まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

何となく。
この遥かシリーズ。だけでなく。
オリジナルとか、そのほかの二次創作とか。
私こと薫の人間に対する不信感のオンパレードですな・・・・
でも、私、どちらかというと。
本気で、人間なんか滅んだほうが地球のためにはいいんじゃないのか?
と思っている節があります・・・・・ええ。切実に。
でも、本当に死ぬときにはすっぱりきっぱり、未練がないように。苦しまずに死にたいものですねぇ。
ま、人間、いつ何時、何があるかわからないがゆえに。
まあ、そんな自分の意見をここでいっても仕方ないとして。
何はともあれ、いくのですv

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遥かなる邂逅 〜世の理?

スミレ。
その名前は、海に咲く花の名前。

ザザァン。
波が打ち寄せては、また引いてゆく。
見上げる空には、人工的な星が瞬いているが。
だが、この光は本来の光ではない。
そのことは、自分は彼女たちの説明で知った。
そういった、基本的なことすらも忘れている自分。
いったい、自分は『何』なのか。

とりあえず、今の状況を整理してみる。
何でも、今この世界そのものは【宇宙戦争】なるものが頻発し。
すでに生命が住める惑星など、皆無に等しい。
そして、自分はおそらく。
この唯一、ともいっても過言でない。
人といわず生命がまだ住める環境にあるこの惑星。
ここに逃れてきた人々の生き残り。であるらしい。
どこか何となく、というか漠然とそれは違うような気もしなくもないが。
だけども、その根拠となる記憶がない現状では否定する要素も見つからない。
そんなことをおもいつつ。
首にとかけられているネックレスの先にある不思議な色彩を放っている石にと手をあてる。
何かこの石に触れていると暖かい。
心が休まるかのごとくに。
−すべては、流れのままに。
そんなことをふとおもうが。
確か自分は何かを見定めに来たような気もしなくもない。
それがいったい何なのか。
頭に霞がかかったかのように、思い出せない自分がもどかしい。
だけど、心のどこかで、しばらく、もうしばらくこのままで。とおもう自分の存在も感じているのもまた事実。
後ろを振り向けば、自分の名前の由来となった花が咲き乱れている。
こうして、ほとんど本来の太陽が差し込まないこの大地でも、こうしてひっそりと、生きている植物。
そして、海の中にいる目には見えない生命体。
どうして『判る』のかなんて自分にはわからない。
だけども、確かに、聞こえるのは。
間違いのない命の叫び。
その悲鳴に近い声を聞いていると何かとても悲しくなる。
どうして。
どうして、人間は。
いや、人間に限らず、少し技術が発達などした生物は。
こうして過ちに気づかずに自らを滅びにいざなってゆくのか。
そんなことをふとおもい。
「…変な私。何こんなことおもってるんだろ?」
ふと、そんな自分のおもっていることにと気づいて思わず首をかしげる。
ザザァ…ン。
再び、その手にもつ小石で書いた自分の新たな名前を波がかき消してゆく。
何か自分に名前をつけてもらったことが、とてもくすぐったい。
どうしてそんなことをおもうのかなど、判らない。
だけども…確かに、何かが新鮮で、それでいてくすぐったい。
こんな感覚…私は知らない。
…姫様…
ふと、どこからか声が聞こえたような気がして。
「?」
思わず首をかしげるが。
だが、自分の周りには当然、誰もいるはずもなく。
「ねぇ?何かいった?」
いいつつ、自分が手にしている石と、そして、目の前に広がる海にむかって問いかける。
だが、そこから聞こえる声は、ただただ、悲鳴のみ。
どうしてこんな声が聞こえるのかなんて、わからない。
ユリちゃん達は聞こえない。
そういっていたのに。
自分を助けてくれた二人の名前。
雰囲気は似ているが外見はあまり似てないあの二人。
母親の名前がローズ。
そして、娘の名前がユリアナ。通称ユリ。
というらしいが。
自分とどうやら歳が近いらしいユリ、という少女にはどことなく親近感がわく。
何となく、自分はそんな年齢ではないような気もしなくもないが。
だけども、鏡などを見た限り、自分が彼女と同い年であることは間違いようもなく。
「とにかく、このままご厄介になったまま。というのも…何よねぇ…」
いいつつ、打ち寄せる波をみつつ、そんなことをおもう『スミレ』。
名前が思い出せないのだから、仕方ないにしろ。
だけど、この名前が、いや、名前をつけてくれた二人にとても感謝の気持ちが芽生えるのは人として当然の理なのであろう。
そんなことをおもっているスミレの耳に。
「スミレちゃぁぁぁぁん!」
丘の上のほうから、自分を呼ぶ声がする。
「あ、ユリちゃん、こっち!」
いいつつも。
今まで手にもっていた小石をそっとその砂浜にと置くスミレ。
その小石はその直後。
再び打ち寄せてきた波が沖にと移動させてゆく。



