアレを使える、ということ事態が不思議。
もっとも、エルに関しては魔王の力とはいえ、別の力をそのようにみせかけている。
という点も多々とあるのだが。
「それじゃ、いってくるね~」
いうなり、ふいっといなくなる。
ふとみれば、いつのまにか逆方向からあるいてくるエルの姿が。
空から移動したのか?
それにしても、気配も何もつかめなかったが。
三歳児の気配すらをもつかめなかったことも驚愕するが、だがしかし。
普通、子供、というものはこんな場面ではこわがって親にしがみつくものではないのか?
そんな疑問が頭をよぎる。
「いいな~。か~さま。マナもね~さまみたいにやりたい~」
心底残念そうにいっているマナの姿も気にかかる。
…この両親、いったい子供にどんな教育をしているんだか……
たらっ。
そんな二歳と三歳の幼児の台詞をきいて、額から一筋汗を流すゼルガディス。
「マナはもうすこし後でね。様子をみてから、にしましょうね」
「は~い」
リナ達にとっては日常的な会話でも、第三者からすればそれはかなり奇異にと映る。

くすん。
ひっく。
がさっ。
「誰だ!?」
何やら泣き声のようなものと、がさり、とゆれる茂みの音。
警戒してみてみれば、そこからでてくる小さな女の子が一人。
みたところ三歳程度であろう。
金髪の髪に青い瞳。
ととのった顔立ちにぱっちりとしたおおきな瞳。
一件しただけでかなりの美少女、ともいえるその少女。
なんでこんなところにこんな子供が?
彼らはそんなことをおもいつつ、互いに顔を見合わせる。
「ねえねえ。おじちゃんたち。おか~さんたち、しらない?」
潤んだ瞳でそこにいる見張りの男たちを見上げて話しかける。
当然、うそなきなのだが、よもやこんな小さな子供がうそなきをしている。などと誰が想像するだろうか。
「なんだ。親とはぐれたのか?」
「ひくっ。うわぁぁん、おか~~さぁぁんっ!」
「って、なくなっ!…と、とにかく。俺はクロツ様に連絡してくる」
「わかった」
ここで泣き叫ばれてはここに仮のアジトがあります。
といっているようなもの。
だからこそ彼らはあわてる。
クロツ。
それは彼らの親玉。
そしてまた、このたびの騒動の始まり、ともいえる要人。
「ほら。なくなってば。えっと、アメいるか?」
「うん!」
差し出されたアメをうれしそうに手にとるエル。
今のでこの奥にクロツがいる、というのは証明された。
あとは、ひたすらに彼の一味を壊滅するのみ。

「……そこにいるのは、何、だ?」
何、といったのは、気配からして人ではないがゆえ。
とりあえず村の周辺をくまなく探索していたところ、ふと感じる背後の気配。
気配からしてかなり高位。
そこまでは判る。
だが、下手にそれを口にすれば相手に隙を作らせることは不可能。
「おやぁ?…あれ?あなたは…あ、別人ですか」
かさり、とも足音をたてずに森の木陰よりでてくる一つの黒い影。
にこやかな笑みを浮かべたおかっぱ頭の神官服の男性。
どうやらこちらに対して敵意などはもっていないらしいが、だが、わからない。
こういう輩は一番厄介。
家族の中にもいた。
こういうタイプが。
常に笑みをたたえたまま、どんな残虐なことでもしでかす人物が。
「あ。別に僕は怪しいものではないですよぉ。みてのとおり、謎の神官です♡」
いや、それだけで十分に怪しいから。
そもそも、何で人型をとれる魔族がこんな場所に?
先日のセイルーンといい、今といい。
いったい全体何が起こっている、というのだろう。
そんなことをラウリィが思っているとは当然知る由もなくにこやかにただただ笑みを浮かべている謎の神官。
「そもそも、その謎。というのがあやしいだろうが?」
「いやぁ。いわれてみればそのとおりですねぇ。はっはっはっ♡」
いや、そこは笑うところか?
おもわず突っ込みをいれたくなる。
「それで?あんたは?」
警戒を解かずにといかけるそんな彼に、
「え?いえ、どうやら人違いでしたようです。あ、それでは」
「あ、おい!」
くるり、と向きをかえてまたまた木陰にとはいってゆくその神官。
あわててその後をおうものの、すでにそこには影も形も見えない。
つまりは、空間移動をした、ということに他ならない。
「…人違い?」
自分と間違われる可能性があるのは、すなわち、あのガウリイ、という異世界の人物くらいしか思い当たらない。
まさか、いくら何でも剣に封じられている『兄』を探している。
などとは思えない。
「…何が、ここでおこっているんだ?」
先日のセイルーンでは魔族が宮廷に入り込んでいた。
しかも、人型をとれる、かなりの高位の。
今のアレに関してはそれよりもかなり強い力を感じた。
おそらく、相手が本気になればかなわない。
相手をいいくるめるか、隙を作らない限り…は。
闇に溶け消えたソレをみて、ただただラウリィのつぶやきは風にとかき消されてゆく。


                       ――Go To Next

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あとがきもどき:
L:んっふっふっ♡あとがきをのっとった…もとい、代理人のL、ですv
薫:(…ん~~~!!!)
L:えっと、背後でうめき声を内部からだしている蝋人形はともかくとしして。
  ううん。まだ蝋の固め方がたりなかったかしらねぇ?
  ともかく、ひさかたぶりのあとがきよっ!
  ようやくこのあたしが、活躍しそうな気配っ!
  まったく、体がなまるったらありはしないわよねぇ。
  そもそも、Sがいらない命令だしてくれてるせいでゼロスまででばってきてるし……
  まあ、それはいいとして。
  きたとしてもつかいっぱしりにすればいいだけだし。
  それでは、みなさん、次回のあたしの活躍を期待しててね♡
  活躍させなかったら薫に今度はどんなお仕置きしとこうかしら…?
  何はともあれ、それでは、まったね♡

2008年4月19日(土)某日

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