まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

船の中の様子…アウローラ号のカフェさんの様子。
やっぱりゲームをやって正確に描写すべきか?
んでも、アニメでもそこは詳しくでてなかったしなぁ。
ちなみに、小説ではカフェにてタナトスと戦闘をやってましたね(笑
アニメではあれはおそらく機関室?
何はともあれ、星の船のイベント、いくのですv

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銀花の園   ~星の船~

ひんやりとした舩内。
だけども長き時を海の中ですごしていたとは思えないほどに壁や床などはしっかりとしている。
「…これ、きちんと起動するぞ?」
壁というか扉などは主に自動らしく、近くによって扉の横にあるパネルのようなものに触れれば開く仕組み。
どの部屋にタナトスがいるのかわからない以上、というか念には念を。
全ての部屋を一つ一つ調べてゆく。
その過程でレインがそのことに気付いて驚愕の声を出す。
「でも、レイン。よくそこのちいさなパネルが鍵になってるってわかったわね」
そんなレインをみて思わず感心した声をだすアンジェリーク。
引いても押しても開かない扉。
それゆえに普通の飾りなのかとおもったのに。
「まあな」
伊達に古代のアーティファクトを専門に研究していたわけではない。
それゆえにそのあたりの勘はよく働く。
「しかし、この部屋は…!?」
「ああ。すっげぇ」
シュン、とした音ともに開かれる扉。
だがしかし、驚いたのは別のところ。
扉が開くとそこにはまったく新品さながらの部屋が広がっている。
外の船体の様子がまるで嘘のように。
ベットから何から何まできちんとした家具がでそろっている。
しかも、そこに日記のようなものまで机の上にあったりする。
……ク。
……アンジェリーク。
「…え?」
ふと、誰かに呼ばれたような気がした。
「?レイン。ヒュウガさん、呼びました?」
ふと二人をみてみれば二人とも何やら部屋の中を見回してそれどころではないらしい。
確かに永き年月が経過しているであろうに、ベットの状態から何から何まで、
すぐにでも使えそうな様子である。
部屋の内装的に誰か女の子がつかっていたのかもしれない。
……アンジェリーク。
やっぱり声が聞こえるわ。
何やら興奮気味に周囲をみているレインたちからそっとはなれ、声がする方向。
すなわち、そっとその部屋から出て声がする方向にと一人すすんでゆく。
アンジェリークが一人部屋から出たのにヒュウガ達は気付かない。
船体の中をすすんでゆくと、やがて吹き抜けのようになっている階段の場所にとたどり着く。
先ほどの部屋からはそう離れていない場所。
「声はこの辺りから聞こえたんだけど……」
周囲にタナトスの気配はない。
むしろ何だか暖かい感覚に満ちている。
そんなことをつぶやきながらも、ふと螺旋階段の上の部分の手すりをつかむ。
と。
ふわり。
何かを感じた。
はっとしてみてみれば、何かしたのほうで光っている。
階段を駆け下り、そこにゆくと、静かに扉が開かれる。
そこはどうやら広いちょっとした広間のようになっている場所らしい。
部屋の様子から広いカフェのようなものとも受け取れる。
何やら高そうな椅子に高そうな机がづらりと並び、それでいて側面は全て鏡張り。
しかし、外からはこの中の様子がみえなかったことから、何か特殊な材質を使っているのであろう、
ということは素人でも何となく判る。
…アンジリェーク。
「ここからだわ」
その広い部屋の一角より聞こえてくる声。
「誰?誰かいるの?」
……私はあなた。未来のあなた…
「え?」
「お~い!アンジリェーク!」
「あ、レイン、ここよ!」
ふとアンジェリークがいないことに気付き、叫び声をあげているレイン。
それに続き、
「一人で危険ですからであるかないでください」
ものすごく心配そうにいっているヒュウガ。
「ごめんなさい。何か声がしたから……」
「「声?」」
アンジェリークがそういいつつ、部屋の出入り口付近まで歩いていっていたゆえに、
部屋の中を覗き込む。
『アンジェリーク。今こそ目覚めのとき』
やはり聞こえてくる声は優しい、それでいてどこかで聞いたことのあるような女性のもの。
「ほら、今も」
「?何もきこえないけど…というか、この部屋もすごいな」
「見たところ休憩所か何かなのかもしれないな」
まったく朽ちた様子のない部屋の内装。
廊下や外側のみはかなりすごいことになっている、というのに。
どうやら内部はそうではないらしい。

