まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。ようやくエルクの父親の登場です!
そういや、彼って原作でははっきりいってあまり出てきてないんですよねぇ。
エル様降臨、すなわち冥王フィブリゾの最後の巻以外では……
アニメのほうではきちん、とでてきてましたけどね。
しかし、あっさりとコピーにだまされたあげくに、冥王フィブリゾに利用された彼ら…
かなり気の毒すぎる、というより他にないんでしょうけど…
もう少し、人を見る目があればあのようなことにはならなかっただろうなぁ。
としみじみおもっていたりします。
何はともあれ、今回、そのエルクの登場ですv

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○パラレル・トラベラーズ○ ~サイラーグ神官長・エルク~

「ほう。ラウリィ様のお兄様と同じお名前ですか」
にこにこにこ。
実際に生きている彼にとであったことかない。
リナ達が彼に出会ったのは、すでに生ける屍の操り人形と化していた時。
「まあ。それではラウリィ様とは親戚にあたるのですね。
  それでそのようによくにていらっしゃるのですわね」
とりあえず、自己紹介するのに名前だけ、というわけにはいかず、フルネームで名乗ったリナ。
さすがに、名前の『ガブリエフ』という言葉はここ、サイラーグではかなり有名。
しかもそっくりとくればまず親戚か何か、とおもわれるのは間違いない。
「え。ええ。そのようなものです」
とりあえず敬語をつかいながらもデスマス口調で答えているリナ。
何かシルフィールに対して猫かぶるのも不思議な気がするけど。
だけどここは仕方ないし。
そんなことをおもっているのがまた面白い。
「ん~と。んじゃぁ、これ!」
「マナ~。それやったらくずれ…ああっ!」
ガラガラガラ……
あたしとマナはといえば大人達は大人達で話がある。
というので部屋の隅で積み木遊び。
マナがなぜか途中、円の積み木を塔を作っている最中において、
おもいっきり全体のバランスを崩して塔が崩れ落ちる。
「あ~あ。だからいったのに」
「?なんでくずれたの?ね~さま?」
はうっ。
説明してもきちんと理解がまだできないとみた。
崩れた塔をみて、きょとん、と首をかしげているマナ。
これはこれでたしかに無邪気でかわいいけど。
そんなあたしたちの姿を横目でみつつ、
「かわいいお子さんたちですね」
ふっと笑みを漏らしているシルフィール。
確かに、傍目からみていれば、ほほえましい光景としか写らない。
「かなりやんちゃ盛りで目がはなせませんけどね」
そんなシルフィールに苦笑しながらも答えているリナ。
「それで?この私に用事、とのことですが、何でしょう?」
いきなり本題にはいるわけにはいかず、はじめのころはとりとめのない会話をしているリナ達。
今、この部屋にはガウリイとリナ。
そして、シルフィールとその父親でもあるエルク。
そして数名の教会につかえている神官や巫女たちの姿。
椅子にこしかけ、テーブルに手をおいて、本題を切り出しているエルク。
見た目、かなりおっとりとしている感じの人間。
事実、この人間はかなりおっとりしているけど。
「え。ええ。実は、……」
いいかけて、ちらっと部屋にいたほかの人に視線を走らせる。
それでどうやら人にはあまり聞かれたくない話であろう。
そう判断し、
「ああ。お前たち。少し人払いしてくれるか?」
「はい」
「わかりました」
エルクの言葉をうけて、うやうやしくお辞儀をして部屋からでてゆく巫女や神官たち。
部屋に関係者以外がいなくなったのをうけ、しばらく考えたふりをした後。
「実は。口外無用にお願いしたいのですが。さる人物の名誉にもかかわりますので」
言葉を選んで説明を始めるリナ。
まあ、確かに嘘ではない。
「?さる人物?それは話にもよりますが。わかりました。口外はいたしません。
  シルフィールもそれでいいね?」
「はい」
二人がうなづいたのをうけ、
「実は。あたしたち、とある一件でさる人物とかかわったんですけど。
  そのときにその人物からお願いされたんです。まあ、依頼、というほどのものでもないんですけど。
  ですが、その人物がいうのにはサイラーグに関係してる、というもので……」
もったいつけて説明するリナの言葉に、
「?そのさる人物。とは。いったい?」
首をかしげながらもシルフィールと顔を見合わせているエルク。
確かに、これだけだと意味は判らないであろう。
あたしならばわかるけど。
「絶対に口外無用におねがいいたしますね?」
ものすごく念を押していってくるリナの迫力に思わずこくり、とうなづくこの親子。
その動作をみて、
「エルク神官長たちもご存知とおもいますけど。……赤法師レゾはご存知ですよね?」
まさか、そんな高名な名前がでてるくとは夢にもおもっていなく、
「え。ええ。それはレゾ様。といえば有名ですし」
現代の賢者であり聖者。
そういわれている人物。
一説によれば、かなりの長生きをしていて本当に実在するのか?
という疑問視すらされている人物。
もっとも、その彼に助けてもらった、という人々が存在する以上、確実に存在している。
というのは明白なのだが。
「実は。その赤法師レゾに関することなんです」
少しいいにくそうに、それでいて二人の表情を確認しつつ、
「……実は、その彼の人造人間ホムンクルスが何者かに盗まれたらしいんです」
「「……は?」」
いきなりといえばいきなりのリナの言葉に思わず間の抜けた声をだしているシルフィールとエルク。
いきなりそんなことをいわれても、たしかに普通の人間ならばそのような声を出すしかないだろうが。
「えっと。あの赤法師レゾが様々な魔術などに通じている、というのはご存知ですよね?」
白・黒・精霊魔術。
全てにおいて極めている、と一般にいわれている赤法師レゾ。
一般の人でもそんな噂くらいは知っているがゆえ、サイラーグの神官長を勤めているエルクならばなおさらに。
