まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

さって。今回、『彼女』がよく、使っている名前。
まあ、私のオリジなるとか、スレイヤーズとかを読んでいればわかるでしょう。
その名前の由来がわかったりv(だからまてぃ!
何はともあれ、いくのですv

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遥かなる邂逅 〜記憶喪失の少女〜

ぐったりと横になっているベットの上の少女。
見たこともないような不思議な髪の色。
しいていうならば、そう、まるで、銀河というか星星が夜空できらめくかのような。
そして。
それでいて、その胸にとかけられている一つのペンダント。
それすらも、その材質は見たことがない。
いや、材質、というより、石をみたことがない。というべきか。
光の方向、というか、みる方向によって、見ただけではただの漆黒の石。
そうみえるのにもかかわらずに。
方向や、そして少し視点を変えると、それは不思議な色合いにときらめいている。
表現するならば、まるでその石の中で絶えず、
何かの光というか、とにかく、それに近いものが絶えず何か変化をしているかのごとくに。
髪の色は金色に近いようでそうでないようで。
ともかく、表現するのに難しい。
このまま、もし見つけたのが彼らでなく、過去の伝説を信じているものだったとしたら。
間違いなく、そのまま、この少女は見殺しにされていたであろう。
この星を生命がすむまでにと改善させた科学者が住んでいた元惑星。
そこには、ひとつの伝説があり。
それは…
−金の髪をもった人間が、世界を滅ぼした。
というもの。
それゆえに、科学者を神とあがめている人々にとっては、金色の髪の持ち主は【悪魔】以外の何者でもない。
髪の色など、それは遺伝子や、そして周りの状況に応じて変化する、というものであるのにもかかわらず…である。
最近は、そんな伝説を信じているものは少ないが。
だがそれでも。
ある程度昔からこの地に住んでいる種族などはいい顔はしない。
何しろ、昔からこの地に住んでいる者たちは。
過去、彼らの先祖はそんな『金色の悪魔』ともいわれている種族に、追われ、
そして科学者とともにこの星に逃れてきた種族であるがゆえに。
別に、ただ、何のことはない。
― 世界を滅ぼす兵器を作ったのが、ただ、金色の髪をもっていた種族であった。
というだけのことなのだが。
一説には、そうではなくて、金色の髪をもっていた種族は、その破壊兵器を壊すために、かつての彼らの先祖の国を攻めた。
ともいわれているが、真実のほうは、はるかな昔のことであるがゆえに。
もはや、誰にもわからない。
― 真実は、いかなる世もゆがめられ、そしてまた、伝えられるがゆえに……
「でもお母さん、不思議な布よね。これ。」
とあえず、ぬれたままの服を着替えさせ、今着せているのはユリの服。
年のころならば、おそらくはユリと同じくらいか、もう少し下。
おそらくは、五歳、いや、ユリと同じく六歳程度か。
そのしっかりと閉じられた瞳からは、その表情は計り知れれないが。
だが、まるで透き通らんばかりの肌の白さ。
そして、見たこともないほどに整った顔立ち。
はっきりいって、彼女たち、母娘は、ここまで綺麗、と幼いながらも表現できるほどの、美貌の持ち主を見たことがない。
