まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて、今回は銀の大樹~♪
といってもあまり詳しくはふれませんv
その後の裏では様々な憶測が乱れ飛んではいますけど(苦笑
当然、アンジリェークは知る由もないので割愛ですv
それらしきことを匂わせることはいろんな人が言葉にはその後だしてきますのでひとまず明記v
さてさて、今回はきちんと表現していないもののラストのほうでリモージュ登場v
やっぱりリモちゃん、ラブ♪です♡
何はともあれゆくのですv

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銀花の園   ~大樹と洞窟と……~

「アンジリェーク!?」
「レイン!?」
ばったり。
エルヴィンをおいかけてゆくことしばし。
ある扉がある箇所の前でばったりと出くわすアンジェリーク達とレイン。
走ってくるアンジェリークの後ろからジェイドとルネもまた走ってきている様子が見て取れる。
「にゅっ」
そんな二人をまるでおびくかのように、そのまま扉の中にその身を翻すエルヴィン。
「あ、こら!まちなさい!」
いつもならばここには見張りのものがすくかならずいるはずだというのに、今日に限って見当たらない。
その理由は何となく思い当たるが別に説明することでもない。
「っておまえ、しっかりエルヴィンの面倒をみとけよっ!あいつ俺の大切なものを銜えてったんだぞ!?」
「え?ご、ごめんなさい。あのこったらいきなり走り出して」
それまではずっとおとなしく抱かれていたというのに。
時間があるときに猫を入れるかばんのようなものを作ったほうがいいかも。
そう心に思いつつも、
「とにかく、今はあいつを早くつかまえないと」
「え、ええ。そうね」
扉の向こうはどうやら長い道がつづいているらしい。
とりあえず今はエルヴィンを捕まえることが先決。
それゆえに扉の奥に続く道にと足を踏み入れるレインとアンジェリーク。
「…あれ?この奥は…もしかして……」
奥より感じる気配はとても懐かしいもの。
そういえば、あの子猫…アレの雰囲気に似てる?
今さらながらにそのことに気付いておもわずつぶやくジェイド。
「ああ。そうか。君は昔ここにきたことがある、というかこの建物が創生されたときにいたものね」
そもそもこの建物はこの地に教団をつくることになったときにお祝いをかねてリモージュが創造りだしたもの。
内装などの一部はコレットの趣味で創造りかえられたりはしているものの基本はさほどかわっていない。
「…え?」
目の前の人物には自分が何なのかは話していない。
だがしかし、さきほどのニクスとのやり取りから察するにおそらくこの少年は……
「とにかく、二人をおいかけよう。君がおもっているとおり、この奥にあるのは大樹だよ」
にっこりとそんなジェイドの考えを見透かすようにといってくるルネ。
そんな彼の言葉に思わず目を見開くジェイド。
まるで心を見透かされたようなその言葉。
だが詳しく聞こうとする前に、するっと扉の中にと入り込んでゆくルネ。
そんな彼をあわてておいかけてゆくジェイド。
とりあえず体重の調整をして自身の体重を軽くしているがゆえにジェイドの足音はまったく聞こえない。
ここまで神殿の中を走り回っても誰一人とて警備員にもましてや騎士団員にも会わない、というのはかなり珍しい。
ともあれ彼等もまたエルヴィンをおいかけてゆくアンジリェークたちと同様に扉の中にとはいってゆく。

長く薄暗い壁にと囲まれた長い道。
やがて見えてくる明るい場所。
ふわりと暖かな風が肌にと触れる。
「…ここは……」
「うわ~。ここ、すごく暖かいのね」
みればどうやら吹き抜けの場所らしく、青い空が見上げれば垣間見える。
それだけではなくあるはずの雪が一つもここには見当たらず、ましてやとても暖かい。
「にゅうん」
ふと声がしたほうをみれば、ちょこん、と大きな銀色の大樹の根元に座っているエルヴィンの姿。
「エルヴィン!もう、だめじゃない。勝手にはしっていったりしちゃ」
夢の中で幾度かみた大きな銀色の大樹。
現実に目の前にある銀色の大樹の壮大さに驚くものの、まずすることはエルヴィンの確保。
「銀の大樹…まさかここにこれるとは」
エルヴィンがもっていった品のことなど一瞬忘れ思わず見上げる。
ありえない色をしている銀色の大樹。
銀の大樹。
それはアルカディアの命そのもの、ともいわれている聖なる大樹。
その姿は限られたものにしか目にすることができない、といわれている。
周囲もまた銀色の光で覆われ何とも神秘的な様子をかもし出している。
「…何かしら?この感覚……」
エルヴィンを抱き上げつつも、大樹を見上げる。
「これは銀の大樹。アルカディアの命そのもの。
  この世界が美しい姿をしている限りこの樹もまたかがやいていられるんだ」
その輝きは日に日につよくなっている。
それはこの世界の幸福度が日々高まっている証。
そんなアンジリェークの背後においつき説明しているルネ。
ルネの言葉をききつも、そっと樹に手を触れる。
体の中から沸き起こる力と呼応するかのような、胸といわず体全体に暖かな力が広がってゆく。
ふわっ。
それと同時、呼応するかのように彼女の体もまた金色の光につつまれ、その背に白き翼がふわりとはえる。
それと同時、風もないのに銀の大樹の葉がまるで花びらを散らすがごとくに周囲に舞ってゆく。
白き羽と銀色の葉。
それらは互いに交差するように、そのまま上空にと舞い上がり、やがてそれらはアルカディア全土にと舞ってゆく。
まるで、そう、全てを祝福するかのごとくに。

