まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
遺跡にするか遺産にするか迷いましたけど。
遺跡というには形になってるので遺跡、というのもおかしいし。
とりあえず、残された産物、ということで遺産という副題にv
ちなみに、今回でてくるのはアンジリェークトロワをやってなければ意味不明かも。
そもそもエトワールでは詳しいアルカディアの地名なんてでてきませんでしたしね(苦笑
そういや、彼女たちがつくったあの水族館やら熱帯植物園やら今もたぶんある…んでしょうねぇ(笑
おそらくアルカディアの基本となる台地の海の向こう側に(爆
もしくはとっととタナトスによって滅ぼされた後なのかな?
そのあたりが不明です~。
ちなみに私はエトワールの中では水族館がお気に入りv
関係ないようなことをいいましたけど、とりあえずゆくのですv
#####################################銀花の園 ~古の遺産~
「レイン、どこかしら?」
なぜだか異様にアンジリェークを丁寧に扱い始めた銀樹騎士団員の面々に関して気にはなるものの、
とりあえずひとまずオラージュの村にともどったアンジェリーク達。
ニクスのところに戻るとだいぶ顔色もよくなってきていることから、おそらくもう大丈夫のはず。
それゆえに、何かカーキ色の服をきている人物と少し話しがあるから、といって戻ってきていないレイン。
そのレインを探して小さな村の中をうろうろとするアンジェリーク。
ヒュウガは銀樹騎士団たちと何か話しがあるらしく、
ジェイドはずっと眠りについていた村の人々の為に一部の騎士団とともに残っている。
今から出発したとしても深夜になってしまう、というのもありもう一晩この村にお世話になることにしたアンジェリーク達。
それゆえに明日の予定などを少しばかり話しておきたい。
それと、ライラが誘ってくれた場所にいくのにひとまず断りをいれておきたい、というのもある。
「だから。あいつはお前たちが思っているようなのとは違う」
何やら聞き覚えのある声が。
「レイン?」
何やら声がかなり不機嫌そうである。
「あいつの力は確かにタナトスを完全に浄化することができる。だけど自分自身を護ることはできない。
だから俺たちが護ってやらないと発揮できない。お前たちが研究する価値はない」
研究?
「しかし。レイン博士。もし彼女が伝説の存在だとしたら…」
「じゃぁ、きくが。夜空に証がかかったか?みてないだろうが?だからお前たちがおもっているのとは違う」
事実はすでに空に証は輝いた。
だがしかし、おそらく彼等はそれを知らない。
だからこそ突っぱねられる。
「とにかく!もしヨルゴに話しが伝わっているのならいっとけ。
あいつを人体実験しようとしても無駄だ、とな」
「人聞きのわるい。レイン博士。我々は人体実験など……」
「してない。といえるのか?というか俺が知らない、とでもおもっているのか?
あいつは…俺が財団を飛び出してからも貧しい人をいいくるめて実験してる、そう噂をきいたぞ?」
「そ…それは……しかし、ものごとの大事の前に犠牲はつきものですし…」
「その考えがまちがってるんだよっ!
アーティファクトは人々を幸せにするものだ!人の犠牲の上になりたつものじゃないっ!」
「しかし、犠牲がなければ結果がえられない、というときもありますよ?」
「その考え…エレンやヨルゴからの受け売りか?ともかく。あいつに何かしようとしてみろ。
財団そのものが裏でなにをやってるか洗いざらい世間に知らせ人々の判断を仰ぐことになる。
お前たちの上司とおもわれるエレンにもいっとけ。犠牲の上には何もなりたたない、とな」
いいつつも、ガタンと席をたち。
「とにかく、話しは以上だ」
「あ、レイン博士…っ!」
どうやらみれば二、三名のカーキ色の服を着込んでいる人物の姿が見て取れる。
何か険悪そう?
思わず店の外で立ち聞きするつもりはなかったのだが、聞いてしまい入るにはいれずにその場に固まっていた。
ばったりと店からでてきたレインときまづいながらも顔を合わせてしまうのは当然の結果といえるだろう。
「アンジェリーク…」
「あ、えっと。レイン。…あの人たちは?」
何といっていいのかわからずに、とりあえず無難な質問をぶつけるアンジリェーク。
たしかに、自分は誰かに護られていないと力を発揮できない。
その旨は自分でもしっかりと理解しているから文句をいう筋合いではない。
レインがいっていることは確かに筋がとおっていることも事実なのだから。
「…アーティファクト財団の連中だ。お前はやつらと関わらないほうがいい。
それより、どうしたんだ?一人で?俺に何かようか?」
そういえば、ロシュさんも財団とは関わらないほうがいい、っていってたけど?
