まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
のんびりまったりと打ち込み始めていたら小説の二巻がもうすぐ発売(笑
そういや小説版はどのようにおわるんだろうか?
アニメはどうもレインイベントで終わりそうな予感がひしひしとしてますけどねぇ(一話からみても
脚本に携わっている人が小説かいているのでそのあたりも似たようなものになるのかな?
何はともあれゆくのですv
#####################################銀花の園 ~護り石と想いと……~
「レインやヒュウガさん…大丈夫かしら?」
とりあえず距離的にはさほどもう離れていないので歩きにて聖都の門の場所にと向かっているアンジェリークとジェイド。
周囲には同じような巡礼者の姿が目に入る。
聖都の中に入るには許可がいるらしく、そしてまた門が開く時間も決まっているらしい。
それでも一刻も早く聖都セレスティザムの中に入りたい巡礼者たちは長い時間外にて門が開くのを待つ。
周囲にはそんな巡礼者たちのために無料の炊き出し場のような場所も見受けられる。
「大丈夫だよ。それより、依頼者がいっていた女性…ってだれだろう?」
この場には女性は多々といる。
巡礼者の中には老若男女すべてがいる。
この中で指定された資料を渡すべき人物を見つけ出すのはほぼ困難のような気がしなくもない。
「たしかに。ものすごい人の数ですね」
皆大変な思いをして聖都まで巡礼にくるなんてすごいわ。
心からそのように感心してしまうことしきり。
「とりあえず、近くの巡礼者の方にきいてみましょう。すいませ~ん」
とりあえず近くにいる親子連れとおもわしき巡礼者にと声をかける。
「はい?何でしょう?あなた方も巡礼ですか?お若いのに信心深いですね」
にこやかに母親らしき人物がそんなアンジリェークに対して微笑みかけてくる。
「一度、聖都があるこの地にきてみたくて。あの、すいません。私たち門のところで女性と待ち合わせをしているんですけど。
そういう人をご存知ありませんか?」
女性、といっても年齢も全て何も相手方はいっていなかった。
それゆえに範囲は広すぎる。
「さあ?ここには巡礼者は多くくるからねぇ。門番の人にきいてみればどうかしら?」
確かに、門を護っているものならばそういうことにも詳しいはず。
何よりも彼女たちがいつごろつくのか完全にはわかっていなかったはずなのだから。
「そうですね。どうもありがとうございました」
「いえいえ。あなた方に女王様のご加護がありますように」
ぺこりと頭をさげてお礼をいうアンジリェークににこやかに微笑み返してくる女性の姿。
女王様…か。
もし私に女王様のような力があればもっと人々を幸せにできるかもしれないのに。
誰も悲しまずに平和でくらせる世界。
そんな世界にすることもかつて銀樹騎士の人からきいた女王様ならできるのでしょうね。
そんなことを思いつつ、門のところにむかって歩いてゆく。
「すいませ~ん」
「はい?何か?門が開門されるまではまだ時間がありますよ?」
話しかけると丁寧に反応し対応してくる門番を務めている教団員。
「私たち、門の前で女性と待ち合わせしているんですけど。そういった人をご存知ありませんか?」
ある意味ダメモトでの問いかけ。
「女性…といいましても。ここには巡礼者が多く集いますからねぇ」
そういい少しばかり困ったような声をだす右側にいた男性に続き、
「あ。もしかして毎日この門のところにくる人のことじゃないのか?