「え。ええ。それは定説、というか事実といわれていますし……」
どう答えていいものか、とりあえずそう答えるエルクに対し、
「ええ。それで、彼は自身の目を開く方法の確認をかねて、以前自身の人造人間ホムンクルスを創造り出したらしいんです。
  ……そのコピーがどうも、彼の弟子でよくない考えをもった人に盗まれてしまったらしく……
  もし、旅先でそのコピー、もしくはその弟子を見かけたら連絡をください。と頼まれたんです」
嘘も方便。
とはよくいったもの。
「いくらコピーとはいえ、外見はやはり赤法師レゾそのものですから。
  悪用しよう、とおもえばいくらでも利用できるわけでして。それを彼は心配していたようなんです。
  何でも、その弟子、というのが以前、サイラーグの伝説に興味をもっていたらしくて。
  それで、念のためにサイラーグの神官長様がたにその旨を伝えておこう。とおもいまして……」
歯切れも悪そうに、それでいてさも深刻そうに話すそんなリナの様子に。
それが真実だ。
そう彼らがおもうのはそう時間はかからない。
「まあ。そんな……しかし。えっと。リナさん。でしたわよね。いつそんなご高名な方とお知り合いに?」
その疑問はもっとも。
そんなシルフィールの言葉に、しばらく考えたそぶりをし、
「これもやはり口外無用に願いたいんですけど。裏づけは確認していただいてかまいませんけど。
  少しまえ、アトラス・シティでちょっとした騒ぎがあったんです。…そのときに」
そう説明するリナの台詞に、
「ああ。なるほど。それでしたら私のほうにも魔道士協会から内密に連絡が届いています」
さすがに事件が事件であっただけに隠し通すことは不可能。
だがしかし、それを他の者たちが面白おかしく流言することがないようにとの連絡。
まさか、そこには魔族、とかそういった類は書かれていないが。
それでも、屍肉呪法ラウグヌトルシャヴナのような呪法を魔道士協会福評議長がかけられていた。
というのは紛れもない事実。
あのとき、魔道士協会の関係者は、ひとまず名のある神官や巫女など。
そんな彼らにその術らしきものを解く方法はないか。
と問い合わせていた、という事実もある。
言葉を濁すリナに、いったいどんな騒ぎが…と深く問いかけようとするシルフィールであるが、
何となくだが聞かないほうがいいような気がしてその問いかけをのみこむ。
確かに、いきなり魔族だの何だの、といわれても。
はっきりいって信憑性はまるでない。
それでなくても先日の、いきなりのレッサーデーモンなどの大量発生。
何かが世の中で起こっている。
というのは巫女だからこそわかること。
そのデーモンの大量発生と、無意味な暴走は一時して今は落ち着いたが。
「とにかく。あたしたちがサイラーグにいく。といいましたら。その旨を伝えておいてほしい。
  とのことだったんで。念のためにお教えしにきた次第なんですが……」
リナのやつ、ここまでよく口からでまかせいえるよなぁ。
あるいみ、リナの説明に感心しているガウリイ。
だが、ここでいらないことをいえば、リナに怒られる。
というのが判るがゆえに、あえてそのまま黙ってもくもくと出されている食事から、
ピーマンをいそいそとより分けていたりする。
「なるほど。わかりました。して。その問題の弟子のお名前はおききしているのですか?」
「え。ええ。たしか。エリスとか、正確にはたしか、エリシエル=ヴルムグン。といったとおもいます。
  まさか彼も女性であるその彼女がそのようなことをする。とはおもっていなかったらしいですし」
少し考えるそぶりをして説明するリナの言葉に、しみじみうなづき。
「判りました。とりあえずその人造人間…というのはさすがに伝達はできかねますが。
  そのエリシエル、という人のみなら各施設などに注意人物、として伝達できるでしょう」
そういってくるエルクに対し、
「あ。もし見つけた。という連絡が入りましたら。あたし達に連絡くださいますか?
  しばらく、あたしたちもここ、サイラーグに滞在していますので……」
ここにきた目的は、あくまでもあのコピーによる悲劇を食い止めること。
「わかりました」
おそらく、見つけたら、赤法師レゾ様に連絡する手段を何かもっているんだろう。
だが、その方法は部外者である自分が聞くことではない。
そう判断しつつもうなづくエルク。
「よろしくおねがいします。ほんと、ものすごく心配してましたので……
  何かその彼女って人を操る術に長けている、とかいってましたので……」
嘘ではない。
いっていた、というかリナ自身が経験していること。
「さて。と。…ああ!ガウリイ!あんたまた、ピーマンよけて!
  いつもいってるでしょ!?エルやマナに悪影響及ぼすからきちんと食べないとだめって!」
ほっと胸をなでおろしつつも、ふと横をみれば、
ガウリイが野菜炒めからピーマンのみをより分けているのをみておもいっきり叫んでいるリナ。
「え~?でもこれ、苦いし……」
「あんたがそうだから!まねしてエルたちまでが同じことをするのよ!
  栄養あるんだから、父親であるあんたが見本みせなくてどうするのよっ!」
すばこぉぉんっ!
リナの懐から取り出した、何ともこぎみよいスリッパの音が部屋中にと響き渡る。
……えっと。
どうしてスリッパなんか懐にいれてるんでしょうか?
そんなことをシルフィールはおもっていたりするようだけど。
けっこう、ああいう品はかなり便利。
おもいっきり重宝する。
「うう……あ、ならリナが食べれば問題ないじゃないか!うん」
「そういう問題じゃないぃ!!」
しばし、そんな二人の夫婦漫才を目をぱちくりさせながらみつめ、
次の瞬間。
くすくすと笑い出すシルフィールに。
笑いをこらえつつも、
「仲がいいことはよいことです。あ、シルフィール。この人たちにサイラーグの町を案内してさしあげなさい」
「はい。お父様」
こんなに小さな子供が二人もいては、いくら小さな町とはいえ迷子とかになっても困るだろう。
それゆえのエルクの配慮。