パタパタ。
走るたびにその黒い髪が風にとたなびき、その長い髪がふわりとゆれる。
起きたら、そばにスミレの姿がなかったことに不安を覚える。
こういったことは今までにも数回あった。
大概、一人生き残ったと知った子供は。
両親などの後を追って後追い自殺をしたり・・・と。
そんな現実を知っているがゆえに。
そばに一緒にねていたはずのスミレの姿がいなくなっていることに、彼女が不安を覚えたのも当然の反応、といえばそれまでなのだが。
そして、あわてて服をそこそこに着替え。
外にでた痕跡をみつけ、あわててスミレの後を追ってゆくユリ。
そして。
少しばかりその小さな足で外をかけ、丘を少しばかり駆け下り、そして目にしたものは。
波打ち際に…しかも、寝巻きのままでたたずむスミレの姿。
「スミレちゃん!!!」
一瞬、スミレが自殺をするのでは?
などという思いも脳裏を横切り。
あわてて、波打ち際にとたっているスミレの元にとかけよってゆくユリ。



「スミレちゃん!」
「どうしたの?ユリちゃん?」
駆け寄ってくるユリの顔色がどことなく悪い。
そんなユリの様子をみてとりキョトンとした声をだしているスミレ。
そんなスミレをみつつ。
「いきなりいなくなったら心配するわよ。って。スミレちゃん!?
  そんな薄着で外にでたら有害な宇宙線に当たって危険よ!とにかく家に!」
スミレが寝巻きひとつでいることを見て取り。
さっと顔色を変えているユリ。
ユリとて、まだ幼い、とはいえ。
有害な宇宙放射線を浴びればどうなるのか。
それは、物心ついたときから母に教えられている知識。
「危険?」
「そう!早く!」
とりあえず、何となくいやな予感がし。
もって出てきた簡易的な防御バリアーを張ることのできる上着がまさか役に立つなどとは。
そんなことをおもいつつ、スミレの肩にその上着をかけ。
そのまま、スミレの手をひいて、あわてて家のほうにと戻ってゆくユリ。


この惑星上では。
生身で何の対策も持たずに外にでれば、降り注ぐ人体に有害な宇宙放射線にてその体に変調をきたし、
それだけではいいのだが。
その体が異形にと変化してゆく、ということは、近年の研究でわかっている事実。


もう、この星の寿命も長くはないのでは?
という意見もでてはいるが。
だからといって、この場所から出ることは、すなわち、戦乱の真っ只中、ともいえる宇宙空間に進出することにほかならず。
だが、こういつまでも、この小さな惑星が彼らに見つからない。
という保障などどこにもない。
事実。
最近では、近くでおそらくは巻き込まれたのであろう、宇宙船の残骸などが隕石としてこの地に落ちてきているのもまた事実。
ゆえに、落ちた破片が巻き上げた粉塵が、今まで以上に太陽の光をさえぎり。
より、地上を冷たい空間と化しているのもまた事実。
それゆえに、この惑星では極秘なプロジェクトが開発されている途中ではあるが。
だがしかし。
有能なる科学者、というものは。
もはや、借り出され、そもそも、この地にいるのは、それぞれの惑星などから避難してきた避難民であるがゆえに。
その開発はまだまだ前途多難、というのがこの惑星の実情。


