まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

えっと・・・。
なぜか昨日の夜。(2003年1月4日の夜)
ページ上のトラブルで、四苦八苦したために、打ち込みがまたまたできなかった薫です・・・・。
何はともあれ、のんびりと今年もいってみますのです。
…うーん、とりあえず、スレ、アンジェ・オリジ。この順番でいってるが・・・。
何はともあれ、んではでは・・・・

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遥かなる邂逅 〜スミレ=ドナ=マリーナ

何か忘れている。
とっても大切な…何かを。
だけども。
「…う…ん…」
ゆっくりと目を開く。
目に入るのは知らない天井。
いや、そもそも、知っているのかどうかすら思い出せない。
目にはいるのは、少し明るめの天井板。
「あ、目がさめた?どう?気分は?」
いって自分を心配そうに眺めてくる女の子が一人。
その長く黒い髪が印象深い。
「…え?えっと…あなたは?」
とまどいつつも問い返す。
どうして自分がここにいるのか、何も思い出せない。
そんな少女の声に、黒髪の少女−ユリは。
「私はユリアナ。みんなは『ユリ』ってそう呼ぶよ?あなたは数日前に浜辺に倒れてたの。」
そう、少女が眠りについてから、もはや一日以上は経過している。
「あ、ユリ、あの子、気がついたの?」
いいつつ、その手に銀色のお盆をもち、はいってくる、優しそうな雰囲気の一人の女性。
そんな女性をみつつ。
「…?」
ただただ首をかしげるしかできないそのベットに横たわる少女。
その身長よりも長い髪が少しばかり起き上がった少女の周りに、まるで円を描くかのように散らばっていたりするが。
入ってきた女性は目の前にいる少女とは対照的な髪の色。
少女が黒い髪をしているのとは異なり、女性の髪の色は青。
特質すべきは髪と瞳の色が女性は同じ、ということであろうか。
そして少女の方は黒い髪に青い瞳。
といういでたち。
そんな女性のその言葉に。
「うん、お母さん、今この子目がさめたところ。」
そういって扉から入ってきた女性ににこやかに微笑んでいるユリ。
そんなユリと女性を交互にながめつつ。
「…えっと…私…??」
何がどうなっているのか。
何か頭にまるでもやがかかったかのように霞がかかって思い出せない。
いや、それどころか…
「あ?あの?私…いったい…【誰】なんですか?」
そう、思い出せない。
自分の名前すら。
何となく、確かにこの人間たちには出会ったことがあるのは覚えてる。
そんなことをおもいつつ。
ふと。
?どうして私…この人たちのことを【人間】なんて単語で思うの?
ふとそんな自分の心に首をかしげる少女ではあるが。
そんな少女をみつつ深くため息をつく女性。
「…やっぱり無理みたいね…」
何となくはわかっていたが。
どうやらこの女の子は完全にというか自分の名前すら覚えていない。
ということは、いろいろとこの惑星に少女以外にここ数日たどり着いたものがいるのかどうか探してみたが、それは皆無。
つまりは、そういうことなのだろう。
そうおもいつつ、深いため息をつきつつ、少女に同情の視線を送る。

おそらくは。
少女は乗っていた宇宙船で何らかのトラブルがあり。
そして…子供である彼女のみを彼女の両親が助けるために、
脱出ポットか何かで彼女一人を運を天に任せ、
そのままでは、自分たちと共に死んでしまうかもしれない少女の命を助けるために。
そして。
何があったのかはわからないが。
そのことが、おそらくは少女の記憶喪失に結びついているのだろう。