毎日、誰かをまっているように常にきている女性がいるけど」
左側で門を護っていた男性がそんな彼に対して気付いたようにいってくる。
「その人、今はどちらに?」
「え~と。今はいないみたいですね。あ、もしかしたら輝晶の源泉のほうにいかれたのかもしれませんね。
ええと、場所はですね……」
至極丁寧にその場所をおしえてくれるそんな彼等に対し、
「どうもありがとうございました」
深く頭を下げてお礼をいう。
確かにいってみる価値はあるかもしれない。
どんな相手に渡せばいいのかわからないからなおさらに。
門番の警備兵らしき人物にとお礼をいい、小走りでジェイドのほうにと駆けてゆく。
「ジェイドさん。もしかしたら、と思われる話をきくことができました。
違っているかもしれませんけど、それらしき人があっちのほうにむかったかもしれない、とのことです」
息をするたびに吐き出す息がとても白い。
空気がとても冷たく澄んでいる証でもある。
「なら、そっちのほうにいってみようか?」
「ええ」
並み居る巡礼者が集うその場を後にして、教えられた方向にひとまず二人して向かってゆくことに。
輝晶の源泉。
山より沸き出でる湧き水が形となり、川となりはじめる場所。
標高は変わらないはずなのにその周辺には雪が積もることもなくいつも緑豊かな自然が広がっている。
それゆえに人々の信仰の一つの場としてもあるいみ有名。
女王の加護の力がこの地に働いているがゆえに雪に覆われることはない。
そう信じられている場所。
事実、この付近のみはとても暖かく、ほかの場所と異なり肌寒さをまったくもって感じない。
それでいて湧き出す水はとても冷たく、澄みきり飲み水としても最適。
「でもこんな場所があるなんて。聖なる都、と呼ばれている由縁も納得ですね」
周囲は雪で完全に覆われているというのに。
この場には緑があふれ自然豊か。
少しばかり視線をはずせばすでにそこは一面の銀世界だ、というのに。
「うん。不思議だね。…あ、アンジェリーク。ちょっとまって。何か……」
「?ジェイドさん?」
ジェイドが立ち止まりとある方向をじっと見つめるとほぼ同時。
「きゃぁ~~!!」
女性の悲鳴がアンジリェークたちの耳にと届いてくる。
「ジェイドさん!」
「うん。いこう!アンジリェーク!」
叫び声が聞こえてきたのは源泉がある、と教えられた場所の辺り。
森をとにかく走ってゆくことしばらく。
やがて水のせせらぎが聞こえてくる。
「大丈夫ですか!?」
「アンジェリーク。君はその人を」
「はいっ!」
小さな小川の始まりともいえる地面より湧き出している源泉となっている場所。
そのほぼ真上に浮ぶように存在している緑色の木のような姿をしている異形の存在。
だがしかし、普通のタナトスとはどこか違う。
姿かたちはエント、と呼ばれているタナトスとまったく同じ。
だがしかし、タナトスにしては周囲の木々がまったくもって枯れてはいない。
もしタナトスならばその真下にある湧き水すらも枯れるであろう。
『汝らの力を我の前に指し示せ。さすれば我は汝らに力を授けん』
ぱしっ。
心に響いてくるような声が聞こえてくる。
だがしかし、その声はどうやらアンジリェークとジェイドにのみ聞こえているらしく、
この場にいた少しばかり見た目いいところのお嬢様っぽい女性には聞こえていないらしい。
『我は緑の門番。汝らのくるのをまっていた。汝らの力を我に示し証をたてよ』
「ジェイドさん。これって…」
「君は…?」
戸惑いの声を上げるアンジェリークと同じように、戸惑いながらもそれに問いかけるジェイド。
『汝らの力を確認せん』
そういうと当時、ぶわりと相手より感じる威圧感。
タナトスではない。
その気配は邪悪なものではない。
だがしかし、こちらに対して攻撃をしかけてこようとしているのは明白。
「ジェイドさん!あぶないっ!!」
木の根のようなものが無数にそれから伸びてアンジェリーク達にむかって攻撃を仕掛けてくる。
「あなたはここに隠れていてください」
とりあえず女性を安全だとおもわれる場所まで連れて行き、ジェイドのところにかけてゆく。
攻撃の間合いからは女性がいる場所は離れているので問題はないはず。
「くっ!」
ばしっ!
向かってくる木の根を片っ端からトンファーにて叩き落すジェイド。
自然の力と対極するもの、それは鋼の力。
相容れないようでいて、どちらも必要なもの。
「鋼の力よ……」
それは直感。
鋼の力を借りればジェイドの手助けとなり、そしてまた相手に証を立てることにもなるかもしれない。
不必要な戦いはできれば避けたいのが本音。
アンジェリークの祈りに伴い、淡い銀色の光が周囲を多い尽くしてゆく。
『汝らの証、しかとみとどけた…我の役目もこれで終わる…緑の守護者よ。うけとるがいい』
きらっ。
銀色の光の中、光につつまれゆっくりとその姿は小さくなっていきやがて一つの小さな物体にと変化する。
それと同時、
再びアンジェリークとジェイドにのみ聞こえる声とともに、きらきらとジェイドの手の中に落ちてくる緑色の物体が一つ。
何が何だかわからない。
だがしかし、確実にいえることはただ一つ。
「今のは……」
「アンジェリーク。もしかしてこれって……」
ジェイドが手にしている緑色にと光る宝石。
木漏れ日に反射し、周囲を緑色に照らし出すほどの輝きを備えている。
ジェイドに差し出されたそれをみて思わず石とジェイド、そして掻き消えた先ほどの生物らしきもの。
それがいた場所を交互に眺め、
「これって…まさか、緑の護り石?」
そっと石にアンジリェークが触れると同時。
石よりまばゆきほどの緑の光が発生し、その光はアンジリェークとジェイドの体の中に吸い込まれてゆく。
「あ、あの?ありがとうございました」
あまりのまぶしさに思わず目を閉じていた。
それゆえに何が起こったのか理解不能。
判っているのはこの二人が自分を助けてくれた、ということのみ。
そんな女性の声にはっと我にともどり、
「あ、すいません。怪我とかはありませんか?」
「お嬢さんが無事でよかった。少しききたいけど、君ヴォードンの政府の人と知り合いの人心当たりない?