この声、私にしかきこえないの?
でも、どうして?
「に~」
「って、エルヴィン!?おまえ、いつのまに!?」
危険だからというのでたしかに屋敷においてきたはずなのに。
いきなり足元から聞こえてくる声。
ありえない声に足元をみてみると、そこにちょこん、とすわっているエルヴィンの姿。
「…いつのまに……」
「そいつ、本当に犬みたいなやつだな。またおいかけてきたのか?」
というかどうやって子猫の足でおいかけてきたのかは謎。
この子猫に関してはかなり突っ込みどころが満載すぎる。
「もう。危ないでしょ?」
ひょいっとエルヴィンを抱き上げる。
そのぬくもりがここちよい。
「とりあえず、ここにもタナトスはいませんね」
「もしかしたら操縦室のほうなのかもしれないな」
時間があればゆっくりと見学、そしてまた調べてみたいところではある。
だがしかし、今は何よりもタナトスを退治することが優先。
先ほどきいた声がきになるものの、とりあえず穂先にあるであろう操縦室のほうにとむかってゆくことに。

「どうやら、ビンゴ、みたいだな」
操縦室は他と異なり、やはり外観と同じようにかなり汚れている。
そんな中、ふよふよと無数に浮ぶ数体ものクラゲのようなタナトスの姿が見て取れる。
「あなたはさがっていてください!」
レインが前にでて率先してタナトスに対し攻撃をしかけ、
そしてヒュウガがアンジリェークを護るかのように前にとたち盾となり、
向かい来るタナトスにむかって攻撃をしかけてゆく。
「「きゅぃぃっっっっっっ」」
何やら断末魔のようなそんな叫びをあげるタナトスたち。
その声に導かれてかさらにタナトスの数が増えてゆく。
ふと気がつくと部屋をほぼ埋め尽くすのほどのタナトスの姿が見て取れる。
床に落ちたタナトスはそれでも抵抗しようとその触手らしきものを伸ばして攻撃してきた相手を絡めとろうとする。
「いまです!」
ヒュウガにいわれてはっとなり、浄化の祈りをささげるアンジェリーク。
とはいえエルヴィンは危険なので下ろすわけにはいかない。
エルヴィンを抱いたままで祈りをささげる。
と。
パキィッン
「…な…!?」
ふと何か金属音のようなものが壊れる音。
ふとみれば、どうやらついてきていたのか出入り口付近に二人の男性の姿が見て取れる。
服装からしておそらくアーティファクト財団の職員なのであろう。
彼等は何か装置のようなものをもっていたが、それが何らかの原因で壊れたらしい。
その音に反応して、数匹のタナトスがそんな彼等のほうに気付いて移動してゆく。
「ちっ!」
「え?あ。財団の人が…」
タナトスが何かに気付いたらしく移動してゆくのをみて、視線をむければそこにいるはずのない二人の男性の姿。
「なぜおとなしく外でまっていなかった!はあっ!」
そういうと同時に槍を一閃。
バンバンバンっ!
今にも彼等に襲い掛かろうとするタナトスをかろうじて止めるヒュウガとレイン。
「ここは危険です、とにかく外でまっていてください!」
アンジェリークもまたそんな彼等にと叫ぶものの、あまりのタナトスの多さを目の当たりにし、
多少パニックを起こしたのか、何やら叫びながらもその場から走り去ってゆく男たち。
叫び声をあげたことにより、他のタナトスがそんな彼等の後をおってゆく。
「ちっ。まずい!やつら、あいつらをおいかけてくぞ!」
「まて、レイン。こちらも出入り口をふさがれた」
ふとみれば、彼等を追いかけようとするアンジェリーク達ではあるが、
唯一の出入り口付近にもタナトスがびっしりと通路をふさいでいる。
「こいつらをどうにかしないと奴等をおいかけられない、ということか」
「どうやらそのようだな」
とにかく彼等の生死も気になるものの、まあ相手はあの種類のタナトス。
あの種の特徴は人を貫くことをしない、というのがあるので多少安心はできるが。
あの種のタナトスの特徴はひたすらに生き物の生気を吸い尽くす、という点にある。
たとえそれがどのような形だとしても。

