まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

にゅうう!?
何か前書きがおかしい(汗)なぜに!?

#####################################

コズミック・サブリナル   ~第49話~

新宇宙の育成完了。
それは、すなわち。
女王試験の終了をも意味している。
「しかし、短いようで長いようで、感慨深いものがありますね……」
即位式は月曜日。
そう決まった。
自分たちの役目もまた、試験完了とともに終了。
それぞれにそれぞれの場所にと再びこの聖地から離れて戻ってゆく。
月曜日になれば、二人の女王候補たちは、それぞれに。
新宇宙の初代女王と初代補佐官として、新宇宙にと旅たってゆく。
それを見届けて自分たちもまた。
この聖地からティムカは白亜宮の惑星に。
そして、ヴィクトールは今まで現役を退いてはいたが、再び現役の王立派遣軍に。
セイランはいつものごとく、また旅の空に。
この聖地での暮らしにおいて描いたイラストや詩などの展覧会を。
なぜかチャールズがスポンサーになるからやりませんか?
という話も出ていたりするのは、また、チャールズが商売人がゆえか。
彼は表に出ることはあまり好きではないがゆえに。
そういった展覧会なども彼の作品のみが展示されて公開される。
まあ、悪いことではない。
「でも、そうしたらメル、みんなとももう会えないの?」
しゅんとなっているのは。
この聖地にと新たにこの女王試験のためにとできた占いの館の責任者、メル。
最後だ、というので。
彼らの私邸にと招かれて、
今回の女王試験についての反省会みたいなものを開いている彼ら教官者と関係者の一部の者たち。
そんなメルの言葉に。
「そんなことはないさ。運がよければまた世界のどこかで会えるさ。」
などといっているセイランに。
「ああ、みんなそれぞれに自分のいるべき場所にもどって。
  それぞれに自分のやるべきことがこれからは待っているだろう。
  だがしかし、短い間であったにしろ、われわれがこの女王試験において。
  友情で結ばれたのは、それは誰にも否定されることもない事実なのだから。
  それぞれの道にもどったとしても、つながりが途絶えてしまうわけではない。」
そんな彼らにとむかって語りかけるヴィクトールのそのせりふに。
「私は。とりあえず女王陛下のお許しを得て、しばらくは新宇宙の王立研究院にと出向くつもりです。
  それから、主星の王立研究院に再び戻ります。」
設備など、今回の女王試験のためにと設置された王立研究院。
その設備丸ごと、女王の即位とともに、深宇宙にと移転する。
まだ、何もない新宇宙。
ゆえに、設備とかも何もまだそろっていない。
物質の空間転移。
それは、エルンストがもうひとつ、手がけている研究事項ではあるにしろ。
「え~、皆さん。何かありましたら、すぐにうちにいってくださいな。きばりまっせぇ!」
などと、そんなことをいっているチャールズ。
「チャーリーさんは、この試験が終わったらどうする気なんですか?
  まあ、ウォン財閥五代目総帥にそんなことを聞くのはヤボかもしれませんが。」
などと問いかけているそんなティムカのその言葉に。
「いややなぁ。ティムカちゃん。当たり前のことをきかんといてや。
  そやなぁ。今画策してるのは、聖地での行商に関しての本でも出版してみたいんやけどなぁ。
  だけど、ジュリアス様に知られてしもうて、却下されてしもうたしな。
  売れるとおもったんやけどなぁ。守護聖様たちの肖像画とかもいれた本。」
「……それ、絶対に却下されるって……」
そんな会話をしつつも。
しばし、彼らは今回の試験において様々起こったことについて。
いろいろと思い出話にと花を咲かしてゆく。


