まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。みなさん、覚えている人はいるのでしょうか?
聖地から愛をこめてシリーズで行方不明となっていた夢のジェム(笑
なぜかこの地、アルカディアにて再度の登場ですv(爆
あのジェムはセイランにばけたり、気ままだったのでそれくらいしそうですしね。
さすが夢の力を秘めた石v(こらこら
ともあれ、この石は今後重要な役目を担いますのですv
何しろ今はあの彼の体…消滅しちゃってますからねぇ…しみじみ……
#####################################銀花の園 ~夢のジェム~
これは……
とりあえず少し離れた場所に銀樹騎士たちとともにレイン、ヒュウガ、アンジェリークの三人は待機。
ニクスは大丈夫、とはいうもののアンジェリークの案でいっぷくもって静かに寝てもらっている。
体調が悪いときには休養が何よりも必要。
それなのにニクスは自分の身を省みずに無理をする傾向がある、と踏んだアンジェリークの案。
確かに生物全ての眠気を誘う成分が含まれている霧らしきものが村中にと立ち込めている。
おそらくこの霧を吸い込むだけで生物はそのまま眠ってしまうのだろう。
それでもバタバタと外に村人が倒れていないのは自分たちの身の危険も顧みず、
とにかく村人達を建物の中に銀樹騎士団の人々が運んだ成果。
椅子にすわったまま干からびたようになっている人など様々な光景が広がっていたりする。
だがしかし、タナトスだけでここまでの被害が出せるのだろうか?
という疑問も多少はある。
あきらかに、何か別の力が相互作用しているような、そんな感覚。
「…きたね」
ふと、村の中を歩いていると、濃い何ともいえない独特の気配を感じ取りすばやく身構える。
ゆっくりと目の前に形作ってゆくのは、花の形をしたちょっとした大きさのタナトスが一体。
それはどうやらジェイドが眠らないことを疑問におもっているのか狙いをジェイドに定めて攻撃をしかけてくる。
ここまでは作戦通り。
あとは、このタナトスを村の入り口付近までおびき寄せ、それまでにこれをある程度弱らせておく。
それが今回の作戦の概要。
「タナトス。村人達のために、きえてもらうよっ!」
相手がものすごい回復機能をもっているならば、回復が追いつく前にさらに攻撃をしかければいい。
そのあたりの計算がすばやくできるのはおそらく、オーブハンターの中においてはレインかもしくはジェイドだけであろう。
すちゃり、と身構え、花の形をしたタナトスにむかって攻撃を開始してゆくジェイドの姿。
何なんだろう。
この感覚。
昨夜の夢の中でも感じたある種の感覚。
何かの力が動いている。
そんな感覚。
それが何なのかはわからない。
わからないが…だけど確かにタナトスに影響している何かがある、というのはわかる。
そしてそれはとても愛しくおもえる力である、ということも。
そう、まるでオーブに宿る力と同じようにとても愛しく感じるもの。
「ジェイド殿の姿がみえたぞ!」
ふと、銀樹騎士団の声に村のほうをみれば、たしかにジェイドの姿が垣間見える。
そしてその背後にはちょっとした大きさの花の大輪のような形をしたタナトスの姿も。
「アンジェリーク!作戦通りにたのむ!」
「わかったわ」
おそらく、タナトスが放つ特殊な攻撃。
それらはアンジェリークの護りの祈りでどうにかなるはず。
それがレインの意見。
たしかに護りの結界を張っておけば多少のことは防げるであろう。
そんな彼等の会話をきいても銀樹騎士団の人々はただただ首をかしげるしかなかったのだが。
「護りの力よ……」
ふわっ。
アンジリェークが手を組んで祈りをささげるとほぼ同時。
アンジェリークの体が光にとつつまれる。
『こ…これは!?』
さすがの同行していた銀樹騎士団員たちも驚きを隠しきれない。
目の前の少女は医学の知識があるがゆえに参加している少女、とばかりおもっていた。
