まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
副題と、またまた内容がくみあってないなぁ。
まあ、とりあえず副題は星の船の名前が判明した、というのからとりましたv
ちなみに、おもいっきりアンジェリークにとっては驚愕の映像もどきがv
つまり前回のあとがきでも触れた自分自身からのメッセージv(まて
何はともあれゆくのですv
#####################################銀花の園 ~星の船・アウローラ号~
こ…これは。
その場の近くにいたものは思わず目を丸くする。
光につつまれ消えてゆくタナトス。
そしてまた、朽ちた外観であったはずの星の船。
白き光る羽が船体に触れたかとおもうと、船もまた光につつまれ、汚れは光の粒子となり、
次の瞬間、白く輝く船体にと変わりゆく。
船の舳先などは金で細かな細工がしてあり、優雅さをかもし出す曲線美。
帆もまた新品同様に白く輝きを取り戻し、まるで新品さながら。
きらっ。
「…これは?」
ふと、ゆっくりと瞳を開く。
今までとは何かが違う不思議な感覚。
タナトスに襲われていた人々が目覚める様子がなぜだか手にとるように映像として流れ込んでくる。
ふと気がつけば、きらりと空から舞い降りてくる何か。
そっと手を伸ばしうけとめると、光り輝くそれはアンジリェークの手の中で一つの宝石と化す。
きらきらと金色にと輝くその宝石。
そしてまた、何かが体の中に満ち溢れてくるのがわかる。
金色の輝きをもつ宝石は、その形からしておそらくは護り石なのであろう。
「…光の…護り石?」
――アンジェリーク。
ふと、また先ほどの声が聞こえてくる。
ふと気がつけばいつのまにかタナトスは消えており、あれほどタナトスに襲われ転がっていた人々の姿は見えなくなっている。
そのかわり、目覚めた人々は何がおこったのか判らないままにその場にたちつくしている今の現状。
「アンジェリーク!…って、お前、いつのまにそんな力を?!」
いまだにダメージをあまり与えていないタナトスまで一気に今の力で浄化された。
そしてまた、ふと視線を変えれば新品同様に蘇っている星の船の姿が視界にはいる。
それゆえに驚きつつもアンジェリークの傍にかけより問いかける。
「レイン…。そんな力、って、何?」
レインにそういわれても、アンジェリークには意味がわからない。
ただ、判るのはなぜか手にとるようにこの街の人々の様子が視てとれる、ということ。
まるで、そう自身の体の一部がそれぞれの場所で全ての場所を見渡しているかのごとくに。
「さすがあなたのお力だ。…それは?」
人々が元通りになった以上、次にするべきなのは何よりもアンジリェークの安全確保。
それゆえにアンジェリークの元にもどりうやうやしく礼を取りながら話しかけてくるヒュウガ。
ふと、アンジリェークが手にしている金色に光り輝く宝石をみて思わずつぶやいていたりする。
「え?これですか?今何か空からふってきたんです」
少しばかり空に掲げてみれば、きらきらと金色の光を帯びたそれはどこかとても清々しい。
「まさか、光の護り石、か。何か最近どんどん護り石がそろってきてるな。
天使、闇、鋼、炎、夢、そして光。確か水の所在地も判明してるんだったな。
じゃぁ後は、緑と地と風、か。…ってあと三つ?」
短期間でここまで一気に伝説といわれていた品がそろうのは何かしらの運命というか、
誰かの意図をかんじざるを得ない。
アンジェリークはいってはいないが、手にしているブレスレットの石の光も日々輝きを増している。
そしてまた、護り石を手にいれるたびに、コンパクトの手鏡の内部に内装されている石もまた光を増している。
ふと手の平の中のそれをみていると、ようやくあることに気付き思わ目を見開きその場にて硬直する。
「…え?え?ええぇぇ~!?って、レイン!?ヒュウガさん?!船が…船が!?」
いまさらといえば今さらながらの彼女の驚愕。
目の前にある船は彼女の記憶の中にあるものとまったく同じといっても過言でないもの。
輝くばかりの白き船体に細かな細工が施された曲線美豊かな巨大な船が一隻。
「…おまえ、自分がこれをやったんだろうが」
「え?まっさか。そんなわけないじゃない。あ、もしかしたらこれもタナトスを浄化したから元にもどったのかしら?」