俺達その人から聖都の門のところで待っているという女性に書類を渡すように依頼されてるんだけど」
とりあえず、護り石らしきもののことも気にはなるが、肝心なことをひとまず問いかける。
「それでしたらたぶん私のことだとおもいます。あの人ったら…オーブハンターに依頼をしたんですね。
すいません。実はあの人からのその書類は重要なものではないんです。
できたらそのままそれを持って帰ってもらえますか?」
何やら顔を曇らせてそういうそんな彼女の台詞に思わず顔を見合わせる。
「?あの?とりあえず、歩きながらお話ししましょうか?ね?」
どうやら何か分けありらしい。
かといっていつまでもここにいる、というわけにもいかない。
それゆえに女性を伴い、その場を後にするアンジリェーク達。
「私とあの人は、その付き合っていたのですけど、ですが、私の家族はあの人の身分がつりあわない。
といって猛反対していたんです。そしてあの人は私につりあう身分になるまで帰ってこない。
そういって私一人を残して出てゆきました。私は身分なんてそんなの関係ないのに……
私が望むのはあの人の傍で一生を過ごしたい。ただそれだけ。
お願いです。あの人にあったら伝えてもらえますか?聖都の雪がとけるまでいつまでもあなたをまっています。と」
話をきけば、身分の差を指摘されて交際を反対されていた男性が女性につりあう身分になるため。
そういって彼女一人を残してこの地をでていったらしい。
だが、本当に彼女のことを思っているならば彼女をつれて二人で生活する、という方法をもとれたはず。
そう、アンジェリークの両親が半ば駆け落ち同然に結婚したときのように。
彼女の両親もそれぞれ反対されていたものの、二人で共に生きてゆくことを選んだ。
それぞれが身内、というべき人は遠縁にあたるものしか残っていなく、面倒をみていた親戚からすれば、
いいところに嫁がせたい、もしくはいいところの娘さんと結婚させて楽をさせたい。
そう思っていたのだが、重要なのは何よりも本人たちの意思というか気持ち。
確かに、この女性の彼氏だという彼の考えも間違っているわけではないのではあろう。
誰からも祝福され結婚し共にすごしたい。
そう思うのは人の心理というもの。
だが、真心、というものは必ず伝わるもの。
一度や二度の反対で、ならば君につりあう人になってくる。
そういって彼女を残してこの地をでていった男性。
それゆえに彼女の両親はあんな根性があまりない男性のことはあきらめろ。
そんなことまでいってきている始末。
彼はその現状を知っているのであろうか?
彼女の家は代々、聖都の中にあるとある格式のある家柄。
一説によればかつてこの地を育んだといわれている女王と面識があった一族ともいわれている。
それゆえに身分違い云々といって娘の交際を認めようとしなかった彼女の両親といわず一族の人々。
「あなたはそれでいいんですか?」
「まあ、人それぞれ幸せの形はあるだろうけど。だけど中身を確認しないでもいいの?」
そういう彼女に心配そうに問いかけるアンジェリークにうなづきながらも問いかけているジェイド。
アンジェリーク達がうけた依頼は『書類を届ける』という内容。
受け取り手がそれを受け取らない、といった以上、それは仕方のないことなのかもしれないが。
「私はあの人の口からきちんと聞きたいんです」
彼ががむしゃらに働き、首都ヴォードンの政府の要人の一人になった。
ということはある筋の情報より仕入れている。
その情報の源は情報屋ロシュより。
ロシュの活動はアルカディアのほぼ全土にわたって幅広い。
「あの人と私は誓ったんです。輝晶の源泉のほとりで。ですから私はいつまでもまっています」
つきることのない源泉。
そのほとりで愛を二人して誓い合った。
だからこそこの地で彼がもどってくるのを待つ。
それが彼女の決めた愛の証たる行動。
「…わかりました。ならば依頼主さんにはあなたの伝言をお伝えしますね」
「あ、聖都の門が見えてきたよ?」
そんな会話をしつつ歩いてゆくことしばし。
やがて聖都へと入る門が見えてくる。
周囲にはあれほどいた巡礼者の人々の姿がみえない、ということはおそらく彼等は中に入っていったのだろう。
とりあえず、依頼は無事とはいかないまでも完了したこともあり、
彼女を門のところにまで送り届け、ジェイドとアンジェリークはラシーヌの村へともどってゆく。
「…あら?」
何となく寝付かれない。
ラシーヌの村にもどったはいいものの、何でも装置のことについて教団に報告にいくことにきまったらしい。
それゆえに明日は教団本部へといくことになったらしいが。
