まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

とりあえず、まったりのんびり~
ほのぼのとしてはじまったようにみせかけて、いっきにシリアスモード?へゆく予定v
でないと話し…すすまないし(こらこらこら
まあ、ほのぼのは回想ででもだしてゆきますのです。
ってみてるひとはいないでしょうけどね。
何はともあれゆくのですv

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旧暦鳳凰峪年。
慶応102地区。
その地区に住んでいる森羅美希しんらみき。六歳。
○○地区、と呼ばれている以外では人は住みにくい世界。
ある日、同じ教室の友達と発見した今までなかったはずの木の虚。
そこはおそらく、ちまたで噂の「歪みの道」だろう、という結論に達し。
好奇心が勝ち、子供達五人のみでその虚の中にと彼らは進んでゆく。
その先に何があるかしらないままに――

光翼の腕輪 ~森の集落~

さわっ。
今までに感じたことのないような、とてもくすぐったい風。
『うわ~!!』
子供達がまず声をあげたのはその周囲の景色。
今まで授業やテレビの中でしかみたことがなかったような風景。
木の根元のほうにとある大きめの虚の中からごそごそでる。
そこはいくつかの木々があつまっており、さらにいうならばその周辺には花々が。
こんなに大地に咲いている花など彼らはみたことがない。
よくよくみてみれば、先にちょっとした大き目な建物があり、その周囲には小さな家も垣間見える。
「ここってどこだろ?」
「すくなくとも。私たちがすんでる近くじゃないとおもう」
あの慶応102地区の周辺にここまで緑豊かな自然がのこっている地区など聞いたことがない。
もっとも、それは子供だからなのかもしれないが。
空気がとてもおいしい。
というか空気がおいしい、というかすがすがしく感じるのもまた初めての経験。
耳を済ますと近くに水があるらしく、さらさらとした音がきこえてくる。
「もしかして…あたり?」
「とにかく、あそこいってみようよ!」
どうやらこの周囲に大人がいない、ということはまだ誰もこの場に気づいていない。
ということを示している。
もし、発見されていれば何らかの対応をとるはず、というのは子供ですら理解している。
人の気配、とかいうものは子供達はつかめない。
ただ何となく家らしき建物がみえている方向にいけば誰かがいる、というかなり単純明快な理由。
ぷにっ。
大地を踏みしめるたびに、草を踏みしめる音がする。
ここまで緑が多い場所、というものは今までみたことがないがゆえにかなり興奮してしまう。
いつも、頭の中で思い描いていた。
立体映像とか画面の中のような場所に自分もいってみたい。
と。
ここはある意味、その願望というか願いを規模は小さいにしろかなえてくれているような風景。
学園の周囲にある森ですらここまで緑は多くなかった。
ほとんどが人工的なもの。
どうやら危険はなさそう。
そう判断し、子供達五人はそのままその場所から駆け出して行く――