「そこまで!」
騎士団寮にて頼まれて騎士たちの訓練の手伝いをしているヒュウガ。
「みごとです。以前よりもかなり腕をあげられていますね」
騎士を出奔したとはいえ彼が尊敬できる騎士であることにはかわりない。
それゆえに尊敬の念を込めて相手をしてくれていたヒュウガにお礼をいう。
「ヒュウガ。貴様が再び聖騎士に選ばれるのも時間の問題だな」
本来ならば彼は今頃聖騎士として全ての騎士たちを導いてゆく存在になっているはずであった。
そう、あの一件さえなければ……
「いや。私は騎士団には復帰しない。それに私は……」
騎士として、そして一人の男性として護るべき相手はすでに見つけた。
その方のために命をかけてつくすのみ。
それがヒュウガの思いと決断。
そしてそれが、自らが手にかけてしまった彼への償いでもあるだろう、そうおもっているのもまた事実。
彼の形見である短剣とともに彼女の傍で彼女をみまもる。
「ヒュウガ。カーライルの死んだ原因はカーライル自身であり、貴様ではない。
  何を悔いる必要がある?女王に使える聖騎士は貴様の夢であったであろう?」
幼少のころから彼等を指導してきた。
カーライルの心を読みきれなかったのは自分とて同じこと。
それゆえにヒュウガだけが悔いて生きてゆく必要はない。
悔いるべきはまずは自身でもあるのだから。
その思いを心に抱いているものの、指導する立場としてはそれを表にみせるわけにはいかない。
「ガラハド様…」
だが言葉すくなならずも彼がカーライルのことを悔いているのは長い付き合いだからこそわかる。
父親のように、祖父のように自分たちを幼少のころから指導してきたガラハド。
常にきびしく、時には優しく。
幼少期よりも年月の経過は容赦なく襲い掛かり、彼もだいぶ歳をとっている。
それでも現役をつとめているのはこの地を…アルカディアを愛しているからこそ。
生涯現役。
それがガラハドが心に決めている自身の生き方。
「お前が騎士に復帰したとしても誰も文句どころか歓迎すらするであろう」
事実、騎士団や教団の上層部、ましてや下層部にいたるまで彼の復帰を待ち望んでいる。
ふわっ。
そんな会話をしている最中、空より舞ってくる銀色の光と白き光。
「…これは……」
聖なる銀の大樹の葉。
だが、今日は聖なる葉が舞うほどの風はふいていないというのに。
「まさか…これは……」
聖なる銀の葉とともに舞い落ちてくるのは白き羽。
触れればともに光となりてはじけ飛ぶ。
何とも神秘的な光景。
それは騎士団寮のみにおこっている現象ではない。
セレスティザムにて、そしてラシーヌにて。
否、まるでこの地全ての大気が運んでいるかのごとくにアルカディア全土に及ぶ現象。
思わず空を見上げて我知らず祈りをささげる人々。
白き羽は聖なる女王の象徴。
それゆえに祈りをささげずにはいられない。
だがこのような現象など今まで一度たりとてみたことはない。
この場にいる中でこの現象を理解しているものはおそらくヒュウガのみであろう。
聖なる大樹がおそらく彼女とであったことにより何らかの反応を示している。
それはみていなくても何となくだが理解できる。
彼女の力は本物。
そしてまた、彼女は未来におけるこの世界を慈しむ聖なる存在。
しばし、人々は空より舞い降りる銀色の葉と白き羽の神秘さに我を忘れて空を見上げてゆく――


