まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
ようやく原宿編のまえぶりです~
この回がおわれば、河口湖の組織誕生にいけそうです。
何はともあれ、いっきま~すv
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「ナナリーちゃんやリナリーちゃん、大丈夫かなぁ?」
こんな演説はどうでもいい。
そもそも、葬式、というのに自分の子供が死んだのにまったくもって悲しんでいる様子すら見えない。
ブリタニアに属している機関や組織は強制参加。
しかも、わざわざ学園にまできてこんな演説をする必要もないような気がひしひしとする。
青少年にむけてのアピールをかねているらしいが。
そんなことはどうでもいい。
「リナリーとナナリーが熱をだして、ルルーシュはこの席を欠席している。
弱いものには目もくれない。
だからこそ、病気などでの欠席はあまり深く追求されない。
こ…こんなことなら、私も仮病つかって扇さんたちと一緒にいればよかった。
内心そんなことを思うカレンだが、すでに遅い。
今、目の前、というかかなり前のほうにとある祭壇の上にとたっている男性。
それが全ての発端であり、一番の要。
ブリタニア98代皇帝、その当人。
彼がこのたびの戦争を始めた張本人であるがゆえに。
「シャーリー。しっ」
私語をしている、そうバレタラどんな仕置きをされるかわかったものではない。
だからこそ注意をうながしているニーナ。
自慢話としかとれない、弱肉強弱が全て。
そういいきる皇帝の言葉を不快に思うのはたぶん、彼女たちだけではないのであろう。
だが、それに対して面とむかって否定の言葉をなげかれば不逞罪としてろくな裁判もなく裁かれる。
それが、ブリタニア、という国なのだから。
「しかし、未来がわかる、といってもそれがいつか、わからないと不便だし」
少なくとも、近いうちにあることは明白。
熱をだして休んでいるはずのリナリーが今、いる場所は河口湖のほとりにあるとあるホテル。
コーネリアお姉様がこられたら、埼玉のテロリスト殲滅に乗り出すだろうし。
まあ、すでにあそこに関しては道をつくったし。
それゆえに、体の中に満ちている力。
自身の力ではない大地の力。
弱いものを見捨てて切り捨てる、その考えには絶対についていけない。
「よし。っと、これで完了」
様々な可能性を考慮して、逃げ道となりえる場所にととある装置をしかけておく。
ただの弛緩剤。
ちょっぴし体の動きが鈍り、それでいて数時間程度気絶するもの。
その効力が過ぎれば体には何の変調もきたさない。
まあ、弱いものを虐げるモノには同情の余地はないのは明白だし。
かつん。
ほぼ人気のないちょっとした長い回廊。
そこを一人あるくリナリー。
今、人々は全世界にむけて放映されているテレビの前にあつまっている。
ブリタニア皇帝の演説を聞くために。
「そもそも、あのカール頭の父上の演説きいてどこがたのしいんだか」
あんなのでも一応は父親。
尊敬や、家族愛、というものはまったくもってないが。
今、彼女がやっていることは、彼女が具間みた未来にむけての準備。
それを回避できればそれにこしたことはないが、念には念を。
そもそも、まったくもって関係ない民間人を巻き込むテロなどは認めない。
「しかし。コーネリアお姉様も、ユフィお姉様にむけている愛情を少しでもよそに回してくれないかな?」
失う怖さ、そして大切な家族の存在。
それがわかっているであろうに。
でも、それだけではあの皇族の中でいきてゆくことはまず不可能。
彼女があのようにとにかく力を求めたのも、その一環として自分たちの母親の件がある。
安全、とおもわれていた後宮の、しかも警備も万端でもあった離宮。
それなのに、暗殺されてしまったマリアンヌ。
だからこそ、コーネリアは悟っている。
強くなければ生き残れない、大切な人を守れない、ということに。
その点はリナリーやルルーシュとて同じなのだが。
ぶつぶついいながらも仕掛けを終える。
「さってと。後はお兄様にたのまれてた服の材料っと」
母ゆずりでもある特殊な布の作り方。
兄のあの母の形見である使用している服もその特殊な布で作られている。
ルルーシュお兄様はそのことに気づいてないみたいだけど。
そこいらの普通の防弾チョッキなどといった代物よりは格段に防御力は高い。