月の曜日。
今日は、正式に新宇宙の女王が即位する日であり。
そしてまた。
事実上、女王試験完了の日でもある。
「それでは、新宇宙の女王即位式を開始したします。
  新宇宙創世記、初代女王、アンジェリーク=コレット。前へ。」
「はい。」
すでに、少し前に、別室にて。
それぞれに着替えている二人の女王候補。
それは。
コレットは淡いピンク色のドレスに身をまとい。
レイチェルは紫のドレスに身をまとっている。
彼女たちはもともと、王立研究院の研究者と、そしてまた。
学生であったがゆえに、こういった正装の服、というものは当然持ち合わせているはずもなく。
また、レイチェルはその仕事上、こういった儀式に参加することもしばしばあったがゆえに。
正装たる服はもってはいるものの。
だがしかし。
それはあくまでも招待客としてのもの。
主賓、としてのそんな大それたものなど持っているはずもなく。
この服は、ロザリアとそしてリモージュからコレットとレイチェルに対しての贈り物。
この宇宙からまだ見ぬ新たな新宇宙にと赴く二人への。
茶色い髪にピンクの服がとてもよく似合っている。
胸元にあしらわれたふわふわの羽は。
それは聖獣をイメージしたもの。
リモージュにと呼ばれて、女王の間の前にと進み出る。
その横にはすでに、レイチェルがコレットを見守るかのようにと立っていたりはするけども。
「では、これより。
  新宇宙、聖獣の宇宙創世記の初代女王。アンジェリーク=コレットの即位式を始めます。」
凛とした、それでいて、鈴を転がしたかのようなリモージュの声が部屋全体にと響き渡る。
すでに、守護聖、そして関係者全員はこの場にてそろっている。
リモージュの声に導かれ、玉座にと座っているリモージュの前にと進み出てゆくコレット。
「アンジェリーク。これに。」
「はい。」
すっと立ち上がるリモージュに促され。
その目の前でひざまづく。
「わが名のもと、ここに新宇宙創世記初代女王。
   アンジェリーク=コレットを女王として宇宙の意思たる聖獣に代わり。
   ここにその意を伝え、拝命の儀式を執り行うものとします。」
ひざまづいたコレットの頭上に手をかざすリモージュ。
リモージュにと手をかざされたその刹那。
まるで、精神が抜け出たような錯覚にと陥り。
視えるのは、自分とそしてレイチェルとで育成した新宇宙。
そして、その傍らには。
……アルフォンシア?
宇宙の意思たるアルフォンシアがより強く感じられる。
そして…まぶしいばかりの光の渦にと飲み込まれ。
それは、精神、というか魂そのものが、かの地とまるで一体化するようなそんな不思議な感覚。
かなり長い時のような気がするが。
だが、ハタからみれば、それは一瞬のこと。
リモージュが手をかざすと同時に。
コレットの体が金色の光に包まれ。
そして、それはやがて。
その背にリモージュと同じく、淡く金色にと輝く白き羽が出現する。
まるで、さなぎが今まさに蝶にと羽化し、羽ばたくかのごとくに。
その光景は神聖そのもので。
守護聖の中からですらため息が漏れるほど。
「ここに、アンジェリーク=リモージュ=エターニアの名のもとに。
  聖獣の宇宙、初代女王、アンジェーク=コレットの即位をこれをもって決定いたします。」
そう言い放ち。
「アンジェリーク。ここに。」
「はい。」
今この聖地におけるこの空間の一部は。
新宇宙の聖地と直結して空間がつなげてある。
ゆえに。
リモージュが座っている椅子とは別に。
新宇宙の聖地の玉座の間もまた。
一部の空間のみではあるが、ここに今まさにあるようにと存在している。
その椅子にと座るようにと促すリモージュ。
リモージュの声にと促され。
その席にと座るコレット。
それと同時に。
さらにその体から光がほとばしり。
その光は、新宇宙全体を包み込んでゆく。
それを感じることができるモノは、聖なる力をつかさどる守護聖と、
そしてまた、星星の声を聞ける繊細な魂の持ち主のみ。
「これをもってして。創世記初代女王、アンジェリーク=コレット。
  新たな女王に対し、それぞれにお祝いの言葉を。」
玉座にと座ったコレットに対し。
全員を見渡し高らかに宣言しているロザリア。
そして。
「アンジェ。ううん。女王陛下。これからも二人でよろしくお願いね。」
そんなコレットの前にと進み出て、にこやかに話しかけているレイチェル。
すでに、レイチェルが新宇宙の補佐官になる、というのは。
この場にいる全員がすでに伝え聞いている。
そして、コレットが女王になる、ということも。
「レイチェル……ううん。私のほうこそこれからもよろしくね。」
自分の中で何かが確実に変わった感じをうけつつも。
だけども、戸惑うこともかなりあるけど、二人ならば大丈夫。
何しろ、何もなかったあの空間から宇宙を創り出した私たちだもの。
その信念を信じる心にと変えて。
そんなレイチェルにと対して微笑みかけているコレット。
「それでは。これよりは新宇宙、初代女王、女王補佐官、レイチェル=ハート。
  そして、初代女王、アンジェリーク=コレットに対して、皆様方よりお祝いの言葉が送られます。」
そんな二人の会話とともに。
ロザリアの落ち着いた声がこの場にいる全員にと発せられ。
静かに。
そして厳かに。
即位の儀式は滞りなく執り行われてゆく。