「あら?これは……」
聖都の中にも食堂はあるらしい。
ひとまずもう遅い、というので今日のところは聖都の中で泊まることに。
神殿からでて外にとある食堂の一つで夕食を済ませ、与えられた部屋にてしばし物思いにふける。
ふと、手鏡にて身だしなみを確認しようと取り出したはいいものの、
何やらほのかに内部が光っているように見て取れる。
お風呂にもはいり、あとは眠るだけなのだが目がさえて眠れない。
それゆえにベットに腰掛けて服も着替えることなくコンパクトをかぱっと開く。
コンパクトの鏡の部分に浮かび上がっている何らかの文字。
それと同時。
コンパクトの手鏡の周囲にちりばめられている宝石がまばゆい光を発し思わず目を瞑る。
――ジェ。
――ジェリーク。
「アンジェリーク」
ふと名前を呼ばれたような気がしてゆっくりと目を開く。
「…え?ここは……」
目の前にあるのは先ほどみた銀色の大樹。
たしか私…部屋の中にいたわよね?
一瞬そんなことをおもうものの、
「アンジェリーク」
とてもとても懐かしい声にそのことすら一瞬忘れてしまう。
ふとみれば、銀の大樹の前にたたずんでいる小さな女の子が一人。
「…アンジェ…ちゃん?」
昔と寸分かわらないその姿はとても懐かしいもの。
だけどあれからかなりの年月はたっているのに?どうして?
そんな疑問が頭をよぎるが、ふと自分の視線も何やら低い。
まるで…そう、子供の視線のような感覚をうける。
はっとして自身の姿をみてみるものの、自身の姿すらも子供のころの姿となっている。
これは一体?
そうおもうものの、
「アンジリェーク。こっちこっち」
手招きされて思わず近寄ってゆく。
私、いつのまにか眠ったのかしら?
そうとしか思えない。
それにしてはやけにリアルすぎる夢ではある。
そっと近寄る彼女の手を握りしめる彼女と同じ少女の手はとても暖かく夢とはとても思えない。
「アンジェ…ちゃん?」
「あなたがいくべき場所を教えるわ」
「?」
そういわれ、手をひかれるままにとすすんでゆく。
目の前にいつのまにか壁があるものの、その壁はなんなくするりと抜きぬける。
やっぱりこれって夢なのかしら?
生身の人間が壁を通り抜けられるはずがない。
「って、アンジェちゃん?いったいどこにいくの?」
そもそもラシーヌの村で彼女のことを少しばかり聞いてはみたが誰も彼女のことは知らなかった。
ならばこの聖都の中に住んでいる、ということなのであろうか。
この聖都の中にはどうやら一般の人々も多数住んでいるらしくその可能性は十分にありえる。
「約束の洞窟」
「洞窟?」
どんどんすすんでゆく中、やがてセレスティザムがある聖都よりも少しばかり高い位置にとある場所にとたどり着く。
それはほんの一瞬の出来事。
周囲の景色がめまぐるしくかわっていき、ふと気付けばどこかの洞窟の前。
周囲には木々が生い茂り、この付近にも雪らしきものはまったくもって見当たらない。
ひんやりとした洞窟の内部。
だがしかし、どことなく危険な感覚をうける。
まるで、そうタナトスが出現する前の雰囲気によく似ている。
「この場所にはあなたにとってとても大切なものがあるわ。
  今はまだ護りの力が働いて負の力に屈してはいないけど」
そういい指差すその先にあるのは水を湛えた台座の中心にぽつん、とおかれている白き石。
「その石は貴女の力を安定させるもの、あなたに必要なもの。あなたはこれを手にいれにこなければいけないわ。
  この地にくればあなたの今抱えている思いも解消されるでしょう」
その言葉と同時に、再び目の前がまばゆき光につつまれる。
次に目にはいったのは銀色に輝く銀の大樹と、そして暖かな光。
――アンジリェーク。あなたはあの地にいきなさい。きっとあなたの思いはかなうから。
「アンジェちゃん!?」
はっと我にもどるとそこはやはり与えられている部屋のベット。
どうやら手鏡のコンパクトをもっている状態からして一瞬夢をみていたらしい。
だがしかし、コンパクトの鏡の部分に示されているのは地図のようなもの。
そして夢でみたとある一点が異様に光り輝いている。
その上には花びらの形がいくつにも連なった文字のようなものが映し出されている。
確かはじめのころは花は一つもなかったというのに日に日に花びらの数はふえてゆき、
今では五個以上の花びらがそこに映し出されている。
「…今のは……」
ほうっておくにしては、あまりにリアルで、そして鏡が示している位置は紛れもなく今みた場所。
いったこともないのになせだかそう確信がもてる。
「…明日、みんなにいってみて、許可がでたらいってみましょう」
あの気配もきにかかる。
もし、本当にあの場所にタナトスがいるのならば早く浄化してしまわないといつ被害がでるかわからない。

