まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
んふふふふv
ネオアンジェリークの世界が舞台、といっても、そこはやはりアンジェリークシリーズでは、
リモージュ大好きな薫ですv
なのでちらほらとリモージュ世界の人々もでてくるのはお約束v(こらまて
#####################################銀花の園 ~招待状~
「ニクスさん。本当にもう大丈夫なんですか?」
「ええ。おかげさまで。こうして風にあたっているほうがいいのですよ」
病み上がりだというのに風にあたっているほうがいい。
そういって御車台にて馬を操ることを申し出ているニクス。
だがしかし、さすがに発作を起こして倒れた人を使うのは気がひける。
それゆえにレインがニクスに変わり馬を操り、その横にニクスとアンジェリークが並んで座っている。
御車台に三人並ぶ、というのも多少狭いような気もしなくもないが、それなりの広さはある。
とりあえず馬車の中にはヴォードンに戻るというベルナールを伴い、
アンジリェークたち五人とベルナール。
計六人で雷鳴の村オラージュをあとにしているアンジェリーク達。
オラージュから陽だまり邸に戻るにはどうしても首都ヴォードンを通るようになる。
それゆえにベルナールも同行している今現在。
「しかし、ほんとうに無理はするなよ?発作なんてずいぶんと久しぶりだったんだからな。
お前のは医者ですら原因が不明、といわれてるんだから収まるまで安静にしとくしかないんだしな」
レインの言い分はもっとも。
以前、ちょこっと聞いたのだがおそらく、彼の両親が死んでしまった海難事故。
そのとき彼一人だけ助かったらしいのだが、その子どものときの記憶が発作の原因になっているのかもしれない。
まあ、レインの想像はあるいみ正しくもあり、またそうでもない。
その事故より後、ニクスが自身の力に目覚めたときに憑依されているのに気付いたのだから。
「お気遣いありがとうございます。ならしばらくは陽だまり邸で情報収集などに没頭でもいたしますよ。
援助の手配なども陽だまり邸にいれば簡単に連絡も取れますしね」
「だから、お前、少しは休む、ということをしったほうがいいぞ?」
そんなニクスにあきれながらも馬をあやつりつつ語り掛けるレイン。
「そうですよ。ニクスさん。ニクスさんはもっと自分のことを大事にしてください。
私なんかじゃあまりお役にたてないとおもいますけど、私たちにできることなら何でもしますから。
だって私たちは仲間なですもの」
アンジェリークのその思いは混じりけのない本当の思い。
「ま、とりあえずしばらくはタナトス退治は俺たちに任せてお前はゆっくりと養生することだな」
確かにレインのいうことにも一理ある。
あの屋敷にいるかぎり、強く表にでてきたアレは再び封じられる。
そしてまた、近くにアンジェリークがいる限り、アレは率先して表にも出てこられないであろう、
ということも判っている。
下手に刺激すれば今の不完全なつながりを彼女が解き放つ可能性もあるのだから。
「あ、そろそろ首都ヴォードンがみえてきましたね」
そんな会話をしていると、やがてヴォードンの象徴ともいえる双子の塔が見えてくる。
遠めにもしっかりと見えるそれは確かに首都ヴォードンの目印、ともいえるだろう。
「おやおや。ずいぶんと手紙が届いていたようですねぇ」
首都ヴォードンにてベルナールを送り届け、陽だまり邸にともどったところ、
しっかりと郵便受けにいくつかの手紙が入っているのが見てとれる。
そして。
「おや。これはあなた宛のようですね」
いいつつも、小さな箱のようなモノに手紙が添えられているそれを手にとり、アンジェリークにと手渡すニクス。
ひとまず、馬車をきちんと納屋にと戻し、
それぞれがサルーンにて長旅の疲れを癒すべく、ちょっとしたティータイム。
「これは…ハンナとサリーからだわっ!」
おもわずそれを受け取り、差出人の名前をみてぱっと瞳を輝かせるアンジェリーク。
「ああ。あの二人からか」
「たしかアンジェリークの親友って子たちからだね。何がおくられてきたの?」
そもそも、リースの天使の庭にてアンジェリーク達とであったのがそもそもの始まり。
ついこの間のことなのに何かものすごく時間がたったかのように感じられる。
それゆえに出会いのときを思い出しつぶやくレインに、にこやかにアンジリェークに問いかけているジェイド。