ただの、テロリスト集団、というのではなくきちんとした組織を。
組織があり、人が動く。
それは理。
まとめるものがいない様々な各地や世界のブリタニアに反逆している人々。
彼らが一つにまとまれば、多少なりともブリタニアをどうにかできる力をもっている。
というのに。
「とりあえず。桐原さんのところにいってこよっと」
京都六家の一つでもあり桐原泰三。
リナリー達のことを知りながらも口は堅い。
神楽耶ちゃんも元気そうだし。
父を失い、それでも若いながらも当主として頑張っている一人の少女のことを思い浮かべる。
ぶつぶつと独り言をいいながらも、次の瞬間、瞬く間にその場より掻き消える。
ホテルの内部であるからして、普通は防犯カメラなどがきちんと作動はしている。
ゆえに、そんな行動は怪しまれるであろうが、そのあたりは抜かりはない。
そもそも、『うつらない』ようにする方法はいくらでもあるのだから。
「きたか」
時間通り、といえるだろう。
すでに人払いはすませている。
今、この場にいるのは彼と、そして一人の女性のみ。
「こんにちわ~」
毎度のこととはいえ、唐突にその場にいきなり出現する茶色い髪の少女にもはや驚くこともない。
「あ、こんにちわ。ラクシャータさん。はい。これ、頼まれてたものです」
いいつつぽん、とディスクらしきものをその場にいる女性にと手渡す。
「ありがと。Lちゃん。たすかるわぁ。相手のことを知るのにこしたことはないしね」
そもそも、相手のことをよくしらなければそれに対抗することも不可能。
いくら自身が天才だ、そう自覚していても相手の出方まではわからない。
だがしかし、相手の技術力がどの程度か、そのあたりがわかれば話は別。
どのようにでも対抗手段はあるのだから。
「あ、それで。たのんでいた代物できてます?ラクシャータさん」
交換条件がだいたいこれらの情報を手渡すときの決まり。
もっとも、『L』が今までにだしてきている交換条件はとてもかわいらしいものばかり。
到底情報にみあった事柄ではない。
「それは大丈夫。しかし今度はかわったものをいってきたわねぇ。
通信機能がついたさらにはマジックミラー形式の板、なんて」
「自分で大量的に作るより頼んだほうがはやい、そうおもいまして。
あ、でも細かい細工はこっちでしますし」
そもそも、まだ十五くらいの子供がそんなことをさらっといいきるのもはてしなく常識はずれ。
だがしかし、彼女のその能力はラクシャータ、と呼ばれた女性もかなり買っている。
そもそも、その特殊な『超能力』ともよべるその力。
研究対象として目をかける価値はある。
「しかし。L。こんなものを頼んでくるとは。もしや噂のあのゼロに関係あるのか?」
先日、いともたやすく軍の手から枢木スザクをゼロ、となのる仮面の男が助け出した。
そのことはもはや全世界的に知られている事実。
「さあ?それは時が満ちてのお楽しみ、ということで♡」
それだけいいつつ、にこっとりと質問を笑みで返す。
「あとは頼んでた黒い布なんですけど~」
「まあ、いいがな。それはそこに用意してある」
彼女が見返りとして要求することはほとんど限られている。
それはちょっとした物資であったり、こういった布であったり生活用品であったり。
到底ブリタニアや他の国々が率先して隠している軍事機密や最新技術。
それらの情報提供、といったことに見合っているものではない。
それでも、リナリーにとってはそんな情報よりも必要なのは後者のほう。
何から何までアシュフォード家にたよるわけにはいかない。
ましてやアルバイトなどをしてお金を稼ぐ、にしてもこの容姿からどこから漏れるかわからない。
黒い髪に黒い瞳。
ゆるやかなウェープ。
それは、歳とともに母であるマリアンヌによく似てきている。
それは妹であるナナリーとて同じこと。
もっとも、ナナリーに関しては髪の色が異なり、目が見えていない、というのでそうたやすくは見破られないであろうが。
「ありがとうございます!これで服がつくれますっ!」
ぐっとこぶしをにぎりしめつつ、お礼をいうそんな彼女の台詞に、
「……ま、まあ、いいけどね」
「あいかわらずだな。Lは」
ただただ苦笑するしかないラクシャータと桐原、とよばれた老人。
普通、服などを作ったりするのに必要な布がほしい。
それだけで他の国の重要機密をほいほいと盗み出しては提供するであろうか?