レインの思い、そしてヒュウガの思いがわかるがゆえに寝付かれない。
人々の幸せを願い開発した装置により人が不幸になる。
それほど開発者として心苦しいことはない。
医学でいうならば、よかれとおもって処方した処置が患者を死に至らしめるのと同意語。
「ヒュウガさんだわ。こんな夜にどこにいくのかしら?」
ふと窓の外をみればどうやら夜も遅いというのにヒュウガがどこかに向かっていっているのが見て取れる。
アンジリェークたちが泊まっている場所は宿ではなく個人宅。
宿は普通の巡礼者たちで満室状態がつづいており、それゆえに信頼できる家に彼等の宿をお願いしたディオン。
もっとも、個人宅、といえども騎士団の別宅ともいえる家であり、それゆえに滅多と使われない部屋数はかなりある。
普段は雇われている人々がこの屋敷の管理をしている状態。
二階の窓から見えたヒュウガの姿がきになり、いまだに寝付かれずに服も着替えていなかったがゆえに、
その上に上着を羽織り、ヒュウガをおって外にと出てゆく。
空気がさすがに夜ということもあり冷えており、ひんやりとした冷たさが体を包み込む。
「アンジェリーク?」
「レイン」
玄関までゆくとどうやらレインも外にでようとしたらしく、ばったりと玄関先でかち合わせる。
「寝られないのか?」
「え、ええ。レインこそ」
「俺は…その、何だ。ヒュウガの姿がみえたものでな。気になって」
「私も二階の窓からヒュウガさんの姿をみて。何かほっとけなくて」
ヒュウガさんは優しいから、だから全てを自分自身に背負い込むところがあるから。
それぞれにどうやらヒュウガのことが心配で彼を追いかけようとしていたらしい。
「なるほど。お前も心配なんだ」
「当然でしょ?私たちは仲間なんですもの」
そう、大切な仲間。
それはレインにしろヒュウガにしろニクスにしろジェイドにしろ。
アンジリェークにとってはかけがえのない大切な。
そしてまた、ベルナールにしろロシュにしろアンジリェークにとってはとても大切な人たち。
親友であるハンナとサリー、そしてアンジェリークが大切に想っている全ての人々。
彼等を悲しませたくはない。
全ての人が幸せであることがアンジリェークの望みであり願い。
「俺も気になってるしな。なら一緒にいくか」
「ええ」
ニクスはいまだにこの屋敷の中にはもどってきていない。
何でも騎士団長であるディオン達と明日の予定の話し合いをしているらしい。
そんな会話をしつつも、一緒に玄関より出てヒュウガを追いかけてゆく二人の姿がしばし見受けられてゆくそんな中、
「確か……」
何かに呼ばれた。
それは確実。
とてもとても懐かしい声に。
きょろきょろと周囲を見渡す。
ラシーヌの村のはずれにあるちょっとした広場。
その中央には何かの像が建てられており、だがしかし風化が激しく原型をとどめていない。
かろうじて女性の像、というのがわかるのみ。
その像の前にと座っている人影が彼の姿を認めて立ち上がる姿が目にとまる。
「よう」
白い髪の十代にみうけられる少年と、そしてまた、赤い髪をしている少年が一人づつ。
「あ。ジェイド!ひさしぶり~!元気だった!?」
そんな彼の姿をみて元気よく声をかけながら手をぶんぶんと振っている赤い髪の少年に、
「よう。元気そうだな。陣中見舞いにきてやったぜ」
記憶の中にとあるなつかしいその口調。
「…ゼフィル…様?」
その姿をみてしばしその場にたたずむジェイドの姿が、広場の一角においてしばし見受けられてゆく。
-第62話へー
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あとがきもどき:
薫:と、いうわけで(何が?
?:あと残りは風と魔道の護り石ね♪
薫:って、…あの?なぜに菫ちゃんがここに?
姫:最近暇だからねぇ。薫さんも私をまったくだしてないし。
薫:…え、ええと……
姫:それにあの子たちも頑張ってるみたいだしねぇ。
けっこう粘るわねぇ。ほんと、人間って面白いわよね♪
薫:…ノーコメント、としておきます。
姫:ま、それはそれとして、いい加減に私たちの話もやりなさいねv
薫:あ、あの?その手にもたれているものは?
姫:ああ、これ?エルたちから預かってきたのよね♪
薫:え、あ、あの!?それはっ!?
(以下、表現しようのない光景のためカット)
姫:さってと。なぜか真空の世界で体全体が破裂しちゃった薫さんはおいといて。
それでは、まったね♪
(あとには真空とかした空間にふよふよと浮ぶ肉体が一つ……)
2008年6月11日(水)某日
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