コンコン。
「あ、あいてるわよ。レイチェル。」
荷物はまとめた。
といっても、この荷物のすべては、ほとんど、新宇宙にと移動するのではあるが。
即位式も終わり、そして。
明日には新宇宙にと旅立つ。
それゆえに、すでにこの数日で荷物などをまとめてはいたが、最後の片付けを行っているコレット。
そんなコレットの私室にと扉をノックして入ってくるレイチェルの姿。
「アンジェリーク。準備はどう?……って、あなたまだ完全に片付けてないの!?」
みれば、まだ荷物などきちんとまとまっていない。
その様子をみて思わずあきれた声をだしているレイチェル。
「あ、うん。何か荷物まとめてたら、短い間だったけど、いろんなことを思い出して……」
そんなコレットの言葉に。
「ああもう!かして。私も手伝うから!
  それはそうと、明日。陛下とロザリア様が協力者の方々が聖地から去るからお別れ会を開くって。
  私たちの送別会とお祝いの会もかねてるんだって。
  新宇宙に移住するのは、それが終わってからになるね。
  …がんばろうね。アンジェ。私たちが育てた宇宙、がんばって守っていこうね。」
てきぱきと片付けつつも。
横にいるコレットに照れているのを隠しつつ。
話しかけているレイチェル。
そんなレイチェルに対して。
「ううん。レイチェル。こっちこそ。よろしくね。
  私なんか右も左もわかんない女王だけど。あなたの助けが必要だもの。」
「まっかして!この天才レイチェル様がついてるんだからね!」
そんな会話をしつつも。
互いに、ダンボールをその手にもったまま。
顔を見合わせ思わずくすり、と笑う二人の少女の姿が。
最後の夜、女王候補寮において見受けられてゆく。
この寮は今後、再び、聖地の人々が赴任、もしくは召喚されてきた人々の。
寮、または宿泊する場所として活用されてゆくこととなり。
学芸館に館しては、取り壊す……というか消滅させるのももったいない。
というので。
一般に開放した新たな館にとすでに改装する、という話がまとまっている。
…最も、改装、といっても。
女王の力をもってすればそれは一瞬のことなのではあるが。
互いに気持ちを新たに、それぞれの思いなどを確認しつつ。
後片付けをしながらも、聖地の最後の夜は更けてゆく。



