まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ついにっ!レゾが覚醒?というか、魔王の復活ですっ!
というか…気づかない魔王の運命やいかにっ!?
って……ま、戦うのはリナたちなんですけどねぇ…
何はともあれ、いくのですっ!
2005年11月26日某日

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○パラレル・トラベラーズ○ ~復活?~

ふっ……
「ふ…ふははっ!ついに…ついにっ!!」
見える…はっきりと。
自分で目が開くのを感じる。
ずっと望んでいたこの瞬間。
そう。
私はずっとこの瞬間を……
『ならばもう思い残すことはあるまい?』
「…なっ!?」
がっ!!!!!!!!?
脳裏に響くその声は、あきらかに自分の中にいたもうひとりの声の主。
「…が…ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
何かが蝕まれるようなそんな感覚。
そのまま意識が…闇に飲まれてしまう。
私は……私は……
――レゾ=グレイワーズ。あなたはほんとうはなにをのぞんでいるの?
あのときの子供の…あの声が脳裏をよぎる。
私が…私が望んでいたのは……
だが…今となっては…もう……
私は……
そのまま、レゾの意識は闇にと飲み込まれてゆき、そして……

『ふ…ふははははっ!!!!!!!!!』
次の瞬間。
すざましい瘴気による衝撃波が周囲に吹き荒れ。
空気がきしみ、悲鳴をあげ、さらには、空が一気に掻き曇る。
その瞬間。
崩霊裂ラ・ティルト!!」
パッキィィン!!
ゼルガディスの放った青白い光がレゾに直撃し、だがしかし。
その光は瞬く間にとかき消される。
『この我にそのような人の些細な術が通用するものか……』
おもわず口元に笑みが浮かぶ。
人の心の中に封じられはやいくばくか。
人の心はある意味強いが、だがしかし弱い、というのもまた事実。
すこし心にかげりがあれば、それを利用して…こうして復活することもまた可能。
心強き人間にもまた弱点はある。
そう…この『レゾ』、と呼ばれし人間の弱点は……

「い…いったい何が!?」
「何だというんですか!?ゼルガディス殿!?」
まったく理解していない、先ほど現れた二人の男性が何やらわめいているが。
「…結局こうなるわけ…ね……」
おもわずリナの額に脂汗が滲み出す。
魔王と向き合うのは…これで三度目。
三度目の自分ですらプレッシャーを感じるのだから、初めてのレナや、
そしてゼルガディスやラウリィはいくばかりか想像に難くない。
「…おい。リナ」
「…わかってる。…ラウリィ!レナ!作戦通りにいくわよっ!ゼルもそれでいいわねっ!
  あとっ!そこの二人っ!あんたたちは邪魔だからっ!足手まといにしかなんないしっ!
  出来たら子供たちのお守りをお願いっ!」
はっきりいって足手まとい以外の何物でもない。
というのはリナには判っている。
ロディマスは術が使えず、またゾルフにいたっては…ここでもあのときのように。
魔王相手に竜破斬ドラグスレイブを使われても。
はっきりいって困るというか、また目の前で死ぬ姿はみたくない。
「何を、この私が足手まといだと!?ほざけっ!実力をみせてやるっ!
  黄昏よりも暗きもの 血の流れよりも……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・
やっぱり理解してないし……
「こ…このどあほぉぉ!あれは魔王なのっ!レゾの中に封印されてたっ!
  かつての神魔戦争において赤の竜神フレアドラゴンが人の心の中に封印したっ!
  魔王相手に魔王の力を使った術が通用するかぁぁ!」
思わずリナが叫ぶのは…仕方ない、といえるであろうが。
「ほざけっ!小娘っ!やってみなければわかるまいっ!」
「だぁぁぁ!」
全然理解していない様子のゾルフの言葉に思わず頭を抱えたくなってしまう。
それでなくても油断を見せれば…魔王は容赦はしないであろう。
というのが判っているのに。
「えいっv」
ちくっ。
「あ。おか~さん。ルナお姉ちゃんからもらってたはり。このひとにさしたから。きにせずにやって」
そんな何やら叫んでいるゾルフの横にてくてくと歩いていき、懐から小さな何かを取り出して。
ちくり、とゾルフの腕にと刺しているエル。
「…姉ちゃんからって……」
「なにかね~。るなおね~ちゃんが、まりょくふうじのたいさくにとかって。
  しなものつかってれんしゅうしたほうがかんたんだからってくれたの~」
「あのね。あのね。マナももらったんだよ。まりくふうじのはり~」
「マナ、それをいうならまりょくふうじ、だってば。」
すこし離れた場所でにこやかにそんなことをいう二人の娘の言葉に。
思わずリナの額に冷や汗が流れ出る。
……姉ちゃん…エルやマナに何を教えてくれてるのよ……
などとも思うが、だがしかし。
「ないすっ!エルっ!」
ともあれ。
ルナ姉ちゃんからもらった…という品ならば、おそらくは。
効果はあきらか。
ならば。
…これで不安材料が一つ減った…というのも明白。
「…る…ルナ姉ちゃんって……」
思わずその言葉をきき、レナが顔色もわるくつぶやいてたりするが。
まあ彼女にとってその名前はあるいみ、恐怖…ともいえる名前であるがゆえに。
それはリナにとっても同じなのであるが……