「えっと…あ、かわいい!コサージュだわ」
小さな箱を開いてみれば、そこにはお花のコサージュが一つ。
「おや、素敵なお花のコサージュですね」
「手紙がついてるわ」
ふとみれば、手紙の文字がどうやら交互にかいているらしく、おもわず微笑んでしまう。
「そういうニクス、あんたにも手紙がいくつかきてるみたいだけど?」
一瞬そんなアンジェリークに見とれつつ、はっと我にと戻りニクスにと話しをふるレイン。
「ええ。いくつかの依頼と…あとはつまらないものですよ」
「うん?それは舞踏会の招待状、か?」
何やら見慣れた封筒が見て取れる。
それゆえに一つの封筒をみてそんなことをいっているヒュウガ。
「え?舞踏会?」
わくわく、きらきら。
アンジェリークの瞳がついついきらきらと輝くのは仕方ないであろう。
女の子なら一度はあこがれるもの。
「おや。さすが女の子ですね。あなたは興味がありますか」
「はい!ものすっごく!」
くすっ。
きっぱりいいきるアンジェリークのその言葉に思わずくすりと笑みが漏れ出す。
「そうですね。いつもはお断りするのですけど、あなたをつれてゆく、というのならいいかもしれませんね」
「本当ですか!?」
ぱっとニクスの言葉に顔を輝かせるアンジリェーク。
「でもお前、ダンスとか踊れるのか?」
「ひど~い、チークダンスなら学園主催のパーティーで幾度かあったわよ?」
「んでも女ばかりだろうが」
「それはそうだけど」
レインのその鋭い突っ込みにぷうっと顔を膨らませつつも応えるものの、たしかにレインのいうとおり。
アンジリェークは異性とダンスを踊ったことはまったくない。
「あとは…おや、これは…舞踏会の主催者からの依頼…みたいですね」
とりあえずぱらり、と舞踏会の案内状を開いてみれば、案内状とは別に同封されている別の手紙が一つ。
「?どういった依頼なの?」
そんなニクスの問いかけに首をかしげてといかけるジェイドに対し、
「何でもコズから舞踏会にタナトスが出現する、という占いがでたので気をつけてほしい。
そう連絡があったとかで、念のためにオーブハンターの私たちにも護衛をお願いしたい。
とそうかかれてますね」
そもそも、コズの占い師がそういってきたのなら普通は舞踏会を中止にするだろうに。
それはすでに招待状などをだしている対面上ゆえか。
「コズ?ああ、彼等の占いはたしかに確実に当たるからな」
「コズか~。長老たち、元気かな~」
淡々というヒュウガにぱっと瞳を輝かせていっているジェイド。
「?ジェイドはコズの長老をしってるのか?」
そんなジェイドに多少不思議におもいといかけるヒュウガであるが。
「うん。コズは僕の故郷だよ」
「なるほど。それでお前の料理のレパートリーの中にはオレンジ系のものが多いいんだな」
それで納得した。
彼が作る料理は大概オレンジを使ったものが多数ある。
陽光の村コズの名産品は主に柑橘類。
「しかし、コズの占い師の占い、というのは馬鹿にはできないのも事実だな。
ニクスとアンジェリーク殿は二人で普通に招待客として舞踏会に普通にいってくればいい。
我々もあまり気はすすまないが一応いったほうがいいであろうな」
そもそも、舞踏会とかならば他にも銀樹騎士団もいるはずである。
しかし、ここ最近のタナトスの動きからして異様に強いタナトスがでない、とも限らない。
そもそも、わざわざコズの占い氏がそのような結果がでた、と知らせてくることすらもまれ。
つまりは招待されている銀樹騎士団員たちだけでは手に負えない相手、という可能性も含まれる。
「げっ。俺はあまりああいう場所は好きじゃないんだよな~」
伊達に博士、といわれていたわけではない。
そういう場には幾度か兄のヨルゴとともに招かれたことはある。
もっとも、ほとんどは研究にかこつけて断っていたのも事実だが。
「舞踏会は三日後になっていますね。それと…あと、こちらの手紙は…おや、これもあなた宛のようですよ?」
何やらとっても見慣れた手紙が一つ。
裏面に鳥のような紋様をあしらった封印がなされている真っ白い封筒。
「あ、アンジェちゃんから!?何かしら?」
わくわくわく。
はらっ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その場でわくわくしながら手紙を開く。
思わずそこに書かれている内容をみて目が点となる。
というか、どうしてこうあの子は私のことを見通してるのかしら?