ふとレインの言葉とロシュの言葉が重なり首をかしげるしかないアンジリェーク。
アンジェリークからすればアーティファクトの技術と自分たちの力。
そしてまた、人々の思いを結集すれば世界は今よりもすばらしいものになるかもしれない。
その思いがどうしても抜けきれない。
さきほどまでの険しい表情とはうってかわり、アンジェリークに対しては優しい表情をむけるレイン。
ふと気付けば店の中にいる財団の人たちがこちらをみているのに気付く。
そんな彼等の視線をさえぎるようにアンジェリークと彼等の視線の間に割ってはいるレインの姿。
「え。ええ。レインを探していたの。明日の予定と、そしてライラさんが誘ってくれたので少しばかりお出かけしてこようかと」
レインの問いかけににっこりと微笑み答えるアンジェリーク。
「…でかける?二人でか?それは危険じゃないのか?」
「何でも秘密の場所に案内してくれるっていわれて。レインも一緒にいく?」
女性二人だけで出かけるのはあるいみ危険すぎるであろう。
まあこの辺りは定期的に銀樹騎士団たちがタナトスがでていないか見回りをしているらしいので、
さほどそれほど強い不安はないのかもしれないが。
それでも、何がおこるかはわからない。
「そうだな。ライラ殿がいい、といったら俺も同行させてもらおう」
ダメ、といわれてもこっそりと隠れて尾行しながら二人の安全を確保するつもりではあるが。
「それじゃ、ライラさんにはなしてみましょ?」
「あ、ああ」
アンジリェークのやつ、さっきの話…きいていたのか?
そんな疑問を抱きつつも、彼女に嫌われるのが怖くて問いかけることすらできない。
彼女がただ護られているだけの存在ではない、というのはレインとてわかっている。
だけども彼等に説明するのには、そういっておかないと彼等は何をしでかすか本当にわからない。
アンジェリークが話しをきいていたのか不安になりながらも、
とりあえずアンジェリークとともにライラの元にと移動することに。
「おどろいたな」
思わず素直な感想がもれる。
オラージュの村を南に下り、そして西にと曲がったその先。
夢魂の塔と呼ばれている山々があるふもと辺り。
そのふもとにこんな場所があるなど今の今までレインも知らなかった。
みたことすらない材質でできたちょっとした東屋のような場所。
周囲には花々や木々が咲き乱れ、どこかほっとする空間をかもし出している。
そしてその先にはガラス張りのような小さな建物が一つ。
「ここは古から花崗の路、と呼ばれているのよ」
ふふ。
驚きの表情をしているレインとアンジリェークににこやかに微笑みながら説明しているライラ。
ライラもまた幼い自身の子どもにこの場所を教えてもらった。
ここにはいまだに聖なる力が満ちているので邪悪なものははいってこれない。
そう当時、幼いながらもそんな意味合いのことをいっていたわが子ルネ。
その意味はそのときにはわからなかったが。
今ならば何となくだがわかる。
「そういえば、キリエのほうにもこんな不思議な場所がある、とは聞いたことがある」
湖の上に大陸が浮んでいるとか何とか。
実際に一度いってみたいのは山々なれどその機会が今までになかった。
「ふふ。こっちよ。たぶんレイン君は驚くんじゃないのかしら?」
今まで彼をあの場所につれていったことはなかった。
そもそもあの場所に人をつれてゆくのは彼等で二人目というか三人目。
ルネが教団に召し上げられるまではよく母子であの場には出向いていたが。
ライラに促され、そのままその東屋らしき場所をぬけてガラスでできた小さな建物の中にと入る。
そもそも、ある場所に手をかざすといきなり何も出入り口などなかったかのようにみえたそこに、
いきなり出現する一つの出入り口。
「…自動式、か」
かつてそのような出入り口があったことは文献で判明している。
いまだにそのような高度な技術にまでアルカディアの技術は発展していないものの。
あるいみ、タッチバネル式の自動扉、というところ。
ぽっかりと開いた出入り口とおもわれる穴から中に入るとそこは中央に何かが描かれている空間が一つ。
「さ。二人とも、ここにのって」
「「?」」
ライラに促され、そこに描かれている文様のような中心にと移動するアンジェリークとレイン。
二人が中心に乗ったのを見て取り、紋様の一部を軽く踏むライラ。
と。
ヴッン。
部屋の中央に描かれている紋様が光を放ち、青白い光は三人の体を包み込んでゆく。
「こ…これは!?」
次に気付いたときには見知らぬ場所。
つまりは瞬間的に移動した、ということ。
