まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ゲームとはさすがに多少展開ちがいまくってるのはまあお約束v(こらこらこら
しかし、アルカディア全土に見えるオーロラ…まだ少し先になりそうです。
完全にアンジェリークが様々な力に目覚めてから~にしようとおもってますので(あしからず
何はともあれ、今回はあまり意味がありませんv
ではでは~♪

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銀花の園   ~忘れられない思い~

「おかえりなさいませ。アンジェリーク様。それにヒュウガにレイン博士」
「……って、ディオン(さん)!?」
陽だまり邸に入る門の箇所。
そこに何やら人影がたたずんでおり、ふとみればどうやら見慣れた男性。
銀樹騎士団員の制服に身をまとい、それでいて幾度かアンジリェークとも面識がある男性。
「ディオン。きさまがなぜここに……」
驚愕しながらもといかけているヒュウガ。
「とりあえず、俺は馬車を指定の場所においてくるわ。
  騎士団長、あとからいいネタあるから高くかってくれよっ!」
思わず驚き、門のところで馬車を降りる。
そんな彼にと何やらウィンクを一つしながらも話しかけているロシュの姿。
「ディオンさん。おひさしぶりです。でもどうしてここに?」
アンジェリークの疑問は至極もっとも。
「わざわざ銀樹騎士団長がやってくるとは。何かあったのか?」
そしてまた、騎士団の長がやってきたことをうけて先日の一件で何かが判明したのかとおもい問いかけるレイン。
「あれ?そういえば、ニクス氏は?彼のことだからここで一緒にまってるとおもったのに?」
事前にデンワ連絡でアンジリェークたちを馬車で送り届ける。
そう報告はしてある。
彼の性格上、そのまま屋敷の中で静かにまっている、ともおもえないのであるが。
「ああ。それでしたら、庭にでたとたん、何かかたまってジェイド殿にいろいろと確認してましたよ?」
何か信じられないものをみたかのように完全に固まっていたニクス。
聞けば、花壇に花がさいているから驚いている、とのこと。
たしかにみてみれば、花壇に小さな花が二輪、花を咲かせている。
「まさか、また発作がでたんじゃぁ……」
心配するアンジェリークの言葉を首を横に振りながら微笑みつつ、
「いえ。何でも花壇に花が咲いているからどうとかいってましたけど?」
「え?…あ、もしかしたらニクスさんが以前蒔いていた花の種が芽をだしたのかしら?
  それでもすぐに花がさくものなんて??」
普通は芽がでて、それから成長して花がさくもの。
たしか今朝方、陽だまり邸を出たときには花壇に何の変化もなかった。
ひょっとしたら誰かから花の咲いている苗を花壇に植えた可能性もあるが。
しかしそれでもたしかに驚きを隠せないであろう。
「あ、もしかしたらジェイドさんがニクスさんが花壇に花を、とかいってるのをきいて苗ごと植えたのかしら?」
それでニクスが驚いている、というのならば話はわかる。
可能性としてはいくつかあるがゆえに、それで一人納得し軽く手をうつアンジェリーク。
「でも発作とかでないのなら安心しました。でもディオンさん、こんな夜遅くにどうしたんですか?」
この近くに用事があったにしても、すでに夜も更けている。
何も食べていないので多少おなかはすいているものの、だけどもいつもよりさほどすいていない。
いまだにあのときに感じた暖かな力が体の中に満ちているような、そんな感覚。
「ああ。そのことでしたら。しばらく陽だまり邸の近くに滞在することになりましたので、そのご報告に」
陽だまり邸の中に住んでもいい、そうニクスにいわれたが、そこまでしてもらうのは気がひける。
それゆえに陽だまり邸の少し先にとある森の中。
そこにて野営を組むことにしているディオン達。
基本的に銀樹騎士団員は三人体制で一組となり、アルカディア中をめぐっている。
ディオンも騎士団長とはいえそれは例外ではない。
ディオンのその遠まわしな言い方にその意味を悟り、
「なるほど。おそらく貴様らのことだ。ニクスが陽だまり邸にしばらく住んでもいい、といってもことわったのであろう」
「はは。ヒュウガにはみすかされるな。とりあえず最近のタナトスの異常な行動もあることだしな。
  念には念を。ってところだな。しかもあのこともあるし」
あのこととは、財団の行動。
彼等は本当に何をしてくるかわからない。
もし彼女が完全に覚醒する前に財団がその命に関わるようなことをしてくる、とも限らない。
「アンジリェーク殿。私はディオンと話すことがあるので少しばかり席をはずします。
  レイン、後はたのんだぞ」
すでに陽だまり邸はすぐそこ。
それゆえに後をレオンに任せ、その場をディオンとともに一度立ち去るヒュウガの姿。
「とりあえず、俺達は中にはいろうぜ。ベルナール、あんたはどうするんだ?」
「ニクス氏に話すことがあるから少しばかりお邪魔するよ」
そんな会話をしつつも、三人で陽だまり邸にむかって広い庭の中を歩いてゆくことに。