タナトスを浄化すれば彼等に生気を奪われている存在は生気を取り戻す。
枯れていた草木も元の姿を取り戻す、といわれている。
だがしかし、朽ち果てたような姿となっていた物体が新品同様になるなど一度も聞いたことがない。
だが、アンジリェークはそれを知らない。
知らないからこそそう解釈してしまうのは仕方ないのかもしれない。
彼女からすれば自分がそのような大きな力をもっている、などといまだに夢にもおもっていないのだから。
「しかし。まずいな」
「あ、ああ。そうだな。そうだ、念のために船の中をもう一度見回らないか?」
ふと気がつけば我に戻った人々がいつのまにか押し寄せてくる気配をひしひしと感じる。
おそらく何かのきっかけで彼等は間違いなく、アンジェリークに対して押し寄せてくるであろう。
それをしないのは、目の前にて新品同様の姿を取り戻した船に驚愕しているからに他ならない。
彼等が船から興味をアンジリェークに変更する前に、彼女をこの場から離す必要性がある。
ヒュウガの短い言葉に何をいいたいのか察して、すかさず話題を変えるレイン。
「そうね。まだ船の中を全部みまわってないですものね。まだタナトスがのこってたら危険ですもの」
確かにレインのいうことは至極もっとも。
あのとき、舩内をくまなく捜索するより先にタナトスが外にと出てしまい舩内から外にでた。
ゆえに、いくら元の姿を取り戻したとはいっても中にタナトスが残っていない、とも限らない。
先ほどの騒ぎで船の船板に続いていたトラップが完全に外れており船の内部に入ろうにも出入り口が見当たらない。
だがしかし。
なぜだか判る。
先ほど光とともに、一瞬この船が起動しているところが視えた。
なぜなにかはわからない。
だけどもそれは直感的なもの。
「しかし、どうやってはいるのだ?」
ヒュウガの疑問に思わず船を見上げてうなるしかないレイン。
古代の船なのだからどこかに鍵となる部分があるはず、というのはわかるものの、
船がつながれているのは海の上。
まだ陸の上ならば周囲を周回しつつ探すことも可能だが。
と。
「にゅ~」
アンジェリークの手から離れたエルヴィンがちょこんとその場に座り込み、船を見上げて一声いななく。
それと同時。
がこっ。
船の上のほうの一部が開き、はずれた板がゆっくりて降りてくる。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
それをみて思わず目が点となるレインとヒュウガ。
「まるでエルヴィンの鳴き声に反応したみたい」
そんなアンジェリークの素朴な疑問に思わず内心同意するヒュウガであるが。
「ま、まあ、入る手間が省けた、というので。とにかくコレにのればいいはずだ」
いいつつも、ふわりと降りてきた一枚の板らしきものの上にのっかるレイン。
そんなレインに続いてヒュウガ、そしてアンジェリークもその板の上にと上がり、
エルヴィンがちょこん、と板の上にのるのと同時、板は三人と一匹を乗せたままゆっくりと上昇してゆく。
ワイヤーも何もなく、ただ本当に空中に浮ぶ板らしきもの。
古代の技術には毎度のことながら驚かされる。
アンジェリークとてこの船に載る方法はなぜか理解できていた。
できてはいたが、その出入り口をどうやって開けばいいのが多少戸惑っていたのも事実。
偶然なのか、はたまた彼等の思いを組み込んだのか、挙句は猫の声に反応してなのか。
それは誰にもわからない。
ただ一ついえることは、これで船の中にと入れる、ということのみ。
「…すげぇ」
先ほどとはまったく異なる船の中の内装。
先ほどは確かに長き時間、海底に眠っていたとおもわせるもの。
だがしかし、
床に敷き詰められた赤い絨毯は長年海底にあった、とは到底おもえないふかふかとなり、
壁一面も染み一つない真っ白な壁に金の細工が施された彫刻がところかしこに備え付けられている。
そしてまた、操縦室と思わしき場所も先ほどとはうってかわり、様々な見たことがない装置が敷き詰められている様子が見て取れる。
「どうやら、タナトスの気配はないようだな」
「ん?ここに何かかいてあるぞ…えっと……」
おそらく船の舵なのであろう。
その付近に小さく船体の名前なのか何かの名前が彫られている。
「アウ…ローラ…号?」
「え?」
その名前はたしか、あのエンジェという子がのっていた船の名前じゃあ?
