まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて、今回はアニメオンリーでゲームには出てこないキャラさんその二(まて
ジェッドの登場ですv
といっても彼は名乗ってませんけど(苦笑
ともあれ、いっきますv
#####################################銀花の園 ~襲撃~
「う~ん。いい香り」
ゆっくりと深呼吸すると薔薇の匂いが心地よい。
通いの庭師の腕がいいのか薔薇には虫一つついてはいない。
中には自然の蝶や虫などのためにそれようの草木もきちんと分けているらしい。
「…にゃぁっ」
ふと、アンジェリークに抱かれているままのエルヴィンが珍しく強い声で一声。
ふとみれば、薔薇の道の先にたたずんでいる人影が一つ。
?
こんな朝早くにお客さんかしら?
黒っぽい服を着込んだ背の高い一人の男性。
何というか、彼からはぬくもりみたいなものが一切感じない。
そう、いうなれば人形のようなそんな感覚。
それでも人に大切にされている人形には少なからず心が宿るものだが、目の前の人物にはそれを感じない。
サングラスをかけているので表情はよくわからないが、
「ふ~っ!」
はっきりいってタナトス以外には威嚇したことがないエルヴィンが目の前の人物に対して威嚇をする。
それはすなわち、エルヴィンにも目の前の人物が害をなす存在、と受け止めたからなのであろう。
「あ…あの…」
いっぽ、また一歩後ろに無意識のうちにと退く。
「対象物確認。これより捕獲にはいる」
感情のこもっていない無機質な声。
「アンジェ!!」
ふと何となくだが嫌な予感がし、朝早く迷惑かとおもったが陽だまり邸にとやってきた。
裏庭のほうからはいったきたのが幸いというか何というか。
アンジェリークの目の前にみたこともない男性がみてとれる。
「その…紋章は…きみ。アンジェに何のよう?」
腕についている紋章は、アーティファクト財団のもの。
アンジェリークにかけより、彼女をかばうような格好で前に立ちふさがり、目の前の人物に対して言い放つベルナール。
「異物確認。対象物に変更なし。目的遂行、問題なし」
彼が受けている命令は、アンジェリークを捕獲し財団につれてゆくこと。
命令遂行のためならばどんな手段を用いてもかまわない。
そのように命令をうけている。
「アンジェリーク!!」
何やら目の前の人物から嫌な感じをうける。
こんな感じはあまりうけることがない、というのに。
感じたのは、怖い、という感情。
それゆえに、ベルナールの背中の服をぎゅっとつかむ。
ふとみれば、駆け寄ってくるジェイドの姿。
陽だまり邸以外の住人の足音がした。
しかも、その耳で捕らえた言葉は彼女を捕らえる、というもの。
それゆえに朝からクッキーを焼いていたのを中断し、あわてて掛けてきた。
「き…きみは……」
アンジェリーたちの目の前にいる人物をみて思わず絶句する。
そう。
ジェイドにはわかる。
その人物が何なのか。
ただ、異なるのは……
「オリジナル確認。これよりもう一つの命令の実行にはいる」
淡々とした感情がまったくこもっていない声。
どこかしら機械的に感じるのはおそらくアンジェリークの気のせいではないであろう。
「くっ。ベルナール。彼女をはやく連れて屋敷の中へ!」
おそらく、目の前のソレの目的は自分と、そして彼女。
「あ。ああ。アンジェ。はやくこっちへ」
「作戦遂行の邪魔をするものは排除する」
アンジリェークをつれてその場を立ち去ろうとするベルナールの姿をみていきなり攻撃をしかけてくる。
「いけないっ!」
きいっんっ!
そんな彼が繰りだす目にも留まらないほどの早さで繰り出されたこぶしをすばやく受け止めるジェイド。
「ジェイドさん!?それに、あなたは一体何なの!?」
いきなりまさか殴りかかってくるとはおもわなかった。
それゆえに悲鳴に近い声をあげるアンジリェーク。
「はやくっ!ベルナール!俺が彼をくいとめている間に彼を安全な場所へ!」
「しかし…」
「急いで!」
「やらせない」
ジャキッ。
どこに隠し持っていたのかいきなりその手に銃らしきものをもちそのままジェイドたちにむけ。
「あぶないっ!」
「き…きゃぁっっっっっっっっっ!!」
ダンダンダン!
