まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

え~と…スレイヤーズ世界の地図、地図…っと。
ときどき位置が正確にわからなくなるときが…
重宝するのはエンサイクロペディアv
しかし、また細かな設定がでている設定資料集の出版希望v
ともあれ次でおそらくこのコピー編は完了の予定。
何はともあれゆくのです。

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○パラレル・トラベラーズ○~偽りの中の真実~

「いやぁ。ようやく見つけましたよ♡」
にこにこにこ。
暗闇より出てくるのは一つの人影。
というか、でてこなくてもいいのに、何でまたこいつが……
「く。…貴様は……」
そんなソレをみてにがにがしげにいっているエリシエル。
その表情、というか口ぶりからどうも知り合いのような感じが見て取れる。
まさか……?
いやでも、あのレゾのこと。
ありえないことではないかもしれない。
果てしなく嫌な予感がリナの脳裏を突き抜ける。
ここまで執拗にこの『ゼロス』がかかわってくる理由。
それは一つの事実を物語っている。
そもそも、こいつは自分の仕事以外はどうでもいい、というタイプ。
「およいでもらっていた甲斐がありました♡しかし、そんなに増産されてもこまるんですよね♡」
「きさま…どうして!?」
「とりあえず、傀儡のあなたと話しても意味ないですし。消えてくださいね♡」
ボシュ。
にっこりと言い放ち、すっとどこにでもあるようなを錫杖を『エリシエル』へと向ける。
それと同時に軽はずみな音をたてて、服のみ残して消えるソレ。
はらり。
その後に残るは、赤いバンダナ。
そのバンダナには赤いルビーがちりばめられており、何やら文字らしきものが刻まれている。
そのバンダナも、バシュ、という音とともに燃えて灰と化してゆく。
「あ。あなたは…先ほどの……」
何が起こったのか理解はできないが、それでもどうにか声をだしているシルフィール。
その声にようやくリナ達にと気づき。
「おや。またあなたたちですか。偶然ですねぇ。もしかしてあなたたちもさがしてるんですか?
  エリシエル=ヴルムグンさんを?」
『彼』が利用するならまだしも、彼女が利用する、となれば話は別。
それに、彼女には聞きたいこともある。
利用できそうなものはとことん利用する。
それが彼の主義。
逆にいえば自分はあまり手をかけずに片をつけたい、という完全なるお役所主義。
「そういう貴様は……今のは……」
呪文も何も、さらには混沌の言語力ある言葉すら唱えていなかった。
ただ、錫杖を相手にこの『ゼロス』は向けただけ。
リナのいうとおり、確かに警戒せざるを得ない相手だな。
そう心の中で警戒を強めつつも問いかけているゼルガディス。
ふぅ。
こいつが探してる、となればやっぱりか…そう思いながらかるくため息をつく。
だからといって、知らない、とでもいえばしつこくつきまとわれることは必死。
それははっきりいって避けたい。
「それで?もしそうならどうだっていうわけ?そもそも何であんたは彼女を探すわけ?」
答えないのはわかっていても、それでもとりあえずは問いかけるリナ。
「それは秘密です♡」
にっこりと、ひとさしゆびをその口にあてていいはなってくるその神官…ゼロス。
「おか~さん?周囲のそれ、どうするの?」
本能的に危険を感じ取り、先ほど呼び出されたレッサーデーモン達はいまだにその場にたたずんでいる。
「さっきのあれ利用しよっか…」
「やめとけ。それだけは。リナ」
ぽそっというリナに即座に却下の台詞をのべるゼルガディス。
そんな会話をしている最中。
「……く。まさか第三者が現れるとは……」
ゆっくりと再び闇の中より浮かび上がってくる人影一つ。
全身を黒い服に覆い、顔もまた黒いフードで覆っている。
「いやぁ。やっとでてきましたね♡エリシエルさん♡例のものを渡してもらえますか?」
先ほどのエリシエルは、彼女が人造人間ホムンクルスを作り出し、それを遠くから操っていただけの代物。
つまりは、魂のない器。
材料は土を利用したがゆえに、血は一滴も流れなかった。
いわば石人形ゴーレムの応用版。
「なぜ…なぜきさまが!?レゾ様にあんなに協力的だった貴様が!?」