レインの言葉に思わず短い声をもらすアンジェリーク。
「しかし、どうやら船の中にはもうタナトスの気配はないようだな」
逆に船の中には何やら神聖な気配を感じる。
きょろきょろとそのみたこもない装置をいろいろと見て回っているレインとは対照的に淡々とつぶやくヒュウガ。
ヒュウガとてこの船の変わりようには驚くが、何しろこの船は伝説の品といえるもの。
何があっても不思議ではないような気がするのはおそらく間違ってはいないであろう。
「そういえば……」
ふと、先ほどはタナトスのこともあり注意深くみることはできなかった。
それゆえに、操縦室をしばらく調べるというレインをそのままに、ヒュウガとともに移動する。
移動した先は、先ほど不思議な声を聞いた場所。
階段の降り具合からしておそらく船の中ほど部分に位置しているらしい広い部屋。
食堂、もしくは大広間のようなものなのかもしれないが、その用途はアンジリェークには判らない。
壁際にこれまたみたこともないいくつかの機械らしきものがおいてあるが、
その横に綺麗なガラスコップなどが置かれているのも気にかかる。
それはまだアルカディアでは普及していない自動式の飲料の補充機。
つまりお店の係りのものがいなくても自分の好きなものをコップにいれていつでも楽しむことができる品。
もっとも、今は装置の中には何もはいっていない。
先ほどまでは多少うすぐらかったのに、部屋に入ると同時に部屋全体が明るくなる。
自動でどうやら灯りがともる仕組みになっているらしい。
その技術にも驚愕せざるを得ない。
何しろこの世界は電気というもの事態が普及していないのだからなおさらに。
「……これだわ」
きょろきょろと周囲を見渡し、そっと小さな台のようなものの上におかれている小さな水晶球。
それから感じる気配はとてもなつかしく、それでいてどこか知っているような気配。
そっとその水晶球らしき青い球体にアンジェリークが触れると同時。
水晶からまばゆき光が発生し、やがて光は一人の女性の姿を映し出す。
「……え?…わ…私!?」
目の前に立体映像よろしく映し出された姿に思わず目をぱちくりしてしまうアンジェリーク。
そう。
映し出されたのはまぎれれもなく、アンジリェーク自身としかいいようのない姿。
だが、今の自分よりどこか満ち溢れた威厳というか神秘さというか、とにかく慈愛に満ち溢れた表情をしているのが特徴的。
「こ…これは…!?」
その姿を目の当たりにし、おもわずそのばにひざまづくヒュウガ。
【アンジェリーク。おそらくあなたがこれをみているとき、あなたは自分の力に戸惑いを覚えていることでしょう。
だから、遥かな未来より過去の自分にむけてここにメッセージを残します。
どんなことがあっても自分の信じる道を突き進んでください。あなたは一人ではない。
そう、何よりも頼れる仲間や知り合い、そして友人たちがいるのだから】
どこかで聞いたことがある。
そう思えたのは至極当然なのかもしれない。
目の前に浮んでいる女性はどうみてもアンジリェークそのもの。
異なるのは今のアンジリェークと多少雰囲気が異なるくらい。
それと服装がなぜかドレス姿である、ということを覗けばそれ以外はアンジリェークと瓜二つ。
【負の力は常に人の心を取り込み世界そのものを虚無と化そうと狙っています。ですが忘れないで。
あなたが信じる道、そしてあなたが仲間たちを信じ、自分の力を信じているかぎり道はひらける。
ということを。かつて私自身も不安だったことから、ここに過去の自分にむけてメッセージを残します。
すこしでもあなたの役にたてますように】
「……あっ」
メッセージらしきものが終わると同時に、青い水晶球は光とともにはじけ飛び、
その光はアンジェリークの体内にと吸い込まれるようにして消えてゆく。
「い…今のは……」
まるで、しいていうならば、陽だまり邸にかけられている女性の絵姿。
その絵姿とよく雰囲気が似ていた。
だが何よりも驚いたのはその顔が自分であった、ということに他ならない。
この場にヒュウガもいて彼もまたそれをみていなければ自分の幻想、とし片付けたかもしれない。
もしくは二人して夢をみていたのかもしれない。
何事もなかったかのような静けさが残る部屋にてしばし呆然とするアンジェリークと。
そしてまた、しばらく膝マづいて祈りをささげるヒュウガの姿が見受けられてゆく。
「もう船の内部にはタナトスはいないみたいだぜ?」
甲板に出たところ、そこにいるはずのない人物の姿をみて淡々と言い放つ。
「どうやらそのようだな。我々の数値からもタナトスを示唆するものは得られていない」
?