ベルナールに向けて放たれた銃弾をすばやくその身を挺してかばうジェイド。
ジェイドの体に無数の銃弾が当たってゆく。
『!?』
アンジェリークの叫びは陽だまり邸の中にと響き渡る。
「ジェイドさん!?ジェイドさん!?」
確かにジェイドが撃たれた。
「俺なら大丈夫。はやく、ベルナール、彼女をつれて逃げて」
悲鳴に近い声をあげているアンジェリークを安心させるように微笑みながらも、きっと構えるジェイド。
じわりと服に血のようなものがにじんでいるのが見て取れる。
彼だからこそ無事であるが人がその銃撃をうければまず命を落とすのは確実。
がしっとさらに体術で攻撃をしてこようとするその男の両手をつかみ、踏ん張りながらも促すジェイド。
彼女を危険にさらすわけにはいかない。
そう。
それは何としてでも。
そしてまた、自分と同じ彼にもそんな非道なことはさせたくない。
不本意ながらもおそらく自分のデータを元にして作られたであろう、彼だからこそ。
サングラスをかけているのでその顔はわからないが、おそらく自分と瓜二つの顔をしているのは明白。
心をもたず命令のままに行動する。
機械は使うものの心によって真実の心を宿す。
だが、その機械を使うものに心がこもっていなければ、それは……
「わかった。だけども君も無理をしないで。さあ、早く。アンジェ!」
「だけど、ジェイドさんがっ!」
ジェイドを一人残してこの場を立ち去るなど絶対にできない。
「僕たちがいたら彼の邪魔をしてしまう!それより早く人を呼んでくるんだ!」
そう。
財団の紋章を腕につけている、ということは間違いなく財団からの刺客といってもいいだろう。
ふとみれば、ジェイドは男性に押されているのかだんだんと足元の土が盛り上がっている。
相手は手と、そして足を繰り出しては攻撃を仕掛けてきている。
それにどうにか対応しているジェイドであるが、相手の靴にキラリと光るものの姿が見て取れる。
相手は靴にどうやらナイフか何かを仕込んでいるらしく、足蹴りを交わすと同時にジェイドの肌がかききれる。
それと同時に地面に落ちる赤いもの。
一瞬、その赤い液体をみて不思議におもう。
なぜ自分と同じのはずなのに、彼にはこのようなものがあるのかが、目の前の男にはわからない。
確かにジェイドの体も彼の体も仕組み的な物理的なものからいえばほぼ同じ。
だが使われている技術などがまったく異なる。
もっとも、彼に使われているのも合成血液であり本物ではないものの、
人と変わらず怪我をしてそして自然に治るよう、そのように創造られている。
「ジ…ジェイドさんっ!!」
アンジェリークの叫びと同時、彼女の体から光が空にむかって突き抜ける。
「アンジリェーク様!?」
「アンジリェーク?!」
「あ、あなたは……」
光を確認し、彼女がいる場所が把握できた。
それゆえに光の柱を頼りに何をおいても駆けつけた。
駆けつけたヒュウガ、レイン、ニクスがみたのは、みたこともない黒髪の男性と戦っているジェイドの姿と、
そしてまたアンジェリークをかばうように抱きしめているベルナールの姿。
彼からすればアンジリェークにそんな戦いの光景など見せたくはない。
だけどもアンジリェークとて目をそらすことなどできはしない。
「おまえ、財団の!?何しにきた!?」
腕にある紋章をみて叫ぶレイン。
「ベルナール。アンジリェークをお願いします」
「ああ。まかせておいてくれ。だけど気をつけて。あいつ、隠し武器とかもってる!
靴にはナイフを仕込んであり、銃まで携帯してるっ!」
ベルナールにアンジェリークの保護をお願いし、アンジェリークをその背後にかばうようにして前にでるニクスに、
「…なるほど。これが財団の裏のやり方、というわけか」
舞踏会のときといい、財団のやり方は目にあまるものがある。
「ジェイド。お前は不良品だ、ゆえに回収する」
「君は利用されているだけだっ!自分の心をもって!」
「理解不能。命令は青い髪の人間の確保とオリジナルジェイドの回収」
相手が繰り出してくる攻撃を上手に受け止めながらも周囲に飛び散る赤きもの。
「ジェイド!加勢する!」
バンバンバンっ!!