チチチ。
う~ん。
いい朝。
結局のところ、昨日はおそくなったこともあり、ゴハンを食べながらの報告会。
遅くなったからという理由でニクスがロシュとベルナールを引き止めたのであるが、
彼等はそこまで世話になっては悪いといってリースにある宿屋にとまるといって出て行った。
「…エルヴィン。あら?」
ふとおきてみればいつもいるはずのエルヴィンの姿がない。
こんな朝早くにどこにいったのかしら?
そうおもいつつテラスにと出て外を眺める。
ひんやりとした朝独特の空気が何ともいえない。
ふとみれば、朝も早いというのになぜか庭にでているニクスの姿が見て取れる。
そしてまた、別方向には朝も早くから槍の稽古をしているヒュウガの姿も。
「とりあえず、服を着替えてそとにいきましょ」
アンジリェークは知らないが、彼女が昨夜部屋に戻った後、ベルナールたちやニクス達。
つまりは男性陣のみでとある会話が交わされたことを彼女は知らない。
それは常に誰もが彼女の身辺をきにかけておく、という確認。
服を着替え、歯を磨き、身だしなみを整えて外にとでる。
霧が立ち込める朝もやの中、いつもの花壇にとむかってゆくと、やはりそこにたたずむ一つの人影。
「ニクスさん。お早うございます」
にっこりとかがみこんでいるニクスにと挨拶をするアンジェリークであるが。
「ああ。アンジリェーク。お早うございます。あの、変なことをききますけど、あなたはここに花がみえますか?」
どうやら花壇に咲いている二輪の花がどうしても自分自身の幻ではないのか、とおもっているらしい。
「ええ。きちんと二輪、さいてますよ?…これ、でも百日草ですね。ニクスさんが以前植えていた種が芽をだしたのかしら?」
それとなくジェイドたちにきいてみたが、ジェイドたちは花を植えていないらしい。
それにしてもたったの一日で成長し花を咲かせるなど聞いたことがない。
もしかしたら誰かがこっそりとニクスに感謝して花を植えたにしてもたったの二輪、というのは寂しすぎるような気がする。
「ああ。やはり私の昨夜の見間違いではなかったのですね。
  おそらくあなたの聖なる力が私の忌まわしい運命に光をさしたのでしょう」
今まであのときから、いくら草花を育てようとも全て自分が望まないにしろ生気は奪われ枯れていた。
ゆえに、確認しようと手を触れるのがとても怖く、ただ見ているだけのニクス。
「そんな。ニクスさんのお世話がよかったからですよ。
  でも不思議なこともあるものですね。普通芽がでて、それから花をつけるまで四十日はかかるのに」
アンジェリークの疑問は至極もっとも。
だがしかし、彼女の聖なる力と、早くめをだしてほしい、という思いもあり、種の時間が早くすすんだ。
ということを彼女は知らない。
「日にちなどはどうでもいいのです。重要なのはこの花壇にきちんと花が根付いている。
  ということなのですから。感謝しますよ。アンジェリーク」
「そんな。私は感謝されるようなことは何もしてませんよ?」
本気で感謝されているのか深くお辞儀をしてくるニクスに対し、あわててぱたぱたと手を振りながら応える。
「あの?ニクスさん?」
「ああ、失礼。私はしばらくこの奇跡を眺めていたいとおもいます」
どうやらニクスにとってはかなり重要なことらしい。
誰が行ったにしろ確かにニクスにとっては驚愕するほどにうれしいことであったに違いない。
「ふふ。お花は見ていて人をなごましてくれますものね。
  あ、私エルヴィンをさがしてきますね」
どうやらテラスに続く窓が少し開いていたことからおそらく外にでているのであろう。
大体、いるとすればヒュウガが朝の訓練をしていたことからその付近がかなり濃厚。
よくエルヴィンはヒュウガの部屋を訪ねていってはのんびりとしているらしい。
それを食事時にきいているからこそ、少しばかり先にそちらから探しにいこうとおもっているアンジェリーク。
「ええ。おきをつけて。ヒュウガならあちらでいつものように朝の訓練をしていましたよ?
  いやはや、朝昼夜といわず、彼はまじめですからね」
時間があれば常に腕がなまらないようにと日々精進している彼の姿はあるいみ確かに見習うものがあるのであろう。
そんな会話を交わしながらも、ニクスに軽く挨拶し、ヒュウガがいるであろう方向にむかって歩いてゆく。