祈る彼女の背には見間違えのない白き翼が見て取れる。
それはまさに彼等が信仰し、日々誕生を待ち望んでいる存在そのものの姿と重なりをみせる。
アンジリェークの祈りに伴い、その場にいる全員に護りの加護が加えられる。
体にみちてくる神聖なる力。
その力をそれぞれわが身で感じる銀樹騎士団員たち。
そしてまた。
「さって、いっちょいくかっ!」
「ジェイド、おびき出しご苦労!」
いいつつも、それぞれに銃とやりを構えてタナトスのほうにとかけてゆくレインとヒュウガ。
三対一。
いくら攻撃をうけてもすぐさまに回復能力が高いタナトスとはいえさすがにすんなりとは回復しないはず。
その証拠にタナトスが苦しみのあげくにその場から逃げようとするものの、
「「アンジリェーク!!」」
「アンジェリーク様!今ですっ!」
レインとジェイド。
そしてヒュウガの声がほぼ同時に発せられる。
タナトスは確かにかなり弱っている。
このままこれを逃がせばまたもとの木阿弥。
彼等のいいたいことはわかる。
完全に浄化してしまえば、この悲劇は終わらすことができる。
だからこそ。
「浄化の光よ。世界を優しさでみたして……」
今まで護りの祈りのみをささげていたアンジェリークであるがタナトスを浄化するための祈りにと切り替える。
せつな。
周囲が淡い金色の光につつまれてゆく。
きらきらと空より降り注ぐ金色の光。
その光はアンジェリークを中心としてやわらかに周囲に広がりをみせている。
金色の光とともにふわりと舞い降りてくる白き羽。
その羽は触れれば光の粒となりはじけ飛ぶ。
それと同時に光につつまれ、ゆっくりと光の粒子とかしてゆくタナトスの姿。
と。
キラッ。
キラキラキラ……
タナトスの中心部分から何か光るドロップ状の何かがゆっくりと落ちてくる。
それは不透明な輝きをもつ涙型のみたこともない石。
その中心部分に不透明ながらも何か光のようなものが含まれているのが見て取れる。
「これって……」
ひょいっとそれを拾い上げると案の定、ほのかにその石は光を発する。
ジェイドはかつてその石をみたことがある。
そう、あれは……
「…ジェム?」
ジェイドのキオクの中にある石。
サクリアを秘めているといわれる石。
だがそれ以上はどうしても思い出せない。
レインたちは幾度もアンジリェークの浄化のシーンをみているので今さら驚くまでもないが、
だがしかし、初めて目撃した銀樹騎士団の人々にとってはまさに驚愕すべきこと。
少女の祈りとともにタナトスが浄化された。
それも完全に。
しかも、祈りをささげているときの少女の姿は、教団に代々伝わる聖なる絵姿。
その姿とほぼ同じ、といっても過言ではない。
ゆえに言葉をうしない、しばし呆然とその場につったっているままの騎士団の姿が見て取れる。
「?それ、何だ?ジェイド?」
「よくわからない。だけどこれはアンジェリークがもつべきものだとおもうよ」
ジェイドがもつ涙型の石をみて彼の表情から何かしっているのかも、とおもいといかけているレイン。
ジェイドとて記憶が完全に蘇っているわけではない。
だから不確定なことをいうべきではない、というのもわかっている。
だがしかし、確実にいえるのはこの石はアンジェリークがもつものだ、ということ。
おそらく他の存在の手にゆだねれば石がもつ力が暴走しかねない、というのが漠然と判る。
事実、かつてその石がもつ力が世界に影響をあたえるがゆえに二人の女王が協力し石を回収した。
その事実はもはやこの地には伝わってはいない。
コロッン。
「ちなみに、今のタナトスが残したのはこれだ。やはり夢のオーブ、だな」
人々を眠りにいざなう。
それゆえに夢属性のタナトスであろう、と検討はつけていたが。
どうやらその予測は正解だったらしい。
地面に転がるオーブを拾いながらも淡々といっているヒュウガ。
「はい。アンジェリーク」
にっこりと微笑まれジェイドから渡されてくるちょっとした大きさの涙型の石。