「まあ!そんな格好で外に!?」
思わず悲鳴に近い声を上げるローズ。
朝ご飯の用意をするために。
地下で行われている朝市にと買い物に出かけていたのだが。
まさか、寝巻きひとつで地上にでているなどとは。
それを娘であるユリからきき、驚愕の声をあげるローズに。
「??そんなに外は危険なんですか?」
きょとんとした視線で問いかけるスミレ。
確かに、人体などには有害かもしれない宇宙紫外線を感じはしたが。
あれが、数十倍にでもなれば、一時でも、普通の人間ならば、まず間違いなく、その人体に異常をきたすであろう。
すでに、地上に生きている生物も、そんな紫外線をうけ、長い時間をかけて、それに対応した進化を遂げているように。
「…スミレちゃん。いい?よくきいて?これからここで暮らしてゆくのには。まず、知識が何よりも必要よ?
  ご飯を食べたら、とりあえず首都にいって、あなたのご両親や仲間の情報を探してみましょう。それと、この星の歴史と…」
しっかりと、両肩にと手をおき、スミレの瞳を真摯な表情でのぞきこみつつ。
そういってくるローズのその言葉に。
「首都?」
「そう。この星の首都…エデンへ。」
エデン。
それは、この星の人々の希望を込めた名前がつけられた、この星の中心に当たる、首都の名前。
エデンとは、楽園。という意味をもち。
確かに、かつての、星の防衛機能たる機械が完全に作動していたときならば。
この星は『楽園』以外の何ものでもなかったのだが。
だが、機械、というものは、消耗する。
ましてや、それを正確に整備できるものがいなければなおさらに。

とりあえず。
この星に住む人々の家には、各自、【滅菌室】というのが設けられており。
簡単な消毒、殺菌ならば可能となっている。
外にそのまま、何もつけずに外にでた。ということもあり。
念入りに滅菌室にと入り、その身を清めることを進められ。
いわれるままにとその部屋で、しばし滅菌用の紫外線を浴びるスミレ。
だがしかし、これが気休めにしかならない。
というのは、この星に住んでいる人々はわかってはいるが。
何もせずにはいられない。
という思いから生まれ出ているこのような物質。

滅菌室からでて、服を着替え。
軽く風呂に入り身を清め、そして、互いに朝食の席にと着いてゆく彼女たち。
ローズが地下の朝市で、買ってきたものは。
この星ではもっともポビュラーな果物など。
薄いピンクのそれでいて艶がある、なぜか星型の果物。
スタータアブル。という名前なのだが。
どこかの世界の桃と林檎、その間のような味のそれは。
結構この星ではポビュラーな果物であり、そしてまた栄養価も高いがゆえに重宝されている。
朝食の風景は、ほとんど果物と野菜を中心とした品々。
切り刻んだ青い菜っ葉に特有ノドレッシングがかけられており。
さっぱりした触感をかもしだしている。
「さ。とりあえず、たべましょ。」
ローズの言葉に促され。
「いただきます。」
「…?え?あの…い…いただきます?」
元気に手を合わせていただきます。
といっているユリをみて。
とまどいつつも、同じようにと手をあわせ。
そういっているスミレ。
…確かに、命を食べるからいただきます。には違いないんだろうけど??
これ…食べるの???
普通に考えたら、出されたものを食べる。
そんなことは常識なのだが。
だが、なぜか、自分はこのようにして物を食べる。
というようなことを今までしたことがないような気がするのは気のせいなのか。
何となく、あったような、なかったような…
そんなことを思いつつ。
思わず苦笑する。
― ものを食べないなんて…それじゃ、まるで私が人でないみたいじゃない?
人というものは、いかんせん、他の命をその身に取り入れて生きている生物。
それは、他の動物などにもいえること。
植物もまた、水、という生き物を吸収、酸素、という名前がつている目にはみえない生命。
それを吸収し。
この世に生きるものすべては、何らかのつながりをもっている。
そんなことを一瞬のうちにと思い。
??????????
何で、私…そんなこと思ってるの?????????
ただただ、一人、首をかしげているスミレ。

