まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

下記の日付と編集日の日付はかなり数年異なっているのはおいとくとして(こらこら
下書きさんはかなり昔にノートとかにかきあげてたりするのでそちらを優先。
いあ、そういうものとかなきゃ、今の状況でそんなの無理ですし…
2008年3月現在でいまだにみつからないポンちゃん…もどっておいで~(涙

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○パラレル・トラベラーズ○ ~エリシエル~

「あら?さっきの人、いつのまにかいませんけど?」
なぜか地面にうずくまるようにしているゼルガディスに首をかしげる。
何となく空気が変わったような気がしなくもないが、だけどそれはシルフィールにはわからない。
ただ、何かリナがエイルから渡された記憶球。
それに記憶されている『何か』を投影した。
というのはわかる。
だけども、それはシルフィールにとっては判らない言葉。
「…な、なんでこんなところにあのさっむいミルガズィアさんのギャグが……」
エイルがリナに差し出したのは、いうまでもなく竜族のギャグが収められている品。
もともと、この地にはエルフも住んでおり、それゆえにそういった品もあったことは事実。
だからこそ、レゾはこの地を研究施設を作る場所に選んだのだから。
エルフ、という実験材料がいるがゆえに。
下手に竜族の言葉がわかる…というのも考えものよね。
ゼルもどうやら理解したらしく、頭をかかえてるし。
そんなことをリナはおもいつつ。
「と。ともかく。この場所は知られてるみたいだし。仕方ないから先にすすみましょうか?」
ゆっくりと休みたかったが、だがしかし、ゼロスまで出てきたのならば話は別。
「?ゼルガディスさん?大丈夫ですか?」
何がどうなってリナの顔色が悪かったり、ゼルガディスがうずくまっているのか理解できていないシルフィール。
ゆえにこそ心配して問いかける。
「だ、だな。…というか、リナ。さっきのは壊しとけ」
「そうね……」
そもそも、何であんなところにこんなものがあったんだろ?
そうはおもうものの、だがしかし、壊しておく、というのはあるいみいいかもしんない。
少しばかりアレに対してこれを利用したらかなり有利に進むのでは?
という思いはあるにしろ。
ともあれ、リナ達は再び夜の森の中を進んでゆくことに――


「…エリシエル。…何かが……」
何かはわからない。
判らないが本能が危険の部類に入る、と告げている。
『力』はまだ満ちてはいない。
「レゾ様。全てはレゾ様のために……」
魔力をためる装置へと座っている彼の手をとり、そっと口づけをする。
コピーとはいえ、今は唯一残っている愛していた男性の姿。
その中身は異なるとはいえ、愛した人の忘れ形見であることは間違いない。
うまくすれば、この器を利用してレゾの魂すらをも復活させることができるはず。
そう、かつてレゾがその自信の目を開く為に行っていた研究以外に行っていた研究。
それが、意識を持たない人造人間ホムンクルスに魂を移動させる、というもの。
今あるこのコピーはその実験のさきがけ。
彼女はそのことを知っている。
知っているからこそ、おそらくはレゾの意思を告ぐであろうこのコピーに対して尽くしている。
レゾを復活させる手助けとなりえるために。
すくっ。
そっと手をとり口付けを落としたあと、くるり、と向きを変えてその場を後にする。
あの手勢を退けた、となれば相手はなかなか手ごわい。
だからといって許せない。
愛するレゾを殺したあの人間たちは。
「まっていなさいよ。レナ=インバース……」
レナ=インバースに子供がいる、とは聞いたことはない。
だがしかし、おそらくレナ=インバースの親戚か何のはず。
しかも、あのとき、あの場に間違いなく彼女たちもいた、ということをエリシエルは『知って』いる。
だからこそ容赦する気はさらさらない。
かつん。
その場にいまだに自由に力が満ちていないがゆえに動けない『彼』を残し、一人進んでゆくエリシエル。
エリシエル=ヴルムグン。
かつてレゾに使え、そしてレゾ亡き今もまた、レゾの面影を求めている一人の女性。
彼女にとってレゾは全てであった。
だからこそ、彼の魂をよみがえらせ、そのためにまずはレゾを殺した人間達を自らの手で葬る。
それが今、彼女をつきうごかしている生きる意味。

