まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて!一息にがんばります!あと残り二話ぃv
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コズミック・サブリナル ~第48話~
「何かうそみたいだよね……」
おもわずつぶやく。
「何が?」
そんなコレットに思わず問いかけているレイチェル。
「うん。何かね。だって、はじめはただ光の球体だったのが、宇宙になって。
そして、その宇宙を私たちが育成して、星星を誕生させてる、というのが。
何がかとっても信じられなくて……」
あのとき。
空から舞い降りてきた光の球体の中にと存在していた聖獣。
その球体を受け止めたあの時からすべてが始まった。
それから数日後に呼び出され。
聖地にと女王候補として呼び出されてここに召喚されたのは。
自分とは無縁、と思っていた世界。
なのに、今。
自分は新たな歴史。
すなわち、生まれたばかりの世界の初代女王にと、自分の意思とはいえ、選ばれた。
それが不思議でたまらない。
そんなコレットのつぶやきに。
「ほらほら、そんなことをいってないで。とりあえず、これ先に考えないと。ここ、どうする?アンジェ?」
「う~ん。そうねぇ……」
聖地、つまり、ここと同じく、あなたたちが住まう神殿。
そのイメージをもってして。
これにジオラマみたいにして作ってみてね。
そう、先日、食事会が終わったのちに。
寮に戻った二人のもとに、しばらくして、直接に女王アンジェリークが尋ねてきて。
ある品物を二人にと手渡した。
それが、今彼女たちが向かい合っている代物。
それは、ちょっとした大きさをもつ球体。
それに強く意識を投影することにより。
その中に自分たちが望むものができてゆく、というそんな代物。
それは、いわゆる女王のもつ、創生の力を利用した、遊び感覚の見本のようなもの。
新世界に確かに星星はあまたと存在し、そしてまた。
核たる中心を軸にして、あまたの太陽系が誕生し。
そしてまた。それらが集まり、星系にとなり、やがて、それはひとつの星雲系にと発展する。
今、何よりも必要なのは。
それらすべての世界を見守るここ聖地と同じ空間。
いわば、成獣の宇宙に要となる空間が必要、というのを暗にとさし示している。
そして、それは。
当然、宇宙が発展してゆくにつれ必要なのはわかっている。
だがしかし。
何もかもがはじめての初代の創世記の女王。
何をどうしていいのかわからない、というのも当然で。
ゆえに。
手助けとして、この球体を二人にと手渡したアンジェリーク=リモージュ。
これは、この聖地のはすれにある遊園地と基本的にはつくりは同じ。
違うのは、この球体の中にとできる代物は、意思をうけて創生される、ということ。
つまりは。
イメージのままにと作られてゆく。
「う~ん。やっぱり外観は真っ白に統一して……ここのあたりにこんなのを……」
「部屋数はどれくらいあったほうがいいかな?」
納得いくまで、これにて創り出し。
そして二人が納得がいったら、それを新宇宙にと解き放つ。
それは、そう、サクリアを流現するごとくに。
この球体の中において創り出したものが現実となり。
新たな聖地要となる神殿となる。
この中で創り出すのは基本的には聖地の概念。
女王の力は創生の力をもつかさどる。
ゆえに、サクリアをもってすれば、簡単にと物事や物質などを瞬時に作り出すことは可能。
その使い方の練習も兼ねているこの球体。
そして、それは。
器用さや、感性、美意識なども影響する。
機能的な面においても。
二人して、育成が終わったその後に。
朝から夜までしばし、聖地の風景などに関して話し合う二人の女王候補の姿がしばし見受けられてゆく。
「それじゃ。いくよ。」
「うん。」
聖獣の望みは。
光と、そして、闇の力。
光は気高く、未来を指し示し。
闇は、その魂に安らぎと安息、つまりは安定をもたらす。
命にとってもっとも必要なその力。
光があればこそ闇があり、闇があればこそ光がある。
すべてにおいて、何もなくていいモノなどは存在しない。
レイチェルがジュリアスに。
コレットがクラヴィスに。
それぞれ育成を頼んだのは、今朝方のこと。
この一度の育成において、新宇宙の力は完全にと満たされる。
ごくっ。
すでにそのことが伝わっているがゆえに。
ここ、王立研究院には関係者全員が集まっている。
「ついにだね。」
「……何か不思議な気分だ……」
そんな会話を交わしているマルセルとランディ。
そしてまた。
「では、いくぞ。」
「わかっている。」
そういいつつも。
育成の間にと向かってゆくジュリアスとクラヴィス。
二人が研究院の奥に進んでゆくのをただ、静かにと見送っている彼らたち。
そして……
「新宇宙に我がつかさどる光の力を。未来にむけて羽ばたけるように。」
「新宇宙に我がつかさどる闇の力を。癒しの力が満ちるように。」
光と闇のサクリアが。
二人の守護聖の手により。
新宇宙にと満たされてゆく。
ピッ。
ピピピピピピピッ!
