まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。今回はコズの依頼とレインの恋愛イベントをひっかけております。
ついでにジェイドの恋愛イベントのコズ来訪、をもひっかけて(こらまて
本来ならばファリアンでの出来事ですけど、コズでも問題ないですし。
何しろ海はそこにあるv(こらこら
ともあれ、ゆくのですv
しかし…ファリアンでのジンクス起動実験…普通にタナトスを使うか、
はたまた憑依された人を救うため、とかいって財団員を使うか…どちらにするかな?
どちらのパターンもあるんですけどねぇ(しみじみ
ジンクスの回にいくまでにどちらにするか決めないとな……ううむむ……

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先日の一件以後。
人々の関心はいつか誕生するかもしれない伝説の『女王の卵』に向けられている。
日々、空を眺めてはいつ証が空に輝くか待っている人々。
そしてまた、リースにて約一ヶ月前に起こった現象。
それが今さらながらに話題にと上っている。
「何だかはずかしいわ」
新聞を読みながらも思わず照れてしまう。
そこにはベルナールが書いたアンジェリークたち、ニクスをはじめとするオーブハンターの活躍。
それが乗っている。
そこには彼女が女王の卵だとは一切ふれておらず、人々の為に働く天使の卵。
というような形で紹介されている。
欄外には聖地に巡礼に赴く人々が増えているような旨の記事もまた載っている。
確かに天使の卵、というのは的を得ている表現であろう。
彼女の目標はあくまでも医者であり、人々を助ける、というのが大前提。
そんな中、自分に浄化能力があるのが判明し、医者の知識と浄化能力。
その二つを生かしてオーブハンターの活動にいそしんでいる今現在。
「しかし。あなたもだいぶオーブハンターとして活動が板についてきましたね」
アンジェリークがこの屋敷にやってきてもうすぐ二ヶ月が経過しようとしている。
噂は噂を呼び、人々はこぞって彼等に依頼を持ってくる。
もっともその依頼の振り分けは全てニクス達がやっており、アンジェリークは抜粋された、
緊急性が高い、とおもわれる依頼に主に向かっているのが今の現状。
「というか。お前のこのアンケート。全部エルヴィンのことばかりになってるぞ?」
ベルナールからの取材をうけてのそれぞれアンケートに答えたものの、
どうしても内容が猫に関するものばかりになってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。
まあ、確かに。
平日は何をしていますか?
というようなアンケートに対しては、猫のブラッシング、勉強、読書、猫を洗う、Etc……
そのような答えになってしまうのはいた仕方ないこと。
「そういうレインだって。時間があれば何をしていますか?ではいつも研究、じゃない?」
「ヒュウガのもすごいよ?常に鍛錬、日々鍛錬…だもの」
ベルナールから送られてきた彼等のことを乗せた記事がのっている新聞。
それをみつつのわいわいとしたサルーンの朝。
「ああ。そうそう。そういえば、おそらくあなたにとってとても興味深いところから依頼がきてましたよ?」
「え?」
いきなりニクスに話題をふられ、きょとん、とするジェイドであるが。
「ええ。コズからの依頼です」
「コズ!?本当に!?」
ぱぁっ。
その名前をきいてばっと顔を輝かせるジェイド。
コズは彼の故郷であり、大切な人たちが住まう場所。
故郷からの依頼、となれば故郷に戻れる、ということ。
誰しも自身の故郷は特別なもの。
「コズ。か。ちょうど七月でもあるしな。潮風が気持ちいいだろうな」
「ええ。というわけで、私はお留守番をしてますので、貴方たちだけでいってきてもらえますかね?」
にっこり。
全員を見渡してにこやかに彼等にと話しかけるニクスの姿が、
ここ陽だまり邸のサルーンの一角においてしばし見受けられてゆく。