……そう思いつつ、ユリの母親であるローズは深いため息をつきつつ。
そして、ベットに半分起き上がっている名前すら覚えていない少女の髪をそっとなでる。
そのベットの横に椅子をおき、その場にその手にもっていた銀色のお盆を少女の真横におき。
「あなたはね。海辺の砂浜で倒れてたの。ここ数日眠ったままだったのよ。心配したんだから。」
そういいつつ、ふわりと、その暖かな手が少女の顔にふれ。
何かとても心地よく少女は感じる。
こんなことは、初めてのような、そんなくすぐったいような…そんな不思議な感覚。
「とりあえず、今はとにかく、体をゆっくりと養生させることが大切よ。あまり無理をしないように。食べれるかしら?」
そういって、持ってきた薄茶色のお茶碗に入ったオカユらしきものをスプーンに汲み取り、少女の前にともってゆくローズ。
その言葉に。
「…あ、すいません…」
多分、私にあげる、というか食べなさい、ということよね?
とおもいつつ、手を出そうとするが。
くす。
そんな様子に思わず苦笑し。
「無理しないで、とにかく口をあけて。口の中にまでもってゆくから。」
そういいつつ、息でオカユをさましつつ。
適温になったそれを少女の口にと持ってゆく。
「…え?…あ、あの…」
どう対応すればいいものか。
それすらもわからない。
戸惑う少女の様子をみつつ。
「ほら、あーん。」
「こうだよ?」
苦笑しつつ、スプーンを少女の目の前にもってゆくローズと。
そんな少女の横で見本を示すかのごとくに口を大きくあけるユリ。
−…えっと。
とりあえず…口をあければいいの?
そう、何となく漠然と理解し。
口を軽くあけると。
そこにスプーンに入ったオカユが流し込まれる。
「…あ。」
こくん。
声を出すのと同時に何か体の中に温かなものが流れ込んでくる。
「…おいしい…」
思わず目を丸くする。
何かとても食べること自体が新鮮なような気がするのは、気にはなるが。
とりあえずは。
「…あ、あの、大丈夫ですから、自分で食べます…」
だけども何か人にやってもらうのはくすぐったい。
そう思いつつ、手を伸ばす少女に。
「あらあら、子供はこういうときには甘えるものよ?」
くすっと笑い。
「ほら、アーン。」
また次が目の前に持ってこられ。
とまどいつつも、いわれるままに、口をあけ。
そのまま、ローズに食事を食べさせてもらう少女の姿がしばしその場にて見受けられてゆく。