だが、リナリーにとってはそんなことはどうでもいい。
必要なのは生活に必要な品々、なのだから。
「それじゃ、ラクシャータさん。品物、もらっていきますねー。あ、あとこれ、おまけです。
プリンさんがあれ、いいパーツ見つけたとかで実験にはいってますから。それの情報です」
知っているのに越したことはない。
そのまま、ぽいっともう一つのディスクのようなものを手渡す。
ディスクに収められている情報は、昨日現在におけるまでの最新データの数々。
「プリンのやつが?あ~、あの白い機体ね」
新宿であらわれた見たこともない白いナイトメア。
瞬時にその情報のことだと理解するラクシャータ。
まあ、あの白い機体を足止めしていたナイトメアには興味があるが。
どちらにしても、操縦していたのが目の前の少女ならば全てのつじつまがあう。
何しろ彼女はどんな物質などにおいても自分の力で『覆う』ことができるのだから。
「それじゃ、用件はすんだので、私はこれで~」
ぺこり。
その場にいる二人にぺこり、と頭を下げると同時に来たときと同様、いきなり姿が掻き消える。
それと同時に、用意していた黒い布の入ったケースも、そして離れた場所にとあるとある品々が入っているケースも。
しばし、彼女が消えた空間をながめつつ、
「時が満ちれば。か。ふははは。こんどは何があるのやら」
「ん~。また新しい研究がこれでできる、ってものよね」
桐原からすれば、ブリタニアという国をどうにかぎゃふん、といわせたい。
できうれば国そのものを壊滅させたい。
だが、それができないから裏にて各地のレジスタンスを支援する立場をとっているのだから。
ラクシャータにしては、かつては軍に属していたものの、軍の中では規律が優先。
ゆえに好きな研究などもなかなかできない。
だから、離れた。
自分の好きなことをするために。
研究にかかる膨大な費用は『京都六家』と呼ばれる組織が負担してくれている。
だからこそ好きな研究に没頭ができる。
それに最新の様々なデータが手にはいるのだから、研究の成果は目に見えて明らか。
さらには過去における失われた技術。
それらの情報も提供されればなおさらに。
「しかし、Lも無理しなければいいがな」
「ん~。まあLちゃんなんだし。大丈夫なんじゃないですか?桐原公?」
そんな会話をしつつも、窓の外を眺める。
そこにはブリタニア、という国に搾取されつづける日本、という国のあり方が眼下に見て取れる。
すでに、うつくしかった日本、という国の自然はなきに等しい。
皇帝の娘でありながら、その父により母をころされ、そして命すらをも狙われているあの兄妹。
兄のほうもその頭脳をいかし、水面下でブリタニアに対して反旗を翻しているのをしっている。
そもそも、軍の中に蔓延している彼らの手をやかせているウィルスも全ては彼の提案ゆえ。
もっとも、桐原老人は知らない。
その兄がゼロだ、という事実は。
だが、勘が告げている。
これから、日本といわず世界を巻き込んだ何かがはじまる。
ということを。
「…これからいそがしくなるかもしれんな」
ぽつり、とつぶやく桐原老人の台詞は、ただただ広い部屋の中にかき消されてゆく。
「第七世代のナイトメアフレームでして、その能力は通常の……」
追い出され、大学の体育館に駐在することを話しをつけた。
シュナイゼル第二皇子の命があれば断ることなど大学側には不可能。
「そのランスロッド。パイロッドはイレブンだと聞いた」
特派とはいえ、自分の直属の指揮下ではないといえ知っておくべきではある。
「はい。名誉ブリタニア人です。しかし……」
「一等兵から少尉に特進させた。それだけで満足せよ。ナンバーズなどに頼らずとも私はかってみせる」
それだけ言い放ち、その場を後にする。
そもそも、あんなナンバーズごときに頼りたくはない。
それでなくても妹があのナンバーズを気にかけていればなおさらに。
「命をかけて戦うからこそ統治するからこそその資格はある。その理屈はわかります。お父様。でも……」
父の言いたいことの理屈はわかるが、だからといって切り捨てる、その考えには賛同できない。
とはいえ、自分自身にできることも……
自分にできること。
それは何があるのか。
姉の手伝いをしたい。
でも、それは本当に自分のしたいことなの?ユーフェミア?
