まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
すこしばかり、というかかなり?表現をおさえて村の悲劇さんをばv
しかし…エル様一人称からまたそろそろ客観的な三人称にしてみるかなぁ?
あまり、エル様の思考はいれたらネタバレになりそうなのでそれてもいいような気がしてきた(汗
何はともあれ、いっきますv
#####################################○パラレル・トラベラーズ○~思惑~
「やれやれ……」
少し小高い丘の上。
そこから見えるのは小さな村の姿。
まだ完全に自由に動くには【力】が足りないのは十分に承知。
少し動いただけで体が瞬く間にいうことをきかなくなる。
以前ならばこんなことが起こりえただろうか?
そんなことを思うが、…以前?という疑問もまたよぎる。
自分には以前、というものはなかった。
気がついたときにはすでにもう様々な実験材料、としてしか扱われていなかった。
自我、ともいうべきものが芽生えたのは自らの中に二体の魔族が取り入れられたときであろうか。
自分の自我も、その魔族の自我なのかはわからない。
ただ、いえることは。
自分は今こうして生きている、ということ。
生きていくために犠牲はやむおえない。
というかそんなことはどうでもいい。
とにかく、自分は自分たる証を立てればそれでいい。
そのためには……
「さきほど何かあの村から何名かでていったようですけど……まあ問題はないですし」
そうつぶやきつつもすっと胸の前で手を組む。
手渡されているアレと同じ杖などは必要ない。
必要なのは、人々の恐怖におののくその気配。
一番その方法が自分の力を高めることに気づいたのは不幸中の幸いかもしれない。
彼としてはそんなことを思ってはいるが、それが内部にある魔族の影響だ。
などとは微塵にもおもっていない。
そして、また彼も【彼】によって新たに生み出されている命だ、というのもわかっていない。
ただ、欠片を今後探してゆくにあたって手ごまは多いほうがいい。
器となっていたレゾはその内部にいるソレの思惑に気づくことなく素直に無意識に手をかしただけ。
ざわっ。
手を組んでつぶやき始めると同時、村の周囲の空気が一変する。
すでにリナ達は村を出ているのでこの変化には気づくはずもなく。
村人たちはといえば、いつもの霧が深くなった。
その程度にしか思っていない。
その霧がもつ【力】に気づく人間など一人もいない。
少し、大自然と共にいき、その変化に敏感であるならば気づくほどの変化。
『が…ぐわぁぁっ!!!!!!!??』
それに気づいたときには既に遅し。
この霧はある力をこめたもの。
生物にのみ反応し、その体を変化させる。
そのあたりの精神世界面にたむろしているどうでもいい下級魔族を呼び出しその器をあたえる。
いわば、俗世間ではレッサーデーモンやブラス・デーモン、といった亜魔族。
それの人間版。
といっても、生きている人間のその上に憑依させるだけの力は彼にはない。
ゆえに、霧にこめた力にてその人の意識を完全に操り、また壊しその上に憑依させる。
この方法はかつてレゾが彼に行おうとした実験のひとつ。
魔族の上にさらに魔族を…という実験は器の耐強度ゆえに失敗した。
意識は表面上に現れていなくても、他の人間などで実験した光景は彼は視えていた。
ゆえにこその応用性。
「おやおや。これはまた面白いことをしているモノがいますねぇ」
バタバタと倒れてゆく村人たち。
その力が体にあわずにその場で溶けてゆく人の姿も垣間見える。
そんな中、まったく影響をうけることなくにこやかに笑みを浮かべたまま村の中を歩くひとつの人影。
周囲に満ちている何ともいえない負の気配。
それが彼にとってはとてもここちよい。
力の波動をたどるまでもなく、この力がどちらから流れているのかは彼にとっては明白。
「面白そうですし。すこししばらく見物するとしますかv」
別に今受けている任務に進展なさそうですし。
人、というものは面白い。
危険、とわかっていてもあえて首をつっこむ。
また、危険、とわかっても逃げようとしない。
ましてやそれが意味不明な出来事からくればなおさらに。
一人がパニックを起こして行動すればまたたくまにそれが伝染する。
今回にいたってもその法則は健在。
目の前で顔見知りでもある村人が倒れ、また体がとけてゆく様をみても理解不能。
頭がその光景と現実についていかずにそのまま行動を起こさない人々。
こういう閉塞的な村だからこそ、その回避行動の有無が生存への焦点となる。
…が、この村の人々は平和になれすぎそういう危機的状況に対しては他人に依存する。
その体質が抜けきれていない。
瞬く間に村を覆ったきりは、村人全てにと入り込んでゆく――
「しかし。シルフィール、浮遊しか使えない、というんじゃ、問題外よね」