数値がめまぐるしく変化する。
今まで、不安定であった数値が、ゆっくりと、だがしかし。
確実に安定をもたらし、そしてまた。
はじめは無であったその空間すべてが星星で満たされてゆく。
「ついにできたね。」
「レイチェル。この宇宙、私たち二人が作ったのよね。」
モニターに映し出される新宇宙の様子。
思わず手を取り合い、感激に浸る二人。
そしてまた。
「うわぁ。すっごぉぃ!」
思わず感嘆の声を漏らす。
モニターにと映し出されるのは、まるで光の洪水。
それは、まるで、モニター全体に映し出される光の海。
そのモニターをみて、思わず声を漏らしている守護聖が約数名。
そしてまた。
「よくがんばったね。二人とも。新しい宇宙の完成、ってね。」
そんな二人にお祝いの言葉を投げかけているオリヴィエに。
「はい。とりあえず、お祝いの言葉は後でゆっくりとね。アンジェリーク。レイチェル。例のものを。」
いつもはお忍びで子供の姿でよくこの研究院にとやってはきているが。
女王……つまり、年相応の姿というか女王の正装に近い服装でこの研究院に来たことはないものの。
今回のみは特別。
ゆえに、女王として、ここ研究院にとやってきているリモージュ。
そのために、周りのほかの研究員たちが、かなり固まっていたりするのであるが。
何しろ、女王陛下を直接に見られるなど、まずありえないこと。
中には感激のあまり気絶したものもいるほどであるのだが。
リモージュの言葉に促され。
『はい。』
ここ数日、二人でいろいろと試行錯誤して。
ようやく完成させた、とある球体の中のとある風景。
その中には建物、そしてまた、周りの自然、その主たる代物が出来上がっている。
それをリモージュにと手渡しているコレットとレイチェル。
「では。これを具現化させますね。レイチェル。アンジェリーク。心の準備はいいかしら?」
球体の中の風景がそのまま、形となる、というのは、いまだに何だか信じがたいが。
だがしかし、それが実現のものとして具現化するのは事実。
女王の力とは、常識では計り知れない力をもっている、
という事実は、この試験などを通じて二人は身にしみてわかっている。
学習などだけではわからないその実態を。
二人が顔を見合わせうなづくのをみてとり。
その手にした、球体をふわり。
と手の上にと浮かべ、そして、そのまま。
手の上の空間の一部を新宇宙の一部とつなげ、直接的な道を開き力をそのまま解放する。
それと同時に、先にリモージュに説明されていたとおりに。
二人の女王候補もまた、聖地が整いますように、といった願いを。
その球体にむけて投げかけてゆく。
ぱぁぁぁぁぁぁ!
球体から金色の光が満ち溢れ。
やがて。
それは、新宇宙のいまだに何もない空間……といっても。
常に光り輝く球体のままであった中心たるその部分に、その光は満ち溢れ。
そして。
カッ!!!