そういう現れた今度こそ本物のエリシエルの声は怒りに満ちている。
あ~……
やっぱしあのレゾにもこいつはかかわってたのか……
ありえないことじゃない、とは思ってたけど。
そんなエリシエルの台詞に内心ため息をつかざるを得ないリナ。
「それは秘密です♡こちらにも都合がありましてねぇ。あの方が写していた例の品をいただきたいんですよ♡」
にこやかにそんなエリシエルにいっているゼロス。
例の品。
それだけではおそらく、ゼルガディスもシルフィールも判らないであろう。
だがしかし、このゼロスが何のために行動しているか、というのを知っているリナは別。
……さすがレゾ、写本もってたんだ……
どうりでこいつがしつこくかまってくるわけよね。
話の内容を聞く限り、レゾが写本の何かの写しをもっているような口ぶりだけど。
と。
「それはこまりましたねぇ。あれはもうないのですよ?」
「「!?」」
聞き覚えのある声がリナ達の背後より聞こえてくる。
それゆえにばっと振り向くリナ達。
「え?え?…えっと…赤法師レゾ様?」
その姿をみて戸惑いの声をあげているシルフィール。
確かに見た目というか外見上の全ては赤法師レゾのそれ。
真紅の服をきこみ、しっかりと閉じられている瞳。
その額にあるバンダナ。
そして手にもっているちょっとしたいくつかのわっかのついている杖。
ゆっくりとまるで今闇から産まれたかのように現れてくる赤い影。
「レゾ様!?」
どうして。
まだ動けないはずなのに。
どうしてこんなところに…っ!!
まだ力は満ちていない。
だからこそ無理に動かすことはできない。
まだ、生命エネルギーと魔力が必要。
それが判っているからこそ驚愕の声をあげるエリシエル。
そのまま、たたっとレゾのほうにかけよってゆく。
ドシュ。
「……え?」
一瞬、何が起こったのか理解不能。
かけよるエリシエルの背中にはあきらかに、不似合いな手が突き出ている。
「…ど…どうし……て……」
「「「!?」」」
いきなりのことに絶句する。
その光景の意味を悟り、言葉を失っているリナ達。
シルフィールもまたいきなりのことに、目を見開いていたりする。
普通ならばありえない。
生きている人の体に手を突き刺すなどと。
レゾにその体を貫かれたまま、それでもかすれる意識のしたといかけるエリシエル。
「エリシエル。あなたは十分にやってくれましたよ。あとはあなたの命とその魔力をいただければ」
魔力のないただの村人やそこいらの人々よりも、魔力をもっている彼女を利用したほうがはるかに能率はよい。
笑みをにこやかに浮かべたまま、そのまま、ずっと胸から背中に突き刺した手に力をこめる。
それと同時に、見る間にエリシエルの体が収縮してゆく。
まるで全てを吸い取られてミイラと化してゆくかのように。
「あ…あ…」
さらっ……
何もできないままに、ただひたすらにその場にたたずむリナ達の目の前でひからびてゆき、
やがて、その体は塵のようにと霧散する。
魂と魔力、そして生命エネルギー。
それら全てを目の前の『レゾ』は吸い取ったのである。
「そんな……」
ぺたん。
目の前で人がこのように死んでゆく、というのは信じられない現実。
それゆえにペタリ、とその場に座り込むシルフィール。
「あんた。最低ね。最後までその人を利用したわけ?」
リナ達がいた世界ででもそうだった。
あのときは、エリシエルはコピーの手により殺されたが。
しかし…生体エネルギーをその身に取り込むなんて…
……レゾのやつどんな実験というか付加能力をこいつにつけてるわけ?
このコピーレゾの中に魔族が二体、合成されていることはリナも知っている。
そしてまたゼルガディスも。
この場で知らないのはシルフィールのみ。
もっとも、マナは理解しておらず、エルは当然わかっているのだが。
そんなリナの台詞ににこやかに、
「おや。心外ですね。彼女から私に協力したい。といったのですよ?
  使えるものは使う。何がわるいのですか?しかしお久しぶりですね。あなたたち」
悪びれもなくいってくるソレ。
「あんたとは初対面だし」
「俺もあんたとは直接あったことはないしな。それよりいつまでその目をとじておくつもりだ?」
リナとゼルガディス、二人のそんな会話に、
「つれないですねぇ。ゼルガディス」