そりゃ、あたし達の世界でも翔封界の術はあたし以外には使えなかったようだけど。
もっとも、ゼルに関してはあれから精進して便利だから、というので覚えてたようだけど。
高速飛行の術はそのコントロールなどが覚えるまでが大変だし。
それはわかっているけど、だけどももし使えたらかなり違うのに……
そんなことを思いながらもおもわず愚痴る。
かといって、ガウリイを抱きかかえたままで二人で飛んでいったとしても、
残されるシルフィールの気持ちを考えるとそこまではできない。
一番気を病んでいるのはシルフィールのはず。
それをリナは判っているがゆえ。
子供達のお守りを任されていたのに、ふとした出来事でその子供達を見失った。
特に責任感の強いシルフィールであるからこそその心情は手にとるようにわかる。
だからこそ、高速飛行の術が使えないシルフィールにあわせて普通に走っているリナ。
とはいえ、アイテムの力を借り、
以前にみたミルガズィアの術を応用して普通より早く走れるようにしてはいるものの。
伊達に長年、ゼフィーリアに閉じこもっていたわけではない。
そのあたりの応用力はこの数年でリナは格段に進歩している。
「?リナ?何か悲鳴のようなものが聞こえたような気がするんだが……?」
「あたしにはきこえなかったわよ?」
走り続けることしばらく、ふと風にのって聞こえてきたような感じた声をふと漏らすガウリイ。
ここは森の中。
動物たちの叫びもまた悲鳴のように聞こえる生物もいてもおかしくはない。
そもそも、あのレゾの研究施設がこの付近にあるらしい。
レゾが住んでいる、という場所はおそらく研究施設であるであろうからして。
それがわかっているがゆえにあまり驚かずに答えるリナ。
あの子たちのものではない。
それは確実に断言できる。
それはある種の確信。
親、というものは子供に対して何かしらの危険信号を感じ取ることができる。
中にはその信号に気づかない親もいるにはいるが。
「わたくしにもきこえませんでしたわ。…まさか、あの子たちに何か?」
もしそうならば、わたくしのせいですわ……
ガウリイのその言葉をうけて不安そうにつぶやくシルフィール。
おそらくは、あのラウリイと同様、このガウリイの勘もかなり的確。
それが判るがゆえに不安は募る。
「ああ。それはないわ。何かあればわかるし」
シルフィールの不安を瞬く間に却下する。
「とにかく。…どうもあの子たち、移動してるようだし…こっちでいいとはおもうんだけど……」
特殊な魔法の道具であるがゆえに、その波動で位置は判る。
また、何かあればそのアイテムの付属効果で作り手にもわかるようになっている。
これは先日の一件にリナが付け加えた新たなる属性。
幾度かこの世界に迷い込んで(?)来て後、子供達が危険にさらされる回が多い。
それを危惧しての行動。
感じる気配はこの方向で間違いない。
とにかく、移動している、ということはその移動具合から歩いている、いうのはよくわかる。
たぶん、飛んでったはいいけど、帰りも飛んで戻るの危ない、とエルが判断してとめたんだろうなぁ。
内心リナはそんなことをおもいつつも、とにかくひたすらに感じる方向にと進んでゆく。
ガウリイのほうはあまり心配している様子が見受けられていないのは、あたしたちを信頼している証拠。
母親、というものはどうしても子供をかなり心配してしまう傾向がある。
それは子孫を残してゆく、という野生の本能のひとつ。
中にはその本能が薄れてしまった存在や、もともともっていない存在もいるにはいるが。
「まあ。何かあればあの子らはリナ同様、いきなり呪文放つからなぁ。
その音の合図もない、というのだからたぶん大丈夫だとおもうぞ?」
ちょっとしたことでよくドラスレ程度ならばよく確かにマナのほうは呪文を解き放つ。
逆に神魔融合呪文などもあったりするけどそれはそれ。
「……いきなり呪文をはなつ、って……」
いったい、このリナさんって……
にこやかにいうガウリイの台詞に思わず戸惑い気味につぶやくシルフィール。
まあ、この世界のシルフィールはそういうことにまだあまりなれてないし。
「とにかく!いくわよっ!」
何となくだけど、子供達に関して…なのかはよくわかんないけど胸騒ぎがするのよね。
そんなことをおもいながらも、とにかくひたすらに魔力の波動がしてくる方向に進んでゆくリナ。
リナの胸騒ぎは当たらずしも遠からず。
それは、今まさに先刻までリナ達が滞在していた村に襲い掛かっている出来事をあらわしている。
よもや、誰が想像するであろう。
村ひとつ、まるまるレゾのコピーであるあの彼の実験道具と『糧』にされている、ということを。
「……なるほど。そういうことか」
マナの説明では意味がわからなかったが、ひとまずあたしの説明で多少納得しうなづく。
三歳児のいうことを素直に信じるこの彼も面白いものがあるが、まあそれもまたよし。