「美希?気持ちはわかりますけど。あまりいっては相手の迷惑ですよ?」
学園からもどり、すぐさまに荷物を置いてでかけようとしている美希に対し苦笑しながらも話しかける雫。
先日、美希たち子供五人が発見した木の幹の虚にできていた「歪みの道」はどうやら別の場所。
すなわちこことはかなり離れた場所をつないでいたらしい。
そこは○○地区、という名称すらない小さな集落。
大人たちに連絡がいき、その虚をとおりえられた情報。
それはその集落は周囲が砂漠と化した中に唯一残った場所である、ということ。
それでも砂漠を越えること、それすなわち死を意味することであり。
そこにすむ人々は昔からそこからでることなく、ひっそりと生活していたらしい。
だからこそ、自然に手があまりはいらずに自然のままにそれらが残されていた。
という事実もある。
害のない場所と道がつながれることはきわめてまれ。
ゆえにこそ大人たちも最近はその話題でもちきり。
何しろ危険を冒すことなく別の場所に移動できる「道」はかなり重宝される。
だが、それは逆の意味をも示唆している。
万が一、その場所に危険なものがはいりこみ、道をとおり被害がひろがった。
という話もざらにきく。
だけどもそんなことは子供達にとっては関係ないこと。
美希たちにとっていえることはただひとつ。
遊び場が増えた、ということと友達が増えた、ということのみ。
「は~い」
本来ならばあの場所は一応、何があるかわからない。
というのできちんと大人たちが警備し守りを固めている。
だがしかし、子供の好奇心、というのもはそう簡単には収まらない。
雫は美希達子供がそこに続く別の道を発見しているのを知っている。
それを他の大人にいわないのは、そこからは大人が入れるような場所ではない。
小さな子供だからこそ狭い空間を越えてあの木の幹にとある虚に続く道にたどりつける。
正確にいうならば、その木の下には実は以前から子供達が遊んでいたちょっとした自然の洞窟があり、
洞窟、というよりは鍾乳洞のようなもの。
その出入り口は子供がかろうじて一人とおれるほどの大きさ。
その鍾乳洞の出入り口ができたのもついこの間。
ゆえに大人たちはその存在を今だに知らない。
とにかく、そこの洞窟に例の木の幹がのびており、そこにもまた幹にとあった木の虚。
それがありその中を進んでゆくと例の別の場所にと移動が可能。
子供、というものは禁止されると逆にとことんやってみたくなる、という性質をもっている。
ゆえにこそあの別の出入り口を発見している子供達。
だが、それを知ったからといって雫は美希達をたしなめない。
子供というものは様々な経験をして大人になってゆく。
もっとも、それで危険な目にあうようならば話は別だが。
危険を恐れていては子供達の成長はのぞめない、というのも雫はよくわかっている。
だからこそ他の大人たちに話してはいない。
美希とすれば、どうして話してないのにレイが知っているのかはきにかかるもののそれが当たり前。
そう思っているのであまりつっこまない。
そもそも、まだ六歳の子供にそこまで詳しく疑問に思え、というのが無理難題。
もっとも、何でだろう?
とは昔からおもってはいるが。
雫はいつも美希がいわないのに美希のことをよく知っているのである。
「ミキ~」
ピロン♪
かろなかや玄関先のチャイムの音と、元気よく外より美希を呼ぶ声が聞こえてくる。
「あ。ナオトたちがもうきちゃった!」
「美希!こら!おぎょうぎ!!」
そのまま、パンを口にとくわえたまま立ち上がる美希に対して苦笑しながらも注意をする。
「みんなまたせたらわるいもん!レイ、ごちそうさまでした!!」
それだけいって、口にパンをくわえたままバタバタと玄関にとむかってゆく。
子供なので元気がいいのはよいことではあるが、それでもやはり苦笑はもれる。

「おまたせ~」
「もう。みきってば。朝ごはん、まだだったの?」
パンを口にくわえてもごもごさせている美希の姿をみて迎えに来ていた子供の一人があきれて話しかける。
最近の子供達の恒例行事。
それは幾人かの子供達のみで『歪みの道』をとおり、あの別の場所にいきあそぶ。
ということ。
何しろ手がくわわっていない自然。
というものはほとんどの子供は直にみたことがない。
清流にいる、といわれていた生き物すらも現実にみたこがない。
そんな状況の中で育った子供達が、自然豊かな遊び場を見つけ夢中になるのは無理もない。
「美希。それにみんなも気をつけるんですよ?」
「あ。シズクさん。おはようございます!」
「は~い」
とりあえず机の上のお皿の数々を流し台に移動したのち、エプロン姿のまま玄関にと出向く雫。
香坂雫のことを、レイ、と呼ぶのは美希のみ。
他の人は、コウサカ、もしくは雫、とよぶ。
中には美希ちゃんのおか~さん。もしくはおに~さん。おね~さん。と呼ぶ人も。
何しろこの香坂雫、ぱっと見た目では男性なのか女性なのかわからない。
どちらでもはっきりいってとおる。
でも、それがどちらだとしてもいえるのは、美希同様、かなりの麗人、である、ということ。
「美希。あまりおそくらならいうちにもどるんですよ?」
「は~い。いってきま~す!」
子供達も雫に挨拶し、雫の言葉をうけて元気よく返事をし迎えにきた友達と一緒に外にとでてゆく美希の姿。