それは、彼女にとっては、当たり前のことであり。
そしてまた。
確かに、彼女には関係ないようで、関係があることで。
だが。
今の彼女は、心の奥底で、このままの状態でもうしばらく…
という思いが働き。
彼女の記憶は…しばし、戻る気配など…微塵の気配もみえないのであった。


地下へと続く道は。
確かに地上のそれとは異なり。
それぞれの家などから、それ専用の道をとおり。
地下、約一万キロの位置にとある場所に直通して道が開かれている。
その一万キロほど地下に進むための乗り物。いわくエレベーターは動力を地熱によって補っており。
これは、別に尽きることがない。
だが、問題なのは。
万が一、事故があったときなどの対応のために。
ところどころに小道も作られているのはいるのだが。
…自力でそこまでたどり着かないといけない。
という問題もまたはらんでいる。
何にしても、すべてが万全、というわけにはいかないのは。
それはやはり、一般家庭であるがゆえに設備の充実などできかねない。
という現実を物語っている。
まあ、別に一万キロほど地下にと続く階段もあるにはあるが。
・・・・・・まず、それを利用するような物好きなど、いるはずもなく。
結果として、その階段もまた、動く階段として作られているのが各家庭の現状。

とりあえず。
エレベーターにと乗り込み。
地下にと移動してゆくユリ・スミレ・ローズの、この三人。
地下にまでいけば、そこには、それなりに地下の空洞にと町並みが広がっており。
この惑星では、地上でではなく、地下で文明が栄えていたりする。
ゆえに。
地下に様々な交通手段は設けられており。
地中を移動してゆく乗り物や、または、乗り合い電車のような代物なども多々とある。
一番特質すべきは、乗り合い飛行バス。であろうか。
この星に生息する、小さな小動物。
その力を借りて、とある品物を使い、その動物を操り、移動する、という乗り物。
地下で栄えている文明。
というだけのことはあり、空気を汚すようなモノはここには見受けられない。
そしてまた。
換気システムもまた、きっちりと常に正常にと保たれており、この空間にはホコリッポサなどは感じられなく。
常に清潔に保たれている。
とはいえ、特有の生活の匂いまでもがきえているわけでもなく。
人数的には少ないものの、それでも、この地下都市は活発さを見せている。
一番注目されているのは。
中央広場の公園に設置されている大きなスクリーン。
そこには。
隕石群にと紛れ込ませている、衛星システムが。
外の宇宙空間より、ダイレクトに電波を拾い。
そして、この閉じられた惑星に最新の情報を提供している。
電波の空間移動。
それもまた、この星をこのように人が住めるようにと開発した科学者が開発していた技術。

故に。
この星は、確かに、来ることも、また出ることも不可能に近いものの。
それでも。
情報などに遅れをとることもなく。
こうして今まで発展を遂げてきているのだからして。

とりあえず、無料の乗り合い馬車にと乗り込み。
三人は、首都に向かって進んでゆく。


目的地は、この惑星の中心地でもある、首都。エデン。


                        −第5話へー

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あとがきもどき:

薫:やっぱり、定番ですかねぇ?エデン。って。わかりやすい名前のほうがいいですしね。
  オリジナルせいがない。っていわないでくださいね?
  本当は、この首都。エディ。という名前だったんですけど。
  ・・・・・・・・・・・人名みたいだし。というか、人名なんですけどね・・・・(笑
  この星を開発した科学者の名前だったり(おい!
  まあ、このエディ。というのは、町の名前にするとしよう。うん。
  本当は、町の一角の名前と首都の名前が一緒のところがある。という設定だったんですけど・・・・
  それだと、(読まれている人はいないとおもうけど)わかりにくいとおもいましてね(おーい・・・・汗
  何はともあれ。次回で、首都。
  そこで、スミレちゃんたちはいったい?
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつになったら、惑星消滅。にいけるんだ?
  んではでは・・・・・・

    2004年1月23日某日


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