まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
主人公は、いったいリモちゃん、コレットちゃん。どっちなんでしょうねぇ?(笑
でも、しかたないさ!私が好きなのは、断然!リモージュだ!!!!!
コレットより、リモージュの出番がおおい、このスベシャル2・・・・(笑
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コズミック・サブリナル ~第30話~
風がここちいい。
ここ、聖地の気候は、すべて、自分の力で管理されている。
ゆえに。
天気、というものは、きちんと。
ここに生活する人々にわかるように提示はしているけども。
でも、ちょっとたまには遊び心をしてみたい、と思うのはほんのお茶目な心から。
そんなことを思いつつも、一人歩いているその人物。
「あら、アンジェちゃん、久しぶりね。」
「こんにちわ。おばさん♡」
ふと、そこに見慣れた人物がいるのに気づき。
にっこりと微笑みかけ、挨拶をしている、金色の髪の少女が一人。
「そういえば、何か最近かわったことあります?」
年のころならば、四歳か五歳。
にっこりと微笑むその笑顔は、なぜか見ていてとても心が和む。
そんなアンジェ、と呼ばれた少女の言葉に。
思わずつられ微笑みつつも。
「変わったことねぇ。そういえば、最近、日曜日にやってくる。
商人さん、あの人、いい男だねぇ。…とと、そうじゃなくて。
彼の品揃え、かなりいいから評判よ。アンジェちゃんも何か買ってみない?品質もいいわよ?」
「その商人さんってどこにいるの?」
わかってはいるけど、問いかけるそんな少女の言葉に。
「ああ、それはね。日曜日になると、公園に出没する、なぞの美男子商人さんなんだよ。
今日は土曜日だし、たまに土曜日にもきてるから、いってみたらいいよ?」
「うん、ありがとう、おばさん。いってみるわ。」
「気をつけてね~。」
毎週土曜日と日曜日。
といっても、土曜日は彼の都合もあり、常に、というわけにはいかないけど。
そんなことをおもいつつ。
話をしていた女性に手をふり。
そのままその足で公園の方にとむかってゆく。
とてとてとて。
少女が走るたびに、そのふわふわの金色の髪が風にとたなびく。
もし、感性の鋭いものがみたならば。
彼女の周りに淡い金色の光が満ち溢れているのが見て取れるであろうが。
「…あ♡」
そこに、お目当ての人物をみつけ。
思わずぱっと笑みを浮かべるその少女。
金の髪に緑の瞳。
その笑顔がまた、何ともかわいらしい。
そして、そんな少女の視線の先では。
「ねぇ?あなたって、どこかであったことない?」
ぎくぅぅぅぅぅ!
金の髪の女性の言葉に思いっきり動揺している一人の男性。
「確か、国際科学会議のときに、見たような気が…」
「だぁぁ!お客さん!それよれ、これなんかいかがですかぁ!
厳選されている、お花のポブリでっせ!ここでしか手にはいらん貴重品ですがな!」
いいつつも、その手にちょっとした小瓶を手にとり、そんなことをいっている一人の男性。
「う~ん、確か、あの会議上で商人さんをみたような…」
「ああもう!おきゃくさん。そんなことはどうでもいいさかい。
みてやってちょうだいな。開店記念セールでしばらくは土日も営業してまんがな!」
どうにか話題をそらそうとしているその男性。
「あ♡商人さん♡」
ぱたぱたぱた。
にっこりと微笑みかけつつ、そんな会話をしている男性と女性の元にとかけてゆく、一人の少女。
「…げっ!?あ、お客さん、何やらそろそろもどらないといけないんちゃいますがな?」
その姿をみて思わず小さく叫び。
そして、目の前にいる女性にと話しかけているその男性。
「あ、そういえば、もうそろそろ、王立研究院に行く時間だわ。
そだ。あの子、アンジェリークも誘わないと。きっとあのこのことだから、忘れてるわ!それじゃあね。商人さん!」
「お~きに。おきゃくさん、またきてでんな~!」
ぶんぶんと手をふりつつも、姿が見えなくなるまで、その姿を見送り。
そして。
「…ふぅ。」
軽くため息をついているその男性。
くすくすくすくす。
そんな彼の足元のほうから、くすくすと子供の笑い声がしてくるが。
「何か大変そうね。チャールズ。いいえ、チャーリー、といったほうがいいかしら?」
くすくすくす。
そんな彼をみつつも、くすくすと笑っているその少女。
そんな少女をみつつ。
きょろきょろと、あたりを確認し。
「…つ、つうか、あの?お一人で出歩かれてもいいんですか?」
あたりを気にしつつも問いかける。
「あら♡いいのよ。というか、この姿だと、誰も『私』だってわからないってば♡」
「……ま、まあ、そうかもしれませんけど……けど……」
だけど、普通に考えて、女王陛下が、お一人で。
しかもお共もつけずにこうして公園に足を運んできている、というのはどうかとも思うが。