「でもいつもみてもミキの保護者って綺麗よね」
「私いまだにあの人、男の人なのか女の人なのかわからなくなるもん」
子供達の目からしてもどちらでもとおる美希の保護者。
「レイのこと?」
そんなに男の人とか女の人とか重要なことかなぁ?
それが美希にはよくわからない。
そもそも、この世界にはどちらでもない人、というのもいるのもまた事実。
「そういや、美希っていつもあのしずくさんのことをれいさん、ってよんでるけど、何で?」
「え?」
いわれて少し考え込む。
「でも、レイはレイだし……」
というか他の呼び方は昔から何だかしっくりこないので、美希はレイ、と呼んでいる。
そのように香坂雫をよんでいた人をみたことは一度もない、というのに。
だけどもそれを深く考えたことはない。
「まあ。いいけど」
「それより、誰からいく?」
話がすぐに切り替わる、というのは子供の特権。
今話題にのぼっていてもすぐに忘れる。
それが子供。
一人、一人しか通り抜けられない穴。
ここを超えれば子供達にとっては天国ともいえる空間にとつながっている。
遊び場に飢えている子供にとってはダメ、といわれても聞くはずもない。
外との交流が閉ざされている、といっても過言でないこの世界。
『地区』の外に一度でれば大人ですら生きてもどることは不可能。
とまでいわれているほどに世界は殺伐としている。
かつて、この世界は緑豊かな水に覆われた住みよい世界であった。
それがこのように自然の恵みすらも貴重になったのは、一重に人類の暴走。
かぎりない欲望の結果、自然にもたらしてしまった被害は甚大。
かつては惑星の外にまで進出しようとしていた人類はその力を失い、各自生きてゆくのにすらやっとというこの現状。
そんな中でも子供たちは日々、周囲の思惑など関係なく生きている。
「じゃんけんできめようよ」
誰ともなくいいだす意見にこくりとその場にいる全員がうなづき、
「じゃ、そうしよっか」
いいつつも顔を見合わせ、
「「じゃ~んけ~ん……」」
それぞれがそれぞれに、片手をその場にとつきだしてゆく――


乾いた風にのりほのかな緑のにおいが穴をくぐると同時に漂ってくる。
『歪みの道』とよばれているそれは、黒い渦をまいたようなもの。
それをくぐるときは真っ暗な空間を抜けるような感覚で別に体に浮遊感とかはまったくない。
視た目は渦のようなソレであるが、しいていえば暗い洞窟を通り抜ける感覚。
彼らが住んでいる場所ではけっして得られないその感覚。
彼らが住んでいる地区にはこのように近くに水源があるわけではない。
地下深くからくみ上げた水を各場所にゆきとどかせているので水には困ることはないが。
それでもやはり自然の湧水、というのを彼らは現実にはみたことがない。
そんな彼らがはじめて、といって過言でないこの地にやってきて。
まず目にはいったのはなみなみと広がる話しの中でしかきいたことがなかった湖と。
そして周囲に広がっている青々とした木々。
そしてそれらを取り囲むようにしてある人々が暮らす『地区』の姿。
この場所では人々は木々を利用し家を建て、昔ながらの自然との共存。
というのを実践しているようにも見受けられる。
その先にははるか先まで続く乾いた砂のような大地が目につくがこの一角だけは別世界。
それぞれが背後の木の虚より這い出しおもいっきり深呼吸。
ここにくるのはこれで三度め。
中々見張りの大人たちの目を盗んで…というのが日々難しくなっている。
「とりあえず。学園にいこ」
「そだね」
そんな会話をしつつも、木々の間を子供たちはすり抜けてゆく。
彼らが目指すはこの地区の人々が通い、また集会場としている『学園』と呼ばれているレンガでできた建物の一つ。
さくっと草を踏みしめながらかけだしてゆく。
ここには、物語でよく見聞きする自然が未だにのこっている。
そのことに子供たちはどうしても心が浮き足立ってくる。
その浮かれ心は彼らの注意力を散漫させてしまう、ということにまだ子供である彼らは気づいてなどはいない……


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あとがきもどき:
薫:世の中、二度あることは三度ある。また三度めの正直。
  という言葉があるのですよ。ええ(こらこら
  このことわざが今後の展開のキーポイントv
  って私がかくものなんだからバレバレですけどね(苦笑
  あくまでも主人公は美希ですよ~(あくまでも…
  美希&雫の一人称にすればものすっごくこれ、楽なんですけどね…
  あえてこれもまた客観的視点での挑戦ですv
  何はともあれではまた次回にてvv

2008年4月2日(水)某日

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