とりあえず、嘘ではないが事実でもない。
とにかくコピーが悪用されている…とある意味真実味を帯びたような話に作り変えエルクに注意を促したリナ。
確かに、事前に何の連絡もないのと、あったのとでは対応はことなってくる。
ともあれ、あたし達はシルフィールの案内で、しばしここサイラーグ・シティを見物することに。
そろそろ彼女達も行動を実行に移すころあい。
ゼルガディスもまた、自力で調査した後に、こちらのほうにむかってくるのは請け合い。
少しはまたまたたのしめそう♪


                        ―――続く……

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あとがきもどき:
L:さてさて。みなさん。おひさしぶりv
  何か薫はどこかの雪山の中で行方不明になってるからおいといてv
  ともあれ、代理のLですv
  ようやくこのシリーズもコビーレゾ編に突入よv
  しかし、このシリーズ、あまりあたしが活躍してないのが問題よねぇ……
  リナたちに気づかれないように精神世界面でいろいろとしようとおもえばできるのに。
  気づかれたりしたらそれこそ記憶を調整すればいいわけでv
  って、当たり前なことをいいましたが。
  次回でようやくエリス登場にいける予定らしいわよv
  しかし…何で作者同様、巾着袋の中で遭難するのかしらねぇ?
  ふふふv
  何はともあれ、それではみなさん、また次回にてvv
  まったね~~♪

2008年2月2日(土)某日

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