まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。今回は例の枢木スザクの救出劇です。
やはりセントウシーンなどは割愛で(こらこら
それでは、いっきますv
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あのときから、私はもう、決めていたのかもしれない。
絶体絶命のときに聞こえてきた、あの無線の声のときから。
不可能を可能にする。
そう、あの仮面の男、ゼロはいった。
新宿のときにおいても、それは現実となり、そして今も――
自分より小さな女の子ですら彼と共に行動し、信頼しているのが見てもわかった。
彼女自身もまた、一人で様々な慈善活動を行っている、というのを知っていたのもあるのかもしれない。
だから、私は…今、決める。
――紅月カレン。
~~
「まあ。そういう事情なら仕方ないわね」
ルルーシュが昨日、昼からの授業に出られなかったわけ。
新宿のあの騒ぎに巻き込まれていた、というのにも驚愕するが。
国からの正式発表は、テロリストたちによる毒ガステロ。
だがしかし、すでにネット上には真実の映像が蔓延しており、どちらが真実かは明白。
「でも、よかったわ。ルルーシュが無事で。その子のことはお爺様にもいっておくわ」
あの騒ぎに巻き込まれ、記憶を失った少女。
それがC・Cの設定。
名前のイニシャルがC・Cだった、というのしか覚えていない。
という設定にしたがゆえに、さほど違和感を感じさせていないらしい。
軍にはいえない。
いえば、ルルーシュたちの身分がわかってしまう危険性をはらんでいるから。
「ありがとうございます!だからミレイお姉様、大好き!」
ぎゅ。
「こらこら!リナリー。いきなりだきつかないで~」
今朝方、きになり建物を訪れた。
そこで説明されたのは、新宿の一件にルルーシュが巻き込まれた。
ということと、そしてそんなルルーシュをかばって負傷した女の子がいる、ということ。
今は眠りについているらしいが、気がついた彼女は自分の名前のイニシャルしか覚えておらず、
自身が何者かすらもわからない状態だったらしい。
新宿の惨事は軍の発表とは異なるとはいえ、ネット上でみているがゆえにミレイ・アシュフォードも知っている。
「でも。本当にお兄様が無事でよかったです……」
もっとも、あれから異様なまでに静かになのが気にかかるが。
いまだにアレの正式発表はない。
と。
『ただいま入りました、臨時ニュースをお伝えいたします。
このエリアの総督である、クロヴィス・ラ・プリタニア殿下が昨日、崩御されました。
繰り返します、昨日、総督殿下が暗殺されたもようです。
なお、暗殺の首謀者は、名誉ブリタニア人の枢木スザクとのことです』
画面から流れてくる映像と、そして連行される白い服をきている少年の姿。
「…なっ!?」
その映像をみて思わず言葉を詰まらせるルルーシュ。
「うそ…嘘です…そんな……」
「ナナリー!!」
ショックで気を失うナナリーをあわてて抱きしめているリナリー。
ブリタニア軍のやりそうなこと。
彼が実行犯ではない、とわかっていてもいけにえは大事。
名目を保つために。
だから、彼に刃がたった。
あの場で、しかも日本人でありながらナイトメアを操縦していた彼に。
ざわざわざわ。
その報道が伝わるとともに、国内中でざわめきがおおきくなってゆく。
「くそっ!だからもっと早く犯行声明をだしておけばっ!」
その報道におもわずいらだつ。
先日のいきなりの撤退命令。
そして、今の報道。
「…どうおもう?」
「おそらく。あの指示をだしていたヤツがやったんだろうな。あのつかまったヤツじゃない」
あの後。
最後の指示があり、総督が死んだ、ということは聞かされていた。
半信半疑ではあったが、まさか……
「そもそも。あの声の主は一体……」
声だけで姿は見えずに、見えたしても操縦していた機体ごし。
あのとき、通信機から聞こえてきた声は、絶体絶命であった彼等を救った。
ましてや帝国軍、しかも総督自らが率いる軍隊に打ち勝った。
あのような状況で的確に指示をだせる人など、彼等は一人しか知らない。
いや、彼ですらそこまで的確に指示をだせたかどうかわからない。
さらには、その混乱に乗じて敵の総大将を討つ、といった大胆な行動をとれる人物を彼等は知らない。