少し困ったかのようなふりをして顔を横にふる。
「…あのぉ?もしかして僕、完全に無視されてますか?」
そんな会話をしている最中、ぽそっと何やらつぶやいているゼロスの姿。
いったい何がどうなって…?
詳しいことを知らされていない、というか聞かされていないシルフィールはただただ戸惑うのみ。
目の前にいるのは確かに、噂になだかい赤法師レゾのはず。
しかし、リナ達の会話を聞くかぎりはおそらく、話にきいていた例のコピーなのであろう。
本物ならば、目の前で今おこった非情なことをするはずがない。
本物でもあるレゾはもっとひどいことをしていた。
ということをシルフィールは知らない。
「とにかく!あたしはあんたをとめるわ!これ以上悲劇を生まないためにもね!」
このコピーがこれまでどんなことをしてきているのか、リナは知らない。
だけどもほうっておけばまちがいなく、サイラーグの悲劇は起こる。
少なくとも、先日までお世話になっていた村人達が悲劇に襲われた、というのは理解できる。
それゆえのリナの挑発。
「……完全に無視されてますねぇ。…まあ、しばらく傍観しておくとしますか♡あ、横いいですか?」
思考をぐるぐるさせているシルフィールの横にいつのまにやらやってきて、ちょこん、と座っているゼロスだが。
ちらり、とシルフィールと共にいるエルとマナに視線を向ける。
…なんなんですかね?
何かものすっごくこのお子さんの近くにいたらおちつかないのは?
そんなことを思っているなど、当然シルフィールは知る由もない。
「?ね~さま?何がおこってるの?」
いつのまにか目覚めて半分ねぼけまなこのマナが目をこすりつつエルにと問いかける。
「おか~さんたちと、例のコピーレゾとが対峙しはじめてるんだけど。
  あ、シルフィールお姉さん、風の結界とかつくれる?」
「え?…え、ええ。できますけど。いったい?」
「それじゃ、ゼロスは結界の強化。それでもってマナとあたしは空間隔離ね」
「いやあの。空間隔離、って……」
いきなり名前をいわれ、さらには何やらとんでもないことをさらっと言われて戸惑いの声をあげるゼロス。
「いいからやるっ!」
「は、はいっ!」
「?よくわかりませんけど……」
小さな子供に強くいわれ、それでもなぜか逆らえない。
本能的に反射的に返事を返すゼロスの姿。
シルフィールは対照的に首をかしげながらも風の結界を発動させる。
「おか~さん!そいつ、しかけてくるわよ!」
エルの言葉をうけ、その言葉の意味を瞬時に悟り、
「エル!姉ちゃんたちからおそわったという空間隔離でしのぎなさいよ!」
リナもその方法をとりたいが、そんな時間はない。
そもそも長い詠唱を唱える暇をこの相手は見逃す、ともおもえない。
エルたちのほうはまだ離れているので唱える時間はあるであろうことは明白。
「ゼル!とにかく風の結界を!!」
こういうときに役に立つのが魔力増幅。
ゼルガディスは賢者の石をもっており、リナはリナで極血玉ティクブラッドを持っている。
「おや。あ…あれは……」
リナ達から感じる魔力の波動。
それゆえにすぐさまそれが何かを感じ、なんで人間があんなものを?とおもっているゼロス。
ゼルガディスの賢者の石のほうはまあわかる。
それがどうしてきちんとした魔血玉デモンブラッドになっているのかはともかくとして。
だがしかし、リナ、と呼ばれている人間がもっている品となれば話は別。
あの品を作れるのは神族関係者。
どこかの遺跡からでも取り出したんでしょうか?
ま、僕には関係ないことですけどね。
お仕事の内容とは違いますし。
「「くるっ!!」」
ゼロスがのんびりとそんなことをおもっているのと、リナとマナの叫びが重なるのと同時。
シャラッン…
コピーレゾのもっていた杖がしゃらり、と音をならし大地をたたく。
「こら!ゼロス!のんびりしてないで、強化しなさいっ!」
「え、あ、は、はいっ!」
ほとんど反射的。
それと同時に、エルたち、すなわち、ゼロス、シルフィール、マイナ、エイルその四人の周囲が風によって包まれる。
そしてまるで壁のような何かがその場に瞬時にして形成される。
と。
ごぐわぁぁぁぁぁぁぁっん!!!!!!
その刹那。
何ともいえない爆音と熱気が周囲を覆ってゆく。
何のことはない。
それはコピーレゾが放った一発の炸弾陣ディルブランドの呪文――