どこかレインと何となく似てるけど…なぜかしら?
この人から何かこう、あまりよくないような気みたいなのを感じるのは。
そんなことをおもい、思わずヒュウガの後ろに少しばかり一歩さがり隠れるようにして目の前にいる人物をみる。
その後ろに何やら苦虫をつぶしたような表情をしているエレンフリート、となのった少年の姿が目にとまる。
「というか。何をたくらんでいる?ヨルゴ?俺たちにタナトス退治の依頼をしてくるなんて」
ヨルゴ?
それって確かレインのお兄さんの名前じゃあ?
じゃぁ、この目の前の男の人が?
アーティファクト財団の最高責任者であり理事長ヨルゴ。
そしてまた、レインの歳の離れた異母兄でもある。
「財団には財団の事情がある。しかしレイン、もどってくるきはないのか?」
「あんたがその考えを改めない限りは絶対にない」
「笑止。大事の前の些細な犠牲など何だという。現にこのたびのことでもタナトスに襲われた人々。
生のタナトスに襲われたときのデータが手にはいった。真実のデータは何よりも貴重だとはおもわんか?」
「…あんたとはこれ以上はなしていても気分がわるくなるだけだ。依頼は果たした。これで失礼する。
いこう、ヒュウガ。アンジェリーク」
くるっと向きをかえてアンジェリークの肩にと手をおき下船を促すレインであるが。
「理事長。あんな裏切りもののことなどきにしなくても。裏切り者がいなくても十分に……」
「エレンフリート。財団に必要かそうでないかは私が決めること。
お前はそれより元の姿を取り戻したとおもわれるこの船を徹底邸に調べてみるといい。
何か我々の研究に約にたつものがあるかもしれないからな」
そんなレインに聞こえるようにあからさまにと不機嫌そうな声でヨルゴに話しかけているエレンフリート。
そんな彼にぴしゃりと言い放ち、にべもいわさないヨルゴの声。
彼等には言いたいこと、聞きたいことがたくさんある。
だが、今は何よりも下手にここで彼等を問い詰め、アンジェリークの身に何かあればそれこそ一大事。
それゆえにレインに習い、アンジリェークを隠すようにしてレインたちとともに下船してゆくヒュウガ。
船を下りるとそこには一台の馬車が止まっており、馬車の背後から息を切らせたベルナールが駆け寄ってくる。
「アンジェ!」
息をきらせながらも、無事なアンジリェークの姿をみてほっと胸をなでおろす。
新聞記者、という特性をいかし、どうにか騒ぐ人々を銀樹騎士団とともに沈静化させた。
それゆえに今は周囲に野次馬の人だかりはない。
アンジェリークが浄化を行った、と直接にみたのはごく一部の人々。
だが、噂はあっというマに広まるもの。
もっとも、この街にいたタナトスに襲われて生死不明をさまよっていた全ての人々。
その人々も光につつまれると同時に目を覚ました、という実情もある。
そのことに関してはアンジェリークにまで情報は届いていないが。
噂は噂をよび憶測をもたらす。
すでに日も暮れ外が暗くなりかけている、というのも目くらましには十分すぎるほど。
「ベルお兄さん」
「ベルナール。ナイス」
「ふっ。さすが彼女の安全を第一に考える彼らしいな」
ベルナールならばこの状況でアンジェリークが普通に外を歩く。
それをよしとはしないであろう。
彼女をとても大切におもっているからなおさらに。
そんな彼の姿をみてほっとする。
あのタナトスの襲撃でベルナールが被害にあっていないかそれもアンジリェークには気がかりであった。
「とりあえず、君たち、早く馬車の中へ。ロシュ。やってくれ」
「はいよっ!」
ふとみれば、どうやら操縦しているのはロシュらしい。
「はいっ!」
ばしっ。
ロシュが手綱をもち馬に合図を送ると同時、港から走り出す馬車が一台。
周囲には幾台かのオートモービルもあることから、そちらに奇跡の少女がのっているかもしれない。
そう人々が思う確立も高い。
だがしかし、普通のけっこう知る人ぞしっている情報屋のロシュが操縦している馬車に、
よもや伝説の存在であろう人物がのっている、と誰が想像できようか。
背後から誰もついてきていないのを確認し、ほっとしつつも。
「しかし。無事でよかったよ。財団に変なことをされなかったかい?」
彼等のことである。
彼女に何をしているか気が気ではない。
「別に何も」