ともおもうが、何となく彼女ならば何でもありえるような気がするのは気のせいではない。
「?何がかかれてるんだ?」
「えっと。初の舞踏会にこの手紙がつくころにはいくことになってるだろうから、
素敵なコーディネイターを当日、陽だまり邸によこします、みたいなことをかいてきてるんだけど。
どうして今きまったことがわかるのかしら?」
「……ほんと、お前の幼友達っていったい…」
内容を読んで首をかしげまくるアンジリェークに同意するかのようにぽそっとつぶやくレイン。
「もしかしたらその子の周りに占いが得意の子がいるのかもね。
コズの人たちもほとんど占いが得意でよく未来のこととかあててたよ?」
あのカイですら自分の死期を知っていた。
そのことを彼は周囲に心配掛けたくないからだまっていた。
「コズに住んでいる火竜族と水竜族の種族は星星の声をききその声に従い占いをする。
というのは有名だからな」
ジェイドの言葉にうなづきながらも何やらいっているヒュウガ。
どちらも正解、とはいいがたいが、たしかにそのように考えてもしかたがないのであろう。
「そういえば、この間、その子からドレスが送られてきた、ってアンジェリークいってたよね?
せっかくだし、今度の舞踏会ではそのドレスきていったら?
どんな服が送られてきたのか俺たちもみてみたいし」
「しかし、あなたが舞踏会にいかれるとなると、人々は驚くであろうな」
ヒュウガの驚く、の意味合いはアンジェリークにはわからない。
だからこそ別の意味合いに捉え、
「もしかして一般人とかっていかないんですか?」
「いや、そういう意味じゃないが……
まあ、あなたを護るのは我々の義務でもあるから心配なさらずに楽しんできてくればいい」
おそらく、正装したアンジリェークの姿は、それこそ聖都で姿身をみたことがある人々ならば、
確実に結びつけて考える可能性は高い。
しかもどうやら馬車の中でベルナールから聞いたことだが、彼女は学園のボランティアとして、
看護団の一員として人々を癒してまわっていたとか。
そしてそのときに昏睡状態に陥っていた人々を元にもどしていたという実績ももっているらしい。
その噂はゆっくりとではあるがアルカディア中にひろまりを見せ始めている。
それゆえにベルナールは彼女の身に何かよくないことがおこらなければいいが、
とかなり心配していた。
それはおそらく身内であるがゆえの心配なのであろう。
彼がアンジェリークをものすごく心配しているのは少しはなしただけでよくわかった。
ヒュウガにとって彼女、アンジェリークは何よりも護らなければならない存在ではあるが、
ベルナールにとっても別の意味で何よりも守りたい存在なのであろう、ということも。
それはかつて、幼い日に助けられなかった妹の姿とアンジェリークを重ねている。
という事実があるのだが、それも少しばかり馬車の中で彼からきいた。
彼には昔、歳の離れた妹がいたが、その妹はある日タナトスに襲われて死亡した、と。
それも彼が大学にいっている間に。
「そういえば、たしかにアンジェちゃんから服が送られてきてるけど。
ああいう服ってきるとき確かにないかも、うん。せっかくだし私きてみようかしら?」
一度あれ、着てみたかったし。
というかそこにかかっている女性が着ている服によく似てるのが気になるけど。
そんなことをおもいつつ、サルーンから二階に続く階段の途中。
その中心にかけられている一人の女性の絵をみながらふとおもう。
そこには何やら花を愛しげに抱えた翼をはやした慈愛にみちた表情の一人の女性の絵がかけられている。
どことなくどこかで見たような気がするのは、もしかしたらその髪の色が自分と同じ。
そして亡き母親と同じだから、そのような感じるのかもしれない。
そう彼女自身はおもっているのもまた事実。
実際は鏡をよくよくみればとある可能性におもいっきりつきあたるのだが。
アンジェリークにはその可能性はおもいつかない。
もし可能性におもいついているならば、自分がどのような能力を秘めている存在なのか、
うすうす理解しているであろうに。
だが、それが彼女のいいところでもある。
「では、決まりですね。とりあえず先方に参加する旨を伝えておきますね」
いいつつ立ち上がり、デンワのほうにと歩いてゆくニクス。
舞踏会の主催者はそれなりの資金をもつ貴族であるがゆえに相手の屋敷にもデンワは存在する。
ゆえにデンワ一つでやり取りができる、というのも確かに便利極まりない。
それ以外の方法だと、どうしても手紙、という方法になってしまうのが現状なのだから。
「え!?いいの!?」
おもわず目をきらっとさせるのは腕が発揮できる、という思いから。
「ええ。この場合はオリヴィエが適任、でしょ?」
にっこりとそんな彼にと微笑みかける金髪の少女。
「しかし、陛下。あまりあちらにこちらの存在がでむくのは……」
「あら?ロザリア。だから、よ。それとも何?ロザリアは、神猫のアンジェリークが、
せっかく初めての社交界デビューというのにきちんとした正装もせずにでてもいいというの?
