まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。


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避難通路をつくったときの力の余分。
それがまだあまっているからこそ負担をかけずに、元の力を使うことなく使用が可能。
大地の力は全てをはぐくむ。
それゆえに様々な応用は可能。
「ん~と。そろそろジャミング開始してもい~い?」
無線にて問いかける。
すでに、コーネリアが率いる軍の退路は絶たれている。
そして、ルルーシュの…否、ゼロの指示によりこの地にいた埼玉におけるテロリストたち。
その彼らの活躍もあり軍隊はだいぶ被害をうけている。
もっとも、生身の人間とナイトメア・フレーム。
戦闘力からすれば格段に生身の人間のほうがもろい。
そんな無線から投げかけられてくるリナリーの声に笑みを浮かべる。
すでに撤退命令がだされ、それにまぎれこんでいる。
このまま作戦通りにいけばそれにこしたことはなし。
また、もし相手がコックピットを空けるように指示をしてきたとしても、それをどうにかする作戦をも考えている。
何重にも張り巡らせている作戦の数々。
裏の裏、さらにその裏、延々と相手を出し抜くためには様々な可能性を脳裏に入れて行動しなければならない。
だからこそ、この場には単身、乗り込んでいる。
自分についてくる、と宣言した新宿をアジトとするメンバーたちには待機を命じている。
それは、わざと軍の作戦を報道することによりその裏をかき、軍が何かをしでかすかもしれない。
その可能性もあるからこそ。
「そうだな。なら作戦、開始だ」
「了解~」
そのやり取りを無線で聞いているほかの埼玉ゲットーのテロリストもとい反逆組織の者たちには意味がわからない。
少なくとも、ゼロに協力しているL、と呼ばれている少女とゼロにのみわかる内容。
女の子と操縦を交代し、他の仲間たちと合流しろ。
そう命令がきたときには、一瞬戸惑いも覚えたが。
だがしかし、軍の総攻撃をうけたいの?その言葉で始めにのっていた人物はすでに退却している。
一部のものは、人々を守らせるためにそちらに移動させた。
万が一、あの装置が破壊されてあの人々が避難している場所がさらされたときのために。


繰り替えす、すべての機体のハッチをあけて顔をみせよ。
目の前にとある総督専用の車両よりつむがれる言葉。
やはり、そうきたか。
それも全ては想定のうち。
「準備は?」
「ばっちし♪」
完結なやり取り。
無線ではなく普通の電話。
ただそれだけの完結な会話。
だが、それで十分。
「…10……9……」
カウントダウン、開始。
順番にならばせて顔を確認する。
コーネリアからすればゼロがいるならばこの中にいるはず。
これでゼロの正体がつかめて捉えられる。
その思惑があっての作戦。
だがしかし、その作戦はすでにルルーシュの想定内。
ゆっくりと集まっている軍の機体が順番にと並んでゆく。
ずらり、と整列するのとほぼ同時。
「3…2…1…ゼロ!」
ごがあっん!!
がくっ。
ぐわしやあっんっ!
「な…何だ!?何がおこった!?」
唐突に大地が揺れる音と同時、目の前にある白き車両が瞬く間に地面にのめりこんでゆく。
何のことはない。
すでに薄くなっていた大地。
そこに少しの衝撃を加えれば、おのずとその下にできている空洞に車両ごと落っこちるのは明白。
そう。
コーネリアの軍がこの場に本部を置くことも、すべてはルルーシュの予測のうち。
だからこそ、この場の下にちょっとした空洞を先に作り出すようにリナリーにお願いしておいた。
その空洞のふたのようになっていた地面を吹き飛ばした。
その結果、もののみごとに大地にあいた穴にと車ごと落ちてゆくコーネリアを乗せた車両の姿。