自分自身に問いかけても、誰も返事を返すものなどいるはずもない。
「あ、あの?」
「いいから。あなたたちはとにかく、ここで隠れててください。
とある情報によれば新総督はここで新宿を再現する、との情報がありますし」
すでにゆっくりとではあるが周囲は囲まれてきている。
だがしかし、素直に信じるものはごくわずか。
いまだにブリタニア、という国がどのようなものなのか理解していない人々。
いや、信じたいのだろう。
人であるかぎりは。
とりあえず、各地区の代表には話しを通した。
あとは彼ら次第。
すでに人一人ほど通れるほどの幅の避難通路は各地区に設けている。
その通路は全て、この場にと通じている。
原宿の中心地にとあるかつてはちょっとした大学のあった場所。
すでに建物自体は使われておらず、利用価値はあまりない。
それでも、雨風をしのげ、さらには過去における施設がのこっている、というのはありがたい。
周囲に特殊な防御装置を張り巡らせているので敵意をもつものにこの場が気づかれることはない。
全ては事前に情報を手にいれ、また未来を視ることができるがゆえの行動。
兄には全ての準備が整えば連絡する手はずにとなっている。
「とりあえず、衣食住は大丈夫のはずですし」
伊達に元大学の校舎ではない。
部屋の数もかなりある。
ましてや一応、シャワー室などといったものもあればなおさらに。
すでに使えなくなってひさしかったそれを『戻し』て使えるようにしたのは他ならない彼女。
この場にいるテロリスト集団においては、Lの情報をなかなか信じようとしない節がある。
そもそも、物資提供などをほどこしていた彼女でなければ一笑にふせたであろう。
彼らは今、情報の正確さを求めて偵察をしているはずである。
そろそろ…はじまる。
すっと意識を外にむけると、案の定、始まりの合図の火蓋がきっておとされようとしている。
それは、第三者からみてもあきらかに誰か、をいぶりだすため、とわかるほどに。
「…さて。とりあえず、女性や子供、お年寄りが優先ですので。後はよろしくおねがいしますね~」
どこからもってきたのか、どっさりとある食べ物や、そして衣服といった数々。
少なくとも、ここに隠れている間は食べるものなどには困らないほどにその量はある。
あとは、全ての地区の住民がこの場に逃れてくれば問題はない。
だが…人、というものはコトがおこらなければ行動を起こさない。
自分は巻き込まれない、というか現実逃避をし、現実から逃れるものが多い。
その結果、自分の命が奪われようとも。
「ん~と。今回のを視るかぎり、スザクさんはでてきそうにないし」
ふとみれば、スザクは校舎内にと戻っている。
ミレイは電話口でお見合いがどうの、と話しており。
そしてまた、ニーナに関してはいつものごとくに実験三昧。
「…そろそろ、いいかな?」
どうやらルルーシュお兄様のほうも部屋にもどったみたいだし。
何やらC・Cと話している様子が見て取れる。
確かに。
生きるかぎり弱肉強食は世の掟。
それでも、人におどらされてそのようになるのはそれは掟外。
「とにかく。今は。始まる悲劇をはやいところおわらせないと、ね」
その相手がいくら仲のよかったコーネリアお姉様であろうとも。
というか、お姉様、ユフィ以外には非道すぎ。
そう内心リナリーが思うのも無理はない。
だがしかし、力こそ全て。
そう教わり、コマとして成長させられるもの。
それがブリタニアの皇族の宿命。
その、『証』がある限り。
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あとがきもどき:
薫:ん~。スザク達のほうのアニメのあの話題いれようとおもったけどやっぱり却下。
いれたらかなり長くなってしまう自覚あり(断言
ともあれ、ようやく次回、原宿編v
アニメとは異なる展開になりますvあしからず~
何はともあれ、それではまた、次回にてvv
2008年4月21日(月)某日
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