「しかし。わたくしたちを助けてくださった神官さん。どちらにいかれたのでしょうか?」
気づいたらいつのままにかいなかった。
それゆえに心配しながらも言っているシルフィール。
「そういえば。いきなり現れていきなり消えたな。あのゼロスとかいう胡散臭い神官」
そんなシルフィールのつぶやきに、歩きながらも答えているゼルガディス。
確かに胡散臭い、というのはあたってるけど。
そんなことを思いつつ、
「ゼル。それにシルフィール。あいつのことは話題にしないほうがいいわよ。
  というか気にしたらだめ。そもそもかかわらないほうがいいし」
きっぱりはっきりいいきるリナ。
「?リナさん?いくら何でも恩人に対してそんなに警戒しなくても?」
理解していないがゆえに、ただ自分たちを無条件で助けてくれた。
そう信じているがゆえにそんなことをいってきているシルフィール。
夜はさらに深く、森の中の闇はどんどん暗闇をまし、月明かりすらも大地にとどきにくくなっている。
それでもリナ達が普通にあるけているのは、ほのかにともした明かりライティングの灯りにより周囲を照らしているがゆえ。
まあ、アレが魔族、しかも高位魔族、といって信じるとは思えないし。
見た目は完全に人のそれ。
そもそも、ここのシルフィールにそんなことをいっても信じない、とおもうのが通常。
自分たちの世界のシルフィールならばまあフィブリゾにあっているので信じるだろうけど。
ゼルにしても、素直に信じてくれるとは思えない。
だからこそのリナの忠告。
「もし。あいつがあたしの知っているヤツと同じなら。あいつは談笑しながらも、笑って人の首をかききるタイプよ。
  笑みの下で何を考えてるのかわかんない。とにかく人をひっかきまわすのを楽しみにしてるタイプだし」
そんなリナの台詞に、
「まあ。たしかにあの神官の実力が並大抵のものではない。というのは理解できるが……」
そもそも、人間にあんなことができる存在など、ゼルガディスは今までレゾしか知らない。
レゾもまた、あのように一瞬にしてブラスデーモンなどを駆除していた。
レゾのような実力者がそうそこいらにいる、とも思えないんだが……
リナのやつ、何か隠してるな。
そうはおもうものの、だがしかし、リナが隠していることを聞き出すことも不可能。
というのも短い付き合いではあるがゼルガディスは理解している。
そもそも、彼女たちは異世界からやってきている人間である。
それを知っているがゆえになおさらに。
「まあ。シルフィールが思いっきり本気で感謝してたし。
  さっきのこともあるからそう簡単に姿を現さない。とはおもうけどね、警戒は必要よ。
  それでなくても今はコピーのこともあるんだし」
先ほどの光景からして、自分たちが滞在していた村人全てが犠牲になったのは明白。
下手をしたら、自分たちの世界同様、サイラーグの壊滅、という事態にもなりかねない。
それだけは何としても防ぎたい。
「確かに。俺は目にしたことはないが。噂ではたしかレゾはアレに魔族を同化させてる。とか聞いたことがあるしな」
ゆえに実用性があまりなくなってそのままほっといた。
とも確か聞いた記憶がある。
「…魔族、って……」
そんなゼルガディスの言葉に顔色を悪くするシルフィール。
シルフィールとて魔族の姿、というのをかつて昔、みたことがある。
かつて北のサイラーグにおいておこった事件で。
そのときは、高位魔族とかではなく、それでも一応は自力で具現化できる純魔族であったが。
「お~い。みえてきたぞ?あれじゃないのか?」
そんな会話をしながら、いまだに寝ているマナを背負い、とある方向を指差しのほほんといってくるガウリイ。
エルは目を覚ましているものの、夜道は危険、というのでいまだにリナが抱っこしているままの状態。
ガウリイにそういわれても、リナ達の視界には何もうつらない。