それゆえに驚きを隠しきれないレイン。
「うわ~。みて、レイン!外が綺麗~」
ふと周囲を見渡し、そこに一面に広がる星空の姿をみて思わず感激した声をだすアンジェリーク。
そこは星型のちょっとした広さの部屋。
その端には色とりどりの花が植えられており、天井もまた水晶でできているのか透き通った材質でできている。
まるで今にも星星に手がとどきそうな、そんな風景。
「ら、ライラさん!?こ、これは!?」
レインからすれば科学的に考えるのが先行するがゆえに驚愕せざるを得ない。
そもそも、こんな場所がアルカディアにあったなど今まで聞いたこともない。
「ここは星見の塔。かつて伝説のこの地を育んだ存在達が大切にしていた場所、といわれているわ」
ここからはアルカディア全土が晴れている日ならば見渡せる。
この塔は夢魂の塔、と呼ばれている高く聳え立った山々のうちの一つに隠されている場所。
外見上は普通の山なれど、それは見かけのみで真実は人工的な塔というのが現実。
いまだに山々を詳しく調べようとしたものがいないゆえに、その事実ははっきりいって知られていない。
かつてこの地は人々の憩いの場の一つであったのだが、いつのころからか忘れられ、
その知識がある存在のみしかたずねるものがいなくなっているのが現状。
「アルカディアの中で一番高い場所、ともいわれているわ。
ここからだと聖都セレスティザムやアルカディア全土がよく見渡せるの。
今は夜だからとぼしい灯りのみ、だけどね」
そう説明するライラの言葉に。
「…まさか、雲がしたにみえる…ということは、ここは標高的には……」
ぶつぶつぶつ。
何やら一人、頭の中で計算し、今いる場所の高度を図っているレイン。
確かにライラに言われてみてみれば、少し先の眼下に白き山が見て取れる。
ぐるり、と周囲を見渡せばアルカディアの全土が確かにここからは見渡せる。
今は夜なので完全には見えないにしろ、それでもところどころにともる明かりで予測はつく。
「この地を慈しんだ…それって、教団に伝わる伝説の女王様関連ですね。
こんな素敵な場所があったんですね」
手を伸ばせば今にも星星に手が届きそうな、そんな空間。
あるいみ幻想的、といってもいいであろう。
さらに幻想的に見せているのは部屋の中にあるいくつかの色とりどりの球体。
「ここは階段もあるみたいだけど、それより先ほどの小径をとおったほうが安全だしね」
階段の場合は塔の一番したの出入り口から入る必要性がある。
それは険しい山間をすすむことと同意語。
「一説では。この地を育んでいたときに新たに加わった地、といわれてるらしいけどね」
それも息子であるルネから聞いた知識。
幼いながらもはっきりとした言葉遣いであったわが子。
生まれながらにして決まっていた運命。
そしておそらく、その運命は目の前の少女たちにも迫っているのであろう。
「何か困ったこととかあったときには必ずここにくるの。
ほら、こうして目をつむっていたら星星が何か答えをくれるような気がして」
そういいつつ、部屋の中にとある長いすにと腰掛けるライラ。
ちょうど星空を眺められるようにと星型の部屋のとこかしこに長いすがすえられているのが見て取れる。
真っ白い椅子は周囲の夜空にとてもはえる。
声を……
たしかに、手を伸ばせば届きそうなほどに夜空に輝く星星がくっきりと見えている。
多少息が白いのはおそらくかなりこの場所が高い位置にあるせいだからであろう。
「ここに研究機材をもってきたら……」
どうやら科学者モードがはいってしまったらしく、ぶつぶついいつつ周囲をうろうろと探索しているレイン。
こんな高い場所で、しかも息は確かに白くなるもののさほど気温の差は感じられない。
というか、こんな高い位置にまで建設物を建てる技術など聞いたこともない。
聖都セレスティザムですらどのように建てられたのか、という疑問がいまだにでている今現在。
事実、あのような山の上のほうにまで機材をしかも無事に運べる、とはあまり思えないのも事実。
そもそも、かの場所はもともとあったとある町をかこむようにして成り立った、といわれている。
それもそのはず、かの地はかつて神獣の女王が育成し、サクリアを注ぎ込んだ場所。
エレミア、と呼ばれていた地。
かの地は神聖視されて今のような聖地にとなったという現実がある。
その事実は代々の教団長の知識にのみ伝わり一般の人々は知る由もない。
「確かに、こうして目を閉じたら星の声が聞こえてきそうですね」
ライラの言葉に同意して、そっと瞳を閉じて周囲に意識を集中させるアンジェリーク。
……あら?
