まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
表現をかなり抑えているものの、たぶん判る人にはわかるはず。
うん。
まあ、原作でもけっこうグロテスク系もあったから問題ないはず(いいきかせ
というわけで、そろそろこのレゾコピー編もクライマックス近しですv
何はともあれ、いくのです♪
#####################################○パラレル・トラベラーズ○~脅威の実験~
「しかし。よくこんな場所しってたわねぇ。ゼル」
感心することしきり。
こんな生物の気配すらしない森の中。
のような狩猟小屋とおもわれる小屋があるなど考えてもいなかった。
とりあえず、夜の闇にまぎれて行動することは先ほどのようなことも否めない。
ゆえに、ひとまず朝までどこかで休もう。
ということになり、それならば。
というのでゼルガディスの提案したこの小屋にたどり着いているリナ達一行。
すでによほど疲れたのかマナはリナの腕の中ですやすやと眠っている。
エルはエルで小屋にあった藁を上手に敷き詰めて簡単な寝床をつくりすでに横になっている。
なんでこんなに藁があるわけ?
とはおもったものの、あるものは現実。
ゆえに利用できるものは利用する。
それが生きる為いうかリナ達の教育方針。
子供達が寝静まったのをうけて、ゼルガディスにと話をふる。
食料を森で確保しようにもこの森はそのような植物、もしくは動物すらみあたらない。
そもそも、感覚でしかないが森の木々全てが瘴気に侵されている、というのがわかる。
下手にさわればすぐにでも朽ちてしまいそうなほどのもろい空間。
「まあな」
知っていた、というかレゾが残していた地図にあったのだが。
そもそも、レゾは自身の目がみえなかった、ということもあり目が見えないなりの地図、というものを作成していた。
それはつまり、精神面に作用して直接脳裏にその情報を叩き込む、というもの。
見ることは不可能でも、視ることはどうにか修行の上に可能であった。
といってもきちんとした色彩などはない『形』であるにしろ。
だが、そんなことはリナ達には知る由もない。
それにこの場所は他の者がわかりにくい、とおもったのか。
はたまた誰かに頼んだのか知らないがきちんと別に巻物、として残っていた。
そこに簡単な描かれている地図もあったので、この小屋の存在をゼルガディスは知っていた。
「それで?あの?リナさん達とこのかたの関係は?」
全身真っ白い服にフード。
そもそも、体が元の人のソレにもどっているのだからどんな服をきてもいいとおもうのだが。
それでも何かこだわりがあるのか、服は以前のまま。
「え?あ。えっと少し前に一緒にちょっとした事件をかたづけた仲間よ」
嘘ではない。
それがちょっとしたどころではなく、実は魔王復活云々…というのを説明していないだけ。
「しかし。あんたらもよくよくいろんなことに首をつっこむな……
というか、まさかあんたらもアレを探していたとはな」
マナの台詞でリナ達もまた、コピーを探していた、というのは理解しているゼルガディス。
しかもなぜかリナ達と一緒にいるのはサイラーグの巫女頭。
レゾが残していた記述から、あのコピーがサイラーグに目をつけるかもしれない。
という予感はあったゼルガディス。
だがそれは口にはしない。
「まあ、ゼルのことはともかくとして。ともかく早くアレを止めないとね」
「無論だな。あいつが何をしでかすか予想がつかないだけになおさら、にな」
完全に言葉にしなくても、理解し合えるのはひとえに、ゼルガディスはレゾを。
そしてリナのほうはかつての出来事を知っているがゆえ。
そんな会話をききつつ。
「それよりリナ?な~んかかこまれてるけど、どうすんだ?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
のほほんと、外のほうをみながらいってくるガウリイ。
確かに何かの気配はある。
それも殺気とも何ともいえない雰囲気というか気配。
ゆっくととかではなく唐突に出現したような、そんな気配。
「?え?…囲まれて……って…きゃっ!?」
そんなガウリイの言葉に首をかしげ、小屋にとある小窓から外を確かめるシルフィール。
この場所は少しばかり上空が開けており、月明かりが差し込み辺りを照らしている。
だからこそ暗い夜だとはいえ、周囲がほんのりと照らし出されている。
ガウリイの言葉をうけて外をみたシルフィールの目にとびこんできたものは、
何ともいえない異形の生き物がこの建物を取り囲むようにうようよとしている。
ということ。