そんな彼らの様子をみつつも。
『…何やら我を無視しないでほしいものだな。
  …まあいい。選ばせてやろう。好きな道を。この我を復活させてくれたささやかな礼として。
  この我に仕えるというのであれば、天寿を全うすることもできよう。
  だが、そうでない、というのであればこの我の手にかかり滅びるがよい。
  しばらく人の身に封じられていたがゆえに、力の加減がつかめなくてな。
  トレーニングがてらつきあってもらおうか。北に封じられしもう一人の我。
  北の魔王を解き放つ、そのためにな』
いいつつも、レゾであったその体はゆっくりと崩れゆき。
どろり…と肉が溶けたような匂いが充満し。
その下から骨のようなものが垣間見え、その骨が消えたかとおもうと。
そこに新たな肉らしきものが再び出現する。
何のことはない。
人としてのレゾの体が滅び、魔王がその力をもってして魔力でその実体を具現化させている。
という事実があるがゆえの光景なのであるが。
魔族は本来は精神生命体。
実体を持たない。
ゆえに、力ある魔族はその力をもってしてこの物質世界に具現化し形をとることができる。
力がより大きな魔族ほどより人と変わりない姿をとることも可能。
どろり…と肉が溶け出してはそのまま蒸発し。
だがしかし、そのまま、再び人の形を成してゆく。

何やら後ろに控えている子供のうちの一人が…力が視えない。が。
本来、人ならばこそ、ある程度の力が視ることができる、というのに。
いや、人とは限らず、この地に存在しているすべての生きる存在について。
それが自らが魔王であるがゆえに。
そして、完全、というかほぼ目覚めた今だからこそ判るのは。
目の前の人物二人から異質な…こことはすこし違う何かの力の波動を感じる。
ということ。
……この世界のものでは…ない?
それは後ろの子供たちにも言えること。
何らかの力がかかっているかのように…力がかすみがかかったかのように完全に見通せない。
そしてまた…
「じょうだんっ!誰が魔王なんかの手先になるものですかっ!」
きっとそんな魔王にむかって言い放っているレナ。
栗色の髪に紅の瞳。
魔血玉デモンブラッドの欠片を飲み込み、それを鍵として目覚めた。
だからこそ…判る。
同じ品物があの人間の手の中にある…というのが。
力を封じる…というのも可能であるが、だがそれ以上に。
力あるものの恐怖におののいたその感情は、目覚めた自分の糧となる。
それゆえにこそ。
石の力を封じることなどはせずに。
ならば……
『おろかな……ならば。身をもって我が力を思いしるがよい……』
まだこの人の『精神』は完全に消滅していない。
精神が完全に消滅したそのときこそ、自分が完全に復活するその瞬間。
それまで、この新たな器となりえる体でなれるのも悪くない。
そう…目覚めた後も『レゾ』として。
かつてのレイ=マグナスのように行動する、そのためにも……
人は、あっさりと外見にだまされる。
特にこの自らの器となっている赤法師レゾは聖人、として名高い存在となっている。
それを利用しない手は…ない。
人を操ることなどは…簡単なこと。

「ラウリィ!剣を!!ゼルっ!」
「わかった!」
「…兄さんっ!一緒に戦ってっ!」
『…なあ?…あれって…何だ?』
こけけっ!!
剣から響くその声に思わずこけそうになってしまうラウリィとゼル。
そして。
「…その『声』って……」
思わずつぶやきつつも横にいるガウリイを見つめるリナ。
深く、響く、それでいて聞きなれたその声。
「俺の双子の兄さん。…この剣の中に精神を封じられてるけど…ね」
そういうラウリィの言葉がすこしさびしそうな気がするのは…何も気のせいではない。
「詳しい事情はとにかく!これをやりすごしてからよっ!」
そんなラウリィたちにと何やら叫んでいるレナ。
確かにレナの言うとおりではあるのだが。
周囲では、魔王の復活に伴い、空気がざわめき、そしてまた。
何やら異形のものたちの声が響き渡っていたりする。
「たしかに。…兄さぁん…相手は魔王だってば…。
  あれ。赤眼の魔王ルビーアイシャブラニグドゥ…だよ」
剣に向かって語りかけるラウリィに。
『シャブ??』
「と、とにかくっ!あいつを倒すのっ!」
『なんだ。そんなことか。それなら面倒なこといわないで用件だけいえばいいのに』
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
剣から聞こえるその声に思わず無言になってしまうその場にいる全員。
そして。
「…何か、この剣の中に封じられてるとかいうこのラウリィのお兄さんって…
  ガウリイ…あんたによぉぉく似てるわ……」
「そっか?でも気配はオレとほぼ同じだぞ?」
「…詳しいことは後できくわ。とにかくっ!作戦どおりに!いくわよっ!みんなっ!
  ガウリイ!ラウリィ!あんたたちが頼りなんだからねっ!」
聞けば、ラウリィの剣の腕もかなりのもの…だということらしい。
ガウリイはガウリイでゼフィーリアにと戻ってから、その実力をさらに上昇させている。
それがどこまで魔王に通じるものかは…判らない…判らない…が。
怖いことにあの姉から十本中一本は取れるようになっている…という事実がある。
そのことをリナは知っている。
だからこそ…あきらめる、ということはしたくない。
いや、それでなくてもあきらめる、という言葉などはリナの中にはない。
たとえそれが1%にも満たない可能性でも、それにかける。
強い心と思いはどんな不可能なことでも結果を導き出す。
そのことがよくわかっているがゆえに。
「「「了解っ!!」」」
「おうっ!」
「わかったっ!」
リナの声に、ラウリィ、レナの声が一致し。
そしてガウリイとゼルガディスの声もまた同時に一致する。
そして。