いや、美貌、というのもおこがましいかもしれない。
ともかく…その顔立ちが整いすぎているのである。
そう、まるで作り物でもここまで整いはしない、というほどに。
そして、それは、その透き通るまでの白い肌ととてもよくマッチしている。
そんな少女が着ていた服。
まったく、布のつぎはぎの跡すら見えない不思議な色合いを放っている、一枚の服、というかワンピースらしきものを手にとり。
そんなことをいっているユリ。
そうね。でも…この子、いったいどうしたのかしら?」
「船が不時着したか、それかここに避難してきたんじゃない?私たちのように?」
首をかしげてそう言い放つ、ユリの言葉に。
「…そうね。その可能性が高いわね。」
― そして、おそらくは。
おそらく彼女が乗ってきたであろう宇宙船は、間違いなく壊れ、そしてそのまま海にと墜落したのであろう。
太陽が照るその前後には、この惑星状を特殊な電磁波が襲いかかり、
そして、空は、宇宙からこの惑星に侵入する際に、はっきりいって。
その『どのような乗り物』ですら、その機械、もしくはその乗っている生物の勘を狂わす。
彼女たち−ユリたちのようにこの惑星で生きている人間や、そして、あまたの生物たちは、
かつてこの星を命が住めるようにととある機械を作り出した、かつてのその科学者の置き土産。
その装置の起動によってこうして無事に過ごせている、というのが今の現実。
いまだに、その当時の科学者と同じ域にと達している科学者は、いまだにこの星には存在しない。
この広い宇宙のどこかにはいるのではあろうが。
おそらくは、宇宙戦争が頻発し、もはや戦乱の最中におかれていない。
という、ちょっとした小惑星すらない。
 というほど混乱したこの世界では。
間違いなくそんな頭脳をもったものたちは、戦争にと駆り出され、使われているのは…
想像だに硬くない。
「この子の家族…お母さんとかお父さん…どうしたのかな?」
「…探したけどこの子以外は誰もいなかったからね…もしかしたら、別の場所に打ち上げられているのかも…」
「そう…そうだよね。…そう…」
そんな母親の言葉によわよわしくうなづくユリ。
だがしかし。
大体、海流の流れは一定しており。
万が一、宇宙船などの不時着でも、大体は同じ範囲に流れつくのであるが。
それがない−ということは−。
心のどこかで、ユリにもそしてローズにもわかっている。
…おそらく、何人がのっていたのかはわからない宇宙船であろうが…
…助かったのはこの目の前で昏睡している少女…一人だけ。ということが。
よくあるのである。
この星では。
磁場の混乱と、そして磁気嵐などに巻き込まれた宇宙船の乗組員がせめて、未来の希望を担う子供だけでも。
と、自分たちを犠牲にして、とにかく脱出ポットでこの惑星にと送り込む。
ということが。
無事に全員がここにたどり着ける可能性は、はっきりいってごくわずか。
何しろ、この場所は。
宇宙を走行する乗り物などには、致命的、ともいえる、場所にと俗しているのだから。
― それゆえに、この場所はいまだに戦乱の中に巻き込まれることなく。
そしてまた、見つかることなく、そんな彼ら、避難民の避難先として存在することができているのだが…
それでも、いつかは発見され。
この星のまた、戦乱の中にとおかれるであろう。
それは誰の意見でも明らか。