私のときにはものすっごぉぉぉぉぉぉく行儀作法から何から何までしつこくいってきたのに?」
確かに、彼女にしつこく礼儀作法とかを教えたのは他ならないロザリア、と呼ばれた彼女自身。
「んふふ♡陛下お墨付きのそれぞれのおしゃれ、ひさびさに腕のふるいがいがあるってものよ!
それに、彼等にも着せたい服はいろいろとあるしね~♡んふふふ☆」
にっこりと思わず何かをたくらむような笑みになってしまうのは仕方ないのかもしれない。
そもそも、彼等のことを聞いて、ものすっごく着飾りたくてたまらなかったのは他ならないオリヴィエ自身。
「とりあえず、あちらの火竜族の人にお告げみたいにして予言を下しておいたから。
きっと彼等のところに依頼もいくはずだし。せっかくのあちらの守護聖たちの始めてのお披露目。
オリヴィエ、頼んだわよ♡夢の守護聖たるあなただからお願いするんだし♡」
「んふふ。任せて頂戴。陛下!腕がなるわっ!そうときまったら、さっそく!えっと、何日後だっけ?」
「時間率調整エヴィルとすればすぐにでもできるけど?」
「へ~い~か~…またそういう無駄というかご無理をなさっては……」
自身の宇宙だけでなく別の宇宙の時間率まで操るとなるとその負担は計り知れない。
「とりあえず、今のところあちらとこちらの日数的な時間率は同じにしてるみたいだし。
とりあえず三日後よ♡あ、馬車とかの手配はこちらに任せてね♡」
「…で、もしかしてまた神獣の宇宙の女王を誘ってあちらにいかれるおつもりですか?陛下?」
ぎくっ。
「いやねぇ。ロザリア。今回はそれはないわよ。まだ」
まるで心のうちを見透かされたようなことをいわれ、ぎくり、とするものの、
ぱたぱたと手を振りながらも応える金の髪に緑の瞳。
どこかとても見ているだけで神々しいようなそんな感覚をうけるその少女。
「まだ、とは何ですか!?まだ、とは!今度はわたくしもさそってくださいませっ!そもそも、陛下は…っ!」
毎度のこととはいうものの、常にこっそりと聖殿をぬけてどこかにいかれてはたまったものではない。
心配するほうの身になってほしい、というのがロザリアの本音。
アンジェリーク・リモージュ。
神鳥の宇宙の女王にして、そしてまた特殊な事情の持ち主。
そしてそんな女王を補佐する女王補佐官、ロザリア・デ・カタルヘナ。
そして神鳥の宇宙の夢の守護聖、オリヴィエ。
遠く離れた宇宙にてそんな会話がなされていることなど、当然、
アルカディアのアンジェリーク達は知る由もない。
-第45話へー
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あとがきもどき:
薫:んふふふふvようやく次回でオリヴィエ様登場!(笑
というか、アルカディアに守護聖様方を登場させすぎv(自覚あり
まあ、ハンナ&サリーも一緒くたにつれていきますけどね~。
何せ初のこの地の守護聖候補(こらこら)と女王候補の世間へのお披露目のようなものv
まあ、陽だまり邸こと、元彼等が一時すんでいた仮の宮殿だからこそできるわざv
いまだにちなみに陽だまり邸には九人とロザリア、女王の私室はのこってますしv
ちなみにアンジェリークがつかっているのがリモージュがつかっていた私室ですv
んでもってニクスがつかっているのはピアノがあることからリュミエール様のお部屋v
まあ、部屋の位置がトロワと違う!という突っ込みはなしにて(笑
普通の神殿と同じ執務室の位置だったとおもうんですけどねぇ。どうだったかな?
ともあれ、次回、オリヴィエ様登場ですv
ではまた次回にて~♪
2008年5月26日(月)某日
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