敵か、味方か、といえば味方であろうが完全に味方、ともいいきれない。
情報が足りない。
何もかも。
「……で?お兄様、どうする?」
うなされるナナリーを咲世子に任せてルルーシュの部屋にとやってきているリナリー。
リナリーの言いたいことはルルーシュには理解できる。
すなわち、無実の罪で捕まった、彼のこと。
「どんなことをしてでも。スザクは助ける」
というより、あのとき下手に口をすべらせそうになった彼のこと。
今だに手のものが入り込んでいない、ということは問答無用で話す弁解の余地がない状況なのは明白。
おそらく、言葉がだせないような拘束具をつけられて裁判の場につれていかれて、そのまま公開処刑。
ブリタニアという国がやる方法とすればそんなところであろう。
「でも、二人だとこころもとない、かなぁ?あ、永田さんたちに協力おねがいできないかな?」
少しばかり考えて、ぽんっと手をたたいていってくるリナリーの言葉に。
「…永田?」
「ほら。あのトレーラー運転してた人。あの人たちはけっこう口堅いし、それに役だつとおもうし」
「なるほど。…まあ、それは相手の考えを確認してから、だな」
ただのテロリストならば使えない。
本当に、ブリタニアという国に対してどうにかしよう、とおもっている心があるか否か。
それがあるのとないのとでは格段に覚悟が異なる。
しばし、リナリーとルルーシュによる話し合いが執り行われてゆく――
「Lさん。聞かせてくれないか?なぜ君は…」
聞きたいことは山とある。
そもそも、どうしてこんなあからさまに怪しいとおもわれる仮面をつけている男と知り合いなのか。
とか。
まあ、この仮面の主に助けられた、というのもあるにはあるが、気になるのは当たり前。
「彼、が信じられませんか?永田さん。扇さん?」
そんな彼等に質問を質問で返す。
常に声のトーンを変えてはなしているので、普段の声とは異なる。
声色もまた彼女の得意とするもの。
まさか、再び指定された場所に彼女がいるとはおもわなかったが。
それはつまり、あの仮面の男はこのLと呼ばれている少女とすくなからず関係がある者だ、ということ。
しかし、彼等が何をしたいのかが理解できない。
借りた借りはかえすのが当たり前、というのと、彼の行動に興味があり参加したのがたったの三名。
もし、彼女も彼の仲間にいる、と知れば進んで仲間に入ろうとするものもいたであろうに。
ここにくるまで彼女がいることすら知らなかった。
「ブリタニアは。弱者を虐げる。弱いものは必要ない?強いものこそ正義?そんなの…間違ってるから。
あの、『ゼロ』も同じ思いだから。だから私はここにいる。それに、彼の知略に勝てる人っているのかなぁ?」
多少の兄妹の欲目とはいえ、彼の知略はたしかに長けている。
本国においても小さいながらもその知略には目をかけていた存在も多かった。
だからこそ、めざわり、とおもわれていたのもまた事実。
その口ぶりから彼と彼女が長い付き合いであろう、というのは容易に想像はつく。
ゼロ、と自らを名乗り、そして少人数で無実の罪で捕まった枢木スザクを助ける。
その作戦の中身はいまだ彼等は知らされていない。
「しかし…これは……」
いったいどうやって運んできたのやら。
この少女に関しては様々なつっこみがしたくなる。
唯一、この場にいるもう一人の女性もまたその思いは同じ。
自分たちが必死にどうにかうばってきたカプセルが今、そこにある。
情報では毒ガス、だがしかし実際は人を閉じ込めるカプセル。
「一部の、しかもごく限られた人しか、これが何なのか、知らされてないし。
はったりと取引材料には一番でしょ?誰も傷つくこともないし」
当然、中身は空。
だがしかし、その中にいれたのは、ただの煙幕に使う煙。
「なるほど。つまり、軍のやつ等はこれが毒ガスのカプセルだ、そう信じている、というわけか。
…確かに。これとあの男を引き換えに、といえば話にのってくるかもしれないが……」
だが、それだけでは。
「大丈夫だってば。まだ使ったことがないけど、たぶんこれも使おうとおもえば使えるし」
いいつつも、小さな何かの見た目携帯電話のようなものを取り出してにっこりと微笑むリナリー。
当然、今のリナリーの姿は、サングラスに、そしておかっぱの茶色いウイッグ。
ぱっと見た目、アシュフォード学園にかよっているリナリー・ランペルージだとは誰も思わない。
声も姿も変えている状態で、それを見破る、といえばそれはかなり親しい間柄のものに限られているだろう。