念のために本物の銃弾と、そして精神弾、同時に装備できるように少しばかりカスタマイズしておいた。
切り替えによりどちらにおいても使用可能なように。
財団がどのように仕掛けてくるかわからない以上、部屋で銃弾を作り装備していた甲斐があったのかもしれない。
ジェイドたちの横手に回り込み、相手に拳銃を解き放つ。
狙うはかれの腕と足。
だがしかし、その銃弾はいともたやすく確かに命中したはずなのに金属音とともにはじけ飛ぶ。
「こ…こいつは……」
それゆえに確信する。
目の前のこの男はおそらくは、模造されたもの。
「はあっ!」
キッン!
「何!?」
確かに腕に命中したのにぐさりと突き刺さる感覚ではなくて金属をついたようなそんな感覚。
ヒュッ。
バシッ。
「この陽だまり邸に許可なく入ってくるとは。いい度胸です」
聖なる空間ともいえるこの場所に入ってこれるということは相手に邪気がない、ということ。
そしてまた、レインの銃撃とヒュウガの攻撃。
ジェイドと互角に戦うその力。
どうしてこの屋敷の庭園内部に侵入できたのかすぐさまに理解する。
彼には邪気などというものは関係ない。
心をもたない無機質な物体には聖なる結界は用をなさない。
この地に満ちている使われている聖なる結界は主に負の意志力を抑えこむもの。
完全なるものではない。
それゆえにこういった不測の事態も生じかねないのも現状。
ニクスが繰り出した鞭が相手の片手を捕らえ、ぐっと意志力をこめてジェイドからその腕を引き離す。
「…お願い。私に…私に皆を護る力をっ!」
大切な仲間たちが傷つくのはみたくない。
「にゅ~っ!」
アンジェリークの叫びと同時、彼女の体が青き光にとつつまれる。
その光はその場にいる男以外の全員を包み込む。
光につつまれ、みなぎる力をその身に感じる。
レインは炎を、ニクスは闇を、そしてヒュウガは鋼を、そしてジェイドは緑の力を。
その力がまるで導かれるかのように体の中に満ちてくるのがわかる。
サクリア。
それが彼等の内部に満ちている力。
「こ…これは……」
ベルナールもまた自分の体が光につつまれているのに驚き、そしてまた感じたこともない力に気付き驚きの声をあげる。
今まで一度も感じたことのない力。
だけどもなぜだか光に導かれるようにその力の使い方が判る。
この力があればアンジェリークを護ることができる?
ぎゅっとしばらく手の平を眺めたのち、
「大地の力よ、かのものの足止めをっ!」
感覚に導かれるままたっと地面に手をつき叫ぶ。
「?ベルお兄さん?」
それと同時。
がごっ。
「なっ!?」
男の足元の大地がいきなり陥没し、足をとられ体制を崩してしまう。
「いまだっ!」
何が起こったのかはよくわからない。
だけども、レインはオリヴィエから聞いてベルナールも力をもっていることを知っている。
目の前で行われた力の解放に驚くものの、だがしかし今は何よりも目の前の男を退けるのが先決。
「全てを燃やし尽くす炎よ!力となりてかのものを退けろっ!」
バッン!!
銃弾では役にはたたない。
だがしかし、タナトスとの戦いで常につかっている精神弾のほうならば話は別。
その気の銃弾に炎の力を全て込めて解き放つ。
体に満ちる力でわかる。
相手の体から感じる無機質なもの。
それは体に宿りし力に近いもの。
「再生と破壊を司りし鋼の力、我の意思に応じて力をあたえんっ!でやっ!」
先ほどまでは槍でいくら攻撃してもその硬い体に弾かれて意味を成さなかった。
だがしかし、力を込めて攻撃をしかけると槍は相手の腕に深く突き刺さる。
「……くっ…!?」
機動力、数%ダウン。
自己修復機能、開始。
体にうけたダメージを的確に判断し、ざっと後ろに退き
「…回収は不可能。撤退する」
そういうと同時に、きびすを返してそのまま走り去ってゆく男の姿。
気のせいかレインが銃で撃った場所からは銀色の何かが見えているような気もしなくもない。
「あ。逃げた!」
逃げ出したゆえに思わず叫ぶベルナールであるが。
「いや、下手に深追いしないほうがいい。それよりアンジリェーク、怪我はないか?大丈夫か?」
相手の正体が何となくつかめるがゆえにアンジェリークを気遣うレイン。
「今のは……」
見た目は人間であったが、だがしかし槍で触れた感覚からすれば、あの男は人、ではない。
全身鋼鉄でできている人間など聞いたことがない。