重苦しい空気が流れるなか。
「…う…ん…」
今まで、完全に意識を失っていた少女が声を漏らす。
その声すら、まるで作り物かのように。
信じられない響き、というか鈴を転がしたような…美声。
とはこういうのをいうのであろう。
そんなことをローズが思っていると。
「…う…」
やがて、そのしっかりと閉じられていた瞳がゆっくりと見開かれる。
その瞳の色は…深い、深い、青い色…
まるで吸い込まれそうになるほどに。
一瞬、開きかけたその瞳が金色のように見えたのは目の錯覚か。
「あ、お母さん、気づいたよ。この子。」
うれしそうにそういっているユリ。
そして。
「あら、本当。大丈夫?どこか気分の悪いところはない?」
心配そうにとそんなベットにと横たえた少女を覗き込むローズ。

目に入ったのは。
何だろ?これ?
よくわからないが、とにかく、何かどこかの…物質に囲まれている。
そう感じるのみ。
どうしてそう一瞬思ったのかさえ、少女にはわからない。
やがて、はっきりしてゆく意識の中で。
そこが、見たこともない『どこかの建物の部屋の中だ』と漠然と理解する。
次に視界にと映ったのは…小さな、小さな黒い髪をしている女の子。
そして。
同じく心配そうにと自分覗き込んでいる青い髪の女性。
「?」
そして…
…あれ?
何か肝心の…とても大切な何かを…
そう少女が思いかけると。
「大丈夫?どこか気分の悪いところはない?」
そう問いかけてくる青い髪の女性の声。
「…ここ…は…」
そういいつつ、なぜか重い体…どうしてそう感じるのかさえわからないが。
ともかく、体をその場にと起こす。
「あ、だめよ。まだ寝てないと。」
そんな少女をあわてて、再びベットにと横たえるその女性。
「心配しないで。あなた、海辺の浜辺に倒れてたのよ。
そこを見つけて保護したわけ。私はローズ、でこの子が娘のユリアナ。」
そういって不安に彩られ、混乱している瞳をしているそんな少女にと語りかけるローズ。
「はじめまして。私はユリって呼んでね。」
元気ににっこりと笑いかけてくる黒髪の少女の声に。
ふっと気分が少しではあるが軽くなる。
「…浜辺?」
思い出せない。
そう、何もかも。
自分はそんな場所に倒れてたの?
そんなことを思っていると。
「あなた…お名前は?」
「…な…まえ?私は…」
…あれ?
名前……
そういわれ、しばし呆然としつつ。
そして、しばし視線をさまよわせる。
― わからない。そう、何もかも…
ふと、首にとかかっているペンダント。
それを握り締めると少しはその不安が軽くなるが。
だがしかし。
―……
「…あ、あの…」
戸惑いつつ問いかけ。
そして。
「ん?お名前は?」
「ねえねえ。名前、何ていうの?」
にこやかに問いかけてくる母娘の問いかけに。
半ば呆然と。
「…名前?…あ、あの?私はいったい…『誰』なんでしょうか?」
『ー!??』
その言葉に思わず驚愕するローズとユリ。
そう、わからないのだ。
少女には。
何もかも。
何か大切な…とても、大切な何か。
それを忘れているような気がしなくもない。
だが、心のどこかで、忘れたままのほうがいいのでは?
というような想いがなぜかあるのもまた事実。
「…わからない…私は…私はいったい…誰?」
呆然とつぶやくそんな少女の台詞に。
顔を見合わせ。
「…と、とにかく、落ち着いて。多分いろいろあって混乱しているだけだろうから。
  ― 今はとりあえず、体をゆっくりと休めることを思って…ね?」
「あ、お母さん、私、飲み物もってくる!」
そういいつつ、混乱している少女をなだめるローズに。
そしてまた。
ぱたぱたと台所にと走ってゆくユリ。
「…私は…誰?」
そうつぶやきつつ。
「はい。」
考えれば考えるほどにわからない。
自分がいったい誰なのか。
その名前すらも。
そして、どうして、そんな彼女たちのいうところの『海の浜辺』などに倒れていたのかすらも。
差し出される何か暖かいコップ。
それを手に手渡され。
そして。
「飲んで。」
にっこりと微笑みかけてくる、確かユリアナ、とかいっていたかな?この子?
などと思いつつ。
そういわれ、いわれるままにそれを口にと運ぶ。
「…温い…」
温かいものを口にして。
そこでようやく自分の体が冷え切っていたことにようやく気づく。
― この私にはそんなことあるはずもないのに。
ふと、そう思い。
…あれ?今私…何でそうおもったの?
『あるはずもない』なんてあるはずがないじゃない?
自分でふと思ったことに驚きつつ。
とにかく。
差し出されたその温かい飲み物を、コクコクとそのままゆっくりと飲み干してゆく。
「とにかく、今日はもう、ゆっくりとおやすみなさい。― 明日になれば、きっと思い出してるわよ。」
飲み物を飲み終わり、コップをベットの端にとおき。
そんな少女を再びベットにと横にしているローズの言葉に。
「…で、でも…」
「とにかく、子供は何も気にしないで寝る。ね?」
子供?誰が?
あ、そっか、私子供なんだ。
それすらもわからない自分がなぜか不思議に感じる。
よくよく自分の体をみてみれば、確かに。
目の前にいるユリアナという少女と同じくらいであろうか。
部屋の先にとかけられている鏡に自分の姿が映りこんでいる。
それで、自分の姿を確認し。
そんなことを思っている少女。
でも…どうして私は何もわからないの?
そう、自分がどんな姿をしているかなど。
今言われ、そして鏡で見るまで、わからなかったのだ。
普通、自分の名前を忘れている、というだけでは、ありえないんじゃ?
そう思い、さらに思考は混乱してゆく。
「とにかく、今日はゆっくりとやすみなさい?ね?」
そういわれ、その頭をゆっくりとなでられる。
「…はい。」
そのぬくもりがとても温かく感じたのは、これまでに一度たりとてあったかな?
…だから、どうして私、そう思うわけ?
あるはずじゃない。
私にも母親というか、この目の前のユリアナとかいう子と同じように、お母さんがいたんだろうから。
…どうして、私は何も思い出せない…覚えてないの?
そんなことを思いつつ。
やがて、少女は。
ゆっくりと、そのなでられる心地よさにと身を任せ。
そのまま、その意識は再び昏倒してゆく…