「でもここではどうなるかは、あたしたちもわかんないし。たぶんリナか~さんもわかんないだろうし」
ひとまずあたし達の世界…というか、リナ達の世界で起こった出来事。
あたしは視ていたのでそれを『知って』いる。
それを、さも第三者から聞いたかのように一緒にいるゼルガディスにと説明する。
情報を与えているのと、与えていない、との差はかなり歴然。
ゼルガディスからかなりの負の気配が漂ってくるのもまた然り。
何しろ、『サイラーグの事件』といえばリナ達の世界においては謎、とされている。
原因不明の何かで消滅した町。
そしてまた、再びいきなり復活してまた消えた町。
その何か、とは当然いうまでもなく、コピーレゾの放った爆裂陣によって。
二度目はフィブリゾの力により仮初めに命を与えられたサイラーグの人々。
まあ、あの町は『あたし』の意志力に耐えられずに元の姿に還りゆいた。
というのが事実だけど、それはそれ。
「そんなことがあったんなら、そりゃ、あいつらも必死に止めようとするわけだな……」
なぜ、あのリナもレゾのコピーを探しているのか、というのは気になってはいた。
だが、話をきけばその理由も一目瞭然。
確か彼らは別の世界からやってきたとか何とかいっていたはず。
この世界でも再び悲劇が起こらないようにしたい、とおもうのは人の常。
少なくとも、レゾから以前きいたあの話ではまだアレは完全に動けないはず。
止めるのならば、今しかない。
しかし…止めるにしても、どうやって?
話を聞く限り、こちらの世界のコピーもまた同じような力かどうかは不明だが。
少なくともそれより力が劣る、ということはありえないであろう。
下手をすればそれよりもかなり力が勝っている、ともいえるのかもしれない。
あいつらの世界のアレの力がどれほどだったのかは俺はわからないしな。
しかも、今の俺の体は普通の人のそれとかわりはない。
かつてのような強靭な肉体ではないのだから。
魔力に関してはレゾが残した賢者の石を使い、以前と同じ、もしくはそれ以上使いこなせるが。
「リナか~さんたちは、すくなくてもサイラーグ壊滅はさけたいみたいだけどね」
その後にあったフィブリゾなどの一件はひとまず話さないでおく。
まあ、話しても普通の人間ならば信じないだろうし。
そもそも、あのとき、あいつが『このあたし』に気づかずに攻撃しかけてきたのがわるいっ!
く~く~く~……
そんなゼルガディスの背中には歩きつかれたマナがすやすやと寝息をたてて寝ていたりする。
しばらく歩いているうちにどうやらねむくなったらしく、ただいまゼルガディスがマナをおんぶしている状況。
あたしのほうはそれとなく力をつかって少しほど足を浮かせて実は歩いていないので疲れはない。
見た目は普通にあるいているようにみえるようにしてるけど。
「まあ。そんな話をきけば、俺とてそれは避けたいな。その前にケリをつける」
それがレゾの最後の望みでもあったがゆえに。
手がかりとなる別の場所でみつけた近くの研究所。
おそらく、完全な状態でない【それ】を定期的に調べるにしろ研究所ほど便利のいい場所はない。
とにかく、あそこにいくまでにこの子たちをあいつらに送り届けて…それから…だな。
かつてのリナ達の世界での出来事を聞いたがゆえに、そんな行動をとるような存在の近くに子供を。
しかもまだこんな幼い子供をつれていくなど言語道断。
とはいえ逆にどこかに預けておいたとしてもそこが襲撃されればそれまで。
一番安全な場所はやはり、この子たちの両親の元だろうしな。
めまぐるしく思考を回転させながらも、
「……とりあえず、こっちか」
伊達に以前少しばかり一緒に旅をしていたわけではない。
相手の魔力パターンは一応把握している。
ゆえにこそ、精神世界からの検索が可能。
ゼルガディスもまた、術において検索をかけながらリナ達の方にと進んでゆく。
再び、ゼルガディスとリナ達が合流するのはあと間近。
さってと。
そろそろ今回の一件も面白くなってきたわねvv
――続く……
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あとがきもどき:
薫:さてさて。ようやく次回でリナ&ゼルの合流vついでに戦闘の開始ですv
ゼロスは…まあ傍観者にしておく予定(笑
まあ、彼はお仕事以外のことには首をつっこまないとおもいますしね(確信
次回からはエル様一人称だとネタバレオンリーになりそうなのでまたかえてみますv
ころころかえないで!というのはおいといて(自覚あり)
やっぱり客観的視点のほうが無難なのかなぁ?
でもそれだと周囲まで丁寧に描写いれたくなってしまうしなぁ。
今の表現さんは読み手の想像力にまかせてるし(それもまて
何はともあれ、それではまた、次回にてv
2008年2月6日(水)某日
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