カラッ。
「ご馳走さまでした。」
ぺこりと頭を下げる少女に。
「うん、食欲があれば大丈夫ね。」
持ってきた食事をすべて平らげ、といっても、体に負担のかからないような柔らかなものばかりを持ってきたのは事実ではあるが。
カラになったお皿をみつつ、安心した表情を浮かべるローズ。
「あのね。あのね。名前がないと不便だから、私が勝手につけてもいーい?」
何かくすぐったいような、それでいて照れくさいような、そんな感覚にとらわれている少女の横で。
ヒョッコリと少女の顔を覗き込むようにしていっているユリ。
「…名前?私の?」
何かとても大切なものを忘れているのは気のせいなのか。
だがしかし、確かに、呼び名がない、というのは不便だとも瞬時に漠然と理解する。
「名前、思い出せた?」
問いかけてくるユリの言葉にただただ力なく首を横にふるしかない。
― どうして何も思い出せないの?
などと思うが、だけども…もう少し…このまま…
となぜか思う自分もいるようで、いったい自分はどうしたいのかわからずに、戸惑いの表情をうかべる少女。
だがしかし、その戸惑いの表情は困ったような、途方にくれたような表情にと、ユリもローズも捕らえてゆく。
まあ、それが当然、といえば当然のこと。
「…えっとね。『スミレ』というのはどうだろ?『スミレ=ドナ=マリーナ。』あのね。マリーナ、というのは海のことで。
  ドナ、というのは女の子のこと。そして、あなたがいた場所にスミレの花が咲き乱れてたから。いや?」
トクン。
何かその名前に聞き覚えのあるような。
海を示すというその名前に…
何か心臓が高鳴るが。
「…スミレ…マリーナ?」
とまどいつつも問いかける。
「うん。そう、いや?」
目をくりっと見開き自分をみてくるそんなユリ、となのった少女の視線が、何となくくすぐったく、それでいて心地よい。
「…ううん。ありがとうございます。私…の…名前、スミレ…うん。思い出すまで、私この名前使わせてもらってもいいですか?」
そういってにっこりと微笑むその少女の様子に。
ローズとユリ、この母子は心の底から喜びの笑みを浮かべ。
「よかった。とにかく、体が衰弱してるから、ゆっくり養生しようね。体がよくなったらいろいろとここ、案内してあげる!」
そういってくるユリの言葉をききつつ。
「まあまあ、ユリ?あまり無理をさせたらだめよ?
  あと、丁寧な言葉遣いでなくてもいいわよ?あまり硬くならないで?それより、今はともかく、体をお休めなさい。」
そういいつつ、そっと名前のない少女……今『スミレ』と仮の名前の決まった少女の体を横たえ。
そのままそっと再びベットの中にと横にする。
そんなローズの言葉に。
「はーい。とにかくゆっくり休んでね。スミレちゃん。」
「…えっと…その、ありがとうございます…」
いまだに何か硬い口調でお礼をいってくるそのスミレの言葉に。
「だから、そんなに丁寧な言葉遣いでなくていいってぱ。」
「そうそう、あまり気兼ねしなく、ゆっくりしてね。
   体が治ったらとりあえずはほかのあなたの仲間がいないか。もう一度一緒に探しに行きましょうね。」
仲間?私の?
そんな二人の声をききつつ。
スミレの意識は、やがてなぜか深いまどろみの中にと沈んでゆく。
おなかがいっぱいになったことにより、体が休息を求めているがゆえの睡魔。
― なぁに?これ?
その感覚に、そうなぜか思いつつ、そのまま、スミレの意識は、深い眠りの中にといざなわれてゆく。



あたりはすべて深淵の暗闇。
そして、その中にあるのは、一筋の明かりすら示さない。
そして…やがてそんな中、明かりが差し込んだかと思い手を差し伸べてもその明かりには届かない。
― これじゃ…いくら…も同じ…深い、深い、深淵……



「お母さん、あの子、よくなるかな?」
心配そうに眠ったスミレと名づけた少女をみつつ。
とりあえず眠ったのを見て取り、音を立てずに部屋からでているこの二人。
「そうね。とりあえず体力がかなり低下してるみたいだし。でも怪我とかなくて何よりね。」
そう、それが唯一の救い。
「…あの子のお母さんたち…見つかるかな?」
心配そうにふさぎこむそんな娘であるユリの様子に。
「もしかしたら、万が一の可能性にもトラブルを回避して。迎えにくるかもしれないし。」
そういって娘の髪をくしゃりとなでる。
「でも!今まで一人たりとて!」
すでになみだ目になっている娘の姿をみつつ。
そのままぎゅっと抱きしめる。
「…信じましょう。それに、あの子を私たちが見つけたのもこれは運命よ。
  だからね?あの子の面倒は私たちが責任をもって。そうね。ユリの姉妹として面倒みる、というのはどう?」
そういって、ユリを抱きしめつつ問いかけるローズの言葉に。
「ええ!?私の姉妹?!うん!」
物心ついたときから、姉妹がほしかった。
一人より二人のほうが母親を助けられる、と思ったから。
「…あの子、私と同じくらいかなぁ?」
「そうね。見た限りは…」
見た限り、あの子の年齢もおそらくはユリと同じくらいであろう。
だけども、自分の年齢…覚えているのかすらも怪しいかもしれない。
何しろ自分の名前すら覚えてなかったのだから。
そんなことは口にはださずに。
「とにかく、昔ながら生きている人は偏見、もってるかもしれないから。あの子のことは十分に気をつけてあげないとね。」
「…うん。」
それでなくても、家族、そして仲間、友達を失ったであろう少女。
そのショックからか記憶、自分の名前すら忘れてしまっている少女。
そんな少女の髪の色がたかが、光によっては金色に見えることから。
偏見、ともいえるそんな差別が悲しいかないまだに根付いているこの世界。
確かにこの惑星に逃れてきた先住民にとってはそうだったのかもしれないが。
だけども、いくらなんでも、ただ髪の色が同じだけ。という理由だけでそういった偏見をもつのはどうなのか。
そういった意見は昔から出ているものの。
だけども、年寄りなどは、そんなことには耳をも傾けず。
若いものならば、そんな偏見はもたないにしろ、確かに、この惑星に避難してきた人類やそしてまた生き物などにとっては。
同じような経験の持ち主も数知れず。
ゆえにからか。
いまだにその偏見がなくなっていないのは…また、事実…