あるのはただひたすらに永遠に続くとおもわれる暗闇が視界の先に広がるのみ。
もっとも、ガウリイがいうのだからそちらに何かがあるのは確か。
「…よくあんた、こんな暗闇の中、先がみえるな?」
「ま、ガウリイのは天然ものだし。さあ、気合をいれていくわよっ!」
おそらくガウリイが指差す方向に目指している場所はある。
レゾの隠れ研究施設。
できれば、アレが動き出す前にカタをつけたい。
というのがリナの本音。
一番てっとり早いのは、あの場所ごと重破斬ギガスレイブなどを叩き込めばてってり早いだろうが。
魔族と合成されている、というのを考えて空間移動ができる可能性がある。
また、生きている実験材料となった生き物もいる可能性も捨てきれない。
だからこそいきなりの攻撃、というのは躊躇せざるを得ない。
「ともかく。打ち合わせどおりに。もし誰かつかまってたりしたらとにかくそれらの解放。
  それからコピーをたたくわよ!!」
エリシエルがどんな手を打ってくるかはわからない。
リナ達がいた場所においては、あのとき、彼女は見習いというか走り出しの賞金稼ぎ。
その設定で近づいてきた。
もし、相手を操る能力をこの世界の彼女ももっていたら厄介よね。
だからこそ警戒は解けない。
あのときは、祝福の剣があり、そしてまた神聖樹フラグーン、という存在があった。
だからこそあのコピーを倒すことができた。
だが今は?
ここはサイラーグではないので、当然神聖樹フラグーンも、そしてまた祝福の剣もない。
だがしかし、こちらには知識と経験がある。
そしてそれに必要な魔力容量も。
もっとも、免疫のないシルフィールがどう行動するかでかなりかわってくるけど……
リナにとってはそれが気がかり。
だけどもやらなければ、悲劇はさらにひろがる一方。
それは先の村人達の末路をみても明白。
あのレナたちに自分と同じような思いをさせたくない。
今、彼女たちが何をしているのかはわからないが、おそらくはセイルーンにいく、とかいっていた。
ならばあのお家騒動に巻き込まれている可能性は高い。
そんなことをリナが思っていると、
「リナ!」
ガウリイの警戒したような声。
ざっ。
どごがぁっん!!
その声とほぼ同時。
いきなり前方のほうから光の球が出現し、先ほどまでリナ達がいた地面をなぎ払う。
その気配に気づき、ゼルガディスがシルフィールを抱えて横にとびのき、
リナとガウリイもまたすぐさまに退避行動をとっていたがゆえにリナ達には何の被害もない。
「…ち。よけたわね」
ゆっくりと暗闇よりでてくる人影がひとつ。
その場にまったくにかわしくない、見た目十六、七の黒髪の女性。
額にあるあざやかな赤いバンダナが印象深い。
顔まではこの間きちんとみえなかったけど……
だが、判る。
彼女が誰か、ということは。
「ようこそ。みなさん。…そしてさようなら」
その表情には何ともいえない、侠気とも憎悪ともいえない笑みを浮かべて言い放ってくる。
「え?え?あの??」
「ちっ。やはりここにいたか!エリシエル!!」
一人意味がわからずに戸惑いの声をあげるシルフィールとは対照的に叫んでいるゼルガディス。
そんなゼルガディスにちらり、と目をやり。
「あなたたちに私の、そしてレゾ様の邪魔はさせないわっ!
  ゼルガディス!あなたはレゾ様の身内でありながらレゾ様を裏切った罪!万死に値する!
  今ここで、この私の手にかかり死ねることを光栄におもいなさいっ!」
いいつつも、きゅっと腰にさしていたショート・ソードを抜き放ってくるその女性。
「ゼル!シルフィール!そいつが投げてくるルビーに気をつけて!
  こいつ、おそらく他人をコントロールする術を身につけているはずよ!」
リナが知っている『彼女』と同じ能力ならばそれは確実。
「あ…あの?この人は……」