「う、うわぁっ!タナトスだ!タナトスが出てきたぞ!」
ざわっ。
人だかりができていたゆえに、そのパニックもひとしお。
船から出てきた巨大なクラゲのような物体。
それがタナトスである、と人々が認識するのはたやすいこと。
必死に外に出たものの、そこにまっているはずのほかの財団員の姿すらない。
それゆえにパニックになるしかないエレンフリートに命令されて舩内にとはいっていた財団員たち。
彼等は知らない。
唯の捨て駒扱いにされた、ということを。
おそらく彼等のこと、データを収集したとしても、記録さえ残ればそれでよい。
人に関しては別に死のうがどうしようが、財団…否、エレンフリートにとっては痛くもかゆくもないのだから。
使えるものはとことんつかい、そして代理がきくものは使い捨てる。
それが彼の理論。
今までは船の中にはいったはいいものの、不可思議な力で外にでることができなかった。
それゆえにタナトスからしても数多といきなり出現した人間という名前の生命エネルギー。
それはとてつもなくご馳走にみえても不思議ではない。
だからこそ、追いかけていた二人の人間より、数多といる人々のほうにむかって移動する。
『うわ~!!』
『きゃぁぁ~~!!』
ファリアンの港はタナトスの出現で先ほどまでとはうってかわり、悲鳴と混乱に満ち溢れる。
そんな様子を建物の屋上から淡々と冷静に眺める一人の少年。
全ては予測内。
タナトスが人々を襲うときの正確なデータも不足していたのも事実。
幾度かさらってきたどうでもいい貧しい人たちや身寄りのないものたちをタナトスに襲わせデータを採取した。
だが、最近は何やら新聞記者などが回りをかぎまわっているような様子もあり自重していた。
彼、エレンフリートにとっては貧しいもの、また身寄りもなく力もないもの。
そんな彼等を人と思わない節がある。
それは屈折した子ども時代を送ってきた彼ならではのあるいみ人格破綻。
日々、幼いときから両親は喧嘩をしており、認められたことなどは一度もなかった。
唯一、自分を認めてくれた、とおもったのが財団のヨルゴ理事。
彼の持論はとにかく結果が全て。
結果がでさえすればそこにどれだけの犠牲が伴おうが知ったことではない。
「ちっ。みなさん、おちついて!」
「皆さん、こちらへ!」
財団を監視していた銀樹騎士団員が混乱する人々をどうにかなだめ誘導する。
浄化能力を持ち合わせた存在達は、必死にタナトスを食い止める。
それでも、相手は多勢に無勢。
しかも数多とある触手を一気に伸ばしては逃げ惑う人々を絡めとる。
なす術もなく触手に捕らわれ、生気を奪われミイラのようになり地面に転がる人々。
子どもも大人も、ましてや男女の差も関係ない。
タナトスにとっては人間というものは全てただの生気の塊に過ぎないのだから。
「あ、あの、エレンフリートさん……」
自分たちは何もしなくてもいいのだろか。
そもそも、人々が襲われているデータをこうして取っている状態でなにやら人として間違っているようなきがする。
「何だ?お前たちは言われたとおりにデータ採取にしそしめ」
「っ!た、タナトスが…う、うわぁっ!」
そんな中、一体のタナトスがふわりと浮き上がり、そこにいた財団の研究員を触手で絡めとる。
だが、そんな光景をみても動じることもなく。
「ひるむな。とにかくお前たちは役目を果たせ!」
淡々と言い放つエレンフリート。
そう。
タナトスは絶対に彼を襲うことはない。
かつてレインが開発した装置。
レインがそして浄化能力を手にした、ときき自分にそれを組み込んだ。
その結果、浄化能力を得ることはなかったが、タナトスが彼自身に憑依した。
憑依したタナトスはだがしかし、エレンフリートを蝕むことはなく、むしろタナトスの被害から遠ざけた。
どうやらタナトスからしてみれば憑依されている状態の彼は仲間と認識するのか、
いたって彼にはまったくもって興味を示さない。
自分は絶対にタナトスに襲われることはない。
それがわかっているからこそ、他人に理不尽な命令を下すことも可能。
彼等がどうなろうと変わりはいくらでもいるのだから。

「こ…これは……」
操縦室にといたタナトスを全て浄化した。
そして急いで船外へと出た。
状況を把握するには操縦室から一度舳先へと出れば確実に把握できる。
船先から港のほうを見てみれば、逃げ惑う人々の間を縫うように幾体かのタナトスの姿がみてとれる。
「レイン。おまえは彼女をたのむっ!」
それだけいいはなち、ぐっと槍をもち。
「はあっ!」
今にも子どもに襲い掛かろうとしていたタナトスにむかい、船先から港のほうにと飛び降りるヒュウガ。
ヒュウガの槍の一閃は、今にも子どもを捉えようとしていたタナトスの触手をものの見事に断ち切り消し去ってゆく。
「と、とにかく!俺たちもいくぞ!お前は倒れた人たちのまず手当てを!」
「え、ええ。わかったわ」
とくん。
……アンジリェーク。
まただわ。
船から出ようとすると、また聞こえてくる声。
だけども今はかまっている暇はない。
他にもまだ舩内にタナトスがいるのかもしれない。
だけども今は外にでていったタナトスを先にどうにかするのが先決。
それゆえに、ヒュウガのように飛び降りるような危険な真似をアンジリェークにさせるわけにもいかない。
また、レインとて彼女一人をこの場に残して飛び降りるなどということはしたくない。
それゆえに、元着た路をもどってゆき、船に乗り込んだ扉に掛けられたトラップから港へと降り立ってゆくことに。