まぶしいばかりの光の中。
やがて、二人が球体の中にと作り出していた風景そのものが。
その場所に元からあったかのごとくに具現化して、その場にと出現する。
いや具現化、というか創生された、というべきか。
やがて。
女王候補たちにとっては、育成のさなか、そこに聖獣がいた空間に。
自分たちが試行錯誤して、作り上げたその風景が。
何事もなかったかのごとくにしっかりと。
そこに存在している様子がモニターにと映し出される。
「……こ……これは!?」
思わずその事実に目を丸くしているエルンストに。
「……陛下の力って、こうあからさまにみたら、さすがだよね。」
そんなことをぽつり、とつぶやいているオリヴィエ。
何もなかった空間に物事を作り出す。
万物を創生するその力。
ほとんど忘れがちにはなるにしろ、女王にはその力が存在する。
それは女王に即位したときに、必然と、
宇宙の意思たる存在と心を同化させることにより、身につくひとつの力。
まあ、このリモージュに関してのみは……もともと、それらを設定したのが自分、ということもあり、
そういった定義は当てはまらないのではあるが。
「すっごぉぃ!本当にあのままの姿で物質化してる!?」
思わず関心の声を上げているコレットに。
「あ、研究院まできちんとできてる。よかったぁ。
やっぱり新宇宙で直接研究しないと見えないものもあるもんね。」
そんなことをいっていたりするレイチェル。
そんなレイチェルの言葉にくすりと笑い。
「レイチェル。その面では心配は要らないわ。すでに、エルンストからも申請がきてるし。
新宇宙誕生とその進化の過程は、宇宙にとっても大切な事柄だからね。
こちらの宇宙からあちらの宇宙に幾人かの研究員は常に派遣するつもりよ。
まだまだ、いろいろと新宇宙に関しては調べる事柄もたくさんあるしね。」
そういいつつ、にっこりと、横にいるエルンストをちらりとみて微笑みかけているリモージュ。
「はっ。何しろ新宇宙誕生、それは画期的なことですので。
今後のためにもしっかりとデータはとっておきませんと。」
そんなリモージュの言葉に固まりつつも返事を返しているエルンスト。
「とりあえず、新宇宙もこれで一応核たる部分は完成。二人とも、よくがんばったわね。
とりあえず、月曜日に即位式をするけども、いいかしら?二人とも?」
すでに準備は整っている。
ゆえに、そんなに早い、というほどでもないが。
宇宙が完全にと安定したからには、そこに女王が不在のままだと、再び宇宙の均衡は崩れだす。
そんなリモージュの言葉に。
思わず顔を見合わせ。
「はい。大丈夫です。」
「準備はバッチしです。アンジェリークの面倒とかは私が責任もって世話してますから。」
そんな返事を返してきているこの二人。
そんな二人の女王候補の姿をみつつ。
「あ~。何かかつての陛下とロザリアをみてるようですねぇ~。」
のんびりとそんなことをいっているルヴァ。
しばし。
たわいのない会話が、ここ研究院にて繰り広げられてゆく。
「お父さん。お母さん…」
新宇宙の女王になる、ということは。
それすなわち。
二度と、家族と会えなくなる、ということ。
それはわかってはいたけども、いざ、となるとやはり不安は残る。
まだ誕生したばかりの宇宙。
おそらくは、あちらの宇宙にいっても、こちらの宇宙とのつながりが途絶えるわけではないにしろ。
だがしかし、女王に即位すれば、
その力のすべてをもってして宇宙の発展にと全力を注いでいかなければ。
宇宙は進化、発展していかない。
それが自分に本当にできるのか不安ではあるけども。
だけども自分には支えてくれる大切な友人であり親友がいるから、大丈夫。
そう自分自身に言い聞かせつつも。
ここ、聖地に向かう前にと持たされた家族の写真を眺めつつ。
夜空を見上げてゆくコレット。
この宇宙とも、月曜日になればお別れ。
そう思うと、今までこの宇宙で暮らしてきた17年間の歳月が走馬灯の用にと頭の中を駆け巡る。
コレットがそんな思いをはぜらしているそんな中。
こちらでもまた。
「パパ。ママ…」
故郷、というものなんては存在しない。
ずっと両親に付き添って、引越しなどを繰り返していたがゆえに
王立研究院の職員であり、また研究員である、レイチェルの両親。
ゆえに、ひとつの場所に定住した、ということなどは今までにはない。
弟のことも気にはなるし、それにまた。
あの子……飼っていた犬のことも気にかかる。
今はまだ、ここ聖地と時間の流れは外界も同じに設定されてはいるが。
この試験が終われば、通常通りの時間の流れとなり。
自分たちとは異なる時間の流れを家族は過ぎてゆく。
きちんとお別れの言葉もそういえばいってこなかったな。
そんなことを思いつつ。
それぞれに夜の時間は過ぎてゆく。
「ねえ、ロザリア。どう思う?」
女王の寝室にて。
すでに寝巻きにと着替えているリモージュが傍らにいるロザリアにと問いかける。
そんなリモージュの言葉に。
「そうですわね。私たちも確かに家族に対しての挨拶は……」
女王候補に選ばれたその時点で、一応の挨拶は済ませているものの。
だけども。
やはり、家族ときちんと最後の日を過ごしたい、というのは……それは誰にでもいえること。
ましてや。
「彼女たちはましてや、新宇宙……つまりこの宇宙とは別の宇宙にいくのですからね。
陛下のそのお考えには私は賛成ですわ。」
リモージュの提案ににっこりと微笑み。
賛同するロザリアの姿が、女王の寝室において見受けられてゆく。
新宇宙女王即位まで、あと四日…
-第49話へー
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あとがきもどき:
薫:何かひとつ話しが増えた?(汗
・・・・・ま、気にせずにいきましょう。うん(こら!
とりあえず、次回、里帰り&即位式。
でもって、正統エンディングのあれですね。
んではでは・・・また、次回にて。
2004年6月23日某日
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