銀花の園   ~陽光の村コズ~

「しかし。お前もお前というか……」
「だって。レイン。陽だまり邸でお掃除しようとしたらいっつも断られるのよ!?」
どちらかといえば掃除好き、自分のことは全て自分でしてきた彼女にとって、
陽だまり邸のあるいみお嬢さまのような生活は多少申し訳なさでいっぱいになってしまう。
それでも、その時間を利用して時間の限り勉強に励む彼女の姿勢はあるいみすばらしい、
といえるのであろうが。
依頼を終えて、その後、村人達の手伝いなどをもこなす日々。
陽だまり邸にアンジェリークが済み始めてそろそろ二ヶ月。
すごしやすかった気候は夏の暑さを感じるほどに心地よくなり、太陽がとてもまぶしく感じる季節。
「でも、皆よろこんでたじゃない?」
「というか。ジェイド。お前ははしゃぎすぎだって」
今、アンジェリーク達がいるのは陽光の村・コズ。
ジェイドの故郷はかんきつ類の宝庫、といっているだけあり、かんきつ類がとてつもなくたわわに実っている。
周囲にはまるで太陽のような大きな大輪の花をつけている黄色い花の姿が目にとまる。
ひまわりの花。
太陽の動きにあわせて花の動きがかわる。
それゆえにそのように名前がついたらしい。
夏みかんの収穫時期は五月から六月。
ゆえにもう収穫時期は過ぎたものの、レモンやゆず。
カボスにスダチ。
何よりもこの時期、七月はブルーベリー系の収穫時期。
来月からはそろそろイチジクなども実をつけ始める。
「来月は来月で葡萄の収穫祭もあるんですよ?アンジリェークさん」
「そうなんですか。収穫っていろいろと大変なんですね」
ユズの収穫を手伝い終えてひとまず長老の家にて一休み。
ジェイドからすれば故郷であるコズにきていることがうれしくて仕方がない。
ゆえに気持ちが高ぶりどうしてもはしゃいでしまう。
「しかし、この不穏な空気…という原因はいまだに見つからないな」
コズからの依頼書にあったのは、占いで不穏なことが起こりそう。
そういう旨が書かれていた。
しかもコズ近辺で。
それがどのようなことなのかは占いにもまだきちんと確定した未来、としては現れないが、
どうもそれが起こるのは確定的らしい。
アンジェリークも周囲を探索する、といったがひとまず先駆けてレインとヒュウガが周囲の探索。
そして、残ったアンジェリークとジェイドは村人とともにユズの収穫のお手伝い。
「後残るは海のほう側、だけだな」
「じゃぁ、今度は俺が岬のほうを調べにいくよ」
「なら私は灯台のほうだな」
レインの言葉にジェイドが答え、それにあわせてヒュウガが答える。
「じゃぁ、私は……」
「お前は誰かと一緒に絶対に行動していろ」
一人で捜索するなどもってのほか。
何があるか判らない以上、注意は必要。
自分もどこか別なところを捜索にいく、そういいかけるアンジェリークの台詞をぴしゃりとふさぐ。
「確かに。レインのいうとおり。貴女は誰かと共に行動したほうがいい。
  万が一、ということもあるからな」
「にゃ~」
「お。お前もそうおもうか?こいつとろいから迷子になりかねないしな~」
「にゃっ」
「ひど~いっ!ってエルヴィン!レインに答えるようになかなくてもっ」
ぷうっ。
レインの言葉に同意するかのように首を縦にふり一声なく子猫に思わず本気で文句をいう。
どうやら馬車の中に紛れ込んでいたらしく、コズについたときに一緒に降りてきたエルヴィン。
仕方ないので共に行動をともにしているこの現状。
「それじゃぁ、アンジェリークはレインと一緒に周囲を捜索してみて。
  長老。何かわかったらまた連絡してもらえますか?」
その不穏の空気の元が何なのか、ただいま占い師リーンが継続して占いをしている最中らしい。
とてもよくない気がでているものの、まるで何かに邪魔されるかのように詳しいことまでは占えない。
「あいわかった。しかしお前さんたちも気をつけてな」
久しぶりにと戻ってきたジェイドの姿をみてとても喜ばしく思う。
何よりも彼が信頼できる仲間と共にいる、というのはとてもすばらしきことだ、とも。
そんな彼等の息のぴったりあった言い合いをほほえましく眺めつつもジェイドの言葉にうなづくコズの村の長老の姿。