そんなことを思いつつ。
「ま、まあ、とりあえずできてます。つうか…これに使われた、この宝石、何なんですの?」
がさがさがさ。
店の奥より、ちょっとした大きさの箱を取り出しつつも。
そんなことを聞いているのは、今回の女王試験において、出店を依頼した、
宇宙きっての大財閥総帥でもある、チャールズ=ウォン。
ちなみに、彼は今、正体を隠して普通の『商人』として、ここ聖地にやってきているのだが。
「うふふ♡それは秘密♡今説明したら面白くないじゃない?」
にっこり。
にっこり微笑み、その包みを受け取るその少女。
「陛下ぁ…」
そんな少女の言葉に思わず脱力したような声を上げているその青年に対し。
「あら?だめよ?こんな場所でその呼び方は。ね?『商人さん?』♡」
くすくすくす。
彼女-リモージュがここにきたのは、彼にと頼んでいたとある品物を受け取るため。
何しろ彼女たちにとっては初めてのこと。
それゆえに、自分たちでは気づかないままに、
その体力や精神、といったものにかかる負担はかなりのもの。
まあ、当人たちは気づかないかもしれないが。
だからといって、あまり無理をしすぎて、容量的にオーバーとなり。
せっかく誕生したあの宇宙空間が、消滅してしまう。
ということにでもなったら、それこそ困る。
ゆえに。
力の目安、というものを彼女たちに与えよう。
とリモージュは考え。
そして…今。
特殊な力を持つ、とある『石』を彼-チャールズにと手渡し。
それを【同じデザインで二つのペンダントにしてほしい。】と依頼していたのである。
自分で創りだしても、それはそれでいいのだが。
やはり、こういうのは。
この世界に今現在生きている人々の手により作ったほうが。
何かと、後々のためにもなる。
そう考えてのこと。
― まあ、理由はそれだけではないのだが。
「うん、いい出来だわ。ありがとう。これなら、あの子たちに渡しても。問題はないわね♡」
できばえを確認し。
思わずにっこりと微笑むリモージュの言葉に。
「へ?それって、女王候補さんたちに渡すものなんでっしゃろか?」
そんな彼の言葉に。
くすり。
「そうよ♡これはね。今回の試験でとっても大切なものなのよ♡
ありがとうね。これで、あの子たちに無理なくがんばってもらえるわ♡」
いいつつも、ぎゅっとそれが入っている箱を抱きしめているその少女。
そして。
二人がそんな会話をしているそんな中。
ばたばたばた。
「あ、オリヴィエ!?あの子をみなかった!?」
ぱたぱたと、走っている一人の少女。
「ありゃ。やっぱり陛下はロザリアにも何もいってないの?」
「そうなのですわ!もう!あのこったら!?一体どこに!?」
きぃぃぃい!
などと、少しばかり声を高らかにしているのは。
女王補佐官であるロザリア。
ま、まあ、気持ちはわかるが…
そんなことを心で思いつつ。
「とりあえず、探すよ!何かあってからじゃ大変だし!」
「私は心当たりをもう少し探してみますわ!」
二人が今いるのは、王立研究院にと続く道筋。
二人、といっても、オリヴィエと、そしてリュミエールが一緒なのであるが。
そんな会話をやりとりしつつも。
道の真ん中でそんな会話をしている彼らの姿。
ふと。
そんな彼らの姿に気づき。
「あれ?ロザリア様?オリヴィエ様?それにリュミエール様まで。どうかしたんですか?」
研究院にと向かっていたレイチェルがそんな彼らに気づき声をかける。
「こんにちわ。ロザリア様。オリヴィエ様。リュミエール様。」
ぺこり。
レイチェルにつれられて同じく研究院にとむかっていたコレットが、レイチェルに続き声をかける。
金と茶色。
まったく対照的なこの二人。
この二人が今回の女王試験をうけている、二人の女王候補たち。
レイチェル=ハート。
アンジェリーク=コレット。
そんな彼女たちの声に、はっとなり。
「ごきげんよう。アンジェリーク。レイチェル。今から研究院?」
とりあえず、二人にはあせっている様子は微塵も見せず。
にっこりと挨拶をしているロザリア。
さすが、というよりほかにはないが。
「はい。とりあえず、明日、陛下に謁見室に呼ばれてますことですし。
その前にアンジェリークと二人で、ルーティスと……」
「アルフォンシアの様子をみておこう、という話になりまして。」
交互にロザリアたちにと説明しているこの二人。
「そう。それはいいことだわ。あなた方が顔をみせれば、あの子たちも喜ぶでしょうし。
ところで……少し関係ないことを聞くんだけど。
あなたたち、金髪の髪の見た目四歳か五歳程度のかわいらしい女の子。どこかで見かけなかった?」
もしかしたら、彼女たちのところにいっている可能性はゼロではない。
そんなロザリアの質問に。
「五歳か四歳程度の?」
きょんと首をかしげるコレットに。
「ああ、それなら、もしかして、公園で、商人さんのところでみましたけど?