『すこし手始めに遊んでやろう……』
にっとその口元に笑みを浮かべ『レゾ』であった魔王がいうと同時に。
ぼごっ!!
リナたちの回りの土が盛り上がり…そこから火の鳥が出現してゆく……

そんなリナ達の背後では。
「何だというんだっ!?力がつかえないぞ!?」
「って!ゼルガディス殿っ!くっ!!」
術が使えないことに気づいて叫んでいるゾルフに。
あまりの強烈な瘴気の壁に当てられて何やら叫んでいるロディマス。
「……これくらいのなかでうごけないと…だめだよ」
「おね~ちゃん。マナたち、なにすればい~の?」
「かあさんたちのじゃまにならないように。ここでまってよ」
「は~いっ!」
――このマナを危険な目にあわせるわけには…いかないし…
そんなことを思いつつもマナにと話しかけるエルの声に。
素直にすたっと手を上げて返事をしているマナの姿が。

……何でこの子たちはこんな強烈な瘴気の中でも平気なんだ?
ロディマスがそんなことを内心思っているのは…マナは知る由もない。
彼らは知るはずもない。
…エルは無意識で結界を張り巡らせることも可能…という事実や。
また、物心つくまえから、魔族との戦いに巻き込まれていた…といっても過言でないマナもまた。
…無意識のうちに瘴気にたいする耐性がついている…というその事実を……
まあ、この二人に関しては。
母体であるリナの体にも関係はしている…といってもいいのだが…
それは…リナ当人ですら知らない事実。

「…ま、いまはリナのからだはふつうのそれにもどってるし…ね」
ぽつり。
というエルの言葉は…ざわめく気によりかき消されてゆく……


                ――続く……

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あとがきもどき:
L:・・・しっかし…Sのやつ…何でこのあたしに気づかないのよっ!
  まったく…職務怠慢だけでも許せないのにっ!!
薫:…気づいてたらリナ達に攻撃しかけたりあんなこといいませんとおもいますけど……
L:ああもうっ!そりゃ、完全に人のそれにしてるけどっ!
  この体の細胞レベルにはあたしの力がふくまれてるのよっ!
  きづきなさいよねっ!いくらあたしがかくしてるからってっ!
薫:・・・エル様が隠されてたら…誰もわからないと思いますけど…
L:あら?ガウリイはその勘で気づいてるわよ?
薫:・・・野生の勘・・ですか?(滝汗…
L:ガウリイはあのときから気づいてたからねぇ。
  リナの体が変わった…というの。
  あたしが産まれてからは、それが元に戻った・・というのも。
  でも、リナにはかわりがないから。というのですましてたのよねぇ。
  あの人間ってほんとうにあきない、というか面白いしv
薫:……いや…あのぉ?エル様?ここで暴露されても…(汗
L:あら?だって、リナの体って。
  フィブリゾのやつの一件であいつがあたしがリナの体に降臨してた。
  というのに、こともあろうにっ!攻撃しかけてきて消滅させてくれてるしっ!
  まったく…ほんとうにSの教育はなってないったら……
  思い知らせるためもあって即座に再生させたんだけどねぇ。
  まったく……
薫:……ま、あれは確かに冥王のミスですね…こともあろうに…
L:・・・それはそうと?未だにそういえばあたしが活躍してないんだけど?
  いつになったら活躍するのかしら…ねぇ?
薫:・・・ぎくっ!
  あ…あはは……打ち込みしてたら結構量がありまして……
  リナ達の戦い…のラストのほうですからねぇ……
L:…しかも、あれは活躍・・といえないとおもうんだけどねぇ?
薫:って!だからっ!その鉈は何ですかっ!?鉈はぁぁ!!
L:乙女の必需品v
薫:んなっ!?

ごぎゅっ!!

L:さって。何か鈍い音とともに消えた薫はおいといて。
  ではまた、次回でねvそれじゃ、まったねvv


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