ぶつっ。
「な、何だ!?何がおこった!?」
敵の襲撃、とは考えられない。
すくなくもそのような気配というか機械には何の反応もなかった。
がくん、とした衝撃とともにまったく映らなくなってゆくモニターの数々。
電源はかろうじて持ちこたえているものの、それでも点滅をし視界も悪い。
『うわぁぁ~~!!』
『てきし…てきしゅ…うわぁぁ~~!!』
かろうじて聞こえる無線機よりの悲鳴。
つまりは、何ものかがこの本部に攻撃をしかけてきた、ということに他ならないが。
あつまっていた機体はかなりの数。
そんな中、むぼうにも戦いを挑んでくるものなのか。
『で…殿下、こ…このままで…うわぁぁっ!!』
ざ~~~
悲鳴とともに、まったく無線が通じなくなる。
「ええい!何がどうなっている!?というかなぜにモニター画面もうつらない!?」
「わ、わかりませんっ!」
「で、殿下!コーネリア総督殿下!そ…外をっ!」
指令室はすでにパニックに陥る人々の姿でごったがえしている。
それでも状況を何とか把握使用と必死にモニターの復旧を優先している技術者たち。
そんな中、一人の軍人が指令室にとかけこんでくる。
外?
何かを伝えたいようであるがどうやら混乱していのか要領を得ない。
いまだにモニターには何もうつる気配はない。
ならば。
「一度モニターを切れ」
何もうつらないのであればつけていても意味はない。
それよりは普通の窓に戻して外の様子を伺うこともまず重要。
コーネリア、と呼ばれた女性の声をうけ、すぐさま電源を落とし始める人々の姿。
彼女の命令は絶対。
ソレは彼女が皇族であるがゆえに、絶対的な命令。
「…こ…これは……」
すぐに理解するには一瞬の時間を要した。
そこにうつりこむべきは外の様子のはずなのに。
窓にうつるは、ただただ無機質ともいえる土の壁。
四方をみてもすべて土の壁にと覆われている。
つまりは、車ごと大地の下に落とされた、ということ。
ありえない。
自分たちが本拠地を置いていた場所の地下にはこんな空洞があるような情報はなかった。
ならば、可能性として考えられること。
それすなわち。
「……まさか、私がここに本拠地を構えるのを予測していた?」
ならばつじつまがあう。
多少の機械をつかえばこれくらいの穴を掘ることは可能のはず。
予測していなければちょうどこの車の機体が入るほどの大きさの穴にはならないはず。
しかし、そのようなことを本気で予測し、作戦を立てられるものがこのエリアにいるのか?
お兄様ならそれも可能かもしれないけど、そんな人物の心当たりは……
第二皇子のことを思い浮かべ、一瞬驚愕する。
「とにかく!現状を把握するためにも外にでる!」
「殿下!それはっ!」
「姫様!」
それはかなり危険な行為。
そもそも、今現在においては外がどのようになっているのかすらわからないのだから。

「しかし。本当に甘いな。コーネリア」
指揮をとるべく総司令部でもある車が陥没した。
ただそれだけのことで混乱を極める部隊の姿。
混乱している最中では、たかが軍人一人、機内にはいってこようがそんなものは関係ない。
今ここで、コーネリア姉上の命を奪うことも可能ではあるが、まだそれは早い。
そもそも、作戦というか読みどおりに一人でナイトメアにのり外に出て行った姿を確認したばかり。
後は作戦通りにある品物を動力室にとりつけるのみ。
混乱し、出入りの激しい状況の中では、誰もとがめるものはまずいない。
そもそも、モニターの全てが使用不能となっているこの状況では戦況の確認すらできはしない。
ぴぴ。
「私だ」
「あ、お兄様。こっちは大体おわったよ~」
携帯から聞こえてくるのんびりとしたリナリーの声。
終わった、ということはそれすなわち、主要戦力の全てを無とかした、ということ。
「そうか。ならば仕上げといくか」
「は~い。あ、ルート4でまってるね」
「わかった」
簡単な会話を交わして電話をきる。
そのまま、いまだに混乱しざわめきたっているその場をそのままゆっくりと後にしてゆく。

「こ…これは……」
先ほど撤退命令をだして終結していた軍隊。
その全てがその場において倒れている。
すくなくとも、累々と横たわるロボット達はびくりとも動いていない。
中に乗っていた人々の安否はわからないが、だがしかし。
どこも壊れている様子などもまったくない。
ただ、その場に全てがまるで動力を失ったかのように崩れ落ちている様が見て取れる。
「く。くそ。これでも識別信号などは見えない、か…いや、まてよ?まさか……」
一瞬、ナイトメアの操縦室においてもやはり識別信号などが表示されたモニターが現れない。
そうおもうものの、だがしかし。
一応、地図らしきものは映りこんでいる。
ならば、識別信号が一つも映りこんでいない、その理由は……
「まさか……」
ある可能性を思いつき、おもむろに通信回路を開く。
「コーネリア・リ・ブリタニアの名の元に命じる!全部隊、今一度部隊の様子を把握せよっ!
  繰り返す、全部隊、今一度部隊の様子を把握せよっ!」
ありえない。
自分の頭の中に浮かんだ可能性を即座に否定する。
まさか、たかがレジスタンス風情に全ての部隊が壊滅させられている。
などということは。

