まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。今回からまったく異なる展開編v
超巨大あとがきで触れられていたあの回なのですv
この回でようやくアメリアたちとも合流(?)です♪
何はともあれ、いっきますv新展開v
#####################################○パラレル・トラベラーズ○~旅の目的?~
「……で?」
とりあえず、簡単ではあるが挨拶を済ませ、サイラーグを後にした。
しばらく取りとめのない会話をしながらてくてくと歩いていった後。
周囲に人気がないのを確認し、たちどまりながらも振り向きざまに問いかける。
「ついてきた。ということは何か聞きたいこととか言いたいこととかあるんでしょ?ゼル?」
「おなかすいてるとか?」
「いや。マナ、それはない。ぜったいに。」
そんなリナの台詞にきょとんとしながらも言っているマナに突っ込みをいれているエル。
ゆっくりと子供の足にあわせた歩幅。
ずっと抱いているままだと子供達がぐずるのでときどきはあるくようにしているリナとガウリイ。
「そういや。何でついてきたんだ?ゼル?」
言われてみればもうゼルガディスがついてくる必要性はない。
いまさらながらにそのことに気づいて問いかけるガウリイ。
「あんたは…今さらいうか?まあいい。あの神官。何だったんだ?リナ?
それにあんたは、あのコピーの中にいれられていたものが何なのか、わかっていたような口ぶりだったしな」
確かにあのときのリナは、あのゼロスが抜き去ったものが何かを知っているような口ぶりだった。
ゼルガディスはレゾの研究所にてそれが何なのか知りえてはいたが。
だがしかしそれは半信半疑でもあった。
そんな簡単にほいほいとそんな品物が世間に出回っている、とは思えなかったがゆえ。
「さすがゼルね。あの一瞬でそこまで見抜いたわけ?まあ、たしかにあたしはアレが何か。
わかったといえばわかったわよ。まあ、あいつがあそこまで執着するもの、というモノも一つしかないし」
「そういや。この世界のあいつもやっぱり同じ仕事してるのかなぁ?」
リナの言葉にふと思い出したようにつぶやいているガウリイ。
「ゼロスなんだし。そうなんじゃないの?おと~さん。どこでもおやくしょしごとだろうし」
いや、お役所仕事…って。
こいつらの世界でもあのゼロスとかいう怪しい神官はいたのか。
そんなことをゼルガディスは思いつつ、
「仕事?あの怪しさ爆発の神官の?」
「ああ。あたし達の世界でのあいつのもっぱらのお仕事は写本の処分だし」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…なっ!?ち、ちょっとまて!写本、ってもしかしてあの写本のことか!?何で!?」
そんなに大切なものを処分する。
など聞いたこともない。
いや、噂では聞いたことがあるが。
何でも古から写本あるところ謎の神官あり。
と。
それはただの噂話とおもっていたのだが。
「そりゃ、あのゼロスがじょうしにめいじられてるのがしゃほんのしょぶんだからでしょ?」
「ま、いずこの世界のゼロスもお役所仕事は健在、というわけみたいだし。
とにかく係わり合いにならないほうがいいのは事実だしね。ここでまで利用されるのはごめんだし」
「…上司命令?…それに処分…しかし、利用?…あんたら、どういう関係だったんだ?」
「まあ、好きでお知り合いになりたい相手じゃないってことよ」
まさかあれが魔族だと説明しても信じるとは到底思えない。
まあ、このゼルならレゾのこともあるから信じるかもしれないけど。