何かすっごくかわいい子だな。と思いましたし。」
ふと。
先ほど公園で出会った少女のことを思い出す。
そういえば、誰かに何となく似てたような気もしなくも?
あまりきちんと少女を直視したわけではない。
そんなことを思いつつもふとそんなことをつぶやいているレイチェル。
「公園!?は!?そういえば……!?」
ふと、そういえば、チャールズに何か頼んだ、というか、
チャールズに、というかウォン財閥が誇る細工工房に頼み物をした。
というのは、ロザリアはリモージュより聞かされている。
「はっ!ということは、いそがないと!?そこからまたどこかに行かれる可能性が!?
ありがとう、レイチェル。それでは私は急ぎますのでこれで。ご機嫌よう、アンジェリーク、レイチェル。
意味がわからずにきょとんとしている二人に軽く挨拶をし。
そのまま公園にむけて走り出してゆくロザリアの姿。
そんなロザリアの姿をみつめつつも。
「何かあったのかしら?」
首をかしげるレイチェルに。
「きっと、ロザリア様。陛下をお探ししてるんじゃ?」
「まっさかぁ。陛下は謁見室、もしくは聖殿の中じゃない。
さ、馬鹿いってないで、とにかく、私たちは私たちの用事を済ますよ!」
「あん!まってよ!レイチェル!」
そのまま研究院にと向かって走ってゆく二人の女王候補たち。
実はコレットの言葉が真実を指し示しているのであるが。
当然二人はそんなことを知る由もない……
そんな会話をしつつ、研究院にとむけて走ってゆく二人をみつつ。
「…何か、陛下と同じ名前のアンジェリークって子。すっごく勘がよかったりしてね♡」
事実、ロザリアが探しているのは、女王、その当人。
まあ、普通に考えれば、そんなことなどあるわけがない、と思うのだろうが。
だが、それが現実。
「オリヴィエ。今はそれよりも。わたくしたちも公園にいったほうが。陛下の身に何かあっても…」
そんなことをいっているオリヴィエに対し、心配そうにと語っているリュミエール。
「はいはい。わかってるってば。とりあえず、私たちもいくよ。リュミちゃん。」
「ええ、そうですね。」
二人の女王候補が研究院に行くのとは反対に。
こちらはこちらで、公園のほうにと向きをかえている二人の守護聖。
夢の守護聖オリヴィエと水の守護聖リュミエール。
そしてまた…
「あ~。カティス、知りませんかねぇ?」
いきなりやってきてそんなことをきいてきている人物の言葉に思わず頭を抱える。
「あのなぁ?ルヴァ?どうしてオレがいちいち陛下がどこにいらっしゃるのか把握してると思うんだ?」
「いやぁ、何となくです♡それにぃ。カティスに聞けば間違いないですし。」
のんびりと、しかしにこやかにそんなことをいってくるそんなルヴァに対し。
「…あのなぁ?一応いっとくが、オレはもう、守護聖ではないんだぞ?
まあ、そうだな。とりあえず、公園でも調べてみて、それでいなければ遊園地なんじゃないのか?
おそらく陛下はこのたびはこの聖地からは出てはおられないと思うしな。」
ため息まじりにも、それでもきちんとあしらうことなく、答えているのは。
湖の近くのほとりに一件の家を構えている、一人の男性。
元、というか前、緑の守護聖たる、カティス。
今は、クリスタル一族、という特殊一族の一員となり、ゆえに。
守護聖であったときとどうように、年のとり方なども彼らと同じなのだが。
まあ、その長が、今の女王だ、というのは、一族以外には知られていない事実でもあるのだが…
そんなカティスの言葉に。
「ありがとうございますぅ。とりあえず、公園より、ここからだと、遊園地のほうが近いですね。
では、そちらを探してみますぅ。それで、カティス、一緒に探してはもらえせまんか?」
にこにこにこ。
にこにこと微笑みつつも、それでいて、
有無を言わさないような無言の圧力もどきのようなものをその身からまといつつ。
にこやかに同行を促しているこのルヴァ。
「…はぁ。わかった。わかったから!その手を組んで、懇願モードはやめてくれ!」
さすがに、年長者でもある、このルヴァに。
手を組まれて、懇願モードで少しばかり涙をうるうるとさせられては・・・・
まず、誰でも、彼の言葉に同意せざるを得ないであろう…
「わかったから、用意をするから、少し待ってろ!
あ!それと、そこの鉢なんかは、珍しいからって、さわるんじゃないぞ!」
とりあえず釘を刺しておく。
家の中にあるのは、彼ら一族のみが育成方法を知っている、といわれている水晶花や花水晶。
まあ、ここ、聖地には、今では緑の守護聖マルセルの館にも。
と呼ばれている花が今では咲きほこっていたりするのだが。
それは、今の女王が女王候補時代、女王試験のさなかに。
彼女がマルセルにその種を与えたからに他ならない。
とりあえず、無駄とはおもいつつも、注意を促し。
出かける用意を始めているカティスの姿が、しばし彼の家の中にて見受けられてゆく。
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