まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
ようやくシルフィールの登場ですv
うふふふふv
このサイラーグの一件は、アニメにも小説にもあまり似てないです。
そもそも、小説のほうではすでにレゾの手下が幅きかせてましたし。
アニメのほうはすぐさまに町ごと消滅させられちゃいましたしね(汗
何はともあれ、ゆくのですv
#####################################○パラレル・トラベラーズ○ ~シルフィール=ネルス=ラーダ~
ざわざわざわ。
人々の行き来が騒がしい。
どこをみても神聖樹フラグーンの姿が目に入る。
すでにもう、見ることができないその景色。
絶対にこの世界のこの場所はあんな目にあわせたくはない。
それがリナの想い。
あれはリナか~さんのせいじゃないのに。
そんなリナの想いが判るがゆえに、そうはおもうが、まさか心が読める。
それを知られるわけにはいかない。
ゆえに、きゅっとそんなリナの手を小さな手でにぎりしめる。
死霊都市と呼ばれているのはかつての伝説のせい。
もっとも、リナ達がいた世界では言葉とおりの『死霊都市』と成り果ててしまったが……
神聖樹フラグーンが見えてきた。
ということは、あと少しでサイラーグの中心地。
この世界でも北のほうって廃墟になってるのかしら?
そんなことをおもいながらも進んでゆくリナ。
基本はこの世界も、リナ達がいた世界も起こっていることはほぼ同じ。
そこに住んでいる人々が多少違いがあるくらい。
と。
何やら道のど真ん中でたたずんでいる人影がひとつ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
くるっ。
その姿を遠めにみて、そのままくるっと向きをかえてわざわざ瘴気の森の中に続く道にとはいってゆく。
「リナ?」
そんなリナに首をかしげながらも道の先のほうをみて何やら納得したような表情となるガウリイ。
気配は嫌でもわかる。
確かに、リナが向きを変えるわけだな。
などと思わず苦笑していたりするけど。
「ね~?か~さま?あそこにいたのってぱりおじ~ちゃんじゃないの?」
「マナ。それをいうなら、パシリ神官、もしくはお役所仕事のお爺さんでは?」
リナ達がいつもそう呼ぶのでマナもその呼び方で覚えてしまっているのだが。
もっとも、お役所仕事、という点においてはあたしもかなり同意。
「あんなナマゴミのことはきにしなくていいの」
どきっぱり。
何であいつがあんな場所にいたのかはしらないけど、かかわるとロクなことになんないのは目に見えている。
それゆえに、係わり合いにならないように別の道を選んでいるリナ。
まあ、確かに。
いくら気配を隠していようとも、本体と一部を切り離しててもその本質からして、
神聖樹フラグーンに多大な影響を与えるからあいつもあそこからうごかないんでしょうけど。
そんなことをおもいながらも思わず内心苦笑する。
そんなあたしの思いを知るはずもなくきっぱりと断言しているリナ。
「それより、すこし森の中をすすむけど。二人とも大丈夫?」
小さな子供の足で舗装されていない道なき道をゆくのは多少でも不便極まりない。
もっとも、舗装、といっても石が敷き詰められていたり、きちんと大地が均されているだけだが。
森にと立ち込めているどんよりとした空気。
「たしか、これってしょうきをきゅうしゅうしてせいちょうしてからこうなんだよね?」
手をぎゅっ、とつかんだままそんなことをいっているエル。
「そうよ。気分がわるくなったらすぐにいうのよ?二人とも?」
そんなリナに対し、
「それより、互いに抱いていったほうがはやくないか?」
いうなり、ひょいっとリナの横にいたあたしを抱き上げるガウリイ。
そして。
「リナはマナをな」
そういわれ。
「たしかに。それもそうね」
あまりぐずぐずしてもいられないし。
まだ、急激に成長している兆しは見えていないので例のコピーは近くにはいないはず。
もっとも、もし彼がその瘴気を完全に押さえ込むような結界みたいなものを張っていれば別だが。
たぶん、あいつが近くにいても急激に何ともならないのってその類だろうなぁ。
冥王フィブリゾのときにはたぶん、気配を隠すなんて面倒なことしなかったんだろうし。
だからあまりの瘴気の大きさに耐えられずにはぜ割れた。
それはもう、ことごとく根っこのほうから。
ガウリイの意見ももっとも。
確かに子供の足にあわせるよりは互いに抱っこして進んだほうがはるかに早い。
ましてやこんな瘴気が充満している場所に子供たちを長居はさせたくない。
ゆえに、ガウリイがあたしを抱きかかえ、そしてまたリナがマナを抱きかかえる。
それぞれがそれぞれを抱きかかえていれば、たしかに彼らが親子だ。
とあるいみ納得する。
あたしの髪の色は父親ゆずりの金色。
そしてまた、マナの髪の色は母親ゆずりの栗色。
もっとも、三歳の【エイル】を抱くよりマナのほうがリナに負担が少なくてすむ。