いまだに何が起こっているのかよく理解していないシルフィールが戸惑いの声を出す。
いきなり攻撃されて、多少混乱気味。
「こいつが。エリシエル=ヴルムグンよ。レゾのコピーを持ち出した!」
嘘ではない。
シルフィールに説明している彼女の説明は多少異なっているがゆえに、それだけ説明するリナ。
でも、今、この人…赤法師レゾをこのゼルガディスさんが裏切った、とかいいませんでした?
先ほどのことといい、今の状況といい現状についていかれない。
「とりあえず。エル。ごめんだけどシルフィールとまっててね」
エルを抱いたままでは戦闘にはならない。
ガウリイのほうはまあ、マナを背負っているので問題あるにしろ。
その言葉にようやくはっとなり、
「あ。ガウリイ様。マナちゃんをお預かりしますわ」
自分にできること。
つまりは戦力にはならないものの、子供達を守ることくらいならばできる。
リナがエルに言うと同時、はっと自分のすべきことを思い立ち、ガウリイにといっているシルフィール。
「頼む」
それだけいい、そのまま背負っていたマナをシルフィールにと預けているガウリイ。
「とにかく!エリシエル!あんたの好きにはさせないわよっ!」
自分たちがレゾを倒した云々をここで言われたらややこしいことになる。
そこまで詳しいことをシルフィールにはリナ達は説明していない。
だからこそ、臨戦態勢を整えつつ言い放つ。
「うるさい!うるさい、うるさい、うるさい!レゾ様の仇!覚悟!!」
ルォォ……
そういうと同時、エリシエルが虚空に小さく円のような紋様を描く。
それと同時にエリシエルの周囲に浮かび上がる逆五紡星。
ゆっくりと、その光は収縮しやがてそこにはいくつもの異形の影。
「召還術!?」
まさかこいつにそんな真似ができるとは。
コピーのほうならいざしらず。
叫ぶゼルガディスとは対照的に、
「おまえたち!やっておしまいっ!!」
高らかに笑い声をあげながら命令するエリシエルの姿。
と。
ざしゅ……
……え?
勝ち誇ったような笑い声を上げているエリシエルの背後より何かがかすめ。
次の瞬間にはエリシエルの右肩より下がおもいっきりなぎはらわれる。
「……がっ…っ!?」
いきなり肩をなぎ払われ、がくり、とその場にひざまづくエリシエル。
攻撃をうけた、というのにその腕からは血が一適も落ちていない。
まさか……
リナがある可能性を思いつく。
攻撃が仕掛けられたのは視界の先にとある闇の中から。
「……新手か?」
「…リナ。なんであいつがまたくるんだ?」
「……あたしにきかないで……」
構えながらもつぶやくゼル。
そしてまた、きょとん、としながらも問いかけてくるガウリイ。
リナとしても答えようがない。
今だに何が起こっているのか理解できていないシルフィールは二人の子供を抱えてその場にしゃがみこむのみ。
そんな中、ゆっくりと闇の中からさらに濃いい闇がうかびあがってゆく――


                          ――Go To Next

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あとがきもどき:
薫:この辺りからちらほらとメモのほうに記帳してたのをさらに編集分~(こらこら
  というわけで、下記の日付は基本を作った日付でいっておりますv
  エリシエルさん、さてこの正体は!?まあ、血がでていない、というのでわかるとおもいますけどね(苦笑
  さてさて、次回、またもや登場、お役所神官v
  次回でたぶん、コピーレゾ編クライマックスですv
  彼らの活躍があまりないのはきにしないでください(おひ…
  何はともあれ、それではまた次回にて♪

2006年9月17日某日

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