「このようなお別れ会までしていただいて、本当にいいのでしょうか?」
お土産もしっかりとたくさんもらってしまった。
すでに、持ちきれないほどの荷物にとなっていたりする。
即位式の翌日。
お別れ会をかねた催しものがあり。
それぞれに最後の聖地を満喫し。
帰路にとついている彼らたち。
とはいえ。
すでに荷物は船にと積みこまれ、一人、一人の専用の船までもが用意されていたりする。
聖地より、この飛行場にとやってきたのは、ほんの一瞬前。
聖地からはこの宇宙内部におけるすべてであれば、瞬時にと移動することが可能。
ましてや、一応は聖地専用の船、というのもの存在する。
思い出を胸に、最後のお別れをロビーにて繰り広げているティムカ。
そんなティムカに対して。
「ティムカ。がんばってね。国に戻っても。でも寂しくなるね……」
一応、私服ではあるものの。
だがしかし、その際立った気配は完全にと隠せるのもではない。
とはいえ、年少者である彼ら、守護聖たちはといえば。
それほど普通にしていれば、まず守護聖だとはばれない、というのがあるにしろ。
「まあ、悪くなかったぜ。おめえらと一緒にすごせた日々はな。」
そんなことをいっているゼフィル。
「セイランさん。それにヴィクトールさん。お元気で。」
元気に挨拶し、手を差し出しているランディ。
「セイラン様。ヴィクトール様。ティムカ様。いろいろとありがとうございました。」
そんな彼らに対してぺこり、と頭を下げているコレット。
お別れ会がすんだのちに。
リモージュの提案、というか、すでにもう手はずはととのっていたのであるが。
新宇宙にと赴く前に、それぞれの家族に最後のお別れを。
新宇宙にいけば、まず、めったなことではこちらに戻ることはない。
ましてや、家族に会うことは、普通の人である二人の家族からみれば、
新宇宙にいけば二度と会うことはない。
それは、守護聖とて言えることなのではあるが。
彼らは特殊な場合を除き、一応は家族との別れの時間、というものは設けられている。
ごくたまに異なる事例ができるにしろ。
新宇宙の女王と女王補佐官の身に何かあってはいけないから。
というので、護衛に守護聖をつけて送り出しているリモージュ。
そのほうがかなり目立つような気もなきにしろ。
何しろ。
「そのほうたちの働きもあり、無事に試験は完了した。
  それぞれの道にと戻っても、それぞれにがんばってほしい。」
船に乗り込むべくそれぞれの回廊にと赴く彼らにと話しかけているのは、光の守護聖ジュリアス。
守護聖全員が聖地を空けるなど。
というジュリアスなどの反対はあったのではあるが。
リモージュの。
『新宇宙の女王と補佐官に何かあってはいけないでしょ?こっちなら大丈夫。
  ロザリアも、それにこのときを逃したら。彼女たち二度と家族には会えないのよ。
  今回の試験はいきなりのことだったから。彼女たちきちんとお別れできてないと思うのよ。』
そういわれれば、断る道などあるはずもなく。
ましてや、女王自ら直接にいわば女王命令、といっても過言ではない。
かなりこの一角のみ、際立ち目立っているが。
目立たない服装に身を包んでいるとはいえ。
ジュリアス、そしてクラヴィス、リュミエール、オスカー。
まずぱっと人目をひく彼らがそこにいれば、目立たない、というのがはっきりいって無理ざらかること。
ざわざわと空港ロビーがざわめいているのは。
いきなり、というか、場違いな旅人がその場にと出現したからに他ならない。
もっとも、彼らは聖地専用の控え室があるのであるからそこを利用する。
という方法はあるにしろ。
だがしかし、最後の別れ、ということになれば話は別。
それぞれに専用機が用意されおり、各自、その船にのり、故郷にと…あるべき場所にと戻ってゆく。
彼ら教官、そして。
「アンジェリーク。レイチェル。新宇宙にいってもがんばってね?約束だよ?
  メル、ずっとお祈りしてるからね?新宇宙が平和でありますようにって。」
女王試験完了をうけ、占いの館のメルもまた。
龍の惑星にもどるためにとこの場にと存在している。
そんなメルの言葉に。
「メルさんもお元気で。」
そういいつつ、手を差し出しているコレット。
これより、彼らを見送ったのちに。
コレットとレイチェルはとりあえず、聖地に呼ばれたのは女王候補に選ばれたため。
という事実しか家族にはいってはおらず。
それがまさか新宇宙の女王候補に選ばれた、ということなどはまだ家族は知らない。
もっとも、レイチェルに関しては、両親が研究員であるがゆえに。
すでにその事実を知ってはいるものの。
ゆえに。
レイチェルは簡単でいいから、とりあえず、コレットの家族にきちんと挨拶をしたい。
というレイチェルの希望もあり、これより。
彼らは、守護聖たちとともに、コレットの実家のある、主星にと赴いてゆくこととなっている。
この挨拶が終われば、それぞれに。
コレットとレイチェルは新宇宙に。
新宇宙にはまだ生命体、というのもは、草木程度しか存在していない。
まだ知的生命体など誕生する余裕はない、ゆえに。
しばらくは、こちらの宇宙から研究員などが新宇宙にとやってきて。
しばし研究をしてゆくことになるので話はついているのだが。
そんなそれぞれの思いを胸にひめ。
やがて、それぞれに。
新たな道を踏み出すべく、時は……静かに流れてゆく。


アンジェリーク=コレット。
レイチェル=ハート。
新宇宙暦元年。
俗名、聖獣の宇宙。
創生の女王にて初代女王とその補佐官。
二人の物語は……今、始まってゆく。
                                ~エビローグへ~


Home   Top   Back    Next


#####################################

あとがきもどき:
薫:何となく。コレットの実家帰り(笑)は短編にしたほうがしっくりくるので。短編にv
  少しづつアンジェも増やしていかねばね(まて)
  さてさて。何はともあれ、次回、ようやくエビローグですv
  出てくるのは、当然リモちゃんと、そして・・・・・ふふv
  それでは、また次回にてv

2004年6月24日某日

Home   Top   Back    Next