というのもあり、ガウリイがあたしを抱き上げたのだが。
まあ、たしかに疲れないからこのほうがはるかに楽。
小さな人の子供の肉体、というものは何事においても不便極まりない。
使える力の容量すらもまた限られるのだからして。
そもそも、この肉体そのものはリナの中に残っていたあたしの力。
すなわち、あたしが再生したときの残留していた力を組み込んで創造ったものなので、
普通の人よりは多少融通が利くはずだけど。
何しろあのとき、リナに体を返すとかそんなこと思わずに行動したし。
あたしに攻撃しかけてきたあいつにお仕置きすること。
それだけをおもってたし。
もっとも、あのままリナを消滅させても面白くない、というのと。
人の肉体における限界を超えた。
というのもあって、そのままリナに体を返したのは数年前のこと。
ふと昔を思い出す。
以前ならば、そんな昔、とも思えないけど、今はなぜかそう思える。
それが、限りある人であるがゆえ、なのだろう。
さくっ。
大地を踏みしめるごとに、完全に枯れた雑草などが音を立てる。
瘴気の森で、普通の植物はあまり育たない。
それに耐久性のある植物ならばわんさと茂っているものの。
だがしかし、植物、というものも、けっこうしぶとい。
生き残るために、自らを改良していき、瘴気の中でも成長できるように進化している。
それが、生き物に与えている本来の姿。
環境にあわせ、適応し、そして未来にと命をつなげてゆく。
さくさくさく。
瘴気に満ちている森とはいえ、生命は存在している。
命、というものはたくましい。
ゆえにこそ視ていてあきない。
軽く片手で抱っこされつつも、進んでゆくことしはらく。
やがて森の先がほのかに明るくなってくる。
時刻はそろそろ昼すぎ。
「とりあえず、どこかでご飯食べてから教会にいってみましょうか?」
リナがそんなことを歩きながらいっているけど。
ふとみれば、マナはといえば、リナの手の中ですーすーとお昼寝タイム。
そういえば、初めてみるものが楽しくてここしばらくあまりお昼ねしてなかったっけ?マナは?
そういう自分もしてないけど。
……まだ時間かかりそうだし、肉体のみだけでも少し休ませるとしますか……
うとうと。
「あらら。エルまでねちゃってるわね」
そんなリナか~さんの声が聞こえてくるけど。
とりあえず、肉体における眠気はどうにもらない。
意識だけは覚醒していても、肉体が疲れていてはどうにもならない。
このあたりが、人の体の限界でもある、ということだろう。
ざわざわざわ。
鬱蒼とした森を抜けると、そこはちょっとしたレンガ造りの建物が並んでいる町。
昼時、ということもあり、人々の活気に満ちている。
子供たちの元気な声も飛び交い、それほどおおきな町ではないにしろ、
それでも人々の暮らしが平穏である、というのは一目瞭然。
この平穏な暮らしが、かつては一瞬で掻き消えた。
あのときは、フィブリゾがその魂を留め置いて、後に利用したりもしたけども。
今、この世界のこの場においてはそんな兆候はまったくない。
以前は人々の昼間の元気な暮らしをリナは見る暇もなく呪文ひとつで町が壊滅していた。
直前にみているのと、それ以前に見ていたのとでは、かなり感覚的にも異なる。
「えっと……食堂は……」
そうはいえど、小さな子供連れ。
どちらかといえばゆっくりできる場所のほうがよい。
また、早めに宿を取っておいたほうが何かと楽。
というのもあり、ひとまず宿屋に向かい、
大概の宿屋で営んでいるその食堂にて昼食をとることに決めているリナ。
旅人、というのもはあまり珍しくないがゆえに二人に気をとめる人はあまりいない。
とはいえ、親子連れの旅人、というのは珍しいらしくちらほらと二人を見ている人もいく人か見て取れる。
やがて、サイラーグの町にとある一件の宿屋にたどり着く。
ひとまず、今夜の宿をとり、一階にとあるまばらな客がいる食堂のテーブルに腰掛ける。
「さて。と。ひとまず教会にいって、エルク神官長と会うべきなんだろうけど……」
あまり教会とかには興味がないがゆえにつながりはほとんどない。
そもそも、魔道士協会にいたっても、一応ある意味、いろいろと都合がいいから。
という意味で各町などにいったときにはよるようにしているだけ。
ましてや、この世界は自分たちの世界ではない。
簡単にいって、すんなりと会ってくれるかどうかもわからない。
こういうときに、あのラウリィがいればいいように使い勝手もいいのだが。
「しんせき、といえばいいとおもうな~」
もぐもぐもぐ。
子供用の椅子がない、というので仕方なくガウリイの膝の上に座りハンバーグをほうばる。
ちなみに、リナの膝の上にはマナがちょこん、とすわりながら、リナがご飯を食べさせている。
「まあ。確かに。嘘ではないとはおもうけど」
血のつながり云々はともかく、とりあえず世界が違えどもその関係者。
というのには違いない。
ましてや、ガウリイの場合はラウリィによく似ていることからまず疑われることもない。
あたしの言葉に、苦笑しながらも答えてくるリナ。