しかしそこまで今の世界で技術が発達している、と聞いたこともない。
それゆえに戸惑いを隠しきれずにつぶやくヒュウガ。
「私なら平気です。それよりジェイドさんが。ジェイドさん、大丈夫ですか!?」
確かに相手に撃たれたのは間違いない。
「ああ。俺なら平気だよ。大丈夫、心配しない…で…」
くらっ。
ドサッ。
「「「ジェイド(さん)(君)!?」」」
さすがに過負荷がかかりすぎたらしい。
というかあの銃弾がそれなりの仕様であったのかもしれない。
意識を浮上させようにも体が言うことをきかない。
早く起きないと、皆が心配するのに。
皆…が…気付かれたくないのに。
そうおもうものの、だんだんと意識が遠のいてゆく。
遠のく意識の中、レイン・ヒュウガ、ニクス・アンジェリーク・ベルナールの叫び声が聞こえたが、
その声にこ応えようにもどうにもならない。
そのままジェイドの意識は深く、深く沈んでゆく。
「ジェイドさんっ!ジェイドさんっ!!…っ!!」
ゆさゆさとゆすぶりながら腕を持とうとするものの、あまりの重さにまったくぴくりともしない。
「…かなり無茶をしたみたいだな。…レイン、ヒュウガ、それとベルナール。
こいつを屋敷の中に運ぶのを手伝ってくれ。確か手押し車がその先にあったはずだ。
それにこいつを乗せて屋敷の中に運ぼう」
「しかし、この重さは…!?」
確かに大人の男性。
だから重いのはうなづける。
うなづけるが抱えようとしてもぴくりともしない、というのが驚愕に値する。
普段、起きているジェイドからはそんなに体重があるように見受けられないというのに。
「あ、私お医者様に連絡してきますっ!」
撃たれたのには間違いない。
それゆえにまだ医者の資格を完全に得ていない自分では応急処置しかできない。
弾丸を早くからだの中から取り出さないとそれこそ命に関わるかもしれない。
そういい、屋敷の中に向かおうとするアンジェリークを片手で制し、
「いや。アンジリェーク。おそらく医者じゃ役にたたない。とにかくジェイドを屋敷の中へ。
話はそれからだ」
「だけど…レイン。ジェイドさん、撃たれたのよ?はやく手当てをしないと致命的に……」
それも自分たちをかばって。
そっと脈をみてみるが、一応脈拍はあるようであるが何やら単調すぎるような気もしなくもない。
そう、あまりにゆっくりすぎている。
「アンジリェーク。ここはレイン君のいうとおりに。ヒュウガ。この先にある一輪車をもってきてください。
あとベルナール殿もお手伝い願いますか?」
「心得た」
「それはかまわないけど…しかし、おもっ!」
持ち上げようとしてもまったくもってぴくりともしない。
たしかにジェイドの背はかなりたかいが、それでも多少動かせそうなもの。
だがしかし、力をこめて持ち上げようとしてもぴくりとも動かせそうにない。
「ジェイドさん、…お願い。目をさまして……」
うつぶせに倒れている状態である。
受身すらとれずに倒れた、ということはかなりダメージをうけているのだと理解できる。
すぐにでも手当てをしたいのに、傷口が体の下になっており応急手当すらできない状態。
ゆえに祈るしかできない自分がとてもはがゆい。
「もってきたぞ」
「それじゃ、俺とニクスは手を、ヒュウガとベルナールは足をもってくれ。一気にいくぞ。せ~のっ!」
男四人がかりでそれぞれ手と足、それぞれもって力をこめて持ち上げる。
それでもずしりとくる重みはいったいどこからなのかベルナールにもヒュウガにも判らない。
とりあえず、ジェイドの体を一輪車にと乗せ、四人がかりでその車ごと屋敷の中にと運んでゆく。
そんな傍らでとにかく応急処置をするために傷口を確認しているアンジリェークの姿がしばし見受けられてゆく。
-第53話へー
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あとがきもどき:
薫:ジェッドの襲撃と、ジェイドの恋愛イベントさんで必要不可欠なもの。
ジェイドの起動停止、をお送りいたしました~
次回で皆さん、ジェイドが【何】なのか知ることに。
何はともあれ、それではまた次回にてv
ではでは~♪
2008年6月2日(月)某日
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