くうっ。
さすがにかなり風の結界を強化しているとはいえ堪えるものがある。
空に逃げる、ということも可能ではあったがそれだと森の木々に邪魔されて余計に動きがとれなくなる。
ゆえに大地にとどまり、結界を強化してたえることを決めたリナ。
周囲に立ち上る、爆煙とそして熱気。
ふとみれば、自分たちがたっていたはずの地面すらえぐりとられて消えている。
浮遊の呪文と風の結界呪文。
それらを強化することにより、この攻撃から逃れているリナ達。
パチン♪
それとなくエルが指を鳴らすと同時。
さあっ。
周囲に風が抜きぬけ、周囲を覆う煙を取り払ってゆく。
「…え…え…ええ!?」
いきなり何がおこったのか理解できずにただただ、子供達を抱きかかえるようにして目をつむったシルフィール。
ゆっくりと目を見開いた先にみたものは、先ほどまでの景色とは一変した景色。
周囲には何もない。
そう、何も。
唯一、自分たちが身を寄せていた木がちょこん、と一本のこるのみ。
それ以外の大地、というか地面全てはえぐりとられ、完全なるクレーターと化している。
その中心にたたずむのは赤い影一つ。
「おやおや。面白いことをされましたねぇ。というかよくわかりましたね」
なぜか強くいわれて反射的にその命令に従ったことに不思議を感じつつも、
それでも今シルフィールから発せられている何ともいえない負の感情。
戸惑いと恐怖、それらの感情に満足しながらもにこやかにいっているゼロス。
「ふつうわかるし」
「いや。わからないとおもいますけど……ま、いいですけどね」
そういいつつも、リナ達のほうをみる。
みれば、どうやらリナ達もまた無事らしい。
風により、煙幕となっていた舞い上がる煙全てが取り除かれ、視界は綺麗に開けている。
ここは確かに山の中のはずだったのに、山、といった痕跡すらない。
ただあるのは、ちょっとした巨大なクレーターのみ。
「…い、今のは……」
風の結界を張っていたとはいえ衝撃はあった。
ゆっくりと目を見開いたゼルガディスの視界にうつったのはえぐられた大地。
「あいつが炸弾陣ディルブランドを放ったのよ」
「……って、おい……」
炸弾陣ディルブランド
普通ならばちょこっと大地を抉り取るだけの、こけおどしなどによく使われる術。
そんなモノでこの威力。
つまりは、目の前のコピーレゾの魔力が並大抵ではない、ということを物語っている。
「お~。視界が綺麗になったなぁ」
「あんたは~。こういうときにのほほんというなぁぁ!」
対照的に周囲を見渡しのほほんといっているガウリイ。
普通に考えれば被害は甚大。
だがしかし、この山全てにおいてはほとんどすでに生命、とよべる存在は皆無に等しい。
また、近くの村や、山の中にあった集落の数々。
それらはすでにエリシエルの手によって壊滅、または実験材料とされている。
もっとも、そんなことはリナ達は知る由もない――

「おや。さすがですねぇ。今のでも無事でしたか。さて。
  動きやすくなったところで。ケリをつけましょうか?」
にっこりと。
そがれた大地にたたずむ赤き影。
コピーレゾが笑みを浮かべながら、まったく無傷のリナ達のほうにむかって言い放つ。
彼にとって一番重要なこと。
それは、自らの手でリナ達を殺すこと――


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あとがきもどき:
薫:さくっとでてきて、さくっと殺されたエリシエルことエリスv
  まあ、彼女は原作においてもコピーに殺されましたしねぇ。
  アニメのほうではけっこう活躍(?)してましたけど。
  あり?そういや、コピーのってメガだったっけ?ディルだったっけ?
  …ま、いっか(こらまてや)
  さてさて、次回でようやく決着編v次は原作あとがきのみにかかれてたプラム編v
  ではまた次回にて~♪

2006年9月19日某日

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