「まあ、なるようにしかならないんじ’ゃないのか?」
そんな多少考え込むようなそぶりのリナに、のほほんといっているガウリイ。
確かに、考えていても仕方がない、といえばそれまで。
いつものリナならぶっつけ本番で事を行うが。
なぜかこちらの世界にきてからは、そのような傾向がすこしばかり収まっている。
それもあたしたちになるべく負担がかからないようにするため。
とおもって行動しているようだけど。
こういうときの、親、というものの心情はとても何かほほえましい。
かといえば、自分の子供に対して愛情がもてずに殺したりする親もいるのもまた事実。
人、というのもはとても面白い。
自然界などでは育たない、と判断すれば育児放棄、ということもしばしばおこるが。
人は、それとは関係なく、放棄したり、また過剰に愛情を注いだりする。
「たしかにそうね。とりあえずご飯たべたらいってみましょ」
まだ、アレが近くに来ている気配らしき兆候はみられてない。
そんな会話をリナとガウリイ、この二人の夫婦は交わしつつ、
毎度のことながら食事合戦を繰り広げ、しばし食事光景が見受けられてゆく。
「あら?」
左右に広げられている露店市場。
甘い果実の匂いが道中に充満し、食欲をそそられる。
そんな道を歩いていると、手前のほうから何やら聞きなれた声が。
ふと、その声がしたほうを見てみれば、そこには何やら大量に荷物を抱えている女性が一人。
しなやかな長い黒い髪。
一見したところ、おとしとやかな女性にみえるが性格的にはかなりよい。
「もしかして…ラウリィ様…?ではないですわよね?」
多少驚いたようにあたしたち、というかガウリイに抱かれているままのあたし。
そしてまた、マナを抱っこしているリナをみてそんなことをいってくる。
人ごみがけっこうな数なので迷子などにならないように、との二人の配慮。
その声と、その姿。
「え、えっと。もしかしてここサイラーグの巫女さん。ですか?あたしはリナ。こっちはガウリイ。
ちょっとサイラーグの神官長さんにお話があって今から教会にいくところなんですけど」
リナからすれば、初対面ではない。
正確にいえば初対面ではあるが、世界が異なる場所においてはそうではない。
相手に警戒を抱かせないようにと問いかけているリナ。
確かに服装はどうみても教会関係者、と見て取れる。
ここでガウリイのやつ、いらないことをいうんじゃないわよ……
心の中でかなりはらはらしつつも、目の前にいる女性。
すなわち、シルフィールにと話しかけているリナ。
「まあ、父に?とりあえずご案内いたしますわ。
それにそちらの男性のかた、ラウリィ様によく似ていらっしゃいますし。父も喜ぶとおもいますわ」
いや、そうあっさりとにこやかに対応してもいいもの?
一瞬リナは突っ込みそうになるが、それをぐっとこらえる。
……こんなんだから、あの偽者につけこまれたんだろうなぁ……
内心そんなことをおもっていたりするリナだけど。
ここサイラーグの人々は、どちらかというと人をうたがう、ということをしない。
それゆえに、まああっさりとあんなこになった。
というのもあるんだけど。
「そうですか?ならお言葉にあまえさせていただきます」
「?結局どういうことなんだ?リナ?」
「あ、あのねぇ!とにかく!このシルフィール…さんについて神官長のところにいく!
という話をしてるのよっ!わかった!?」
いきなり初対面で、呼び捨て…というわけにもいかないだろう。
それゆえに、あわてて【さん】をつけてガウリイに対して叫んでいるリナ。
「?ね~さま?マナ、よくわかんない??」
きょとん、としながらもリナに抱っこされている状態で、ガウリイに抱っこされているあたしにと聞いてくるマナ。
「このシルフィールお姉さんのところにいく。ってか~さんたちははなしてるの。わかるかな~?」
「シフィールおね~さんのところ?」
「いや、マナ。だからシルフィール……」
きょと、というマナに説明すると、あんの条、名前を間違っていってくるマナ。
そんなマナにおもわずリナが突っ込みをいれてるけど。
さて。
とりあえず、これからがあの一件の本番…かな?
楽しくなればいいな~v
――続く……
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あとがきもどき:
薫:ううむむ。初期のようにエル様一人称にもどしたほうがいいかな?
客観的視点さんはなかなかに難しい……
というわけで(何が?)今回はひさかたぶりにエル様の一人称v
ある意味、エル様視点だといろんな場所をやっても違和感がない!
というのが利点なんですよね(こらまて
さてさて、何はともあれ、次回、サイラーグの教会ですv
ではまた、次回にて~~vv
(こそっと…今回はエル様、ガウリイに抱かれているのでこられそうにないから、今のうちに……)
2008年2月1日(金)某日
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