下手にあのゼロスに警戒心を抱かせるのは得策ではないし。
「それはそうと。ゼル。レゾの遺言でもあったあのコピーはとりあえず止めた今。
今度はあんたは何のために旅をするわけ?」
質問に質問で返す、というのはあまりよくはない。
だが、あまりこのことに関しては突っ込まれたくないがゆえに質問を投げ返すリナ。
「それは…レゾの負の遺産の後始末だ。それは残された俺の役目だしな」
レゾの負の遺産。
それは様々な場所にとちらばっている。
長く生きていた彼だからこそ、その遺産は様々。
まず、一番問題なのは例の品。
昔、レゾから昔話的に聞かされた品。
「負の遺産?レゾが集めてたとか、もしくは作り出したとかそんなやつ?」
「まあな。おそらく。あのコピーの体内にいれていたやつもその一つだろう。
それに関連する品が悪用されないうちに、俺の手で処分する。それが次の目的だ」
あのとき、レゾは確かにこういった。
いくら危険な品物だとはいえ、大切なものには違いはない。
だから、とある一族に預けて大切に管理、保管してもらったのだ…と。
それは珍しくよっていたレゾが幼いころゼルガディスに聞かせた話。
本当かどうかはわからない。
だがもし、真実であれが悪用されたらとんでもないことになる。
それこそ百年前の悲劇の再来になりかねない。
だから、この世から消滅させる。
そんなゼルの言葉にしばし考えこみつつも。
「…もしかして、ゼルが探してるのって、ザナッファーのことが書かれている写本?」
「…なっ!?」
いきなりといえばいきなりの図星をつかれておもわず目を見開いて驚愕の声を出す。
自分はそこまで詳しくいっていない。
今の話だけでそれに結びつけるなどとは到底考えられない。
だがしかし、そんなゼルガディスの表情から、その憶測が間違っていないと悟り、
「奇遇ね。あたし達の次の目的もそれだったのよ。…あんなことはおこしたくないからね……」
クロツによる人を人ともおもわない様々な実験。
ただの捨て駒にされている、とわかっていながらも命を助けてくれた人だから、と従った存在達。
リナが大切な仲間であった人たちを守れなかった、と聞いたときに。
その後であったゼルガディスが話してくれた、ゼロスとのはじめての出会いの出来事。
プラムとクリフという姉弟との悲劇。
それら全てをひっくるめ、サイラーグの悲劇は防げた。
ならば自分たちが元の世界に帰るまえにやれることはやっておきたい。
それがリナの本心。
少なくとも、この世界の『レナ』に今以上の悲しみと苦しみを与えないためにも。
「…あんなこと?そうか。あんたらの世界で、『何か』があったんだな?」
それだけの台詞で何となくリナが言いたいことを悟り、それ以上は聞かないゼルガディス。
この世界は自分達が生きている世界。
本来ならば自分たちがどうにかしなければいけない出来事。
「問題は。簡易的な情報しかない。ということだったからかたっぱしからいろいろと聞き込みしようとおもってたけど。
ゼルは何かしってるの?アレのこと?」
すくなくとも、ここライゼール帝国の中にはない。
ことが起こったのはカルマート。
そして、ゼロスとゼルガディスがであった、という場所はたしかラルティーグ帝国内。
それのことを片付けてゼフィーリアに向かってもさほど問題はないはず。
どちらにしても、ゆくとすれば陸路、しかも山を越えての道か、もしくは海路。
いくら何でもあんな険しい山脈をこえて、しかも子供連れで超えて移動しようとは思わない。
だからこそ海路が通じている海辺の町にと向かっているリナ達。
「詳しくは知らない。だが、レゾが危険、と判断したのは事実だな」