「…あの髪の色…確かにかわってるわね。まるで…そう。まるで銀河空間が揺らめくような色ね…」
そうつぶやきつつ空を眺めるローズ。
もう、それは記憶の彼方。
懐かしい思い出。
最愛の人とともに宇宙空間を逃れ…この地にとたどり着いたのは…
ここにたどり着く前に彼女を助けるために彼女の夫は死亡したのだが。
あの髪の色をみていると、あの人のことが思い出され。
すくなくとも、人間的にもそしてまた、人情的、そして論理的にもほうってはおけない。

そんなことをおもいつつ。
二人の母子は。
拾った、というか漂着していた記憶喪失の女の子に『スミレ=マリーナ』という名前をつけ。
責任をもって面倒をみることを。
ここに二人して相談し、そしてそれを決定づけてゆく−





幾度、光が闇に沈んだであろう。
数え切れないほどの光がもはや今はもう。
空にあるべき光のほとんどは人工的なもの。
その光の速度が届く過去から、すでに人類は、無限なる欲望のもと。
自らが生活している世界、というか星そのものを乱獲し、そして、破壊しつくし。
いったいいつになったらその欲望はとどまるのであろう。

彼らにも聞こえるはずの形のその目には見えない悲鳴は。
だがしかし、誰の心にも届くことはなく。

― それゆえに。
……この空間に生きているすべての生命が、母なる存在に願いをささげたのは…





それは、純粋なる願い。
そしてまた。
悲鳴にも近いその願い。
だからこそ。
といっても、多様化したすべてを消し去るのは、本意ではなく。
ゆえに、見極めるために…
そう、同じ存在(モノ)として…
視ているだけではわからないものもある。
すべてがわかっているようでもその心の奥深くまではわからないものもある。
そう、判断しての…その行動。


それは。
【彼女】にとって。
かけがえのないものになることを…
まだ、このときの【彼女】は知るべくはずもない…


                        −第4話へー

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あとがきもどき:
    薫:ちなみに、これ、はっきりいって。いわゆる宇宙戦争ですな・・・・
      だからなんですよねー・・・・。
      アンジェをほうっておけなかった理由のひとつ、スミレちゃんが(まて!
      これは、スミレちゃんにとってははっきりいって遥かな過去の出来事です。
      だってこの当時、同じ存在のものたちのことはいまだに知りえません。
      世界がその手によって作られては滅び…を繰り返してみている状態です。
      …そう、ただ見ている状態。
      たまぁぁにその姿を現すことはありにしろ。
      この当時はまだ使い捨て(ん!?)の部下とか(つまりは神とか魔)は作ってません。
      似たようなものはつくってるにしろ・・・・。
      時間を戻したりすることとかもできるんですけどね・・・。
      まあ、スミレちゃんそのものからみたら時間なんてなきに等しいですからね・・・
      物質世界の時間率なんて・・・・
      彼女にとっての時間率ならばそれは存在しますけどね
      何はともあれ、しばらく過去話にお付き合いくださいなv
      んではではv

     2004年1月4&5日某日

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