不透明な輝きをもち、女の子ならばおもわず見惚れてしまう輝きを秘めている。
だがしかし、手にすると同時に感じる暖かな力。
「……夢の…力?」
漠然と感じる。
この石からは夢の力が。
しかも普通のオーブとは異なる、強い力。
「とにかく。お疲れ。アンジェリーク。とりあえずあとは村人がきちんと目覚めてるかどうかの確認だな」
レインの言葉にはっと我にと戻り。
「そうですね。とりあえずタナトスは浄化しましたし。村にいってみましょう」
いいつつも、ばたばたといまだに唖然としている銀樹騎士団員をその場にのこし、
レインたちとともに村の中にと入ってゆくアンジェリーク。
ざわざわ。
村人達からすれば一体何がおこったのか理解不能。
気付けば金色の光につつまれ意識を取り戻した。
タナトスに襲われたところまでは覚えている村人も多々といる。
だがしかし。
「ママが、ママがめざめないの」
「お父様が目をさまさないわ」
自分たちは目覚めたというのにいまだに目を覚まさない人々がいるらしく、さらに村人のざわめきはおおきくなっていたりする。
ぽうっ。
村に入ると同時にアンジェリークが手にしている石がほのかに桃色にと光る。
これは……
あきらかに何かに共鳴しているのが判る。
どうして判るのかはわからないが、とにかくそう感じる。
そして、その力が指し示す先は村の中心部分にとあるとある花壇の中央付近。
「これは…タナトスを浄化したのに目をさましてない人々がいる、というの?」
目を覚ました村人達はいまだに混乱状態ではあるが、それでも家族が目を覚まさない。
というのはあるいみパニックを生むに等しい現実。
村人の中は何がおこったのかわからないままに眠ったままでタナトスに生気を吸われていたものも多数存在しているのだから。
村の方々から聞こえてくる声。
その声が全て聞こえるがゆえに驚きを隠しきれずに思わずつぶやいているジェイド。
確かにジェイドの言うとおり、タナトスが倒れた、というのにいまだに目覚めない人は多数。
だけども、判る。
どうしてそんな人々が今もってタナトスが浄化されたというのに存在しているのか。
どうしてなにかなんてわからない。
だけどもその直感のまま、ある方向にと歩き出してゆくアンジリェーク。
「アンジェリーク?」
ふと、アンジェリークがふらふらと村の中心部のほうに歩いてゆくのをみてとり思わず声をかけるレイン。
中心部にとある花畑。
そこから異様に強い力の気配を感じる。
そう、先ほど手にした宝石と似通った力を。
ゆらっ……
アンジェリークが何のきなしにその花壇のほうにと手を伸ばすと、次の瞬間。
花壇の上の空気が一瞬ゆらぐ。
そして次の瞬間、その場に出現してくる巨大な桃色をした何か。
「な!?タナトス!?」
おもわず身構えるレインであるが、だけども。
「…ちがう。違うわ。これは……」
なぜだかわかる。
この目の前の異形の存在はタナトスではない。
むしろ……
『印を得る資格をもつものどもよ。万物をつかさどる資格があるものよ。
その決意のほどを我にと指し示せ』
「って、うわっ!?しゃべった!?」
脳裏に直接ひびいてくるそれとおもえしき声。
おもわず驚き叫ぶレイン。
「あなたは……」
知性が確実に目の前の存在には見て取れる。
タナトスがきちんと会話する、など聞いたことがない。
『我は夢の印を護るもの。決意のほどを我の前に指し示せ。汝らの力を我の前にと指し示せ。
さすれば我の力で眠りについている人々の安全は約束しよう』
「?よくわからないけど。つまり、いまだに目を覚まさない異変も何もみうけられない人々の中には。
君の力で眠っている人もいる、ということ?」
そんなソレにと首をかしげながらも丁寧にといかけているジェイド。
いや、丁寧に問いかけるようなものでもないような気がするんですけど…
思わずその異形の存在が話したのをうけて驚いている銀樹騎士団の一部のものが心の中で突っ込みをいれる。