「それ、何?Lさん?」
話には聞いていたが、噂の人物が自分より小さな少女だとは。
彼女のおかげで助かった人は数知れず。
不足している医療関係の品ですら、彼女はどこからともなく調達し、そして無償で配る。
サングラスをかけているのではっきりとはいえないが、日本人なのかそれともそうでないのか。
そのあたりはあいまい。
「んふふ♡秘密♡ま、これつかうこともないとおもうけどね」
このあたりの受け答えはたしかにまだこどもっぽさが残っている。
「でも…どうして、どうしてあなたのようなまだ見たところ十五かそこらでしょう?」
気になっていたこと。
だからこそ、問いかけた。
そんな赤い髪の少女の問いかけに、しばしぴたり、と手をとめて。
「これ以上。大切な人たちをブリタニア、という国に連れて行かれないため」
きっぱりといいきるリナリー。
わかるだろうか。
かつてにおいても、今においても目の前で親が殺される、というその恐怖と絶望が。
いや、今の彼女にいってもわからないであろう。
なぜ、『あの女性』が常にそばにいるのかすらも勘違いしている今の彼女には。
「そういえば。あのこれにつかまってた、という子は……」
「うん。おかげ様で無事。もっとも、逃げ出した彼女を事実をしるもの達はほうってはおかないでしょうけど」
それはつまり、水面下にて捜索を行い、見つけ出ししだい処分しかねない。
という意味を物語っている。
「……そうか」
すくなくとも、自分たちの行動は、一人の人間を救い出せた。
それだけでもよしとしなければならない。
あのブリタニアという悪魔の手から助け出せた、というのだから。
「よっし。これでオッケー。っと」
彼等がハリボテとしてつくっていたのはトレーラーに装飾を施す程度のもの。
「みたかぎり、皇族専用、クロヴィスの専用トレーラーと寸分たがわず。こんなものかな?」
というか、どこからこの機材などを調達してきたのかすらもわからない。
クロヴィスは装飾にこだわるがゆえに、専用トレーラーなどに関しては、いくつもの変えを用意していた。
それごとこっちに移動させることも可能であったが、それだと逆に細工がしにくい。
なので、まだ基本パーツのみができているトレーラーを『とって』きただけのこと。
がくがくがく。
周囲には並み居る軍人。
顔を隠している、とはいえつかまればそれまで。
そもそも、怖いのならば扇達のほうを手伝ってほしい。
そういわれて待機しているが、この待機している間にも気づかれたりしたら一巻の終わり。
実はそんな心配などは皆無なのだが。
第三者の目からはこの付近の異物は視えないように、多少リナリーが細工をしている。
だが、そんなことは彼等は知る由もない。
「…いったい、あんなハリボテで何をする気なんだ?あのゼロってやつは?」
率先して一人で車の運転をする、といったあのLという少女も気にかかる。
度胸としては彼女のほうが勝っている。
もっとも、彼等は知らない。
彼女がいざ、となればすぐさまに移動できる力を用いている、ということなど。
運転席にと備え付けられている映像には、たからかに宣言している仮面の男の姿が映し出されている。
クロヴィス総督の葬儀は全国放送。
その中で、高らかに暗殺したのは自分だ、と言い放ち、挙句は相手の動きをもとめている。
おそらく、周囲の人々は何が起こっているのかわからないだろう。
攻撃を止めた、ということは、おそらく、あの指揮をとっている人物はあのカプセルが毒ガスのカプセル。
そう信じている、ということに他ならない。
クロヴィスが民間人の大量虐殺を命じたから、だから制裁を加えた。
その台詞に集まっていた人々からざわめきがおこる。
ネット上にまかれていた映像は偽造されたものだ、と軍が躍起になって情報をかくそうとしていた。
だが、今、目の前、いきなりあらわれた仮面とマントの男はそれが事実だ、と物語っている。
虐殺された中には、たまたまあの場所にいたブリタニア人もいた。
その映像はすでに全世界にと流れている。
ましてや被害にあった家族は、死体を確認したときに残された傷跡から真実を理解している。
軍は、民間人を守るものではない。
ただ、搾取してゆくだけの存在。
それがわかっていても、目をつむり生活している一般の人々。
そうしなければ、この世界では生きていけないから――
「く…くそっ!!」
ガッン!