その背後には何やら人影らしきものも見えなくもないが、おそらく人ではないであろう。
それはいくらおっとりしているシルフィールとてわかる。
「ちっ。どうやらヤツのほうも同じ考えなのか、こっちのことが知られたらしいな」
ゼルガディスもまたその気配に気づき舌打ちする。
それとほぼ同時。
『ああ。やはりあなたでしたか。ゼルガディス。それにお久しぶりですね。レナ=インバースさん』
どうやらリナをレナ、と勘違いしているらしく、そんなことをいってくるそんな中にたたずむ場違いな人影ひとつ。
それにはあからさまに生気は感じられない。
瞬時に以前のこともあり、それが何かを理解するリナ。
土により、器をつくり自分の端末とする方法。
多少というかかなり高度な魔力とその知識をもっていれば誰にでも使用は可能。
顔と体には全身黒い布が巻きつけてあり表情は垣間見えない。
それでも、リナ達には判る。
はうっ。
おもわずため息。
そして。
「…下手したら小屋ごとしかけてくるかもしんないわね。ガウリイはマナをお願い」
「おう」
なれた手つきでいまだに寝ているマナを抱き上げそのままガウリイの背中に紐でくくりつける。
紐、といっても子供などを背負うときに使用する、一般的に普及している品。
リナはリナでそのままエルを抱き上げる。
呪文のみならば別に普通に抱いているだけでも問題はない。
ガウリイの場合はどうしても剣の使用があるので背中にくくりつけることになるのだが。
「え?え?あの?」
一人いまだによく理解できていないシルフィールはただただ戸惑うばかり。
「あんたは危ないから俺たちの後ろにいろよ?」
この中で一番対応できないのは、まちがいなくこのシルフィールであろう。
そう即座に判断し、シルフィールにいいつつも、臨戦態勢を整えているゼルガディス。
そのまま、警戒を崩さないままにゆっくりと小屋からでてゆくリナ達四人。
正確にはおぶわれている子供と、抱かれている子供を含めると六人。
月明かりに照らされて、その場にたたずむひとつの人影。
その周囲には、人とも何とも形状しがたい異形の生物。
だが、リナはその気配に何となくではあるが覚えがある。
まさか……
アレの気配ととてもよく似ている。
「…ガウリイ。あれって……」
「人、としての意識というか生きてはないぞ?」
リナの問いかけを瞬時に悟り、そう答えているガウリイ。
「「…人?」」
そんなガウリイの台詞に思わず同時につぶやくゼルガディスとシルフィールであるが。
ぱちぱちぱち。
そんな彼らに対してなぜかパチパチとたたく手の音がなげかけられる。
「ほう。よくわかりましたねぇ。ええ。たしかにそこにいモノたちは元、人であったモノたちですよ?
何しろ抜け殻を利用しない手はないでしょう?人の器、というのはけっこう便利でしてねぇ。
精神世界面から魔族を召還してそれに宿せば通常のデーモンよりも強い手ごまができますしね」
悪びれもなくいけしゃぁしゃあといってくるそれ。
「…で?そんな傀儡をつかってどうする気?そんなのあたし達には通用しないわよ?」
『ええ。それはわかってますよ。ですからこれはほんのご挨拶がわり。ですよ』
そうソレがいうと同時。
がさっ。
周囲にあつまっていた異形の存在、あげくはどうみても人そのもの。
だがしかし、体が完全に溶け始め、見た目どうみてもゾンビ。
といっても本当にゾンビなのだが。
とにかくそんな生き物たちががさり、と音をたてながらじわり、じわりとリナ達にとにじりよってくる。
『ああ。そうそう。そのかたたちは元この近くの村の方々ですよ。私の実験の成果です。
みなさん協力的でして、素直に私の手ごまとなってくれましたよ』
その台詞が意味すること。
すなわち、近くの村人をこのような姿に変えた、ということ。
「…そ…そんな……」
シルフィールがにじりよってくるゾンビの一団のひとつをみて思わず絶句する。
見覚えのある服と、そして顔立ち。
体が半分溶けかけ、くずれかけているとはいえ元の面影は残っている。
中には小さな子供の姿も具間みえているそれら。
「あ…あんたねぇ!コピーといえど、人の命を何だとおもってるのよっ!」
おもわずリナが怒りに任せて叫ぶ。
『おや。心外ですね。私はレゾ本人ですよ。あなたがたには大きな借りがありますからねぇ』
レゾ当人でないのに、当人、と言い放つ。
「で?当人は安全な場所からわざわざ土くれでつくった傀儡で俺たちをあいてにして満足ってか?」
持っている賢者の石の波動で【判る】。
目の前の言葉を発しているソレは、生き物ではなくて魔力で生み出されたもの。
そしてまた、魔力によって動かされ、それにうめこまれている品物により彼らと離れた位置から会話している。
ということも。