『我は夢の精霊。夢のサクリアとともにあり、そしてまた主の元に集うもの』
「?よくわからないんだけど。だけどあなたが村人を眠りにつかせているなら、
村人達を解放してほしいの。あのままでは彼等は衰弱して死んでしまうわ」
精霊、となのったそれの言葉の意味はよくわからない。
だけども知性があるのならば話し合いで解決したい。
それがアンジリェークの願いであり本音。
無意味な戦いは好ましくない。
それゆえの問いかけ。
『ならば汝のその思いの強さを示してみよ。汝の力は人々を目覚めさすには十分すぎるほどの力。
さすれば我もまた汝の力になるべく我が力を授けよう』
小難しいことをいれてもアンジリェークにはわからない。
思いの力を示す。
どうすればいいのかわからない。
「アンジリェーク様。…祈りをささげてみてはいかがでしょうか?」
ふとヒョウガが精霊、という言葉をきき教団の上層部…否、かつてきいた伝承を思い出す。
人類が誕生しえないときには、精霊がサクリアの主となり、そしてその印を人類に託す…と。
もしかしたら目の前のこれはそれと似通ったものなのかもしれない。
だからこそ、アンジェリークにと語りかけるヒュウガ。
ふとしたはずみでどうしても敬称をつけてしまうのは、彼がまじめであるがゆえ。
たしかに決意のほどを指し示せ、そういわれてもアンジリェークはただ強く祈ることしかできない。
自分の思いを祈りに託す。
そのようなことは今までしたことがない。
大体人々が幸せでありますように、という祈りはいつもしてはいるが。
相手に自分の考えを伝えるために祈りをささげる、というのは初めての試み。
だがしかし。
「そう。ですね。やってみます」
このままでは村人達が目をさまさない。
かといって自分の思いを口に出して伝えるにしてもあいてにきちんと伝わるかどうかわからない。
言葉とは不思議なものでどのような解釈すらもできるのだから。
私が心から祈るのは。
全ての命が幸せである、ということ。
誰も悲しませたくない。
そしてまた、どんな命にでも幸せになる権利と生きる権利をもっている。
そしてそれは人に作られたものなどにおいてもいえること。
祈るアンジェリークの体が淡い光につつまれ、その姿はやがて白き翼を生やした一人の少女と化す。
その白き翼は羽となり、上空にと舞い上がり、ふわりふわりとまるで雪のように周囲にと舞ってゆく。
心より思いを託し祈りをささげることしばし。
――汝の決意、しかとみとどけた。
「…え?」
ふときがつくと、目の前にいたはずの夢の精霊、と名乗った存在は消えており、
ふわりと空中に浮んでいる一つの石。
「これは…夢の…護り石?」
そっとその石に手をふれると同時に、人々を目覚めさせる力の使い方がなぜだか判る。
どうしてなんてわからない。
だけども。
「夢を導く力よ。お願い、浄化の力とともに人々を目覚めさせて」
ぎゅっとその石を強く握り締め強く願いをささげる。
せつな。
村全体といわず村を含めた半径数キロにわたり金色の光が埋め尽くしてゆく。
それとともに、いまだに目を覚ます気配もなかった人々が一斉にと目を覚ましてゆく光景が、
光の中そこかしらにおいて見受けられてゆく。
それは奇跡、といっても過言でない信じられない出来事――
-第43話へー
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あとがきもどき:
薫:さてさて。今回の話は何やら意味不明(笑
出てきたのは、夢のジェムさんと夢の護り石v
ちなみに、夢の精霊、となのってたのは夢のジェムが見せている幻影のようなものですv
次回でさくっとオラージュの村に戻りますv
んでもってレインイベントをちょこっとをば(こらこらこら
んではまた次回にてv
2008年5月25日(日)某日
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