カチャ。
寝たのを確認しそっと部屋を後にする。
「…記憶…戻ればいいけど…」
ただの混乱で一時期、忘れているだけならいい。
だけども。
もし−もしも、あの子が本当の記憶喪失になっているとしたら?
そんな考えがふとよぎる。
「ねえねえ?お母さん?今日はあの子のそばでねてもいい?」
自分と同じ年頃の少女。
気にならないわけはない。
そんなユリの問いかけに。
「そうね。じゃ、そうしてくれる?ユリ?
  何かあったら、すぐに連絡して?お母さん、あの子の仲間がどこかに流れ着いてないか。調べてくるから。」
そういいつつ、身支度をし始めるローズ。
ともかく。
何か情報を得ないと。
もし、あの子が不測の事態にて、一人だけこの星にと逃がされた子供でないとすれば。
間違いなく、仲間はどこかにいるはずである。
いや、仲間でないかもしれないが、とにかく、同じ船にと乗り合わせていた誰かが。
「あの子のお母さん、みつかるかな?」
「…見つかることを祈ってましょう。すべてなる母なる宇宙に…」
「うん!あ、でも、名前がないの、不便だよね?えっと・・・あ、そだ!『スミレ』っていうのはどう?」
ふと、あの子を呼ぶときに何ていったらいいのだろ?
そんなことをふと思い。
そして、名前を思いつきそんなことをいっているユリ。
「…スミレ?」
「うん!あの子の周り、スミレの花が咲き乱れてたし。」
この砂浜に群生しているスミレの花。
確かに、少女の足元付近からはしばしのスミレの花畑が、砂浜にと続いていた。
「…そうね。もしあの子が名前を思い出さなかったら…そうしましょうか?あ、でもあの子に許可をとりなさいよ?」
あの様子では…
多分、記憶混乱。というだけではないであろう。
何しろ、自分が子供であることすらもわかってなかったようなあの口ぶり。
すべてがわからないようなあの口ぶり。
そんなことは、たかが、記憶混乱だけでそんな状態になりえるはずもない。
まあ、直前にどのような場面に出くわしたのか、にもよるでしょうけど。
そんなことを思いつつ。
「それじゃ、ユリ。私はほかにこの惑星にたどり着いた誰かがいないか。少し調べてくるから、留守番、お願いね?」
そういいつつ。
身支度を軽く済ませ。
万が一、少女と同じように海から流れ着いている人物がいないか。
または物質などがないか調べるため。
あえて、地下道からではなく地上の道から外にでてゆくローズ。
「うん!まかせて!お母さん、あの子のこと、しっかり調べてきてね!」
できれば、母親が見つかってほしい。
それが切なるユリの願い。
「そうね。なるべく早く戻ってくるわ。
  …漂流者や、そして避難民はすぐにわかるようになってるからね。すぐにあの子のこともわかるわよ。……多分。」
「うん!」
それは、はるかに少ない希望、というもの。
だがしかし。
それでも。
自分の娘と同じくらいのしかも女の子。
そんな女の子を見捨てておけるほど、ローズは非道ではない。

ユリを家にと残し。
砂浜に倒れていた今は眠っている自分の名前すら覚えてない少女のことを調べるため。
ローズは一人、家を後にしてゆくのであった……

「この子とお友達になれるかな?」
もし、この子の家族、そして仲間がいなかったら、お母さんに頼んでうちにおいてもらおう。
そんなことをユリは思いつつ。
一人、少女が寝ているベットの横に布団を敷きつつ。
「目覚めたときに不安にならないようにそばにいるからね?安心しておやすみなさい。」
そういい、しっかりと閉じられているその瞳の上にとかかっている髪をそっとのけ。
そのまま。
ユリもまた、深い、深い眠りにといざなわれてゆく…


― くらい。
ここは…どこ?
…様…
誰かが呼んでいる。
とても懐かしい…誰かが。
今は…呼ばないで…そう…今は…
私は…
私は…私は…いったい…『何』?

自分のことすらも思い出せない少女は。
意識のない、夢の中。
ただただ、真っ黒というか、色すらもない空間に放り出されているような、そんな夢をみつつ。
まどろみのなか、そんなことを思いつつ。
その意識は…そのまま、その思いととももに、まるで何もなかったかのごとくにとかき消され。
後には。
ただただ、何もない…空間としかいいようのないものが残るのみ…


ふわり。
何かが、動いた気がした。
「…う…ん?おきたの?」
寝ぼけつつ、ベットの上にと目をむければ。
少女の胸元のペンダントが光っている。
そして。
その光はまるでいとおしそうにと少女の周りを旋回し…
「何?」
そのユリの声とともに。
その光はまるで何事もなかったかのようにペンダントの石の中にと吸い込まれてゆく。
「…気のせい…かな?」
みれば、安らかに眠っている少女。
「…おやすみなさい。『スミレ』ちゃん。」
自らが名づけたその名前で呼び。
少女の少しはだけた布団を直し。
再び眠りについてゆくユリの姿が。
ユリとローズの家の中の寝室にて、見受けられてゆく。


                        −第3話へー

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あとがきもどき:
    薫:ふふふふふ。
      もうここまでくればおわかりでしょう(というかばればれだってば
      この記憶のない少女。
      ええ、そう。彼女ですv(まて!
      え?フェアリー?
      何しろ彼女が記憶喪失になってますからねぇ。
      その力が思う存分に振るえない状態です。
      しようとおもえばできるけど。
      フェアリーはともかく、彼女の意思優先。ですから(まて
      何はともあれ。
      次回から、話が進み始める…かな?
      たまぁに時代がぽん、と飛ぶとおもいますが。
      まあ気にしないようにv(きにします!
      んではではv
     
    203年12月16日某日
;

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