「おそいよっ!」
おもわずその姿をみつめて目が点と化す。
そもそもどうしてルネがこの場にいるのであろうか。
しかも、しっかりとすでに馬車に乗っている状態で。
翌日、とあえずお世話になった人々に挨拶し、聖都を出てオラージュの村に向かおうと門をでたアンジェリーク達。
門の前にて待機していた馬車の中になぜかちょこん、とのっているルネの姿。
「あ、あの?ルネさん?」
「る、ルネ殿!?どうしてあなたが馬車の中に!?」
どうやらかなり珍しいことに驚いているらしく驚愕の声をだすヒュウガ。
ヒュウガさんの驚愕したような声、初めてきいたわ。
アンジリェークが思わずそんな感想を漏らすが、それはどうやらレインも同じだったらしく、
目をばちくりさせて、ルネとそしてヒュウガとを見比べていたりする。
「おやおや。もしかしてあなたも私たちとご一緒するつもりですか?しかし聖都を勝手にでてもよいのですか?」
確か彼は聖都から出ることは許されていないはず。
それを知っているからこそ確認をこめて問いかけるニクス。
「許可はもぎとってきたよ。もっとも頭のかたい長老達を言いくるめる…もとい説得する方法はいくらでもあるし」
今、言いくるめる、ってこいつたしかにいったよな。
にっこりとそんなニクスに対して微笑みながらもいともあっさりと答えてくるルネ。
そんなルネの台詞に何やらこめかみに手をあててうなっているヒュウガの姿。
「ヒュウガさん?具合がわるいんですか?」
思わずそんなヒュウガを心配して声をかけるものの、
「いえ、すこしばかりめまいが……」
そもそも、次期教団長となるべくこのルネはこの地に束縛されている、というのに。
いったいどのようにしてあの頭の固い長老達を説得した、というのであろうか。
「見極める必要があるとかなにとか適当なことをいえば簡単にだませる…もとい説得できるしね」
何かちらほらとルネさん…本音がみえてませんか?
そんなことをおもうものの、アンジリェークたちがオラージュの村に向かう。
というのはおそらくルネも聞き及んでいたはずである。
それゆえに母親が心配でどうにかして許可をもぎとったのであろう。
そう自身の中で解釈し、
「私はかまいませんよ?みなさんはいかがですか?ルネさんが同行することにたいして?」
「まあ、あなたがいいのでしたらかまいませんけど」
「俺も別にかまわないよ。素敵な仲間が増えるだけだしね」
「…無茶をなさらないようにこのヒュウガ。及ばずながらみまもらせていただきます」
「ま、何だ。お前も浄化能力をもっているんだろうから足手まといにはならないとおもうしな」
そもそもレインがルネとであったのはまだ幼いころ。
そんな幼い少年が何の力をももたずに聖都の、ましてや神殿の中を歩き回れていたはずがない。
それぞれの言葉をきき、にっこりと微笑み、
「ほんと?よかった。さ、早くのって。うるさい人たちの気がかわらないうちに出かけないと」
くすっ。
「じゃあ、いきましょうか。エルヴィン。またかってに一人で行動したらだめよ?」
「にゃうっ」
朝も早い、ということもありいまだに外は薄暗い。
それでもちらほらと見え始めている巡礼者の姿が見て取れる。
朝ごはんはひとまずラシーヌの村によりそこで食べることになっている。
それゆえに、それぞれが馬車にと乗り込み、ヒュウガが馬車を操りラシーヌの村に向けて出発してゆく。
いつまでも用事もないのに聖都のしかも聖なる神殿にてやっかいになっているのも心苦しい。
そんなアンジリェークの願いもあっての彼等の行動。
だがしかし、教団からすれば可能性があるかもしれない少女をみすみす聖都の外に出す。
というのはできうれば避けたいところ。
すくなくとも、そのような可能性がある人物がいる、というだけで教団の存在意義は確定されたものとなるのだから――


                                -第66話へー

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あとがきもどき:
薫:ようやく次回で約束の洞窟ですv
  ん~と、順番をどちらのパターンさんでいこうかとおもってたけど、後者のほうでゆく予定v
  どちら、とはジンクス&誘拐未遂(?)事件。その順番の過程ですv
  というわけで次回はようやく約束の洞窟にて魔道の護り石♪
  ついでにその次は夢魂の塔にてロシュ登場にして風の護り石♪
  ええ、さくさく~~~とそろいますよ。さくさく~と♡(笑
  何はともあれ、ではまた次回にてv
  しかし、あの約束の洞窟のタナトス…全部協力…
  まあ、護り石を強化するのに便利な大きな力をもつオーブ落としてくれるから重宝してますv(まて
  何はともあれ、また次回にて♪

2008年6月14日(土)某日

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