「無駄だとおもうけど。コーネリアお姉様、そもそも動ける部隊の人ってあの車に乗ってた人くらいだし」
その回線から発せられる内容をきき思わずつぶやくリナリー。
「まあ。コーネリア姉上は認めたくないんだろう。彼女は昔からなかなか認めようとしないからな」
そもそも、たかが七歳の子供に十七歳のときに負け、それでもなかなか負けを認めようとしなかった。
彼女の気質的には負けん気が強い。
それゆえに幾度もチェスの勝負や、挙句はシュミレーション戦闘ゲームを強いられたことか。
「まあ、お姉様だし。あ、こっちの準備はいいよ。お兄様。そっちは?」
「大丈夫だ」
すでに服は以前のゼロ、として現れたときの姿に着替えている。
すでに必要な映像はとっている。
あとは編集したそれを他の映像とともに流すのみ。
「それじゃ、サプライズ放映、いくとしますかねv」
にこっ。
完全なるコーネリア軍の敗北。
それらを放映、という形で知らしめこれ以上無意味な戦いをさせないために。


「お…オレたち、かったのか!?」
映像として流れたゼロの演説。
それは、原宿におけるコーネリア軍の様子を断罪するもの。
そしてまた、そんな彼らを退けた、というもの。
無意味な戦いはしない。
イレブンの味方でも、ブリタニアの味方でもない。
力なきものの味方。
ゆえに、力を失った軍人もまた民間人と同じ扱い。
気絶したままの軍人たちが地面に横たわっている様子が映像に映し出される。
死んでいない、というのはおのずとあきらか。
どこも外傷などはないのだから。
映像が流れたその後、軍はそのまま引き上げていった。
気絶している人々もまた、動けるものたちが保護しにきた。
おもわず、信じられないような声をだす。
そもそも、ブリタニア軍が攻める、と公言していてそれをなせなかった。
そんなことは今まで聞いたことがない。
だがしかし、現実にゼロの指示に従った結果、その奇跡は起こり、被害も最小限にとどまっている。
「あ、のこっている品物はみなさんでわけてくださいね~」
「とりあえず。しばらくは様子をみたほうがいいだろうな。ブリタニアは何をしでかすかわからないからな」
避難場所にと現れた、ゼロと、そしてLの姿。
そんな彼らの言葉にただただ感謝し、うなづくしかない人々。
この原宿の地において反旗を翻していた組織のメンバーにとってもそれは奇跡以外の何ものでもない。
たった一人の指示により、絶望から奇跡へと変化した。
それこそまるで神風がふいたかのごとくに。
今後の必要になるであろうことをいくつか指示したのちに、その場を後にするゼロとL。
そんな彼らを祈るようにしている人々の姿も垣間見える。
「あ、ゼロ!」
そんなゼロをあわてて追いかける一部のものたち。
だがしかし、彼らがゼロを追いかけるものの、そこにはすでに姿はない。
どこから現れたのか、またどこにいったのか。
それを知るものも当然いるはずもなく。
ただただ、神業のような奇跡に驚愕する人々の姿がしばし見受けられてゆく――


「……ゼロ。か。一筋縄では……」
いや、もしかしたらシュナイゼル兄上よりも厄介な相手なのかもしれない。
こちらの作戦をことごとく先に、先にと読んでいた。
さらにいうならば、あの穴。
つまりは、あんなものを短時間で作れるほどの戦力をもっている、ということに他ならない。
「だが…次こそは……」
生存者たちから聞いたところ、何でも電撃のようなものが走り動けなくなり気絶した、とのこと。
課題はまだまだ山づみ。
電撃の攻撃など思ってもいなかった。
たしかに、普通の金属の塊でもある機体にとっては電気は格好の通り道であろう。
操縦しているのは生身の人間なのだから――


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あとがきもどき:
薫:さてさて。作戦としては、リナリーが敵陣をひっかきまわして戦力をそいでおります。
  また、コーネリアの性格上、どのあたりに布陣を敷くのか、それすらをもルルーシュは予測。
  それゆえに、その真下にちょっとした空洞を作り出してそこに車ごとおっことしたわけです。
  ちなみに、穴を作成したのはリナリーであり、そのとき喰べた土の力において軍を退けていたりします。
  まあ、ルルーシュはどのようにして穴をつくったなんてことは知りません(笑
  まあ、妹の超能力をつかって何かしたんだろうな。くらいです。
  さてさて、ようやく次回でホテルジャック~
  それでは、また次回にてv

2008年4月21日(月)某日

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