『さすがですね。ゼルガディス。いったでしょう?これはご挨拶ですよ。
わざわざ私をおいかけてきたあなた方への…ね。それではまってますよ』
いうだけいうなり、そのままソレはいきなりぐしゃり、と崩れ落ちる。
はらり、と舞う黒い布。
布の下には土くれが残るのみ。
それを合図にし。
『がぐるわぁぁ!!』
今まで静かにそこにいた異形の存在達が一斉にと雄たけびをあげる。
そしてまた、ゾンビとなった人間たちもまた、うなりながらもゆっくりとリナ達のほうにとにじりよってくる。
呪文で彼らを浄化することはいたって簡単。
それが巫女の能力をも備えているシルフィールならばなおさらに。
だがしかし。
「そ…そんな……だって…嘘……」
その場にただぺたん、と座り込むシルフィール。
シルフィールが目にしているのは、見慣れた服装と顔立ち。
神官の服をまとっている男性らしき姿に、そしてまたまだあどけなさがのこる小さな子供達。
つい先日まで、自分たちがお世話になっていた教会の人々。
そしてまた、村の中で顔見知りになった人々の姿。
わざとそのような服装と顔立ちにして仕掛けてきた、ということも考えられる。
いや、そう考えたい。
あの親切な村人たちがこのような異形の姿になったなど、シルフィールは信じたくない。
「ちっ。どこの世界でもあのコピーは!!」
こちらのほうがかなりきついのかもしれない。
リナ達がいた世界では、レゾのコピーによってサイラーグは壊滅した。
それこそ死体も何もあとくされなく、町ひとつ、そこにあった痕跡すら残さずに。
崩魔陣フロウブレイクならば周囲の浄化は可能。
だがしかし、異形にされた人々が元の姿に戻るか、といえば答えは否。
だからといってこのまま手をこまねいているわけにもいかない。
「?おか~さん?」
そんな会話をしていると、先ほどまで眠っていたはずのエルが目をさまし、その眠たげな目をこする。
正確にいえば、何がおこっているのか把握したので目を覚ましたのだが、そんなことはリナは知る由もない。
「あ。エル。おきちゃった?…ちょっともうすこしだけねててね」
こんな光景を子供に見せたい、と思う親はまずいない。
レッサーデーモン達だけならまだしも、ゾンビと成り果てている元村人の姿は。
子供の情操教育上、よろしくない。
もっとも、この程度のことで動じるようなエルでもないのだが。
ふとみれば、信じたくないのかいまだに地面に座り込んでいるシルフィールの姿が見て取れる。
しかし、そのまま座り込んでいるままでは先には進めない。
とにかく、今はこの場をどうしのぐか。
おそらくは、彼らを元の人に戻す、というのは不可能。
ならば自分たちの手で『大地に還す』のが一番。
戸惑いや躊躇は逆に自分たちの命を脅かす。
それも経験上、リナにはよくわかっている。
と。
バシュ!!!
『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……』
リナ達が構えるのとほぼ同時。
いくつもの光の柱が周囲を埋め尽くし、その場にいたことごとくのレッサーデーモン達を包み込む。
青白い光に包まれ、消滅してゆくレッサーデーモン。
そしてまた、炎に包まれもがきながらも崩れてゆくゾンビの数々。
青白い炎に包まれ、周囲では数々のレッサーデーモンが消滅してゆき、
また、人の姿をしたままのゾンビとなった人間たちが炎に包まれ絶叫をあげながら土くれと化してゆく。
それはまるで地獄絵図、とどこぞの世界では言い表すかのような情景。
「……え?いったい……」
「…何だ?いったい何が……」
自分たちが何かをしたわけではない。
それゆえに、戸惑いの声をあげているシルフィールと、
何が起こったのかわからずに目を点にしているゼルガディス。
「……つ~か。何であいつがおいかけてくるわけ?」
ものすっごく嫌そうな顔をして、ため息をついているリナ。
ゆっくりとそんな炎の奥から近づいてくる人影がひとつ。
「おやおや。何だかとても面白そうなことになってますねぇ♡」
にこやかにその笑みを崩すことなく現れたのは、つい先刻の神官服の男性。
とはいえソレが誰か、というのがわかっているリナやガウリイにとってはいい気分ではない。
「あ。あなたは……」
たしか、さきほどの……
その姿に気づき、声をあげるシルフィール。
「まさか…これは貴様が!?」
一瞬にして大量ともいえるレッサーデーモン達を消滅させ、あまつさえゾンビすらをも消滅させる。
それはどう常識的に考えても並大抵の実力ではできない。
…それを人に当てはめれば、という注釈がつくが。
それゆえに警戒を含めて叫んでいるゼルガディス。
「おや?あなたがたは先ほどの。いやぁ。奇遇ですねぇ♡」
・・・どこが!