だから昔、とある一族にそれを託して封印した。
それが真実なのかいつのころなのかゼルガディスにはよく理解できていないが。
「まあ。あのレゾなんだし。かかわってても不思議ではないけどね」
あのレゾがいったい全体何歳なのかは知らない。
だが、すくなくとも何となくだが、あの事件にかかわっていても不思議ではないような気がする。
ひしひしと。
様々な可能性を求めて非道な実験などもしていたはずのレゾである。
アレ、を見逃していた、とは到底おもおない。
街道にはリナ達のほかには人影は見えない。
遠くから馬車の音がしていたりするが。
普通、移動するパターンといえば、馬かもしくは馬車が通常。
滅多に歩いて旅をしている存在などまずいない。
もっとも、それらは旅人たちが自身の身を守るためにそのような手段を用いるのだが。
逆に、だがしかし、馬車などではいざ、というときににげられない恐れがある。
どちらにしてもいいところもあれば、悪いところもある。
自由がきく歩き旅だからこそ、リナは昔からこの方法をとっている。
それはゼルガディスらとて同じこと。
「まあ。とりあえず。俺はこれからラルティーグに向かうつもりだ」
あのレゾの話が真実だとして、目的のものはそこにあるはず。
「・・・・・・・・・なるほど」
そんなゼルガディスの言葉にしばし考え込む。
先にあのクロツたちの本拠をたたきつぶしておきたい。
という本音もあるにはあるが、できうれば先にアレをどうにかしておきたい。
うまくすれば今後起こる悲劇、そしてアレの復活もどきを防げる可能性は大。
「ねえねえ。おか~さん?それならアレの魔力波動、おか~さんしってるんだし。それで探索すれば?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
そんな会話をしているリナ達にきょとん、としながらも首をかしげてにっこりといっているエル。
そう、リナは『知っている』。
しかもその本体とも接触しているのでそれにかかわる魔力波動は一応把握している。
もっとも、一番初めに本体に触れたときにはそのような情報を得る機会はなかったが。
それ以後、永遠の女王の許可の下、再びあれに接触する機会をもっているリナ。
だからこそ、リナは『判る』。
その方法を完全に失念しているであろうリナにとにこやかにとそれとなくいっているエル。
下手にうろうろとするのは何かと面倒。
それより、さくっと面白い…もとい、何かがある場所にいったほうがいい。
そんなエルの台詞にしばし二人同時にだまりこみ。
ぽん。
その方法をようやく思いつき、ぽんっと手をたたくリナ。
「ナイス!エル!そっか。その手があるわよね。そもそもあれって特殊なんだし」
もっともその波動を簡単にたぐれれば魔族であるゼロスがなぜに見つけにくいか。
という疑問にもつながるが。
それはアレが神族に属するものであり、魔族とは反する属性を持つがゆえ。
下手に探索などをかければそれに純ずる作用でダメージをうける。
ゼロスのような高位魔族ならばいざしらず、下級魔族などは一発で消滅する。
伊達に水竜王の知識を文字として写したわけではない。
そもそも、その文字や言葉自体にも魔力が含まれているのだから。
「いや。ちょっとまて。そんなことが可能なのか?」
そんなエルとリナの会話にしばし唖然としながらも戸惑いながらもといかけているゼルガディス。
「まあね。すっかり失念してたわ。…まあ、だけどやるとしてもここじゃぁねぇ……」
いいつつ、視線をその先にむける。
視界の先にはきらきらと輝く海が垣間見えている。
海の上ででもやるかな?