この感じ……
そうだわ。
いつもみる夢の感覚にどこか似てる?
ふと周囲に意識を集中させて星星の声を聞こうとするアンジェリークであるが、
その感覚がほぼ毎日のようにみる不思議な空間の夢の感覚ににていることに気付き首をかしげる。
「にゅぅ」
――すべての答えはあなたの中に。心を済ませて耳を傾けて。
いつのまにかアンジェリークの膝の上にちょこんとのぼり、アンジェリークを見上げて一声鳴くエルヴィン。
エルヴィンの鳴き声と、アンジェリークの脳裏に響いてくる声はほぼ同時。
心を?
目がさめているときにこの声をきくことがあるなどおもってもいなかった。
だがしかし、何となくそれもあえるようなそんな不思議な感覚をこの場から受ける。
それもそのはず。
この場はどこよりも一番この『卵』の中に近しい空間なのだからして。
――この地がある宇宙の卵が孵るか否かは、全てはアンジリェーク、あなた次第。
そんな声を心の中で捉えつつ、アンジェリークはその意識を周囲にむけて広げてゆく。
流れ込んでくる様々な光景。
ヒュウガたちの様子、ニクスの様子。
そして、遠くはなれているはずのリースやメルローズ女学院の様子。
そしてまた、
…あれは?
何か港に見たこともない大きな船のようなものがつながれている。
だがしかし長らく海底にあったのか表面は海草などに覆われている。
そしてその周囲には幾人もの財団の関係者とおもわしき人々の姿。
ふとその船がかつて一瞬具間みたことのある船と重なる。
あのとき、なぜか離れた広場に止められていた白く輝く大きな船。
そう、たしか彼女たちは…あれを…
「…アウローラ…号?」
「…ク。アンジリェーク!」
いきなり声をかけられてはっとする。
どうやら無意識のうちに何かをつぶやいてたらしい。
「?アンジェリーク?どうかしたのか?」
「え?あ、レイン」
「レイン。じゃないぜ。何か心ここにあらず、といった感じだったぜ?」
あまりに珍しいものが多すぎて熱中していたものの、ふとアンジリェークの様子がおかしいのに気付き、
あわててアンジリェークの傍に駆け寄り声をかけていた。
だがしかし、声をかけても声が聞こえていないのかアンジェリークは瞳を閉じたまま。
心ここにあらず、といったような感覚をうけた。
そんな中、アンジェリークが伝説に記されているレインがかつて解読した古文書に書かれていた星の船の名前をつぶやいた。
だからこそ驚いて思わず少しばかり大きな声をだしたのもまた事実。
「え。あ。何でもないの。ごめんなさい」
どうしてあんなのを視た、のかしら?
まるで、そう、今起きていることを遠くから覗いているかのようなそんな錯覚。
おきているのにまるで白昼夢をみているようなそんな不思議な感覚。
ヒュウガや銀樹騎士団の人々が何か深刻そうな話をしていたのもまるですぐ傍でみているようにと感じられた。
単なる空想、また白昼夢、ともおもえない。
メルローズ女学院においてはすでに日もくれている、というのになぜかハンナとサリーが居残り、
何やら必死に何かを書いているのが目にとまった。
その横にはかわいらしい花のコサージュが置かれていた。
それが何を意味するのかはアンジリェークには判らない。
彼女はまだ知らない。
彼女の力は全てを見通す力でもある…ということを。
-第44話へー
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あとがきもどき:
薫:えっと。水晶の宮、と呼ばれている箇所がヒュウガの故郷、キリエにしてみました。
海をこえたむこうの小さな島、とのことですしね。
何しろ七色の湖に似通った場所がアルカディアの中に見当たらないし(こらこら
長い年月の間に多少の大陸移動とかもあった、ということにしておこう(まて
というか小宇宙として安定してからそのように大陸が移動した、と捉えたほうがいいかな?
まあ、数多とあった小島も全てアルカディアという浮遊大陸として固定されてるだから、
そういうことがあってもおかしくないかと、うん。
ちなみに、星見の塔へ続く路は、あるいみ星の小径のようなものです。
しかし今この段階のアルカディアの地ではそのような知識&技術は伝わっておりません。
というかかなりエトワールの時期とかにもかの地を発展させたはずなのに。
衰退しまくってるのはやはりタナトスの影響か?!(爆
何はともあれ、それではまた次回にて~♪
2008年5月25日(日)某日
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