「…どうやら、こっちがビンゴ、か?」
がさっ。
海岸には数隻のヨットが接岸されている。
何かあれば自由にそれらを使っていい、と長老から許可もでてはいるが、今のところその緊急性はない。
時間が許すならばヨットでしばらく海をクルージングしたいところ。
海岸沿いを探索していると、がさり、という音とともに数人にいきなり囲まれる。
よくよくみれば全員が同じ服を着こなしており、どこかでその制服には見覚えがあるアンジリェーク。
「アンジリェーク。俺から離れるなよ?何のようだ?財団が?」
ぐるりと二人を取り囲むように現れたのは五人。
財団、という言葉でこの人たち、アーティフィクト財団の人たちなんだわ。
ようやくどこでその制服を見たのか思い出し一人納得するものの、どうやら尋常ではない様子。
「これはこれは、例のお嬢さんも一緒でしたか。これは都合がいい。
  レイン博士、我々とともにきていただきましょう」
じゃきっ。
いいつつも全員が銃のようなものを取り出して一斉に二人にと向けてくる。
「きゃっ!?」
どうやらリーダー格であろう一人の女性がいうと同時、残りの男性たちが銃口をむけてくる。
「ガーネット。それはヨルゴの指示か?」
「あなたには関係ないこと。我々とすれば貴重な実験体のあなた方を捕獲するのみ」
淡々と言い放つその声には何の躊躇も感じられない。
「そいつはどう、かな?」
ちゃっ。
そんなガーネット、と呼ばれた女性にむけて銃を懐から取り出して突きつける。
「おやおや。そんな子供だましで我々が止められる、とでも?
  わかってますよ。あなたのその銃はタナトスに対してのみ有効なものだ。ということは。
  かまわない、少々怪我をしてもかまわない。実験体を捕獲、しろ」
『はっ!』
ガーネットの指示を受けて、男たちが一歩足を進めるものの、
バンバンバンッ!
周囲に銃の音が響き渡る。
狙いは正確。
「くっ!」
「うわっ!」
「なっ!?」
バンッ!!
それぞれが手にしている銃がレインの攻撃にて叩き落される。
正確に銃をもつ手に狙いを定め、銃を一時その手から離させる。
「走れ!アンジェリーク!」
「え?あ、は、はいっ!」
とはいえ逃げる場所は限られている。
「そこのヨットに!」
言われてとにかく海岸に接続されているヨットの一つにわけのわからないままに乗り込んでゆく。
「まて!」
「あばよっ!」
連続して相手の足元に実弾とおもわしき攻撃を叩き込む。
それゆえに追いかけようにも怪我をすることに恐れをなして躊躇してしまうほかの財団員たち。
その隙にヨットに乗り込み、すばやくロープをはずす。
我に戻りそんなレイン達をあわてて追いかけるものの、すでにヨットは海岸を離れて海にと出ていっている。
「くっ!レイン博士!あなたも壊れるがいいっ!あのカーライルとかいう銀樹騎士のようにっ!!」
捨て台詞、としかいいようのない台詞をそんな彼等に向けて投げかける。
彼女にとってレインもただの研究の成果を問うモルモットに過ぎない。
レインは一切タナトスの影響をうけることなく浄化能力にと目覚めた。
いまだにあの装置はどう改良してもタナトスをおびき寄せてしまう。
今まで幾人の財団員や研究のために獲得した実験用の人々がタナトスに憑依されたか数知れず。
このままでは、あのエレンフリートに負けてしまう。
自分のほうが彼に尽くしている、というのに。
何か自分も成果をえて、理事長に認めてもらいたい。
それゆえの彼女の行動。
全ては彼女の独断の行為。

「…な……」
何だか知らない人の声がする。
それゆえにきびすをもどし、とりあえず村のほうにと戻っていた。
その最中、ヒュウガと合流しとにかくひたすらに走っていた。
そんな中で聞こえてきた銃撃の音。
さらに足並みを早めて音が聞こえてきた方向に走っていけば、財団の服をきた数名の人影が目に入る。
そしてその先にヨットにて海に出て行く二人の姿が。
そんな二人にと何やら叫んでいる女性の財団員の姿。
「リーダー。いかがいたしますか?」
「いたし方ない。…それに人があつまってきだしている。今日のところは撤収だ。
  だが、レイン博士とあの少女は何としても我々が手にいれる。格好の研究材料だしな」
そう言い放ち、少し離れた場所にと止めていたオートモービルに乗り込み何事もなかったかのようにと立ち去る財団員たち。
確かに銃の音をききつけて、わらわらと人は集まってきだしている。
目立つ行動は避けなければならない。
それが上層部に隠れて行う行動ならばなおさらに。
「…カーライル…だと?」
女性の財団員が叫んでいた台詞が耳につく。
確かに、彼の名前を叫んでいた。
そして、彼のように壊れろ…と。
カーライルの亡骸から得た一つの装置。
カーライルの変貌には間違いなく財団が絡んでいたかもしれない。
そう確信がもてる一言。
「レイン達は…あ、無事みたいだね」
どうやら襲撃をうけたものの二人してヨットで海に逃れたらしい。
アンジェリーク一人だと間違いなく彼等に連れて行かれていたであろう。
つまり財団はいまだに彼女をあきらめていない、ということがこれで判明した。
つぶやくヒュウガとは対照的に沖を眺めつつもそんなことをいっているジェイドの姿。
だが、そんなジェイドの声は今のヒュウガの耳には届かない。
先ほどの財団員のいった言葉が頭から離れない。
おそらく、確実に財団は何かをしっている。
どうしてあの堅実なカーライルがタナトスに憑依されるような結果になってしまったのか…ということを。