海上においてはおそらく、力がある魔道士達などがそれに気づいてもどうにもできないはず。
それよりも、あの広大な海を利用して簡単な結界を海水を用いて使用することも可能。
「お~い。そろそろ町につくぞ?」
一時足を止めていたものの、話しながら進んでいたリナ達一行。
やがてその視界の先に垣間見えてくる海辺の町並み。
船が港に出入りしている様が小さく見えている。
リナ達の会話に参加することもなく、ただひたすらにのんびりと歩いていたガウリイが声をかける。
「ま。とりあえずは…」
「かいせんりょうり~~!!」
「あ。マナもたべる~~!!」
「お~!くうぞ~!!」
がくっ。
「お…お前ら家族って……」
先ほどまでシリアスともいえる会話をしていた。
それなのにうってかわったこの変わりよう。
おもわずがくっと肩をすくめるゼルガディス。
どうしても今までの癖で周囲のことを気にしてしまう。
もっとも、リナ達と一緒にいる、というだけでかなりゼルガディスは目立つのだが。
しかも、普通の体にもどっている、というのにいまだに顔はフードで覆い街中などでは見えないようにしている。
そんな会話をかわしつつ、彼ら一行は港町にとはいってゆく。
トンテン、トンテン、カンカン。
カンカンカン。
「お~い。こっちもだ!」
え~と……
港町にはいり、まず目にはいったのはなぜか壊れまくった町並み。
ゆえに人々が壊れた家々などを修復している様子。
一瞬目が点と成り果てる。
港町なので賑わいを見せているのはわかる。
判るが、何か違う意味でもにぎわっているように見えるのは気のせいではなさそうである。
「と…とりあえず。まずは食事でもしましょう」
「わ~い、ごはん、ごはん~!!」
「まな、たこさんりょうり~!!」
「こらこら。はしゃいだらおちるぞ?」
じたばたばた。
抱っこされているままでじたばたさわぐマナに注意を促しているガウリイ。
それできくようなマナでもないが。
「ま、たしかに。ここでつったっていても何だしな」
何となく騒がしい街中をリナ達家族とゼルガディスの五人は進んでゆく。
「……へ…へぇぇ~……」
たらっ。
食事をしにはいった酒場。
酒場けん食堂。
そこで何となくどうして壊れた家々が多いのかそれとなく聞いてみたリナ。
戻ってきた答えいわく、
『海にでていた怪物を旅の魔道士さんが退治してくれたのですが…その反動で町も壊れてしまいまして…』
とのこと。
その魔道士は何でも自身が召還した竜とともに一緒に高笑いしながら海を渡っていったらしい。
それが『誰』をさしているのか瞬時に理解するリナ。
こ…この世界でもやっぱりあいつはいるのか……
はっきりいってリナにとってはかかわりたくない相手ランキングの首位に俗する物体。
いや、あれを人間、と表現するのは世の中間違っている。
うん。
ましてやアレがセイルーンの皇女、だというのだからなおさらに。
そんなことをおもいつつも、言葉を濁すしかないリナ。
「しかし。お客さんたち運がいいですね。この前まで海の怪物のせいで旅船もとまっていたんですけど。
ようやく数日前から復興してますし」
「そ、そうなんですか」
そうとしかいいようがない。
こころなしか乾いた笑いがリナからあがるのは仕方ないであろう。
「?リナのやつ、どうかしたのか?」
「さあ?」
そんなリナの様子をみつつも、首をかしげているゼルガディスとガウリイ。
そんな大人たちとは関係なく、小さな手でひたすらに食事にありついている二人の子供。
「と。とにかく。たべたらとっとと港にいきましょ」
あまりここに長居したくない。
それがリナの本音。
近くにアレがいる、とわかればなおさらに。
極度の方向音痴である彼女のこと、またここにもどってこない、とも限らない。
リナの態度に対して怪訝な表情を浮かべつつも、確かに急いだほうがいいのにこしたことはない。
それゆえに、食事をすませ、彼らは港のほうにと出向いてゆく。
船によりラルティーグに向かうために。
世の中、知らないほうがいい。
ということは確かにある。
そして、この町がこのようになっている様子もまたその部類の入るのである――
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あとがきもどき:
薫:さてさて。もう皆さん、お分かりになるかと(笑
ちなみに、リナ達が港町にたどりつく数日前。
ナーガが海で悪さしていた海蛇竜を同じく海蛇竜召還して町はほぼ壊滅状態に(笑
そのまま、ごまかすために召還したソレにのってナーガは移動していってますv
そもそも、その暴れていた海蛇竜、というのも実は以前ナーガが召還してほっといたもの。
数日、たどり着くのがはやければリナ達もまた巻き込まれてましたけどね(笑
この世界でもナーガは当然健在ですv
何はともあれ、それではまた次回にて~♪
2008年4月13日(日)某日
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