ひどい……
さすがに人が大勢あつまっていただけのことはある。
石畳の路沿いに倒れている人々の姿。
繰り返される悲劇。
人々の悲鳴と叫びが嫌でも耳にとついてくる。
そしてそれ以上に何かが彼女自身の中にとながれこんでくる。
それは理不尽にも近い悲しみとも怒り、ともとれない、そんな不思議な感情。
それは彼女のものではない。
まるで、そうこの場にいる人々の感情が彼女の中に流れ込んでくるかのごとくに感じ取られる。
自分にできること。
それは……
「浄化の力よ……」
ただ、できるのは倒れている人々を祈りによって目覚めさせること。
今できることを。
ゆっくりと瞳を閉じて手を組んで祈りの体制をとる。
とくっん。
何?
いつもと何かが違う。
いつもよりも体の中が何やらとても暖かい。
……アンジリェーク。
それと同時に船の中で聞いた先ほどの声がまたアンジェリークの耳にと届いてくる。
こんな騒ぎの中で、その声だけが異様なほどに鮮明に。
……アンジリェーク。あなたは私。私はあなた。さあ、今こそ…その力の一部を解放するとき
強く、今までよりも強く体に満ちてくる力。
なぜだか判る。
その力の扱い方が。
「癒しの浄化の力よ、全てを慈しんで――」
ふわぁぁっ。
アンジェリークがそうつぶやくと同時。
彼女の背に白き翼が出現する。
そしてその翼はふわりと羽ばたき、次の瞬間。
羽ばたきと同時に、アンジリェークを中心として金色の光の波が広がってゆく。

「…な、だ、だめです。エレンフリートさん、計測不能…うわっ!?」
バシュ。
先ほどまでは上手にデータ採集はうまくいっていた。
だがしかし、エレンフリートの指示で金色の光の測定、そしてまたアンジリェークがいるであろう方向。
そちらの測定を始めると同時、もののみごとに装置は測定値を遥かに越えてしまい動かなくなってしまう。
いわゆる想定外の力をうけたがためにエラーを起こして完全に機能停止している状態。
ファリアンの街の上空からはさんさんと金色の光が降り注ぎ、その光はいたるところに倒れている人々にと降り注いでゆく。
光が降り注ぐのと同時、ふわりと舞い降りてくる光につつまれた白き羽もまたいたるところに舞い落ちる。
その羽はアンジリェークを中心として、ファリアン郊外にまでゆっくりと舞ってゆく。
光につつまれ、光の粒子となり掻き消えてゆくタナトスの姿。
思わずその神秘的な光景にタナトスから人々を誘導していた人たちも、
そしてまたタナトスと戦っていた人々も一瞬我をわすれて空を見上げる。
白き羽が触れると同時にそれまで抱いていた疲労も全てが解消されたように体が軽くなる。
――アンジェリーク。あなたの手助けになるもの。そしてそれはあなたの力の源となりえるもの。
   忘れないで。あなたにはあなたをたすける九つの力をもつ人たちがいる、ということを。
今までにない暖かな力を感じながら祈りをささげている最中、心の奥底に響いてくる声。
あなたは…だぁれ?
心でそんな声の主にと問いかけるアンジリェーク。
――私は…あなた。遥かな未来の…あなた自身……

そんな彼女の問いかけに声は応えてくるが。
そういわれてもよく意味がわからない。
――さあ、心のままに力を解き放って……
声にまるで導かれるように、心に思うまま、さらに心の奥から祈りをささげる。
全ての人々が幸せでありますように。
それが彼女、アンジリェークの願い。


                                -第50話へー

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あとがきもどき:
薫:ちなみに、声の主。皆さんもう想像がついていることでしょうけど。
  アンジェリークが聞き覚えがあるはずです。彼女自身なんですから(暴露
  彼女が即位した後、アウローラ号に自分自身の過去への自分にむけてのメッセージ残してます(笑
  アウローラ号は長き時の果てにアルカディアに収められ、時空移動で大陸とともに過去に移動しますからね。
  つまり、アルカディア、という地の特性(笑)。
  過去と現在、そして未来が交わる場所。
  それは彼女、アンジリェークにもいえてる、というつながりをばv
  さてさて、次回でアンジリェークが祈りをささげている最中の出来事~♪
  それではまた次回にてv

2008年5月30日(金)某日

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