ザザッ。
潮風がとても気持ちいい。
「きもちい~」
ふと思わず素直な感想がもれるものの、
「そういえば、レイン?あの人たち、一体?」
はたと我にと戻り、ヨットを操るレインにと疑問におもったことを問いかける。
彼等は確かに自分のことをもいっていた。
そしてまた、レインのことも。
銀樹騎士のように壊れればいい。
そうもいっていた。
おそらくそれはかつてレインが開発していたであろう装置と何らかの原因があるのかもしれない。
だがレインからは詳しくアンジリェークは聞いたわけではない。
「おそらく財団の一部のものが勝手な行動をとったんだろう。
  奴等は珍しい女性の浄化能力者であるお前に目をつけている節がある。
  だから絶対に一人で行動とかするんじゃない。いいな?奴等はどんな手をつかってくるか判らないからな」
確かに人一人を捕まえるのに大人数でしかも武器を携帯して。
というのは尋常ではないような気がする。
すでに海岸線はかすむほどに離れており、潮風がとても心地よい。
水着でもあれば少しばかり泳ぎたいところ。
そういえば、私海で泳いだことなんて一度もないわ。
もっとも、ここ最近はタナトスの被害がおおくて人々も海水浴に没頭できない、という実情があるにしろ。
パシャ。
少しばかりかがんで海にと手をつける。
ひんやりとした冷たさがここちよい。
「この先にヒュウガさんの故郷のサキアがあるのかしら?」
海の地平線のかなたに目をやるものの、そこには何も見えない。
どこまでもつづく海のような気もしなくもないが、そうでない、というのは一応学校で習っている。
そしてまた、ときどき夢でみるアルカディア全土の様子からも。
ふわふわとまるで星星や太陽、月から見ているかのごとくにアルカディア全土を空から眺める。
そのような夢を昔からときどきよく見ているのは誰にもいってはいない。
ここ最近、その夢が頻繁のような気がするのはおそらく気のせいではないだろう。
「サキアはたしかにこの海の向こうだな。その先にはセレスティアと呼ばれている大陸もあるらしいけどな」
いまだにセレスティアと呼ばれる大陸にはいったことはない。
同じアルカディアにありながらあるいみ隔離されている場所ともいえる。
海を遠出することはすなわちタナトスの危険性すらも増すことを意味している。
昔は頻繁にかの地に通う人々がいたらしいが、今はそのような話はとんと聞かない。
「いつかいってみたいわ。世界が平和で満たされたら誰でも気軽にいけるようになるのね」
そのためには自分にできることを日々こなしてゆくしかない。
自分の力なんてたかが知れている。
それでも目の前に見える人たちだけでも助けたい。
その思いから彼女は今、こうしてレイン達と活動をともにしている。
「だけど。財団の人も話があるならきちんと筋を通してくれればこちらもきちんとするのに」
あのようなやり方ではなくて、きちんと協力してほしい、といえば断る理由などどこにもない。
それをしない、ということは何か第三者に知られてはまずいことがあるからだ。
とはアンジェリークは夢にも思わない。
「とにかく。お前はあいつらとは率先して関わらないほうがいい。そろそろもどるか」
「え、ええ」
おそらくすでに彼等もあきらめてあの場から撤退したであろう。
時間があるときならばもうすこしクルージングを楽しみたいが今はそうはいってはいられない。
そんな会話を交わしながらも、とりあえずヨットを海岸にむけて操作する。
おそらくコズの占い師が言っていた不穏の空気、とは財団員の動向のことなのであろう。
今後も注意しないとな。
そうレインが心の中で強くおもっていることを、アンジリェークは知らない。


                                -第59話へー

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あとがきもどき:
薫:え~と。とりあえず。
  アルカディアにあるセレスティアはそのままに。位置的にアルカディアの右に位置してるみたいですしね。
  というわけで(何が?)海を挟んで小さな大陸があり、そこがセレスティアとしております。
  ちなみにかの地を管理しているのはリモージュの一族というかクリスタル一族の一員。
  という裏設定v(こらこらこら
  それならば多少のことは問題なく設備などもそのままに継続されてるはず…ですしねぇ。
  ではでは、次回でようやく!ほんとうにようやく聖都にいく回だ~~!!
  それがおわればようやくジンクス&覚醒編v
  何はともあれ、それではまた次回にてv

2008年6月8日(日)某日

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