「そういえば、財団の連中は一体何をたくらんでいたんだ?」
きょとん、とするアンジェリークにかわり、といかけるレイン。
大方の予測はつく。
つくがどうしても確証がほしい。
「今は財団に教団側からもかなりの厳重注意がいっているはずだけどね。
彼等はどうやらタナトスが人々を襲うときのデータ採取と、そしてあわよくば、銀樹騎士団。
そして君たちオーブハンターのもつ能力を測定しようとしていたらしいんだよ。
もっとも、原因不明の故障で装置は途中で壊れてつかいものにならなくなったらしいけどね」
原因不明、というよりはあまりの力の強大さに装置そのものがついていけなかっただけなのだが。
タナトスが内部にいるのを承知で人々に見学を許可した財団。
彼等曰く、浄化を頼んでいた最中の事故は自分たちのあずかり知らぬところ、の一点張り。
おそらくは、エレンフリートのやり方に疑問をもった財団員が
保護をもとめて銀樹騎士団員に保護をもとめなければ真実はわからなかったであろう。
おそらく彼はエレンフリートの元でいろいろと研究をしていたらしいので、
財団が何をしているのかある程度教団側も把握する日は遠くはない。
というのがベルナールやロシュたちの意見。
「ちっ。やっぱり裏があったか。そんなことだとはおもったが……」
だがしかし、一部の財団員はアンジェリークの力、そしてレインの力を目の当たりにしたはず。
彼等が何をしてくるかかなり予測がつかない。
おそらく、近日中に何らかの方法で仕掛けてくるであろうということは明白。
「しかし。よくあの混乱の中で馬車が調達できたな」
ヒュウガの意見は至極もっとも。
おそらく、ファリアンの街は大混乱を極めていたはずである。
そんな中で馬車を一台調達するなど、なかなかできることではない。
「ああ。これ?これは銀樹騎士団の人たちが快く一台かしてくれてね。
彼等も君たちが厄介ごとに巻き込まれるのは好ましくおもってないみたいでね」
あの奇跡の瞬間を間のあたりにすれば、それは教団員として当然の仕様、といえるであろう。
彼等は何よりもいつか降臨し現れるはずの女王に仕えるために日々活動しているのだから。
空にまだ誰もがわかるほどの証はたっていない。
だがしかし、教団側としてもすでにリースの庭にて昼間におこった現象。
それについての報告はうけている。
だから内密に一部のものに捜索させているのが今の現状。
聞き込みの結果、空に光のカーテンが現れた、というのは間違いない事実であり、
そしてまた一人の少女がタナトスを完全に浄化し、あまつさえタナトスに襲われた人々をよみがえらせている。
そのことをもつかんでいる。
それがアンジリェーク、という少女である、という特定にまではいたってないのみ。
ニクスの情報操作というか彼の影響力はけっこういたるところに普及している。
ゆえに彼が口止めすればまずそこから漏れることは皆無。
もっとも、人の噂に角はたてられないので噂はゆっくりとアルカディア中をいろいろと尾ひれがついてひろまっているが。
「まあ、詳しいことは陽だまり邸にもどってから話すよ」
何よりも重要なことをまだ離していない。
内密にこっそりと教団側が行う処置のことも。
そう、一人ほどアンジリェークの警護のために銀樹騎士団員を派遣する、ということを。
銀樹騎士団員が用意している馬車だけありそこいらにある馬車よりも格段にと早い。
それゆえに普通の馬車ならば確実に一日以上はかかるであろう、その肯定をより短くすすんでゆく。
彼等が陽だまり邸についたのは、ファリアンをでて数時間後のこと。
-第50話へー
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あとがきもどき:
薫:小説では、リースからファリアンまで馬車で二日~となってましたけどね。
ですけどゲームではそんなにかからないんですよねぇ。
まあ、普通のゆっくりとした馬車ならそれくらいかかるのかもしれませんけど。
馬車というものはそれをひく馬の速さにもよるでしょうしね。
次回で、またまた登場、ディオンです(笑
ではでは~♪
2008年5月31日(土)某日
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