コックピットにただただ、手をたたきつけるしかない。
何が起こっているのかわからない。
ただ、唯一いえることは、操縦が全て不能になっている。
ということ。
彼等の仲間がこの下に待機しているであろう、ということがわかるのに。
それなのに動けない。
「……信じられない。本当にたすけだした……」
思わず唖然とした声をあげる。
考えられない、というかありえない。
あんな警備が厳重の中、たったひとりの日本人を救い出すなどと。
しかも、どうやっているのかしらないが、追っ手たちは逆に同士討ちを始めていたりする。
「よっし!これやっぱり成功v識別信号を狂わして、勝手に装置がうごくように作ってみたけど」
テレビ画面から流れる映像に唖然とする彼等達とは対照的に、にこやかにそんなことをいっているL。
『それより、この拘束具をはずせるか?』
「あ。うん、ちょっとまってね。これって型はほとんど同じだしね」
昔からあまり変わらない、こういった品は。
ちょいちょいと、何やら首にとはめられている首輪のようなそれにと手をかける。
ガシャ。
しばらくすると、ガシャ、という音ともに拘束具の外れた音。
いまだに同士討ちのような混乱がおこり、煙幕によって自分たちのことは隠されている。
拘束具にとある識別信号はすでに無効化になるように、この乗り物自体に『力』をかけている。
「あとは、これを…っと」
そのまま、ぽいっと下にとみえている川にと放り込む。
実際は川につかると同時に、拘束具が先ほどまで彼が捉えられていた場所の下に落ちるように仕向けている。
つまりは、我に返った軍の人間がみたときには、誰かが内部で手引きをし、拘束具をその場からはずした。
というようにうつらなくもない。
当然、そんな不祥事、というようなことが公に報じられるはずもないが、すなくとも不穏な目は育つ。
「「「……は?」」」
おもわず、唖然。
というか、信じられない。
「つ~か。んな馬鹿正直なやつが軍にいたの?」
「そもそも、そんな馬鹿正直なやつが軍に入る自体が間違ってるとおもうが」
「同じく」
奥のほうでゼロ、となのった人物と、あの枢木スザクとが話していた。
そして、出てきたのはゼロ一人。
ゼロから説明をうけて、おもわず唖然とするしかない彼等、玉城、カレン、扇の三人。
何でもきちんと裁判が終わっていないから、といってそのままのこのこと馬鹿正直にもどっていった。
とのこと。
あきれる以外の何者でもない。
「それは私も同感だな。あのものの力…おしいのだがな。ともかく、これで目的は達した。
協力してくれたお前たちには感謝する」
それだけいい、そのままマントをたなびかせ、その場を後にしようとする。
「って、ゼロ。あんたは…あんたは本気でブリタニアと戦うつもり、なのか?」
これは確認。
こんな神業ともいえることを成し遂げられたのは、この目の前の仮面の人物をおいて他にはいない。
「むろん。わが身はブリタニアを消滅するために産まれたのだからな」
「…ゼロ。俺をあんたの元でつかってくれ」
「って、扇さん!?」
彼等のリーダーを勤めていた扇の台詞に思わず驚愕する。
扇要。
カレンの兄であるナオトが死亡したのちに、プリタニアに反発する組織のリーダーを勤めていた。
「あんたがなぜ仮面をかぶっているのか。何となくだがわかったような気がする」
おそらくは、彼は日本人ではないのだろう。
それでもブリタニアに反発し、あまつさえその破滅を願うもの。
「ふっ。だが、私と進む、ということ。すなわち敵にする、ということだぞ?ブリタニアそのものを」
「わかってる。だけど…あんたならそれをやってくれそうな気がするしな」
もう、迷いはない。
「他のみんなの意見は?」
「…ち。しゃ~ねえなぁ。たしかにこいつの力は認めるよ。その戦略もな」
はったりで、誰も傷つけることもなくあざやかに無実のものを救出した。
その手腕はみとめざるをえない。
あんなはったりが幾度も通用する、ともおもえないが、新宿の一件もある。
「……覚悟はある。か、何かあればまた連絡する。ゆくぞ」
「は~い。あ、それじゃ、みなさま、またいつか!」
ぱさり、とマントを翻し、その場を後にする仮面の男の後に続いてついてゆくLの姿。
そんな彼らの後姿を追いかけるでもなく見送りつつ、
「…あのLって子…あの仮面の男の部下、なのかな?」
「すくなくとも、互いに信用しあっている。というのは間違いないだろうな」
あんな自分の身すら危うい状況でも、率先して彼のために運転手を名乗り出た彼女。
一番、命の危険が伴う、というのに。
ぎりっ。
何だろう。
このもやもやは。
「扇さん。私もゼロについていく」
「「「カレン!?」」」
圧倒的なまでの、敵ですら従えるほどの凛とした態度。
自分たちに一番足りなかったもの―――
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あとがきもどき:
薫:とぎれとぎれだと意味がわからないかな?ま、自己満足なんだからよし(こらこらこら!
多少、アニメの回と異なるというか合併させたりしている部分もあったりします。
そのあたりをご了解くださいねv
ま、よんでる人なんていないでしょうけど(確信犯
何はともあれ、また次回にて~♪
2008年4月18日(金)某日
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