どうせこいつのことだからおいかけてきたにきまってるっ!
内心、リナは思うものの口には出せない。
自分がこの『神官』のことを知っている、と知られては子供達の身が危険。
「いやぁ。何かおそわれてるっぽかったので。それに僕としても邪魔でしたしね♡」
こいつらしい、といえばこいつらしいけど……
「で?……なんのよう?おじ~ちゃん?」
おじ……
「あ。あのですねぇ。助けた人にそれですか?…まあ、小さな子供ですから仕方ないにしても…」
リナの腕の中でそちらをみながらいうエルにつぶやきつつも何やらいっているソレ。
と、とにかく、ガウリイがいらないことをいうまえに、どうにかしないと!
ガウリイのこと、いきなり名前を呼びかねない。
そんな危惧を抱きつつ、
「それで?変な黒い物体さんが何のよう?」
「ひ、ひど!あなたまでそれですか!?」
「だって、名乗られてないし」
「言われてみれば。たしかに。そこの人は名乗られてませんわね」
「たしかに。言われてみれば黒い物体だな」
「あのですね!僕にはゼロス、といった名前があるんです!黒い物体ってなんですかっ!」
とにかくこいつには畳み掛けるのが一番!
長い付き合いだからこそ、相手の性格もよくわかっている。
こいつはけっこう乗るほうだし。
だからこそ、リナはあえてガウリイが余計なことをいうまえにと問いかけた。
「みたままじゃない。それとも何?黒いゴキブリのほうがいい?」
「おか~さん。それよりら~めんどんぶりがいい~」
そんな母娘の会話をききつつも、
「あら。ゼロスさん。とおっしゃるんですか?リナさん。一応恩人に対してそのような……」
「あら。シルフィール。こんな得たいの知れない相手を信用したらそれこそダメよ。
こういうやからはその笑顔のしたで何を考えてるのかわかんないんだから」
そもそも、こいつは笑顔で人の首をかききるタイプだし。
下手にかかわったら面倒。
「おまえ。一応こんな怪しいやつでも恩人だとおもうんだが……」
そんなリナの様子に多少眉をひそめつつも、警戒を解かずにリナに話しかけているゼルガディス。
「いいのよ。それにこいつもいってたじゃない。邪魔だから。って。あたし達を助けたわけじゃないわよ」
そもそも、魔族が人助けを率先してやるなどありえない。
だからこそきっぱりリナは言い切れる。
「えっと…まあ。いいですけどね。それよりお聞きしたいことがあるんですけど」
にこやかに笑みを浮かべたまま、ぽりぽりと顔をかきながらにこやかにそんなことをいってくるゼロス。
こいつが聞きたいこと、というのはロクなことがないっ!
たとえ世界が違えどもかかわりたくない、というのは事実である。
「ねえねえ。おか~さん?さっきあの小屋の中でこんなのあったけど、これなに?」
実際には、あったのではなくて作り出した。
というほうが正解なのだがそれは口にはしない。
「何?エル?・・・何かの記憶球のようね。…えっと……」
「いやあの…また無視ですか?」
そんなゼロスの言葉をあっさり無視し、会話しているリナとエル。
リナがエルから手渡された小さな球を手にとり、それを再生させる。
刹那。
周囲に何ともいえない静けさが襲い掛かってゆく―――
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あとがきもどき:
薫:悩んだ末にだしてきました、ゼロス君v
どちらにしても彼は登場する予定ではありましたけどね(苦笑
まあ、とりあえずゼルとシルフィールとへの顔見世、みたいなものです(笑
ではでは。ようやく次回かその次でこのコピー編は決着ですv
それでは、また次回にてv
ではでは~♪
2008年2月8日(金)某日
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