陽だまり邸の庭はとても一日では散歩しきれないほどに果てしなく広い。
さらに私有地となればかなりの土地の広さとなる。
庭だけでもここまで広く、それでいて手入れの行き届いている場所をアンジリェークは知らない。
もっとも、彼女は学園以外の場所をほぼ知らなかったのだから当然、いえるであろうが。
陽だまり邸の横にとあるちょっとした小さな木々が生えている場所。
その先でいつもヒュウガは鍛錬を行っている。
「にゅぅっ」
ヒュウガさんはこのあたりにいるはずだけど。
そんなことをおもいきょろきょろしていると、見慣れた子猫の姿を発見する。
「やっぱりここにいたのね。エルヴィン。…あら?これ、ヒュウガさんの槍?」
木にと立てかけられているヒュウガの槍。
ヒュウガは少しばかり槍をおいてどこかにいっているらしい。
その槍の前にちょこん、と座ってまるで槍を見守っているかのようなエルヴィンの姿。
ふわっ。
「……あ」
カタッン。
久しぶりというか槍のしたのほうから光る蝶が現れ、それと同時に槍が風もないのにパタンと倒れる。
「あ。ヒュウガさんの槍が。…ん~…お、おもい……」
倒れたままにしておく、というのはよくないとおもい、元のように立てかけようとする。
だがしかし、槍は重くてなかなか持ち上がらない。
ふと、そんな槍の横にヒュウガがいつも使っていない小さな短剣の姿が目に入る。
大切にされているのか布にくるまれていたらしいが、その布が少しばかりはらけている。
光る蝶はそんなアンジリェークと短剣の周囲をくるくると飛び回っている。
「おまえ…何かつたえたいの?」
何となくであるが、蝶は何かをつたえたがっているかのように感じられる。
短剣の上に羽を休めるかのようにとまった蝶に何の気なしにと手を伸ばす。
と。
「そこで何をしている!?」
今までに聞いたことのないようなヒュウガの強い口調。
「あ、ヒュウガさん。おはようございます」
「それは…っ!?」
ふとみれば、アンジリェークが振り向いた先に多少驚愕したような顔をしているヒュウガの姿。
どこかかなりあせっているというか怒っているかのように感じられる。
「あ。槍が倒れていたのでそれを直そうとしたんですけど…重くてもちあがらなくて…」
聞いたことがないヒュウガの強い口調に驚きながらも戸惑いながら返事を返す。
「あ。いや、失礼した。あなたが悪いのではない。
  しかしその槍は女性には無理、というもの。そうみえてかなりの重さがあるのでな」
あら?
ヒュウガがくると同時に光る蝶はヒュウガの周囲を舞ってゆく。
「ヒュウガさん。光る蝶が……」
「?蝶?そんなものはどこにもいないが?」
やはりというか何というかヒュウガの目には蝶の姿は目にはいっていないらしい。
つかつかと近づいてきてひょいっと槍を持ちあげ、そしてそこにある短剣にと手をかける。
大事そうにその短剣を再び布でくるみながらもどこかその短剣をみるヒュウガの瞳が痛々しい。
「ヒュウガさん、槍のほかに短剣ももっていたんですね。いつも槍を扱っているのでしりませんでした」
「いや、これは私自身への戒めとしてもっているもの」
?戒め?どこかヒュウガさん、つらそう?
「ヒュウガさん?」
アンジェリークに説明するヒュウガの表情はとても痛々しいもの。
まるで、そう自分自身を責めたてているかのごとくに。
「失礼。しかし槍が倒れたなど…あなたの力ではびくりともしなかったであろうに」
そもそも風なども吹いてはいない。
彼女が槍に躓いたにしろ重さからしてやりが簡単に倒れるなどとまずありえない。
つい短剣にアンジェリークが手を触れかけているのをみて強い口調で叫んでしまった。
まだまだ私も未熟だな。
そんなことを思いながらもアンジェリークにと話しかける。
「しかし。あなたに怪我がなかったようで何よりだ。無理にもとうとしてあなたに怪我でもおわせたらもともこもない。
  今度からはそのようなときには私をすぐに呼んでほしい。必ず近くにはいるのでな」
もし、自分が強く叫んだせいで逆にアンジェリークが姿勢を崩し槍に当たって怪我でもしていたら、
それこそ取り返しのつかないところであった。
それゆえに自分の未熟さを実感しつつも、気遣いながらもひとまず注意を促しておく。
確かに、ヒュウガにいわれてアンジリェークがよくよく注意してみれば、どうやら汗をぬぐいにいっていたらしい。
確かにこの近くに噴水があり、そこでタオルを水にひたせば簡単に汗をぬぐうことは可能。
「は、はい。すいませんでした。でも槍ってこんなに重いものなんですね。
  ヒュウガさんがいつも軽々と扱っているのでここまで重いなんてしりませんでした。
  ヒュウガさん、力持ちなんですね。私にはとてももてそうにないわ」
できれば自分も武器をもち、タナトスなどに対抗したいのに。
仲間の足手まといにはなりたくない。
「軽々…か。あなたの目にはそうみえるのか。日々訓練の賜物ではある。
  我々教団に入ったものは日々の訓練で自分にあった品を選ぶことからまず始まる。
  とはいえ一つの武器だけではない。全ての武器でも共通して対処できるように、と指導される。
  しかし、あなたが槍や武器といったものを持つ必要性はない。
  あなたは護られるべき存在だ。あなたはただそこにいてくださるだけでいい。
  あなたを護るのは我々の役目。命にかけてもあなたの身はお護りするのでな」
そう。
彼は教団に所属したそのときから、その身を女王のためにささげる。
そう心に決めて鍛錬に励んでいた。
教団をぬけた今もその志は変わっていない。
「?ヒュウガさん。嘘でも命をかけて、とかいわないでくださいね。
  それに、私たちは仲間、でしょう?私だけ何もしない、というのも……」
アンジリェークは祈りをささげオーブの力を引き出しているのみ。
ゆえに戦闘に先立ってゆくレインやヒュウガ、そしてニクスやジェイドに対してとても心苦しく感じている。
彼女を守りつつ、それでいてタナトスと戦うそんな彼等に対して何かできることはないのか。
そう日々おもっているのだから。
「しかし。あなたはあなたの役目がある。我々はそんなあなたを補佐し護るのみ。
  私はもうしばらく訓練を続けるが、あなたはどうする?」
「あ。私はエルヴィンをつれにきたんです。もう、エルヴィン、かってに外にでたらだめよ?」
「にゅ」
ヒュウガにいわれ、はっとなり初期の目的を思い出し、ひょいっとエルヴィンを抱き上げる。
「それじゃあ、失礼します。ヒュウガさん。でもあまり無理をなさらないでくださいね」
訓練の邪魔をしては悪いとおもい、ぺこりと頭をさげてその場を後にする。
あ。
やっぱりあの蝶、ヒュウガさんの周囲を舞っているのにヒュウガさん、まったく気付いていないようだわ。
まるでヒュウガを心配し、見守るかのように光る蝶はヒュウガの周囲を舞っている。
とりあえず邪魔をしても何なのでエルヴィンを抱き上げてその場を後にしてゆくアンジェリーク。
ついでだから庭をお散歩して屋敷の中にはいりましょ。
そうおもいつつ、薔薇庭園のほうにむかって歩いてゆく。
薔薇は手入れが大変だというのにどうやら定期的に通いの庭師までいるらしい。
ずっと学園からでたことなかったアンジェリークにとってそういう世界はまるで夢物語そのもの。
そもそもこのような薔薇のトンネルなど想像でしかなかったものが目の前にある。
花をみているととても心が何だか軽くなってくるようなきがする。
そう、いつも常に両親とともにあった花々。
花が傍にあるだけで両親がいつも傍にいてくれる。
そんな感じをうけるのは、おそらく物心ついたころから常に彼女の周囲には花が咲き乱れていたからであろう。


                                -第52話へー

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あとがきもどき:
薫:さてさて、イベントの一振りのおもみ、ヒュウガの恋愛イベントでしたv(こらまて
  次回でようやくジェッド登場vv
  それからジェイドの起動停止~ですね~。
  それらがおわってから焔の砦の野火の回ですv
  何はともあれ、それではまた次回にてv

2008年6月1日(日)某日

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